スライド式画像変化表示冊子
【課題】 マスクシートやストッパーの紛失のおそれがなく、多数の合成画像に基づく画像変化や動画を確実かつ容易に楽しむことを可能とするスライド式画像変化表示冊子を提供する。
【解決手段】 4種類の画像を基に作成されたグリッド状の合成画像7が第1の面に、第2の面に文字もしくは図柄情報8が表されている複数枚の合成画像シート2〜6が第1の辺側において、第1の面と第2の面とが対向するように綴じられており、複数枚の合成画像シート2〜6の内、1枚の合成画像シート2において、複数枚の合成画像シート2〜6が綴じられている第1の辺とは異なる第2の辺において、マスクシート13が、合成画像観察状態と、ページ送り可能状態とをとり得るように連結されており、マスクシート13の上記合成画像観察状態におけるスライド可能範囲が、4種類の画像の各画像を観察し得る範囲とされている、スライド式画像変化表示冊子1。
【解決手段】 4種類の画像を基に作成されたグリッド状の合成画像7が第1の面に、第2の面に文字もしくは図柄情報8が表されている複数枚の合成画像シート2〜6が第1の辺側において、第1の面と第2の面とが対向するように綴じられており、複数枚の合成画像シート2〜6の内、1枚の合成画像シート2において、複数枚の合成画像シート2〜6が綴じられている第1の辺とは異なる第2の辺において、マスクシート13が、合成画像観察状態と、ページ送り可能状態とをとり得るように連結されており、マスクシート13の上記合成画像観察状態におけるスライド可能範囲が、4種類の画像の各画像を観察し得る範囲とされている、スライド式画像変化表示冊子1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4種類の原画像を元に作成されたグリッド状の合成画像を、専用のマスクシートを利用して観察することにより、4種類の画像の変化、ひいては4コマの動画を観察し得る構成が備えられているスライド式画像変化表示冊子に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷により形成された画像は、通常固定されている。従って、印刷された画像は、静止画像すなわち固定画像として観察される。これに対して、印刷された画像と、画像上に載置されるマスクシートを用い、該マスクシートを画像上で移動させることにより画像を変化させる試みが種々なされている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、この種の画像変化表示装置の一例が開示されている。図7〜図13を参照して、特許文献1に記載のスライド式画像変化表示装置の概略を説明する。
【0004】
スライド式画像変化表示装置101は、合成画像シート102と、ストッパー103と、マスクシート104とを有する。合成画像シート102の上面には、合成画像102aが形成されている。この合成画像102aは、4種類の画像を基に作成されたグリッド状の合成画像である。より具体的には、図9(a)〜(d)に示すように、「A」、「B」、「C」及び「D」の4つの画像を合成することにより、図10に示す合成画像102aを得ることができる。そして、この合成画像102aに対応するように、マスクシート104が形成されている。マスクシート104は、マトリックス状に配置された矩形の透過部104aを有する。この矩形の透過部104aが設けられている領域以外は遮蔽部とされている。各透過部104aの寸法は、上記4種類の画像におけるグリッドを構成している1つの枡目に相当する大きさとされている。
【0005】
他方、ストッパー103は、矩形枠状の形状を有し、開口103aは、合成画像102aと等しい寸法か、あるいは合成画像102aよりも若干大きくされる。
【0006】
また、上記マスクシート104は、開口103aよりも小さな寸法を有する。ストッパー103の開口103a内において、マスクシート104が移動され得る。
【0007】
使用に際しては、上記合成画像シート102上に、ストッパー103を載置する。しかる後、ストッパー103の開口103a内にマスクシート104を配置する。この状態を図8に平面図で示す。図8に示すように、開口103aよりもマスクシート104の方が小さいため、開口103a内でマスクシート104をスライドさせ得る。そして、マスクシート104を開口103a内においてスライドさせると、マスクシート104の透過部104aが4種類の画像「A」、「B」、「C」または「D」のいずれかの画像が印刷される位置に載置されると、各画像「A」〜「D」のいずれかが観察される。すなわち、図11〜図13に示すように、画像「A」、画像「B」または画像「C」が透過部104aによって観察され得る位置とされている時には、それぞれ、画像「A」〜画像「C」が観察されることになる。
【0008】
従って、開口103a内において、合成画像102a上においてマスクシート104をスライドさせるだけで、4種類の画像を観察することができる。言い換えれば、1つの合成画像102aを印刷等により形成することにより、4種類の画像の変化を楽しむことができ、ひいては4コマの動画を実現することも可能とされている。
【特許文献1】特開平11−327479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
スライド式画像変化表示装置101では、上記のようにマスクシート104と合成画像シート102とを用いて、4種類の画像の変化を楽しむことができる。もっとも、このスライド式画像変化表示装置では、マスクシート104が、合成画像シート102と別部材として用意されていた。従って、観察者は、常に、合成画像シート102だけでなく、上記マスクシート104を用意しなければならない。従って、マスクシート104を紛失した場合には、合成画像シート102のみを用意したとしても、画像変化を楽しむことはできなかった。
【0010】
また、マスクシート104のスライド量を規制するために、ストッパー103が設けられているが、このストッパー103も合成画像シート102及びマスクシート104とは別部材として用意されているため、ストッパー103を紛失した場合には、マスクシート104のスライド量が大きくなりすぎ、4種類の画像変化を確実に楽しむことができないことがあった。
【0011】
