説明

スリーピングバッグ

本発明は、冷温時でも暖かく、暖温時でも動きやすく、急激な温度変化にも迅速に対応でき、使い勝手がよく、かつ、経済的なスリーピングバッグを提供する。
本発明のスリーピングバッグ(10)は、その外側に配置されるポケット(24)を利用して、レクタンギュラー形状とマミー形状との間での変換が可能となっている。スリーピングバッグ(10)本体を該ポケット(24)もしくはスリーブ構造内に引き込むことにより、上記の形状の変換が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリーピングバッグに関するが、より具体的には、2つの異なる形状または型式の間で変換可能なスリーピングバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
スリーピングバッグは、寝心地が悪くなる場合があり、そのような場合には、ユーザーが必要とする眠りが妨げられてしまう。スリーピングバッグの快適さは、暖かさに大きく左右される。すなわち、状況に応じて、使用者にとって適正な量の断熱材が備えられているかということである。また、スリーピングバッグの快適さは、ユーザーが自由に動くことができるかということにも左右される。ただし、これらの2つの側面は、相反する場合がある。たとえば、同様の形状のスリーピングバッグにおいて、内側の空間を余裕のあるものとすれば、使用者はより自由に動くことができるようになる。しかしながら、スリーピングバッグの内側に余裕ができるということは、より空間が広くなって、ユーザーの体を温める必要がある一方で、外側でより多くのスリーピングバッグの表面が寒さに晒されることとなる。よって、ほとんどのスリーピングバッグにおける快適な温度範囲は狭いものにとどまっている。したがって、スリーピングバッグの製造業界においては、広い温度範囲に適合させうるスリーピングバッグの適合性を効果的に調節しうる手段が強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6175976号
【特許文献2】米国特許第5473779号
【特許文献3】米国特許第6073282号
【特許文献4】米国特許第3979784号
【特許文献5】特開平8−24104号
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明は、より涼しいときでもより暖かく、より暖かいときでもより動きやすく、かつ、使い勝手がよく、経済的なスリーピングバッグを提供することを目的とする。
【0005】
以下、本発明の基本的な理解を図るため、本発明のいくつかの実施形態についてその簡単な概要を示すが、この概要は、本発明の外延を示すものではない。すなわち、この概要は、本発明の必須の要素を特定したり、本発明の範囲を画定したりすることを意図するものではない。その唯一の目的は、本発明のいくつかの実施形態について、後述するより詳細な説明への導入として、簡潔に示すことにある。
【0006】
本発明は、従来からある、レクタンギュラー(矩形)型、ハイブリッド型、もしくは封筒型の形状と、トラペゾイダル(台形)型、もしくはマミー型の形状との間で、形状を変換できるスリーピングバッグに関する。このように変換可能とすることで、ユーザーは、より暖かい気候時に使用されるレクタンギュラー型から、より寒い気候時に好適なトラペゾイダル型へと、スリーピングバッグを変換させることができる。トラペゾイダル(マミー)型の構造では、スリーピングバッグの内部容積が減少するので、熱損失を抑えることができる。
【0007】
本発明は、従来からあるレクタンギュラー型と狭められたトラペゾイダル型(マミー状)との間で形状を変換でき、内部容積を調節できるスリーピングバッグを提供する。この調節機構により、ユーザーは、スリーピングバッグの内側のスペースを減少させて、先細の(テーパの付いた)マミー状の形状として、寒い気候時でも最大限の快適さを得ることができる。一方、ユーザーは、スリーピングバッグの内側のスペースを拡大させて、テーパのないレクタンギュラー形状として、暖かい気候時における最大限の快適さと動きの自由を得ることができる。この調節は、外側ポケットを通じて、迅速かつ容易に達成されるので、スリーピングバッグのユーザーは温度の急激な変化にも対応できる。
【0008】
