説明

スリッカーブラシ

【課題】 一対の支持体の剛性を強くなし得ると共に、一対の支持体の近傍のブラシ毛を省略しなくて済み、スリッカーブラシの外観上の体裁がよくなり、そのブラシ機能を損なうこともないスリッカーブラシを提供する。
【解決手段】 掃除プレート5はブラシ毛の突出方向に沿ってブラシ基板3に対し接離移動自在とされ、掃除プレート5の背面に一対の支持体16がブラシ毛と平行に突設され、ブラシ基板3に一対の支持体16を挿通する一対の挿通孔が設けられ、ブラシ基板3の背面側に、一対の支持体16の後端部を連結する操作体25が設けられると共に、操作体25をブラシ基板3に対して後方に付勢するバネ26が設けられたスリッカーブラシであって、前記複数の貫通孔13は各ブラシ毛に対応して個々別々に設けられ、前記一対の支持体16は、ブラシ毛を避けるように屈曲された屈曲部18を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシ毛に絡み付いた付着物を簡単に除去できるようにしたスリッカーブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スリッカーブラシには、ブラシ基板に複数のブラシ毛が互いに平行に突設され、掃除プレートに複数のブラシ毛を挿通する複数の貫通孔が設けられて、掃除プレートはブラシ毛の突出方向に沿ってブラシ基板に対し接離移動自在とされ、掃除プレートの背面に一対の支持体がブラシ毛と平行に突設され、ブラシ基板に一対の支持体を挿通する一対の挿通孔が設けられ、ブラシ基板の背面側に、一対の支持体の後端部を連結する操作体が設けられると共に、操作体をブラシ基板に対して後方に付勢するバネが設けられたものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
この種の従来のスリッカーブラシは、一対の支持体が単に板状に形成されていた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0207623号明細書
【特許文献2】実用新案登録第3014899号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のスリッカーブラシは、一対の支持体が単に板状に形成されていたため、一対の支持体の剛性が弱くなり、このため掃除プレートのブラシ基板に対するスムーズな接離移動が困難になるおそれがあった。また、一対の支持体の剛性を強くするためにその厚みを厚く形成すれば、ブラシ毛と干渉するようになるため、一対の支持体の近傍のブラシ毛を省略する必要が生じて、スリッカーブラシの外観上の体裁が悪くなるし、そのブラシ機能を損なうことにもなった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、一対の支持体の剛性を強くなし得ると共に、一対の支持体の近傍のブラシ毛を省略しなくて済み、スリッカーブラシの外観上の体裁がよくなり、そのブラシ機能を損なうこともないスリッカーブラシを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、ブラシ基板3に複数のブラシ毛2が互いに平行に突設され、掃除プレート5に複数のブラシ毛2を挿通する複数の貫通孔13が設けられて、掃除プレート5はブラシ毛2の突出方向に沿ってブラシ基板3に対し接離移動自在とされ、掃除プレート5の背面に一対の支持体16がブラシ毛2と平行に突設され、ブラシ基板3に一対の支持体16を挿通する一対の挿通孔23が設けられ、ブラシ基板3の背面側に、一対の支持体16の後端部を連結する操作体25が設けられると共に、操作体25をブラシ基板3に対して後方に付勢するバネ26が設けられたスリッカーブラシであって、
前記複数の貫通孔13は各ブラシ毛2に対応して個々別々に設けられ、前記一対の支持体16は、ブラシ毛2を避けるように屈曲された屈曲部18を有している点にある。
【0008】
また、本発明の他の技術的手段は、前記支持体16を挟むブラシ毛2間の間隔を広げて該支持体16の厚みを確保すべく、支持体16を挟む複数のブラシ毛2が他の部分のブラシ毛2の間隔よりも大きく離間して配置されている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記複数のブラシ毛2は千鳥状に配置され、一対の支持体16は互いに対向して配置され、一対の支持体16の幅方向中途部に前記屈曲部18がブラシ毛2を避けるようにコの字状に屈曲形成されている点にある。