さらに、スライド式画像変化表示装置101では、1枚の合成画像シート102が図示されていたが、多数枚の合成画像シート102を用意した場合には、より一層多くの画像変化を楽しむことができる。しかしながら、複数枚の合成画像シート102をランダムに用意しただけでは、その一部の合成画像シート102が紛失するおそれがあった。
【0012】
従来のスライド式画像変化表示装置では、マスクシートの移動量が大きすぎると、目的とする画像を観察することができないこともあった。
【0013】
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、マスクシートやストッパーの紛失により画像変化を楽しむことができないことがなく、より一層多くの画像の変化、ひいては多くのコマ数の動画を容易に楽しむことを可能とするスライド式画像変化表示冊子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、4種類の画像を基に作成されたグリッド状の合成画像が第1の面に表されており、第2の面に文字もしくは図柄情報が表されている複数枚の合成画像シートが、重なり合う合成画像シートの第1の面と第2の面とが対向するように第1の辺側において綴じられており、前記複数枚の合成画像シートの内、1枚の合成画像シートにおいて、前記複数枚の合成画像シートが綴じられている前記第1の辺とは異なる第2の辺において、透過部と遮蔽部とが規則的に配置されており、前記合成画像上でスライドさせることにより観察される画像を変化させるマスクシートが、合成画像シートの第1の面に重ねられ、かつ第1の面上において移動され得るように配置された合成画像観察状態と、前記合成画像シートの側方に配置された合成画像シートをページ送りすることができるページ送り可能状態とをとり得るように連結されており、前記マスクシートのスライド可能範囲が、4種類の画像の各画像を観察し得る範囲とされていることを特徴とする、スライド式画像変化表示冊子が提供される。
【0015】
本発明に係るスライド式画像変化表示冊子のある特定の局面では、前記複数枚の合成画像シートが前記第1の辺側において、リング状結束具で綴じられており、かつ前記マスクシートが、前記少なくとも1枚の合成画像シートの第2の辺側においてリング状結束具により綴じられている。
【0016】
本発明に係るスライド式画像変化表示冊子の他の特定の局面では、前記第2の辺が、前記第1の辺とは対向する辺である。
【0017】
本発明に係るスライド式画像変化表示冊子のさらに他の特定の局面では、前記第2の辺側に配置されたリング状結束具が、前記マスクシートに設けられた複数の貫通孔に挿通されており、該貫通孔の寸法が、前記マスクシートをスライドさせ得る範囲に対応した大きさとされている。
【0018】
本発明に係るスライド式画像変化表示冊子のさらに別の特定の局面では、前記第2の面に表されている情報がカレンダー情報である。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るスライド式画像変化表示冊子では、前述した特許文献1に記載のスライド式画像変化表示装置と同様に、4種類の画像を基に作成されたグリッド状の合成画像上に、マスクシートを載置し、該マスクシートをスライドさせることにより、4種類の各画像を観察することができる。従って、4種類の画像の変化、ひいては4コマの動画を実現することができる。
【0020】
しかも、本発明のスライド式画像変化表示冊子では、複数枚の合成画像シートが、第1の辺側において、合成画像シートの合成画像が設けられている第1の面と、第1の面とは反対側の面であって、文字もしくは図柄情報が表されている第2の面とが対向するように綴じられている。従って、第1の辺側において綴じられている部分から複数枚の合成画像シートを順に開いていくことにより、複数枚の合成画像シートの第1の面を順に露出させることができ、それによって第1の面に設けられている各合成画像を順に露出させ、マスクシートを表面に載置し、画像変化を楽しむことができる。従って、多数の合成画像シートに設けられた合成画像に基づき、より多くの画像変化やより多くのコマ数の動画を楽しむことができる。
【0021】
さらに、上記合成画像シートの第2の面には、文字もしくは図柄情報が表されているので、文字もしくは図柄情報により、様々な情報を表すことができる。
【0022】
加えて、上記複数枚の合成画像シートの第2の辺側において、マスクが合成画像観察状態と、ページ送り可能状態とをとり得るように連結されているので、マスクシートが紛失するおそれがなく、かつマスクシートをページ送り状態とすることにより、合成画像シートのページ送りを行い、マスクシートを合成画像上に配置された合成画像観察状態とすることによりマスクシートをスライドさせて画像変化を楽しむことかできる。
【0023】
よって、本発明によれば、マスクシートの紛失が生じ難く、かつマスクシートが上記画像観察状態とページ送り状態とをとり得るように、マスクシートの第2の辺側において連結されており、マスクシートのスライド可能範囲が4種類の画像の各画像を観察し得る範囲とされているため、ストッパーを省略することができる。
【0024】
よって、多数の合成画像における画像変化を、容易にかつ確実に楽しむことが可能となる。
【0025】
本発明において、複数枚の合成画像シートが第1の辺において、リング状結束具で綴じられており、かつマスクシートが、少なくとも1枚の合成画像シートの第2の辺において、リング状結束具により綴じられている場合には、合成画像シートのページ送り、マスクシートの合成画像観察状態とページ送り可能状態との間で移動させる操作を容易に行うことができる。
【0026】
第2の辺が第1の辺とは対向する辺である場合には、複数枚の合成画像シートのページを送った後に、第2の辺の側方に配置されているマスクシートを、合成画像上に容易に載置し、画像を観察した後には、マスクシートをページ送り可能状態となるように展開するだけで、合成画像シートのページ送りを容易に行うことができる。
【0027】
第2の辺側に配置されたリング状結束具が、マスクシートに設けられた複数の貫通孔に挿通されており、該貫通孔の寸法が、マスクシートをスライドさせ得る範囲に対応した大きさとされている場合には、貫通孔の寸法により前述したストッパーとしての機能が果たされる。
【0028】
