説明

タッチスイッチ

【課題】部品点数が少なく、見栄えが良いタッチスイッチを提供する。
【解決手段】
ガラス基板2の内面にマーク10を含むスイッチ電極3、スイッチ電極用配線4及びダミー電極6を金属薄膜で形成するとともに、ガラス基板2の外面を操作者等がタッチするようにする。スイッチ電極とマークを一体化し、各電極及び各配線を金属薄膜で形成するため、部品点数を少なくでき、いろいろな形状のマークを容易に形成することが可能となる。また、ガラス基板の外面を操作者等がタッチするとともに、金属薄膜の金属光沢により高級感を出すことができるため、見栄えを良くすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極に対応する所定の部位に、操作者の指や手などが接近したことを静電容量の変化に基づいて検出するタッチスイッチ(タッチキーやタッチセンサとも称する)に関する。
特に部品点数が少なく、見栄えが良いタッチスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、静電容量型タッチスイッチが開示されている。図8に示すように、このタッチスイッチは、操作キーとなるべき接触用小領域(以下、キーエリアと称する)102が表示された操作パネル101と、前記操作パネル101の下にあって、前記キーエリア102の中心と一致させて静電容量スイッチの検出部となるべき導電パターン104が重ねて形成された多層基板103とから構成される。そして、操作パネル101上のキーエリア102を指先で接触すれば、導電パターン104に対応する静電容量スイッチを動作させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−128336
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図8で示したような従来の構造のタッチスイッチによれば、マーク(0、#など)を含むキーエリア102を形成した操作パネル101と、静電容量スイッチの検出部となるべき導電パターン104を形成した多層基板103が別々に必要となるため、部品点数が多くなるという問題があった。また、キーエリア102に操作者の指先が接触するため、キーエリア102のマークが磨耗して見栄えが悪くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、以上説明した従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、部品点数が少なく、見栄えが良いタッチスイッチを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載されたタッチスイッチは、基板と、前記基板上に配設された複数のスイッチ電極と該スイッチ電極に接続されたスイッチ電極用配線からなるセンサ部と、前記基板上の前記センサ部の周囲に配設されて前記センサ部とは電気的に独立したダミー電極を備え、前記スイッチ電極はマークを含んでおり、前記マークは平面状パターンと該平面状パターン内の意匠部分からなり、前記センサ部及び前記ダミー電極は金属薄膜から形成されていることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載されたタッチスイッチは、請求項1に記載のタッチスイッチにおいて、前記マークは、非開口部から形成された前記平面状パターンと、前記意匠部分に対応する形状を有する開口部から形成された前記平面状パターン内の意匠部分からなることを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載されたタッチスイッチは、請求項1に記載のタッチスイッチにおいて、前記マークは、開口部と非開口部から形成された前記平面状パターンと、前記意匠部分に対応する形状を有する非開口部から形成された前記平面状パターン内の意匠部分からなることを特徴とする請求項1に記載のタッチスイッチ。
【0009】
請求項4に記載されたタッチスイッチは、請求項2に記載のタッチスイッチにおいて、前記開口部内に補助電極が設けられており、該補助電極は前記平面状パターンの前記非開口部と接続されることを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載されたタッチスイッチは、請求項1乃至3の何れか一項に記載のタッチスイッチにおいて、前記スイッチ電極の前記平面状パターンは外周部に複数個の突起部が設けられており、前記突起部と他の前記スイッチ電極又は前記スイッチ電極用配線又は前記ダミー電極が対向していることを特徴としている。
