説明

センサ試験用装置

【課題】デジタル式又はアナログ式等、あらゆる種類のセンサの試験を1つの装置で行うことができ、しかも、回路の追加及び拡張が可能なセンサ試験用装置を提供する。
【解決手段】センサ試験用装置1は、センサ用コネクタ2と、アナログ−デジタル混載可能なプログラマブルIC3と、無線モジュール4と、拡張用コネクタ5と、これらの電子部品間の配線パターン回路60を可変に設定することができるPLD6を備える。これにより、センサ試験用装置1の機能を拡張するための電子部品を備えた拡張用基板7を拡張用コネクタ5に接続することができる。好ましくは、実装時には、センサ用コネクタ2と拡張用コネクタ5とを一の基板の中央部の表,裏にそれぞれ配すると共に、センサ試験用装置1の重心が基板の中央部に位置するように、その他の電子部品を基板に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加速度等の物理量センサの試験を行うためのセンサ試験用装置に関し、特にPLD等のプログラム可能なデバイスを利用したセンサ試験用装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のセンサ試験用装置としては、例えば、特許文献1に開示の技術がある。
図14は、従来のセンサ試験用装置を示すブロック図である。
図14に示すように、このセンサ試験用装置100は、PLDで構成したモジュール制御回路101と、センサ等の評価対象モジュール102との間に、その間の配線の一部を成す配線パターン回路103を設けている。そして、配線パターン回路103をPLDによって構築することにより、モジュール制御回路101や評価対象モジュール102の仕様に合わせた配線の可変設定ができるようにしている。これにより、モジュール制御回路101の構築をより容易にかつ迅速に行うと共に、試験期間の短縮、手間及び費用の削減を図っている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−70922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来の技術では、次のような問題がある。
上記従来のセンサ試験用装置では、センサ等のモジュールからのデジタル信号を処理するする構成である。つまり、モジュール制御回路101や配線パターン回路103は、デジタル信号を処理するデジタル回路だけをプログラマブルに形成することができるPLDで構成されている。ところが、センサ等には、物理量をデジタル信号で出力するものだけでなく、アナログ信号で出力するものも多い。しかし、当該従来のセンサ試験用装置では、アナログ信号を処理するアナログ回路をプログラマブルに構成することができないので、このようなセンサに対応することができず、汎用性に欠ける問題がある。また、このような回路を追加及び拡張することができる手段もない。
【0005】
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、デジタル式又はアナログ式等、あらゆる種類のセンサの試験を1つの装置で行うことができ、しかも、回路の追加及び拡張が可能なセンサ試験用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明に係るセンサ試験用装置は、アナログ信号を出力するセンサを接続可能な複数のアナログ信号ピン,及びデジタル信号を出力するセンサを接続可能な複数のデジタル信号ピンを有したセンサ用コネクタと、このセンサ用コネクタの複数のアナログ信号ピンに接続された複数のアナログ信号端子,複数のデジタル信号ピンの一部のデジタル信号ピンに接続された複数のデジタル信号端子,及び他の複数のデジタル信号端子を有し、少なくとも上記複数のアナログ信号端子から入力したアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換回路とデジタル信号をアナログ信号に変換して上記複数のアナログ信号端子に出力可能なデジタル−アナログ変換回路とが内部に構築されたデジタル−アナログ混載可能なプログラマブルICと、デジタル信号を無線又は有線で送受信するための通信回路と、複数のデジタル信号ピンを有した拡張用コネクタと、センサ用コネクタのデジタル信号ピンの残部のデジタル信号ピン,プログラマブルICの他の複数のデジタル信号端子,通信回路の入出力端子,及び拡張用コネクタの複数のデジタル信号ピンを電気的に接続して、これらピン及び端子間でのデジタル信号の入出力を可能にする配線パターン回路が内部に構築されたPLDとを備える構成とした。
