説明

ソファ及びソファとこたつを含むユニット家具

【課題】ソファという「西洋的な生活調度品」を用い、大型薄型テレビ閲覧に適した、核家族家庭にとって使い勝手の良いソファを提供する。
【解決手段】少なくとも2つの座席101を有する座面10と、その座席101に対応した背凭れ面111を有する背部11と、背部11の下方に位置する背面支持部と、背面支持部に対向する前面支持部と、背面支持部と前面支持部の両端を接続する2つの側面支持部と、前面支持部に開口部と、座面10の下方に開口部と繋がる空間と、を備え、背面支持部及び2つの側面支持部は、背面支持部及び2つの側面支持部の下端部において床面に近接し又は床面に接し、少なくとも2つの座席101に対応した背凭れ面111の互いの垂線がなす角度は、鉛直視で、鋭角であるソファに係る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソファ及びそのソファとこたつを含むユニット家具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビは、ブラウン管の奥行きを収めるために、部屋のコーナー部に配置され、テレビ画面は部屋の壁面に対して傾斜する方向となっていることが多かったが、最近は、テレビは液晶やプラズマなどの薄型が主流となっており、テレビ画面は壁面に対して水平に配置されることが多くなっている。
また、居間には応接セットと称されるソファとリビングテーブルからなる家具が置かれ、ソファは、座椅子や畳に座るよりも、立ったり座ったりする労力が少なくて済むので、シルバー世代とっては快適である。特に、冬期には、日本の伝統的暖房器具であるこたつは慣れ親しみがあり、しかも、部屋の大きさや断熱環境に左右されない省エネ暖房機器として、現在でもこたつは多く利用されている。しかし、シルバー世代にとっては、こたつを使う際、床に近い座面からの立ち座りが、大きな負担となる。
【0003】
このような問題を解決しようとした先行技術として、特許文献1がある。この文献では、高齢者が長椅子とダイニングテーブル電気こたつからなるセットを使用する際、起き上がりやすいベッドと同じ寝台効果も持ち、手すりをつけた長椅子により起き上がりやすくし、いろいろな姿勢ができることで利用者本人が潜在能力を蘇らせたいと思えるダイニング電気こたつテーブルセットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−172159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ソファには、主に、特許文献1に示されるようなベンチタイプ(通常2,3人掛け)と多人数用の直角に折れ曲がるコーナータイプがある。そのようなソファに座った場合、以前はテレビ画面が壁に対して傾斜していたので、テレビ画面を斜めに視ることが多かった。
ところが、テレビが壁面に対して水平に配置されると、ベンチタイプではテレビ画面を正面から視ることができるが、コーナータイプでは、場所によっては、着座者が首や体をテレビの方向にかなり向けないと、テレビ画面を視ることが困難になる。
一方、ベンチタイプでは、テレビを視るのは最適だが、着座者同士が面と向かい合って話しにくく、逆にコーナータイプでは比較的容易に向かい合うことができるというように一長一短がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ソファという「西洋的な生活調度品」を用い、大型薄型テレビ閲覧に適した、核家族家庭にとって使い勝手の良いソファを、さらに、冬期においては、こたつという「伝統的な日本の暖房様式」とソファを融合し、特にシルバー世代にとって使い勝手の良い快適なユニット家具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、少なくとも2つの座席を有する座面と、前記少なくとも2つの座席に対応した背凭れ面を有する背部と、前記背部の下方に位置する背面支持部と、前記背面支持部に対向する前面支持部と、前記背面支持部と前記前面支持部の両端を接続する2つの側面支持部と、前記前面支持部に開口部と、前記座面の下方に前記開口部と繋がる空間と、を備え、前記背面支持部及び前記2つの側面支持部は、前記背面支持部及び前記2つの側面支持部の下端部において床面に近接し又は床面に接し、前記少なくとも2つの座席に対応した背凭れ面の互いの垂線がなす角度は、鉛直視で、鋭角であるソファが提供される。
