センサ
【課題】半導体基板上に簡易に形成可能なセンサを提供する。
【解決手段】加速度または圧力を検出するセンサは、前記加速度または圧力が与えられ、前記加速度または圧力に応じた周波数の電圧または電流を出力する第1の半導体素子と、前記第1の半導体素子の出力に基づいて、前記加速度または圧力に対応したセンサ値を生成する検出部と、を備える。前記第1の半導体素子は、半導体基板に形成される第1の音響波伝播層と、前記第1の音響波伝播層内に音響波を閉じ込めるように形成される第1の音響波反射層と、前記第1の音響波伝播層に形成され、前記検出部と接続される第1のコンタクトと、有する。
【解決手段】加速度または圧力を検出するセンサは、前記加速度または圧力が与えられ、前記加速度または圧力に応じた周波数の電圧または電流を出力する第1の半導体素子と、前記第1の半導体素子の出力に基づいて、前記加速度または圧力に対応したセンサ値を生成する検出部と、を備える。前記第1の半導体素子は、半導体基板に形成される第1の音響波伝播層と、前記第1の音響波伝播層内に音響波を閉じ込めるように形成される第1の音響波反射層と、前記第1の音響波伝播層に形成され、前記検出部と接続される第1のコンタクトと、有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、センサに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路上に形成可能な圧力センサや加速度センサとして、MEMS(Micro Electro Mechanical System)構造のデバイスが多く用いられている。MEMSはシリコン基板に形成可能ではあるが、通常のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)プロセスでの形成は困難であり、さらなる高集積化には不向きであるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−58819号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】John J. Hall, “Electronic Effects in the Elastic Constants of n-Type Silicon”, Physical Review, Volume 161, No.3, Sept. 1967, pp161
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体基板上に簡易に形成可能なセンサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、加速度または圧力を検出するセンサは、前記加速度または圧力が与えられ、前記加速度または圧力に応じた周波数の電圧または電流を出力する第1の半導体素子と、前記第1の半導体素子の出力に基づいて、前記加速度または圧力に対応したセンサ値を生成する検出部と、を備える。前記第1の半導体素子は、半導体基板に形成される第1の音響波伝播層と、前記第1の音響波伝播層内に音響波を閉じ込めるように形成される第1の音響波反射層と、前記第1の音響波伝播層に形成され、前記検出部と接続される第1のコンタクトと、有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】半導体素子100の上面図。
【図2】半導体素子100の斜視図。
【図3】半導体素子100の断面図。
【図4】第1の実施形態に係るセンサ50の概略構成を示すブロック図。
【図5】センサ51の概略構成を示すブロック図。
【図6】センサ52の概略構成を示すブロック図。
【図7】第2の実施形態に係るセンサ53の概略構成を示すブロック図。
【図8】第3の実施形態に係るセンサ54の概略構成を示すブロック図。
【図9】第4の実施形態に係るセンサに用いられる半導体素子150の斜視図。
【図10】第4の実施形態に係るセンサ55の概略構成を示すブロック図。
【図11】第5の実施形態で用いられる半導体素子100a,100bの上面図。
【図12】第5の実施形態に係るセンサ56の概略構成を示すブロック図。
【図13】第6の実施形態に係るセンサ57の概略構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1〜図3はそれぞれ、センサに用いられる半導体素子100の上面図、斜視図および断面図である。半導体素子100は、シリコン基板(半導体基板)10と、p型拡散層(音響波伝播層)1と、SiO2膜(音響波反射層)2と、nウェル3と、コンタクト4と、配線5とを備えている。
【0010】
シリコン基板10の表面には、例えば不純物としてリンあるいはヒ素がドーピングされたnウェル3が形成される。nウェル3の内側に、例えば不純物としてホウ素がドーピングされたp型拡散層1が形成される。p型拡散層1を上面から見た形状は、短辺および長辺を有する略長方形である。
【0011】
nウェル3の内側で、p型拡散層1を囲うように溝6がシリコン基板10に形成され、その中にSiO2膜2が埋め込まれている。SiO2膜2は、いわゆるSTI(Shallow Trench Isolation)と呼ばれる構造であり、p型拡散層1をシリコン基板10上に形成される他の素子と電気的に分離する。コンタクト4は、p型拡散層1上に形成され、p型拡散層1と配線5とを電気的に接続する。配線5は他の素子(不図示)と接続される。
【0012】
図1〜図3の半導体素子100は簡易な構造であるため、通常のCMOSプロセスにより形成できる。
【0013】
一般に、キャリアを有する半導体中では、電荷密度が変化すると体積が変化し、体積が変化すると電荷密度が変化すること、すなわち、電気と機械振動との相互作用が知られている。より具体的には、ρを電荷密度、Φを体積変化に比例する変数、cを半導体中の音速とすると、下記の方程式(1)が成立する。
【数1】
【0014】
上記(1)式の左辺は音響波の伝搬を表す方程式であり、電荷密度ρの変化があると(右辺)、音速cの音響波が伝播する(左辺)ことを示している。
【0015】
このことを図1〜図3の半導体素子100に当てはめる。半導体素子100では、p型拡散層1にキャリアとしてホールが存在する。コンタクト4から電気入力が与えられるとp型拡散層1の電荷密度が変化し、その結果、p型拡散層1が音響波伝播層となって音響波が伝播する。一方、SiO2膜2は音響波反射層として機能する。すなわち、音響波はp型拡散層1とSiO2膜2との界面で反射し、p型拡散層1に音響定在波が生じる。この音響定在波の周波数はp型拡散層1の長辺の長さとp型拡散層1中の音速cとに応じて定まる。
【0016】
音速cは、加速度あるいは圧力(以下、まとめて外力と呼ぶ)によって変化することが知られている。例えば、外力が変化すると、変形ポテンシャル効果により、音速cも変化する。
【0017】
したがって、音響定在波の周波数に基づいて、外力を検出することができる。
【0018】
なお、図1〜図3の半導体素子100は、1つのコンタクト4を有する例を示しているが、p型拡散層1の一端側に形成されるコンタクト4aに加え、他端側に形成されるコンタクト4b(不図示)とを有してもよい。
【0019】
図4は、第1の実施形態に係るセンサ50の概略構成を示すブロック図である。センサ50は、半導体素子100と、検出部200とを備えている。半導体素子100のコンタクト4は検出部200の入力端子に接続される。半導体素子100に外力Pが与えられると、半導体素子100は、周波数が外力Pに依存する電圧V(P)または電流I(P)を、コンタクト4から出力する。検出部200はこれに基づいて、外力Pに対応したセンサ値を生成する。
【0020】
検出部200は電気信号を増幅するものであるから、半導体素子100と同じシリコン基板上に形成でき、センサ50を小型化できる。以下、センサ50の具体的な構成例について説明する。
【0021】
図5は、センサ51の概略構成を示すブロック図である。同図の検出部201は、増幅器21と、カウンタ22とを有する。半導体素子100のコンタクト4が増幅器21の入力端子および出力端子に接続される。増幅器21が半導体素子100の出力を増幅し、再び半導体素子100に入力することで半導体素子100は共振する。
