説明

ソーラーウォールユニット

【課題】室内での植物育成栽培用の照明装置について、均一な照明を可能にする。
【解決手段】室内の壁面に取り付けられて当該室内での植物育成栽培用の照明装置として機能するソーラーウォールユニット10を提供する。ユニット10は、取り付けパネル11と、取り付けパネルの正面側に積層された反射パネル12と、取り付けパネルの中央部に固定された光源部13と、を備える。複数のユニット10を壁面に取り付けた状態で、各光源部13から光を照射すると、その光が対向するあるいは隣接するユニット10の反射パネル12に反射して散乱し、その反射散乱光が室内の植物を照明する。反射散乱光により間接的に植物を照明するため、直接照明する場合のように室内に陰影ができるなどして、照明にむらができることが抑制されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、室内の壁面に必要枚数取り付けられて、主に当該室内での植物育成栽培用の間接照明装置として機能するソーラーウォールユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる植物工場のような、室内における野菜等の植物の育成栽培がおこなわれている。日光の届かない室内において植物の育成栽培をおこなう場合には、光合成を行うための照明装置が必要となる。
【0003】
その一例として、多段のラックの各棚に育成トレイを載せ、各棚の底に蛍光灯等を取り付け、その蛍光灯等により下方の棚上の育成トレイ内の植物(苗)を直接的に照明することがおこなわれている(特許文献1の図1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−346450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このように植物を直接的に照明する方式の場合、棚の角隅部等が影になって照明が当たりにくい箇所ができ、照明がよく当たる箇所との差が生じる。このように照明にむらがあると、植物の生育にもむらが生じて好ましくない。
【0006】
そこでこの発明の解決すべき課題は、室内での植物育成栽培用の照明装置について、できる限り均一な照明を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するため、この発明では、室内の壁面に取り付けられて当該室内での植物育成栽培用の照明装置として機能するソーラーウォールユニットを提供する。
【0008】
発明にかかるソーラーウォールユニットの具体的構成としては、前記壁面にその背面側を対向させて取り付け可能な平面視矩形の取り付けパネルと、前記取り付けパネルの正面側に積層されて光を反射散乱可能な反射パネルと、前記取り付けパネルの平面視中央部に固定されて前記取り付けパネルの正面側へと光を照射可能な光源部と、を備えるものとする。
【0009】
複数のソーラーウォールユニットを壁面に取り付けた状態で、各光源部から光を照射すると、その光が対向するあるいは隣接するソーラーウォールユニットの反射パネルに反射して散乱し、その反射散乱光が室内の植物に照射される。
反射散乱する光により間接的に植物を照明する間接照明方式であるため、直接照明方式のように室内に陰影ができるなどして照明にむらができることが抑制されている。
【発明の効果】
【0010】
以上のようにソーラーウォールユニットを構成したので、植物への均一な照明が可能となり、その生育のむらを抑制することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ソーラーウォールユニットの使用状態を示す側面図
【図2】ソーラーウォールユニットの正面図
【図3】ソーラーウォールユニットの(a)は水平断面図、(b)は鉛直断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつこの発明の実施形態について説明する。
【0013】
図1のように、実施形態のソーラーウォールユニット10は、光源部13を含むパネル体であって、室内の壁面Wに多数取り付けられてその光源部13より光が照射されることで、当該室内での植物育成栽培用の照明装置として用いられる。
ここで図2、図3のように、ソーラーウォールユニット10は、取り付けパネル11と、反射パネル12と、光源部13と、を備える。
【0014】
図2、図3のように、取り付けパネル11は平面視が矩形(略正方形)であって、その背面側を室内の壁面に対向させて壁面に取り付け可能となっている。
取り付けパネル11の材質は特に限定されないが、木製合板、樹脂(アクリル,塩化ビニルなど)、が例示できる。また取り付けパネル11の壁面への取り付けの態様も特に限定されず、金具を用いたり接着剤を用いたりする周知の手段による。
さらに、取り付けパネル11の縦横寸法は特に限定されないが、取り扱いの便などを考慮すると縦横1000mm程度であるのが好ましい。
【0015】
図2、図3のように、取り付けパネル11の正面側のほぼ全面には、貼り付け等の適宜手段により反射パネル12が積層されている。
この反射パネル12は、照射された光を良好に反射散乱する材質でできており、このような材質としてはステンレス,アルミニウムが例示できる。
ここで、取り付けパネル11や反射パネル12の厚みは特に限定されないが、軽量化の要請と強度担保の要請の均衡上、80mm〜100mm程度であるのが好ましい。
【0016】
図2、図3のように、取り付けパネル11および反射パネル12の平面視中央部は、平面視矩形の貫通孔が穿たれて、ここに光源部13がはめこまれて固定されている。光源部13の取り付けパネル11等への固定は、金具等を用いた適宜手段による。
光源部13は、ランプ13aと、配光板13bと、カバー13cと、を備える。光を照射するランプ13aは、その背面側に配光板13bが配置された状態でカバー13cに収納され、かつ保護されている。
ここで光源部13の縦横寸法は特に限定されないが、小さすぎると照明力が弱く、大きすぎると後に詳述する反射パネル12による間接照明効果が得られにくいため、200mm〜400mm程度であるのが好ましい。
【0017】
図示のように、配光板13bは平面視矩形であって、側面視および上面視では背面側から正面側へと広がる台形形状をしている。またカバー13cも平面視矩形であって、側面視および上面視では背面側から正面側へと狭まる台形形状をしている。一方ランプ13aは、丸みを帯びた平面視矩形をしている。
配光板13bは、ランプ13aから照射された光を正面側へと配光する周知の作用、材質および形状を有するものである。
カバー13cも、アクリルなど強度および透明性の良好な周知の材質からなるが、その表面性状はランプ13aの光を拡散しやすいものが好ましい。
ここでランプ13aの種類は特に限定されないが、長寿命、低消費電力などの観点から無電極ランプが好ましい。
【0018】
実施形態のソーラーウォールユニット10の構成は以上のようであり、次にその使用方法の詳細について説明する。
【0019】
まず図1のように、多数のソーラーウォールユニット10を室内の壁面Wに縦横に並列させて取り付ける。ここで、図の手前側の壁面および奥側の壁面にも、ソーラーウォールユニット10が取り付けられているものとする。
ここで図示のように、室内には多段のラック20が置かれ、その各棚21上には育成トレイ30がそれぞれ載せられ、その育成トレイ30内で多数の植物31(苗)が育成栽培されている。
【0020】
この状態で、各ソーラーウォールユニット10の光源部13のランプ13aより光を照射する。
配光板13bにより正面側に配光されてカバー13cを通過した光は、同じ壁面W上の縦横に隣接するソーラーウォールユニット10の反射パネル12か、あるいは対向する壁面Wに取り付けられたソーラーウォールユニット10の反射パネルに、反射して散乱する。
このような反射散乱光は、育成トレイ30内の植物31に照射され、その光合成を促して生育に資する。
【0021】
反射散乱光による間接照明により、室内にラック20等を原因とする陰影ができることが抑制され、植物31への均一な照明が得られる。そのため、植物31の生育状態もほぼ均一に揃えることが可能である。
【0022】
上記実施形態では、取り付けパネル11等に貫通孔を設けてここに光源部13をはめこんで固定しているが、光源部13の固定態様はこれに限定されない。
また、取り付けパネル11は実施形態では平面視略正方形の矩形としているが、長方形としてもよいし、反射パネル12は取り付けパネル11の正面側の一部に設けてもよい。
【0023】
要するに上記実施形態は例示であって、これに発明の範囲は限定されない。この発明の範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められ、特許請求の範囲に示された内容を限度として、実施形態についてのあらゆる変更が可能であり、その変更可能な形態も当然にこの発明に包含されるものとする。
【符号の説明】
【0024】
10 ソーラーウォールユニット
11 取り付けパネル
12 反射パネル
13 光源部
13a ランプ
13b 配光板
13c カバー
20 多段ラック
21 棚
30 育成トレイ
31 植物(苗)
W 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の壁面に取り付けられて当該室内での植物育成栽培用の照明装置として機能するソーラーウォールユニットであって、
前記壁面にその背面側を対向させて取り付け可能な平面視矩形の取り付けパネルと、
前記取り付けパネルの正面側に積層されて光を反射散乱可能な反射パネルと、
前記取り付けパネルの平面視中央部に固定されて前記取り付けパネルの正面側へと光を照射可能な光源部と、を備えるソーラーウォールユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−65572(P2012−65572A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211990(P2010−211990)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(594156020)エスペックミック株式会社 (10)
【Fターム(参考)】