説明

ソーラセル付時計用文字板及びそれを備えた携帯時計

【課題】文字板の表示面を明るくし、鮮明な表示が得られるソーラセル付時計用文字板を得る。
【解決手段】透過性文字板41の下面にストライプ状又は幾何学模様状のプリズム43を設け、このプリズム43の下面側に半透過反射板47を設けた構成にする。プリズム43の形状は透過性文字板41の上面側からは視認できない大きさにし、半透過反射板47は反射型偏光板、透過性を有する金属薄膜を設けたシート、複数の小孔を設けた金属板などで構成する。また、デザインによっては透過性文字板41の上面に凹凸のあるパターン模様層や透明膜、透過性装飾膜などを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計用文字板に関し、ソーラセル付時計用文字板、及びそれを備えた携帯時計に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーラセル付時計用文字板は、受光した光を透過させてその下面側に配設したソーラセル(太陽電池)に発電機能を起こさせる。ソーラセル付時計用文字板は光の透過性が要求されることからプラスチック材が従来から多く使用されている。プラスチック材は光の透過性が得られる他に、コスト的に安くできること、塗装や印刷などの装飾が容易に施すことができること、などの利点があげられる。
【0003】
一般的に、携帯時計に用いられるソーラセルは、図10の平面図に示すように、4等分割された4面(A1、A2、A3、A4)に設けられていて、文字板の下面に配設される。そして、文字板を透過した透過光が4面(A1、A2、A3、A4)のそれぞれに均一量入射するのが最も発電効率を高める。このため、このソーラセルの上面側に配設される文字板は、ソーラセルの4面(A1、A2、A3、A4)に対応する部分、即ち、12−6時ラインと9−3時ラインで4等分割した4面がそれぞれ均一量の光を透過するよう設計することが必要とされている。
【0004】
近年では、このソーラセルの光電変換効率も非常に高いものが現れてきており、透過率が15%、或いは20%でも十分携帯時計を駆動できるソーラセルが出てきている。また、ソーラセルを小型にすることも可能となってきており、10mm四方の大きさでも十分に駆動できる発電量が得られるものが現れてきている。
【0005】
しかしながら、このソーラセルは独特の濃紫色を有している。また、4等分割したところの十字線が材質の違いなどから非常に目立って見える。このために、美観的にも良い感じを与えないことから、この濃紫色を和らげたり、或いは、見えないようにするために、従来から文字板に色々な工夫を施してきた。その技術の一つとして下記の特許文献1に示された技術がある。
【0006】
【特許文献1】特開平9−243759号公報
【0007】
図11は、上記特許文献1に示された一実施例のソーラセル付時計用表示板構造の部分拡大断面図を示したものである。これによれば、Bが表示板で、ソーラセル11の上面に表示板Bが一体的に設けられた構成に成っている。
【0008】
ここでの表示板Bは、表示基板12と蓄光性蛍光体層13と表面保護被膜層14とから構成されていて、その上に時字15を設けたものからなっている。表示基板12はアクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂などの透明樹脂板からなっており、蓄光性蛍光体層13は透明樹脂よりなるバインダーに光拡散剤と着色付与・光拡散剤として機能する残光型の蓄光性蛍光体とを混ぜ合わせた塗膜からなっている。ここでの光拡散剤としてはケイ酸粉末,炭酸カルシウム粉末,燐酸カルシウム粉末などが用いられ、粒径5〜15μmのものが蓄光性蛍光体の粉末に対して3〜18重量%の範囲で混練されている。また、蓄光性蛍光体は長残光性のものが用いられ、バインダー35〜65重量部に対して100重量部配合されている。表面保護被膜層14は蓄光性蛍光体の劣化を防止するために形成され、透明なアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂を用いて印刷などの方法で形成している。また、時字15は印刷や電鋳などで成形したものを接着剤で取付けして設けられる。
【0009】
上記の構成を取った効果として、光拡散剤と着色付与・光拡散剤として機能する残光型の蓄光性蛍光体とでもってソーラセルからの反射光を蓄光性蛍光体でもって吸収したり、光拡散剤でもって拡散・分散させるのでソーラセルの濃紫色を消し去り、ソーラセルの色調が視認されることがないとされている。またこれによって、観者には蓄光性蛍光体の色調(白色色調)が視認されるとされている。
【0010】
また、図12に示すものは、上記特許文献1に示された他の実施例におけるソーラセル付時計用表示板の部分断面拡大図である。ここでの表示板Bは、光拡散剤を含有した透明樹脂からなる表示基板22と表示基板22の裏面に形成した反射層23と表示基板22の表面22aに形成された微小な凹凸部24とから構成されている。表示基板22は、アクリル樹脂やポリカーボネイトなどの透明樹脂に光拡散剤を0.5〜10重量%配合してペレット化して射出成形方法で形成している。光拡散剤としては粒径5〜15μmのケイ酸粉末,炭酸カルシウム粉末,燐酸カルシウム粉末などを用いている。また、微小な凹凸部24は成形時に金型から転写、機械加工や化学加工などで形成すれば良いとされている。反射層23は反射率の高い金属を用いて蒸着方法などで形成するとされている。
【0011】
