説明

タインホルダーのロックピン固定構造

【課題】 作業が容易確実で効率が良く、取り扱いも至便な、タインホルダーのロックピン固定構造を提供せんとする。
【解決手段】 タインホルダー1に、複数のタインを下設するための軸部6を挿通する上下方向への取付孔2を縦横に整然と設ける。この取付孔2を横切ってタインを固定するロックピン7の挿入孔3を横方向へ複数設ける。押さえ板8の止め具挿入孔9に止め具10を挿入して、ロックピン7の頭部7Aが突合したタインホルダー1の側面1Aのネジ穴5、5に螺入して固定した押さえ板8で、ロックピン7の頭部7Aを当止して脱落を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばゴルフ場や公園などの芝面の土壌改良を目的とし、芝の育成を図るための土壌改良用エアレーション装置において、部材の一つとして用いるタインホルダーのロックピン固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
土壌改良用のエアレーション装置は、例えば自走式の装置本体の後部に、上下方向に往復運動する多数本のタインを装着し、タインを芝面の土中に突き刺すことにより、多数の細穴を芝面に形成するものである。
この芝面に形成される細穴は、雨水や空気を土中に浸透させるほか、施肥用の穴としても利用されるものである。
【0003】
細穴を形成するタインは、一般にパイプ材の先端部を肉薄にして円形の刃先を形成した棒体状又はパイプ状の刃物で、土をタインの外径や内径にしたがって、円柱状に押し拡げたり、円筒状のコアとして地上に掘り上げるものである。
そして、このタインは装置本体のタインホルダーに取り付けられている。
【0004】
従来、タインの取り付け方法は、一般的には、タインホルダーの取付凹部にタイン上部の取付軸を挿入して横方向からボルトを用いて螺入し、1本ずつ取り付け固定しているのである。
【0005】
そこで、作業効率を良くするため、タイン上部の取付軸や、パイプ状のサイドオープンタイン本体を被嵌挿着したホールドピンの取付軸を、タインホルダーの取付孔に挿入し、次に、この取付孔を横切って設けられたロックピンの挿入孔と、タインの取付軸に有する固定用孔と対応して形成される連通孔に、ロックピンを挿入してタインをタインホルダーに固定し、更に、このロックピンの貫通した先端部に脱却防止用のスプリングピン(スナップピン)を着脱自在に差し込み係止することも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07−67405号公報
【特許文献2】特開平11−187704号公報
【特許文献3】特開2000−60214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
芝面の土壌改良をし、芝の育成を図るための土壌改良用エアレーション装置は高価な機械であり、深度作業のみでなくきめの細かいエアレーションの形成にも用いることが出来るように、縦横にピッチの狭い設定のタインの装着が可能なタインホルダーが提案されている。
例えば、縦横のピッチが30ミリメートルで一枚に12本のタインを装着するものがあり、前後に6本ずつのタインを配置してある。
【0008】
このような多数のタインを装着するタインホルダーでは、交換・取付作業の効率化を図るため、前後のタインを挿入した一つのロックピンでタインホルダーへ同時に固定し、ロックピンの貫通した先端部にスプリングピン(スナップピン)を差し込んで係止している。
しかし、スプリングピンは小さな部品であるため、取り扱いに神経を使うと共に、作業中に落として紛失したり、或いは嵌入し難く、ピンが外れることもあるのである。
【0009】
そこで、本発明は作業が容易確実で効率が良く、取り扱いも至便な、タインホルダーのロックピン固定構造を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1のタインホルダーのロックピン固定構造は、タインホルダーに、複数のタインを下設するための軸部を挿通する上下方向への取付孔を縦横に整然と設けると共に、この取付孔を横切ってタインを固定するロックピンの挿入孔を横方向へ複数設けたタインホルダーと、止め具挿入孔を有する押さえ板より成り、押さえ板の止め具挿入孔に止め具を挿入して、ロックピンの頭部が突合したタインホルダーの側面へ対面固定し、押さえ板でロックピンの頭部を当止して脱落を防止することを特徴とするものである。