【0011】
請求項6に記載されたタッチスイッチは、請求項1乃至3の何れか一項に記載のタッチスイッチにおいて、前記ダミー電極は外周部に複数個の突起部が設けられており、前記突起部と他の前記スイッチ電極又は前記スイッチ電極用配線が対向していることを特徴としている。
【0012】
請求項7に記載されたタッチスイッチは、請求項1乃至3の何れか一項に記載のタッチスイッチにおいて、少なくとも2つの前記スイッチ電極の間、前記スイッチ電極と前記ダミー電極の間、前記スイッチ電極用配線上及び前記ダミー電極上に遮光性の絶縁部材が設けられていることを特徴としている。
【0013】
請求項8に記載されたタッチスイッチは、請求項1乃至3の何れか一項に記載のタッチスイッチにおいて、前記基板の前記センサ部を形成した面と反対側の面に塗膜が設けられており、前記塗膜はビーズを混入した樹脂からなり、少なくとも一部の前記ビーズが前記塗膜の表面に露出していることを特徴としている。
【0014】
請求項9に記載されたタッチスイッチは、請求項1乃至3の何れか一項に記載のタッチスイッチにおいて、外部の接続部材と前記スイッチ電極用配線及び前記ダミー電極を接続する複数の接続端子が設けられており、前記センサ部、前記ダミー電極、前記接続端子を含む前記基板上のすべての金属薄膜は、同じ金属材料から形成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項10に記載されたタッチスイッチは、請求項1乃至3の何れか一項に記載のタッチスイッチにおいて、前記マークを透過照明する照明光源が設けられており、前記マークに対応して前記照明光源を配設することを特徴としている。
【0016】
請求項11に記載されたタッチスイッチは、請求項10に記載のタッチスイッチにおいて、前記照明光源は複数色で発光可能であり、タッチと判定した前記スイッチ電極の発光色を順次変化させることを特徴としている。
【0017】
請求項12に記載されたタッチスイッチは、請求項10に記載のタッチスイッチにおいて、すべての前記照明光源を所定の色で発光させておき、タッチと判定した前記スイッチ電極に対応した前記照明光源のみを他の色で発光させることを特徴としている。
【0018】
請求項13に記載されたタッチスイッチは、請求項1乃至3の何れか一項に記載のタッチスイッチにおいて、前記マークの裏面に前記金属薄膜と異なる色の非発光部材が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載されたタッチスイッチによれば、電極(スイッチ電極)とマークを一体化したため、部品点数を少なくすることが可能となる。また、基板上にセンサ部及びダミー電極を金属薄膜で形成するため、部品点数を少なくすることが可能となる。特に、センサ部及びダミー電極を金属薄膜で一括形成(同一の製造工程で形成)すれば、コストを抑えつつ、容易に形成することが可能となる。さらに、マークを金属薄膜で形成するため、いろいろな形状のマークを容易に形成することが可能となる。さらにまた、基板上の金属薄膜を形成した面と反対側の面を操作者等がタッチするため、マークが磨耗せずに見栄えを良くすることが可能となる。また、金属薄膜の金属光沢により高級感を外観上出すことができるため、見栄えを良くすることが可能となる。
【0020】
請求項2又は請求項3に記載されたタッチスイッチによれば、マークが開口部と非開口部から形成されているため、いろいろな形状のマークを容易に形成することが可能となる。また、マークに金属光沢を持たせるか又はマークの周りに金属光沢を持たせてマークを浮かび上がらせるか、顧客の嗜好に合わせたマークを容易に形成することが可能となる。
【0021】
請求項4に記載されたタッチスイッチによれば、マークの開口部内に補助電極が設けられているため、スイッチ電極の検出面積が増加して、タッチ検出時の容量変化を大きくすることが可能となる。
【0022】
請求項5に記載されたタッチスイッチによれば、スイッチ電極の平面状パターンは外周部に複数個の突起部が設けられており、その突起部とスイッチ電極用配線等が対向しているため、導電体間の容量を低減することが可能となる。
【0023】