そして、このような構成を取ることによって、上面からの入射光の一部が表示基板22と反射層23を透過してソーラセルに入射する。一方、ソーラセルからの反射光は一部反射層23を透過するが表示基板22の光拡散作用でソーラセルの濃紫色が消し去られるとされている。また、拡散剤と反射層23が着色付与剤として機能することから乳白色色調と反射層23の色調とが混合して微妙な色合いが観者に認識されるとされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、透明な表示基板の上に拡散剤と蓄光性蛍光体を分散した蓄光性蛍光体層を設けた構成のものは、蛍光体による白色色調は呈するものの表示板表面が真白く明るくなると云うものではなく、白さや鮮明さに十分満足できるものではなかった。また、表示基板に拡散剤を分散し、表面に微小な凹凸を設け、基板の下面に反射層を設けた構成のものは、所要な透過率を確保する必要性から、形成する反射層の膜厚に限度があり、表示板もほんの僅かに色づく程度で、表示板表面の明るさ、鮮明さに十分満足できるものではなかった。
【0013】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、文字板の表面を明るく鮮明にし、或いはまた、より白さを増して鮮明にし、或いはまた、色彩の度合いを高めて外観的な美しさや価値観を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するための手段として、本発明のソーラセル付時計用文字板の特徴は、下面側にソーラセルを備えるソーラセル付時計用文字板において、前記時計用文字板は、下面にストライプ状又は幾何学模様状のプリズム反射面を設けた透過性文字板と、該透過性文字板の下面側に設けた半透過反射板とを有することを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明のソーラセル付時計用文字板の特徴は、下面側にソーラセルを備えるソーラセル付時計用文字板において、前記時計用文字板は、下面にストライプ状又は幾何学模様状のプリズム反射面と上面に凹凸のパターン模様層とを設けた透過性文字板と、該透過性文字板の下面側に設けた半透過反射板とを有することを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明のソーラセル付時計用文字板の特徴は、前記透過性文字板に設けた凹凸のパターン模様層は、貝、ガラス、セラミック、樹脂、複数の開口部を有する金属の少なくとも1つからなることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明のソーラセル付時計用文字板の特徴は、前記半透過反射板は反射型偏光板、金属薄膜を設けたシート、複数の透過性開口部を設けた金属板であることを特徴とするものである。また、半透過反射板を反射型偏光板で構成する場合は、反射型偏光板の透過容易軸を前記透過性文字板の下面に設けたプリズム面と直交させて配設することを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明のソーラセル付時計用文字板の特徴は、前記透過性文字板の上面又は下面の少なくとも一方の面に透明膜又は第1の透過性装飾膜を設けたことを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明のソーラセル付時計用文字板の特徴は、前記半透過反射板の上面又は下面のいずれか一方の面に第2の透過性装飾膜を設けたことを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明のソーラセル付時計用文字板の特徴は、前記透過性文字板に設けた第1の透過性装飾膜及び前記半透過反射板に設けた第2の透過性装飾膜は白色膜であることを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明のソーラセル付時計用文字板の特徴は、前記透過性文字板に設けた透明膜又は第1の透過性装飾膜の中にパール、貝、雲母、チタン金属、酸化珪素などの微小粉末が分散していることを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明のソーラセル付時計用文字板の特徴は、前記第1の透過性装飾膜は、貝、樹脂、ガラス、セラミック、複数の透過性開口部を有する金属の少なくとも1つからなることを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明の携帯時計の特徴は、ソーラセル及びソーラセル付時計用文字板を備えた携帯時計において、前記ソーラセル付時計用文字板は上記の発明のソーラセル付時計用文字板を用いて、前記時計用文字板の表面を明るく鮮明に視認されるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の効果として、ソーラセル付時計用文字板をストライプ状のプリズム(プリズムの凹凸面がストライプ状に平行に複数並んで形成されているプリズム)やピアジェカットなどの幾何学模様状のプリズムを下面に設けた透過性文字板とその透過性文字板の下面に半透過反射板を設けた構成にすることにより、透過性文字板のプリズム面での反射光量が非常に大きくなる。また、このプリズム面を透過し、半透過反射板を透過し、ソーラセルに光は到達する。その到達した光の内、幾らかは反射する。ソーラセルからの反射光量は半透過反射板を透過し、プリズム面でもって透過、屈折、分散を起こす。また、外からの光で半透過反射板で反射される反射光もプリズム面で透過、屈折、分散を起こす。このことにより、透過性文字板から著しく分散・散乱した光が放射されるため、ソーラセルの濃紫色色調が消え去り、更に、透過性文字板に白色味が現れてくる。そして、時計用文字板の表示が明るく鮮明に視認されるようになる。尚、半透過反射板はソーラセルの発電に必要とする光量は透過するようになっているのでソーラセルの発電に支障を与えない。
【0025】
