説明

セメント焼成設備における排ガスの処理方法及び処理装置

【課題】セメント製造設備の操業に与える影響が小さく、大掛かりな設備を必要としない簡便な方法で、セメント焼成設備の排ガスから揮発性成分を容易かつ効率的に除去することができるセメント焼成設備の排ガス処理方法及び処理装置を提供する。
【解決手段】本発明の排ガスの処理方法は、プレヒータライジングダクト7から排ガスの一部をプローブ42を用いて抽気し、この抽気された排ガスをハロゲンの融点の600〜700℃以下にまで低下させてハロゲンを排ガス中のダストに付着させ、このダストをダスト捕集装置44にて300℃以上の高温状態のまま捕集し、循環ダスト空気輸送装置46にてハロゲンが付着したダストをプローブ42に搬送し、ダスト除去後の排ガスをサスペンションプレヒータ排ガスライン25へ戻すことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント焼成設備における排ガスの処理方法及び処理装置に関し、更に詳しくは、セメント焼成設備から排出される排ガスから、塩素、臭素等のハロゲンおよび/またはハロゲン化合物等のような有用な揮発性不純物を回収するとともに、セメント焼成設備の操業に対する影響を最小限とすることが可能なセメント焼成設備における排ガスの処理方法及び処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セメント製造設備では、廃棄物の使用が増加するに従い、塩素や臭素等のハロゲンおよび/またはハロゲン化合物、SO等の硫黄化合物等の揮発性不純物がセメント焼成設備に多く持ち込まれるようになってきた。
特に、近年、セメント焼成設備の代替燃料として廃プラスチック等が利用されるようになってきたが、これらの廃プラスチックには、難燃性を付与するために臭素が含まれているものが多く、この廃プラスチックをセメント焼成設備にて燃焼した場合に臭素が発生し、この廃プラスチックの量が増加するに従ってセメントキルンで揮発する臭素も増加することになる。その理由は、臭素についても塩素と同様、セメント焼成設備内にて循環濃縮するためである。
そこで、これらの高濃度に循環濃縮する塩素や臭素等のハロゲンおよび/またはハロゲン化合物を除去するために、セメント焼成設備に塩素バイパス装置を付設することが一般に行われている。
【0003】
図3は、従来の塩素バイパス装置を付設したセメント製造設備を示す模式図であり、図において、1はセメント原料貯蔵庫、2はセメント原料を乾燥粉砕する原料ミル、3はセメント原料粉を分離するためのサイクロン、4は多段のサイクロン4a〜4dからなるサスペンションプレヒータ、5は仮焼炉、6はセメントキルン、7はセメントキルン6に接続されるプレヒータライジングダクト(窯尻部)、8はセメントキルン6内に燃料を噴出させるバーナー、9はクリンカクーラ、10、11は電気集塵機、12、13は排気煙突、14は吸引ファン(排ガス誘引手段)、15は冷却ファン、16は吸引ファンである。
【0004】
また、21はセメント原料供給ライン、22はセメント原料粉供給ライン、23はセメントクリンカ搬送ライン、24はクリンカクーラ9から排出される冷却用空気を仮焼炉5の燃焼用空気として用いるための燃焼用空気ダクト、25はサスペンションプレヒータ排ガスラインである。
また、31は塩素バイパス装置であり、セメントキルン6から排出される排ガスの一部を抽気するプローブ32と、冷却チャンバ33と、バッグフィルタ34と、冷却チャンバ33及びバッグフィルタ34からのダストを貯留するダストサイロ35と、冷却ファン36、37と、吸引ファン38とにより構成されている。
【0005】
このセメント製造設備では、塩素等の揮発性不純物は、セメントキルン6内にて1000℃以上に高温加熱されることによって揮発し、サスペンションプレヒータ4にて再凝集してセメント原料と共にセメントキルン6内に再度持ち込まれることによって、セメント焼成系内にて循環濃縮される。特に、塩素や臭素等のハロゲンおよび/またはハロゲン化合物は、セメントキルン6内での揮発率が高いので、セメント製造設備に系外から持ち込まれるハロゲンの量に対して100倍以上の循環濃縮倍率となる。そこで、セメントキルン6の排ガス中に揮発した状態で高濃縮している塩素や臭素等のハロゲンおよび/またはハロゲン化合物を、塩素バイパス装置31により冷却凝集させてセメント焼成設備の系外に取り除くことによって、循環濃縮倍率を小さくする様にしている。
【0006】
一方、塩素や臭素と同様に循環濃縮する物質にSO等の硫黄化合物がある。
通常、硫黄は、サスペンションプレヒータ4では石灰分等と反応して硫酸塩としてセメント原料中に存在している。セメントキルン6に持ち込まれた硫酸塩は、セメントキルン6内の高温領域にてその70〜80%が気化するとともに、粉末石炭などの燃料中に含まれる硫黄分が燃焼することにより発生するSOとともに、高濃度の気体状態でセメントキルン6から排出される。このセメントキルン6内で気化した気体状態のSOはサスペンションプレヒータ4に送り込まれ、このサスペンションプレヒータ4にてセメントの粉末原料と反応しほぼ完全に脱硫される。したがって、セメント焼成設備から排出される排ガスには、数ppmのSOが存在するのみとなる。