請求項6に記載されたタッチスイッチによれば、ダミー電極は外周部に複数個の突起部を有しており、その突起部とスイッチ電極用配線が対向しているため、導電体間の容量を低減することが可能となる。
【0024】
請求項7に記載されたタッチスイッチによれば、照明光源からの光が透過するマークの開口部を除いて、少なくとも2つのスイッチ電極の間、スイッチ電極とダミー電極の間、スイッチ電極用配線上及びダミー電極上に遮光性の絶縁部材(非透光性の絶縁部材)が設けられているため、露出による損傷等から各電極及び各配線を保護することが可能となる。
【0025】
請求項8に記載されたタッチスイッチによれば、基板のセンサ部を形成した面と反対側の面にビーズを混入した樹脂からなる塗膜が設けられ、擬似エッチング(ノングレア)された状態となるため、操作者のタッチによる指紋を見え難くし、金属薄膜の反射(うつりこみ)を防止し、見栄えを良くすることが可能となる。また、ビーズによる表面の微小な凹凸により、操作者のタッチ感を向上させることが可能となる。
【0026】
請求項9に記載されたタッチスイッチによれば、センサ部、ダミー電極、接続端子を含む基板上のすべての金属薄膜は同じ金属材料から形成されているため、材料の種類が増えず、コストを抑えることができる。また、一括形成(同一の製造工程で形成)することができるので、容易に形成することが可能となる。
【0027】
請求項10に記載されたタッチスイッチによれば、マークを透過照明する照明光源がマークに対応して設けられているので、マークを視認し易くすることが可能となる。また、マークの意匠部分を光が透過するか又は光が透過しない意匠部分を浮かび上がらせるか、顧客の嗜好に合わせたマークの表示形態を選択することが可能となる。
【0028】
請求項11に記載されたタッチスイッチによれば、照明光源は複数色で発光可能であり、タッチと判定したスイッチ電極の発光色を順次変化させるため、マークを視認し易くするとともに、タッチと判定したスイッチ電極を容易に判別することが可能となる。
【0029】
請求項12に記載されたタッチスイッチによれば、すべての照明光源を所定の色で発光させておき、タッチと判定したスイッチ電極に対応した照明光源のみを他の色で発光させるため、マークを視認し易くするとともに、タッチと判定したスイッチ電極を容易に判別することが可能となる。
【0030】
請求項13に記載されたタッチスイッチによれば、マークの裏面に金属薄膜と異なる色の非発光部材が設けられているため、マークを視認し易くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係るタッチスイッチの平面図である。
【図2】図1のX−X切断線におけるタッチスイッチの断面図である。
【図3】図1のY−Y切断線におけるタッチスイッチの断面図である。
【図4】図1のタッチスイッチの部分拡大図である。
【図5】本発明の実施形態に係るタッチスイッチの断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るタッチスイッチの動作原理図である。
【図7】本発明の実施形態に係るタッチスイッチの回路図である。
【図8】従来のタッチスイッチの構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(一実施形態)
以下、本発明の一実施形態について、図1乃至図7を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態を示すタッチスイッチの平面図である。図2は、図1のX−X切断線におけるタッチスイッチの断面図である。図3は、図1のY−Y切断線におけるタッチスイッチの断面図である。なお、同じ図の中に同じ構成要素が複数ある場合、原則として、その中の1つのみに番号を付与している。
【0033】
これらの図に示すタッチスイッチ1は、ガラス基板2の内面上(同一平面上)に、複数のスイッチ電極3と、各スイッチ電極3に一端が接続されたスイッチ電極用配線4からなるセンサ部5と、複数のダミー電極6と、各ダミー電極6に一端が接続されたダミー電極用配線7と、スイッチ電極用配線4又はダミー電極用配線7の他端が接続される複数の接続端子8が各々形成されている。また、これらの電極及び配線(センサ部5、ダミー電極6、ダミー電極用配線7、接続端子8)は、金属薄膜から形成されている。また、それらの上面には、遮光性の絶縁部材9が形成されている。
なお、基板は、ガラス基板に限られず、透光性(透明又は半透明を含む)基板でも良い。
【0034】