第2の面に表されている情報がカレンダー情報である場合には、本発明に係るスライド式画像変化表示冊子はカレンダーとして用いることも可能とされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態に係るスライド式画像変化表示冊子を説明するための模式的平面図であり、図2はその外観を示す斜視図である。図1に示すように、スライド式画像変化表示冊子1は、複数枚の合成画像シート2〜6を有する。
【0031】
合成画像シート2は、紙もしくはフィルムなどの適宜のシート材料からなる。合成画像シート2を例にとると、第1の面2aに、合成画像7が印刷等により形成されている。合成画像7は前述した特許文献1に記載の合成画像102aと同様にして形成される。従って、合成画像7は、4種類の画像を基に作成されたグリッド状の合成画像である。
【0032】
他方、合成画像シート2の第1の面2aとは反対側の第2の面には、文字もしくは図柄情報が表されている。図1では、第2の面は図示されていないが、合成画像シート3の第2の面3bが図示されている。合成画像シート3の第2の面3bには、文字情報としてカレンダー情報8が表されている。
【0033】
なお、図1では明瞭ではないが、合成画像シート2の第2の面にも同様にカレンダー情報が表されている。さらに、合成画像シート4〜6の各第2の面にもカレンダー情報が表されている。従って、本実施形態の画像変化表示冊子1は、カレンダーとして用いることができるものである。
【0034】
他方、合成画像シート2の第1の面2aには、合成画像7が印刷されていたが、他の合成画像シート3〜6の第1の面にも、それぞれ、合成画像が印刷されている。すなわち、、重なり合う合成画像シートは、一方の合成画像シートの第1の面と、他方の合成画像シートの第2の面とが対向するように重なり合わされている。
【0035】
そして、複数枚の合成画像シート2〜6は、第1の辺2x側においてリング状結束具9を用いて綴じられている。すなわち、各合成画像シート2〜6の第1の辺側には、複数の貫通孔10が整列形成されており、該貫通孔10に挿通されるようにリング状結束具9が取り付けられ、複数枚の合成画像シート2〜6が綴じられている。
【0036】
もっとも、複数枚の合成画像シート2〜6を第1の辺側において綴じる形態は、リング状結束具9を用いたものに限定されず、接着剤、糸もしくはステイプル等により綴じられていてもよい。いずれにしても、複数枚の合成画像シート2〜6が第1の辺側において第1の面及び第2の面が順次観察し得るように開かれ得る限り、結束具の形態は特に限定されるものではない。
【0037】
他方、本実施形態では、複数枚の合成画像シート2〜6の内、1枚の合成画像シート2において、上記第1の辺2xとは反対側の辺である第2の辺2yに、複数の貫通孔11が整列形成されている。そして、貫通孔11にリング状結束具12が挿通されている。このリング状結束具12を用い、マスクシート13が連結されている。マスクシート13の1つの辺にも、整列形成された貫通孔14が配置されている。マスクシート13には、多数の透過部13aが配置されている。透過部13aが設けられている部分以外は、遮蔽部とされている。このようなマスクシート13は、前述した特許文献1に記載のマスクシート104と同様に構成され得る。
【0038】
すなわち、上記透過部13aは、合成画像7を構成している4つの画像の内少なくとも1つの画像を観察し得るように配置されている。より具体的には、合成画像7においては、グリッドを構成している枡目が4個単位で一組とされている。すなわち、集合されている4個の正方形の枡目を、今第1〜第4の枡目とする。上記透過部13aは、合成画像7上にマスクシート13が載置された際に、透過部13aが多数の第1の枡目状にのみ位置する第1の観察状態、第2の枡目状にのみ位置する第2の観察状態、第3の枡目状にのみ位置する第3の観察状態及び第4の枡目状にのみ位置する第4の観察状態とをとり得るように構成されている。従って、多数の透過部13aが、上記第1の枡目状に重ねられている時には、4種類の画像の内の1つの画像が観察されることになり、透過部13aを、第2の枡目、第3の枡目あるいは第4の枡目状にスライドさせていくことにより、2番目から4番目の画像へと画像を変化させることができる。
【0039】
図3及び図4は、1枚の合成画像シート2における画像変化を示す模式的各平面図である。図3に示すように、1枚の合成画像シート2に設けられている合成画像7においては、図3の4つの画像がマスクシート13をスライドさせることにより観察され得る。従って、マスクシート13を適宜スライドさせることにより、図4に略図的に示すように、空中を舞っているボールが順に移動するような4コマの動画を楽しむことができる。このように、複数枚の合成画像シート2〜6のそれぞれにおいて、4つの画像を観察することができる。従って、マスクシート13をスライドさせるだけで、4種類の画像間の変化、ひいては4コマの動画を楽しむことができる。本実施形態では、他の合成画像シート3〜6においても、それぞれ、同様に4種類の画像の変化を楽しむことができる。
【0040】
マスクシート13は、透明フィルムに遮蔽部を設けるように印刷を施したものなどの適宜のフィルムもしくはシートで構成される。
【0041】
上記マスクシート13は、リング状結束具12により合成画像シート2に連結されているが、図1に示す状態では、マスクシート13は、合成画像シート2の側方に位置している、ページ送り可能状態とされている。この状態においては、合成画像シート2の次に、次の合成画像シート3をページ送りし、合成画像シート3の第1の面に表されている合成画像を露出することができる。すなわち、合成画像シート2の第1の面2a上に、次の合成画像シート3の第2の面3bが重ねられ、それによって合成画像シート3の第1の面の合成画像が露出される。次に、マスクシート13を、図1に示す状態から、リング状結束具12を中心として回転させ、マスクシート13を露出した合成画像上に載置することができる。その状態が、合成画像観察状態となり、マスクシート13を合成画像上でスライドさせることにより、特許文献1に記載のスライド式画像変化表示装置と同様に、4種類の画像や、4コマの動画を楽しむことができる。この場合、マスクシート13のスライド量は、上記貫通孔14とリング状結束具12とにより決定される。すなわち、本実施形態では、貫通孔14の寸法は、上記4種類の画像の変化を楽しむことができる範囲でマスクシート13の移動量を実現し得る寸法とされている。言い換えれば、貫通孔14が、特許文献1に記載のストッパー103の機能を果たしている。
【0042】
