説明

ソファ

【課題】家具を主目的として通常用いられるソファを、ソファよりも使用頻度の低い副目的のものに利用できるようにして、副目的のものの常備を不要にさせる。
【解決手段】ソファは、平面視で長方形状をなす着座板2と、着座板2の幅方向(Fr)の一端部側から上方に向かって延びる縦向き姿勢の背もたれ板3と、着座板2もしくは背もたれ板3に重なるよう設けられる追加板4と、各板2〜4による組立体5の外面に沿って延びる膜体6とを備える。膜体6が防水性にされる。膜体6に背もたれ板3と追加板4とが連結され、追加板4を移動させて着座板2の幅方向の他端部側から上方に向かって延びる縦向き姿勢にさせると共に背もたれ板3に対し離れて対面させることにより他の組立体23を形成したとき、膜体6が、他の組立体23を収容して上方に向かって開く箱形状となるよう変形可能にされると共に、他の組立体23が箱形状の膜体6の少なくとも一部を保形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主目的が家具であるソファに関するものであって、このソファを、例えば、水害の緊急時に人や家財の保護や、子供の遊び場用の区画体など、より使用頻度の低い副目的のものに変形させて利用できるようにする多目的なソファに関するものである。
【背景技術】
【0002】
家具として用いられる一般的なソファは、通常、外形寸法が大きいため、このソファの室内における占有空間は大きいものである。
【0003】
一方、例えば、水害の緊急時に人や家財を保護するため、これらを収容して水面上に浮遊させ、避難させる箱体を常備しておくことが望まれる。従来、このような箱体については、下記特許文献1に示されるものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−29172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した一般的なソファは、上記した水害の緊急時には、ほとんど使用されることがなく無用なものである。一方、緊急時に用いられる上記従来の技術の箱体は使用頻度が極めて低いと考えられるため、このような箱体を常備することは、その管理上、煩雑であると共に、上記箱体により室内の空間が無用に狭められることとなって、好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、家具を主目的として通常用いられるソファを、このソファよりも使用頻度の低い副目的のものに利用できるようにして、この副目的のものの常備を不要にさせることである。
【0007】
請求項1の発明は、平面視で長方形状をなす着座板2と、この着座板2の幅方向(Fr)の一端部側から上方に向かって延びる縦向き姿勢の背もたれ板3と、上記着座板2もしくは背もたれ板3に重なるよう設けられる追加板4と、これら各板2〜4による組立体5の外面に沿って延びる膜体6とを備えたソファであって、
上記膜体6が防水性にされ、この膜体6に上記背もたれ板3と追加板4とが連結され、この追加板4を移動させて上記着座板2の幅方向の他端部側から上方に向かって延びる縦向き姿勢にさせると共に上記背もたれ板3に対し離れて対面させることにより他の組立体23を形成したとき、上記膜体6が、上記他の組立体23を収容して上方に向かって開く箱形状となるよう変形可能にされると共に、この他の組立体23が上記箱形状の膜体6の少なくとも一部を保形するようにしたことを特徴とするソファである。
【0008】
請求項2の発明は、上記他の組立体23を形成する背もたれ板3と追加板4とに架設され、これら両板3,4の互いの相対位置を保持する位置保持手段27が設けられたことを特徴とする請求項1に記載のソファである。
【0009】
請求項3の発明は、上記組立体5を形成する板2〜4同士の間、もしくは上記組立体5を形成する板2〜4と膜体6との間に上記位置保持手段27が収納されるようにしたことを特徴とする請求項2に記載のソファである。
【0010】