この構成によれば、二人又はそれ以上の人数が座りながらにして、テレビを正面に視ることができると共に、お互いの顔を見て向かい合って話すことも容易なソファを提供できる。また、冬期にこたつと共に使う場合には、座面が床面よりは高いので、容易に立ち上がったり、座ったりすることができる。さらに、こたつからの暖気が開口部を通して空間に入ることにより、暖気が座面を下から温め着座者の腰部を暖めるので、着座者に快適なソファを提供できる。また、背面支持部と2つの側面支持部は、その下端部において床面に近接し又は床面に接しているので、こたつからの暖気が逃げにくくなる。
【0008】
また、前記空間は、前記座面の下面と、床面と、前記背面支持部の内面と、前記2つの側面支持部の内面とにより形成されることを特徴としてもよい。
この構成によれば、座面の下の空間が床面によっても形成され、空間をすべてソファの部材で形成する必要がないのでコスト安とすることが可能となる。
【0009】
また、前記背部の下方まで拡がる前記空間を有することを特徴としてもよい。
この構成によれば、冬期にこたつと共に使う場合には、こたつからの暖気が背部の下方まで入ることにより、暖気が背部をも下から温めることで、着座者の背中をも暖めるので、着座者に快適なソファを提供できる。
【0010】
また、輻射熱を反射する素材又は発泡樹脂製素材のうち少なくとも一方を前記内面に備えることを特徴としてもよい。
この構成によれば、冬期にこたつと共に使う場合には、ソファの支持部から熱が逃げにくく座面や背部に熱が伝わり易いので、着座者に快適なソファを提供できる。
【0011】
また、前記角度は、10〜45度であることを特徴としてもよい。
この構成によれば、二人が座りながらにして、部屋の広さやテレビの置く位置に合わせて、テレビを正面に視ることができると共に、お互いの顔を見て向かい合って話すことも容易なソファを提供できる。
【0012】
また、前記ソファの長手方向端部における前記背部の上端は、前記床面から550〜700mmであり、前記ソファの長手方向端部における前記背部の上端より、高い高さを一部に有する背部を有することを特徴としてもよい。
この構成によれば、背部の上端を床面から550〜700mmの範囲とすることにより、着座者が、その上端を掴んで容易に立ち座りすることができ、その上端を立ち上がり支点とすることができる。また、背凭れにヘッドレストを設けることができ、着座者がテレビを視聴する際に快適なソファを提供できる。さらに、冬期にこたつと共に使う場合には、その上端の床面からの高さが、こたつの天板の高さとほぼ同じになるので、一方の片手を天板に置き、他方の片手をその上端に置くことにより、着座者が立ち上がったり、座ったりするときのより大きな手助けとなり、シルバー世代にやさしいソファを提供できる。
【0013】
また、上記課題を解決するために、別の観点によれば、上記のソファと、天板部と、脚部を有するやぐら部とを備えるこたつと、を備え、前記やぐら部は、前記前面支持部の長手方向中央部に近接する又は接する位置に配置される一の脚部と、前記前面支持部からの最短距離が前記一の脚部より大きい位置に配置される少なくとも2以上の他の脚部と、を備え、前記ソファの長手方向端部における前記背部の上端は、前記天板部の床面からの高さと略同一の床面からの高さを有する、ことを特徴とするユニット家具が提供される。
この構成によれば、出入りする側でこたつの脚部がソファから離れているので、着座者が容易に立ち座りでき、こたつの出入りが容易な、ソファとこたつを含むユニット家具を提供できる。
【0014】
また、前記座面の前記こたつ側の端部と前記天板部の前記ソファ側の端部との最短距離が、それぞれの前記座席から、該座席と近傍の前記長手方向端部に向けて増加することを特徴としてもよい。
この構成によれば、出入りする側が広がっているので、着座者が容易にこたつを出入りすることができる、ソファとこたつを含むユニット家具を提供できる。
【0015】
また、前記ソファは、前記座面の前記こたつ側の端部と前記長手方向端部との角部が連続した曲面をなすように形成されることを特徴としてもよい。
この構成によれば、着座者が、体を横に回転させて楽に立ち座り、こたつの出入りができるようになり、容易にこたつを出入りすることができる。
【0016】
また、前記天板部のソファ側の端部の形状は、楕円形の短径との交点を頂点とする半楕円形であり、前記一の脚部は短径上に配置され、前記他の脚部の2つは長径上に配置されることを特徴としてもよい。
この構成によれば、出入りする側が広がっているので、着座者が容易にこたつを出入りすることができる、ソファとこたつを含むユニット家具を提供できる。
【0017】
また、外周に1つの切り欠け部を有するこたつ布団をさらに備え、前記切り欠け部の幅は、前記ソファの前記長手方向端部の間隔に略等しいことを特徴としてもよい。