【0022】
ここで、半導体素子100中の音速cは、上述したように、外力Pに依存するため、共振周波数も外力Pに依存する。このようにして、増幅器21は外力Pに依存する周波数f(P)で発振する発振信号を生成する。カウンタ22は、所定の基準クロックCLKに基づいて発振信号のパルス数をカウントする。カウント値は周波数f(P)にほぼ比例するため、このカウント値が外力Pと対応したセンサ値となる。
【0023】
周波数f(P)に対して十分に長い時間、例えば発振周波数100MHzに対して1ms程度カウントを行うことで、信号成分は増幅され、かつ、ノイズ成分はキャンセルされるため、S/N比が向上する。
【0024】
図6は、半導体素子100に2つのコンタクトが設けられる場合のセンサ52の概略構成を示すブロック図である。同図のセンサ52では、半導体素子100の一方のコンタクトが増幅器21の入力端子に接続され、他方のコンタクトが増幅器21の出力端子に接続される。増幅器21は半導体素子100の一方のコンタクトから出力される信号を増幅して、半導体素子100の他方のコンタクトへ入力する。これにより半導体素子100は共振する。その他の動作は図5と同様である。図6の構成では、デバイス100の一方のコンタクトを接地端子GNDに接続する制約をなくすことができる。
【0025】
このように、第1の実施形態では、シンプルな構造の半導体素子100を用いて、周波数が外力Pに依存する電圧または電流を生成する。そのため、特殊なプロセスを用いなくても、センサを半導体基板上に形成でき、外力Pを検出できる。また、センサ51,52は半導体素子100の出力を増幅して、外力Pに依存する周波数f(P)の発振信号を生成することにより、簡易にセンサ値を生成できる。
【0026】
なお、半導体素子100の構造は図1〜図3に限定されるものではない。音響波をp型拡散層1内に効率よく閉じ込めるためには、図1〜図3に示すように音響波伝播層を取り囲むように音響波反射層が設けられるのが望ましいが、少なくとも、不純物拡散領域の長辺方向の両端に音響波反射層が形成されていればよい。例えば、SiO2膜2をp型拡散層1の長辺方向の両端にのみ形成し、短辺方向の側面にはnウェル3が形成されていてもよい。音響波反射層の材料は、p型拡散層1が形成されるシリコン基板10の材料の音響インピーダンスとの差が大きい方が望ましく、例えばSiN等でもよい。また、図1〜図3の半導体素子100は、nウェル3およびp型拡散層1を形成しているが、導電型を逆にし、pウェル3’およびn型拡散層1’を形成してもよい。
【0027】
(第2の実施形態)
以下に説明する第2の実施形態は、2つの半導体素子100を用いてより高精度に外力Pを検出するものでる。
【0028】
図7は、第2の実施形態に係るセンサ53の概略構成を示すブロック図である。図7では、図5と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0029】
センサ53は、図5のセンサ51に加え、半導体素子100bと、増幅器21bと、カウンタ22bとを備えている。また、センサ53の検出部203は、増幅器21aと、カウンタ22aと、比較器(CMP)23とを備えている。センサ53は同一のシリコン基板10上に形成されるのが望ましい。
【0030】
半導体素子100b,増幅器21bおよびカウンタ22bはそれぞれ、半導体素子100a,増幅器21aおよびカウンタ22aと同様の構成である。ただし、半導体素子100aには検出すべき外力Pが与えられ、半導体素子100bには一定の基準外力P0が与えられている。また、比較器23は、カウンタ22aのカウント値と、カウンタ22bのカウント値とを比較するものである。
【0031】
センサ53内の半導体素子100a,100b、増幅器21a,21bおよびカウンタ22a,22bは、温度や電源電圧等、外力Pとは無関係な外部要因の変化により動作特性が変動することがある。そのため、センサ値が変化したときに、外力Pが変化したのか他の外部要因が変化したのか区別がつかず、センサの精度が低下してしまう。
【0032】
そこで、本実施形態では、比較器23を設け、検出すべき外力Pが与えられる半導体素子100aに基づく共振周波数f(0)と、基準外力P0が与えられる半導体素子100bに基づく共振周波数f(P0)とを比較することにより、外部要因の変化をキャンセルして、外力Pを検出する。より具体的には、以下のようにする。
【0033】
前提として、半導体素子100aと半導体素子100b、増幅器21aと増幅器21bおよびカウンタ22aとカウンタ22bがそれぞれ、外力P以外の外部要因の変化に対して同様に動作特性が変動するよう形成しておく。そして、半導体素子100bには既知で一定の基準外力P0を与え、外力Pの影響を与えないようにする。そのためには、できるだけ外力Pの影響を受けない位置に半導体素子100bを形成したり、外力Pを受けたとしても音速cの変化が小さくなるような半導体素子100bを形成したりすればよい。
【0034】
増幅器21bが生成する基準発振信号の基準周波数f(P0)は、外力P以外の外部要因および基準外力P0には依存するが、外力Pには依存しない。したがって、カウンタ22bが生成するカウント値も、外力P以外の外部要因および基準外力P0には依存するが、外力Pには依存しない。
【0035】
一方、増幅器21aは、第1の実施形態と同様に、周波数f(P)の発振周波数を生成する。周波数f(P)は外力P以外の外部要因および外力Pに依存する。したがって、カウンタ22aが生成するカウント値も、外力P以外の外部要因および外力Pに依存する。
【0036】
そして、比較器23はカウンタ22aのカウンタ値とカウンタ22bのカウンタ値とを比較する。両者の差をとることで、外力P以外の外部要因の影響はキャンセルされ、外力Pと基準外力P0との差に依存する比較結果が得られる。この比較結果は外力Pに対応したセンサ値となる。
【0037】
このように、第2の実施形態では、一定の基準外力P0が与えられる半導体素子100bを設けて比較を行う。そのため、外力P以外の外部要因の変化による各素子の動作特性の変動をキャンセルでき、センサの精度が向上する。
【0038】
なお、センサ53の周辺にヒータと温度計を用いた温度補償回路を実装して、さらに精度向上を図ってもよい。
【0039】
(第3の実施形態)
上述した第2の実施形態では、増幅器およびカウンタを2つずつ用いるものであったが、以下に説明する第3の実施形態では、これらを1つずつ設けるものである。
【0040】
図8は、第3の実施形態に係るセンサ54の概略構成を示すブロック図である。図8では、図7と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0041】
センサ54は、半導体素子100a,100bと、1つずつの増幅器21、カウンタ22および比較器23を有する検出部204と、スイッチ300とを備えている。スイッチ300は、半導体素子100a,100bのうちのいずれかを増幅器21に接続する。
【0042】
第2の実施形態では、増幅器21a,21bを外力P以外の外部要因に対して同様に動作特性が変化するよう形成する必要があるが、本実施形態では1つしか増幅器21を用いないため、その必要はない。
【0043】
本実施形態では、いわゆるCDS(Co-related Double Sampling)技術を応用し、増幅器21およびカウンタ22をタイミングをずらして時分割で利用する。すなわち、ある期間ではスイッチ300により増幅器21と半導体素子100bとを接続して基準外力P0に基づくカウント値を生成し、別の期間ではスイッチ300により増幅器21と半導体素子100aとを接続して検出すべき外力Pに基づくカウント値を生成する。そして、比較器23は両者を比較して、外力Pと基準外力P0との差に対応したセンサ値を生成する。
【0044】
スイッチ300を切り替える周波数は、周波数f(P),f(P0)に対して十分長くする。例えば共振周波数が100MHzであれば、スイッチ300を切り替える周波数を数kHz程度とする。
【0045】