【0011】
請求項2のタインホルダーのロックピン固定構造は、請求項1において、押さえ板の止め具挿入孔に止めネジを挿入し、ロックピンの頭部が突合したタインホルダーの対応側面に設けた螺子穴に螺着することを特徴とするものである。
【0012】
請求項3のタインホルダーのロックピン固定構造は、請求項1又は2において、押さえ板のタインホルダー側の面にロックピンの頭部厚と同等厚以上の突起部を設けたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項4のタインホルダーのロックピン固定構造は、請求項3において、突起部に止め具挿入孔を形成したことを特徴とするものである。
【0014】
請求項5のタインホルダーのロックピン固定構造は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、一枚の押さえ板で、タインホルダーに固定する全てのロックピンの頭部を当止することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1のタインホルダーのロックピン固定構造は、タインホルダーに、複数のタインを下設するための軸部を挿通する上下方向への取付孔を縦横に整然と設けると共に、この取付孔を横切ってタインを固定するロックピンの挿入孔を横方向へ複数設けたタインホルダーと、止め具挿入孔を有する押さえ板より成り、押さえ板の止め具挿入孔に止め具を挿入して、ロックピンの頭部が突合したタインホルダーの側面へ押さえ板を対面固定し、押さえ板でロックピンの頭部を当止して脱落を防止するものであるから、押さえ板で一時に複数のロックピンの固定作業が容易確実で効率が良く行える効果を有するのである。
【0016】
請求項2のタインホルダーのロックピン固定構造は、請求項1において、押さえ板の止め具挿入孔に止めネジを挿入し、ロックピンの頭部が突合したタインホルダーの対応側面に設けた螺子穴に螺着するものであるから、極めて単純且つ容易な作業となる効果を有するものである。
【0017】
請求項3のタインホルダーのロックピン固定構造は、請求項1又は2の効果に加え、押さえ板のタインホルダー側の面にロックピンの頭部厚と同等厚以上の突起部を設けたため、押さえ板をタインホルダー側面に固定することで自然とロックピンの頭部に当接して当止し、或いは抜けるのを阻止して脱落を防止するものであり、また、過度に止め具によって固着することを回避し、部品の損傷を防止し、被覆固定作業の迅速化に資する効果を有する。
【0018】
請求項4のタインホルダーのロックピン固定構造は、突起部に止め具挿入孔を形成したため、請求項3の効果をより安定的に発揮するものとなる。
【0019】
請求項5のタインホルダーのロックピン固定構造は、請求項1乃至4の各効果に加え、一枚の押さえ板で、タインホルダーに固定する全てのロックピンの頭部を当止するものであるから、一枚の押さえ板でタインホルダーの全てのロックピンを当止する効果を得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の固定構造の一実施の形態を示す平面図である。
【図2】本発明の固定構造のタインホルダーの一実施の形態を示す一部切り欠いた平面図である。
【図3】本発明の固定構造の押さえ板の一実施の形態を示すタインホルダー側となる背面図である。
【図4】本発明の固定構造の押さえ板の他の実施の形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の固定構造の一実施の形態を示す平面図、図2は固定構造のタインホルダーの一部切り欠いた平面図、図3は固定構造の押さえ板のタインホルダー側となる背面図であり、タインホルダー1、ロックピン7、押さえ板8及び止め具10より構成されている。
【0022】
タインホルダー1は厚みを有する平面が長四角形の板体で、上下面を貫通するタイン取付孔2、2、2・・・が前後の横方向に6個ずつ穿設してあり、この各前後のタイン取付孔2、2を横切ってロックピン挿入孔3、3・・・も前後面を貫通して穿設してある。
