説明

スーツ袋

【課題】スーツの収納が容易であり、製造及び輸送費用を低減可能なスーツ袋を提供すること。
【解決手段】ハンガーに掛けたスーツ上下が収まる大きさの縦長の袋外地10と、袋外地10の縦方向の一端側の部分の上に重ねられ縫着されているカバー布2a、2bであって、袋外地10の一端において袋外地10と第一のカバー布2aとで、また袋外地10の他端において袋外地10と第二のカバー布2bとで夫々形成されたハンガーフック挿し穴5a、5bとを備え、そして第一のカバー布2a、第二のカバー布2b、又はこれら両方のカバー布はハンガーフック通し穴5a、5bとの間隔が袋外地10の中央においてより近くなる凸曲形の差込口縁4a、4bを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスーツを収納し、そして携行することができるスーツ袋に関する。
【背景技術】
【0002】
スーツをハンガーにかけたまま携行することができるスーツ収納袋は従来より利用されている。この種のスーツ袋は、例えば図5に示すように、略長楕円形の二枚重ねの樹脂製表生地21a及び裏生地21bからなり、それらの周縁は縫い糸3で縫合され、また表生地21aはスーツを出し入れ可能とするべく、長さ方向に二つに分かれ、その合わせ部に取り付けたファスナー24又はスナップ等により開閉可能となっている。また、袋上下の両端側にハンガーフックを通す通し穴23a及び23bが設けられ、さらに袋の下部には覆いカバー22が取り付けられている。而して、スーツをハンガーにかけ、それを袋内に収納し、ハンガーフックを袋上側の通し穴23aに通し、スーツが収納された袋を横二つ折りにし、続いて、袋上部をカバー布22で被せるとともに、ハンガーフックを袋下側の通し穴23bに通すことにより、スーツをハンガーにかけたまま持ち運ぶことが可能となる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2001−63785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のスーツ袋を用いてスーツを包装するには、上記した通り多くの手順を要し、作業が面倒であり、またカバー布の差込口縁とハンガーフック通し穴との間に距離があるためにハンガーフックを通しづらく、包装作業に時間がかかるという問題があった。
【0005】
また、従来のスーツ袋は、スーツ全体を包装するため、生地の量が多く、生地の費用が高く、またファスナー、スナップ又はテープ等開閉機構の費用もかかり、更にスーツ袋への開閉機構の取り付け等、加工費用も高いものであった。場合により包装されたスーツの種類を容易に確認できるようにするための窓25(図5)を取り付ける必要もあった。また、従来のスーツ袋は、開閉機構があることで袋自体の嵩高で、輸送費用も高い。
本発明はこのような従来の事情を鑑みてなされたものであって、スーツの包装が容易であり、かつ製造及び輸送費用を低減することが可能なスーツ袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、この課題を解決するべくなされたものであって、ハンガーにかけたスーツ上下を二つ折りの状態にて持ち運ぶためのスーツ袋において、ハンガーに掛けたスーツ上下が収まる大きさの縦長の袋外地と、該袋外地の縦方向の一端側の部分の上に重ねられたカバー布であって、袋外地の周縁とこれに対応するカバー布の部分とが縫着されてなる第一のカバー布と、該袋外地の前記一端側と反対の他端側の部分の上に重ねられたカバー布であって、袋外地の周縁とこれに対応するカバー布の部分とが縫着されてなる第二のカバー布と、前記袋外地の一端において袋外地と前記第一のカバー布とで、また、前記袋外地の他端において袋外地と第二のカバー布とで、夫々形成されたハンガーフック通し穴とを備え、そして前記第一のカバー布、前記第二のカバー布、又はこれら両方のカバー布は該ハンガーフック通し穴との間隔が袋外地の中央においてより近くなる凸曲形の差込口縁を有
することを特徴とする、スーツ袋に関する。
すなわち、本発明のスーツ袋は、袋内側の表生地として、スーツ全体をほぼ覆いかつ中身を確認するための、透明シート若しくは窓付きシートが設けられていない点を一つの特徴とするものである。
また、本発明の好ましい態様は、上記のスーツ袋において、前記第一のカバー布、前記第二のカバー布、又はこれら両方のカバー布は、前記差込口縁の左右両端側に、目隠し布を付設してなる、スーツ袋に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のスーツ袋では、スーツの包装が容易であり、また、製造及び輸送費用も低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例1のスーツ袋を示す正面図である。
【図2】図2Aないし図2Eは、ハンガーに掛けたスーツ上下を実施例1のスーツ袋に包装する一連の過程を示す図である。
【図3】本発明の実施例2のスーツ袋を示す正面図である。
【図4】スーツを実施例2のスーツ袋に包装した状態を示す図である。
【図5】従来のスーツ袋を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明をさらに説明する。本発明のスーツ袋1は、ハンガーにかけたスーツ上下を二つ折りの状態にて持ち運ぶためのスーツ袋であって、ハンガーに掛けたスーツ上下が収まる大きさの縦長の袋外地10と、該袋外地の縦方向の一端側の部分の上に重ねられたカバー布であって、袋外地の周縁とこれに対応するカバー布の部分とが縫着されてなる第一のカバー布2aと、該袋外地の前記一端側と反対の他端側の部分の上に重ねられたカバー布であって、袋外地の周縁とこれに対応するカバー布の部分とが縫着されてなる第二のカバー布2bから成る。図1中、3は縫着された縫い目を示す。
【0010】
袋外地10、第一のカバー布2a及び第二のカバー布2bの材質に特に制限はなく、ポリエチレン又はポリプロピレンなどの合成樹脂シート又はそれらの不織布などであってよい。
【0011】
またスーツ袋1は、袋外地10の一端において袋外地10と第一のカバー布2aとで、また袋外地10の他端において袋外地10と第二のカバー布2bとで夫々形成されたハンガーフック通し穴5a及び5bとを備えている。
【0012】
本発明にあっては、第一のカバー布2a、第二のカバー布2b、又はこれら両方のカバー布は、ハンガーフック通し穴5a及び5bとの間隔が袋外地の中央においてより近くなる凸曲形の差込口縁を有する。従来のカバー布は、一般に、袋外地の長さ方向と直行する方向に延びる直線形の差込口縁を有するものであった。これに対し、本発明のスーツ袋は凸曲形の差込口縁(図1中4b)を有するカバー布を少なくとも1つ備える。ここでの凸曲形とは袋外地の中心より見て凸形の曲線を有する形状を言う。
凸曲形の差込口縁は1つの曲線で形成されたものに限らず、複数の曲線が連なってできた山型状、又は波型状などの差込口縁であっても良い。
凸曲形の差込口縁4bは袋外地と縫着されるカバー布2a周縁と同様の湾曲形状にすると、カバー布2aとカバー布2bは一枚の布より無駄無く裁断することができ、従って生地の使用量を節減できる。
【0013】
次に、本発明のスーツ袋の使用法を図2Aないし図2Eを参照して説明する。まず、ス
ーツ上下7をハンガー8に吊るす。次に、矢印31に示す方向に従い、ハンガーフック9及びスーツ上部を差込口縁4aからカバー布2aと袋外地との間に差し入れ、ハンガーフック9をハンガーフック通し穴5aに通す。
次に、スーツ上下7の下部を差込口縁4bから、カバー布2bと袋外地との間に差し入れ、矢印32で示す向きでスーツを横二つ折りにする。
そして、矢印33に示す方向に従い、ハンガーフック9及びカバー布2aに覆われたスーツ上部を差込口縁4bからカバー布2bと袋外地との間に差し入れる。
最後にハンガーフック9をハンガーフック通し穴5bに通すことで二つ折りの、持ち運び可能な形態となる。
【0014】
差込口縁がハンガーフック通し穴との間隔が袋外地の中央においてより近くなる凸曲形のものであることで、ハンガーフックをハンガーフック通し穴に通しやすくなる効果が得られる。
【0015】
本発明のスーツ袋は、袋内側に、スーツ全体をほぼ覆いかつ中身を確認するための、透明シート若しくは窓付きシートが設けられていない。このため透明シート若しくは窓付きシート内にスーツを入れる作業が不要となり、スーツの包装の手順を少なくすることができる。
また、従来のスーツ袋とは異なり、ファスナー等を取り付ける必要が無く、従って、生地等の材料及び部品点数が少なく、嵩も小さいため、製造及び輸送費用を低減することができる。
【0016】
さらに、本発明のスーツ袋は、第一のカバー布、第二のカバー布、又はこれら両方のカバー布がなす差込口縁の左右両端側には、目隠し布を付設していても良い。この目隠し布は、スーツ袋を二つ折りにしたときに、スーツ袋の側面を覆うため、外部から袋の中身を見えづらくし、また外部からの汚染を防ぐ効果がある。
【0017】
本発明のスーツ袋は、スーツの包装のみに限定されず、ジャケット、シャツ、制服、又はコートなどの衣類の包装に適用できる。
【実施例】
【0018】
本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。以下の実施例はいかなる場合も本発明を限定するものと解釈してはならない。
実施例1:
(スーツ袋の構成)
図1は、本発明の一態様であるスーツ袋1の正面図である。
スーツ袋1の材質は、ポリプロピレンから成る不織布である。
袋外地10はハンガーに掛けたスーツ上下が収まる大きさ(長さ方向およそ90cm;幅方向およそ60cm)の縦長の生地である。
第一のカバー布2aは、袋外地10の縦方向の一端側の部分の上に重ねられたカバー布であって、袋外地の周縁とこれに対応するカバー布の部分とが縫着されている。
第二のカバー布2bは袋外地10の第一のカバー布2aと反対の他端側の部分の上に重ねられたカバー布であって、袋外地の周縁とこれに対応するカバー布の部分とが縫着されている。