このように、第3の実施形態では、1つずつの増幅器21およびカウンタ22を時分割で用いるため、回路面積を小さくできる。さらに、1つしか増幅器21を用いないため、増幅器21の動作特性は両方のカウント値に対して同様に作用することになり、センサの精度がさらに向上する。
【0046】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、外力として、加速度の一種である角速度を検出するものである。
【0047】
図9は、第4の実施形態に係るセンサに用いられる半導体素子150の斜視図である。以下、図1〜図3との相違点を中心に説明する。
【0048】
半導体素子150は、SiO2膜2に囲まれたp型拡散層1上に形成されるコンタクト4i1,4i2,4o1,4o2を備えている。コンタクト4i1,4i2は垂直方向に延びる矩形形状であり、互いに水平方向に対向して形成される。一方、コンタクト4o1,4o2は水平方向に延びる矩形形状であり、互いに垂直方向に対向して形成される。コンタクト4i1,4i2の中心同士を結ぶ線は、コンタクト4o1,4o2の中心同士を結ぶ線と直交する。
【0049】
また、本実施形態では、p型拡散層1は水平方向および垂直方向の長さが同程度である。そのため、半導体素子150は半導体素子100とほぼ同様の構成であるが、半導体素子150の水平方向のみならず垂直方向にも音響定在波が生じ得る。
【0050】
半導体素子150も簡易な構成であり、通常のCMOSプロセスにより形成できる。
【0051】
本実施形態では、半導体素子150を用いて以下のように角速度ωを検出する。まず、半導体素子150の水平方向に音響定在波を励起しておく。そのためには、半導体素子150の共振現象を利用してもよいし、コンタクト4i1,4i2に外部から正弦波や矩形波等の周期的な電気信号を入力してもよい。この音響定在波により、コンタクト4i1,4i2間には電位差Vinが生じる。電位差Vinの周波数は半導体素子150の形状あるいは電気信号の周波数により定まる周波数fである。電位差Vinの振幅をAinとすると、電位差Vinは下記(2)式で表される。
Vin = Ain * sin2πft ・・・(2)
【0052】
ここで、半導体素子150に角速度ωが与えられるとコリオリの力が生じる。その方向は音響定在波と直交する方向、すなわち垂直方向である。そのため、コンタクト4o1,4o2間に電位差Voutが生じる。この電位差Voutの周波数は半導体素子150の共振周波数fに等しい。電位差Voutの振幅をAoutとすると、電位差Voutは下記(3)式で表される。
Vout = Aout * sin2πft ・・・(3)
【0053】
ここで、振幅Aoutは角速度ωに比例する。そのため、振幅Aoutを検出することにより、角速度ωを知ることができる。
【0054】
図10は、第4の実施形態に係るセンサ55の概略構成を示すブロック図である。センサ55は、半導体素子150と、増幅器21およびミキサ24を有する検出部205を備えている。
【0055】
増幅器21はコンタクト4i1,4i2間に電位差Vinを生成する。ミキサ24は、電位差Vinと電位差Voutとを乗じる。ミキサ24の出力OUTは下記(4)式で表される。
OUT = Vin * Vout = (Ain * sin2πft) * (Aout * sin2πft)
= Ain * Aout / 2 * (1 - cos4πft) ・・・(4)
【0056】
よって、出力OUTの直流成分は振幅Aoutに比例する。振幅Aoutは角速度ωに比例するため、出力OUTの直流成分が角速度ωに対応するセンサ値となる。
【0057】
半導体素子150のp型拡散層1の形状を、垂直方向の長さおよび水平方向の長さが等しい正方形にすると、効率よくコリオリの力による電位差Voutを取り出すことができ、振幅Aoutが大きくなってセンサの精度が向上する。
【0058】
このように、第4の実施形態では、シンプルな構造の半導体素子150を用いて角速度を検出できる。
【0059】
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、形状が異なる2つの半導体素子を用いて、センサの精度向上を図るものである。
【0060】
図11は、第5の実施形態で用いられる半導体素子100a,100bの上面図である。構造は図1と同様であるため簡略化して描いている。
【0061】
半導体素子100a,100bは、p型拡散層1a,1bの長辺方向(水平方向)の長さが等しいため、励起される音響定在波の共振周波数は等しい。外力Pが大きいほど音響定在波の振幅が大きくなるがが、p型拡散層1a,1bの短辺方向の長さが異なっているため、同じ外力Pが与えられても、出力される電圧または電流の振幅は異なる。したがって、半導体素子100aに励起される音響定在波の振幅と、半導体素子100aに励起される音響定在波の振幅は異なる。
【0062】
より具体的には、p型拡散層1bは短辺方向の長さw2が比較的小さいため、外力Pが与えられても音響定在波が生じにくく、振幅が小さい。一方、p型拡散層1aは短辺方向の長さw1が比較的大きいため、同じ外力Pが与えられたときに励起される音響定在波の振幅は大きい。
【0063】
本実施形態では、外力Pに応じて音響定在波の振幅が異なることを利用して、外力Pを検出する。さらに、異なる形状のp型拡散層1a,1bを用いて、外部要因の影響をキャンセルする。
【0064】
図12は、第5の実施形態に係るセンサ56の概略構成を示すブロック図である。センサ56は、図11に示す形状が互いに異なる半導体装置100a,100bと、増幅器21aおよび比較器25を有する検出部206と、増幅器21bとを備えている。
【0065】
半導体装置100a,100bには、ともに検出すべき外力Pが与えられる。
【0066】
増幅器21aは半導体装置100aの出力を増幅し、第1の発振信号を生成する。一方、増幅器21bは半導体装置100bの出力を増幅し、第2の発振信号を生成する。上述のように、半導体装置100a,100bとも音響定在波の共振周波数が等しいため、第1および第2の発振信号の周波数は等しい。しかしながら、第1の発振信号の振幅A1(P)と第2の発振信号の振幅A2(P)は異なっている。
【0067】
比較器25は、振幅A1(P)と振幅A2(P)とを比較して、差をとる。両者の差もまた、外力Pに依存するため、この差が外力Pと対応するセンサ値となる。
【0068】
第2の実施形態で説明したように、外力P以外の外部要因の変化によりセンサの動作特性が変動することがある。しかしながら、半導体素子100a,100bは、外力P以外の外部要因の変化に対して同様に動作特性が変動するため、比較器25が比較を行って差を取ることで、外部要因の変化による動作特性の変動をキャンセルでき、センサの精度が向上する。また、本実施形態では一定の基準外力P0を与えておく必要もない。
【0069】
このように、第5の実施形態では、形状が異なる複数の半導体素子を設け、両者の出力に基づく発振信号の振幅を比較するため、センサの精度が向上する。
【0070】
(第6の実施形態)
第6の実施形態は第5の実施形態の変形例であり、図11の半導体素子100a,100bを用いる点は共通しているが、センサの構成が異なっている。以下、第5の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0071】
図13は、第6の実施形態に係るセンサ57の概略構成を示すブロック図である。センサ57は、図11に示す互いに形状が異なる半導体装置100a,100bと、増幅器21aおよび比較器26を有する検出部207と、増幅器21bとを備えている。
【0072】
増幅器21a,21bはそれぞれ振幅制御端子を有する。増幅器21a,21bの振幅制御端子にはそれぞれ、振幅制御信号CNTa,CNTbが入力され、これに応じて発振信号の振幅を制御できる。より具体的には、振幅制御信号CNTa,CNTbにより増幅器21a,21bに流し込む電流量を大きくするほど発振信号の振幅を大きくすることができる。
【0073】