本発明のその他の特徴については、以下の詳細な説明と図面とにより明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態のスリーピングバッグについて、その第1のレクタンギュラー形状にある状態を示す、平面斜視図である。
【図2】図1に示すスリーピングバッグについて、変換後における、その第2のトラペゾイダル形状にある状態を示す、平面斜視図である。
【図3】図1に示すスリーピングバッグについて、その第1のレクタンギュラー形状の暖温時の構成を示す分解平面斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態のスリーピングバッグについて、第1および第2の構成を通じて、変換プロセスを示す概略図である。
【図5】本発明の一実施形態のスリーピングバッグについて、第1のレクタンギュラー形状から第2のトラペゾイダル形状への変換を示す連続斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態のスリーピングバッグであって、追加的に補助ストラップを備えるものについての変換を示す連続斜視図であって、(a)幅広のレクタンギュラー形状の暖温時における状態、(b)暖温時の構成から、縮められてテーパ状の冷温時の構成への変換の開始時における状態、(c)変換の次の段階の状態、(d)変換の中間段階の状態、(e)変換完了直前の状態、(f)縮められてテーパ状の冷温時における状態のスリーピングバッグをそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明において、本発明のいくつかの実施形態について記述される。その実施形態について十分な理解を図るため、特定の構成および細部について説明される。ただし、このような細部を適用しなくても、当業者が本発明を実施できることは明らかである。また、その実施形態についての説明が不明瞭とならないように、周知の機構については、省略または簡略化される。
【0011】
複数の図面において、同じ要素には同じ参照符号が付される。図1は、本発明の一実施形態のスリーピングバッグ10を示す。この図(図4a、図5a、図6aでも同様)では、スリーピングバッグは、レクタンギュラー形状である。スリーピングバッグ10は、上端12、下端14、上面16、底面18、および、2つの側部20、22を有し、レクタンギュラー形状である、縦長のシェルを備える。スリーピングバッグ10において、通常、上端12は開かれており、少なくとも一方の側部20および好ましくは下端14まで伸長する開口を備える。この開口は、ジッパ、トグル、ループおよびフックファスナなどの従来からある閉止手段(図示せず)により、任意的かつ調節可能に閉鎖できるようになっている。図2、図4b、図5c、図6fにトラペゾイダル形状を示すが、この場合のスリーピングバッグ10も、上述したレクタンギュラー形状にある場合と、同じ基本要素から構成される。ただし、形状において、上端12が、下端14よりもより幅広の寸法となるようになっている点で相違している。これにより、トラペゾイダル形状またはマミー形状を形成している。
【0012】
このレクタンギュラー形状において、スリーピングバッグ10の上面16には、わずかにトラペゾイダル形状となっている外側ポケット24が備えられている。このポケット24の形状は、他の形状でもよく、また、その配置も下端18側でもよい。図3に示すように、ポケット24は、開いている上端26と、下端28および2つの側部30、32を備える。このうち、下端28と側部30、32は、スリーピングバッグの上面16または下端14のいずれかに結び付けられている。ポケット24は、上端26と下端28の両方で開かれているようにしてもよい。また、ポケットの形状をスリーブ状としてもよい。好ましくは、ポケット24は、スリーピングバッグの下端14の近くに配置される。ただし、下端14から少しだけ間隔をおいて配置してもよく、必ずしも下端14の最外縁に位置させる必要はない。
【0013】
ポケット24の上端26から下端28まで測定した深さは、最低で約7.62cm(3inch)であるが、スリーピングバッグ10の長さ全体に伸長させてもよい。ポケット24のスリーピングバッグ10への取り付けは、どのような手段を使ってもよいが、縫い付けによるのが好ましい。その他の取り付け手段としては、フックおよびループファスナ、スナップ、ボタン、トグル、溶着、接着剤などがある。スリーピングバッグ10の上面16または底面18の代わりに、スリーピングバッグ10のライナ(図示せず)に取り付けるようにしてもよい。