従って、画像変化表示冊子1を用いる場合、マスクシート13が、リング状結束具12で連結されており、かつ貫通孔14がストッパーとして機能するため、マスクシートやストッパーの紛失のおそれがない。
【0043】
次に、スライド式画像変化表示冊子1の使用方法を説明する。
【0044】
図2に斜視図で示すように、マスクシート13が上部に位置しており、その下方に、合成画像シート6、合成画像シート5……の順に複数枚の合成画像シート2〜6が積層されている。図2に示す状態では、マスクシート13が最上部に位置しており、その下方に合成画像シート6の第1の面に印刷された合成画像が位置することになるため、その状態においてマスクシート13をスライドさせ、4種類の画像の変化を楽しむことができる。すなわち、マスクシート13は、初期状態では、合成画像観察状態とされている。
【0045】
次に、図2に示す状態から、図5に示すようにマスクシート13を展開し、ページ送り可能状態とする。この状態から、既に観察した合成画像シート6を右側に展開し、ページ送りする。その結果、図6に示すように、合成画像シート6の下方に積層されていた合成画像シート5の第1の面が露出する。従って、その状態において、マスクシート13を、再度、合成画像シート5側に反転させる。よって、図6に示されている合成画像シート5上に、マスクシート13(図6では図示せず)が載置され、合成画像シート5の第1の面に印刷されていた合成画像15による画像変化を楽しむことができる。このように、マスクシート13を、合成画像観察状態と、ページ送り可能状態との間で変化させ、ページ送り可能状態において、合成画像シート2〜6を順にページ送りしていくことにより、複数枚の合成画像シート2〜6の各第1の面に表された合成画像による画像変化を楽しむことができる。
【0046】
上記のように、本実施形態のスライド式画像変化表示冊子では、上記のように、マスクシート13がリング状結束具で連結されており、紛失のおそれがなく、またストッパーを省略することができる。従って、多数の合成画像シート2〜6にあらわされている合成画像を確実にかつ容易に楽しむことができる。
【0047】
加えて、上記各合成画像シート2〜6の第2の面に表されている文字情報または図柄情報により、画像変化表示冊子に、カレンダーとして機能や、絵本における文字の説明機能を持たせることができる。よって、本発明のスライド式画像変化表示冊子は、画像変化や動画を楽しむことができる、絵本やカレンダーなどの様々な複合機能を果たす冊子として構成することができる。
【0048】
なお、マスクシート13を画像変化シートに連結する結束具はリング状結束具に限定されるものではなく、マスクシート13をスライドさせ得る限り、適宜の結束具を用いることができる。
【0049】
さらに、マスクシートが連結される辺は、複数枚の画像変化シートが綴じられている第1の辺と反対側の第2の辺に限定されず、他の辺であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態に係るスライド式画像変化表示冊子を示す平面図。
【図2】図1に示したスライド式画像変化表示冊子の外観を示す斜視図。
【図3】図1に示した実施形態のスライド式画像変化表示冊子における1枚の合成画像シートにおいて観察され得る4つの画像を示す模式的平面図。
【図4】図1に示した実施形態のスライド式画像変化表示冊子において、4つの画像により実現される4コマの動画を説明するための模式的平面図。
【図5】図1に示した実施形態のスライド式画像変化表示冊子において、文字送りを行う工程を説明するための斜視図。
【図6】ページ送りにより表された次の合成画像シート上に表されている画像を示す平面図。
【図7】従来のスライド式画像変化表示装置を示す分解斜視図。
【図8】図7に示した従来のスライド式画像変化表示装置の平面図。
【図9】(a)〜(d)は、従来スライド式画像変化表示装置において合成画像を構成している4種類の画像を示す各平面図。
【図10】従来のスライド式画像変化表示装置において印刷されている合成画像を示す模式的平面図。
【図11】従来のスライド式画像変化表示装置において表される1つの画像を示す模式的平面図。
【図12】従来のスライド式画像変化表示装置において表される他の1つの画像を示す模式的平面図。
【図13】従来のスライド式画像変化表示装置において表されるさらに他の1つの画像を示す模式的平面図。
【符号の説明】
【0051】
1…スライド式画像変化表示冊子
2…合成画像シート
2a…第1の面
2x…第1の辺
2y…第2の辺
3…合成画像シート
3b…第2の面
4〜6…合成画像シート
7…合成画像
8…カレンダー情報
9…リング状結束具
10…貫通孔
11…貫通孔
12…リング状結束具
13…マスクシート
13a…透過部
14…貫通孔
15…合成画像
【技術分野】
【0001】
本発明は、4種類の原画像を元に作成されたグリッド状の合成画像を、専用のマスクシートを利用して観察することにより、4種類の画像の変化、ひいては4コマの動画を観察し得る構成が備えられているスライド式画像変化表示冊子に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷により形成された画像は、通常固定されている。従って、印刷された画像は、静止画像すなわち固定画像として観察される。これに対して、印刷された画像と、画像上に載置されるマスクシートを用い、該マスクシートを画像上で移動させることにより画像を変化させる試みが種々なされている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、この種の画像変化表示装置の一例が開示されている。図7〜図13を参照して、特許文献1に記載のスライド式画像変化表示装置の概略を説明する。
【0004】
スライド式画像変化表示装置101は、合成画像シート102と、ストッパー103と、マスクシート104とを有する。合成画像シート102の上面には、合成画像102aが形成されている。この合成画像102aは、4種類の画像を基に作成されたグリッド状の合成画像である。より具体的には、図9(a)〜(d)に示すように、「A」、「B」、「C」及び「D」の4つの画像を合成することにより、図10に示す合成画像102aを得ることができる。そして、この合成画像102aに対応するように、マスクシート104が形成されている。マスクシート104は、マトリックス状に配置された矩形の透過部104aを有する。この矩形の透過部104aが設けられている領域以外は遮蔽部とされている。各透過部104aの寸法は、上記4種類の画像におけるグリッドを構成している1つの枡目に相当する大きさとされている。