本実施形態では、半導体素子100aの出力を増幅して生成される第1の発振信号の振幅、および、半導体素子100bの出力を増幅して生成される第2の発振信号の振幅が、ともに予め定めた一定振幅A0になるよう振幅制御信号CNTa,CNTbを設定する。例えば、第1および第2の発振信号の振幅が一定振幅A0に近づくようフィードバック制御することにより、振幅制御信号CNTa,CNTbを自動的に設定することができる。
【0074】
上述のように、半導体素子100a,100bに励起される音響定在波の振幅は外力Pに依存する。したがって、第1および第2の発振信号の振幅を一定振幅A0にするための振幅制御信号CNTa,CNTbも、外力Pに依存する。
【0075】
すなわち、半導体素子100aに励起される音響定在波の振幅は大きいため、振幅制御信号CNTaはそれほど大きくなくても第1の発振信号の振幅を一定振幅A0にすることができる。一方、半導体素子100bに励起される音響定在波の振幅は小さいため、第2の発振信号の振幅を一定振幅A0にするためには、振幅制御信号CNTbをある程度大きくする必要がある。
【0076】
比較器26は振幅制御信号CNTaと振幅制御信号CNTbとを比較して、差をとる。両者の差もまた、外力Pに依存するため、この差が外力Pと対応するセンサ値となる。差をとることで、やはり、外部要因の変化による動作特性の変動をキャンセルでき、センサの精度が向上する。また、本実施形態でも一定の基準外力P0を与えておく必要もない。
【0077】
このように、第6の実施形態では、形状が異なる複数の半導体素子を設け、両者の出力に基づく発振信号の振幅を一定値にするための振幅制御信号を比較するため、センサの精度が向上する。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0079】
1,1a,1b p型拡散層
2 SiO2膜
3 nウェル
4,4i1,4i2,4o1,4o2,4a,4b コンタクト
5 配線
10 シリコン基板
21,21a,21b 増幅器
22,22a,22b カウンタ
23,25,26 比較器
24 ミキサ
50〜57 センサ
100,100a,100b,150 半導体素子
200〜207 検出部
300 スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、センサに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路上に形成可能な圧力センサや加速度センサとして、MEMS(Micro Electro Mechanical System)構造のデバイスが多く用いられている。MEMSはシリコン基板に形成可能ではあるが、通常のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)プロセスでの形成は困難であり、さらなる高集積化には不向きであるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−58819号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】John J. Hall, “Electronic Effects in the Elastic Constants of n-Type Silicon”, Physical Review, Volume 161, No.3, Sept. 1967, pp161
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体基板上に簡易に形成可能なセンサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、加速度または圧力を検出するセンサは、前記加速度または圧力が与えられ、前記加速度または圧力に応じた周波数の電圧または電流を出力する第1の半導体素子と、前記第1の半導体素子の出力に基づいて、前記加速度または圧力に対応したセンサ値を生成する検出部と、を備える。前記第1の半導体素子は、半導体基板に形成される第1の音響波伝播層と、前記第1の音響波伝播層内に音響波を閉じ込めるように形成される第1の音響波反射層と、前記第1の音響波伝播層に形成され、前記検出部と接続される第1のコンタクトと、有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】半導体素子100の上面図。
【図2】半導体素子100の斜視図。
【図3】半導体素子100の断面図。
【図4】第1の実施形態に係るセンサ50の概略構成を示すブロック図。
【図5】センサ51の概略構成を示すブロック図。
【図6】センサ52の概略構成を示すブロック図。
【図7】第2の実施形態に係るセンサ53の概略構成を示すブロック図。
【図8】第3の実施形態に係るセンサ54の概略構成を示すブロック図。
【図9】第4の実施形態に係るセンサに用いられる半導体素子150の斜視図。
【図10】第4の実施形態に係るセンサ55の概略構成を示すブロック図。
【図11】第5の実施形態で用いられる半導体素子100a,100bの上面図。
【図12】第5の実施形態に係るセンサ56の概略構成を示すブロック図。
【図13】第6の実施形態に係るセンサ57の概略構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1〜図3はそれぞれ、センサに用いられる半導体素子100の上面図、斜視図および断面図である。半導体素子100は、シリコン基板(半導体基板)10と、p型拡散層(音響波伝播層)1と、SiO2膜(音響波反射層)2と、nウェル3と、コンタクト4と、配線5とを備えている。
【0010】
シリコン基板10の表面には、例えば不純物としてリンあるいはヒ素がドーピングされたnウェル3が形成される。nウェル3の内側に、例えば不純物としてホウ素がドーピングされたp型拡散層1が形成される。p型拡散層1を上面から見た形状は、短辺および長辺を有する略長方形である。
【0011】
nウェル3の内側で、p型拡散層1を囲うように溝6がシリコン基板10に形成され、その中にSiO2膜2が埋め込まれている。SiO2膜2は、いわゆるSTI(Shallow Trench Isolation)と呼ばれる構造であり、p型拡散層1をシリコン基板10上に形成される他の素子と電気的に分離する。コンタクト4は、p型拡散層1上に形成され、p型拡散層1と配線5とを電気的に接続する。配線5は他の素子(不図示)と接続される。
【0012】
図1〜図3の半導体素子100は簡易な構造であるため、通常のCMOSプロセスにより形成できる。
【0013】
一般に、キャリアを有する半導体中では、電荷密度が変化すると体積が変化し、体積が変化すると電荷密度が変化すること、すなわち、電気と機械振動との相互作用が知られている。より具体的には、ρを電荷密度、Φを体積変化に比例する変数、cを半導体中の音速とすると、下記の方程式(1)が成立する。
【数1】
【0014】
上記(1)式の左辺は音響波の伝搬を表す方程式であり、電荷密度ρの変化があると(右辺)、音速cの音響波が伝播する(左辺)ことを示している。
【0015】
このことを図1〜図3の半導体素子100に当てはめる。半導体素子100では、p型拡散層1にキャリアとしてホールが存在する。コンタクト4から電気入力が与えられるとp型拡散層1の電荷密度が変化し、その結果、p型拡散層1が音響波伝播層となって音響波が伝播する。一方、SiO2膜2は音響波反射層として機能する。すなわち、音響波はp型拡散層1とSiO2膜2との界面で反射し、p型拡散層1に音響定在波が生じる。この音響定在波の周波数はp型拡散層1の長辺の長さとp型拡散層1中の音速cとに応じて定まる。
【0016】
音速cは、加速度あるいは圧力(以下、まとめて外力と呼ぶ)によって変化することが知られている。例えば、外力が変化すると、変形ポテンシャル効果により、音速cも変化する。
【0017】
したがって、音響定在波の周波数に基づいて、外力を検出することができる。
【0018】
なお、図1〜図3の半導体素子100は、1つのコンタクト4を有する例を示しているが、p型拡散層1の一端側に形成されるコンタクト4aに加え、他端側に形成されるコンタクト4b(不図示)とを有してもよい。
【0019】