かかる構成により、アナログ信号を出力するセンサをセンサ用コネクタに接続すると、センサが、センサ用コネクタの複数のアナログ信号ピンとプログラマブルICの複数のアナログ信号端子とを通じてプログラマブルICに電気的に接続される。これにより、センサからのアナログ信号が、プログラマブルICに入力され、アナログ−デジタル変換回路によって、デジタル信号に変換される。そして、このデジタル信号に対応したデジタル信号が、プログラマブルICの他の複数のデジタル信号端子からPLDの配線パターン回路を通じて通信回路に入力される。この結果、このデジタル信号が通信回路に接続されたコンピュータ等に送られる。また、コンピュータ等から通信回路に送られた制御信号等のデジタル信号は、通信回路からPLDの配線パターン回路を通じてプログラマブルIC内に送られる。すると、デジタル−アナログ変換回路により、アナログ信号に変換され、このアナログ信号が、プログラマブルICのアナログ信号端子とセンサ用コネクタのアナログ信号ピンを通じてセンサに送られる。
また、デジタル信号を出力するセンサをセンサ用コネクタに接続すると、センサが、センサ用コネクタの複数のデジタル信号ピンの一部のデジタル信号ピンを通じてプログラマブルICの複数のデジタル信号端子に接続されると共に、残部のデジタル信号ピンとPLDの配線パターン回路を通じてプログラマブルICの他の複数のデジタル信号端子に接続される。これにより、センサからのデジタル信号は、デジタル信号端子を通じてプログラマブルICに入力され、しかる後、このデジタル信号に対応したデジタル信号が、プログラマブルICの他の複数のデジタル信号端子からPLDの配線パターン回路を通じて通信回路に入力される。この結果、このデジタル信号が通信回路に接続されたコンピュータ等に送られる。また、コンピュータ等から通信回路に送られた制御信号等のデジタル信号は、通信回路からPLDの配線パターン回路を通じてプログラマブルIC内に送られる。すると、このデジタル信号は、デジタル信号端子及びPLDの配線パターン回路を通じてセンサに送られる。
また、センサからのアナログ信号やデジタル信号は、プログラマブルICからPLDの配線パターン回路を通じてデジタル信号として、拡張用コネクタに送ることができる。さらに、コンピュータ等から通信回路に送られた制御信号等のデジタル信号も、PLDの配線パターン回路を通じて拡張用コネクタに送ることができる。したがって、所定の機能を有した拡張用基板をこの拡張用コネクタに接続することで、センサ試験用装置全体の機能を拡張することができる。
ところで、デジタル又はアナログのセンサは、加速度センサ,圧力センサや超音波センサ等、各種のセンサがある。このような場合には、この発明に係るセンサ試験用装置がPLDを採用しているので、各種センサからの信号を取得することができる配線パターンをPLDで容易に構築することができる。また、デジタル−アナログ混載可能なプログラマブルICを採用しているので、各種センサからの信号を処理する回路をプログラマブルICに構築することができる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のセンサ試験用装置において、プログラマブルICに、複数のデジタル信号端子から入力されたデジタル信号又はアナログ−デジタル変換回路から出力されたデジタル信号に所定の信号処理を行って、他の複数のデジタル信号端子を通じてPLDに出力する信号処理部を構築した構成とする。
かかる構成により、各種センサの信号処理をプログラマブルIC内で行うことができる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載のセンサ試験用装置において、プログラマブルICは、複数のデジタル信号端子から入力されたデジタル信号又はアナログ−デジタル変換回路から出力されたデジタル信号に対して信号処理を行わずに、当該デジタル信号を他の複数のデジタル信号端子を通じてPLDに出力する構成とした。
かかる構成により、各種センサの信号処理を、プログラマブルICで行わず、通信回路に接続されたコンピュータ等で行うようにすることができる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のセンサ試験用装置において、センサ用コネクタの複数のアナログ信号ピンに直接接続された複数のアナログ信号ピン又はセンサ用コネクタの複数のデジタル信号ピンに直接接続された複数のデジタル信号ピンのいずれかを、拡張用コネクタに設けた構成とする。