【0005】
他方、ストッパー103は、矩形枠状の形状を有し、開口103aは、合成画像102aと等しい寸法か、あるいは合成画像102aよりも若干大きくされる。
【0006】
また、上記マスクシート104は、開口103aよりも小さな寸法を有する。ストッパー103の開口103a内において、マスクシート104が移動され得る。
【0007】
使用に際しては、上記合成画像シート102上に、ストッパー103を載置する。しかる後、ストッパー103の開口103a内にマスクシート104を配置する。この状態を図8に平面図で示す。図8に示すように、開口103aよりもマスクシート104の方が小さいため、開口103a内でマスクシート104をスライドさせ得る。そして、マスクシート104を開口103a内においてスライドさせると、マスクシート104の透過部104aが4種類の画像「A」、「B」、「C」または「D」のいずれかの画像が印刷される位置に載置されると、各画像「A」〜「D」のいずれかが観察される。すなわち、図11〜図13に示すように、画像「A」、画像「B」または画像「C」が透過部104aによって観察され得る位置とされている時には、それぞれ、画像「A」〜画像「C」が観察されることになる。
【0008】
従って、開口103a内において、合成画像102a上においてマスクシート104をスライドさせるだけで、4種類の画像を観察することができる。言い換えれば、1つの合成画像102aを印刷等により形成することにより、4種類の画像の変化を楽しむことができ、ひいては4コマの動画を実現することも可能とされている。
【特許文献1】特開平11−327479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
スライド式画像変化表示装置101では、上記のようにマスクシート104と合成画像シート102とを用いて、4種類の画像の変化を楽しむことができる。もっとも、このスライド式画像変化表示装置では、マスクシート104が、合成画像シート102と別部材として用意されていた。従って、観察者は、常に、合成画像シート102だけでなく、上記マスクシート104を用意しなければならない。従って、マスクシート104を紛失した場合には、合成画像シート102のみを用意したとしても、画像変化を楽しむことはできなかった。
【0010】
また、マスクシート104のスライド量を規制するために、ストッパー103が設けられているが、このストッパー103も合成画像シート102及びマスクシート104とは別部材として用意されているため、ストッパー103を紛失した場合には、マスクシート104のスライド量が大きくなりすぎ、4種類の画像変化を確実に楽しむことができないことがあった。
【0011】
さらに、スライド式画像変化表示装置101では、1枚の合成画像シート102が図示されていたが、多数枚の合成画像シート102を用意した場合には、より一層多くの画像変化を楽しむことができる。しかしながら、複数枚の合成画像シート102をランダムに用意しただけでは、その一部の合成画像シート102が紛失するおそれがあった。
【0012】
従来のスライド式画像変化表示装置では、マスクシートの移動量が大きすぎると、目的とする画像を観察することができないこともあった。
【0013】
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、マスクシートやストッパーの紛失により画像変化を楽しむことができないことがなく、より一層多くの画像の変化、ひいては多くのコマ数の動画を容易に楽しむことを可能とするスライド式画像変化表示冊子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、4種類の画像を基に作成されたグリッド状の合成画像が第1の面に表されており、第2の面に文字もしくは図柄情報が表されている複数枚の合成画像シートが、重なり合う合成画像シートの第1の面と第2の面とが対向するように第1の辺側において綴じられており、前記複数枚の合成画像シートの内、1枚の合成画像シートにおいて、前記複数枚の合成画像シートが綴じられている前記第1の辺とは異なる第2の辺において、透過部と遮蔽部とが規則的に配置されており、前記合成画像上でスライドさせることにより観察される画像を変化させるマスクシートが、合成画像シートの第1の面に重ねられ、かつ第1の面上において移動され得るように配置された合成画像観察状態と、前記合成画像シートの側方に配置された合成画像シートをページ送りすることができるページ送り可能状態とをとり得るように連結されており、前記マスクシートのスライド可能範囲が、4種類の画像の各画像を観察し得る範囲とされていることを特徴とする、スライド式画像変化表示冊子が提供される。
【0015】
本発明に係るスライド式画像変化表示冊子のある特定の局面では、前記複数枚の合成画像シートが前記第1の辺側において、リング状結束具で綴じられており、かつ前記マスクシートが、前記少なくとも1枚の合成画像シートの第2の辺側においてリング状結束具により綴じられている。
【0016】
本発明に係るスライド式画像変化表示冊子の他の特定の局面では、前記第2の辺が、前記第1の辺とは対向する辺である。
【0017】
本発明に係るスライド式画像変化表示冊子のさらに他の特定の局面では、前記第2の辺側に配置されたリング状結束具が、前記マスクシートに設けられた複数の貫通孔に挿通されており、該貫通孔の寸法が、前記マスクシートをスライドさせ得る範囲に対応した大きさとされている。
【0018】
本発明に係るスライド式画像変化表示冊子のさらに別の特定の局面では、前記第2の面に表されている情報がカレンダー情報である。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るスライド式画像変化表示冊子では、前述した特許文献1に記載のスライド式画像変化表示装置と同様に、4種類の画像を基に作成されたグリッド状の合成画像上に、マスクシートを載置し、該マスクシートをスライドさせることにより、4種類の各画像を観察することができる。従って、4種類の画像の変化、ひいては4コマの動画を実現することができる。
【0020】