図4は、第1の実施形態に係るセンサ50の概略構成を示すブロック図である。センサ50は、半導体素子100と、検出部200とを備えている。半導体素子100のコンタクト4は検出部200の入力端子に接続される。半導体素子100に外力Pが与えられると、半導体素子100は、周波数が外力Pに依存する電圧V(P)または電流I(P)を、コンタクト4から出力する。検出部200はこれに基づいて、外力Pに対応したセンサ値を生成する。
【0020】
検出部200は電気信号を増幅するものであるから、半導体素子100と同じシリコン基板上に形成でき、センサ50を小型化できる。以下、センサ50の具体的な構成例について説明する。
【0021】
図5は、センサ51の概略構成を示すブロック図である。同図の検出部201は、増幅器21と、カウンタ22とを有する。半導体素子100のコンタクト4が増幅器21の入力端子および出力端子に接続される。増幅器21が半導体素子100の出力を増幅し、再び半導体素子100に入力することで半導体素子100は共振する。
【0022】
ここで、半導体素子100中の音速cは、上述したように、外力Pに依存するため、共振周波数も外力Pに依存する。このようにして、増幅器21は外力Pに依存する周波数f(P)で発振する発振信号を生成する。カウンタ22は、所定の基準クロックCLKに基づいて発振信号のパルス数をカウントする。カウント値は周波数f(P)にほぼ比例するため、このカウント値が外力Pと対応したセンサ値となる。
【0023】
周波数f(P)に対して十分に長い時間、例えば発振周波数100MHzに対して1ms程度カウントを行うことで、信号成分は増幅され、かつ、ノイズ成分はキャンセルされるため、S/N比が向上する。
【0024】
図6は、半導体素子100に2つのコンタクトが設けられる場合のセンサ52の概略構成を示すブロック図である。同図のセンサ52では、半導体素子100の一方のコンタクトが増幅器21の入力端子に接続され、他方のコンタクトが増幅器21の出力端子に接続される。増幅器21は半導体素子100の一方のコンタクトから出力される信号を増幅して、半導体素子100の他方のコンタクトへ入力する。これにより半導体素子100は共振する。その他の動作は図5と同様である。図6の構成では、デバイス100の一方のコンタクトを接地端子GNDに接続する制約をなくすことができる。
【0025】
このように、第1の実施形態では、シンプルな構造の半導体素子100を用いて、周波数が外力Pに依存する電圧または電流を生成する。そのため、特殊なプロセスを用いなくても、センサを半導体基板上に形成でき、外力Pを検出できる。また、センサ51,52は半導体素子100の出力を増幅して、外力Pに依存する周波数f(P)の発振信号を生成することにより、簡易にセンサ値を生成できる。
【0026】
なお、半導体素子100の構造は図1〜図3に限定されるものではない。音響波をp型拡散層1内に効率よく閉じ込めるためには、図1〜図3に示すように音響波伝播層を取り囲むように音響波反射層が設けられるのが望ましいが、少なくとも、不純物拡散領域の長辺方向の両端に音響波反射層が形成されていればよい。例えば、SiO2膜2をp型拡散層1の長辺方向の両端にのみ形成し、短辺方向の側面にはnウェル3が形成されていてもよい。音響波反射層の材料は、p型拡散層1が形成されるシリコン基板10の材料の音響インピーダンスとの差が大きい方が望ましく、例えばSiN等でもよい。また、図1〜図3の半導体素子100は、nウェル3およびp型拡散層1を形成しているが、導電型を逆にし、pウェル3’およびn型拡散層1’を形成してもよい。
【0027】
(第2の実施形態)
以下に説明する第2の実施形態は、2つの半導体素子100を用いてより高精度に外力Pを検出するものでる。
【0028】
図7は、第2の実施形態に係るセンサ53の概略構成を示すブロック図である。図7では、図5と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0029】
センサ53は、図5のセンサ51に加え、半導体素子100bと、増幅器21bと、カウンタ22bとを備えている。また、センサ53の検出部203は、増幅器21aと、カウンタ22aと、比較器(CMP)23とを備えている。センサ53は同一のシリコン基板10上に形成されるのが望ましい。
【0030】
半導体素子100b,増幅器21bおよびカウンタ22bはそれぞれ、半導体素子100a,増幅器21aおよびカウンタ22aと同様の構成である。ただし、半導体素子100aには検出すべき外力Pが与えられ、半導体素子100bには一定の基準外力P0が与えられている。また、比較器23は、カウンタ22aのカウント値と、カウンタ22bのカウント値とを比較するものである。
【0031】
センサ53内の半導体素子100a,100b、増幅器21a,21bおよびカウンタ22a,22bは、温度や電源電圧等、外力Pとは無関係な外部要因の変化により動作特性が変動することがある。そのため、センサ値が変化したときに、外力Pが変化したのか他の外部要因が変化したのか区別がつかず、センサの精度が低下してしまう。
【0032】
そこで、本実施形態では、比較器23を設け、検出すべき外力Pが与えられる半導体素子100aに基づく共振周波数f(0)と、基準外力P0が与えられる半導体素子100bに基づく共振周波数f(P0)とを比較することにより、外部要因の変化をキャンセルして、外力Pを検出する。より具体的には、以下のようにする。
【0033】
前提として、半導体素子100aと半導体素子100b、増幅器21aと増幅器21bおよびカウンタ22aとカウンタ22bがそれぞれ、外力P以外の外部要因の変化に対して同様に動作特性が変動するよう形成しておく。そして、半導体素子100bには既知で一定の基準外力P0を与え、外力Pの影響を与えないようにする。そのためには、できるだけ外力Pの影響を受けない位置に半導体素子100bを形成したり、外力Pを受けたとしても音速cの変化が小さくなるような半導体素子100bを形成したりすればよい。
【0034】
増幅器21bが生成する基準発振信号の基準周波数f(P0)は、外力P以外の外部要因および基準外力P0には依存するが、外力Pには依存しない。したがって、カウンタ22bが生成するカウント値も、外力P以外の外部要因および基準外力P0には依存するが、外力Pには依存しない。
【0035】
一方、増幅器21aは、第1の実施形態と同様に、周波数f(P)の発振周波数を生成する。周波数f(P)は外力P以外の外部要因および外力Pに依存する。したがって、カウンタ22aが生成するカウント値も、外力P以外の外部要因および外力Pに依存する。
【0036】
そして、比較器23はカウンタ22aのカウンタ値とカウンタ22bのカウンタ値とを比較する。両者の差をとることで、外力P以外の外部要因の影響はキャンセルされ、外力Pと基準外力P0との差に依存する比較結果が得られる。この比較結果は外力Pに対応したセンサ値となる。
【0037】
このように、第2の実施形態では、一定の基準外力P0が与えられる半導体素子100bを設けて比較を行う。そのため、外力P以外の外部要因の変化による各素子の動作特性の変動をキャンセルでき、センサの精度が向上する。
【0038】
なお、センサ53の周辺にヒータと温度計を用いた温度補償回路を実装して、さらに精度向上を図ってもよい。
【0039】
(第3の実施形態)
上述した第2の実施形態では、増幅器およびカウンタを2つずつ用いるものであったが、以下に説明する第3の実施形態では、これらを1つずつ設けるものである。
【0040】
図8は、第3の実施形態に係るセンサ54の概略構成を示すブロック図である。図8では、図7と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0041】
センサ54は、半導体素子100a,100bと、1つずつの増幅器21、カウンタ22および比較器23を有する検出部204と、スイッチ300とを備えている。スイッチ300は、半導体素子100a,100bのうちのいずれかを増幅器21に接続する。
【0042】
第2の実施形態では、増幅器21a,21bを外力P以外の外部要因に対して同様に動作特性が変化するよう形成する必要があるが、本実施形態では1つしか増幅器21を用いないため、その必要はない。