かかる構成により、センサからの信号を、プログラマブルICやPLDに送らず、拡張用コネクタを通じて、拡張用コネクタに接続された拡張用基板に送ることができる。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4に記載のセンサ試験用装置において、センサ用コネクタとプログラマブルICと通信回路と拡張用コネクタとPLDとを一の基板に取り付け、センサ用コネクタを当該一の基板の一方の面の中央部に配置すると共に、拡張用コネクタを当該基板の他方の面であって、当該センサ用コネクタの配置位置の真裏になるように配置した構成とする。
かかる構成により、センサ搭載基板や拡張用基板を一の基板の真下又は真上に接続することができるので、これらの基板の接続時における幅方向の面積を小さくすることができる。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載のセンサ試験用装置において、装置の重心位置が一の基板の中央部になるように、センサ用コネクタ,通信回路,拡張用コネクタ,及びその他の部品を、一の基板に配置した構成とする。
かかる構成により、装置の重心位置が一の基板の中央部になるので、センサ試験用装置自体を自由落下させる加速度センサの試験等を行う場合に、センサ試験用装置の無用な回転を防止することができる。
【0012】
請求項7の発明は、請求項5又は請求項6に記載のセンサ試験用装置において、拡張用コネクタと接続可能な第1のコネクタが中央部に配置されると共に第2のコネクタが当該第1のコネクタの配置位置の真裏に配置され、且つ所定の複数の電子部品が取り付けられた拡張用基板を、第1のコネクタと拡張用コネクタとの接続を通じて、一の基板に電気的に接続した構成とする。
かかる構成により、センサ試験用装置の拡張用コネクタに拡張用基板の第1のコネクタを接続することで、センサ試験用装置の機能を拡張することができる。そして、別の又は追加の機能を有する拡張用基板を構成し、その第1のコネクタをセンサ試験用装置に接続されている拡張用基板の第2のコネクタに接続することで、さらなる機能の拡張を図ることができる。
【0013】
請求項8の発明は、請求項7に記載のセンサ試験用装置において、重心位置が基板の中央部になるように、所定の複数の電子部品を、拡張用基板に配置した構成とする。
かかる構成により、センサ試験用装置と共に拡張用基板をも自由落下させる試験等を行う場合に、センサ試験用装置及び拡張用基板の無用な回転を防止することができ、より正確な試験を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
以上詳しく説明したように、この発明のセンサ試験用装置によれば、デジタル−アナログ混載可能なプログラマブルICを用いて、アナログ信号とデジタル信号との間で変換が可能なアナログ−デジタル変換回路やデジタル−アナログ変換回路を構築したので、デジタル信号を出力するデジタルセンサだけでなく、アナログ信号を出力するアナログセンサにも対応することができるという優れた効果がある。さらに、プログラマブルIC及びPLDを用いて各種のセンサに対応する回路や配線パターンを構築することができるので、1つの装置で各種のセンサに対応することができる汎用性に優れたセンサ試験用装置を提供することができるという効果がある。また、拡張用コネクタに拡張用基板を接続して、装置の機能を拡張することができるという効果がある。
【0015】
特に、請求項5の発明によれば、センサ搭載基板や拡張用基板の接続時において、幅方向の面積を小さくすることができるので、その分センサ試験用装置全体の小型化を図ることができる。
【0016】
また、請求項6の発明によれば、センサ試験用装置自体を自由落下させる加速度センサの試験等の場合に、センサ試験用装置の無用な回転を防止することができるので、より正確な試験を行うことができる。
【0017】
また、請求項7の発明によれば、多数の拡張用基板をセンサ試験用装置の基板に連続的に接続することができるので、機能のより一層の拡張が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、この発明の第1実施例に係るセンサ試験用装置のブロック図である。
図1に示すように、この実施例のセンサ試験用装置1は、センサ用コネクタ2と、プログラマブルIC3と、通信回路としての無線モジュール4と、拡張用コネクタ5と、PLD6とを備えている。
【0020】
センサ用コネクタ2は、試験を行うセンサを接続するためのコネクタであり、アナログ信号を出力するセンサを接続可能な複数のアナログ信号ピン21Aと、デジタル信号を出力するセンサを接続可能な複数のデジタル信号ピン22D,23Dと、その他のピン24とを有している。
【0021】
プログラマブルIC3は、デジタル−アナログ混載可能なプログラマブルICであり、この実施例では、PSoC(Programmable System on Chip:「PSoC」はサイプレス セミコンダクタ社の登録商標である)を用いた。
