説明

タオル

【課題】見栄えがよく、しかもフリルが消失し難いタオルを提供する。
【解決手段】このタオル1は、一定の幅で、その幅方向と直交する方向に編まれるタオル本体2を有し、そのタオル本体2における上記幅方向と直交する方向の途中部分であって表裏両側に、タオル本体2から突出したフリル3、4が、編まれることで形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体洗浄用のタオルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述したタオルとして、背中の洗浄用に好適に用いられるように、タオルの長手方向の途中部分に別製のフリルを取付けたフリル付きタオルが知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】登録実用新案公報第3020750号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したフリル付きタオルによる場合には、別製のフリルの基端側をタオルに取付ける際に、フリルの基端側よりも少し先端寄りの位置を縫い付けることになるため、フリルの基端が表面に表れて見栄えが悪化するとともに、フリル縫い付け用の糸の一箇所が解けると全体が解け易く、その結果としてフリルが消失し易くなるという難点があった。
【0004】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、見栄えがよく、しかもフリルが消失し難いタオルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1のタオルは、一定の幅方向の列をコースとし、その幅方向と直交する方向の列をウェールとして編まれるタオル本体を有し、そのタオル本体の表裏両側のうちの少なくとも片側に、タオル本体から突出したフリルが、編まれることで形成されていることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2のタオルは、請求項1に記載のタオルにおいて、前記フリルが、前記幅方向と直交する方向におけるタオル本体の途中部分に形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3のタオルは、請求項1または2に記載のタオルにおいて、タオル本体とフリルとで異なる糸が用いられ、フリル用の糸がタオル本体用の糸よりも太いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のタオルにあっては、フリルが、タオル本体を編んで形成するときに同時に編むことで形成され、フリルとタオル本体とが一体的に編まれているので、フリルの基端側がタオル本体に編み込まれて表面に表れずに見栄えがよく、しかも従来のようにフリルを縫い付ける必要がないので、糸解けによるフリルの消失が起こり難いものになる。
【0009】
また、請求項2のタオルにあっては、タオル本体の幅方向と直交する方向、つまり長手方向の途中部分がフリルの形成により凸状部分になっているので、長手方向の両端部を把持して背中を洗浄するときに、背中の凹部に対してタオルの凸状部分が当たり、都合のよい洗浄が可能になる。
【0010】
更に、請求項3のタオルにあっては、フリルの方がタオル本体よりも太い糸を用いているので、フリル部分の厚みを増大化させ易く、背中の凹部に対するタオルの凸状部分の当たりを向上させ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明を具体的に説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態に係るタオルを示す平面図、図2はその正面図である。このタオル1は、一定幅Wの長方形状に形成されたタオル本体2を有し、そのタオル本体2の長手方向の途中部分、図示例では中央部に複数のフリル3、4が形成されている。フリル3は、タオル本体2の表側に形成されていて、例えば9個形成されている。一方、フリル4は、タオル本体2の裏側に形成されていて、例えば9個形成されている。
【0013】
タオル本体2及びフリル3、4は、例えばよこ編み機によりタオル本体2を編むときに同時にフリル3、4を編むことで作製される。
【0014】
次に、本実施形態のタオルの製造に用いられるよこ編み機につき説明する。図3は、よこ編み機に備わった針の構成を示す図である。このよこ編み機は、互いに交差する方向に進出・退入する多数の前針床の針10と多数の後針床の針11とを有する。
【0015】
次に、本実施形態のタオルを、よこ編み機により作製する場合の一作製例を説明する。ここで、図4は、フリル3、4を編む直前と直後における針の状態を示しており、編み目の形成に用いる針を実線の丸印で表し、使用しない針を破線の丸印で表している。なお、前記幅Wに対応する数の針が実際には使用されるが、図4では針10も針11も便宜上10本づつとして表している。
【0016】
まず、図4(a)に示すように両方の針10、11を用い、前記幅Wの方向の列をコースとしてタオル本体2の長手方向の一端側から他端側へ向けて編んでいく。上記長手方向は、幅Wの方向とほぼ直交する方向であり、その方向に並んだ列をウェールという。編み目としては、例えばゴム編みが用いられる。このようにしてタオル本体2の途中まで編むと、図4(b)に示すように針10にのみ編み目を引っ掛けた状態とした後に、図4(c)に示すように、その針10の1つ置きの針10aに、隣の針10bに引っ掛けられていた編み目を移す。つまり、針10aに2つの編み目を引っ掛け、針10bには編み目が引っ掛かっていない状態にする。続いて、それまでとは別の糸を用い、以下のようにして表側のフリル3を1つ分編む。
【0017】
このフリル3では、図4(d)に示すように、編み目の引っ掛かっていない針10bと、この針10bとの位置関係が千鳥状となる、1つ置きの後針床の針11aとを用いる。そして、この位置関係の針10bと11aとにより、表側のフリル3を先端3a側から基端3b側へと向けて、例えばゴム編みにより1つ分編む。編む回数は、フリル3の長さに応じて決定される。