【0009】
また、本発明の他の技術的手段は、ブラシ基板3の一端部にグリップ9が外方突出されており、前記複数のブラシ毛2はブラシ基板3からグリップ9側に傾斜して突出され、複数のブラシ毛2の先端に球体部10が設けられている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、ブラシ基板3の背面に、前記掃除プレート5がブラシ毛2の突出方向に沿ってブラシ基板3に対し接離移動するように一対の支持体16をガイドするガイド部材39が設けられている点にある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一対の支持体は、ブラシ毛を避けるように屈曲された屈曲部を有しているので、屈曲部によって一対の支持体の剛性を効果的に高めることができる。また、屈曲部はブラシ毛を避けるように屈曲されているため、一対の支持体の近傍のブラシ毛を省略しなくて済み、スリッカーブラシの外観上の体裁がよくなると共にそのブラシ機能を損なうこともない。しかも、複数の貫通孔は各ブラシ毛に対応して個々別々に設けられているので、掃除プレートに対して複数の貫通孔は各ブラシ毛に対応して極力小さい孔で済み、複数の貫通孔の形成によって掃除プレートの剛性が必要以上に弱まるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態を示すスリッカーブラシを背面側から見た分解斜視図である。
【図2】同スリッカーブラシを正面側から見た分解斜視図である。
【図3】同スリッカーブラシを正面側から見た斜視図である。
【図4】同スリッカーブラシの拡大正面図である。
【図5】同スリッカーブラシの側面断面図である。
【図6】同ブラシ本体の正面図である。
【図7】同ブラシ本体を背面側から見た斜視図である。
【図8】同掃除プレートの正面図である。
【図9】同掃除プレートの底面図である。
【図10】同掃除プレートの拡大背面図である。
【図11】同掃除プレート及び操作体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図面は本発明の一実施形態を示している。図1〜図5において、犬等の動物用のスリッカーブラシ1は、多数(複数)のブラシ毛2が互いに平行に突設されたブラシ基板3を有するブラシ本体4と、ブラシ毛2の突出方向に沿ってブラシ基板3に対し接離移動自在とされた掃除プレート5とを備える。
【0013】
図1〜図10において、ブラシ基板3の幅方向の一端部にグリップ9が外方突出されており、多数のブラシ毛2はブラシ基板3からグリップ9側に傾斜して突出され、多数のブラシ毛2の先端に球体部10が設けられ、多数のブラシ毛2はブラシ基板3に千鳥状に配置されている。
ブラシ基板3の前面側の外周部に環状の嵌合没部11が形成され、掃除プレート5の背面側の外周部に環状の嵌合突部12が形成されており、掃除プレート5は前側からブラシ基板3に対して嵌合没部11及び嵌合突部12を介して着脱自在に嵌合されるようになっている。
【0014】
掃除プレート5に多数のブラシ毛2を挿通する多数の円形の貫通孔13が設けられ、多数の貫通孔13は各ブラシ毛2に対応して個々別々に設けられ、各貫通孔13は掃除プレート5の背面側から前面側に向かうに従って徐々に小径となる截頭円錐状に形成されている。
掃除プレート5の背面に一対の支持体16がブラシ毛2と平行に後方突設されている。一対の支持体16は左右方向に互いに対向して配置され、一対の支持体16の幅方向中途部に屈曲部18がブラシ毛2を避けるようにコの字状に屈曲形成され、これにより一対の支持体16の屈曲部18の内側に円弧状の凹溝19が対向して形成されている。これら屈曲部18及び凹溝19は一対の支持体16の突出方向全長に亘って形成され、掃除プレート5をブラシ基板3に対して離間移動したときに各凹溝19内に1本のブラシ毛2aがそれぞれ挿通配置されるようになっている。
【0015】
ブラシ基板3に一対の支持体16を挿通する一対の挿通孔23が設けられている。一対の挿通孔23は一対の支持体16の断面形状に対応する形状に形成されており、中途部がコの字状に屈曲されている。