このプログラマブルIC3は、複数のアナログ信号端子31Aと、複数のデジタル信号端子32Dと、他の複数のデジタル信号端子としてのデジタル信号端子33Dと、その他の複数の端子34,35を有している。
複数のアナログ信号端子31Aは、図示しない配線パターンによってセンサ用コネクタ2の複数のアナログ信号ピン21Aに直接に接続されており、複数のデジタル信号端子32Dは、図示しない配線パターンによって一部のデジタル信号ピンとしてのデジタル信号ピン22Dに直接接続されている。
また、デジタル信号端子33Dは、後述するPLD6の複数のデジタル信号端子61Dに接続され、端子34は、後述するプログラマブルIC3内部に外部からアクセスするJTAG(Joint Test Action Group)を接続するためのコネクタ36に接続され、端子35は、液晶表示パネル等の外部表示装置を接続するためのコネクタ37に接続されている。
このプログラマブルIC3には、アナログ−デジタル変換回路3Aとデジタル−アナログ変換回路3Dとが構築されている。
これにより、アナログ−デジタル変換回路3Aが、アナログ信号端子31Aから入力したアナログ信号をデジタル信号に変換する。また、デジタル−アナログ変換回路3Dが、デジタル信号端子33D等から入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換して、アナログ信号端子31Aに出力することができる。
また、このプログラマブルIC3には、信号処理部としてのCPU3Cが構築されている。このCPU3Cは、デジタル信号端子32D,33Dから入力されたデジタル信号やアナログ−デジタル変換回路3Aから出力されたデジタル信号に、試験するセンサに対応したデータ処理を行い、その結果をデジタル信号端子33Dや端子35を通じてPLD6や液晶表示パネル等に出力する。
なお、プログラマブルIC3の内部に構築する回路は、試験をするセンサに対応して構築することができる。したがって、圧力等のアナログ物理量を検出するセンサに対応させる場合には、アナログ−デジタル変換回路3A,デジタル−アナログ変換回路3Dだけでなく、アンプやフィルタ等のアナログ回路を構築することができる。
すなわち、プログラマブルIC3の内部回路のデザインを、各センサに対応して変更することで、異なる種類のセンサの信号処理を行うようにすることができる。
【0022】
無線モジュール4は、プログラマブルIC3からのデータや外部のコンピュータからのデータ,制御信号等を無線で送受信するための通信回路である。
また、このセンサ試験用装置1には、RS232Cトランシーバ40が設けられている。このRS232Cトランシーバ40は、PLD6に接続されており、RS232Cトランシーバ40に接続されたコネクタ45を外部のコンピュータ等に接続することで、コンピュータ等と有線でデータの送受信を行うことができるようになっている。
【0023】
拡張用コネクタ5は、後述する拡張用基板を接続するためのコネクタであり、複数のデジタル信号ピン51Dとその他のピン52とを有している。
デジタル信号ピン51Dは、後述するPLD6のデジタル信号端子64Dに接続されており、ピン52は、センサ用コネクタ2のピン24と直接接続されている。したがって、ピン24がアナログ信号ピンとして用いられる場合には、ピン52もアナログ信号ピンとして用いられ、ピン24がデジタル信号ピンとして用いられる場合には、ピン52もデジタル信号ピンとして用いられる。
【0024】
PLD6は、プログラマブルロジックディバイス(Programmable Logic Device)であり、FPGA(Field Programmable Gate Array)やCPLD(Complex Programmable Logic Device)を含む概念のデバイスである。
このPLD6の内部には、配線パターン回路60が構築されており、PLD6の外周辺には、配線パターン回路60の入出力端子となるデジタル信号端子61D〜64Dが配設されている。
複数のデジタル信号端子61Dは、上記したようにプログラマブルIC3のデジタル信号端子33Dに接続され、複数のデジタル信号端子62Dは、センサ用コネクタ2の残部のデジタル信号ピンとしてのデジタル信号ピン23Dに接続され、複数のデジタル信号端子63Dは、無線モジュール4の入出力端子41Dに接続され、複数のデジタル信号端子64Dは、上記したように、拡張用コネクタ5のデジタル信号ピン51Dに接続されている。また、複数の入出力端子63Dの一部の端子は、RS232Cトランシーバ40に接続されている。
