説明

タイマ予約装置

【課題】 内部電源がオンにされている期間を短くし、低消費電力化を図る。
【解決手段】 マイクロコンピュータ10の入力ポートには、受信された電波の中から放送波を抽出するためのチューナ10と、ビデオ機器用の電源電圧を生成するための電源40が接続されている。マイクロコンピュータ20内のタイマ25を計数時間を参照して、タイマ予約時間に対する所定の期間内であるときには、電源40をオフからオンに切り換え、目的とする番組情報が検出されたときにはタイマ予約内容を実行させる一方、目的とする番組情報が検出されないときには電源40を所定時間だけオフに切り換えるようにする。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案が属する技術分野】
本考案はVPS(ビデオプログラミングシステム)と称される放映規格に対応した受信装置に装備されるもので、タイマ予約モード時に放送波中の番組情報をチェックし、この番組情報に基づいて受信装置を制御するタイマ予約装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
日本において採用されているGコードでは、タイマ予約時刻になると、自動的に予約した番組を録画し、番組終了時刻になると、番組の録画を終了するようになっている。しかし、番組の開始時刻や終了時刻が変更されると、もはやGコードでは対応することができず、この場合、別の番組が録画されることになる。
【0003】
ヨーロッパ等において採用されているVPSでは、放送局から送信される電波の中に番組開始時刻、終了時刻等の番組固有のデータ(VPSラベル)が含められており、このデータを用いて予約した番組を確実に録画できるようになっている。
【0004】
従来のVPSに対応したタイマ予約装置は、タイマ予約モード時、VPSラベルチェック期間(VPS予約された予約日の前日PM8:00から予約日の翌日AM4:00までの期間)において常に内部電源をオンにしてVPSラベルの受信待ちとし、VPSラベルを受信したときにはVPS予約を実行するような構成となっていた。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例による場合、タイマ予約モード時、内部電源がオンにされている期間が非常に長く、消費電力の点で問題がある。
【0006】
本考案は上記した背景の下で考案されたものであって、その目的とするところは、低消費電力化を図ることができるタイマ予約装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本考案のタイマ予約装置は、番組情報が付加された放送波を受信する受信装置に装備されるもので、タイマ予約モード時に放送波中の番組情報をチェックし、この番組情報に基づいて受信装置を制御する基本構成となっており、内部電源のオン・オフを制御するオン・オフ手段と、放送波中の番組情報をチェックし目的とする番組情報を検出する検出手段と、タイマ予約時間に対する所定の期間内であるか否かを判定する判定手段と、タイマ予約時間に対する所定の期間内であるときには、内部電源をオフからオンに切り換え、目的とする番組情報が検出されたときにはタイマ予約内容を実行させる一方、目的とする番組情報が検出されないときには内部電源を所定時間だけオフに切り換える制御手段とを備えた構成にしている。
【0008】
前記判定手段におけるタイマ予約時間に対する所定の期間としては、少なくとも予約前日の特定の時間から予約翌日の特定の時間までの期間を設定するようにすれば良い。
【0009】
本考案の別のタイマ予約装置は、番組情報が付加された放送波を受信する受信装置に装備されるもので、タイマ予約モード時に放送波中の番組情報をチェックし、この番組情報に基づいて受信装置を制御する基本構成となっており、内部電源のオン・オフを制御するオン・オフ手段と、放送波中の番組情報をチェックするための第1の設定期間内か否かを判定する第1の判定手段と、放送波中の番組情報をチェックし目的とする番組情報を検出する検出手段と、タイマ予約時間に対する所定の期間内であるか否かを判定する第2の判定手段と、放送波中の番組情報をチェックするための第1の設定期間内であるときには、内部電源をオフからオンに切り換え、タイマ予約時間に対する所定の期間内に目的とする番組情報が検出されたときにはタイマ予約内容を実行させる一方、目的とする番組情報が検出されないときには内部電源をオンからオフに切り換え、第2の設定期間経過後、内部電源を再びオフからオンに切り換える制御手段とを備えた構成にしている。
【0010】
【考案の実施の形態】
以下、本考案のタイマ予約装置の実施の形態を図面を参照して説明する。図1はタイマ予約装置の構成図、図2は同装置内のマイクロコンピュータにて処理されるソフトウエアのフローチャート、図3はVPSラベルチェック期間における内部電源のオン・オフの経時的変化を示すタイミングチャートである。
【0011】
ここに例に掲げるタイマ予約装置はVPSの放映規格に対応したビデオ機器に装備されているもので、タイマ予約モード時に放送波中の番組情報をチェックし、この番組情報に基づいてビデオ機器を制御する基本構成となっている。