また、透過性文字板の上面に凹凸のパターン模様層を設けると、凹凸模様が明るく鮮明に視認され装飾性に富んだ時計用文字板が得られる。また、色々な凹凸のパターン模様層を設けることにより装飾のバリエーションを増やすことができる。更にまた、その凹凸模様により、光の反射や分散・散乱が発生するようになり、よりソーラセルの色調を消し去ると共に白さが増し、凹凸模様を鮮明にさせる効果を生む。
【0026】
また、凹凸のパターン模様層を、貝、ガラス、セラミック、樹脂、複数の開口部を有する金属などから形成するとの模様装飾のバリエーションが増える。
【0027】
また、半透過反射板を反射型偏光板で形成すると、光沢のある金色色調や銀色色調の反射光が得られるので貴金属色が文字板に現れてくる。また、金属薄膜を設けたシートで形成すると僅かに金属色の色付いた文字板が得られ、複数の透過性開口部を設けた金属板で形成すると色々な金属色が得られ、更に、模様も設けることができる。
【0028】
また、第1の透過性装飾膜や第2の透過性装飾膜を白色膜にすると、文字板に白色度が増し、明るさと鮮明さが増すようになる。
【0029】
また、透過性文字板に設けた透明膜又は第1の透過性装飾膜の中にパール、貝、雲母、チタン金属、酸化珪素などの微小粉末を分散すると、微小粉末が光輝材となってキラキラと光り、装飾性が高まると共に高級感も現れてくる。
【0030】
また、第1の透過性装飾膜を貝、樹脂、ガラス、セラミック、複数の透過性開口部を有する金属で形成すると、それぞれの部材独特の装飾を施すことができる。例えば、貝で形成すると貝独特の輝き模様が現れた装飾が得られ、金属で形成すると金属感が得られると共に各種の模様などを設けて装飾性を高める効果を得る。また、サファイヤガラスやセラミックなどを用いると高級感も現れてくる。
【0031】
そして、以上のような効果を生む本発明の時計用文字板を携帯時計に用いることにより、ソーラセルの色調が消し去られて視認されることがなく、文字板の表示や装飾が鮮明に視認されるようになって外観的な価値観を高める。また、色々な外観仕様のバリエーションを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態を図1〜図5を用いて説明する。ここで、図1は本発明の実施形態に係るソーラセル付時計用文字板を用いた携帯時計の平面図であり、図2は図1における要部断面図を示している。また、図3は図1におけるソーラセル付時計用文字板の要部断面図を示している。また、図4は図3における半透過反射板に用いた反射型偏光板の説明図で、図5は図3におけるソーラセル付時計用文字板の作用を説明する説明図を示している。
【0033】
図1、図2より、本発明の携帯時計30は、ケース31内に中枠37を介して透過性文字板41、半透過反射板47、ムーブメント38、ムーブメント38上に一体的に設けられたソーラセル39が配設されている。ムーブメント38には指針軸が透過性文字板41の上面側にまで突出しており、その先端に長針、短針の指針34が取付けられている。そして、それらを覆うようにしてカバーガラス32がケース31に固定されている。また、裏面側には裏蓋36が固定され、ケース31の嵌又部分にバンド33が取付いている。また、ケース31の側面にはリューズ35が取付いている。また、透過性文字板41には所定の位置に時字なる指標49が設けられており、透過性文字板41の下面側に半透過反射板47が配設され、更に、この半透過反射板47の下にソーラセル39が配置される構造になっている。そして、指標49と透過性文字板41と半透過反射板47とでソーラセル付時計用文字板40(以降、時計用文字板と呼ぶことにする)を構成している。
【0034】
図3は本発明の実施形態に係る時計用文字板の要部断面図を示したものである。この時計用文字板40は、透過性文字板41の上面に時字などの指標49を設け、下面側に半透過反射板47を配設した構成を取っている。また、透過性文字板41はその下面にプリズム43を設けている。本実施形態でのプリズム43は、2つの反射機能を持った斜面(反射面)43a、43bを持つ3角形の形状をなして、プリズムの稜線が平行に等間隔に並んで整列したストライプ状のプリズムをなしている。このストライプ状のプリズム43の2つの斜面43a、43bで形成された凸部の角度(稜線角)と凹部(谷)の角度は共に75°〜100°の範囲内で設けてあり、プリズム43の高さは15〜100μm、ピッチは50〜150μm位に設けてある。この高さやピッチは金型の加工が容易で且つ目に見えない程度の寸法に形成するのが良い。斜面43a、43bは光沢面をなしており、反射面としての役目をなしている。この光沢面は鏡面に仕上げた金型から転写して形成する。
【0035】
このプリズム43はソーラセルの反射光を分散・散乱させるために設ける。本実施形態では、ストライプ状のプリズムを用いたが、ストライプ状のプリズムに限るものではなく、幾何学的な形状のプリズム、例えば、ピアジェカット状のプリズムなどが適用できる。
【0036】
透過性文字板41は透明なポリカーボネイト樹脂やアクリル樹脂などを用いて射出成形方法で形成する。プリズム43は金型から転写して形成するが、2つの斜面43a、43bの光沢面は鏡面加工を施した金型から転写して形成する。
【0037】