【0043】
本実施形態では、いわゆるCDS(Co-related Double Sampling)技術を応用し、増幅器21およびカウンタ22をタイミングをずらして時分割で利用する。すなわち、ある期間ではスイッチ300により増幅器21と半導体素子100bとを接続して基準外力P0に基づくカウント値を生成し、別の期間ではスイッチ300により増幅器21と半導体素子100aとを接続して検出すべき外力Pに基づくカウント値を生成する。そして、比較器23は両者を比較して、外力Pと基準外力P0との差に対応したセンサ値を生成する。
【0044】
スイッチ300を切り替える周波数は、周波数f(P),f(P0)に対して十分長くする。例えば共振周波数が100MHzであれば、スイッチ300を切り替える周波数を数kHz程度とする。
【0045】
このように、第3の実施形態では、1つずつの増幅器21およびカウンタ22を時分割で用いるため、回路面積を小さくできる。さらに、1つしか増幅器21を用いないため、増幅器21の動作特性は両方のカウント値に対して同様に作用することになり、センサの精度がさらに向上する。
【0046】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、外力として、加速度の一種である角速度を検出するものである。
【0047】
図9は、第4の実施形態に係るセンサに用いられる半導体素子150の斜視図である。以下、図1〜図3との相違点を中心に説明する。
【0048】
半導体素子150は、SiO2膜2に囲まれたp型拡散層1上に形成されるコンタクト4i1,4i2,4o1,4o2を備えている。コンタクト4i1,4i2は垂直方向に延びる矩形形状であり、互いに水平方向に対向して形成される。一方、コンタクト4o1,4o2は水平方向に延びる矩形形状であり、互いに垂直方向に対向して形成される。コンタクト4i1,4i2の中心同士を結ぶ線は、コンタクト4o1,4o2の中心同士を結ぶ線と直交する。
【0049】
また、本実施形態では、p型拡散層1は水平方向および垂直方向の長さが同程度である。そのため、半導体素子150は半導体素子100とほぼ同様の構成であるが、半導体素子150の水平方向のみならず垂直方向にも音響定在波が生じ得る。
【0050】
半導体素子150も簡易な構成であり、通常のCMOSプロセスにより形成できる。
【0051】
本実施形態では、半導体素子150を用いて以下のように角速度ωを検出する。まず、半導体素子150の水平方向に音響定在波を励起しておく。そのためには、半導体素子150の共振現象を利用してもよいし、コンタクト4i1,4i2に外部から正弦波や矩形波等の周期的な電気信号を入力してもよい。この音響定在波により、コンタクト4i1,4i2間には電位差Vinが生じる。電位差Vinの周波数は半導体素子150の形状あるいは電気信号の周波数により定まる周波数fである。電位差Vinの振幅をAinとすると、電位差Vinは下記(2)式で表される。
Vin = Ain * sin2πft ・・・(2)
【0052】
ここで、半導体素子150に角速度ωが与えられるとコリオリの力が生じる。その方向は音響定在波と直交する方向、すなわち垂直方向である。そのため、コンタクト4o1,4o2間に電位差Voutが生じる。この電位差Voutの周波数は半導体素子150の共振周波数fに等しい。電位差Voutの振幅をAoutとすると、電位差Voutは下記(3)式で表される。
Vout = Aout * sin2πft ・・・(3)
【0053】
ここで、振幅Aoutは角速度ωに比例する。そのため、振幅Aoutを検出することにより、角速度ωを知ることができる。
【0054】
図10は、第4の実施形態に係るセンサ55の概略構成を示すブロック図である。センサ55は、半導体素子150と、増幅器21およびミキサ24を有する検出部205を備えている。
【0055】
増幅器21はコンタクト4i1,4i2間に電位差Vinを生成する。ミキサ24は、電位差Vinと電位差Voutとを乗じる。ミキサ24の出力OUTは下記(4)式で表される。
OUT = Vin * Vout = (Ain * sin2πft) * (Aout * sin2πft)
= Ain * Aout / 2 * (1 - cos4πft) ・・・(4)
【0056】
よって、出力OUTの直流成分は振幅Aoutに比例する。振幅Aoutは角速度ωに比例するため、出力OUTの直流成分が角速度ωに対応するセンサ値となる。
【0057】
半導体素子150のp型拡散層1の形状を、垂直方向の長さおよび水平方向の長さが等しい正方形にすると、効率よくコリオリの力による電位差Voutを取り出すことができ、振幅Aoutが大きくなってセンサの精度が向上する。
【0058】
このように、第4の実施形態では、シンプルな構造の半導体素子150を用いて角速度を検出できる。
【0059】
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、形状が異なる2つの半導体素子を用いて、センサの精度向上を図るものである。
【0060】
図11は、第5の実施形態で用いられる半導体素子100a,100bの上面図である。構造は図1と同様であるため簡略化して描いている。
【0061】
半導体素子100a,100bは、p型拡散層1a,1bの長辺方向(水平方向)の長さが等しいため、励起される音響定在波の共振周波数は等しい。外力Pが大きいほど音響定在波の振幅が大きくなるがが、p型拡散層1a,1bの短辺方向の長さが異なっているため、同じ外力Pが与えられても、出力される電圧または電流の振幅は異なる。したがって、半導体素子100aに励起される音響定在波の振幅と、半導体素子100aに励起される音響定在波の振幅は異なる。
【0062】
より具体的には、p型拡散層1bは短辺方向の長さw2が比較的小さいため、外力Pが与えられても音響定在波が生じにくく、振幅が小さい。一方、p型拡散層1aは短辺方向の長さw1が比較的大きいため、同じ外力Pが与えられたときに励起される音響定在波の振幅は大きい。
【0063】
本実施形態では、外力Pに応じて音響定在波の振幅が異なることを利用して、外力Pを検出する。さらに、異なる形状のp型拡散層1a,1bを用いて、外部要因の影響をキャンセルする。
【0064】
図12は、第5の実施形態に係るセンサ56の概略構成を示すブロック図である。センサ56は、図11に示す形状が互いに異なる半導体装置100a,100bと、増幅器21aおよび比較器25を有する検出部206と、増幅器21bとを備えている。
【0065】
半導体装置100a,100bには、ともに検出すべき外力Pが与えられる。
【0066】
増幅器21aは半導体装置100aの出力を増幅し、第1の発振信号を生成する。一方、増幅器21bは半導体装置100bの出力を増幅し、第2の発振信号を生成する。上述のように、半導体装置100a,100bとも音響定在波の共振周波数が等しいため、第1および第2の発振信号の周波数は等しい。しかしながら、第1の発振信号の振幅A1(P)と第2の発振信号の振幅A2(P)は異なっている。
【0067】
比較器25は、振幅A1(P)と振幅A2(P)とを比較して、差をとる。両者の差もまた、外力Pに依存するため、この差が外力Pと対応するセンサ値となる。
【0068】
第2の実施形態で説明したように、外力P以外の外部要因の変化によりセンサの動作特性が変動することがある。しかしながら、半導体素子100a,100bは、外力P以外の外部要因の変化に対して同様に動作特性が変動するため、比較器25が比較を行って差を取ることで、外部要因の変化による動作特性の変動をキャンセルでき、センサの精度が向上する。また、本実施形態では一定の基準外力P0を与えておく必要もない。
【0069】
このように、第5の実施形態では、形状が異なる複数の半導体素子を設け、両者の出力に基づく発振信号の振幅を比較するため、センサの精度が向上する。
【0070】
(第6の実施形態)
第6の実施形態は第5の実施形態の変形例であり、図11の半導体素子100a,100bを用いる点は共通しているが、センサの構成が異なっている。以下、第5の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0071】