まず、接続端子8は、スイッチ電極用配線4及びダミー電極用配線7に対応して、16個配設されている。接続端子8は、一端がスイッチ電極用配線4又はダミー電極用配線7と接続されており、他端が外部の接続部材と接続される。また、接続端子8は、ガラス基板2の周囲の一面側(下側面)で隣接して互いが平行になるように配設されている。なお、スイッチ電極用配線4及びダミー電極用配線7が接続端子8を兼用しても良い。
【0035】
次に、スイッチ電極3は、相互に所定の間隔を有している。また、各スイッチ電極3は、電気的に独立した状態でガラス基板2の中央部分に12個(縦6列×横2段)配設されている。各スイッチ電極3は、マーク10を含んでいる。そのマーク10は、平面状パターン11とその平面状パターン内の意匠部分12からなっている。
なお、スイッチ電極3とマーク10は同一部材を示しており、原則として、その機能に応じて呼び方(符号)を変えている(スイッチ電極3はマーク10の機能を兼用している)。
【0036】
スイッチ電極用配線4は、12個のスイッチ電極3に対応して、12本配設されている。また、スイッチ電極用配線4は、2つのスイッチ電極3の間、2つのダミー電極6の間、スイッチ電極3とダミー電極6の間のそれぞれの間隔を通って、接続端子8に接続されている。スイッチ電極用配線4は、容量を減らし、誤って触れたときにタッチ判定されないため、一本のラインで形成するのが望ましい。
【0037】
図1では、左から1番目のスイッチ電極用配線4は、一端が上段左端のスイッチ電極3とその左下の隅で接続されており、他端が左から2番目の接続端子8に接続されている。
同様に、2番目のスイッチ電極用配線4は、一端が上段左から2番目のスイッチ電極3とその左下の隅で接続されており、他端が左から3番目の接続端子8に接続されている。
3番目のスイッチ電極用配線4は、一端が下段左から2番目のスイッチ電極3とその左上の隅で接続されており、他端が左から4番目の接続端子8に接続されている。
4番目のスイッチ電極用配線4は、一端が下段左端のスイッチ電極3とその左下の隅で接続されており、他端が左から5番目の接続端子8に接続されている。
【0038】
5番目のスイッチ電極用配線4は、一端が下段左から3番目のスイッチ電極3とその右下の隅で接続されており、他端が左から7番目の接続端子8に接続されている。
6番目のスイッチ電極用配線4は、一端が上段左から3番目のスイッチ電極3とその右下の隅で接続されており、他端が左から8番目の接続端子8に接続されている。
7番目のスイッチ電極用配線4は、一端が上段左から4番目のスイッチ電極3とその左下の隅で接続されており、他端が左から9番目の接続端子8に接続されている。
8番目のスイッチ電極用配線4は、一端が下段左から4番目のスイッチ電極3とその左下の隅で接続されており、他端が左から10番目の接続端子8に接続されている。
【0039】
9番目のスイッチ電極用配線4は、一端が上段左から5番目のスイッチ電極3とその左下の隅で接続されており、他端が左から12番目の接続端子8に接続されている。
10番目のスイッチ電極用配線4は、一端が下段左から5番目のスイッチ電極3とその左下の隅で接続されており、他端が左から13番目の接続端子8に接続されている。
11番目のスイッチ電極用配線4は、一端が上段右端のスイッチ電極3とその左下の隅で接続されており、他端が左から15番目の接続端子8に接続されている。
12番目のスイッチ電極用配線4は、一端が下段右端のスイッチ電極3とその左下の隅で接続されており、他端が左から16番目の接続端子8に接続されている。
【0040】
ダミー電極6は、相互に所定の間隔を有するとともにセンサ部5とも間隔を有している。また、ダミー電極6は、センサ部5と電気的に独立した状態で、センサ部5の周囲(全周)にそのセンサ部5を取り囲むように4個配設されている。ダミー電極6は、グランド電位又は所定電位(例えば、スイッチ電極3と同電位)に固定されている。ダミー電極6は、ガラス基板2の露出部への帯電等によるセンサ部5の誤反応の防止のために有効である。
【0041】
言い換えると、スイッチ電極3の周囲は、所定の間隔を空けて、他のスイッチ電極3及び(12個のスイッチ電極群の最外周は)ダミー電極6に対向していることになる。このようにすると、スイッチ電極3の周囲に電位が浮いている電極等がなくなり、センサ部5の誤反応の防止に有効である。
【0042】