【0007】
このように、図3に示すセメント製造設備は、SOがほぼ完全に脱硫される設備ではあるものの、付設した塩素バイパス装置では、装置内での脱硫がおこなわれる環境が限られてしまうために、セメントキルン6に接続されるプレヒータライジングダクト7にて排ガスを抽気し、この抽気した排ガスから塩素類を除去した後の排ガスにおいても、300〜2000ppmという相当量のSOが含まれる場合がある。そこで、相当量のSOが含まれる排ガスを再度セメント焼成設備に戻し、サスペンションプレヒータ4を経由することにより高濃度のセメント原料粉末を用いて脱硫してSOxを含まない排ガスとし、セメント製造設備から排出される排ガスとともに大気に排出する処理方法が採用されている。
例えば、セメント焼成設備に、空気冷却方式の抽気排ガス処理装置を接続し、この抽気排ガス処理装置の集塵機にて揮発性成分を含むダストを除去した後、このダスト除去後の排ガスをセメント原料焼成系の燃料燃焼用空気として利用するセメント原料焼成方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
また、セメントキルンから排出される排ガスの一部を抽気すると同時にこれを塩素化合物の凝固点以下にまで冷却し、冷却した抽気ガスから粗粉を分離してセメントキルン内に戻すと共に、この冷却した抽気ガスをさらに冷却して該抽気ガスからバイパスダストを回収し、このバイパスダストを回収した後の抽気ガスをセメント焼成設備内の温度800〜1200℃の領域を通過させることにより抽気ガス中のSOを低減する塩素バイパス排気のSOの低減方法が提案されている(特許文献2参照)。
これらの処理方法においては、戻される排ガスは、燃焼用空気としてセメント焼成系で使用されるため、この排ガスに含まれるSOはサスペンションプレヒータを通過する間に脱硫される。したがって、セメント原料焼成系から排出される排出ガス中のSOは、数ppm以下に保持される。
【特許文献1】特開平10−330136号公報
【特許文献2】特開2000−226241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のセメント製造設備では、セメント焼成設備から排出される排ガスから塩素、臭素等のハロゲンおよび/またはハロゲン化合物等のような揮発性不純物を回収する場合、セメント焼成設備の操業に対する影響が大きいという問題点があった。
例えば、塩素バイパス装置31の排ガスには、セメントキルン6の窯尻部7から抽気した燃焼ガスの他に多量の冷却空気が混合している。この排ガスを仮焼炉5もしくは仮焼炉5に接続される燃焼用空気ダクト24に導入して処理を行う場合は、排ガスに含まれる空気は仮焼炉5の燃料の燃焼用空気として利用されるが、燃焼ガスは何等利用されることはない。
また、仮焼炉に接続される燃焼用空気ダクト24内の燃焼用空気は、クリンカクーラ9で800〜900℃まで加熱されたものであるが、塩素バイパス装置31の排ガスの温度は100〜150℃と燃焼用空気ダクト24内の燃焼用空気と比較して低温である。したがって、仮焼炉に導入される燃焼用空気の一部を塩素バイパス装置31の排ガスに置き換えると、セメント焼成設備のエネルギー利用効率が極端に低下することとなる。
【0010】
このように、従来のセメント製造設備では、セメント焼成設備の操業に与える影響が大きく、セメントクリンカの焼成能力の減少、および単位クリンカ当たりの消費熱量(熱量原単位)の増加等により、経済的な操業が不可能になるという虞があった。
また、塩素バイパス装置の排ガスをバーナー部の空気取り入れ口へ戻す場合では、エネルギー利用効率は大きく劣らないが、塩素バイパス装置の全ての排ガスを戻すことができない。また、塩素バイパス装置の排ガスをクリンカクーラの空気取り入れ口へ戻す場合では、長距離のガス処理経路が必要になり、設備が大掛かりになる等の問題点があった。
【0011】
また、従来の塩素バイパス装置では、セメントキルンの窯尻部から抽気した950℃以上の高温の排ガスを200℃以下にまで冷却する必要があるために冷却装置が必要になり、また、冷却した排ガス中のダストを捕集するのにバグフィルター等の高性能の集塵機が必要になる等により、抽気した排ガスの量が少量であるにも関わらず塩素バイパス装置が複雑かつ大型化する等の問題点があった。
また、近年、セメント焼成設備内で増加してきた臭素についても、塩素と同様、セメントキルン内で揮発した後、サスペンションプレヒータにて凝集して循環濃縮されることから、セメント焼成設備の安定した操業に悪影響を及ぼすという問題点があった。特に、臭素が揮発・凝集する温度は、塩素より低温領域にあるので、セメントキルンの窯尻部にて排ガスを抽気する従来の塩素バイパス装置では、排ガスから臭素を効率良く取り出すことが難しい。