【0014】
スリーピングバッグおよびポケットのいずれも、従来のスリーピングバッグ用の材料を用いて製造することができる。ポケットの材料としては、織物素材、ニット、不織布、その他のスリーピングバッグをマミー型に変換するのに好適な材料を用いることができる。
【0015】
図5および図6に、レクタンギュラー形状からトラペゾイダル形状への転換プロセスを示す。操作に際しては、外側ポケット24を利用することにより、暖温時に使用されるレクタンギュラー型、ハイブリッド型または封筒型から、冷温時に使用されるマミー型へと、スリーピングバッグ10を変換させることができる。ユーザーが、ポケット24を裏返しにすると、ポケット24がスリーピングバッグ10の側部20、22を捕捉して、図2、図5cおよび図6fに示すような、脚側の容積が減少した状態のマミー型の形状にスリーピングバッグ10が転換される。元の状態に戻すには、ユーザーは、逆の手順を踏んで、スリーピングバッグをポケットまたはスリープから引き出すようにすればよい。
【0016】
ポケット24を、スリーピングバッグを保管するための詰物袋、保存袋、ないしは圧縮袋として機能させてもよい。図3および図6に示すように、ポケット24に、ウェビング、伸縮素材、ドローコード、ジッパ、フックおよびループファスナ、スナップ、その他の手段を設けて、スリーピングバッグの変換を補助させたり、確実ならしめたり、もしくは、保存ポケットや詰物袋としての機能を持たせたりしてもよい。ウェビングもしくは布地製のストラップ34、その他の手段を、ポケット24の底部に設けて、ポケットを裏返す際に補助させるようにしてもよい。
【0017】
図6に示すように、スリーピングバッグ10がレクタンギュラー型となっている際には、ストラップ34は、スリーピングバッグ10のシェルとポケット24の間に位置し、スリーピングバッグの下端14およびポケットの下端28側からスリーピングバッグの上端12およびポケットの上端26側に向けて伸張している。好ましくは、ストラップ34の第1端部をスリーピングバッグの下端14とポケットの下端28のいずれか、または両方に結び付ける。一方、第2端部については、スリーピングバッグ10とポケット24のいずれにも結び付けられていない自由端とする。ユーザーが、レクタンギュラー形状からトラペゾイダル形状へとスリーピングバッグ10を変換させようとする際に、ストラップ34の自由端を把持し、引っ張ることで、スリーピングバッグ10を裏返すことをアシストさせることができる。これにより、スリーピング10の一部を引っ張って、ポケット24に通じさせるか、その中に入れることで、スリーピングバッグ10の下端10の幅を縮小させて、その形状全体の変換が完了する。ただし、スリーピングバッグ10の第1のレクタンギュラー形状から第2のトラペゾイダル形状への変換は、図5に示すように、ストラップ34がなくとも、同様の動作により可能である。
【0018】
その他のさまざまな変更を加えたものも本発明の範囲内にある。すなわち、本発明の特定の実施形態について、図面に示し、上述の通り詳述したが、本発明についてのさまざまな改良や変更は可能である。本発明は開示された特定の形態に限定されるものではなく、すべての改良、代替構成、および均等物も、本発明の技術的思想および範囲に包含されるものであり、その範囲は特許請求の範囲によって画定されるものである。
【符号の説明】
【0019】
10 スリーピングバッグ(シェル)
12 上端
14 下端
16 上面
18 底面
20、22 側部
24 ポケット
26 上端
28 下端
30、32 側部
34 ストラップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レクタンギュラー型とトラペゾイダル型の間で変換可能なスリーピングバッグであって、
上端、下端、第1および第2の平面、第1および第2の側部を有し、その中に容積を有するシェルと、
該シェルに取り付けられ、上端、下端、第1および第2の側部を有する、ポケットと、
を備え、
前記ポケットを、前記シェルの少なくとも一部の周りで裏返すことにより、該シェルが第1のレクタンギュラー形状と第2のトラペゾイダル形状との間で変換可能としている、
スリーピングバッグ。
【請求項2】