ダミー電極6は、ダミー電極用配線7を含んでいる。ダミー電極用配線7は、4個のダミー電極6に対応して、配設されている。ダミー電極用配線7は、一端がダミー電極6と接続されており、他端が接続端子8に接続されている。ダミー電極用配線7は、スイッチ電極用配線4と同じ太さの複数本のラインで形成されている。ダミー電極用配線7は、スイッチ電極用配線4よりも太い1本のラインで形成されていても良い。
【0043】
4個のダミー電極6の内、1個のダミー電極6はC字形状であり、ダミー電極用配線7を介して左から1番目の接続端子8に接続されている。このダミー電極6は、12個のスイッチ電極3の内、8個と対向している。すなわち、このダミー電極6は、上段左端・上段右端・下段右端の3個のスイッチ電極3に対して、所定の間隔を空けて、それらのスイッチ電極3の2つの側面で対向している。同様に、このダミー電極6は、上段左端及び上段右端を除く上段の4個のスイッチ電極3及び下段左端のスイッチ電極3(合計5個)に対して、所定の間隔を空けて、(一部ではスイッチ電極用配線4を間に挟んで)それらのスイッチ電極3の1つの側面で対向している。
【0044】
他の3個のダミー電極6の内、1つ目のダミー電極6は、ダミー電極用配線7を介して左から6番目の接続端子8に接続されている。このダミー電極6は、12個のスイッチ電極3の内、3個と対向している。すなわち、下段の左から1乃至3番目の3個のスイッチ電極3に対して、所定の間隔を空けて、それらのスイッチ電極3の1つの側面(下側面)で対向している。
【0045】
また、2つ目のダミー電極6は、ダミー電極用配線7を介して左から11番目の接続端子8に接続されている。このダミー電極6は、12個のスイッチ電極3の内、1個と対向している。すなわち、下段の左から4番目のスイッチ電極3に対して、所定の間隔を空けて、そのスイッチ電極3の1つの側面(下側面)で対向している。同様に、3つ目のダミー電極6は、ダミー電極用配線7を介して左から14番目の接続端子8に接続されている。このダミー電極6は、下段の左から5番目のスイッチ電極3に対して、所定の間隔を空けて、そのスイッチ電極3の1つの側面(下側面)で対向している。
【0046】
スイッチ電極用配線4は、ダミー電極用配線7を間に挟んで、複数本ずつ分割(4本×2組、2本×2組)して接続端子8に接続されている。これにより、すべてのスイッチ電極用配線4を互いに隣接させて接続端子8に接続する場合と比較して、隣接する配線のノイズの影響を低減できる。
【0047】
スイッチ電極3の平面状パターン11は、外周部に複数個の突起部13を有している。その突起部13は、少なくとも、他のスイッチ電極3又はスイッチ電極用配線4又はダミー電極6と対向している。この突起部13を設けない場合、それらの電極又は配線とスイッチ電極3の間隔が所定幅の帯形状となるため、配線間(導電体間)の容量が大きくなる。これに対して、突起部13を設けた場合、それらの電極又は配線とスイッチ電極3の間の容量を低減できるため、容量の変化からタッチ判定の精度を高くすることが可能となる。
【0048】
同様にして、ダミー電極6は、外周部に複数個の突起部14を有している。その突起部14は、少なくとも、他のスイッチ電極3又はスイッチ電極用配線4と対向している。これにより、スイッチ電極3の突起部13と同様の効果(容量の低減)が得られる。
【0049】
なお、静電容量型タッチスイッチにおいては、一般的には非タッチ判定時のカウント値(ベース容量)が低く、タッチ判定時(タッチしていないが非常に近接していてタッチと判定する状態を含む)の変化値(変化容量)が大きいものが理想的であるとされている。上記のように、容量を低減することは、ベース容量を低くすることにつながる。
【0050】
絶縁部材9は、少なくとも2つのスイッチ電極3の間のガラス基板2上、スイッチ電極3とダミー電極6の間のガラス基板2上、スイッチ電極用配線4上とダミー電極用配線7上及びその周辺のガラス基板2上、好ましくは、さらにダミー電極6上、意匠部分12を除くスイッチ電極3上に、各電極及び各配線(特に配線)の保護のために配設されている。特に、遮光性の絶縁部材9を配設した場合、マーク10を透過照明する際の発光モレ対策に有効である。
【0051】
図4は、タッチスイッチの部分拡大図である。図4において、スイッチ電極3のマーク10は、いずれも開口部15(スイッチ電極3内のガラス基板2が露出した部分)と非開口部16(スイッチ電極3内のガラス基板2が露出していない部分)を有している。図4(a)は、図1のスイッチ電極3の部分拡大図である。図4(b)および図4(c)は、スイッチ電極3の変形例である。