しかも、本発明のスライド式画像変化表示冊子では、複数枚の合成画像シートが、第1の辺側において、合成画像シートの合成画像が設けられている第1の面と、第1の面とは反対側の面であって、文字もしくは図柄情報が表されている第2の面とが対向するように綴じられている。従って、第1の辺側において綴じられている部分から複数枚の合成画像シートを順に開いていくことにより、複数枚の合成画像シートの第1の面を順に露出させることができ、それによって第1の面に設けられている各合成画像を順に露出させ、マスクシートを表面に載置し、画像変化を楽しむことができる。従って、多数の合成画像シートに設けられた合成画像に基づき、より多くの画像変化やより多くのコマ数の動画を楽しむことができる。
【0021】
さらに、上記合成画像シートの第2の面には、文字もしくは図柄情報が表されているので、文字もしくは図柄情報により、様々な情報を表すことができる。
【0022】
加えて、上記複数枚の合成画像シートの第2の辺側において、マスクが合成画像観察状態と、ページ送り可能状態とをとり得るように連結されているので、マスクシートが紛失するおそれがなく、かつマスクシートをページ送り状態とすることにより、合成画像シートのページ送りを行い、マスクシートを合成画像上に配置された合成画像観察状態とすることによりマスクシートをスライドさせて画像変化を楽しむことかできる。
【0023】
よって、本発明によれば、マスクシートの紛失が生じ難く、かつマスクシートが上記画像観察状態とページ送り状態とをとり得るように、マスクシートの第2の辺側において連結されており、マスクシートのスライド可能範囲が4種類の画像の各画像を観察し得る範囲とされているため、ストッパーを省略することができる。
【0024】
よって、多数の合成画像における画像変化を、容易にかつ確実に楽しむことが可能となる。
【0025】
本発明において、複数枚の合成画像シートが第1の辺において、リング状結束具で綴じられており、かつマスクシートが、少なくとも1枚の合成画像シートの第2の辺において、リング状結束具により綴じられている場合には、合成画像シートのページ送り、マスクシートの合成画像観察状態とページ送り可能状態との間で移動させる操作を容易に行うことができる。
【0026】
第2の辺が第1の辺とは対向する辺である場合には、複数枚の合成画像シートのページを送った後に、第2の辺の側方に配置されているマスクシートを、合成画像上に容易に載置し、画像を観察した後には、マスクシートをページ送り可能状態となるように展開するだけで、合成画像シートのページ送りを容易に行うことができる。
【0027】
第2の辺側に配置されたリング状結束具が、マスクシートに設けられた複数の貫通孔に挿通されており、該貫通孔の寸法が、マスクシートをスライドさせ得る範囲に対応した大きさとされている場合には、貫通孔の寸法により前述したストッパーとしての機能が果たされる。
【0028】
第2の面に表されている情報がカレンダー情報である場合には、本発明に係るスライド式画像変化表示冊子はカレンダーとして用いることも可能とされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態に係るスライド式画像変化表示冊子を説明するための模式的平面図であり、図2はその外観を示す斜視図である。図1に示すように、スライド式画像変化表示冊子1は、複数枚の合成画像シート2〜6を有する。
【0031】
合成画像シート2は、紙もしくはフィルムなどの適宜のシート材料からなる。合成画像シート2を例にとると、第1の面2aに、合成画像7が印刷等により形成されている。合成画像7は前述した特許文献1に記載の合成画像102aと同様にして形成される。従って、合成画像7は、4種類の画像を基に作成されたグリッド状の合成画像である。
【0032】
他方、合成画像シート2の第1の面2aとは反対側の第2の面には、文字もしくは図柄情報が表されている。図1では、第2の面は図示されていないが、合成画像シート3の第2の面3bが図示されている。合成画像シート3の第2の面3bには、文字情報としてカレンダー情報8が表されている。
【0033】
なお、図1では明瞭ではないが、合成画像シート2の第2の面にも同様にカレンダー情報が表されている。さらに、合成画像シート4〜6の各第2の面にもカレンダー情報が表されている。従って、本実施形態の画像変化表示冊子1は、カレンダーとして用いることができるものである。
【0034】
他方、合成画像シート2の第1の面2aには、合成画像7が印刷されていたが、他の合成画像シート3〜6の第1の面にも、それぞれ、合成画像が印刷されている。すなわち、、重なり合う合成画像シートは、一方の合成画像シートの第1の面と、他方の合成画像シートの第2の面とが対向するように重なり合わされている。
【0035】
そして、複数枚の合成画像シート2〜6は、第1の辺2x側においてリング状結束具9を用いて綴じられている。すなわち、各合成画像シート2〜6の第1の辺側には、複数の貫通孔10が整列形成されており、該貫通孔10に挿通されるようにリング状結束具9が取り付けられ、複数枚の合成画像シート2〜6が綴じられている。
【0036】
もっとも、複数枚の合成画像シート2〜6を第1の辺側において綴じる形態は、リング状結束具9を用いたものに限定されず、接着剤、糸もしくはステイプル等により綴じられていてもよい。いずれにしても、複数枚の合成画像シート2〜6が第1の辺側において第1の面及び第2の面が順次観察し得るように開かれ得る限り、結束具の形態は特に限定されるものではない。
【0037】
他方、本実施形態では、複数枚の合成画像シート2〜6の内、1枚の合成画像シート2において、上記第1の辺2xとは反対側の辺である第2の辺2yに、複数の貫通孔11が整列形成されている。そして、貫通孔11にリング状結束具12が挿通されている。このリング状結束具12を用い、マスクシート13が連結されている。マスクシート13の1つの辺にも、整列形成された貫通孔14が配置されている。マスクシート13には、多数の透過部13aが配置されている。透過部13aが設けられている部分以外は、遮蔽部とされている。このようなマスクシート13は、前述した特許文献1に記載のマスクシート104と同様に構成され得る。
【0038】