このように、セメント製造設備から排出される塩素や臭素等のハロゲンおよび/またはハロゲン化合物を含む排ガスを処理するにあたって、セメント製造設備の操業に与える影響が小さく、しかも大掛かりな設備を必要としない簡便な方法で処理できる技術が求められていた。更に、排ガスから臭素を効率良く取り出す技術についても同時に求められていた。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、セメント製造設備の操業に与える影響が小さく、しかも大掛かりな設備を必要としない簡便な方法で、セメント焼成設備の排ガスから塩素や臭素等の揮発性成分を容易かつ効率的に除去することができるセメント焼成設備における排ガスの処理方法及び処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、上記課題を解決するために、従来の塩素バイパス装置における排ガスの戻し先およびガス温度、ガス量、ガス性状の違いによるセメント製造設備の操業に与える影響の大きさを検討した結果、セメント原料を仮焼するプレヒータ、この仮焼されたセメント原料を焼成するセメントキルン、のいずれかにて発生する排ガスから抽気された排ガスを揮発性成分の融点の600℃〜700℃以下にまで低下させ、この揮発性成分を排ガスに含まれるダストに付着させて該ダストを300℃以上の高温状態のまま捕集すると共に、このダストが取り除かれた排ガスをプレヒータへ戻すこととすれば、冷却用空気の導入量を減少させることが可能であり、しかも、セメント製造設備の操業に与える影響を最小限度とすることが可能であり、さらには、抽気する位置を選択することにより、臭素等の有用なハロゲンおよび/またはハロゲン化合物を回収することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明のセメント焼成設備における排ガスの処理方法は、セメント原料をセメント焼成設備にて焼成する際に発生する排ガスの一部を抽気し、この抽気された排ガスから揮発性成分を除去するセメント焼成設備における排ガスの処理方法であって、セメント原料を仮焼するプレヒータ、この仮焼されたセメント原料を焼成するセメントキルン、のいずれかから排出される排ガスの一部を抽気する抽気工程と、この抽気された排ガスを、この排ガスに含まれる揮発性成分の融点の600℃〜700℃以下にまで低下させ、この揮発性成分を該排ガスに含まれるダストに付着させる冷却工程と、この揮発性成分が付着したダストを300℃以上の高温状態のまま捕集するダスト捕集工程と、このダストが取り除かれた排ガスを前記プレヒータへ戻す排ガス処理工程と、を備えてなることを特徴とする。
【0015】
この処理方法では、抽気された排ガスを、この排ガスに含まれる揮発性成分の融点の600℃〜700℃以下にまで低下させ、この揮発性成分を該排ガスに含まれるダストに付着させ、この揮発性成分が付着したダストを300℃以上の高温状態のまま捕集することにより、プレヒータの所定の位置へ排ガスを戻しても、セメント焼成設備の操業に与える影響を小さくすることが可能となる。
さらに、排ガスの量の増加を抑制するので、排ガスの処理工程を小さくすることが可能となる。
【0016】
本発明の他のセメント焼成設備における排ガスの処理方法は、セメント原料をセメント焼成設備にて焼成する際に発生する排ガスの一部を抽気し、この抽気された排ガスから揮発性成分を除去するセメント焼成設備における排ガスの処理方法であって、セメント原料を仮焼するプレヒータ、この仮焼されたセメント原料を焼成するセメントキルン、のいずれかから排出される排ガスの一部を抽気する抽気工程と、この抽気された排ガスを、この排ガスに含まれる揮発性成分の融点の600℃〜700℃以下にまで低下させ、この揮発性成分を該排ガスに含まれるダストに付着させる冷却工程と、この揮発性成分が付着したダストを300℃以上の高温状態のまま捕集するダスト捕集工程と、このダストが取り除かれた排ガスを前記プレヒータの排ガス誘引手段以降へ戻す排ガス処理工程と、を備えてなることを特徴とする。
【0017】
この処理方法では、抽気された排ガスを揮発性成分の融点の600℃〜700℃以下にまで低下させ、この揮発性成分を該排ガスに含まれるダストに付着させ、この揮発性成分が付着したダストを300℃以上の高温状態のまま捕集することにより、高温にて揮発性成分を除去することで排ガスの量の増加を抑制することが可能となる。
その後、このダストが取り除かれた排ガスをプレヒータの排ガス誘引手段以降へ戻すことにより、セメント焼成設備の操業に与える影響を小さくすることが可能となる。
さらに、排ガスの量の増加を抑制するので、排ガスの処理工程を小さくすることが可能となる。
【0018】
本発明の各々の排ガスの処理方法では、前記抽気工程は、前記セメントキルンの窯尻部から排ガスの一部を抽気する工程であることが好ましい。
この処理方法では、セメントキルンの窯尻部から排ガスの一部を抽気することにより、塩素や臭素等の揮発性成分の含有率の高いダストを捕集することが可能となり、更に高温の排ガスを抽気することによるセメント焼成設備の操業に与える影響をより小さくすることが可能となる。
【0019】
本発明の各々の排ガスの処理方法では、前記抽気工程は、前記プレヒータの最下段のサイクロンから排ガスの一部を抽気する工程であることが好ましい。
