説明

セキュリティ用封筒

【課題】セキュリティ用途でありながら、コストが高くなりすぎず、また、実際の使用者(発側、着側)の利便性が高いセキュリティ用封筒を提供する。
【解決手段】少なくとも2辺が綴じ合わせられて筒形状の封筒部となる上側及び下側封筒片11、12と、上側封筒片11の上側に配置され発側の控えとなる発側控え片13と、上側封筒片13の下側に配置され着側の控えとなる着側控え片14と、発側控え片13に記載した情報を、上側封筒片11、着側控え片14に選択的に複写する裏カーボン15とを備え、かつ、前記上側封筒片は、届け先の住所、部署、氏名等が複写される配送伝票の荷札票の役割を果たすことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求書、手形、小切手等の金券又はそれに類する貴重品を配達するときに使用する新規なセキュリティ用封筒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のセキュリティ用途の封筒は、所定の封筒に必要事項を記入した「専用伝票」又は「汎用伝票」をタック紙で貼り付けて使用していた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−2144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前述した従来の技術では、専用伝票は、数量が汎用伝票ほど多くないためコスト高となり、汎用伝票は、伝票の記載事項が汎用的であるため、枚数が無駄に多かったり、記載内容が外部から見えてしまったりして、セキュリティ用途としては、必ずしも適切なものではなかった。
【0005】
また、前記いずれの場合でも、それらの伝票は、タック紙を介して封筒に貼り付けるようにしていたため、無駄なコストを生じさせていた。
ただし、セキュリティ用途の封筒は、当然コストよりもセキュリティ性が重視されるべきであるために、高価であっても、専用伝票を使用する場合が一般的であった。
【0006】
本発明の課題は、セキュリティ用途でありながら、コストが高くなりすぎず、また、実際の使用者(発側、着側)の利便性が高いセキュリティ用封筒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、少なくとも2辺が綴じ合わせられて筒形状の封筒部となる上側封筒片及び下側封筒片と、前記上側封筒片の上側に配置され発側の控えとなる発側控え片と、前記上側封筒片の下側に配置され着側の控えとなる着側控え片と、前記発側控え片に記載した情報を、前記着側控え片及び/又は前記上側封筒片に選択的に複写する複写構造とを備え、前記着側控え片は、前記上側封筒片の下側に綴じ合わされており、前記着側控え片と前記下側封筒片との間に、封入物を配置するようにしたこと、前記上側封筒片又は前記下側封筒片の少なくとも一端辺には、一方側が他方側よりも長く形成されたフラップ部を備えたこと、前記フラップ部を封緘する封緘構造を備えたこと、記着側控え片は、前記フラップ部を除いて、前記上側及び下側封筒片のいずれにも接着しない位置及び寸法に設定されていること、及び前記上側封筒片は、開封用ミシン目を備え、かつ、前記上側封筒片は、届け先の住所、部署、氏名等が複写される配送伝票の荷札票の役割を果たすこと、を特徴とするセキュリティ用封筒である。
【発明の効果】
【0008】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、伝票部分と封筒部分があらかじめ一体化されているので、セキュリティ用途でありながら、コストが高くなりすぎず、また、実際の使用者の利便性が高くなる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明によるセキュリティ用封筒の第1実施形態を示す図である。
【図2】本発明によるセキュリティ用封筒の第2実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面等を参照して、本発明の実施の形態について、さらに詳しく説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明によるセキュリティ用封筒の第1実施形態を示す図である。
第1実施形態のセキュリティ用封筒10は、上側封筒片11と、下側封筒片12と、発側控え片13と、着側控え片14と、裏カーボン(複写構造)15と、フラップ部16と、封緘構造17と、着側開封用ミシン目18と、着色層19などとを備えている。
【0011】
上側封筒片11及び下側封筒片12は、パターン糊aで3辺が綴じ合わせられて筒形状の封筒部となる片である。
この実施形態では、上側封筒片11と下側封筒片12との間の封筒部に、セキュリティ性の高い封入物20、例えば、請求書、手形、小切手等の金券又はそれに類する貴重品を挿入するようにしてある。
【0012】
発側控え片13は、発側の控えとなる片であり、着側控え片14は、着側の控えとなる片である。発側控え片13は、着側控え片14の上側に配置され、着側控え片14は、上側封筒片11の上側に配置されている。
発側控え片13及び着側控え片14は、ライン糊bによって、左辺が綴られたており、ミシン目c,dで抜き取り可能になっている。
【0013】
裏カーボン15は、発側控え片13及び着側控え片14の裏面に形成され、発側控え片13に記載した情報を、着側控え片14、上側封筒片11に選択的に複写する構造である。着側控え片14は、着側での受け取り確認のために、印又はサインをもらう受領欄が設けられている。上側封筒片11は、届け先の住所、部署、氏名等が複写される配送伝票の荷札票の役割を果たしている。
発側控え片13、着側控え片14及び上側封筒片11の片には、裏カーボン15により、配送管理に使用する共通した識別番号(又は識別記号)となるクラッシュ番号eが形成されている。
【0014】
上側封筒片11には、フラップ部16と封緘構造17が設けられている。
フラップ部16は、上側封筒片11の右辺に、下側封筒片12よりも長く形成されたふた状の部分である。
封緘構造17は、フラップ部16で封筒部を封緘するための構造であり、例えば、両面粘着テープ、再湿糊又はコールドシール等が用いられている。
【0015】
図1(C)に示すように、上側封筒片11には、開封指掛け部18aを有する着側開封用ミシン目18が形成されている。
この開封用ミシン目18については、開封するまでの間は封入物20をキチンと保護しつつ、開封時にはスムーズに開封できる、という矛盾した機能を両立させる必要があるために、基材(上側封筒片11)に合わせて、適宜ミシンのカット比や形状を設定する必要がある。また、必要に応じて、安全確実な開封方法を誘導するような注意文言を加えるとよい。
また、下側封筒片12の上面には、暗色の着色層19が形成されている。着色層19は、開封時に、金券などの封入物20の抜き忘れを防止するためのものであり、金券としてほとんど存在しない墨系インキでベタ印刷を施しておくことにより、目視によって簡単に、封入物20の取り忘れ事故の防止を図ることができる。
【0016】
次に、第1実施形態によるセキュリティ用封筒10の運用方法について説明する。
(1)発側で、発側控え片13に必要事項を記入して、全枚目(着側控え片14、上側封筒片11)に複写する。
(2)発側控え片13に、配送担当者(例えば、ドライバー)のサインをもらい、このサインも全枚目に複写される。
(3)発側で発側控え片13を剥がして保管する。
(4)配送担当者が配送する。
(5)配送担当者が着側A(着側受付人)に、セキュリティ封筒10を渡し、着側控え片14に目前で受領のサインを行い、このサインも次枚目(上側封筒片11)に複写される。
(6)着側Aが着側B(着側最終受取人)に渡し、受領のサインをもらう。
(7)サイン後の着側控え片14を、着側Aが剥がして保管する。
(8)着側Bでセキュリティ封筒10を開封し、内容物20と同封された控え片を取り出す。
【0017】
本実施形態によれば、以下のような利点がある。
(1)セキュリティ性
開封方法の工夫により、封入物の取り忘れ事故を防止することができる。
複写化により、発−着のアンマッチング事故を防止することができる。
(2)複写可能
全枚目に共通の目視ナンバーを付すことが可能である。
着側の控え、封筒部自体への控えが簡単に設けられる。
(3)安定・低コスト
配送伝票で確立された技術を応用しており、製造が安定的である。
新たな設備投資も不要で、低コストで供給可能である。
(4)サイズ
封入物の大きさや量、紛失防止の観点からサイズを選択することができる。
A4サイズより一回り小さくすれば、金券等の定形封入物が収納しやすく、また、封筒自体も机の中等に収納しやすい。
【0018】
(第2実施形態)
図2は、本発明によるセキュリティ用封筒の第2実施形態を示す図である。
なお、前述した第1実施形態と同様な機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に統一した符号を付して、重複する説明や図面を適宜省略する。
第2実施形態のセキュリティ用封筒10−2では、着側控え片14−2は、上側封筒片11の下側に綴じ合わされている。
この実施形態では、着側控え片14−2と下側封筒片12との間に、封入物20を配置するようにしてある。
【0019】
着側控え片14−2は、開封時に抜き取れるように、フラップ部16−2を除いて、上側封筒片11及び下側封筒片12のいずれにも接着しない位置及び寸法に設定されている。なお、それらが擬似接着されているのであれば、位置及び寸法は、特に限定されない。
そして、開封用ミシン目18は、上側封筒片11に着側控え片14−2の大部分を包含する位置や形状に形成されている。
【0020】
裏カーボン15は、発側控え片13と上側封筒片11の裏面に形成されている。しかし、封入物20の情報は、着側控え片14−2には記載されるが、上側封筒片11には複写されないようにしてある。
【0021】
第2実施形態によれば、着側控え片14−2が封筒部の内部に確実に内蔵されているために、配達時に、着側控え片14−2が脱落してしまったり、紛失する心配がない。その着側控え片14−2は、封筒部に内蔵され、封筒部を破壊して開封しないと取り出せないので、セキュリティ性がより高い。
【0022】
また、着側控え片14−2には、発側控え片13と同等の内容物情報(例えば、額面N円の金券がn枚、M会社の手形がm枚等)を記載しておきながら、配達時に、外部から目視される上側封筒片11には、内容物情報を複写しないので、例えば、配達中の盗難事故を抑止することができる。
【0023】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
例えば、識別番号は、クラッシュ番号の例で説明したが、バーコードなどの識別記号を印刷してもよい。
また、フラップ部は、下側封筒片12側に設けてもよい。
【符号の説明】
【0024】
10,10−2 セキュリティ用封筒、11 上側封筒片、12 下側封筒片、13 発側控え片、14,14−2 着側控え片、15 裏カーボン(複写構造)、
16,16−2 フラップ部、17 封緘構造、18 着側開封用ミシン目、19 着色層、20 封入物