このタインホルダー1は、エアレーション装置の上下方向に往復運動する昇降腕部(図示せず。)へ装着用孔4、4を利用して装着する。
【0023】
前記タイン取付孔2とロックピン挿入孔3を利用してタインをタインホルダー1に取り付けられる。
即ち、タイン上部の取付軸6又は、パイプ状のサイドオープンタインの場合は本体に嵌着したホールドピンの取付軸6を、タインホルダー1のタイン取付孔2に下方から挿入し、次いで、ロックピン挿入孔3と、タインの取付軸6に有する固定用孔とが対応して形成する連続する孔に、ロックピン7を一方のロックピン挿入孔3から挿入してタインをタインホルダー1に固定するものである。
【0024】
また、ロックピン7を挿入した一方の側であって、ロックピン7の頭部7Aが当止するタインホルダー1の面1A(図面では前面)にはネジ穴5、5が、ロックピン挿入孔3及びロックピン7の頭部7Aと干渉しない位置に設けてある。
【0025】
一方、押さえ板8には止め具挿入孔9が設けられ、この止め具挿入孔9に摘みネジ(止め具)10を挿入して、上記タインホルダー1の面1Aのネジ穴5、5に螺入し、ロックピン7の頭部7Aが突合したタインホルダー1の面1Aと対面して固定することで、押さえ板8がロックピン7の頭部7Aを当止して脱落を防止するものとなる。
【0026】
押さえ板8には、止め具挿入孔9に連続する孔を形成して、押さえ板8のタインホルダー側に対面する面8Aに、ロックピン7の頭部厚と同等厚に突起部11をリブ状に設けてある。
突起部10で、ロックピン7の頭部7Aが突合したタインホルダー1の面1Aと、ロックピン7の頭部厚と同等以上のスペースを空けて押さえ板8を対面して固定することで、自然とロックピン7の頭部7Aに当接して当止し、或いは抜けるのを阻止して脱落を防止するものであり、また、過度に止め具10によって固着することを回避し、部品損傷を防止し、固定作業の迅速化となる。
【0027】
なお、止め具挿入孔9はネジ孔としてもよく、止め具10は螺入用治具を使用して螺着する頭部形状であってもよい。
又、突起部11は図4のように、止め具挿入孔9に関連付けて形成する必要は無く、止め具10と干渉しない位置に配設することも自由であり、更に、押さえ板8はタインホルダー1に挿通してタインを固定するロックピン頭部7Aと対面し、当接して抜け止め作用を奏する最小の大きさを有する形状のもので充分である。
【符号の説明】
【0028】
1 タインホルダー
2 タイン取付孔
3 ロックピン挿入孔
5 ネジ穴
6 タインの取付軸
7 ロックピン
7A 頭部
8 押さえ板
9 止め具挿入孔
10 止め具
11 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タインホルダーに、複数のタインを下設するための軸部を挿通する上下方向への取付孔を縦横に整然と設けると共に、この取付孔を横切ってタインを固定するロックピンの挿入孔を横方向へ複数設けたタインホルダーと、止め具挿入孔を有する押さえ板より成り、押さえ板の止め具挿入孔に止め具を挿入して、ロックピンの頭部が突合したタインホルダーの側面へ対面固定し、押さえ板でロックピンの頭部を当止して脱落を防止することを特徴とするタインホルダーのロックピン固定構造。
【請求項2】
押さえ板の止め具挿入孔に止めネジを挿入し、ロックピンの頭部が突合したタインホルダーの対応側面に設けた螺子穴に螺着することを特徴とする請求項1記載のタインホルダーのロックピン固定構造。
【請求項3】
押さえ板のタインホルダー側の面にロックピンの頭部厚と同等厚以上の突起部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のタインホルダーのロックピン固定構造。
【請求項4】
突起部に止め具挿入孔を形成したことを特徴とする請求項3記載のタインホルダーのロックピン固定構造。
【請求項5】
一枚の押さえ板で、タインホルダーに固定する全てのロックピンの頭部を当止することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のタインホルダーのロックピン固定構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate