説明

ソケットカバーの取付構造

【課題】複数のパネル厚に対応可能なソケットカバーの取付構造を提供する。
【解決手段】ソケットカバーの取付構造は、係止爪を有するソケットカバー300と、係止爪に対応した不押部(抜穴、退避穴)を有するソケット201とを有し、異なるパネル厚さ(インストルメントパネル90の厚さ)に対応して取り付けられる構造とする。係止爪303、304は、異なるパネル厚さに対応してそれぞれ複数設け、パネル厚さに対応したそれぞれの係止爪303、304を、フランジ部302との距離が異なる位置に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のアクセサリ電源用ソケット又はシガライタソケットを支持して車両側に固定するソケットカバーの、車両側への取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の座席空間の前方部中央に備えられるインストルメントパネル(装着パネル部)には、アクセサリ用のプラグソケット(シガレットライタソケット)が取り付けられている。プラグソケットは、挿入されたアクセサリ用プラグを保持するソケット本体と、ソケットと一帯にパネル部に嵌合して取り付けられるソケットカバーとを備えている。
【0003】
ソケットカバーは、アクセサリ用のプラグソケット(シガレットライタソケット)を支持して車両側に固定する機能を有する。また、ソケットカバーは、上記機能を有しつつ、材質を半透明に着色した樹脂により形成し、インストルメントパネルの内側に設けた照明装置からの光を導くことにより、アクセサリ用のプラグソケット(シガレットライタソケット)の外周部の輪郭を照明するリング部材とする構成のものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図7は、従来のソケットカバーの装着パネル部への取付構造を示す断面図である。リング部材を構成するソケットカバー901は、内部にソケット本体(図示略)を挿入させる中空の円筒部902と、この円筒部902の前方端部において径方向に張り出すフランジ部903とを備え、円筒部902の外周面から突出する変形可能な係止爪904がフランジ部903の背面に対向して一体的に形成されている。
【0005】
この従来のソケットカバー901は、インストルメントパネル等の装着パネル部の所定の取付穴に円筒部902を挿入し、挿入時に係止爪904を円筒部902の内側に一旦変形させた後、取付位置でフランジ部903と係止爪904との間で取付穴の周囲壁を前後から挟むことで、ソケットカバー901がパネル部の取付穴に係止して取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公昭59−23625号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記示したように、従来のソケットカバーは、所定の厚さの装着パネル部に装着可能とされているので、車種ごとの装着パネル部の厚さに対応したソケットカバーをそれぞれ準備する必要があり、設計、製造、管理に工数を要し、コスト高となる等の問題があった。
【0008】
本発明の目的は、複数のパネル厚に対応可能なソケットカバーの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]上記目的を達成するため、本発明に係るソケットカバーの取付構造は、フランジ部を有し車両側の装着パネル部に装着される円筒状本体と、前記円筒状本体の内周面から内径方向に突出するように形成され、外周面から外径方向に突出することにより、前記フランジ部と共に前記装着パネル部を挟んで係止する係止爪と、を有するソケットカバーと、前記ソケットカバーの前記内周面に嵌合して挿入されて、前記内径方向に突出した前記係止爪を前記外径方向に押圧して突出させる円筒部と、前記円筒部の一部に係止爪を前記外径方向に突出させない位置に対応した不押部を有するソケットと、を有し、前記係止爪は、異なるパネル厚さに対応して複数設けられ、パネル厚さに対応したそれぞれの係止爪は、前記フランジ部との距離が異なる位置に設けられていることを特徴とするソケットカバーの取付構造を提供する。
【0010】
[2]前記ソケットは、前記不押部と前記係止爪の位置を決定する位置決め部を有することを特徴とする上記[1]に記載のソケットカバーの取付構造を提供する。