この構成によれば、ソファの端部と床との段差にできやすいこたつ布団の隙間の量を減らすことができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、ソファという「西洋的な生活調度品」を用い、大型薄型テレビ閲覧に適した、核家族家庭にとって使い勝手の良いソファを、さらに、冬期においては、こたつという「伝統的な日本の暖房様式」とソファを融合し、特にシルバー世代にとって使い勝手の良い快適なユニット家具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る実施形態のソファの正面図。
【図2】本発明に係る実施形態のソファの背面図。
【図3】本発明に係る実施形態のソファの平面図。
【図4】本発明に係る実施形態のソファの底面図。
【図5】本発明に係る実施形態のソファの側面図(その1)。
【図6】本発明に係る実施形態のソファの側面図(その2)。
【図7】本発明に係る実施形態のソファの、図1内のI−Iにおける断面図。
【図8】本発明に係る実施形態のソファとこたつを含むユニット家具の正面図。
【図9】本発明に係る実施形態のソファとこたつを含むユニット家具の平面図。
【図10】本発明に係る実施形態のソファとこたつを含むユニット家具の側面図。
【図11】本発明に係る実施形態のソファの使用説明図。
【図12】本発明に係る他の実施形態のソファとこたつを含むユニット家具の側面図。
【図13】本発明に係る実施形態の、さらにこたつ布団を含むユニット家具の平面図。
【図14】本発明に係る実施形態のユニット家具の使用状況を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施形態について説明する。
図1〜7は、本発明に係る実施形態のソファ1を示す。ソファ1を概観すれば、ソファ1は、床面4に置かれた二人用のソファであり、二人が座るに十分な座面10と、凭れることができる背部11と、それらを支える支持部12とを備える。
【0021】
本ソファ1は二人用なので、図1の正面図と図3の平面図から明らかなように、それぞれの人に対応した、座面10の一部を構成する2つの座席101と、2つの座席101に対応し、背部11の一部を構成する2つの背凭れ面111を備える。なお、ソファ1は二人用だが、二人用に限定されず、例えば、ソファの長手方向端部の間の長さを延長して、3人以上が座れるようにしてもよい。
【0022】
また、図2の背面図によれば、背面支持部122は、背部11の下方に位置して背部11と一体となり背部11を支え、支持部12の一部を構成する。図1の正面図によれば、即ち図3の背面図で示されたソファ1の背面側からすれば対向する側に、前面支持部121は、座面10の下方に位置して座面10を支え、支持部12の一部を構成する。さらに、図1の正面図、図5と図6の側面図によれば、左右2つの側面支持部123は、背面支持部122と前面支持部121の両端を接続し、座面10の下方に位置して座面10を支え、支持部12の一部を構成する。
【0023】
なお、図5は、簡略化のため、ソファ1の右側面のみを表わしており、奥行き側に見えるはずである背部などは表わしていない。
【0024】
図1の正面図、図4の底面図、及び図7の断面図によれば、ソファ1は、前面支持部121の下方に位置する開口部13を備える。ソファ1では、開口部13は切り欠け状になっているので、前面支持部121は開口部13の下方には存在していない構成となっている。また、ソファ1は、座面10の下方及び背部11の下方にまで拡がる、開口部13と繋がった空間14を備える。図11の左図が表わすように、冬期にこたつと共に使用した場合、空間14にこたつからの暖気が充満し、その暖気により座面と背部が暖められるので、着座者の腰と背中を暖め、快適なソファ1を提供できる。
【0025】
前面支持部121は開口部13の下方には存在していない構成となっているので、空間14は、その上面を座面10の下面153により、その側面を背面支持部122の内面151と側面支持部123の内面152により、及び、その下面を床面4により形成される。これにより、空間14をすべてソファ1の部材で形成する必要がないのでコスト安とすることができる。
【0026】
なお、前面支持部が開口部の下方にも存在し、その前面支持部が開口部の下方においても2つの側面支持部と接続する構成、即ち、開口部が前面支持部に孔を形成する構成であってもよい。この場合は、空間の下面は、床面により形成されるのではなく、ソファ自身の一部材、例えば、ソファの底部によって形成されてもよい。
【0027】
また、これらの内面151と152に、輻射熱を反射する素材や発泡樹脂製素材のうち少なくとも一方を備えてもよい。これにより、ソファ1の支持部から熱が逃げにくく座面や背部に熱が伝わり易いので、着座者に快適なソファを提供できる。なお、座面10の温度が上がりすぎる場合、空間14に、開口部13の開口面に整合する形状のオットマン(フットレスト)を挿入配置したり、開口部13にカーテン状の覆いを取り付けて、温度調整を行ってもよい。また、夏期のこたつ布団未使用時には、上記オットマンや上記覆いで開口部13を塞いで良好な外観が得られるようにすることもできる。