半透過反射板47は、光透過と光反射の両方の機能を持ったもので、所要の光量を透過させてソーラセルに発電機能を起こさせる目的と、光を反射させて文字板を明るくさせる目的で設ける。本実施形態においては、この半透過反射板47を反射型偏光板で構成している。反射型偏光板は、図4に示すように、反射軸Nと透過容易軸Mを有していて、反射軸Nと平行な振動面を持つ直線偏光成分は反射し、透過容易軸Mと平行な振動面を持つ直線偏光成分は透過する特性を持っている。また、約50%の光を透過し、約50%の光を反射する特性を持っている。反射型偏光板としては住友3M社製の商品名DBEFなどを挙げることができる。このDBEFには、反射光に光沢のある銀色(シルバー色)を呈するもの、金色を呈するもの2種類があり、銀色を呈するものを用いると白色系の金属色が現れて見えてくる。この2種類の色の選択はデザインなどに応じて適宜に選択すると良い。ここで、本実施形態においては、反射型偏光板の透過容易軸Mと透過性文字板41のストライプ状のプリズム43との交わる角度を90度に設定してある。透過容易軸Mとプリズム43とが平行になると、透過容易軸Mを通った光のプリズム面への入射角はプリズム傾斜角度が影響しなくなり、光透過が小さくなる。尚、半透過反射層47は反射型偏光板に限るものではなく、透明樹脂シートや樹脂板に透過性を持たせた金属薄膜や塗料薄膜を設けたものなどを用いても良い。また、複数の小孔を設けた設けた金属板などで構成しても良い。
【0038】
次に、プリズム43を設けた透過性文字板41と透過性反射板47とからなるソーラセル付時計用文字板40の作用について図5を用いて説明する。図5より、外光P1は透過性文字板41に入射すると屈折を起こしてプリズム43の斜面43a、43bに入射する。この入射した光の一部は、斜面43a、43bの境界面で透過、屈折を起こして半透過反射板74に向かって進み、半透過反射板47に入射する。一方、図示はしていないが、入射光の一部は、斜面43a、43bの境界面で反射され、再び透過性文字板41内に戻ってきて外に放射される。透過性文字板41に入射した光は、斜面43a、43bの樹脂層から空気層に移る境界面に当たるのであるが、当斜面がプリズム傾斜面故に入射角は大きな角度となり、臨界角を越える角度となり易いので、反射する光量は多くなる。次に、半透過反射板47として使用の反射型偏光板の反射軸と平行な振動面を持つ直線偏光成分の光n1は反射型偏光板から反射されて、再び透過性文字板41のプリズム43の斜面43a、43bに入射する。この時は、この斜面は空気層から樹脂層に移る境界面であり、プリズム故に斜面に対して斜め入射することになるので、その入射角はブルースター角に近くなり、透過率が良くなる。入射した光は透過、屈折、分散を起こして透過性文字板41を透過して反射光P2として外に放射される。次に、反射型偏光板の透過容易軸と平行な振動面を持つ直線偏光成分の光m1は反射型偏光板を透過してソーラセル39に入射する。ソーラセル39に入射した光は、そこで吸収される光と、そこから反射される光とに分けられる。ソーラセル39に吸収された光でソーラセル39の発電機能を起こさせる。ソーラセル39から反射される光は、反射型偏光板の透過容易軸と平行な振動面を持つ直線偏光成分の光m2は反射型偏光板を透過してプリズム43の斜面43a、43bに入射する。そして、入射した光は透過、屈折、分散を起こして透過性文字板41を透過して反射光P3となって外に放射される。尚、ソーラセル39から反射される光の内、反射型偏光板の反射軸と平行な振動面を持つ直線偏光成分の光n2は反射型偏光板から反射されてP4の光となってソーラセル39側に戻り、ソーラセル39に吸収されて発電機能に利用される。
【0039】
以上のことによって、透過性文字板41に入射した光で、プリズム43による反射光、及び半透過反射板47からの反射光は多くなり、拡散される。また、ソーラセル39にて使用されないソーラセル39から反射されて透過性文字板41に戻ってくる光は途中で消失する量が非常に少なくなり、拡散する。これによって光が分散し、拡散状態になる。透過性文字板41から反射する光量に対してソーラセル39からの反射光の率が少なくなること、また、ソーラセル39からの反射光が分散・拡散すること、半透過反射板47からの反射光も分散・拡散すること、などによって透過性文字板41を透過して外に放射される光は著しく分散・拡散した光が放射される。このため、ソーラセル39の濃紫色色調は消し去られ、分散・散乱光によって透過性文字板41に白味のある色調が現れる。そして、透過性文字板41に明るさが現れてくる。特に、反射光が銀色を呈する反射型偏光板を用いるとその白さの効果は著しく現れてくる。
【0040】
本実施形態では、透過性文字板41を透明な樹脂でもって形成した。これは、特に透明樹脂に限るものではなく、所要の透過性を有する着色樹脂でもって形成したものでも良いものである。
【0041】
また、本実施形態では、半透過反射板47を反射型偏光板で構成したが、金属薄膜を設けたシート、複数の透過性開口部を設けた金属板などでも良く、透過機能と反射機能を有するものであれば良いものである。
【0042】
また、透過性文字板41の上面に凹凸のあるパターン模様層などを設けることができる。凹凸のあるパターン模様層があると装飾が高められる。また、その凹凸によってそこに光の屈折や反射などが生じるので光の分散・拡散が更に増す。そして、ソーラセルの色調の消去を助長し、文字板の白さを助長する。
【実施例1】
【0043】
以下、実施例を用いて本発明のソーラセル付時計用文字板を更に詳しく説明する。最初に、本発明の実施例1に係るソーラセル付時計用文字板について図6を用いて説明する。図6は本発明の実施例1に係るソーラセル付時計用文字板の平面図と要部断面図を示していて、図6の(a)は平面図、図6の(b)は要部断面図である。尚、以下実施例説明に当たり、ソーラセル付時計用文字板を時計用文字板と呼称して説明する。
【0044】
図6より、本発明の実施例1に係る時計用文字板50は透過性文字板51と透過性文字板51の下面に設けた半透過反射板57と透過性文字板51の上面に設けた時字なる指標59でもって構成される。そして、ここでの透過性文字板51の下面にはストライプ状のプリズム53が設けられており、透過性文字板51の上面には部分的に凹凸のあるパターン模様層52が設けられている。また、半透過反射板57は透明な樹脂シート57a上に透過性を有する白色塗膜57bを設けたものから構成している。この時計用文字板50はソーラセルの上面側に配設して用いられる。
【0045】
透過性文字板51は透明なポリカーボネイト樹脂やアクリル樹脂などの樹脂を用いて射出成形方法で形成する。この透過性文字板51は射出成形時に下面にプリズム53と上面側の一部分は凹部51aを設けて形成する。プリズム53は前述の実施形態で用いたプリズムと同じ形状のストライプ状のプリズム形状をなしている。即ち、2つの光沢面をなす斜面を持つ3角形の形状をなしたプリズムが等間隔に平行に複数並んでストライプ状のプリズムをなしていて、プリズムの凸部の角度と凹部の角度は共に75°〜100°の角度をなしており、プリズム43の高さは15〜100μm、ピッチは50〜150μm位に設けてある。また、透過性文字板51に設けた凹部51aには格子状に凹凸のあるパターン模様層52を設けてある。この凹凸のパターン模様層52は貝から形成しており、貝を部分的にエッチングすることによって凸部52aと凹部52bを形成している。この凸部52aと凹部52bを設けた貝を接着剤を介して透過性文字板51の凹部51aに貼付けることによってパターン模様層52を設けている。貝としては白蝶貝やアワビ貝などを用いることができる。白蝶貝やアワビ貝などは0.1mmの厚みで約50%の透過率を得るので十分視認できる凹凸を設けることができる。
【0046】
半透過反射板57は透明な樹脂シート57a上に透過性を有する白色塗膜57bを設けたものからなり、光透過と光反射の両方の機能を持っている。用いる樹脂シート57aは耐熱性、耐湿性、耐薬品性、耐衝撃性に強いポリカーボネイト樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などの樹脂からなる0.15〜0.3mm厚みのシートなどが用いられる。白色塗膜57bは透明なウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂に白色顔料を5〜10重量%混ぜ合わせて生成したインクを用い、略5〜10μmの厚みにスクリーン印刷などの印刷方法で形成する。薄い白色色調が現れて、約50%前後の透過率が得られる。この白色塗膜57bを設ける目的は、貝は黄色味を帯びているために白色度を強くして黄色味を消し去るために設けている。このように、白色度を増すと貝の黄色味がかった色調が消えて光輝さが鮮やかに現れてくる。
【0047】
以上の構成を取る時計用文字板50は、透過性文字板51の下面に設けたプリズム53によってソーラセルからの反射光や半透過反射板57からの反射光が著しく分散・散乱を起こし、更に、半透過反射板57の白色塗膜57bの働きも作用して白色味が強く現れる。そして、その中に貝の格子状パターンの模様層52が鮮明に現れ、しかも、その模様層52に黄色味の色が消えて、貝独特の光輝さが鮮やかに現れてくる。そして、装飾性が高く、高級感の現れた時計用文字板が得られる。また、ソーラセルの色調は消え去って視認されない。
【0048】
また、以上の構成を取る時計用文字板50を用いた携帯時計には、貝独特の光輝さが明るく鮮やかに現れ、更に、凹凸のある装飾に飾られて、綺麗で高級感のする時計の表示が得られる。
【0049】
尚、本実施例1においては、凹凸のあるパターン模様層52は部分的に設けたが、透過性文字板51の全面に渡って設けても良い。近年のソーラセル付時計は光電変換効率も非常に良くなり、光透過率が15〜20%得られれば十分満足する発電力が得られるものも現れてきている。凹凸のパターン模様層を全面に設けることによって若干透過率が低下するものの必要とする透過率が得られる範囲であるならば全く問題はない。ちなみに本実施例1においては透過率が35%近く得られ、ソーラセルの発電機能への影響は全く問題を与えない。
【0050】
また、パターン模様層52を貝に代えてサファイヤガラスやセラミックなどで形成してもその模様層の色調や凹凸形状は鮮明に現れる。また、パターン模様層52を複数の開口部を設けた金属板などで形成することもできる。開口部は光を透過させるために設けるものであるが、金属板で形成すると凹凸形状を容易に成形でき、また、表面処理によって色々な色調を得ることができる。また、文字板に金属感を出させることができる。
【0051】
また、本実施例1においては、半透過反射板57を透明な樹脂シート57aに白色塗膜57bを設けて白色色調の仕様に形成した。これは、貝で形成したパターン模様層52に合わせて選択したもので、特に白色色調に限るものではない。パターン模様層の仕様に合わせた色調を選択するのが好ましい。また、この半透過反射板57は反射型偏光板などで構成することもできる。そして、必要に応じて透過性を有する塗膜を設けて用いても良い。
【実施例2】
【0052】
次に、本発明の実施例2に係る時計用文字板について図7を用いて説明する。図7は本発明の実施例2に係る時計用文字板の要部断面図を示している。
【0053】
図7より、本発明の実施例2に係る時計用文字板60は、透過性文字板61と透過性文字板61の下面側に設けた半透過反射板67と透過性文字板61の上面に設けた透明膜64と透明膜64の上面に設けた時字なる指標69でもって構成される。そして、この時計用文字板60はソーラセルの上面側に配設して用いられる。また、ここでの透過性文字板61の下面にはピアジェカット状のプリズム63が設けられており、上面には全面に凹凸のあるパターン模様層62が設けられている。また、半透過反射板67は複数の小孔67aが設けられた金属板からなっている。
【0054】