またハンガーフック通し穴5a及び5bは、袋外地10の一端において袋外地10と第一のカバー布2aとで、また袋外地10の他端において袋外地10と第二のカバー布2bとで夫々形成されている。
第一のカバー布2aの差込口縁4aは、袋外地の長さ方向と直行する方向に延びる直線形の周縁とし、第二のカバー布2bの差込口縁4bは、ハンガーフック通し穴5aとの間隔が袋外地の中央においてより近くなる凸曲形の周縁とし、この凸曲形は1つの曲線から
なっている。
差込口縁4bの中点とハンガーフック通し穴5bとの間隔は約18cmであり、従来のスーツ袋のように、差込口縁4bを袋外地の長さ方向と直行する方向に延びる直線形のものとした場合に比べ約40%短くなっている。
(スーツの収納)
図2Aないし図2Eに、ハンガーに掛けたスーツ上下を実施例1のスーツ袋に包装する一連の過程を示す。
まず、スーツ上下7をハンガー8に吊るす。次に、ハンガーフック9及びスーツ上部を差込口縁4aからカバー布2aと袋外地との間に差し入れ(図2A)、ハンガーフック9をハンガーフック通し穴5aに通した。
次に、スーツ上下7の下部を差込口縁4bから、カバー布2bと袋外地との間に差し入れ(図2B)、スーツを横二つ折りにした(図2C)。
そして、ハンガーフック9及びカバー布2aに覆われたスーツ上部を差込口縁4bからカバー布2bと袋外地との間に差し入れた(図2D)。
最後にハンガーフック9をハンガーフック通し穴5bに通すことで二つ折りの、持ち運び可能な形態となった(図2E)。
【0019】
差込口縁4bがハンガーフック通し穴5bとの間隔が袋外地の中央においてより近くなる凸曲形のものであることで、ハンガーフック9をハンガーフック通し穴5bに通しやすく、作業を容易に行える。
また実施例1のスーツ袋は、袋内側に、スーツ全体をほぼ覆いかつ中身を確認するための、透明シート若しくは窓付きシートが設けられていない。このため透明シート若しくは窓付きシート内にスーツを入れる作業が不要となり、スーツの包装の手順を少なくすることができる。
また、従来のスーツ袋とは異なり、ファスナー等を取り付ける必要が無く、従って、生地等の材料及び部品点数が少なく、嵩も小さいため、製造及び輸送費用を低減することができる。
【0020】
実施例2:
(スーツ袋の構成)
スーツ袋1の第二のカバー布2bがなす差込口縁4bの左右両端側に目隠し布6a及び6bを設けた他は実施例1と同様の構成とした(図3)。
(スーツの収納)
実施例1と同様の手順でスーツ7を実施例2のスーツ袋に収納することができる(図4)。
【0021】
実施例2のスーツ袋は、実施例1のスーツ袋に目隠し布6a及び6bを設けただけであるので、実施例1と同様に、包装作業を容易に行え、そしてスーツの包装の手順を少なくすることができる。また製造及び輸送費用も低減できる。
更に目隠し布6a及び6bによって、二つ折り状態のスーツ袋側面から、スーツが見えることを防ぎ、外部からの汚染から保護することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 スーツ袋
2a、2b カバー布
3 縫い糸
4a、4b 差込口縁
5a、5b ハンガーフック通し穴
6a、6b 目隠し布
7 スーツ上下
8 ハンガー
9 フック部
10 袋外地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンガーにかけたスーツ上下を二つ折りの状態にて持ち運ぶためのスーツ袋において、ハンガーに掛けたスーツ上下が収まる大きさの縦長の袋外地と、該袋外地の縦方向の一端側の部分の上に重ねられたカバー布であって、袋外地の周縁とこれに対応するカバー布の部分とが縫着されてなる第一のカバー布と、該袋外地の前記一端側と反対の他端側の部分の上に重ねられたカバー布であって、袋外地の周縁とこれに対応するカバー布の部分とが縫着されてなる第二のカバー布と、前記袋外地の一端において袋外地と前記第一のカバー布とで、また前記袋外地の他端において袋外地と第二のカバー布とで夫々形成されたハンガーフック挿通口とを備え、そして前記第一のカバー布、前記第二のカバー布、又はこれら両方のカバー布は該ハンガーフック挿通口との間隔が袋外地の中央においてより近くなる凸曲形の差込口縁を有することを特徴とする、スーツ袋。
【請求項2】
前記第一のカバー布、前記第二のカバー布、又はこれら両方のカバー布は、前記差込口縁の左右両端側に、目隠し布を設けてなることを特徴とする、請求項1に記載のスーツ袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−37492(P2011−37492A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187425(P2009−187425)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(598110219)株式会社アクシス (24)
【Fターム(参考)】