これにより、デジタル信号を、配線パターン回路60を通じて、センサ用コネクタ2のデジタル信号ピン23DとプログラマブルIC3のデジタル信号端子33Dと無線モジュール4の入出力端子41Dと拡張用コネクタ5のデジタル信号ピン51Dとの間で入出力させることができるようになっている。
すなわち、PLD6の配線パターン回路60のデザインを、各センサに対応して変更することで、異なる種類のセンサの信号経路を変更させることができる。
また、PLD6に、論理回路を構築して、プログラマブルIC3の補助機能を持たせるようにすることもできる。
【0025】
次に、この実施例のセンサ試験用装置1が示す作用及び効果について説明する。
図2は、センサ試験用装置1の使用例を示すブロック図である。
図2に示すように、試験を行うセンサ201のコネクタ202を、センサ試験用装置1のセンサ用コネクタ2に接続すると共に、コンピュータ210と無線モジュール4との通信を可能な状態に設定する。
センサ201がアナログセンサの場合には、検知した物理量がアナログ信号としてコネクタ202を介してセンサ用コネクタ2に入力し、アナログ信号ピン21A及びアナログ信号端子31Aを通じてプログラマブルIC3に入力する。
すると、アナログ信号が、アナログ−デジタル変換回路3Aによってデジタル信号に変換される。そして、このデジタル信号が、CPU3Cによって処理され、デジタル信号端子33DからPLD6の配線パターン回路60に入力する。これにより、デジタル信号は、デジタル信号端子63D及び入出力端子41Dを通じて無線モジュール4に入力される。すると、このデジタル信号が無線モジュール4からコンピュータ210に無線送信される。
一方、コンピュータ210から無線送信したデータや制御信号等のデジタル信号は、無線モジュール4で受信され、入出力端子41D及びデジタル信号端子63Dを通じてPLD6の配線パターン回路60に入力する。すると、このデジタル信号は、デジタル信号端子61D及びデジタル信号端子33Dを通じてプログラマブルIC3内に送られる。そして、センサ201に送るべきデジタル信号は、デジタル−アナログ変換回路3Dによってアナログ信号に変換され、アナログ信号端子31A,センサ用コネクタ2のアナログ信号ピン21A及びコネクタ202を通じてセンサ201に送られる。
【0026】
また、センサ201がデジタルセンサの場合には、検知した物理量がデジタル信号としてコネクタ202を介してセンサ用コネクタ2に入力し、デジタル信号ピン22D及びデジタル信号端子32Dを通じてプログラマブルIC3に入力する。これと並行して、デジタル信号ピン23Dから出力するデジタル信号がデジタル信号端子62Dを通じてPLD6の配線パターン回路60内に入力し、デジタル信号端子61D及びデジタル信号端子33Dを通じてプログラマブルIC3内に入力する。
プログラマブルIC3内に入力したデジタル信号は、CPU3Cによって処理され、デジタル信号端子33DからPLD6の配線パターン回路60を介して無線モジュール4に入力される。これにより、このデジタル信号は無線モジュール4からコンピュータ210に無線送信される。
一方、コンピュータ210からのデータ等のデジタル信号は、無線モジュール4で受信された後、配線パターン回路60を介してセンサ用コネクタ2のデジタル信号ピン23DやプログラマブルIC3のデジタル信号端子33Dに出力される。そして、センサ用コネクタ2のデジタル信号ピン22Dに送るべきデジタル信号は、デジタル信号端子32Dに出力され、センサ用コネクタ2のデジタル信号ピン22Dに送られる。また、センサ用コネクタ2のデジタル信号ピン23Dに送るべきデジタル信号は、PLD6の配線パターン回路60を通じて送られる。このようにセンサ用コネクタ2に送られたデジタル信号は、コネクタ202を通じてセンサ201に入力される。
【0027】
図3は、拡張用基板を接続した状態を示すブロック図である。
センサ試験用装置1のプログラマブルIC3だけでは、十分な処理ができないような場合には、図3に示すように、拡張用基板7を接続することができる。
具体的には、拡張すべき機能を達成するための電子部品72,73等を拡張用基板7に搭載し、電子部品72,73に電気的に接続されたコネクタ71を拡張用基板7に配置する。ここで、電子部品72,73としては、例えば大容量PLD、アナログ−デジタル変換回路,デジタル−アナログ変換回路、マンマシンI/F、CPU、専用処理IC、インタフェースブリッジ等、所望の電子部品を適用することができる。そして、コネクタ71を拡張用コネクタ5に接続可能に設定し、PLD6のデジタル信号端子64Dが電子部品72,73に必要なデジタル信号の入出力端となるように、配線パターン回路60を設定する。