この処理方法では、プレヒータの最下段のサイクロンから排ガスの一部を抽気することにより、臭素等の揮発性成分の含有率の高いダストを捕集することが可能となり、更に最下段のサイクロンの排ガスを抽気することによって、抽気によるセメント焼成設備の操業に与える影響をより小さくすることが可能となる。
【0020】
本発明の各々の排ガスの処理方法では、前記ダスト捕集工程にて捕集されたダストを搬送用空気と共に前記冷却工程の冷却媒体として循環利用するダスト循環工程を有することが好ましい。
この処理方法では、ダスト捕集工程にて捕集されたダストを搬送用空気と共に冷却工程の冷却媒体として循環利用することにより、セメント焼成設備から抽気する高温の排ガス中のダスト濃度を高くし、この高温の排ガス中に含まれる揮発性成分を高効率で捕集することが可能となり、よって、抽気する排ガスの量を少なくすることが可能になる。
また、排ガス中に含まれるSO等の揮発性成分の含有量が少なくなるので、任意の処理先を選択することが可能である。
【0021】
本発明のセメント焼成設備における排ガスの処理装置は、セメント原料をセメント焼成設備にて焼成する際に発生する排ガスの一部を抽気し、この抽気された排ガスから揮発性成分を除去するセメント焼成設備における排ガスの処理装置であって、セメント原料を仮焼するプレヒータ、この仮焼されたセメント原料を焼成するセメントキルン、のいずれかから排出される排ガスの一部を抽気する抽気手段と、この抽気された排ガスを、この排ガスに含まれる揮発性成分の融点の600℃〜700℃以下にまで低下させ、この揮発性成分を該排ガスに含まれるダストに付着させる冷却手段と、この揮発性成分が付着したダストを300℃以上の高温状態のまま捕集するダスト捕集手段と、このダストが取り除かれた排ガスを前記プレヒータへ戻す排ガス処理手段と、を備えてなることを特徴とする。
【0022】
この処理装置では、冷却手段により抽気された排ガスを揮発性成分の融点の600℃〜700℃以下にまで低下させて、この揮発性成分を該排ガスに含まれるダストに付着させ、次いで、ダスト捕集手段により、この揮発性成分が付着したダストを300℃以上の高温状態のまま捕集することにより、排ガスの量の増加を抑制することが可能となる。よって、プレヒータの所定の位置へ排ガスを戻しても、セメント焼成設備の操業に与える影響を小さくすることが可能となる。
さらに、排ガスの量の増加を抑制するので、排ガスの処理装置を小型化することが可能となる。よって、セメント焼成設備の排ガスから揮発性成分を低コストで除去することが可能となる。
【0023】
本発明の他のセメント焼成設備における排ガスの処理装置は、セメント原料をセメント焼成設備にて焼成する際に発生する排ガスの一部を抽気し、この抽気された排ガスから揮発性成分を除去するセメント焼成設備における排ガスの処理装置であって、セメント原料を仮焼するプレヒータ、この仮焼されたセメント原料を焼成するセメントキルン、のいずれかから排出される排ガスの一部を抽気する抽気手段と、この抽気された排ガスを、この排ガスに含まれる揮発性成分の融点の600℃〜700℃以下にまで低下させ、この揮発性成分を該排ガスに含まれるダストに付着させる冷却手段と、この揮発性成分が付着したダストを300℃以上の高温状態のまま捕集するダスト捕集手段と、このダストが取り除かれた排ガスを前記プレヒータの排ガス誘引手段以降へ戻す排ガス処理手段と、を備えてなることを特徴とする。
【0024】
この処理装置では、冷却手段により抽気された排ガスを揮発性成分の融点の600℃〜700℃以下にまで低下させて、この揮発性成分を該排ガスに含まれるダストに付着させ、次いで、ダスト捕集手段により、この揮発性成分が付着したダストを300℃以上の高温状態のまま捕集することにより、排ガスの量の増加を抑制することが可能となる。よって、セメント焼成設備の操業に与える影響を小さくすることが可能となる。
さらに、排ガスの量の増加を抑制するので、排ガスの処理装置を小型化することが可能となる。よって、セメント焼成設備の排ガスから揮発性成分を低コストで除去することが可能となる。
【0025】
本発明の各々の排ガスの処理装置では、前記ダスト捕集手段にて捕集されたダストを搬送用空気と共に前記冷却手段の冷却媒体として循環利用するダスト循環手段を設けてなることが好ましい。
この処理装置では、ダスト循環手段によりダスト捕集手段にて捕集されたダストを搬送用空気と共に冷却手段の冷却媒体として循環利用することにより、セメント焼成設備から抽気する高温の排ガス中のダスト濃度を高くし、この高温の排ガス中に含まれる揮発性成分を高効率で捕集することが可能となり、よって、抽気手段にて抽気する排ガスの量を少なくすることが可能になる。
また、排ガス中に含まれるSO等の揮発性成分の含有量が少なくなるので、任意の処理先を選択することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のセメント焼成設備における排ガスの処理方法によれば、セメント原料を仮焼するプレヒータ、この仮焼されたセメント原料を焼成するセメントキルン、のいずれかから排出される排ガスの一部を抽気する抽気工程と、この抽気された排ガスを、この排ガスに含まれる揮発性成分の融点の600℃〜700℃以下にまで低下させ、この揮発性成分を該排ガスに含まれるダストに付着させる冷却工程と、この揮発性成分が付着したダストを300℃以上の高温状態のまま捕集するダスト捕集工程と、このダストが取り除かれた排ガスを前記プレヒータへ戻す排ガス処理工程と、を備えたので、排ガスの量の増加を抑制することができ、高温にて揮発性成分を除去することができる。