図13は、第6の実施形態に係るセンサ57の概略構成を示すブロック図である。センサ57は、図11に示す互いに形状が異なる半導体装置100a,100bと、増幅器21aおよび比較器26を有する検出部207と、増幅器21bとを備えている。
【0072】
増幅器21a,21bはそれぞれ振幅制御端子を有する。増幅器21a,21bの振幅制御端子にはそれぞれ、振幅制御信号CNTa,CNTbが入力され、これに応じて発振信号の振幅を制御できる。より具体的には、振幅制御信号CNTa,CNTbにより増幅器21a,21bに流し込む電流量を大きくするほど発振信号の振幅を大きくすることができる。
【0073】
本実施形態では、半導体素子100aの出力を増幅して生成される第1の発振信号の振幅、および、半導体素子100bの出力を増幅して生成される第2の発振信号の振幅が、ともに予め定めた一定振幅A0になるよう振幅制御信号CNTa,CNTbを設定する。例えば、第1および第2の発振信号の振幅が一定振幅A0に近づくようフィードバック制御することにより、振幅制御信号CNTa,CNTbを自動的に設定することができる。
【0074】
上述のように、半導体素子100a,100bに励起される音響定在波の振幅は外力Pに依存する。したがって、第1および第2の発振信号の振幅を一定振幅A0にするための振幅制御信号CNTa,CNTbも、外力Pに依存する。
【0075】
すなわち、半導体素子100aに励起される音響定在波の振幅は大きいため、振幅制御信号CNTaはそれほど大きくなくても第1の発振信号の振幅を一定振幅A0にすることができる。一方、半導体素子100bに励起される音響定在波の振幅は小さいため、第2の発振信号の振幅を一定振幅A0にするためには、振幅制御信号CNTbをある程度大きくする必要がある。
【0076】
比較器26は振幅制御信号CNTaと振幅制御信号CNTbとを比較して、差をとる。両者の差もまた、外力Pに依存するため、この差が外力Pと対応するセンサ値となる。差をとることで、やはり、外部要因の変化による動作特性の変動をキャンセルでき、センサの精度が向上する。また、本実施形態でも一定の基準外力P0を与えておく必要もない。
【0077】
このように、第6の実施形態では、形状が異なる複数の半導体素子を設け、両者の出力に基づく発振信号の振幅を一定値にするための振幅制御信号を比較するため、センサの精度が向上する。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0079】
1,1a,1b p型拡散層
2 SiO2膜
3 nウェル
4,4i1,4i2,4o1,4o2,4a,4b コンタクト
5 配線
10 シリコン基板
21,21a,21b 増幅器
22,22a,22b カウンタ
23,25,26 比較器
24 ミキサ
50〜57 センサ
100,100a,100b,150 半導体素子
200〜207 検出部
300 スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度または圧力を検出するセンサであって、
前記加速度または圧力が与えられ、前記加速度または圧力に応じた周波数の電圧または電流を出力する第1の半導体素子と、
前記第1の半導体素子の出力に基づいて、前記加速度または圧力に対応したセンサ値を生成する検出部と、を備え、
前記第1の半導体素子は、
半導体基板に形成される第1の音響波伝播層と、
前記第1の音響波伝播層内に音響波を閉じ込めるように形成される第1の音響波反射層と、
前記第1の音響波伝播層に形成され、前記検出部と接続される第1のコンタクトと、有することを特徴とするセンサ。
【請求項2】
前記検出部は、
前記第1の半導体素子の出力を増幅し、前記加速度または圧力に応じた周波数の第1の発振信号を生成する第1の増幅器と、
前記第1の発振信号のパルス数をカウントし、前記加速度または圧力に応じた第1のカウント値を生成する第1のカウンタと、を有することを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
一定の基準加速度または基準圧力が与えられ、前記基準加速度または基準圧力に応じた周波数の電圧または電流を出力する第2の半導体素子と、
前記第2の半導体素子の出力を増幅し、前記基準加速度または基準圧力に応じた周波数の第2の発振信号を生成する第2の増幅器と、
前記第2の発振信号のパルス数をカウントし、前記基準加速度または基準圧力に応じた第2のカウント値を生成する第2のカウンタと、を備え、
前記検出部は、前記第1のカウント値と前記第2のカウント値とを比較し、前記加速度または圧力に応じた比較結果を生成する比較器を有し、
前記第2の半導体素子は、
前記半導体基板に形成される第2の音響波伝播層と、
前記第2の音響波伝播層内に音響波を閉じ込めるように形成される第2の音響波反射層と、
前記第2の音響波伝播層に形成され、前記第2の増幅器と接続される第2のコンタクトと、有することを特徴とする請求項2に記載のセンサ。
【請求項4】
一定の基準加速度または基準圧力が与えられ、前記基準加速度または基準圧力に応じた周波数の電圧または電流を出力する第2の半導体素子と、
所定のタイミングで、前記第1の半導体素子または前記第2の半導体素子の出力を前記検出部に供給するスイッチと、を備え、
前記第1の増幅器は、前記第1の半導体素子の出力を増幅した前記第1の発振信号または前記第2の半導体素子の出力を増幅した第2の発振信号を前記所定のタイミングで生成し、
前記第1のカウンタは、前記第1の発振信号のパルス数をカウントした前記第1のカウント値または前記第2の発振信号のパルス数をカウントした第2のカウント値を前記所定のタイミングで生成し、
前記検出部は、前記第1のカウント値と前記第2のカウント値とを比較し、前記加速度または圧力に応じた比較結果を生成する比較器を有し、
前記第2の半導体素子は、
前記半導体基板に形成される第2の音響波伝播層と、
前記第2の音響波伝播層内に音響波を閉じ込めるように形成される第2の音響波反射層と、
前記第2の音響波伝播層に形成され、前記スイッチを介して、前記第1の増幅器に接続される第2のコンタクトと、有することを特徴とする請求項2に記載のセンサ。
【請求項5】
前記加速度または圧力が与えられ、前記加速度または圧力に応じて、前記第1の半導体素子が出力する電圧または電流と周波数が等しく、かつ、振幅が異なる電圧または電流を出力する第2の半導体素子と、
前記第2の半導体素子の出力を増幅し、前記加速度または圧力に応じた第2の振幅の第2の発振信号を生成する第2の増幅器と、を備え、
前記検出部は、
前記第1の半導体素子の出力を増幅し、前記加速度または圧力に応じた第1の振幅の第1の発振信号を生成する第1の増幅器と、
前記第1の振幅と前記第2の振幅とを比較し、前記加速度または圧力に応じた比較結果を生成する比較器と、を有し、
前記第2の半導体素子は、
前記半導体基板に形成される第2の音響波伝播層と、
前記第2の音響波伝播層内に音響波を閉じ込めるように形成される第2の音響波反射層と、
前記第2の音響波伝播層に形成され、前記第2の増幅器と接続される第2のコンタクトと、有することを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項6】
前記加速度または圧力が与えられ、前記加速度または圧力に応じて、前記第1の半導体素子が出力する電圧または電流と周波数が等しく、かつ、振幅が異なる電圧または電流を出力する第2の半導体素子と、
前記第2の半導体素子の出力を増幅し、第2の振幅制御信号に基づいて、振幅が予め定めた値の第2の発振信号を生成する第2の検出部と、を備え、
前記検出部は、
前記第1の半導体素子の出力を増幅し、第1の振幅制御信号に基づいて、振幅が前記予め定めた値の第1の発振信号を生成する第1の検出部と、
前記第1の振幅制御信号と前記第2の振幅制御信号とを比較し、前記加速度または圧力に応じた比較結果を生成する比較器と、を有し、
前記第2の半導体素子は、
前記半導体基板に形成される第2の音響波伝播層と、
前記第2の音響波伝播層内に音響波を閉じ込めるように形成される第2の音響波反射層と、