請求項4の発明は、平面視で長方形状をなす着座板2と、この着座板2の幅方向(Fr)の一端部側から上方に向かって延びる縦向き姿勢の背もたれ板3と、上記着座板2もしくは背もたれ板3に重なるよう設けられる追加板4と、これら各板2〜4による組立体5の外面に沿って延びる膜体6とを備えたソファであって、
上記膜体6が防水性にされ、この膜体6に上記背もたれ板3と追加板4とが連結され、上記各板2〜4と膜体6との展開により、上記着座板2の幅方向(Fr)に延びる上記膜体6の上面に、それぞれ水平方向に延びる上記着座板2、背もたれ板3、および追加板4が上記幅方向(Fr)に並設されるようにしたことを特徴とするソファである。
【0011】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0012】
本発明による効果は、次の如くである。
【0013】
請求項1の発明は、平面視で長方形状をなす着座板と、この着座板の幅方向の一端部側から上方に向かって延びる縦向き姿勢の背もたれ板と、上記着座板もしくは背もたれ板に重なるよう設けられる追加板と、これら各板による組立体の外面に沿って延びる膜体とを備えたソファであって、
上記膜体が防水性にされ、この膜体に上記背もたれ板と追加板とが連結され、この追加板を移動させて上記着座板の幅方向の他端部側から上方に向かって延びる縦向き姿勢にさせると共に上記背もたれ板に対し離れて対面させることにより他の組立体を形成したとき、上記膜体が、上記他の組立体を収容して上方に向かって開く箱形状となるよう変形可能にされると共に、この他の組立体が上記箱形状の膜体の少なくとも一部を保形するようにしている。
【0014】
このため、家具を主目的として通常用いられるソファから形成された他の組立体と、この他の組立体により保形される箱形状の膜体とにより構成される箱体によれば、例えば、水害の緊急時に、人や家財を上記箱体内に収容して遮水しつつ保護できたり、子供の遊び場など行動範囲を制限するための区画体に利用できたりして、ソファよりも使用頻度の低い副目的のものに利用でき、よって、この副目的のものの常備を不要にさせることができることから、通常、室内での占有空間が大きい上記ソファであるとしても、このソファの有効利用が達成されて有益である。
【0015】
また、上記したように、膜体に背もたれ板と追加板とが連結されているため、上記各板と膜体とにより、組立体から他の組立体を形成し、かつ、この他の組立体により保形される膜体の箱形状を形成する場合、上記各板と膜体との互いの連結関係が維持されることにより、これら各板と膜体との相対的な位置関係が自由に変動することが防止されて一定の関連性が維持される。よって、その分、上記他の組立体や膜体の箱形状の形成が容易かつ迅速にできる。
【0016】
請求項2の発明は、上記他の組立体を形成する背もたれ板と追加板とに架設され、これら両板の互いの相対位置を保持する位置保持手段が設けられている。
【0017】
このため、上記位置保持手段により上記箱体はその形状に、より確実に保形される。よって、この箱体によれば、例えば、水害の緊急時に、人や家財を、収容して遮水しつつ保護できると共に、水面に浮かせて避難させることができ、また、上記箱体を遊戯用の舟として利用することができる。つまり、上記ソファを、より多目的に利用することができて、有益である。
【0018】
請求項3の発明は、上記組立体を形成する板同士の間、もしくは上記組立体を形成する板と膜体との間に上記位置保持手段が収納されるようにしている。
【0019】
このため、主目的の家具としてソファを使用するだけで、上記位置保持手段の管理が自動的に達成される。よって、この位置保持手段の紛失が防止されるなど有益である。
【0020】
請求項4の発明は、平面視で長方形状をなす着座板と、この着座板の幅方向の一端部側から上方に向かって延びる縦向き姿勢の背もたれ板と、上記着座板もしくは背もたれ板に重なるよう設けられる追加板と、これら各板による組立体の外面に沿って延びる膜体とを備えたソファであって、
上記膜体が防水性にされ、この膜体に上記背もたれ板と追加板とが連結され、上記各板と膜体との展開により、上記着座板の幅方向に延びる上記膜体の上面に、それぞれ水平方向に延びる上記着座板、背もたれ板、および追加板が上記幅方向に並設されるようにしている。