すなわち、上記透過部13aは、合成画像7を構成している4つの画像の内少なくとも1つの画像を観察し得るように配置されている。より具体的には、合成画像7においては、グリッドを構成している枡目が4個単位で一組とされている。すなわち、集合されている4個の正方形の枡目を、今第1〜第4の枡目とする。上記透過部13aは、合成画像7上にマスクシート13が載置された際に、透過部13aが多数の第1の枡目状にのみ位置する第1の観察状態、第2の枡目状にのみ位置する第2の観察状態、第3の枡目状にのみ位置する第3の観察状態及び第4の枡目状にのみ位置する第4の観察状態とをとり得るように構成されている。従って、多数の透過部13aが、上記第1の枡目状に重ねられている時には、4種類の画像の内の1つの画像が観察されることになり、透過部13aを、第2の枡目、第3の枡目あるいは第4の枡目状にスライドさせていくことにより、2番目から4番目の画像へと画像を変化させることができる。
【0039】
図3及び図4は、1枚の合成画像シート2における画像変化を示す模式的各平面図である。図3に示すように、1枚の合成画像シート2に設けられている合成画像7においては、図3の4つの画像がマスクシート13をスライドさせることにより観察され得る。従って、マスクシート13を適宜スライドさせることにより、図4に略図的に示すように、空中を舞っているボールが順に移動するような4コマの動画を楽しむことができる。このように、複数枚の合成画像シート2〜6のそれぞれにおいて、4つの画像を観察することができる。従って、マスクシート13をスライドさせるだけで、4種類の画像間の変化、ひいては4コマの動画を楽しむことができる。本実施形態では、他の合成画像シート3〜6においても、それぞれ、同様に4種類の画像の変化を楽しむことができる。
【0040】
マスクシート13は、透明フィルムに遮蔽部を設けるように印刷を施したものなどの適宜のフィルムもしくはシートで構成される。
【0041】
上記マスクシート13は、リング状結束具12により合成画像シート2に連結されているが、図1に示す状態では、マスクシート13は、合成画像シート2の側方に位置している、ページ送り可能状態とされている。この状態においては、合成画像シート2の次に、次の合成画像シート3をページ送りし、合成画像シート3の第1の面に表されている合成画像を露出することができる。すなわち、合成画像シート2の第1の面2a上に、次の合成画像シート3の第2の面3bが重ねられ、それによって合成画像シート3の第1の面の合成画像が露出される。次に、マスクシート13を、図1に示す状態から、リング状結束具12を中心として回転させ、マスクシート13を露出した合成画像上に載置することができる。その状態が、合成画像観察状態となり、マスクシート13を合成画像上でスライドさせることにより、特許文献1に記載のスライド式画像変化表示装置と同様に、4種類の画像や、4コマの動画を楽しむことができる。この場合、マスクシート13のスライド量は、上記貫通孔14とリング状結束具12とにより決定される。すなわち、本実施形態では、貫通孔14の寸法は、上記4種類の画像の変化を楽しむことができる範囲でマスクシート13の移動量を実現し得る寸法とされている。言い換えれば、貫通孔14が、特許文献1に記載のストッパー103の機能を果たしている。
【0042】
従って、画像変化表示冊子1を用いる場合、マスクシート13が、リング状結束具12で連結されており、かつ貫通孔14がストッパーとして機能するため、マスクシートやストッパーの紛失のおそれがない。
【0043】
次に、スライド式画像変化表示冊子1の使用方法を説明する。
【0044】
図2に斜視図で示すように、マスクシート13が上部に位置しており、その下方に、合成画像シート6、合成画像シート5……の順に複数枚の合成画像シート2〜6が積層されている。図2に示す状態では、マスクシート13が最上部に位置しており、その下方に合成画像シート6の第1の面に印刷された合成画像が位置することになるため、その状態においてマスクシート13をスライドさせ、4種類の画像の変化を楽しむことができる。すなわち、マスクシート13は、初期状態では、合成画像観察状態とされている。
【0045】
次に、図2に示す状態から、図5に示すようにマスクシート13を展開し、ページ送り可能状態とする。この状態から、既に観察した合成画像シート6を右側に展開し、ページ送りする。その結果、図6に示すように、合成画像シート6の下方に積層されていた合成画像シート5の第1の面が露出する。従って、その状態において、マスクシート13を、再度、合成画像シート5側に反転させる。よって、図6に示されている合成画像シート5上に、マスクシート13(図6では図示せず)が載置され、合成画像シート5の第1の面に印刷されていた合成画像15による画像変化を楽しむことができる。このように、マスクシート13を、合成画像観察状態と、ページ送り可能状態との間で変化させ、ページ送り可能状態において、合成画像シート2〜6を順にページ送りしていくことにより、複数枚の合成画像シート2〜6の各第1の面に表された合成画像による画像変化を楽しむことができる。
【0046】
上記のように、本実施形態のスライド式画像変化表示冊子では、上記のように、マスクシート13がリング状結束具で連結されており、紛失のおそれがなく、またストッパーを省略することができる。従って、多数の合成画像シート2〜6にあらわされている合成画像を確実にかつ容易に楽しむことができる。
【0047】
加えて、上記各合成画像シート2〜6の第2の面に表されている文字情報または図柄情報により、画像変化表示冊子に、カレンダーとして機能や、絵本における文字の説明機能を持たせることができる。よって、本発明のスライド式画像変化表示冊子は、画像変化や動画を楽しむことができる、絵本やカレンダーなどの様々な複合機能を果たす冊子として構成することができる。
【0048】
なお、マスクシート13を画像変化シートに連結する結束具はリング状結束具に限定されるものではなく、マスクシート13をスライドさせ得る限り、適宜の結束具を用いることができる。
【0049】
さらに、マスクシートが連結される辺は、複数枚の画像変化シートが綴じられている第1の辺と反対側の第2の辺に限定されず、他の辺であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態に係るスライド式画像変化表示冊子を示す平面図。
【図2】図1に示したスライド式画像変化表示冊子の外観を示す斜視図。
【図3】図1に示した実施形態のスライド式画像変化表示冊子における1枚の合成画像シートにおいて観察され得る4つの画像を示す模式的平面図。
【図4】図1に示した実施形態のスライド式画像変化表示冊子において、4つの画像により実現される4コマの動画を説明するための模式的平面図。