【0011】
[3]また、前記係止爪は、前記ソケットが前記ソケットカバーに挿入されることにより前記円筒状本体の外径方向に突出し、又、前記ソケットの前記不押部により前記円筒状本体の内周面から内径方向に突出した状態のままであることを特徴とする上記[1]に記載のソケットカバーの取付構造を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のソケットカバーの取付構造によれば、複数のパネル厚に対応可能なソケットカバーの取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施の形態によるソケットカバーの取付構造を示す全体斜視図である。
【図2】図2(a)は、ソケットカバーをインストルメントパネルに装着する場合の装着途中の状態を示す断面図、(b)は、ソケットカバーをインストルメントパネルに装着した状態を示す断面図である。
【図3】図3は、ソケットの外観形状を示す斜視図である。
【図4】図4は、ベースユニットの分解斜視図である。
【図5】図5は、ソケットカバーにベースユニットを組込む場合を示す斜視図である。
【図6】図6は、ソケットカバーを薄型のインストルメントパネルに装着した状態を示す断面図である。
【図7】図7は、従来のソケットカバーによるインストルメントパネルへの取付構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係るソケットカバーの取付構造について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
(プラグソケット200)
図1は、本発明の実施の形態によるソケットカバーの取付構造を示す全体斜視図である。プラグソケット200は、ソケットカバー300にベースユニット400が組み込まれて一体とされたアッセイ体として構成されている。このプラグソケット200は、ソケットカバー300において、インストルメントパネル90に装着されている。すなわち、ソケットカバー300と後述するソケット201によりインストルメントパネル90を挟むように固定されて取り付けられる。なお、ソケット201は、プラグソケット200の構成部品とすることができる。
【0016】
プラグソケット200は、アクセサリプラグやシガレットライタプラグを抜き差し可能に保持するとともに、挿入されたアクセサリプラグやシガレットライタプラグに対し車両のバッテリ電源を供給する電源用ソケットとして機能する。本実施の形態では、以下において、アクセサリプラグに対応した構成について説明する。
【0017】
本発明の実施の形態に係るソケットカバーの取付構造は、係止爪を有するソケットカバー300と、係止爪に対応した不押部(抜穴、退避穴)を有するソケット201とを有し、異なるパネル厚さ、すなわち、被装着部材であるインストルメントパネル90の厚さに対応して取り付けられる構造とされている。
【0018】
(ソケットカバー300)
図2(a)は、ソケットカバーをインストルメントパネルに装着する場合の装着途中の状態を示す断面図、(b)は、ソケットカバーをインストルメントパネルに装着した状態を示す断面図である。図1、図2に示すように、ソケットカバー300は、フランジ部302を有し車両側の装着パネル部であるインストルメントパネル90に装着される円筒状本体である円筒部301と、円筒部301の内周面301aから内径方向に突出するように形成され、外周面301bから外径方向に突出することにより、フランジ部302と共にインストルメントパネル90を挟んで係止する係止爪303、304と、を有して構成されている。
【0019】
ソケットカバー300は、例えば、絶縁性及び可撓性を有する樹脂材料で形成されている。係止爪303、304は、撓まない初期状態において、外面部303b、304bが円筒部301の外周面301bと面一であり、内面部303a、304aが円筒部301の内周面301aよりも内径方向に突出して形成されている。
【0020】
係止爪は、異なるパネル厚さに対応して複数設けられ、パネル厚さに対応したそれぞれの係止爪303、304は、フランジ部302との距離が異なる位置に設けられている。本実施の形態では、2種類のパネル厚さに対応して、パネル厚さ大(厚型パネル)に対して係止爪303が円筒部301の円周方向に120°間隔で設けられ、パネル厚さ小(薄型パネル)に対して係止爪304が係止爪303の各間にそれぞれ設けられている(図1、5参照)。すなわち、それぞれ3つの係止爪303、304が円筒部301の円周方向に交互にそれぞれ3箇所ずつ設けられている。