その後、ダストが取り除かれた排ガスをプレヒータの所定の位置へ戻すことによって、セメント焼成設備の操業に与える影響を小さくすることができる。
さらに、排ガスの量の増加を抑制するので、排ガスの処理工程を小さくすることができる。
【0027】
本発明の他のセメント焼成設備における排ガスの処理方法によれば、セメント原料を仮焼するプレヒータ、この仮焼されたセメント原料を焼成するセメントキルン、のいずれかから排出される排ガスの一部を抽気する抽気工程と、この抽気された排ガスを、この排ガスに含まれる揮発性成分の融点の600℃〜700℃以下にまで低下させ、この揮発性成分を該排ガスに含まれるダストに付着させる冷却工程と、この揮発性成分が付着したダストを300℃以上の高温状態のまま捕集するダスト捕集工程と、このダストが取り除かれた排ガスを前記プレヒータの排ガス誘引手段以降へ戻す排ガス処理工程と、を備えたので、排ガスの量の増加を抑制することができ、高温にて揮発性成分を除去することができる。
その後、ダストが取り除かれた排ガスをプレヒータの排ガス誘引手段以降へ戻すことによって、セメント焼成設備の操業に与える影響を小さくすることができる。
さらに、排ガスの量の増加を抑制するので、排ガスの処理工程を小さくすることができる。
【0028】
本発明のセメント焼成設備における排ガスの処理装置によれば、セメント原料を仮焼するプレヒータ、この仮焼されたセメント原料を焼成するセメントキルン、のいずれかから排出される排ガスの一部を抽気する抽気手段と、この抽気された排ガスを、この排ガスに含まれる揮発性成分の融点の600℃〜700℃以下にまで低下させ、この揮発性成分を該排ガスに含まれるダストに付着させる冷却手段と、この揮発性成分が付着したダストを300℃以上の高温状態のまま捕集するダスト捕集手段と、このダストが取り除かれた排ガスを前記プレヒータへ戻す排ガス処理手段と、を備えたので、排ガスの量の増加を抑制することができ、高温にて揮発性成分を除去することができる。
その後、排ガス処理手段を用いてダストが取り除かれた排ガスをプレヒータの所定位置へ戻すので、セメント焼成設備の操業に与える影響を小さくすることができる。
さらに、排ガスの量の増加を抑制するので、排ガスの処理装置を小型化することができ、その結果、セメント焼成設備の排ガスから揮発性成分を低コストで除去することができる。
【0029】
本発明の他のセメント焼成設備における排ガスの処理装置によれば、セメント原料を仮焼するプレヒータ、この仮焼されたセメント原料を焼成するセメントキルン、のいずれかから排出される排ガスの一部を抽気する抽気手段と、この抽気された排ガスを、この排ガスに含まれる揮発性成分の融点の600℃〜700℃以下にまで低下させ、この揮発性成分を該排ガスに含まれるダストに付着させる冷却手段と、この揮発性成分が付着したダストを300℃以上の高温状態のまま捕集するダスト捕集手段と、このダストが取り除かれた排ガスを前記プレヒータの排ガス誘引手段以降へ戻す排ガス処理手段と、を備えたので、排ガスの量の増加を抑制することができ、高温にて揮発性成分を除去することができる。
その後、排ガス処理手段を用いてダストが取り除かれた排ガスをプレヒータの排ガス誘引手段以降へ戻すので、セメント焼成設備の操業に与える影響を小さくすることができる。
さらに、排ガスの量の増加を抑制するので、排ガスの処理装置を小型化することができ、その結果、セメント焼成設備の排ガスから揮発性成分を低コストで除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明のセメント製造設備における排ガスの処理方法及び処理装置の最良の形態について、図面に基づき説明する。
なお、本形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0031】
「第1の実施形態」
図1は、本発明の第1の実施形態のセメント製造設備における排ガスの処理装置を示す模式図であり、発生する排ガスの一部をプレヒータライジングダクトにて抽気し、この抽気された排ガスを、それに含まれる揮発性成分の融点の600℃〜700℃以下にまで低下させ、この揮発性成分が付着したダストを300℃以上の高温状態のまま捕集すると共に、このダストが取り除かれた排ガスをサスペンションプレヒータへ戻す排ガスの処理装置の例である。この図1では、図3と同一の構成要素には同一の符号を付してある。
【0032】