【0012】
タイマ予約装置は図1に示すようにマイクロコンピュータ20、キーボード30等から構成されている。これ以外のチューナ10及び電源40はビデオ機器本体側に備えられているものである。
【0013】
マイクロコンピュータ20の入力ポートには、受信された電波の中から放送波を抽出しデジタル信号として出力するためのチューナ10と、タイマ予約の番組等のデータを入力したりタイマ予約モードを選択入力するためのキーボード30が接続されている。一方、出力ポートには、ビデオ機器用の電源電圧を生成するための電源40が接続されている。
【0014】
マイクロコンピュータ20は、内部電源のオン・オフを制御するオン・オフ手段21と、放送波中の番組情報をチェックし目的とする番組情報を検出する検出手段22と、タイマ予約時間に対する所定の期間内であるか否かを判定する判定手段23と、タイマ予約時間に対する所定の期間内であるときには、内部電源をオフからオンに切り換え、目的とする番組情報が検出されたときにはタイマ予約内容を実行させる一方、目的とする番組情報が検出されないときには内部電源を所定時間だけオフに切り換える制御手段24としての各機能を、そのソフトウエアにより発揮するようになっている。ここでは、タイマ予約時間に対する所定の期間内として、予約前日のPM8時から予約翌日のAM4時までの期間が設定されている。
【0015】
マイクロコンピュータ20に搭載された時間を計数するタイマがタイマ手段25に相当する。同様に、マイクロコンピュータ20に搭載されたメモリがメモリ手段26に相当する。
【0016】
次に、マイクロコンピュータ20により処理されるソフトウエアの内容について図3を参照して説明し、併せてタイマ予約装置の動作について説明する。
【0017】
まず、ビデオ機器の電源スイッチがオンにされているか否かを判定する(S1)。電源スイッチがオンにされている場合、このプログラムを終了する。この場合、タイマ予約装置としては何らの動作も行わないことになる。
【0018】
一方、電源スイッチがオフにされている場合、タイマ予約モードであるか否かを判定する(S2)。キーボード30を通じてタイマ予約モードが選択入力されていないときには、タイマ予約モードではないと判定し、電源40のオフ状態を維持させ、このプログラムを終了させる。一方、キーボード30を通じてタイマ予約モードが選択入力されたときには、タイマ予約モードであると判定して次のステップに移行する。
【0019】
まず、マイクロコンピュータ20内のタイマが示す計数時間を参照して、予約前日のPM8:00から予約翌日4:00以外であれば、電源40のオフ状態を当該番組の設定された開始時間の前日PM8:00まで維持する(S3)。
【0020】
予約前日のPM8:00を過ぎると、内部電源をオフからオンに切り換える(S4)とともに、チューナ10から入力された放送波のデジタル信号に含まれる番組情報をチェックし(S5)、目的とする番組情報が検出されたか否かを判定する(S6)。即ち、VPSラベルチェック期間に入ったとして、電源40をオンに切り換え、放送波に含まれるVPSラベルをチェックし、タイマ予約した番組のVPSラベルが受信できたか否かを判定する。
【0021】
例えば、タイマ予約の行われた番組Aの放映日時(タイマ予約時間)が3月2日AM11:00〜AM11:30であったとすると、タイマの計数時間が3月1日PM8:00を示すと、VPSラベルチェック期間に入ったとして、番組AのVPSラベルをチェックする。また、番組AのVPSラベルを受信することなく、タイマの計数時間が3月3日のAM4:00を示すと、VPSラベルチェック期間を経過したとして、番組Aの予約をキャンセルする。即ち、この時点で番組Aの放映が中止されたとみなして、メモリに記録された番組Aの予約データを抹消する。
【0022】
目的とする番組情報が検出されないとき、即ち、放送波に含まれるVPSラベルを受信できなかったときには、電源40をオンからオフに切り換え(S7)、所定時間を経過した後(S8)、ステップ2に移行する。
【0023】
その後、予約翌日のAM4:00を過ぎない限り、ステップ2からステップ8にかけての処理が繰り返し行われる。その結果、電源40のオン・オフ状態が交互に変化する。ここでは約1秒毎に電源40のオンオフが切り換わるようになっている。このときの内部電源の経時的変化を図3に示している。
【0024】
一方、目的とする番組情報が検出されたとき、即ち、放送波に含まれるVPSラベルを受信したときには、受信したVPSラベルの内容に応じたタイマ予約の実行を行う(S9)。即ち、タイマ録画を開始し、その後、VPSのフォーマットに従いタイマ録画を行う。そして、タイマ予約の実行後は、ステップ2に戻って、上記と同様の処理を行う。
【0025】
例えば、タイマ予約した番組Aの放映日時が繰り上げられ、3月2日AM10:00〜AM10:30に変更されたとすると、タイマの設定を変更する。そして、タイマの計数時間が3月2日AM10:00を示した時点で、タイマ予約の実行を行い、番組Aの録画を開始する。その後、タイマの計数時間が3月2日AM10:30を示した時点で、番組Aの録画を中止し、電源40をオンからオフに切り換える。これで番組Aの録画が完了する。