【0021】
このため、上記した各板と膜体との展開により、遮水性の膜体上で、各板によりベッドが形成可能である。よって、濡れた面上にベッドを設定する場合でも、このベッド上の人を上記膜体により遮水しつつ保護できることから、上記ソファの有効利用が達成されて有益である。
【0022】
また、上記したように、膜体に背もたれ板と追加板とが連結されているため、上記各板と膜体とにより上記ベッドを形成する場合、上記各板と膜体との互いの連結関係が維持されることにより、これら各板と膜体との相対的な位置関係が自由に変動することが防止されて一定の関連性が維持される。よって、その分、上記ソファからのベッドの形成が容易かつ迅速にできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1を示し、ソファの側面断面作用説明図である。
【図2】実施例1を示し、ソファを前方から見たときの斜視展開図である。
【図3】実施例1を示し、ソファを後方から見たときの斜視作用説明図である。
【図4】実施例1を示し、ソファを箱体に変形させたときの斜視展開作用説明図である。
【図5】実施例2を示し、図1に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のソファに関し、家具を主目的として通常用いられるソファを、このソファよりも使用頻度の低い副目的のものに利用できるようにして、この副目的のものの常備を不要にさせる、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0025】
即ち、ソファは、平面視で長方形状をなす着座板と、この着座板の幅方向の一端部側から上方に向かって延びる縦向き姿勢の背もたれ板と、上記着座板もしくは背もたれ板に重なるよう設けられる追加板と、これら各板による組立体の外面に沿って延びる膜体とを備えている。
【0026】
上記膜体が防水性にされる。この膜体に上記背もたれ板と追加板とが連結され、この追加板を移動させて上記着座板の幅方向の他端部側から上方に向かって延びる縦向き姿勢にさせると共に上記背もたれ板に対し離れて対面させることにより他の組立体を形成したとき、上記膜体が、上記他の組立体を収容して上方に向かって開く箱形状となるよう変形可能にされている。また、この他の組立体が上記箱形状の膜体の少なくとも一部を保形することとされている。
【実施例1】
【0027】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例1を添付の図1〜4に従って説明する。
【0028】
図1〜3中実線において、図中符号1はソファで、その説明の便宜上、矢印Frで示す水平方向を前方とし、この前方に直交する水平方向を左右とし以下説明する。
【0029】
上記ソファ1は、左右に長く延び、平面視で長方形をなす着座板2と、この着座板2の幅方向の一端部側(後端部側)である後端部上面から上方に向かって延びる縦向き姿勢の背もたれ板3と、この背もたれ板3の前面に重なるよう設けられる追加板4と、これら各板2〜4による組立体5の外面に沿って延びる防水性の膜体6と、上記着座板2の上面に重なるよう設けられる着座クッション7と、この着座クッション7の後端部上に立設されると共に上記背もたれ板3の前面に重なるよう設けられる背もたれクッション8とを備えている。
【0030】
上記着座板2は、上下に重ねられる上、下板11,12と、これら上、下板11,12の各前端縁部を互いに枢支させる枢支部13とを備えている。
【0031】
上記各板2〜4は、例えば、多孔性樹脂である発泡ポリスチレン製とされ、ある程度の剛性を有している。なお、上記各板2〜4は、その内部を構成して上記発泡ポリスチレン製とされる芯材板と、この芯材板を覆う防水性で上記膜体6と同材質の表皮とを備えるようにしてもよい。
【0032】
また、上記膜体6は、汎用のテント等に用いられるものであって、繊維織物の両面を合成樹脂コーティングしたものである。この樹脂は、熱溶着による接合が可能な熱可塑性樹脂のポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリウレタン(PU)などとされる。