前記ポケットのうち少なくとも前記第1の側部が、前記シェルの第1の平面に取り付けられている、請求項1に記載のスリーピングバッグ。
【請求項3】
前記ポケットの前記下端が、前記シェルの第1の平面に取り付けられている、請求項2に記載のスリーピングバッグ。
【請求項4】
前記ポケットの前記第2の側部が、前記シェルの第1の平面に取り付けられている、請求項2または3に記載のスリーピングバッグ。
【請求項5】
前記ポケットがトラペゾイダル形状を有する、請求項1に記載のスリーピングバッグ。
【請求項6】
前記ポケットの下端から上端までの長さが少なくとも7.62cmである、請求項1に記載のスリーピングバッグ。
【請求項7】
前記ポケットが縫い付けにより前記シェルに取り付けられている、請求項1に記載のスリーピングバッグ。
【請求項8】
前記ポケットとシェルが、異なる織物素材からなる、請求項1に記載のスリーピングバッグ。
【請求項9】
前記ポケットとシェルが、同じ織物素材からなる、請求項1に記載のスリーピングバッグ。
【請求項10】
前記ポケットが保存袋として機能する、請求項1に記載のスリーピングバッグ。
【請求項11】
前記保存袋を閉止するための手段をさらに備える、請求項10に記載のスリーピングバッグ。
【請求項12】
第1および第2の端部を有するストラップをさらに備え、該ストラップは、前記シェルの下端側から前記シェルの上端側に向けて延びており、該ストラップにより、前記レクタンギュラー型からトラペゾイダル型への変換がアシストされる、請求項1に記載のスリーピングバッグ。
【請求項13】
前記ストラップの第1端部が、前記シェルの下端に取り付けられている、請求項12に記載のスリーピングバッグ。
【請求項14】
前記ストラップの第1端部が、前記ポケットの下端に取り付けられている、請求項12に記載のスリーピングバッグ。
【請求項15】
前記ストラップが、ウェビング材料からなる、請求項12に記載のスリーピングバッグ。
【請求項16】
前記シェルの内側に配置されるライナをさらに備え、前記ポケットが該ライナに取り付けられている、請求項1に記載のスリーピングバッグ。
【請求項17】
第1の型と第2の型との間で変換可能なスリーピングバッグであって、
上端、下端、第1および第2の平面、第1および第2の側部を有し、その中に容積を有するシェルと、
該シェルに取り付けられ、上端、下端、第1および第2の平面を有する、ポケットと、
を備え、
前記ポケットを、前記シェルの少なくとも一部の周りで裏返すことにより、該シェルが第1の型と第2の型との間で変換可能であり、第1の型と第2の型との間で、該シェルの容積が異なるようになっている、
スリーピングバッグ。
【請求項18】
前記ポケットが、前記第2の型を形成するための特定形状を有する、請求項17に記載のスリーピングバッグ。
【請求項19】
前記ポケットが、トラペゾイダル形状を有する、請求項18に記載のスリーピングバッグ。
【請求項20】
前記第2の型における容積が、前記第1の型における容積より少なくなる、請求項17に記載のスリーピングバッグ。
【請求項21】
前記第1の型にある状態で、前記ポケットの第1の平面が前記シェルの第1の平面に当接し、前記第2の型にある状態で、前記ポケットの第2の平面が前記シェルの第2の平面に当接するようになっている、請求項17に記載のスリーピングバッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図6e】
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【図6f】
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【公表番号】特表2011−509761(P2011−509761A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543288(P2010−543288)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/031318
【国際公開番号】WO2009/092028
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(593107454)ザ・コールマン・カンパニー・インコーポレイテッド (44)
【氏名又は名称原語表記】THE COLEMAN COMPANY, INC.