【0021】
図2(a)に示すように、係止爪303の先端部303cとフランジ部302のインストルメントパネルへの当付面302aの間の距離は、係止爪304の先端部304cと当付面302aの間の距離よりも大きく設定されている。従って、係止爪303はパネル厚さ大(厚型パネル)に対応し、係止爪304はパネル厚さ小(薄型パネル)に対応するので、2種類のインストルメントパネルの厚さに対応して取り付けができることになる。なお、係止爪を増加させて、それぞれの係止爪の先端部と当付面302aの間の距離を3種類以上に設定することで、3種類以上のインストルメントパネルの厚さに対応した取付構造とすることも可能である。
【0022】
図1、図5に示すように、ソケットカバー300には、ベースユニット400が円筒部の軸線に略垂直な方向から挿入して嵌合する嵌合切欠部320、位置決め部330が形成されている。嵌合切欠部320及び位置決め部330は、ソケットカバー300の円筒部301の一部が切り欠かれて形成されている。また、図1に示すように、ソケットカバー300とベースユニット400が略同じ外径を有するものとして一体化され、アッセイ体としてのプラグソケット200を構成することができる。
【0023】
(ソケット201)
図3は、ソケットの外観形状を示す斜視図である。ソケット201は、円筒状の円筒部202とその一端に備えられたフランジ部203から形成されている。このソケット201は、アクセサリソケットの円柱側面に備えられたマイナス端子を円筒部202の内周面202aで電気的にコンタクトをとるので、金属材料により形成されている。ソケット201は、円筒部202の外周面202bがソケットカバー300の内周面301aに嵌合して挿入されて、内径方向に突出した係止爪303、304を外径方向に押圧して突出させる円筒部202と、円筒部202の一部に係止爪303、304を外径方向に突出させない位置に対応した不押部を有して構成されている。
【0024】
この不押部は、厚型パネルへの取付けの際に、係止爪304を外径方向に突出させないよう構成され、凹部、穴部、貫通穴等であればよい。本実施の形態では、不押部として、貫通穴である抜穴204を3箇所に設けている。また、別の不押部として、厚型パネルへの取付けの際に、仮組み状態で係止爪303が円筒部202の外周面202bにより外径方向に押圧されないように、係止爪303が退避する退避穴214が係止爪303に対応して3箇所に設けられている。退避穴214は、図3に示されるように、円筒部301の円周方向に120°間隔で設けられた抜穴204の各間に、係止爪303に対応してそれぞれ設けられている。この退避穴214は、前述の抜穴204と異なり、後述する厚型パネルへの取付けの際の仮組み状態でのみ機能する。
【0025】
また、ソケット201には、ソケット201をソケットカバー300にインストルメントパネル90側から挿入する場合の、その円周方向の位置あわせのために、切欠部205、206が形成されている。この切欠部205、206は、円筒部202においてフランジ部203と反対の端部に形成されている。切欠部205、206は、その一方が、ソケットカバー300に形成された突出部310と嵌合するよう形成されている。図2(a)の場合では、切欠部206が突出部310と嵌合する位置関係で組み立てられ、組み立て完了時には、抜穴204(3箇所)は、係止爪304に対応したところに位置する。すなわち、図2(b)に示すように、抜穴204(3箇所)は、係止爪304を外径方向に押圧しない位置に組み立てられる。
【0026】
(ベースユニット400)
図4は、ベースユニットの分解斜視図である。ベースユニット400は、アクセサリプラグやシガレットライタプラグに電流を供給する電気接続部として機能させるため、ベース401、アースコンタクト410、アースターミナル420、サーミスタ430、プラスターミナル440から概略構成されている。
【0027】
ベース401は、樹脂等の絶縁性の材料で形成され、外径が円筒形である円筒部402を有し、アースコンタクト410、アースターミナル420、サーミスタ430、プラスターミナル440を収容すると共に、ソケットカバー300が装着される側と反対側には、アースターミナル420、プラスターミナル440がベース401を貫通して車両側の電源部に接続するためのコネクタ部403が形成されている。