【0026】
上記したような構成のタイマ予約装置による場合、VPSラベルチェック期間内において1秒間隔毎に内部電源をオフにするような構成となっているので、VPSラベルチェック期間中、内部電源が常にオンであった従来例による場合と比べて消費電力が半分となる。また、ソフトウエアを設計変更だけでこのような効果が得られることから、低コスト化を図る上でもメリットがある。
【0027】
なお、本発明のタイマ予約装置は必ずしも上記実施形態に限定されず、ソフトウエアで実現していた部分をハードウエアで構成するようにしても良い。また、次のような形態をとってもかまわない。
【0028】
即ち、タイマ予約モード時、放送波中の番組情報をチェックするための第1の設定期間内であるか否かを判定し、第1の設定期間内であるときには、内部電源をオフからオンに切り換え、予約前日の特定の時間から予約翌日の特定の時間までの期間内で、目的とする番組情報が検出されたときにはタイマ予約内容を実行させる一方、目的とする番組情報が検出されないときには内部電源をオンからオフに切り換え、第2の設定期間経過後、内部電源を再びオフからオンに切り換えるようにする。
【0029】
【考案の効果】
以上、本考案に係るタイマ予約装置による場合、タイマ予約モード時、目的とする番組情報が検出されないときには内部電源を所定時間だけオフに切り換えるような構成となっているので、従来例による場合とは異なり、内部電源がオンにされている期間が非常に短く、低消費電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案のタイマ予約装置の実施の形態を説明するための図であって、タイマ予約装置の構成図である。
【図2】本考案のタイマ予約装置の実施の形態を説明するための図であって、タイマ予約装置内のマイクロコンピュータにて処理されるソフトウエアのフローチャートである。
【図3】本考案のタイマ予約装置の実施の形態を説明するための図であって、VPSラベルチェック期間における内部電源のオン・オフの経時的変化を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
10 チューナ
20 マイクロコンピュータ
21 オン・オフ手段
22 検出手段
23 判定手段
24 制御手段
40 電源

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 番組情報が付加された放送波を受信する受信装置に装備されており、タイマ予約モード時に該番組情報をチェックし、該番組情報に基づいて受信装置を制御するタイマ予約装置において、内部電源のオン・オフを制御するオン・オフ手段と、放送波中の番組情報をチェックし目的とする番組情報を検出する検出手段と、タイマ予約時間に対する所定の期間内であるか否かを判定する判定手段と、タイマ予約時間に対する所定の期間内であるときには、内部電源をオフからオンに切り換え、目的とする番組情報が検出されたときにはタイマ予約内容を実行させる一方、目的とする番組情報が検出されないときには内部電源を所定時間だけオフに切り換える制御手段とを具備したことを特徴とするタイマ予約装置。
【請求項2】 前記判定手段におけるタイマ予約時間に対する所定の期間として、少なくとも予約前日の特定の時間から予約翌日の特定の時間までの期間が設定されていることを特徴とする請求項1記載のタイマ予約装置。
【請求項3】 番組情報が付加された放送波を受信する受信装置に装備されており、タイマ予約モード時に該番組情報をチェックし、該番組情報に基づいて受信装置を制御するタイマ予約装置において、内部電源のオン・オフを制御するオン・オフ手段と、放送波中の番組情報をチェックするための第1の設定期間内か否かを判定する第1の判定手段と、放送波中の番組情報をチェックし目的とする番組情報を検出する検出手段と、タイマ予約時間に対する所定の期間内であるか否かを判定する第2の判定手段と、放送波中の番組情報をチェックするための第1の設定期間内であるときには、内部電源をオフからオンに切り換え、タイマ予約時間に対する所定の期間内で、目的とする番組情報が検出されたときにはタイマ予約内容を実行させる一方、目的とする番組情報が検出されないときには内部電源をオンからオフに切り換え、第2の設定期間経過後、内部電源を再びオフからオンに切り換える制御手段とを具備したことを特徴とするタイマ予約装置。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【登録番号】第3042285号
【登録日】平成9年(1997)7月30日
【発行日】平成9年(1997)10月14日
【考案の名称】タイマ予約装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】有
【出願番号】実願平9−2599
【出願日】平成9年(1997)4月8日
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)