【0033】
なお、図の理解を容易にするため、上記膜体6の表、裏面のうち、裏面を梨地模様としているが、この膜体6の表、裏面の構成、材質は互いに同じである。
【0034】
上記膜体6は、その自由状態の平面視で、前後方向に長く延びる長方形状をなしている(図3中一点鎖線)。この膜体6の幅方向(左右方向)の中途部膜体6aにおけるこの膜体6の長手方向(前後方向)の一端部(後端部)側に上記背もたれ板3が連結されている。この場合、上記膜体6の一端部側の中途部膜体6aと、この側部膜体6bに取り付けられる膜材とにより袋部15が一体的に形成され、上記膜材は上記膜体6と同材質とされている。そして、この袋部15に上記背もたれ板3が収容され、これにより、この背もたれ板3が上記膜体6の一端部側の中途部膜体6aに連結されている。
【0035】
なお、上記連結は、一体的に連結されていてもよいし、面ファスナー等により着脱可能に連結されていてもよい。
【0036】
上記膜体6の中途部膜体6aにおけるこの膜体6の長手方向の他端部(前端部)に上記追加板4が連結されている。この場合、上記膜体6他端部の中途部膜体6aと、この中途部膜体6aに取り付けられる膜材とにより他の袋部16が一体的に形成され、上記膜材は上記膜体6と同材質とされている。そして、この他の袋部16に上記追加板4が収容され、これにより、この追加板4が上記膜体6の他端部の中途部膜体6aに連結されている。
【0037】
上記膜体6の前後方向の中途部の中途部膜体6aの上面に上記着座板2が載置されている。上記膜体6の一端部の中途部膜体6aが上記背もたれ板3の後面を覆っている。一方、上記膜体6の前後方向の中途部の中途部膜体6aが上記着座板2の上面を覆い、かつ、上記膜体6の他端部の中途部膜体6aが上記追加板4の前面を覆っている。
【0038】
上記膜体6の一端部の各側部膜体6bは、上記背もたれ板3の後面に折り畳まれて、上記背もたれ板3の後面に密着するよう締結具18により解除可能に締結されている。また、上記膜体6の他端部側の各側部膜体6bは、上記各板2〜4の左右各側面を覆うと共に、上記着座板2の上面と追加板4の前面とに折り畳まれて、上記追加板4の前面に密着するよう他の締結具19により解除可能に締結されている。
【0039】
上記各締結具18,19はバンドで示しているが、バックルや面ファスナーであってもよい。
【0040】
上記各板2〜4の左右各側面と、これら各側面を覆う膜体6の中途部膜体6aとの間に、それぞれ三角形状の保形板21が介設されている。これら各保形板21により三角形状に保形された上記膜体6の側部膜体6bの各部分は、上記着座板2と追加板4とで挟まれた空間の左右各端部を、それぞれ左右の外側方から覆っている。なお、上記各保形板21は設けなくてもよい。
【0041】
図1中二点鎖線と図4中実線とで示すように、上記ソファ1における上記組立体5の追加板4を移動させることにより、この追加板4を上記着座板2の幅方向の他端部側(前端部側)であるこの着座板2の前端部上面から上方に向かって延びる縦向き姿勢にさせると共に上記背もたれ板3に対し前方に離れて対面させることにより他の組立体23が形成可能とされている。そして、この他の組立体23と、この他の組立体23の形成に伴う膜体6の変形とにより箱体25が形成される。この箱体25は、水害時などの緊急時に、人や家財などを収容して遮水しつつ保護したり、子供の遊び場用の区画体等に利用したりするためのものである。
【0042】
具体的には、上記ソファ1の組立体5から箱体25の他の組立体23を形成するに際しては、上記他の締結具19による締結をしたままで、図1中一点鎖線で示すように、上記膜体6の他端部側を前方に展開させると共に、上記追加板4を前方に移動Aさせ、かつ、上記着座板2の下板12に対し上記枢支部13を中心として上板11を前方に回動Bして展開させる。そして、上記追加板4の前方への移動Aと着座板2の上板11の回動Bとによる展開を進行させて、図1中二点鎖線と図4中実線のように、展開させた上記着座板2の上板11の前端部の上面に上記追加板4を縦向き姿勢で載置させる。
【0043】