【0018】
そして、図4(e)に示すように、針10bと11aとで編んだ基端3b側の編み目を、針10のみに引っ掛けた状態にする。つまり、針10bでは引っ掛かった状態を維持し、針11aに引っ掛けられていた編み目を針10aに引っ掛ける。これにより、針10aには、表側のフリル3の基端の編み目と、途中まで編んだタオル本体2の端の2つの編み目とが引っ掛けられる。
【0019】
その後、図4(f)に示すように針10の全部と針11の全部とで、例えば1目分編む。この1目分はタオル本体2の一部を形成し、これによりフリル3がタオル本体2に編み込まれる。なお、1目分に限らず、フリル3と4との間隔を考慮して2目分以上を編むようにしてもよい。
【0020】
次に、裏側のフリル4を同様にして編む。つまり、図4(g)に示すように針11にのみ編み目を引っ掛けた状態とした後に、図4(h)に示すように、その針11の1つ置きの針11aに、隣の針11bに引っ掛けられていた編み目を移す。つまり、針11aに2つの編み目を引っ掛け、針11bには編み目が引っ掛かっていない状態にする。続いて、それまでとは別の糸を用い、以下のようにして裏側のフリル4を1つ分編む。
【0021】
このフリル4では、図4(i)に示すように、編み目の引っ掛かっていない針11bと、この針11bとの位置関係が千鳥状となる、1つ置きの後針床の針10aとを用いる。そして、この位置関係の針11bと10aとにより、裏側のフリル4を先端4a側から基端4b側へと向けて、例えばゴム編みにより1つ分編む。編む回数は、フリル4の長さに応じて決定される。
【0022】
そして、図4(j)に示すように、針11bと10aとで編んだ基端4b側の編み目を、針11のみに引っ掛けた状態にする。つまり、針11bでは引っ掛かった状態を維持し、針10aに引っ掛けられていた編み目を針11aに引っ掛ける。これにより、針11aには、裏側のフリル4の基端4bの編み目と、途中まで編んだタオル本体2の端の2つの編み目とが引っ掛けられる。
【0023】
その後、図4(k)に示すように針10の全部と針11の全部とで、例えば1目分編む。この1目分はタオル本体2の一部を形成し、これによりフリル4がタオル本体2に編み込まれる。なお、1目分に限らず、フリル3と4との間隔を考慮して2目分以上を編むようにしてもよい。
【0024】
このようにしてタオル本体2に、所定数、図示例では各9つのフリル3と4とを交互に編み込んだ後、針10の全部と針11の全部とでタオル本体2を他端側へ向けて、例えばゴム編みにより編むことで、本実施形態のタオルが製造される。
【0025】
したがって、フリル4が、タオル本体2を編んで形成するときに同時に編むことで形成され、フリル4とタオル本体2とが一体的に編まれているので、フリル4の基端側がタオル本体2に編み込まれて表面に表れずに見栄えがよい。また、タオル本体2の一端から他端までの全長が連続した一枚の編み物となっているので、従来のようにフリルを縫い付ける必要がないので、糸解けによるフリル4の消失が起こり難いものになる。
【0026】
なお、上述した実施形態においては図4に示した編み方で編むようにしているが、本発明はこの方法に限らない。要は、フリルを編み始める直前までに編んだタオル本体の端に対し、その後に編んだフリルの端を編み込むことができれば、どのような編み方を採用しても構わない。
【0027】
また、上述した実施形態ではタオル本体の表裏両側にフリルを形成しているが、本発明はこれに限らず、タオル本体の表側または裏側の片側にフリルを形成するようにしてもよい。要は、フリルの形成によりタオル本体において厚みが増大し、凸状部分の厚みが所定値以上になって背中の凹部をきれいに洗浄することができればよい。よって、タオル本体とは別の糸を用いるフリルの形成において、フリル用の糸として太い糸を用いることで、フリルの形成による凸状部分の厚みを更に厚くすることができる。なお、タオル本体用の糸とフリル用の糸は、同一材質のものでも異なる材質のものでもよい。
【0028】
更に、上述した実施形態ではタオル本体の長手方向の途中部分にフリルを形成しているが、本発明はこれに限らず、タオル本体の長手方向の全長にわたりフリルを形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係るタオルを示す平面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図1のタオルを編むためのよこ編み機の構成を示す斜視図である。
【図4】図1のタオルにおけるフリル部分の編み方の説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 タオル
2 タオル本体
3、4 フリル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の幅方向の列をコースとし、その幅方向と直交する方向の列をウェールとして編まれるタオル本体を有し、そのタオル本体の表裏両側のうちの少なくとも片側に、タオル本体から突出したフリルが、編まれることで形成されていることを特徴とするタオル。
【請求項2】
請求項1に記載のタオルにおいて、
前記フリルが、前記幅方向と直交する方向におけるタオル本体の途中部分に形成されていることを特徴とするタオル。
【請求項3】
請求項1または2に記載のタオルにおいて、
タオル本体とフリルとで異なる糸が用いられ、フリル用の糸がタオル本体用の糸よりも太いことを特徴とするタオル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−97882(P2007−97882A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292548(P2005−292548)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(591109212)東和産業株式会社 (16)
【Fターム(参考)】