ここで、透過性文字板61は僅かに着色したポリカーボネイト樹脂やアクリル樹脂などの樹脂を用いて射出成形方法で形成している。下面に設けてあるプリズム63は四角錐のプリズムを複数整列させて形成したピアジェカット状のプリズムになっている。プリズムの凸部の角度と凹部の角度は共に75°〜100°の角度をなしており、プリズム43の高さは15〜100μm、ピッチは50〜150μm位に設けてある。このピアジェカット状のプリズムは反射斜面を4面持っていることから光分散及び光拡散作用を著しく起こす。また、4面の斜面は光沢面に仕上げられている。また、透過性文字板61の上面に設けてある凹凸のパターン模様層62は凹凸が一定間隔に並んだサークル状の模様をなしていて、凹凸面は光沢面に仕上げられている。プリズム63の光沢斜面やパターン模様層62の光沢凹凸面は鏡面加工が施された金型からの転写によって形成している。
【0055】
凹凸のパターン模様層62の上面に設けた透明膜64は、上面64aが光沢のある平滑面に仕上げられている。透明なエポキシ樹脂やウレタン樹脂、アクリル樹脂などの樹脂を用いて印刷方法などで形成し、表面にラッピングを施して光沢面に仕上げている。この透明膜64に用いる樹脂は透過性文字板61に用いる樹脂と屈折率が異なる樹脂を選択するのが好ましい。例えば、透過性文字板61に屈折率1.58のポリカーボネイト樹脂を用いた場合は、透明膜64には屈折率1.49のアクリル樹脂を選択することができる。アクリル樹脂は耐光性、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性などにも優れた性質を持っているので、表面の被覆膜に用いる樹脂としては好適に選択することができる。このように、屈折率の異なる樹脂で被覆することにより、透過性文字板61とパターン模様層62との凹凸の境界面で反射・屈折が起きる。透過性文字板61内で分散・拡散した光が更にこのパターン模様層62との境界面で分散・拡散が発生するので、光分散・拡散が著しくなって現れる。
【0056】
凹凸のパターン模様層62は装飾性を高めるばかりではなく光分散・拡散に寄与することから、ソーラセルの色調消去を助け、更に、白色味の増加と共に明るさ向上にも寄与する。
【0057】
半透過反射板67は複数の小孔67aを設けた金属板からなっている。小孔67aはソーラセルへの光供給のために設けるが、均等間隔に150μm以下位の大きさで設けている。小孔67aの大きさが150μm以下の大きさであると文字板の上面側からは殆ど小孔67aを視認することができない。また、小孔67aの数は必要とする透過率を考慮して設定する。この小孔67aはプレス加工方法やレーザ加工方法などによって形成することができる。
【0058】
この半透過反射板67は本実施例2においてはアルミ板で形成したが、特に材料はアルミ板に限るものではなく、ステンレス板や真鍮板など他の材料を用いても良い。メッキや塗装などの表面処理を施して用いる。また、表面に凹凸模様などを施して用いても良い。本実施例2においては旭光模様を施してあり、文字板の上面側から見ると金属感を持って旭光模様が視認される。
【0059】
以上の構成を取った時計用文字板60は、透過性文字板61の下面に設けたプリズム63の作用、上面に設けた凹凸のパターン模様層62の作用を受けてソーラセルの色調は消え去り、透過性文字板61に僅かに着色を施してあることにより凹凸のパターン模様層62が明るく鮮明になって綺麗に視認される。更にまた、パターン模様層62の中に半透過反射板67に施した旭光模様も視認されて装飾に富んだ時計用文字板が得られる。
【0060】
尚、本実施例2においては、半透過反射板67を金属板で形成したが、金属板に代えて透明な樹脂シート上に複数の小孔を設けた金属膜を形成したシート板を用いても同じ効果を生む。シート上への金属膜形成はエレクトロフォーミング法などで形成する。また、金属膜厚を20〜30μmにすれば微小な凹凸模様は十分に施すことができる。本発明においては、金属膜を設けたシート状のものも半透過反射板として適用するものである。また、半透過反射板67を反射型偏光板で構成することもできる。
【0061】
また、本実施例2においては、プリズム形状としてピアジェカット形状の幾何学模様を選択したが、ピアジェカット形状に限らず他の形状の幾何学模様を選択しても良い。例えば、星の形状を並べた幾何学模様、雪の結晶構造を並べた幾何学模様、花などを形取った形状の幾何学模様など数多く挙げることができる。これらの中で金型製作の容易性や光屈折方向の分散性などを考慮して適宜に選択するのが好ましい。
【実施例3】
【0062】
次に、本発明の実施例3に係る時計用文字板について図8を用いて説明する。図8は本発明の実施例3に係る時計用文字板の要部断面図を示している。
【0063】
図8より、本発明の実施例3に係る時計用文字板70は、透過性文字板71と透過性文字板71の下面側に設けた半透過反射板77と透過性文字板71の上面に設けたパールの微小粉末74aを分散した透明膜74と透明膜74の上面に設けた時字なる指標79でもって構成される。そして、この時計用文字板70はソーラセルの上面側に配設して用いられる。また、ここでの透過性文字板71の下面にはピアジェカット状のプリズム73が設けられており、上面にはパールの微小粉末74aを分散した透明膜74を設けている。また、半透過反射板77は透明な樹脂シート77a上に金属薄膜77bを設けたものから構成している。
【0064】
ここで、透過性文字板71は透明なポリカーボネイト樹脂やアクリル樹脂などの樹脂を用いて射出成形方法で形成している。下面に設けてあるプリズム73は、前述の実施例2と同様に、四角錐のプリズムを複数整列させて形成したピアジェカット状のプリズムになっている。
【0065】
透過性文字板71の上面にはパールの微小粉末74aを分散した透明膜74を設けている。これは、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂などの透明な樹脂にパール粉末を2〜5重量%混ぜ合わせたインクを用い、印刷方法などで形成したものである。パール粉末を混ぜ合わせるとキラキラとした光輝感が現れて高級感を感じさせる。混ぜ合わせるパール粉末の量が少ないとキラキラ感がまばらに現れて外観上好ましくなく、量が多いと透過率が低下してソーラセルの発電に影響を及ぼす。2〜5重量%が好適な範囲となっている。