【図5】図1に示した実施形態のスライド式画像変化表示冊子において、文字送りを行う工程を説明するための斜視図。
【図6】ページ送りにより表された次の合成画像シート上に表されている画像を示す平面図。
【図7】従来のスライド式画像変化表示装置を示す分解斜視図。
【図8】図7に示した従来のスライド式画像変化表示装置の平面図。
【図9】(a)〜(d)は、従来スライド式画像変化表示装置において合成画像を構成している4種類の画像を示す各平面図。
【図10】従来のスライド式画像変化表示装置において印刷されている合成画像を示す模式的平面図。
【図11】従来のスライド式画像変化表示装置において表される1つの画像を示す模式的平面図。
【図12】従来のスライド式画像変化表示装置において表される他の1つの画像を示す模式的平面図。
【図13】従来のスライド式画像変化表示装置において表されるさらに他の1つの画像を示す模式的平面図。
【符号の説明】
【0051】
1…スライド式画像変化表示冊子
2…合成画像シート
2a…第1の面
2x…第1の辺
2y…第2の辺
3…合成画像シート
3b…第2の面
4〜6…合成画像シート
7…合成画像
8…カレンダー情報
9…リング状結束具
10…貫通孔
11…貫通孔
12…リング状結束具
13…マスクシート
13a…透過部
14…貫通孔
15…合成画像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4種類の画像を基に作成されたグリッド状の合成画像が第1の面に表されており、第2の面に文字もしくは図柄情報が表されている複数枚の合成画像シートが、重なり合う合成画像シートの第1の面と第2の面とが対向するように第1の辺側において綴じられており、
前記複数枚の合成画像シートの内、1枚の合成画像シートにおいて、前記複数枚の合成画像シートが綴じられている前記第1の辺とは異なる第2の辺において、透過部と遮蔽部とが規則的に配置されており、前記合成画像上でスライドさせることにより観察される画像を変化させるマスクシートが、合成画像シートの第1の面に重ねられ、かつ第1の面上において移動され得るように配置された合成画像観察状態と、前記合成画像シートの側方に配置された合成画像シートをページ送りすることができるページ送り可能状態とをとり得るように連結されており、
前記マスクシートのスライド可能範囲が、4種類の画像の各画像を観察し得る範囲とされていることを特徴とする、スライド式画像変化表示冊子。
【請求項2】
前記複数枚の合成画像シートが前記第1の辺側において、リング状結束具で綴じられており、かつ前記マスクシートが、前記少なくとも1枚の合成画像シートの第2の辺側においてリング状結束具により綴じられている、請求項1に記載のスライド式画像変化表示冊子。
【請求項3】
前記第2の辺が、前記第1の辺とは対向する辺である、請求項1または2に記載のスライド式画像変化表示冊子。
【請求項4】
前記第2の辺側に配置されたリング状結束具が、前記マスクシートに設けられた複数の貫通孔に挿通されており、該貫通孔の寸法が、前記マスクシートをスライドさせ得る範囲に対応した大きさとされている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスライド式画像変化表示冊子。
【請求項5】
前記第2の面に表されている情報がカレンダー情報である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のスライド式画像変化表示冊子。
【請求項1】
4種類の画像を基に作成されたグリッド状の合成画像が第1の面に表されており、第2の面に文字もしくは図柄情報が表されている複数枚の合成画像シートが、重なり合う合成画像シートの第1の面と第2の面とが対向するように第1の辺側において綴じられており、
前記複数枚の合成画像シートの内、1枚の合成画像シートにおいて、前記複数枚の合成画像シートが綴じられている前記第1の辺とは異なる第2の辺において、透過部と遮蔽部とが規則的に配置されており、前記合成画像上でスライドさせることにより観察される画像を変化させるマスクシートが、合成画像シートの第1の面に重ねられ、かつ第1の面上において移動され得るように配置された合成画像観察状態と、前記合成画像シートの側方に配置された合成画像シートをページ送りすることができるページ送り可能状態とをとり得るように連結されており、
前記マスクシートのスライド可能範囲が、4種類の画像の各画像を観察し得る範囲とされていることを特徴とする、スライド式画像変化表示冊子。
【請求項2】
前記複数枚の合成画像シートが前記第1の辺側において、リング状結束具で綴じられており、かつ前記マスクシートが、前記少なくとも1枚の合成画像シートの第2の辺側においてリング状結束具により綴じられている、請求項1に記載のスライド式画像変化表示冊子。
【請求項3】
前記第2の辺が、前記第1の辺とは対向する辺である、請求項1または2に記載のスライド式画像変化表示冊子。
【請求項4】
前記第2の辺側に配置されたリング状結束具が、前記マスクシートに設けられた複数の貫通孔に挿通されており、該貫通孔の寸法が、前記マスクシートをスライドさせ得る範囲に対応した大きさとされている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスライド式画像変化表示冊子。
【請求項5】
前記第2の面に表されている情報がカレンダー情報である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のスライド式画像変化表示冊子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−178336(P2006−178336A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−373834(P2004−373834)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(592077811)株式会社ダイキ (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(592077811)株式会社ダイキ (6)
【Fターム(参考)】
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