前記第2の音響波伝播層に形成され、前記第2の増幅器と接続される第2のコンタクトと、有することを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項7】
前記第1の半導体素子は、
前記第1の音響波伝播層に、前記第1のコンタクトと第1の方向に対向して形成される第2のコンタクトと、
前記第1の音響波伝播層に、前記第1の方向と略直交する第2の方向に互いに対向して形成される第3および第4のコンタクトと、を有し、
前記検出部は、
前記第1および第2のコンタクト間に第1の電位差を生成する増幅器と、
前記第1の電位差と、前記第3および第4のコンタクト間に生じる、振幅が前記加速度に応じた第2の電位差と、に基づいて、前記加速度に対応したセンサ値を生成するミキサと、を有することを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項8】
前記第1の音響波伝播層の形状は、略正方形であることを特徴とする請求項7に記載のセンサ。
【請求項9】
前記検出部は、前記半導体基板上に形成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のセンサ。
【請求項1】
加速度または圧力を検出するセンサであって、
前記加速度または圧力が与えられ、前記加速度または圧力に応じた周波数の電圧または電流を出力する第1の半導体素子と、
前記第1の半導体素子の出力に基づいて、前記加速度または圧力に対応したセンサ値を生成する検出部と、を備え、
前記第1の半導体素子は、
半導体基板に形成される第1の音響波伝播層と、
前記第1の音響波伝播層内に音響波を閉じ込めるように形成される第1の音響波反射層と、
前記第1の音響波伝播層に形成され、前記検出部と接続される第1のコンタクトと、有することを特徴とするセンサ。
【請求項2】
前記検出部は、
前記第1の半導体素子の出力を増幅し、前記加速度または圧力に応じた周波数の第1の発振信号を生成する第1の増幅器と、
前記第1の発振信号のパルス数をカウントし、前記加速度または圧力に応じた第1のカウント値を生成する第1のカウンタと、を有することを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
一定の基準加速度または基準圧力が与えられ、前記基準加速度または基準圧力に応じた周波数の電圧または電流を出力する第2の半導体素子と、
前記第2の半導体素子の出力を増幅し、前記基準加速度または基準圧力に応じた周波数の第2の発振信号を生成する第2の増幅器と、
前記第2の発振信号のパルス数をカウントし、前記基準加速度または基準圧力に応じた第2のカウント値を生成する第2のカウンタと、を備え、
前記検出部は、前記第1のカウント値と前記第2のカウント値とを比較し、前記加速度または圧力に応じた比較結果を生成する比較器を有し、
前記第2の半導体素子は、
前記半導体基板に形成される第2の音響波伝播層と、
前記第2の音響波伝播層内に音響波を閉じ込めるように形成される第2の音響波反射層と、
前記第2の音響波伝播層に形成され、前記第2の増幅器と接続される第2のコンタクトと、有することを特徴とする請求項2に記載のセンサ。
【請求項4】
一定の基準加速度または基準圧力が与えられ、前記基準加速度または基準圧力に応じた周波数の電圧または電流を出力する第2の半導体素子と、
所定のタイミングで、前記第1の半導体素子または前記第2の半導体素子の出力を前記検出部に供給するスイッチと、を備え、
前記第1の増幅器は、前記第1の半導体素子の出力を増幅した前記第1の発振信号または前記第2の半導体素子の出力を増幅した第2の発振信号を前記所定のタイミングで生成し、
前記第1のカウンタは、前記第1の発振信号のパルス数をカウントした前記第1のカウント値または前記第2の発振信号のパルス数をカウントした第2のカウント値を前記所定のタイミングで生成し、
前記検出部は、前記第1のカウント値と前記第2のカウント値とを比較し、前記加速度または圧力に応じた比較結果を生成する比較器を有し、
前記第2の半導体素子は、
前記半導体基板に形成される第2の音響波伝播層と、
前記第2の音響波伝播層内に音響波を閉じ込めるように形成される第2の音響波反射層と、
前記第2の音響波伝播層に形成され、前記スイッチを介して、前記第1の増幅器に接続される第2のコンタクトと、有することを特徴とする請求項2に記載のセンサ。
【請求項5】
前記加速度または圧力が与えられ、前記加速度または圧力に応じて、前記第1の半導体素子が出力する電圧または電流と周波数が等しく、かつ、振幅が異なる電圧または電流を出力する第2の半導体素子と、
前記第2の半導体素子の出力を増幅し、前記加速度または圧力に応じた第2の振幅の第2の発振信号を生成する第2の増幅器と、を備え、
前記検出部は、
前記第1の半導体素子の出力を増幅し、前記加速度または圧力に応じた第1の振幅の第1の発振信号を生成する第1の増幅器と、
前記第1の振幅と前記第2の振幅とを比較し、前記加速度または圧力に応じた比較結果を生成する比較器と、を有し、
前記第2の半導体素子は、
前記半導体基板に形成される第2の音響波伝播層と、
前記第2の音響波伝播層内に音響波を閉じ込めるように形成される第2の音響波反射層と、
前記第2の音響波伝播層に形成され、前記第2の増幅器と接続される第2のコンタクトと、有することを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項6】
前記加速度または圧力が与えられ、前記加速度または圧力に応じて、前記第1の半導体素子が出力する電圧または電流と周波数が等しく、かつ、振幅が異なる電圧または電流を出力する第2の半導体素子と、
前記第2の半導体素子の出力を増幅し、第2の振幅制御信号に基づいて、振幅が予め定めた値の第2の発振信号を生成する第2の検出部と、を備え、
前記検出部は、
前記第1の半導体素子の出力を増幅し、第1の振幅制御信号に基づいて、振幅が前記予め定めた値の第1の発振信号を生成する第1の検出部と、
前記第1の振幅制御信号と前記第2の振幅制御信号とを比較し、前記加速度または圧力に応じた比較結果を生成する比較器と、を有し、
前記第2の半導体素子は、
前記半導体基板に形成される第2の音響波伝播層と、
前記第2の音響波伝播層内に音響波を閉じ込めるように形成される第2の音響波反射層と、
前記第2の音響波伝播層に形成され、前記第2の増幅器と接続される第2のコンタクトと、有することを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項7】
前記第1の半導体素子は、
前記第1の音響波伝播層に、前記第1のコンタクトと第1の方向に対向して形成される第2のコンタクトと、
前記第1の音響波伝播層に、前記第1の方向と略直交する第2の方向に互いに対向して形成される第3および第4のコンタクトと、を有し、
前記検出部は、
前記第1および第2のコンタクト間に第1の電位差を生成する増幅器と、
前記第1の電位差と、前記第3および第4のコンタクト間に生じる、振幅が前記加速度に応じた第2の電位差と、に基づいて、前記加速度に対応したセンサ値を生成するミキサと、を有することを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項8】
前記第1の音響波伝播層の形状は、略正方形であることを特徴とする請求項7に記載のセンサ。
【請求項9】
前記検出部は、前記半導体基板上に形成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のセンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−7673(P2013−7673A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140968(P2011−140968)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
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