【0066】
半透過反射板77は透明な樹脂シート77a上に透過性を有する金属薄膜77bを設けたものからなり、光透過と光反射の両方の機能を持っている。用いる樹脂シート77aは耐熱性、耐湿性、耐薬品性、耐衝撃性に強いポリカーボネイト樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などの樹脂からなる0.15〜0.3mm厚みのシートなどが用いられる。金属薄膜77bは特に材質を限定するものではないが、本実施例3においては、金金属を用いた金属薄膜を設けている。真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法などで約180Åの厚みの金金属被膜を形成している。180Å膜厚の金金属被膜では約50%近くの透過率が得られ、はっきりとした金色の色調も得られる。真空蒸着法で形成する場合は、チャンバー内の蒸着時の圧力を1×10−6〜5×10−5torr(1.33×10−4〜6.65×10−3Pa)で行い、被膜の膜厚は蒸着時間によって自由にコントロールする。透過率は用いる金属によって異なるので必要とする透過率の中で適宜に膜厚を管理するようにする。また、用いる金属はデザインなどの仕様に応じて適宜に選択するのが好ましい。
【0067】
時計用文字板70を以上の構成にすることにより、プリズム73の光分散・拡散作用により半透過性反射板77の金色色調が艶消しされた状態の金色調に変わる。そして、艶消しされた金色の中にパール粉末によるキラキラとした光輝が現れてきて、装飾に富んだ高級感が文字板に現れてくる。
【0068】
本実施例3においては、光輝材としてパールを用いたが、他の光輝材としては、貝、雲母、チタン金属、酸化珪素などの微小粉末を用いても同様な効果が得られる。また、本実施例3においては、透明な樹脂の中にパール粉末を分散させたが、着色を施した樹脂の中に光輝材を分散させても良い。仕様に応じて樹脂の色合いを選ぶのが好ましい。
【実施例4】
【0069】
次に、本発明の実施例4に係る時計用文字板について図9を用いて説明する。図9は本発明の実施例4に係る時計用文字板の要部断面図を示している。
【0070】
図9より、本発明の実施例4に係る時計用文字板80は、透過性文字板81と透過性文字板81の上面に設けた第1の透過性装飾膜84と、透過性文字板81の下面側に設けた半透過反射板87と半透過反射板87の上面に設けた第2の透過性装飾膜88と、第1の透過性装飾膜84上に設けた時字からなる指標89とから構成している。そして、この時計用文字板80はソーラセルの上面側に配設して用いられる。また、ここでの透過性文字板81の下面にはピアジェカット状のプリズム83が設けられている。また、半透過反射板87は前述の実施例3で用いた透過性反射板と同じような仕様を取っており、透明な樹脂シート87a上に透過性を有する金属薄膜87bを設けたものからなっている。
【0071】
ここで、透過性文字板81は透明なポリカーボネイト樹脂やアクリル樹脂などの樹脂を用いて射出成形方法で形成している。下面に設けてあるプリズム83は、前述の実施例2で用いたプリズムと同じ仕様のプリズムになっており、四角錐のプリズムを複数整列させて形成したピアジェカット状のプリズムなっている。プリズム83の凸部の角度と凹部の角度は共に75°〜100°の角度をなしており、プリズム83の高さは15〜100μm、ピッチは50〜150μm位に設けてあり、時計用文字板の上面からプリズム83の形状が視認できない大きさの寸法を取っている。このピアジェカット状のプリズムは反射斜面を4面持っていることから光分散及び光拡散作用を著しく起こす。また、4面の斜面は光沢面に仕上げられている。
【0072】
透過性文字板81の上面に設けた第1の透過性装飾膜84は、本実施例4においては、昇華性染料を用いて転写方式によってカラー画像を透明な樹脂膜の中に転写して形成した装飾膜になっている。透過性文字板81の上面に透明なポリウレタン樹脂でもって受容層を形成し、その受容層の表面を平滑面にした後、昇華性染料でカラー画像を印刷形成した転写紙を受容層の上に載置し、約180度の加熱温度、10〜20g/cm の加圧力で60〜90秒加圧することによってカラー画像が受容層の中に転写することができる。また、この第1の透過性装飾膜84の中にはカラー画像の耐光性を良くするために紫外線吸収剤を分散してある。
【0073】
半透過反射板87は前述の実施例3で用いた透過性反射板と同じような仕様を取っており、透明な樹脂シート87a上に透過性を有する金属薄膜87bを設けたものからなっている。本実施例4においては、金属薄膜87bとしてはアルミ金属の金属蒸着被膜を設けている。
【0074】
半透過反射板87上に設けた第2の透過性装飾膜88は、本実施例4においては、透過性を持った白色塗膜でもって形成している。昇華性染料で形成した第1の透過性装飾膜84のカラー画像をより明るく鮮明にするために白色塗膜からなる第2の透過性装飾膜88を透過性反射板87上に設けているものである。
【0075】
以上の構成を取った時計用文字板80には、半透過反射板87上に設けた白色塗膜からなる第2の透過性装飾膜88の作用と、プリズム83の作用によって白色味が濃く現れる。そして、その白色味が濃いが故に昇華性染料で形成したカラー画像が明るく鮮明に視認されるようになる。そして、時計用文字板に装飾性に富んで明るく鮮やかで綺麗なカラー画像が得られる。
【0076】