図において、41はセメント製造設備に付設された排ガス処理装置であり、セメントキルン6に接続されるプレヒータライジングダクト(窯尻部)7に先端部が挿入されプレヒータライジングダクト7から排出される排ガスの一部を抽気するプローブ(抽気手段)42と、循環ダストの搬送用空気とともに抽気された排ガスを冷却する冷却空気としても利用される空気を送風し、この排ガスをそれに含まれる揮発性成分である臭素や塩素等のハロゲン元素および/またはハロゲン化合物の融点の600℃〜700℃以下にまで低下させる冷却ファン(冷却手段)43と、この抽気された排ガス中の臭素や塩素等のハロゲン元素および/またはハロゲン化合物が付着したダストを300℃以上の高温状態のまま分離捕集するサイクロン型のダスト捕集装置(ダスト捕集手段)44と、このダストが取り除かれた排ガスをサスペンションプレヒータ排ガスライン25へ戻す排ガスライン(排ガス処理手段)45と、ダスト捕集装置44にて捕集されたダストを冷却ファン43から送風される搬送用空気により再度プローブ42に供給して循環使用する循環ダスト空気輸送装置(ダスト循環手段)46と、循環ダスト供給ライン47と、臭素や塩素等のハロゲン元素および/またはハロゲン化合物が付着したダストを貯留するダストサイロ48とにより構成されている。
【0033】
次に、この排ガス処理装置41を用いて排ガスを処理する方法について説明する。
(抽気工程)
セメントキルン6に接続されるプレヒータライジングダクト7から排出される排ガスの一部をプローブ42を用いて抽気する工程である。
この排ガスには、ダストの他、揮発性成分である塩素や臭素等のハロゲンおよび/またはハロゲン化合物、SO等の硫黄化合物が含まれている。
【0034】
(冷却工程)
循環ダスト空気輸送装置46により、ダスト捕集装置44にて捕集されたダストを冷却ファン43から送風される搬送用空気と共に再度プローブ42に供給し、これらダスト及び搬送用空気を用いて抽気された排ガスを、この排ガスに含まれる臭素や塩素等のハロゲン元素および/またはハロゲン化合物の融点の600℃〜700℃以下にまで低下させ、この臭素や塩素等のハロゲン元素および/またはハロゲン化合物を排ガス中のダストに付着させる工程である。
【0035】
例えば、臭素化合物の主成分をKBrとすれば、このKBrの融点は730℃であるから、この融点の600℃〜700℃以下にまで低下させる。これにより、排ガスに含まれる臭素化合物は析出して排ガス中のダストの表面に付着すると同時に、排ガス中のダスト量を高濃度にすることによって、臭素化合物の捕集率を高める。
また、同様に、排ガス中のダスト濃度を高くすることによって、抽気した排ガス中に含まれる硫黄化合物の捕集効率も高めることができる。したがって、排ガス中のSOx濃度を低下させることが可能になる。また、この排ガスの処理においては、必ずしも高温処理が必要とならないので、後述するサスペンションプレヒータ排ガスライン25に導入して処理することが可能になる。
【0036】
(ダスト捕集工程)
ダスト捕集装置44により、この臭素や塩素等のハロゲン元素および/またはハロゲン化合物が付着したダストを、300℃以上の高温状態のまま分離捕集する。
このダスト捕集装置44では、この臭素や塩素等のハロゲン元素および/またはハロゲン化合物が付着したダストを300℃以上の高温状態のまま分離捕集してダストサイロ48に搬送し貯留するとともに、このダストの一部を循環ダスト空気輸送装置46に搬送する。
【0037】
(ダスト循環工程)
循環ダスト空気輸送装置46では、ダスト捕集装置44から搬送された臭素や塩素等のハロゲン元素および/またはハロゲン化合物が付着したダストを、冷却ファン43からの搬送用及び冷却用空気とともに循環ダスト供給ライン47を経由してプローブ42に搬送し、抽気した排ガスの冷却媒体として循環利用する。
このように、ダスト捕集装置44にて捕集したダストをプローブ42に供給することで循環使用するので、抽気した排ガス中のダスト濃度を高くし、臭素や塩素等のハロゲン元素および/またはハロゲン化合物の捕集効率を高くすることが可能である。
【0038】
(排ガス処理工程)
上記のダスト捕集装置44にてダストが分離捕集されて取り除かれた排ガスを、排ガスライン45を介してサスペンションプレヒータ排ガスライン25へ戻す工程である。
このダストが取り除かれた排ガスは、サスペンションプレヒータ排ガスライン25及び吸引ファン14を経由してセメント原料を乾燥粉砕する原料ミル2に投入されて処理される。
【0039】
この工程では、サイクロン型のダスト捕集装置44を用いることにより、高温度でのダスト捕集が可能となり、このダストが取り除かれた排ガスをサスペンションプレヒータ4の所定の個所に導入して処理を行った場合においても、抽気した排ガスの温度を高く保ったまま、更に排ガスの流量を大きく増加することなくして処理が可能である。よって、排ガスを導入することによるセメント焼成設備の操業に与える影響を小さくすることができる。
【0040】
以上により、抽気する排ガスの量に対して50%程度の冷却空気と、ダスト捕集装置44にて捕集したダストを循環使用することにより、抽気した排ガスを、この排ガスに含まれる臭素や塩素等のハロゲン元素および/またはハロゲン化合物の融点の600℃〜700℃以下にまで低下させてハロゲン元素および/またはハロゲン化合物を除去すると同時に、SO等の硫黄化合物の脱硫も同時に行うので、この排ガスをサスペンションプレヒータ排ガスライン25に導入し処理することができる。