すると、上記膜体6の左右各側部膜体6bは、上記他の組立体23の着座板2の上、下板11,12、背もたれ板3、および追加板4で囲まれた空間と、これら各板2〜4の左右各側面とをそれぞれ左右各外側方から覆うこととなる。つまり、上記膜体6は、上記他の組立体23を収容して上方に向かって開く箱形状となるよう変形させられると共に、この他の組立体23は上記箱形状の膜体6の少なくとも一部である前、後部と底部とを保形する。これにより、上記箱体25が形成される。
【0044】
図1中二点鎖線、および図4において、上記箱体25における他の組立体23を形成する背もたれ板3と追加板4とに架設され、これら両板3,4の互いの相対位置をそのままに保持する左右一対の位置保持手段27,27が設けられる。これら各位置保持手段27は、前後の長手方向に伸縮可能なねじジャッキである位置保持手段27とされる。
【0045】
具体的には、上記各着位置保持手段27を伸長させて上記他の組立体23の背もたれ板3と追加板4とを前後で突っ張ることと、これにより上記膜体6に生じる引張応力とにより、上記箱体25がその形状のままに保形される。
【0046】
なお、上記箱体25をソファ1に戻すには、上記と逆の手順によればよい。
【0047】
図1〜3図示の上記組立体5を形成する背もたれ板3と追加板4との間に、図示しないが、上記各位置保持手段27が収納され、これら各位置保持手段27は係止具30により上記背もたれ板3に係脱可能に係止されて、収納される。そして、図4中二点鎖線で示すように、上記組立体5から他の組立体23を形成したときには、上記箱体25の他の組立体23を形成する背もたれ板3の内面に上記各位置保持手段27が露出することとされる。このため、これら各位置保持手段27を上記背もたれ板3から取り外して、上記他の組立体23を形成する背もたれ板3と追加板4とに架設させることは容易にできる。また、上記各位置保持手段27を上記係止具30により背もたれ板3に再び取り付けることも容易にできる。
【0048】
特に、図3中三点鎖線で示すように、上記ソファ1における組立体5、もしくは箱体25を構成する他の組立体23の各板2〜4の移動と、これに伴う膜体6の変形とによりベッド32が形成可能とされている。このベッド32は、主に、人を載置させて遮水しつつ保護するためのものである。
【0049】
具体的には、上記ソファ1や箱体25において、各締結具18,19による締結を解除し、特に、上記背もたれ板3を後方に、かつ、追加板4を前方にそれぞれ回動Cさせることにより、上記着座板2の幅方向(前後方向)に向かって各板2〜4と膜体6とを展開させれば、第1,3,4中三点鎖線で示すように、膜体6の中途部膜体6aは全体的に水平に延び、この膜体6の中途部膜体6aの上面に、それぞれ水平に延びる上記背もたれ板3、着座板2の上、下板11,12、および追加板4が、この順序で上記着座板2の幅方向(前後方向)に並設されてベッド32が形成されるようになっている。
【0050】
なお、上記ベッド32をソファ1もしくは箱体25に戻すには、上記と逆の手順によればよい。
【0051】
上記構成によれば、膜体6が防水性にされ、この膜体6に背もたれ板3と追加板4とが連結され、この追加板4を移動させて上記着座板2の幅方向の他端部側から上方に向かって延びる縦向き姿勢にさせると共に上記背もたれ板3に対し離れて対面させることにより他の組立体23を形成したとき、上記膜体6が、上記他の組立体23を収容して上方に向かって開く箱形状となるよう変形可能にされると共に、この他の組立体23が上記箱形状の膜体6の少なくとも一部を保形するようにしている。
【0052】
このため、家具を主目的として通常用いられるソファ1から形成された他の組立体23と、この他の組立体23により保形される箱形状の膜体6とにより構成される箱体25によれば、例えば、水害の緊急時に、人や家財を上記箱体25内に収容して遮水しつつ保護できたり、子供の遊び場など行動範囲を制限するための区画体に利用できたりして、ソファ1よりも使用頻度の低い副目的のものに利用でき、よって、この副目的のものの常備を不要にさせることができることから、通常、室内での占有空間が大きい上記ソファ1であるとしても、このソファ1の有効利用が達成されて有益である。