【0028】
また、ソファ1は、背面支持部122と左右両側の側面支持部123は、それらの下端部において床面4に近接する。これにより、こたつからの暖気が逃げにくくなる。もちろん、それらの下端部は、床面4に接してもよい。これにより、こたつからの暖気がより逃げにくくなる。
また、開口部が前面支持部に孔を形成する構成である場合は、前面支持部も、床面に近接するか、床面に接してもよい。これにより、ソファの前面側からも暖気が逃げにくくなる。
【0029】
図3の平面図によれば、ソファ1においては、座面10や背部11が中央において曲がっており、全体でくの字型の概観を呈している。即ち、2つの座席101に対応した背凭れ面111の互いの垂線Pがなす角度θは鋭角をなす。例えば、ベンチタイプのソファであれば、背凭れ面の垂線は交わらないし、コーナータイプのソファであれば、角度θは90度であるところ、ソファ1では、角度θは鋭角を形成する。これにより、二人が座りながらにして、テレビを正面に視ることができると共に、お互いの顔を見て向かい合って話すことできる。
【0030】
なお、本ソファ1ではこの角度は約30度であるが、部屋の大きさやテレビを置く位置を考慮すると、おおよそ10〜45度であることが好ましい。例えば、45度である場合にはソファから2〜2.5メートルの位置に、22.5度である場合にはソファから4〜5メートルの位置に、10度である場合にはソファから7〜8メートルの位置に、テレビ画面があると、二人が座った位置から共に正面にテレビ画面を視ることができる。
【0031】
また、ソファ1は、床面4からの座面10の高さは、250mm〜350mmであり、比較的低い座面を備えていることが好ましい。座面の高さの上限が350mmであるのは、それ以上高くなるとテレビを視る視界が狭くなってしまうからである。また、座面の高さの下限が250mmであるのは、それ以上低くなると立ち座りの負担が大きくなってしまうからである。これにより、テレビを視やすく、かつ、立ち座りに負担のかからないソファを提供できる。
【0032】
また、図1の正面図と図3の平面図に表わされる、ソファ1の長手方向端部16における背部11の上端112は、床面4から550〜700mmである。これにより、着座者が、その上端を掴んで容易に立ち座りすることができ、その上端を立ち上がり支点とすることができる。
また、ソファ1の長手方向端部16における背部11の上端112より、高い高さを一部に有する背部、即ち、ヘッドレスト113を有する。着座者がテレビを視聴する際に快適なソファを提供できる。
【0033】
図8〜10は、本発明に係る実施形態のソファ1とこたつ2とを備えるユニット家具5を示す。ユニット家具5を概観すれば、ユニット家具5は、床面4に置かれた二人用のソファ1と、床面4に置かれた、天板部20とやぐら部21を有するこたつ2を備え、天板部20とやぐら部21は分離可能である。
【0034】
やぐら部21は、互いに接合された、楕円形である天板部20の外形に適合した上部と4本の脚部22を備え、天板部20を支える。内2本の脚部22が楕円形の短径の上に位置し、残りの2本の脚部22が楕円形の長径の上に位置する。さらに、やぐら部21は、着脱可能なヒーター23を備える。なお、本実施形態では天板部20は楕円形をなすが、ソファ1側の端部の形状のみが、楕円形の短径との交点を頂点とする半楕円形であってもよい。即ち、ソファ1側とは反対側はどのような形状であってもよく、重心が天板部の中央から極端に偏らない範囲で、例えば、そらまめ形状としてもよい。
【0035】
図9の平面図によれば、こたつ2は、その長径方向がソファ1の長手方向とほぼ平行になるように、即ち、着座した二人の前にほどよく天板部が位置するように配置される。これは、即ち、やぐら部21の短径上に位置した1つの脚部22が、ソファ1の前面支持部121の長手方向中央部17(図3に示す)に近接する位置に配置されることとなる。さらに、この場合、その短径上に位置した1つの脚部22に比べ、長径上に位置した2つの脚部22は、ソファ1の前面支持部121からより離れた位置に配置されることとなる。これにより、出入りする側でこたつ2の脚部22がソファ1から離れているので、着座者が容易に立ち座りでき、こたつの出入りが容易な、ソファとこたつを含むユニット家具5を提供できる。
【0036】