したがって、プレヒータライジングダクト7から従来の塩素バイパス装置にて抽気するガス量以上のガスを抽気した場合であっても、セメント焼成設備の操業に与える影響を従来装置の1/5〜1/2程度まで減少させることができる。
【0041】
一般に、図3に示すような従来の塩素バイパス装置では、セメントクリンカを焼成するための熱量原単位に与える影響として、次に挙げる(A)及び(B)の2種類の熱損失がある。
(A)セメントキルン窯尻から高温ガスを抽気するために損失する損失熱。
(B)塩素バイパス装置の冷却された排ガスを燃焼用空気として仮焼炉に使用するために、燃焼用空気が温度が低下することによる損失熱。
これらの熱損失のうち、(B)の熱損失によるセメントクリンカ焼成熱量原単位に与える影響は、(A)の熱損失による熱量原単位に与える影響の5〜12倍に相当することが一般に知られている。
また、(B)の熱損失によるセメント焼成装置の操業に与える影響によって、セメントクリンカ焼成能力の低下もあり得るものである。
【0042】
また、一般のセメント焼成設備においては、低温度の空気をセメント焼成設備の高温度の燃料燃焼用空気として導入することの影響度は、セメントキルンに接続されるプレヒータライジングダクト(窯尻部)や最下段サイクロン4dの出口で同じガス量の高温度の燃焼ガスを抽気することによる影響度と比較して大きくなる場合が多い。
従来の塩素バイパス装置では、塩素などのハロゲン化合物の捕集効率を第一として考えていたために、セメントキルンのプレヒータライジングダクトから約2%の高温ガス(約1000℃)の抽気と、この抽気される排ガス量の5〜10倍の冷却空気量を装置に導入し、ダストを捕集した後、排ガスを仮焼炉の燃料燃焼用空気ダクトに導入して処理しているが、セメントクリンカの焼成熱量原単位については、約1.5〜2.5%程度の増加がみられ、セメント焼成設備の操業に与える影響は大きい。
【0043】
本発明は、従来の塩素バイパス装置の有する欠点を解消したものであり、プレヒータライジングダクト7から2%以上の高温ガスを抽気した場合であっても、セメント焼成設備の操業に与える影響を従来装置の1/5〜1/2程度まで減少させることができるものである。
【0044】
「第2の実施形態」
図2は、本発明の第2の実施形態のセメント製造設備における排ガスの処理装置を示す模式図であり、本実施形態の排ガス処理装置51が、第1の実施形態の排ガス処理装置41と異なる点は、第1の実施形態の排ガス処理装置41では、プレヒータライジングダクト7から排出される排ガスの一部をプローブ42を用いて抽気し、さらに、ダスト捕集装置44にてダストが分離捕集されて取り除かれた排ガスを、排ガスライン45を介してサスペンションプレヒータ排ガスライン25へ戻していたのに対し、本実施形態の排ガス処理装置51では、サスペンションプレヒータ4の最下段のサイクロン4dの出口から排出される排ガスの一部をプローブ42を用いて抽気し、さらに、ダスト捕集装置44にてダストが分離捕集されて取り除かれた排ガスを、排ガスライン52及び吸引ファン53を介してサスペンションプレヒータ排ガスライン25の吸引ファン14以降へ戻している点である。
【0045】
この排ガス処理装置51では、排ガスの抽気位置を最下段のサイクロン4dの出口としたので、得られるダストの塩素化合物に対する臭素化合物の濃度比を高くすることが可能である。
また、セメントキルン6や仮焼炉5にて発生したSOは、最下段のサイクロン4dで仮焼されたセメント原料によって脱硫されているので、抽気された排ガスに含まれるSOの量は少ない。これにより、排ガスをサスペンションプレヒータ排ガスライン25の誘引ファン14以降に導入し、後続するセメント原料を乾燥粉砕する原料ミル2の熱源として利用することができる。
【0046】
さらに、最下段のサイクロン4dの出口から抽気される排ガス中には、プレヒータライジングダクト7からの排ガスと比較して、塩素および/または塩素化合物の含有量(濃度)が1/3〜1/4となっている反面、臭素および/または臭素化合物の含有量は同等となっていることが多い。
この排ガス処理装置51では、ダストが分離捕集されて取り除かれた排ガスは、プレヒータライジングダクト7からの排ガスと比較して塩素化合物濃度に対する臭素化合物濃度比が高くなっているので、排ガス中の臭素および/または臭素化合物を選択して捕集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施形態のセメント製造設備における排ガス処理装置を示す模式図である。
【図2】本発明の第2の実施形態のセメント製造設備における排ガス処理装置を示す模式図である。
【図3】従来の塩素バイパス装置を付設したセメント製造設備を示す模式図である。
【符号の説明】
【0048】
4 サプペンションプレヒータ
4a〜4d サイクロン
5 仮焼炉
6 セメントキルン
7 プレヒータライジングダクト
8 バーナー
9 クリンカクーラ
14 吸引ファン
15 冷却ファン
23 セメントクリンカ搬送ライン
24 燃焼用空気ダクト
25 サスペンションプレヒータ排ガスライン
41 排ガス処理装置
42 プローブ