【0052】
図4(a)において、スイッチ電極3の一部に含まれたマーク10の平面状パターン11は、非開口部16から形成されている。また、マーク10の意匠部分12は、その意匠部分12に対応する形状を有する開口部15から形成されている。意匠部分12は、スイッチ電極3の中央部に形成された三角形と、その周りに形成された枠からなる。その枠は、少なくとも1部分で平面状パターン11の非開口部16(スイッチ電極用配線4と接続されている最外周の非開口部)と接続されている。これは、完全な枠にすると、例えば、スイッチ電極3として機能する面積が少なくなり、タッチ判定できない状態が生じるためである。なお、上記枠が小さい場合、必ずしもその1部分で平面状パターン11の非開口部16に接続する必要はなく、完全な枠にしても良い。
【0053】
図4(b)において、図4(a)と異なる点は、意匠部分12が、スイッチ電極3の中央部に形成された三角形と、その周りに形成された完全な枠からなる点と、開口部15内に補助電極17が形成されている点である。この補助電極17を設けた場合、補助電極17が無い場合と比較して、検出面積が増加し、操作者等がタッチした際の検出感度を向上させることが可能となる。補助電極17は、格子状パターン(線状パターン等でも良い)であり、平面状パターン11の非開口部16と接続されている。
【0054】
図4(c)において、マーク10の平面状パターン11は、開口部15及び非開口部16から形成されている。この開口部15及び非開口部16は、格子状パターンに形成されている(複数の線状パターン等でも良い)。また、マーク10の意匠部分12は、その意匠部分12に対応する形状を有する非開口部16から形成されている。意匠部分12は、スイッチ電極3の中央部に形成された三角形と、その周りに形成された完全な枠からなる。この場合、スイッチ電極3の全面に電極が存在するので、検出面積が増加し、図4(b)と同様の効果が得られる。
【0055】
なお、図1に示したタッチスイッチの構造例では、ガラス基板2の大きさは、縦35mm、横95mm、厚さ1.8mmである。また、金属薄膜の膜厚は1.1μmである。遮光性の絶縁部材9の膜厚は、10μmである。
【0056】
スイッチ電極3の大きさは、縦15mm、横15mmである。また、スイッチ電極用配線4の幅は、30μmである。平面状パターン11の格子パターン又は補助電極17の格子パターンは、線幅15μm、線ピッチ180μmである。さらに、接続端子8の大きさは、縦4mm、横0.5mmである。スイッチ電極3の突起部13と、ダミー電極6の突起部14の大きさは、縦15μm、横15μmである。
【0057】
スイッチ電極3とスイッチ電極3の間隔と、スイッチ電極3とダミー電極6の間隔は、通常0.2mmである。また、各電極と各配線の間隔は、最低60μmにしている。接続端子8と接続端子8の間隔は、0.5mmである。
【0058】
以上のようなタッチスイッチ1の金属薄膜は、ソーダライムガラス等からなるガラス基板2上に、アルミニウム、アルミニウム合金(アルミニウム−タンタル等)、ニオビウム、モリブデン、金、銀、銅などの材料をスパッタリング法や蒸着法やCVD法で成膜して所定のパターン形状に露光した後、エッチングして形成する。また、遮光性の絶縁部材9(絶縁層)は、低軟化点ガラスフリットに黒色顔料や白色顔料などの着色用顔料を混合したペーストを印刷、焼成して形成する。
【0059】
上記のガラス基板2は、透光性を有している。ガラス基板2は、着色されていないが、着色されていてもよい。このガラス基板2の厚さは、数mm以下(10mm未満)であり、センサ部の感度を考慮すると3mm以下が好ましい。
【0060】
なお、上記の金属薄膜は、膜厚2μm以下の金属膜である。また、ガラス基板2上の形成された金属薄膜には、図示していない位置合わせマーク、ガラス基板の切断位置を示すマーク、型名、製造ロット番号などが含まれる。
【0061】
また、上記の金属薄膜は、異なる金属材料から形成することも可能である。しかし、同じ金属材料から形成すれば、製造工程を単純化して、コストを削減できる。ここで、同じ金属材料には、製造工程中における同じタッチスイッチ内の金属組成バラツキ等が含まれてもよい。また、強化ガラス基板を用いる場合、同じ金属材料を使用して製造工程を簡略化すれば、加熱・冷却回数を少なくできるため、強化ガラスの強度を維持することが可能となる。