なお、やぐら部21は4本の脚部を備えるが、不安定にならない程度に3本の脚部を備えてもよいし、5本以上の脚部を備えてもよい。この場合、やぐら部の短径上に位置した1つの脚部であって、ソファ1の前面支持部121の長手方向中央部17に最も近接する位置に配置される1つの脚部は、3本の脚部、5本の脚部、もちろん、4本の脚部やこれら以上の脚部から形成される、平面視で多角形の一つの頂点となる。これにより、出入りする側でこたつの脚部がソファから離れているので、着座者が容易に立ち座りでき、こたつの出入りが容易な、ソファとこたつを含むユニット家具を提供できる。
【0037】
また、ソファ1の座面10のこたつ2側の端部と、天板部20のソファ1側の端部との最短距離が、それぞれの座席101から、その座席101と近傍にあるそれぞれの長手方向端部16に向けて増加する。即ち、例えば、図11の右図が示すように、向かって右側の座席に座った着座者は、その右側の座席に近い方の長手方向端部、即ち、向かって右側の長手方向端部の方で立ち座りを行うこととなるが、その右側の座席からその右側の長手方向端部へ向けて、ソファと天板部の間の距離が増加するので、立ち座りやこたつの出入りが容易になる。
【0038】
さらに、ソファ1は、座面10のこたつ2側の端部と長手方向端部16との角部18が連続した曲面をなすように形成される。即ち、例えば、図11の右図が示すように、向かって右側の座席に座った着座者は、その右側の座席に近い方の長手方向端部、即ち、向かって右側の長手方向端部と、座面のこたつ側の端部との角部18で、身体を左に回転させながら足を出すこととなるが、その角部18が連続した曲面をなすように形成され、大きなRを有しているので、立ち座りやこたつの出入りが容易になる。
【0039】
図8の正面図と図10の側面図によれば、ソファ1の長手方向端部16における背部11の上端112は、天板部20の床面4からの高さとほぼ同じの床面4からの高さを有する。これにより、床面からの高さが、こたつの天板の高さとほぼ同じになるので、一方の片手を天板に置き、他方の片手をその上端に置くことにより、着座者が立ち上がったり、座ったりするときのより大きな手助けとなり、シルバー世代にやさしいソファを提供できる。
なお、上端112には、掴みやすい手摺を設けてもよい。
【0040】
上記の実施形態では、こたつ2は、平面視で楕円形であったが、これに限定されない。例えば、図12では、平面視で菱形のこたつ2Aが示される。即ち、こたつ2Aの天板部20Aは菱形であり、また、やぐら部の上部もほぼ菱形になっている(図示せず)。これにより、ソファ1の座面10のこたつ2A側の端部と、天板部20Aのソファ1側の端部との最短距離が、それぞれの座席101から、その座席101と近傍にあるそれぞれの長手方向端部16に向けて増加する。これにより、出入りする側が広がっているので、着座者が容易にこたつを出入りすることができる、ソファとこたつを含むユニット家具5Aを提供できる。
【0041】
また、こたつ2Aは、4本の脚部22Aを備え、それらの脚部22Aは、菱形の対角線上に位置する。こたつ2Aは、その長手方向がソファ1の長手方向とほぼ平行になるように、即ち、着座した二人の前にほどよく天板部が位置するように配置される。これは、即ち、こたつ2Aの短径上に位置した1つの脚部22Aが、ソファ1の前面支持部121の長手方向中央部17に近接する位置に配置されることとなる。これにより、その短径上に位置した1つの脚部22Aに比べ、長径上に位置した2つの脚部22Aは、ソファ1の前面支持部121から離れた位置に配置されることとなる。これにより、出入りする側でこたつの脚部がソファから離れているので、着座者が容易に立ち座りでき、こたつの出入りが容易な、ソファとこたつを含むユニット家具5Aを提供できる。
【0042】
図13は、さらにこたつ布団を含むユニット家具5を示す。このユニット家具5は、外周に1つの切り欠け部30を有するこたつ布団3をさらに備えてもよい。その切り欠け部30の幅は、ソファ1の長手方向端部16の間隔、即ち、ソファ1の長手方向の長さにほぼ等しいことにより、ソファの端部と床との段差にできやすいこたつ布団の隙間の量を減らすことができる。また、ソファ側と布団側に雌雄一対の面ファスナを取り付けたり、磁石を取り付けることにより、隙間をより減らしてもよい。本ユニット家具に含まれるソファ1は、上記で述べたソファと同様、座面10に2つの座席101とそれに対応した背部11を備える。二人の着座者は、それぞれの座席101に座りながら、足をこたつ2の方へ伸ばし、また、こたつ布団3を膝や太腿にも掛けることにより、さらには、こたつ布団3により空間14にも暖気が満たされることにより、シルバー世代にとって使い勝手の良い快適なユニット家具5を提供できる。
【0043】