これにより、センサ201やコンピュータ210からの信号の内、拡張用基板7の電子部品72,73に必要なデジタル信号が、PLD6のデジタル信号端子64Dと拡張用コネクタ5のデジタル信号ピン51Dとコネクタ71とを通じて電子部品72,73に送られ、電子部品72,73が所定の処理を行う。この結果、センサ試験用装置1のプログラマブルIC3の機能が電子部品72,73によって拡張された状態になる。
また、必要な場合には、センサ201からの信号をセンサ用コネクタ2のピン24を通じて拡張用コネクタ5のピン52に直接送り、拡張用コネクタ5からコネクタ71を通じて電子部品72,73に入出力することで、センサ201に対する所定の処理を拡張用基板7から直接行うことができる。
【0028】
このように、この実施例のセンサ試験用装置1によれば、デジタル信号を出力するデジタルセンサだけでなく、アナログ信号を出力するアナログセンサにも対応することができる。さらに、プログラマブルIC3及びPLD6を用いて各種のセンサに対応する回路や配線パターン回路を構築することができるので、1つの装置で各種のセンサに対応することができる。また、拡張用コネクタ5に拡張用基板7を接続して、装置の機能を拡張することもできる。
【実施例2】
【0029】
次に、この発明の第2実施例について説明する。
図4は、この発明の第2実施例に係るセンサ試験用装置1を示すブロック図である。
この実施例は、プログラマブルIC3にデータ処理を行うためのCPU3Cを使用しない点が、上記第1実施例と異なる。
具体的には、図4に示すように、プログラマブルIC3には、アナログ−デジタル変換回路3Aとデジタル−アナログ変換回路3Dと、CPU3Cとを設けているが、CPU3Cの機能を使用しない構成になっている。
すなわち、プログラマブルIC3は、アナログ−デジタル変換回路3Aで生成されたデジタル信号や、デジタル信号端子32D,33Dから入力されたデジタル信号を、そのままデジタル信号端子33Dを通じてPLD6に出力する。これにより、デジタル信号がPLD6から無線モジュール4を通じてコンピュータ210(図2参照)に送られることとなる。
すなわち、この実施例では、センサ201(図2参照)に関する制御やデータ処理を、プログラマブルIC3で行わずに、コンピュータ210で行うことができる構成になっている。
【実施例3】
【0030】
次に、この発明の第3実施例について説明する。
図5は、この発明の第3実施例に係るセンサ試験用装置1の物理的構成を示す表面図であり、図6は、センサ試験用装置1の裏面図である。
この実施例では、センサ試験用装置1の物理的構成に特徴を持たせた。
この実施例では、図5及び図6に示すように、センサ用コネクタ2とプログラマブルIC3と無線モジュール4と拡張用コネクタ5とその他の部品とを一の基板10に取り付けて、センサ試験用装置1を構成した。
具体的には、図5に示すように、センサ用コネクタ2を基板10の表面10aの中央部に配置すると共に、図6に示すように、拡張用コネクタ5を基板10の裏面10bの中央部に配置して、センサ用コネクタ2の真裏に位置するようにした。
さらに、図5に示すように、センサ試験用装置1の重心位置が基板10の中央部になるように、プログラマブルIC3,無線モジュール4,PLD6,コネクタ36,37,RS232Cトランシーバ40,及びコネクタ45を表面10a上に配設した。
【0031】
図7は、センサ装置の物理的構成を示す表面図であり、図8は、センサ装置の裏面図であり、図9は、センサ装置をセンサ試験用装置1に接続する方法を示す側面図である。
図7に示すように、センサ201が基板200の表面200aの中央部に配置され、コネクタ202が裏面200bの中央部に配置されたセンサ装置8を作成し、コネクタ202を図5に示すセンサ試験用装置1のセンサ用コネクタ2に接続することができる構造に設定した。
これにより、図9の(a)に示すように、センサ装置8のコネクタ202を、センサ試験用装置1のセンサ用コネクタ2に向かって近づけることで、図9の(b)に示すように、センサ装置8のコネクタ202とセンサ試験用装置1のセンサ用コネクタ2とを接続することができる。
この結果、センサ装置8がセンサ試験用装置1の上に完全に重なった状態になり、センサ装置8とセンサ試験用装置1との接続体全体の重心がほぼ中央部に位置した状態になり、このため、センサ201が加速度センサであって、図7に示すセンサ装置8とセンサ試験用装置1との接続体を自由落下させる試験を行う場合に、この接続体が無用な回転をすることを防止することができる。この結果、加速度センサ試験を正確に行うことができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1及び第2実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【実施例4】