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2辺が綴じ合わせられて筒形状の封筒部となる上側封筒片及び下側封筒片と、
前記上側封筒片の上側に配置され発側の控えとなる発側控え片と、
前記上側封筒片の下側に配置され着側の控えとなる着側控え片と、
前記発側控え片に記載した情報を、前記着側控え片及び/又は前記上側封筒片に選択的に複写する複写構造とを備え、
前記着側控え片は、前記上側封筒片の下側に綴じ合わされており、前記着側控え片と前記下側封筒片との間に、封入物を配置するようにしたこと、
前記上側封筒片又は前記下側封筒片の少なくとも一端辺には、一方側が他方側よりも長く形成されたフラップ部を備えたこと、
前記フラップ部を封緘する封緘構造を備えたこと、
記着側控え片は、前記フラップ部を除いて、前記上側及び下側封筒片のいずれにも接着しない位置及び寸法に設定されていること、
及び前記上側封筒片は、開封用ミシン目を備え、
かつ、前記上側封筒片は、届け先の住所、部署、氏名等が複写される配送伝票の荷札票の役割を果たすこと、
を特徴とするセキュリティ用封筒。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−91532(P2013−91532A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−33685(P2013−33685)
【出願日】平成25年2月22日(2013.2.22)
【分割の表示】特願2009−271082(P2009−271082)の分割
【原出願日】平成15年2月6日(2003.2.6)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)