43 冷却ファン
44 ダスト捕集装置
45 排ガスライン
46 循環ダスト空気輸送装置
47 循環ダスト供給ライン
48 ダストサイロ
51 排ガス処理装置
52 排ガスライン
53 吸引ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント原料をセメント焼成設備にて焼成する際に発生する排ガスの一部を抽気し、この抽気された排ガスから揮発性成分を除去するセメント焼成設備における排ガスの処理方法であって、
セメント原料を仮焼するプレヒータ、この仮焼されたセメント原料を焼成するセメントキルン、のいずれかから排出される排ガスの一部を抽気する抽気工程と、
この抽気された排ガスを、この排ガスに含まれる揮発性成分の融点の600℃〜700℃以下にまで低下させ、この揮発性成分を該排ガスに含まれるダストに付着させる冷却工程と、
この揮発性成分が付着したダストを300℃以上の高温状態のまま捕集するダスト捕集工程と、
このダストが取り除かれた排ガスを前記プレヒータへ戻す排ガス処理工程と、
を備えてなることを特徴とするセメント焼成設備における排ガスの処理方法。
【請求項2】
セメント原料をセメント焼成設備にて焼成する際に発生する排ガスの一部を抽気し、この抽気された排ガスから揮発性成分を除去するセメント焼成設備における排ガスの処理方法であって、
セメント原料を仮焼するプレヒータ、この仮焼されたセメント原料を焼成するセメントキルン、のいずれかから排出される排ガスの一部を抽気する抽気工程と、
この抽気された排ガスを、この排ガスに含まれる揮発性成分の融点の600℃〜700℃以下にまで低下させ、この揮発性成分を該排ガスに含まれるダストに付着させる冷却工程と、
この揮発性成分が付着したダストを300℃以上の高温状態のまま捕集するダスト捕集工程と、
このダストが取り除かれた排ガスを前記プレヒータの排ガス誘引手段以降へ戻す排ガス処理工程と、
を備えてなることを特徴とするセメント焼成設備における排ガスの処理方法。
【請求項3】
前記抽気工程は、前記セメントキルンの窯尻部から排ガスの一部を抽気する工程であることを特徴とする請求項1または2記載のセメント焼成設備における排ガスの処理方法。
【請求項4】
前記抽気工程は、前記プレヒータの最下段のサイクロンから排ガスの一部を抽気する工程であることを特徴とする請求項1または2記載のセメント焼成設備における排ガスの処理方法。
【請求項5】
前記ダスト捕集工程にて捕集されたダストを搬送用空気と共に前記冷却工程の冷却媒体として循環利用するダスト循環工程を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載のセメント焼成設備における排ガスの処理方法。
【請求項6】
セメント原料をセメント焼成設備にて焼成する際に発生する排ガスの一部を抽気し、この抽気された排ガスから揮発性成分を除去するセメント焼成設備における排ガスの処理装置であって、
セメント原料を仮焼するプレヒータ、この仮焼されたセメント原料を焼成するセメントキルン、のいずれかから排出される排ガスの一部を抽気する抽気手段と、
この抽気された排ガスを、この排ガスに含まれる揮発性成分の融点の600℃〜700℃以下にまで低下させ、この揮発性成分を該排ガスに含まれるダストに付着させる冷却手段と、
この揮発性成分が付着したダストを300℃以上の高温状態のまま捕集するダスト捕集手段と、
このダストが取り除かれた排ガスを前記プレヒータへ戻す排ガス処理手段と、
を備えてなることを特徴とするセメント焼成設備における排ガスの処理装置。
【請求項7】
セメント原料をセメント焼成設備にて焼成する際に発生する排ガスの一部を抽気し、この抽気された排ガスから揮発性成分を除去するセメント焼成設備における排ガスの処理装置であって、
セメント原料を仮焼するプレヒータ、この仮焼されたセメント原料を焼成するセメントキルン、のいずれかから排出される排ガスの一部を抽気する抽気手段と、
この抽気された排ガスを、この排ガスに含まれる揮発性成分の融点の600℃〜700℃以下にまで低下させ、この揮発性成分を該排ガスに含まれるダストに付着させる冷却手段と、
この揮発性成分が付着したダストを300℃以上の高温状態のまま捕集するダスト捕集手段と、
このダストが取り除かれた排ガスを前記プレヒータの排ガス誘引手段以降へ戻す排ガス処理手段と、
を備えてなることを特徴とするセメント焼成設備における排ガスの処理装置。
【請求項8】
前記ダスト捕集手段にて捕集されたダストを搬送用空気と共に前記冷却手段の冷却媒体として循環利用するダスト循環手段を設けてなることを特徴とする請求項6または7記載のセメント焼成設備における排ガスの処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−261886(P2007−261886A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−89960(P2006−89960)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【Fターム(参考)】