【0028】
円筒部402には、底面402eからコネクタ部403と反対方向に突出した嵌合部402aが180°対向して形成されている。この嵌合部402aの内側には、アースコンタクト410のコンタクト脚部410bをガイドするガイド溝402bがそれぞれ形成されている。
【0029】
また、円筒部402には、ベース401をソケットカバー300の軸線に略垂直な方向から挿入してソケットカバー300に嵌合させるときの位置決めとなる位置決め部402cが180°対向して形成されている。この位置決め部402cは、嵌合部402aと90°直交して形成されている。この位置決め部402cの内側には、アースコンタクト410の係止爪410dを係止する係止溝402dがそれぞれ形成されている。
【0030】
円筒部402の底面402eには、プラスターミナル440のコンタクトヘッド440bを支持するボス部402fが形成されている。このボス部402fの脇には、対向して、プラスターミナル穴402g、アースターミナル穴402hがそれぞれコネクタ部403に貫通して形成されている。
【0031】
アースコンタクト410は、金属板をプレス加工により形成したもので、車両側のアース(マイナス)に、サーミスタ430、アースターミナル420、コネクタ部403を介して接続され、また、コンタクト脚部410bを介してソケット201と電気的に接続される。円盤状のベースプレート410aの端部からコンタクト脚部410bが180°対向して立設され、これと90°直交して、係止爪410dが180°対向して立設されている。コンタクト脚部410bの先端部には、ソケット201との電気的接続を良好にするよう湾曲した接点部410cが形成されている。ベースプレート410aの中央部にはボス部402f等を逃げるための穴部410eが形成されている。
【0032】
アースターミナル420は、金属板をプレス加工により形成したもので、サーミスタ430を介してアースコンタクト410と電気的に接続される。円筒部402の底面402eに嵌まる円盤状の一部が突出して曲げられ、アースターミナルリード420aが形成されている。このアースターミナルリード420aは、ベース401のアースターミナル穴402hに挿入される。また、中央部には、ボス部402f等を逃げるための穴部420bが形成されている。
【0033】
サーミスタ430は、アースターミナル420等と同様の円盤状であり、中央部には、ボス部402f等を逃げるための穴部430aが形成されている。サーミスタ430は、アースコンタクト410とアースターミナル420との間に介在して配置され、それぞれに面で接して電気的に接続される。サーミスタ430としては、例えば、ポリマPTC(Positive Temperature Coefficient:PTC)が用いられる。これは、チタン酸バリウムのキュリー温度付近で急激に電気抵抗が増大する性質を利用する。これにより、サーミスタ430が所定の温度に到達すると、その抵抗値が増大して通電されなくなる。
【0034】
プラスターミナル440は、金属板をプレス加工により形成したもので、長尺状のプラスターミナルリード440aと、アクセサリプラグの先端部が当接する直角に曲げられたコンタクトヘッド440bから構成されている。プラスターミナルリード440aは、コンタクトヘッド440bがボス部402fに当たるまで、ベース401のプラスターミナル穴402gに挿入される。
【0035】
(ベースユニット400のソケットカバー300への組み込み)
上記説明したように、ベース401にアースコンタクト410、アースターミナル420、サーミスタ430、プラスターミナル440が組み込まれたベースユニット400は、一体に組み立てられたユニット(アッセイ体)である。
【0036】
図5は、ソケットカバー300にベースユニット400を組込む場合を示す斜視図である。ベースユニット400は、図5に示す矢印Aの方向、すなわち、ソケットカバー300の軸線(円筒部301の中心軸線)に略垂直な方向に、ソケットカバー300の位置決め部330にベース401の位置決め部402cが当接するまで、ソケットカバー300の嵌合切欠部320にベース401の嵌合部402aが嵌合しながら挿入される。
【0037】