本実施例4においては、第1の透過性装飾膜84として昇華性染料を用いたカラー画像を設けたが、着色インクを用いてカラー画像を形成したものであっても綺麗な画像が得られる。また、本実施例4においては、樹脂シート87a上にアルミ蒸着の金属薄膜87bを形成した透過性反射板87上に白色塗膜からなる第2の透過性装飾膜88を設けたが、アルミ蒸着の金属薄膜87bの色調を直接用いることも可能である。この場合は僅かではあるが白色味が変わってくる。
【0077】
第1の透過性装飾膜、及び第2の透過性装飾膜は文字板にカラー装飾を施す場合に大変有効に作用する。また、第1の透過性装飾膜の着色カラーと第2の透過性装飾膜の着色カラーとの組合せにより色々なカラー色を得ることができる。例えば、赤色色調のカラーと黄色色調のカラーとを組合わせて金色色調のカラーも得ることができる。そして、デザインバリエーションを豊富に増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施形態に係るソーラセル付時計用文字板を用いた携帯時計の平面図である。
【図2】図1における携帯時計の要部断面図である。
【図3】図1におけるソーラセル付時計用文字板の要部断面図である。
【図4】図3における半透過反射板に用いた反射型偏光板の説明図である。
【図5】図3におけるソーラセル付時計用文字板の作用を説明する説明図である。
【図6】本発明の実施例1に係るソーラセル付時計用文字板の平面図と要部断面図を示していて、図6の(a)は平面図、図6の(b)は要部断面図である。
【図7】本発明の実施例2に係る時計用文字板の要部断面図である。
【図8】本発明の実施例3に係る時計用文字板の要部断面図である。
【図9】本発明の実施例4に係る時計用文字板の要部断面図である。
【図10】一般に携帯時計に用いられるソーラセルの平面図である。
【図11】特許文献1に示された一実施例のソーラセル付時計用表示板構造の部分拡大断面図である。
【図12】特許文献1に示された他の実施例におけるソーラセル付時計用表示板の部分断面拡大図である。
【符号の説明】
【0079】
30 携帯時計
39 ソーラセル
40、50、60、70、80 ソーラセル付時計用文字板
41、51、61、71、81 透過性文字板
43、53、63、73、83 プリズム
43a、43b 斜面
47、57、67、77、87 半透過反射板
49、59、69、79、89 指標
52、62 パターン模様層
52a 凸部
52b 凹部
57a、77a、87a 樹脂シート
57b 白色塗膜
77b、87b 金属薄膜
64、74 透明膜
64a 上面
67a 小孔
74a 微小粉末
84 第1の透過性装飾膜
88 第2の透過性装飾膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面側にソーラセルを備えるソーラセル付時計用文字板において、前記時計用文字板は、下面にストライプ状又は幾何学模様状のプリズム反射面を設けた透過性文字板と、該透過性文字板の下面側に設けた半透過反射板とを有することを特徴とするソーラセル付時計用文字板。
【請求項2】
下面側にソーラセルを備えるソーラセル付時計用文字板において、前記時計用文字板は、下面にストライプ状又は幾何学模様状のプリズム反射面と上面に凹凸のパターン模様層とを設けた透過性文字板と、該透過性文字板の下面側に設けた半透過反射板とを有することを特徴とするソーラセル付時計用文字板。
【請求項3】
前記透過性文字板に設けた凹凸のパターン模様層は、貝、ガラス、セラミック、樹脂、複数の開口部を有する金属の少なくとも1つからなることを特徴とする請求項2に記載のソーラセル付時計用文字板。
【請求項4】
前記半透過反射板は反射型偏光板、金属薄膜を設けたシート、複数の透過性開口部を設けた金属板であることを特徴とする請求項1又は2に記載のソーラセル付時計用文字板。
【請求項5】
前記反射型偏光板はその透過容易軸を前記透過性文字板の下面に設けたプリズム反射面と直交させて配設したことを特徴とする請求項4に記載のソーラセル付時計用文字板。
【請求項6】
前記透過性文字板の上面又は下面の少なくとも一方の面に透明膜又は第1の透過性装飾膜を設けたことを特徴とする請求項1、2、3のいずれか1項に記載のソーラセル付時計用文字板。
【請求項7】
前記半透過反射板の上面又は下面のいずれか一方の面に第2の透過性装飾膜を設けたことを特徴とする請求項1、2、4のいずれか1項に記載のソーラセル付時計用文字板。
【請求項8】
前記透過性文字板に設けた第1の透過性装飾膜及び前記半透過反射板に設けた第2の透過性装飾膜は白色膜であることを特徴とする請求項6又は7に記載のソーラセル付時計用文字板。
【請求項9】
前記透過性文字板に設けた透明膜又は第1の透過性装飾膜の中にパール、貝、雲母、チタン金属、酸化珪素などの微小粉末が分散していることを特徴とする請求項6に記載のソーラセル付時計用文字板。
【請求項10】
前記第1の透過性装飾膜は、貝、樹脂、ガラス、セラミック、複数の透過性開口部を有する金属の少なくとも1つからなることを特徴とする請求項6、8、9のいずれか1項に記載のソーラセル付時計用文字板。
【請求項11】
ソーラセル及びソーラセル付時計用文字板を備えた携帯時計において、前記ソーラセル付時計用文字板は前記請求項1乃至10のいずれか1項に記載のソーラセル付時計用文字板を用いて前記時計用文字板の表面を明るく鮮明に視認されるようにしたことを特徴とする携帯時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−3356(P2007−3356A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−184170(P2005−184170)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(000124362)シチズンセイミツ株式会社 (120)
【出願人】(000001960)シチズン時計株式会社 (1,939)