図4及び図10に示すように、一対の支持体16を挟む複数のブラシ毛2a(複数の貫通孔13a)が他の部分のブラシ毛2(貫通孔13)の間隔よりも大きく離間して配置され、支持体16を挟むブラシ毛2a間の間隔を広げて該支持体16の厚みを十分に確保できるようになっている。
【0016】
ブラシ基板3の背面側に、一対の支持体16の後端部を連結する操作体25が設けられると共に、操作体25をブラシ基板3に対して後方に付勢するコイルバネ26が設けられている。コイルバネ26はその前部がブラシ基板3の背面に後方突設した突出片27に外嵌され、その後端が操作体25に接当されており、操作体25を介してブラシ基板3に対して一対の支持体16乃至掃除プレート5をブラシ毛2に沿って後方に付勢している。
【0017】
図11に示すように、一対の支持体16の後端部の内側に、係止溝29が凹溝19の両側に位置して設けられると共に、係止溝29から支持体16後端に向けて拡開傾斜した案内傾斜面30が設けられている。操作体25の前面側には一対の支持体16間に嵌合する嵌合枠32が設けられ、嵌合枠32の左右両側に一対の支持体16の凹溝19に嵌合する嵌合凸部34が設けられると共に、各嵌合凸部34の両側に係止溝29に係脱自在に係合する係合突起35が設けられている。
【0018】
従って、操作体25の嵌合枠32を一対の支持体16の後端部間に後側から嵌合することにより、一対の嵌合凸部34が一対の支持体16の凹溝19に嵌合すると共に、4つの係合突起35が案内傾斜面30に案内されて4つの係止溝29にそれぞれ係合し、これにより操作体25が一対の支持体16の後端部を連結固定するようになっている。
嵌合枠32内には一対の仕切り壁36が設けられ、この一対の仕切り壁36でコイルバネ26を収納するバネ収納部を嵌合枠32内に区画形成するようになっている。
【0019】
図1、図5及び図7に示すように、ブラシ基板3の背面にガイド部材39が設けられている。このガイド部材39は左右一対のガイド壁40とガイド壁40を連結する連結壁41とを有し、一対のガイド壁40間に一対の支持体16がブラシ毛2の突出方向に前後移動自在に保持されており、掃除プレート5がブラシ毛2の突出方向に沿ってブラシ基板3に対し接離移動するようにガイド部材39は一対の支持体16をガイドする。
【0020】
上記実施形態によれば、スリッカーブラシ1で犬等の動物をブラッシングする場合、グリップ9を把持して犬等の毛並みに沿って手前に引きながらブラッシングすればよく、多数のブラシ毛2はブラシ基板3からグリップ9側に傾斜して突出されているので、犬等の毛を効率よくブラッシングして、抜け毛をしっかり除去することができる。また、このとき、複数のブラシ毛2の先端に球体部10が設けられているので、犬等の皮膚への当たりが優しくなる。
【0021】
そして、多数のブラシ毛2に犬の抜け毛が溜まってくると、操作体25をコイルバネ26に抗して前方に押圧すればよく、一対の支持体16はガイド部材39によってブラシ毛2の突出方向に案内され、掃除プレート5は一対の支持体16を介して前方に押圧されて、図5に2点鎖線で示す如くブラシ毛2の突出方向に沿ってブラシ基板3に対して前側に離間移動し、ブラシ毛2に絡み付いた犬の抜け毛の毛玉等の付着物を多数のブラシ毛2の先端側に押し出すことができ、毛玉等の付着物をスリッカーブラシ1から簡単に除去することができる。
【0022】
このとき、一対の支持体16は、ブラシ毛2を避けるようにコの字状に屈曲された屈曲部18を有しているので、この屈曲部18によって一対の支持体16の剛性を効果的に高めることができ、一対の支持体16乃至掃除プレート5のガタ付きを防いで掃除プレート5のブラシ基板3に対するスムーズな接離移動が可能になる。また、屈曲部18はブラシ毛2を避けるように屈曲されているため、一対の支持体16の近傍のブラシ毛2を省略しなくて済み、スリッカーブラシ1の外観上の体裁がよくなると共にそのブラシ機能を損なうこともない。しかも、多数の貫通孔13は、従来のように複数のブラシ毛を挿通するスリット状に形成されているのとは異なり、各ブラシ毛2に対応して個々別々に設けられているので、掃除プレート5に対して各ブラシ毛2に対応して極力小さい孔で済み、多数の貫通孔13の形成によって掃除プレート5の剛性が必要以上に弱まるのを防止することができる。