ここで、ソケットカバー300の円筒部301の外径と、ベース401(ベースユニット400)の円筒部402の外径を略等しくしておくのが好ましい。図1で示したように、ソケットカバー300とベースユニット400で構成されるプラグソケット200の外径寸法が一定となり、インストルメントパネル90への装着が容易となる。
【0038】
(ソケットカバー300のインストルメントパネル90への取付け)
前述の図2と図6により、ソケットカバー300のインストルメントパネル90への取付けを説明する。図6は、ソケットカバーを薄型のインストルメントパネルに装着した状態を示す断面図である。なお、図2、図6は、ベースユニット400の部分が省略して図示されている。
【0039】
図2(a)、(b)は、インストルメントパネル90のパネル厚さが厚い(厚型パネルの)場合であり、図6は、インストルメントパネル90のパネル厚さが薄い(薄型パネルの)場合である。
【0040】
(厚型パネルへの取付け)
ソケット201をソケットカバー300の円筒部301の内周面301aに沿って挿入し、切欠部206がソケットカバー300に形成された突出部310に嵌合するように、円周方向の位置合わせを行って、挿入する。このとき、抜穴204は、薄型パネルに対応する係止爪304の下に位置する。また、退避穴214は、厚型パネルに対応する係止爪303の下に位置する。このとき、係止爪303、304は、共に、外径方向には押されないので、外径方向に突出していない。この仮組みの状態で、図2(a)に示すように、プラグソケット200をインストルメントパネル90の取付け穴に挿入して、ソケットカバー300のフランジ部302をパネル表面に当接させる。
【0041】
ソケット201のフランジ下面201aがソケットカバー300のフランジ部302に当接するまで押し込むことにより、図2(b)に示すように、プラグソケット200は、インストルメントパネル90に装着されて固定される。厚型パネルに対応した係止爪303は、退避穴214からの退避を終了してソケット201の外周面202bに押されて外径方向に突出し、フランジ部302と係止爪303でインストルメントパネル90を挟む。一方、薄型パネルに対応した係止爪304は、不押部である抜穴204により外径方向には押されないので、外径方向に突出しない。これにより、厚型パネルの場合は、厚型パネルに対応した3つの係止爪303とフランジ部302によりインストルメントパネル90に、ソケットカバー300が取付けられる。
【0042】
(薄型パネルへの取付け)
図6に示すように、ソケット201は、切欠部205がソケットカバー300に形成された突出部310に嵌合するように円周方向の位置合わせを行って挿入するが、このとき、抜穴204、退避穴214は、いずれの係止爪303、304の下にも位置しない。薄型パネルへの取付けの場合は、仮組みを行なうことなく、ソケットカバー300を当付面302aがインストルメントパネル90に当接するまで挿入する。その状態で、ソケット201のフランジ下面201aがソケットカバー300のフランジ部302に当接するまで押し込む。このとき、薄型パネルに対応した係止爪304は、ソケット201の外周面202bに押されて外径方向に突出し、フランジ部302と係止爪304でインストルメントパネル90を挟む。一方、厚型パネルに対応した係止爪303もソケット201の外周面202bに押されて外径方向に突出する。しかし、係止爪303とフランジ部302との間には間隙が生じ、インストルメントパネル90を挟むことはない。従って、薄型パネルの場合は、薄型パネルに対応した3つの係止爪304とフランジ部302によりインストルメントパネル90が挟まれて、ソケットカバー300が取付けられる。
【0043】
(本発明の実施の形態による効果)
本発明の実施の形態によれば、以下のような効果を有する。
(1)ソケットカバー300に、パネル厚さ大(厚型パネル)に対して係止爪303が円筒部301の円周方向に120°間隔で設けられ、パネル厚さ小(薄型パネル)に対して係止爪304が係止爪303の各間にそれぞれ設けられている。すなわち、それぞれ3つの係止爪303、304が円筒部301の円周方向に交互にそれぞれ3箇所ずつ設けられている。これにより、異なるパネル厚さに対応してソケットカバー300(プラグソケット200)を取付けることができる。従って、パネル厚さに応じたソケットカバーを別途準備しておく必要がなく、1つのソケットカバーで共通に使用可能となる。