【0053】
また、上記したように、膜体6に背もたれ板3と追加板4とが連結されているため、上記各板2〜4と膜体6とにより、組立体5から他の組立体23を形成し、かつ、この他の組立体23により保形される膜体6の箱形状を形成する場合、上記各板2〜4と膜体6との互いの連結関係が維持されることにより、これら各板2〜4と膜体6との相対的な位置関係が自由に変動することが防止されて一定の関連性が維持される。よって、その分、上記他の組立体23や膜体6の箱形状の形成が容易かつ迅速にできる。
【0054】
また、前記したように、他の組立体23を形成する背もたれ板3と追加板4とに架設され、これら両板3,4の互いの相対位置を保持する位置保持手段27が設けられている。
【0055】
このため、上記位置保持手段27により上記箱体25はその形状に、より確実に保形される。よって、この箱体25によれば、例えば、水害の緊急時に、人や家財を、収容して遮水しつつ保護できると共に、水面に浮かせて避難させることができ、また、上記箱体25を遊戯用の舟として利用することができ、つまり、上記ソファ1を、より多目的に利用することができて、有益である。
【0056】
また、前記したように、組立体5を形成する板2〜4同士の間、もしくは上記組立体5を形成する板2〜4と膜体6との間に位置保持手段27が収納されるようにしている。
【0057】
このため、主目的の家具としてソファ1を使用するだけで、上記位置保持手段27の管理が自動的に達成される。よって、この位置保持手段27の紛失が防止されるなど有益である。
【0058】
また、前記したように、各板2〜4と膜体6との展開により、上記着座板2の幅方向(Fr)に延びる上記膜体6の上面に、それぞれ水平方向に延びる上記着座板2、背もたれ板3、および追加板4が上記幅方向(Fr)に並設されるようにしている。
【0059】
このため、上記した各板2〜4と膜体6との展開により、遮水性の膜体6上で、各板2〜4によりベッド32が形成可能である。よって、濡れた面上にベッド32を設定する場合でも、このベッド32上の人を上記膜体6により遮水しつつできることから、上記ソファ1の有効利用が更に達成されて、極めて有益である。
【0060】
また、上記したように、膜体6に背もたれ板3と追加板4とが連結されているため、上記各板2〜4と膜体6とにより上記ベッド32を形成する場合、上記各板2〜4と膜体6との互いの連結関係が維持されることにより、これら各板2〜4と膜体6との相対的な位置関係が自由に変動することが防止されて一定の関連性が維持される。よって、その分、上記ソファ1からのベッド32の形成が容易かつ迅速にできる。
【0061】
なお、以上は図示の例によるが、着座板2の上板11と下板12とは一体的に形成してもよく、これら上板11と下板12とは互いに枢結せずに個別に設けてもよい。また、上記着座板2も上記膜体6に連結してもよい。また、着座クッション7と背もたれクッション8とは設けなくてもよい。また、上記背もたれ板3の後面に重ねられる膜体6の一端部は、この膜体6と同材質の一枚の膜材で形成してもよく、この場合、上記締結具18は不要となる。
【0062】
また、上記位置保持手段27は、上記箱体25の背もたれ板3と追加板4との各上端部にその上方から嵌脱可能に嵌合する前後一対の倒立U字状嵌合体と、これら前、後嵌合部同士を連結する連結棒、もしくは長手方向に伸縮可能なねじジャッキとを備えたものであってもよい。上記した位置保持手段27によれば、上記箱体25は、より強固に保形される。
【0063】
また、上記位置保持手段27の収納は、上記組立体5を形成する着座板2の上、下板11,12の間でもよく、各板2〜4と膜体6との間であってもよい。
【0064】
以下の図5は、実施例2を示している。この実施例2は、前記実施例1と構成、作用効果において多くの点で共通している。そこで、これら共通するものについては、図面に共通の符号を付してその重複した説明を省略し、異なる点につき主に説明する。また、これら実施例における各部分の構成を、本発明の目的、作用効果に照らして種々組み合せてもよい。
【実施例2】