図14はユニット家具の使用状況を示すが、本図によれば、こたつ2を挟み、ソファ1の正面に大型薄型のテレビが置かれ、二人の着座者がソファ1に座り、こたつ2に足を入れて温まりながらテレビを視、時には向かい合って顔を見て会話する楽しいひとときを提供する、シルバー世代にとって使い勝手の良い快適なユニット家具5を提供できる。
【0044】
尚、本発明は、例示した実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 ソファ
2 こたつ
3 こたつ布団
4 床面
5 ユニット家具
10 座面
101 座席
11 背部
111 背凭れ面
112 背部の上端
113 ヘッドレスト
12 支持部
121 正面支持部
122 背面支持部
123 側面支持部
13 開口部
14 空間
15 内面
151 背面支持部の内面
152 側面支持部の内面
153 座面の下面
16 長手方向端部
17 長手方向中央部
18 角部
20 天板部
21 やぐら部
22 脚部
23 ヒーター
30 切り欠け部
P 垂線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの座席を有する座面と、
前記少なくとも2つの座席に対応した背凭れ面を有する背部と、
前記背部の下方に位置する背面支持部と、
前記背面支持部に対向する前面支持部と、
前記背面支持部と前記前面支持部の両端を接続する2つの側面支持部と、
前記前面支持部に開口部と、
前記座面の下方に前記開口部と繋がる空間と、
を備え、
前記背面支持部及び前記2つの側面支持部は、前記背面支持部及び前記2つの側面支持部の下端部において床面に近接し又は床面に接し、
前記少なくとも2つの座席に対応した背凭れ面の互いの垂線がなす角度は、鉛直視で、鋭角である
ソファ。
【請求項2】
前記空間は、前記座面の下面と、床面と、前記背面支持部の内面と、前記2つの側面支持部の内面とにより形成されることを特徴とする請求項1に記載のソファ。
【請求項3】
前記背部の下方まで拡がる前記空間を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のソファ。
【請求項4】
輻射熱を反射する素材又は発泡樹脂製素材のうち少なくとも一方を前記内面に備えることを特徴とする請求項2又は3に記載のソファ。
【請求項5】
前記角度は、10〜45度であることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のソファ。
【請求項6】
前記ソファの長手方向端部における前記背部の上端は、前記床面から550〜700mmであり、前記ソファの長手方向端部における前記背部の上端より、高い高さを一部に有する背部を有することを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のソファ。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれかに記載のソファと、
天板部と、脚部を有するやぐら部とを備えるこたつと、
を備え、
前記やぐら部は、
前記前面支持部の長手方向中央部に近接する又は接する位置に配置される一の脚部と、
前記前面支持部からの最短距離が前記一の脚部より大きい位置に配置される少なくとも2以上の他の脚部と、
を備え、
前記ソファの長手方向端部における前記背部の上端は、前記天板部の床面からの高さと略同一の床面からの高さを有する、
ことを特徴とするユニット家具。
【請求項8】
前記座面の前記こたつ側の端部と前記天板部の前記ソファ側の端部との最短距離が、それぞれの前記座席から、該座席と近傍の前記長手方向端部に向けて増加することを特徴とする請求項7に記載のユニット家具。
【請求項9】
前記ソファは、前記座面の前記こたつ側の端部と前記長手方向端部との角部が連続した曲面をなすように形成されることを特徴とする請求項7又は8に記載のユニット家具。
【請求項10】
前記天板部のソファ側の端部の形状は、楕円形の短径との交点を頂点とする半楕円形であり、前記一の脚部は短径上に配置され、前記他の脚部の2つは長径上に配置されることを特徴とする請求項7乃至9いずれかに記載のユニット家具。
【請求項11】
外周に1つの切り欠け部を有するこたつ布団をさらに備え、前記切り欠け部の幅は、前記ソファの前記長手方向端部の間隔に略等しいことを特徴とする請求項7乃至10いずれかに記載のユニット家具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−90684(P2012−90684A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238921(P2010−238921)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)