【0032】
次に、この発明の第4実施例について説明する。
図10は、この発明の第4実施例のセンサ試験用装置1を示す側面図であり、図11は、この実施例のセンサ試験用装置1に適用される拡張用基板の物理的構成を示す表面図であり、図12は、拡張用基板の裏面図であり、図13は、複数の拡張用基板をセンサ試験用装置1に接続した状態を示す側面図である。
【0033】
図10に示すように、この実施例のセンサ試験用装置1には、拡張用基板7が接続されている。
この拡張用基板7は、図11に示すように、センサ試験用装置1の拡張用コネクタ5と接続可能な第1のコネクタ71を基板本体70の表面70aの中央部に配置すると共に、図12に示すように、第2のコネクタ79を、基板本体70の裏面70bの中央部に配して、第1のコネクタ71の真裏に位置させた構造を成す。
そして、センサ試験用装置1の機能を拡張するための複数の電子部品72〜77を基板本体70の表面70aに実装した。このとき、拡張用基板7の重心位置が基板本体70の中央部になるように、複数の電子部品72〜77を配置した。
【0034】
これにより、図10に示すように、拡張用基板7をセンサ試験用装置1の下方に配し、第1のコネクタ71を拡張用コネクタ5に接続することで、センサ試験用装置1と拡張用基板7とを電気的に接続することができ、センサ試験用装置1の機能を拡張用基板7によって拡張することができる。
【0035】
センサ試験用装置1を使用する際には、上記第3実施例で示したセンサ装置8をセンサ試験用装置1の上に接続すると共に、拡張用基板7をセンサ試験用装置1の下に接続することで、より正確な試験を行うことができる。
また、図13に示すように、複数の拡張用基板7−1〜7−nをセンサ試験用装置1の下に連結することで、機能をより一層拡張することができる。
また、センサ試験用装置1と同様に、拡張用基板7−1〜7−nの全てにおいて、電子部品を、重心が基板本体の中央部になるように、配置することで、センサ試験用装置1,センサ装置8及び拡張用基板7−1〜7−nの接続体全体が無用な回転をすることを防止することができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1ないし第3実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、この発明の第1実施例に係るセンサ試験用装置のブロック図である。
【図2】図2は、センサ試験用装置の使用例を示すブロック図である。
【図3】図3は、拡張用基板を接続した状態を示すブロック図である。
【図4】図4は、この発明の第2実施例に係るセンサ試験用装置を示すブロック図である。
【図5】図5は、この発明の第3実施例に係るセンサ試験用装置の物理的構成を示す表面図である。
【図6】図6は、センサ試験用装置の裏面図である。
【図7】図7は、センサ装置の物理的構成を示す表面図である。
【図8】図8は、センサ装置の裏面図である。
【図9】図9は、センサ装置をセンサ試験用装置に接続する方法を示す側面図である。
【図10】図10は、この発明の第4実施例のセンサ試験用装置を示す側面図である。
【図11】図11は、この実施例のセンサ試験用装置に適用される拡張用基板の物理的構成を示す表面図である。
【図12】図12は、拡張用基板の裏面図である。
【図13】図13は、複数の拡張用基板をセンサ試験用装置に接続した状態を示す側面図である。
【図14】図14は、従来のセンサ試験用装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0037】
1…センサ試験用装置、 2…センサ用コネクタ、 3…プログラマブルIC、 3A…アナログ−デジタル変換回路、 3D…デジタル−アナログ変換回路、 3C…CPU、 4…無線モジュール、 5…拡張用コネクタ、 6…PLD、 7…拡張用基板、 8…センサ装置、 10,70…,200…基板、 10a,70a,200a…表面、 10b,70b,200b…裏面、 21A…アナログ信号ピン、 22D,23D,51D…デジタル信号ピン、 24,52…ピン、 31A…アナログ信号端子、 32D,33D,61D〜64D…デジタル信号端子、 34,35…端子、 36,37,45,71,79,202…コネクタ、 40…RS232Cトランシーバ、 41D…入出力端子、 60…配線パターン回路、 72〜77…電子部品、 201…センサ、 210…コンピュータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ信号を出力するセンサを接続可能な複数のアナログ信号ピン,及びデジタル信号を出力するセンサを接続可能な複数のデジタル信号ピンを有したセンサ用コネクタと、