【0065】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例2を添付の図5に従って説明する。
【0066】
図5中実線において、上記ソファ1は、着座板2と、この着座板2の後端部側であるこの着座板2の後方隣接位置から上方に向かって延びる縦向き姿勢の背もたれ板3と、上記着座板2の上面に重ねられる追加板4とを備えている。この場合、上記着座板2、背もたれ板3、および追加板4はそれぞれ十分の厚さを有しており、このため、上記着座クッション7と背もたれクッション8とが不要とされている。
【0067】
図5中二点鎖線で示すように、上記ソファ1を構成する組立体5の追加板4の移動により、この追加板4を上記着座板2の前端部側であるこの着座板2の前方隣接位置から上方に向かって延びる縦向き姿勢にさせると共に上記背もたれ板3に対し前方に離れて対面させることにより他の組立体23が形成可能とされている。そして、この他の組立体23と、この他の組立体23の形成に伴う膜体6の変形とにより箱体25が形成される。
【0068】
上記箱体25の背もたれ板3と追加板4とは上記着座板2を前後から挟む構造とされている。このため、上記箱体25は、より強固に保形される。また、上記箱体25の背もたれ板3と追加板4とに架設される位置保持手段27は、上記背もたれ板3と追加板4との間に挿抜可能に挿入される板材とされている。
【符号の説明】
【0069】
1 ソファ
2 着座板
3 背もたれ板
4 追加板
5 組立体
6 膜体
6a 中途部膜体
6b 側部膜体
11 上板
12 下板
13 枢支部
15 袋部
16 他の袋部
18 締結具
19 他の締結具
23 他の組立体
25 箱体
27 位置保持手段
32 ベッド
A 移動
B 回動
C 回動

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で長方形状をなす着座板と、この着座板の幅方向の一端部側から上方に向かって延びる縦向き姿勢の背もたれ板と、上記着座板もしくは背もたれ板に重なるよう設けられる追加板と、これら各板による組立体の外面に沿って延びる膜体とを備えたソファであって、
上記膜体が防水性にされ、この膜体に上記背もたれ板と追加板とが連結され、この追加板を移動させて上記着座板の幅方向の他端部側から上方に向かって延びる縦向き姿勢にさせると共に上記背もたれ板に対し離れて対面させることにより他の組立体を形成したとき、上記膜体が、上記他の組立体を収容して上方に向かって開く箱形状となるよう変形可能にされると共に、この他の組立体が上記箱形状の膜体の少なくとも一部を保形するようにしたことを特徴とするソファ。
【請求項2】
上記他の組立体を形成する背もたれ板と追加板とに架設され、これら両板の互いの相対位置を保持する位置保持手段が設けられたことを特徴とする請求項1に記載のソファ。
【請求項3】
上記組立体を形成する板同士の間、もしくは上記組立体を形成する板と膜体との間に上記位置保持手段が収納されるようにしたことを特徴とする請求項2に記載のソファ。
【請求項4】
平面視で長方形状をなす着座板と、この着座板の幅方向の一端部側から上方に向かって延びる縦向き姿勢の背もたれ板と、上記着座板もしくは背もたれ板に重なるよう設けられる追加板と、これら各板による組立体の外面に沿って延びる膜体とを備えたソファであって、
上記膜体が防水性にされ、この膜体に上記背もたれ板と追加板とが連結され、上記各板と膜体との展開により、上記着座板の幅方向に延びる上記膜体の上面に、それぞれ水平方向に延びる上記着座板、背もたれ板、および追加板が上記幅方向に並設されるようにしたことを特徴とするソファ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−217681(P2012−217681A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87402(P2011−87402)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000204192)太陽工業株式会社 (174)