(2)また、上記のパネル厚さは、薄型または厚型の2種類には限られず、3種類以上のパネル厚さに対応することが可能である。
(3)ソケットカバー300は、ソケット201との円周方向の位置合わせを可能とする突出部310が形成されているので、ソケット201のいずれかの切欠部205、206を選択することにより、容易に薄型または厚型のパネル厚さに対応したソケットカバーの取付けが可能となる。また、この突出部310および切欠部205、206の位置を容易に把握できるように、ソケットカバー300およびソケット201の視認可能な領域にマーク等を付しておくことで、より容易に取付けが可能となる。
【0044】
以上、本発明に好適な実施の形態を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で種々の変形、応用が可能である。例えば、プラグソケット200にはアクセサリプラグが挿入されるものとして説明したが、プラグソケットは、シガレットライタプラグが挿入されるものであっても同様に適用可能である。また、ベースユニット400は、サーミスタを内蔵する構成としたが、ヒューズを内蔵する構成でもよく、プラグソケット200の外、すなわち、車両側に安全装置を備える構成であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
90…インストルメントパネル
200…プラグソケット、201…ソケット、201a…フランジ下面、202…円筒部、202a…内周面、202b…外周面、203…フランジ部、204…抜穴、205…切欠部、206…切欠部、214…退避穴
300…ソケットカバー、301…円筒部、301a…内周面、301b…外周面、302…フランジ部、302a…当付面、303…係止爪、303c…先端部、303a…内面部、303b…外面部、304…係止爪、310…突出部、320…嵌合切欠部、330…位置決め部
400…ベースユニット、401…ベース、402…円筒部、402a…嵌合部、402b…ガイド溝、402c…位置決め部、402d…係止溝、402e…底面、402f…ボス部、402g…プラスターミナル穴、402h…アースターミナル穴、403…コネクタ部
410…アースコンタクト、410a…ベースプレート、410b…コンタクト脚部、410c…接点部、410d…係止爪、410e…穴部、420…アースターミナル、420a…アースターミナルリード、420b…穴部、430…サーミスタ、430a…穴部、440…プラスターミナル、440a…プラスターミナルリード、440b…コンタクトヘッド
901…ソケットカバー、902…円筒部、903…フランジ部、904…係止爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フランジ部を有し車両側の装着パネル部に装着される円筒状本体と、前記円筒状本体の内周面から内径方向に突出するように形成され、外周面から外径方向に突出することにより、前記フランジ部と共に前記装着パネル部を挟んで係止する係止爪と、を有するソケットカバーと、
前記ソケットカバーの前記内周面に嵌合して挿入されて、前記内径方向に突出した前記係止爪を前記外径方向に押圧して突出させる円筒部と、前記円筒部の一部に係止爪を前記外径方向に突出させない位置に対応した不押部を有するソケットと、を有し、
前記係止爪は、異なるパネル厚さに対応して複数設けられ、パネル厚さに対応したそれぞれの係止爪は、前記フランジ部との距離が異なる位置に設けられていることを特徴とするソケットカバーの取付構造。
【請求項2】
前記ソケットは、前記不押部と前記係止爪の位置を決定する位置決め部を有することを特徴とする請求項1に記載のソケットカバーの取付構造。
【請求項3】
前記係止爪は、前記ソケットが前記ソケットカバーに挿入されることにより前記円筒状本体の外径方向に突出し、又、前記ソケットの前記不押部により前記円筒状本体の内周面から内径方向に突出した状態のままであることを特徴とする請求項1に記載のソケットカバーの取付構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−43568(P2013−43568A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183002(P2011−183002)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】