このセンサ用コネクタの上記複数のアナログ信号ピンに接続された複数のアナログ信号端子,上記複数のデジタル信号ピンの一部のデジタル信号ピンに接続された複数のデジタル信号端子,及び他の複数のデジタル信号端子を有し、少なくとも上記複数のアナログ信号端子から入力したアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換回路とデジタル信号をアナログ信号に変換して上記複数のアナログ信号端子に出力可能なデジタル−アナログ変換回路とが内部に構築されたデジタル−アナログ混載可能なプログラマブルIC(Integrated Circuit)と、
デジタル信号を無線又は有線で送受信するための通信回路と、
複数のデジタル信号ピンを有した拡張用コネクタと、
上記センサ用コネクタのデジタル信号ピンの残部のデジタル信号ピン,上記プログラマブルICの上記他の複数のデジタル信号端子,上記通信回路の入出力端子,及び上記拡張用コネクタの複数のデジタル信号ピンを電気的に接続して、これらピン及び端子間でのデジタル信号の入出力を可能にする配線パターン回路が内部に構築されたPLD(Programmable Logic Device)と
を備えることを特徴とするセンサ試験用装置。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ試験用装置において、
上記プログラマブルICに、上記複数のデジタル信号端子から入力されたデジタル信号又は上記アナログ−デジタル変換回路から出力されたデジタル信号に所定の信号処理を行って、上記他の複数のデジタル信号端子を通じて上記PLDに出力する信号処理部を構築した、
ことを特徴とするセンサ試験用装置。
【請求項3】
請求項1に記載のセンサ試験用装置において、
上記プログラマブルICは、上記複数のデジタル信号端子から入力されたデジタル信号又は上記アナログ−デジタル変換回路から出力されたデジタル信号に対して信号処理を行わずに、当該デジタル信号を上記他の複数のデジタル信号端子を通じて上記PLDに出力する、
ことを特徴とするセンサ試験用装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のセンサ試験用装置において、
上記センサ用コネクタの複数のアナログ信号ピンに直接接続された複数のアナログ信号ピン又は上記センサ用コネクタの複数のデジタル信号ピンに直接接続された複数のデジタル信号ピンのいずれかを、上記拡張用コネクタに設けた、
ことを特徴とするセンサ試験用装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4に記載のセンサ試験用装置において、
上記センサ用コネクタとプログラマブルICと通信回路と拡張用コネクタとPLDとを一の基板に取り付け、
上記センサ用コネクタを当該一の基板の一方の面の中央部に配置すると共に、上記拡張用コネクタを当該基板の他方の面であって、当該センサ用コネクタの配置位置の真裏になるように配置した、
ことを特徴とするセンサ試験用装置。
【請求項6】
請求項5に記載のセンサ試験用装置において、
装置の重心位置が上記一の基板の中央部になるように、上記センサ用コネクタ,通信回路,拡張用コネクタ,及びその他の部品を、一の基板に配置した、
ことを特徴とするセンサ試験用装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載のセンサ試験用装置において、
上記拡張用コネクタと接続可能な第1のコネクタが中央部に配置されると共に第2のコネクタが当該第1のコネクタの配置位置の真裏に配置され、且つ所定の複数の電子部品が取り付けられた拡張用基板を、上記第1のコネクタと上記拡張用コネクタとの接続を通じて、上記一の基板に電気的に接続した、
ことを特徴とするセンサ試験用装置。
【請求項8】
請求項7に記載のセンサ試験用装置において、
重心位置が基板の中央部になるように、上記所定の複数の電子部品を、上記拡張用基板に配置した、
ことを特徴とするセンサ試験用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−80068(P2009−80068A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−250740(P2007−250740)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)