【0062】
図5は、図1のタッチスイッチの内面にマークを透過照明する照明光源を配設した構成例を示す断面図である(図1のX−X切断線におけるタッチスイッチの断面図に対応する)。なお、図5では、図1で説明したタッチスイッチ1の内、ガラス基板2とその上に形成されたスイッチ電極3(マーク10)のみを模式的に図示しており、他の電極等は図示を省略している。
【0063】
図5に示すように、ガラス基板2の内面側のスイッチ電極3に対応した位置に、筒状のケース18がスイッチ電極3に接触した状態で配設されている。このケース18は遮光性の材料からなる。また、ケース18の中に、照明光源19が設けられている。ここでは、照明光源19としてLEDを用いている。このLEDとスイッチ電極3の間に、LEDからの光のムラを取るための拡散板20が配設されている。筒状のケース18及び遮光性の絶縁部材9により、LEDの発光が、スイッチ電極3以外の領域に漏れてガラス基板2の外面から視認されるのを防止している。
【0064】
この照明光源19への通電は、プリント基板21を介して行われる。照明光源19への通電(ON)、通電遮断(OFF)により、マーク10の意匠部分12に対する透過照明の有無を制御する。この照明光源19(LED、拡散板20、筒状のケース18を含む)は、マーク10(スイッチ電極3)に対応して複数個配設されている。図5では、マーク10に対して、12個(1対1の割合)配設されている。
【0065】
ここで、意匠部分12が開口部15から形成される場合、意匠部分12を光が透過すると、意匠部分12が発光しているように見える。また、意匠部分12が非開口部16から形成される場合、意匠部分12の輪郭の外側の開口部15を光が透過すると、光が透過しない意匠部分12が浮かび上がって見える。このようにして、マーク10を明瞭に視認することが可能となる。
【0066】
上記プリント基板21、筒状のケース18、タッチスイッチ1は、実際には図示しない本体ケースに覆われている。この本体ケースにより、タッチスイッチ1のスイッチ電極3の領域は外部から見えるが、それ以外の領域(ダミー電極6や接続端子8など)は外部から見えないように覆われる。
【0067】
ここで、図5の照光式タッチスイッチにおいては、プリント基板21の上にLEDの駆動回路等の回路素子を実装し、その上に筒状のケース18を介して拡散板20やタッチスイッチ1を実装していく。このプリント基板21には、タッチスイッチ1のガラス基板2に実装されない各種回路が実装され、ガラス基板2の接続端子8とプリント基板21はフレキシブルケーブル21a及びコネクタ21b(外部との接続部材)を介して接続されている。また、接続端子9とフレキシブルケーブル21aは、図示しない異方性導電フィルム等で接続されている。
【0068】
図6は、本発明の実施形態に係るタッチスイッチの動作原理図である。図6に示すように、タッチ検出部22はパルス発生器23と、比較回路24と、この比較回路24の一方の入力側とパルス発生器23との間に接続されるコンデンサCを有し、上記パルス発生器23と比較回路24の他方の入力側との間にスイッチ電極3が接続されている。
【0069】
前記スイッチ電極3に相当するガラス基板2の外面(タッチ部S)に操作者が指で触れる(指が触れずに近接する場合を含む)ことで、指とスイッチ電極3の間に静電容量が発生し、一種のコンデンサとなる。しかして、指が触れていない状態におけるタッチ電極3の静電容量と同等の静電容量を有するコンデンサCを、上記比較回路24の一方の入力側とパルス発生器23との間に接続する構成としている。
【0070】
タッチ部Sに操作者の指が触れると、触れたガラス基板2の外面が誘電体として作用し、スイッチ電極3の静電容量が変化する。このスイッチ電極3と前記コンデンサCとの容量バランスが崩れて、比較回路24の両入力端に加えられるパルス電圧に差が生じて比較回路24から出力が得られる。
【0071】
図7は、図6の照明光源を有するタッチスイッチの回路の構成例を示したブロック図である。図7に示すように、タッチスイッチ1の回路は、タッチ検出部22(上記図6参照)と、照明光源19及び負荷機器25を駆動制御する制御回路26からなる。
【0072】
上記の制御回路26は、タッチ検出部22の出力に応じて、タッチと判定されたスイッチ電極3に対応する照明光源19をON(点灯)にするとともに、タッチと判定されたスイッチ電極3に対応する負荷機器25をON(作動)にする。この制御回路26による制御は、これには限定されず、タッチ動作と、照明光源19のON/OFF、負荷機器25のON/OFFは、それぞれの負荷機器25に合わせて、自由に設定することが可能である。