【0023】
一対の支持体16を挟む複数のブラシ毛2aが他の部分のブラシ毛2の間隔よりも大きく離間して配置され、支持体16を挟むブラシ毛2a間の間隔を広げて該支持体16の厚みを確保することができ、支持体16の厚みを極力厚くして一対の支持体16の剛性を高めることができる。
また、多数のブラシ毛2はブラシ基板3に千鳥状に配置されているので、隣合うブラシ毛2の間隔を広くし、この点からも一対の支持体16の厚みを厚くして、一対の支持体16の剛性を高めることができる。
【0024】
なお、前記実施の形態では、一対の支持体16の幅方向中途部に屈曲部18がブラシ毛2を避けるようにコの字状に屈曲形成されているが、これに代え、支持体16の屈曲部18は支持体16の幅方向の両端部等にブラシ毛2を避けるようにL字状その他に屈曲したものであってもよい。
また、前記実施の形態では、多数のブラシ毛2はブラシ基板3に縦横に格子状その他に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 スリッカーブラシ
2 ブラシ毛
3 ブラシ基板
5 掃除プレート
9 グリップ
10 球体部
13 貫通孔
16 支持体
18 屈曲部
23 挿通孔
25 操作体
26 コイルバネ
39 ガイド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシ基板(3)に複数のブラシ毛(2)が互いに平行に突設され、掃除プレート(5)に複数のブラシ毛(2)を挿通する複数の貫通孔(13)が設けられて、掃除プレート(5)はブラシ毛(2)の突出方向に沿ってブラシ基板(3)に対し接離移動自在とされ、掃除プレート(5)の背面に一対の支持体(16)がブラシ毛(2)と平行に突設され、ブラシ基板(3)に一対の支持体(16)を挿通する一対の挿通孔(23)が設けられ、ブラシ基板(3)の背面側に、一対の支持体(16)の後端部を連結する操作体(25)が設けられると共に、操作体(25)をブラシ基板(3)に対して後方に付勢するバネ(26)が設けられたスリッカーブラシであって、
前記複数の貫通孔(13)は各ブラシ毛(2)に対応して個々別々に設けられ、前記一対の支持体(16)は、ブラシ毛(2)を避けるように屈曲された屈曲部(18)を有していることを特徴とするスリッカーブラシ。
【請求項2】
前記支持体(16)を挟むブラシ毛(2)間の間隔を広げて該支持体(16)の厚みを確保すべく、支持体(16)を挟む複数のブラシ毛(2)が他の部分のブラシ毛(2)の間隔よりも大きく離間して配置されていることを特徴とする請求項1に記載のスリッカーブラシ。
【請求項3】
前記複数のブラシ毛(2)は千鳥状に配置され、一対の支持体(16)は互いに対向して配置され、一対の支持体(16)の幅方向中途部に前記屈曲部(18)がブラシ毛(2)を避けるようにコの字状に屈曲形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスリッカーブラシ。
【請求項4】
ブラシ基板(3)の一端部にグリップ(9)が外方突出されており、前記複数のブラシ毛(2)はブラシ基板(3)からグリップ(9)側に傾斜して突出され、複数のブラシ毛(2)の先端に球体部(10)が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスリッカーブラシ。
【請求項5】
ブラシ基板(3)の背面に、前記掃除プレート(5)がブラシ毛(2)の突出方向に沿ってブラシ基板(3)に対し接離移動するように一対の支持体(16)をガイドするガイド部材(39)が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のスリッカーブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−245115(P2012−245115A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118266(P2011−118266)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000111638)ドギーマンハヤシ株式会社 (25)
【Fターム(参考)】