【0073】
上記の照明光源19として、複数色(例えば、RGBの3色)で発光可能なものを用いた場合、タッチと判定したスイッチ電極3に対応する照明光源19の発光色を順次変化させる(R→G→B)ことが可能である。例えば、負荷機器25がエアコンやオーディオなどであって、設定温度や設定ボリュームなどに複数段階の設定量を有する場合、その設定段階に応じて、発光色を変化させることが可能である。
【0074】
また、最初からすべての照明光源19を所定の色(R)で発光させておき、タッチと判定したスイッチ電極3に対応した照明光源19のみを他の色(B)で発光させることも可能である。もちろん、上記2つの発光タイプを組み合わせることも可能である。
【0075】
なお、上記の実施形態では、タッチスイッチ1のマーク11の個数と照明光源13の個数を同じにしている。しかし、マーク11の個数と照明光源13の個数は異なっていてもよい。例えば、マーク11を常に照明する場合、複数のマーク11に対して1つの照明光源13を設ければよい。また、マーク11が2つの意匠部分からなる場合、2つの照明光源13を設け、それぞれを別々の色で駆動してもよい。
【0076】
上記の実施形態では、照明光源19をタッチスイッチ1のマーク10の裏面に配置して、透過照明を行っている。しかし、タッチスイッチ1の周辺が明るい場合や、どのマークが選択されているかを別の表示装置で表示させる場合、金属薄膜と異なる色に着色した非発光部材(着色フィルム等)をマーク10の裏面に密着又は近接配置して、マーク10を浮かび上がらせても良い。
【0077】
この非発光部材として、上記の絶縁部材9を用いることも可能である。この場合、絶縁部材9は、マーク10を含めて各電極及び各配線の上面の全面に形成すれば良い。また、絶縁部材9とは別の遮光性の絶縁部材を印刷形成しても良い。
【0078】
上記の実施形態では、ガラス基板2の外面は何も処理を施していなかった。しかし、ガラス基板2の外面(センサ部5等を形成した面と反対側の面)に、表面処理を施すとさらに好ましい。
【0079】
この表面処理には、各種樹脂(例えば、エポキシ系樹脂)の中に各種樹脂系ビーズ(例えば、ウレタン系ビーズやガラス系ビーズ)を混入させたインキを用いる。このインキを、図1乃至図7で説明したタッチスイッチ1のガラス基板2の外面に塗布し、100℃前後で加熱・乾燥させて、塗膜を形成する。
【0080】
この塗膜は、ビーズが樹脂の中に分散した状態であり、少なくとも一部のビーズが塗膜の表面に露出している。これにより、ガラス基板2の外面が、擬似エッチング(ノングレア)された状態となるため、操作者のタッチによる指紋を見え難くするとともに、金属薄膜の反射(うつりこみ)を防止して見栄えを良くすることが可能となる。また、ビーズによる表面の微小な凹凸により、操作者のタッチ感を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0081】
1 タッチスイッチ
2 ガラス基板(基板)
3 スイッチ電極
4 スイッチ電極用配線
5 センサ部
6 ダミー電極
7 ダミー電極用配線
8 接続端子
9 絶縁部材
10 マーク
11 平面状パターン
12 平面状パターン内の意匠部分
13 平面状パターン(スイッチ電極)の突起部
14 ダミー電極の突起部
15 開口部
16 非開口部
17 補助電極
18 筒状のケース
19 照明光源
20 拡散板
21 プリント基板
21a 外部の接続部材
22 タッチ検出部
23 パルス発生器
24 比較回路
25 負荷機器
26 制御回路
C コンデンサ
S タッチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配設された複数のスイッチ電極と該スイッチ電極に接続されたスイッチ電極用配線からなるセンサ部と、
前記基板上の前記センサ部の周囲に配設されて前記センサ部とは電気的に独立したダミー電極を備え、
前記スイッチ電極はマークを含んでおり、
前記マークは平面状パターンと該平面状パターン内の意匠部分からなり、
前記センサ部及び前記ダミー電極は金属薄膜から形成されていることを特徴とするタッチスイッチ。
【請求項2】
前記マークは、非開口部から形成された前記平面状パターンと、前記意匠部分に対応する形状を有する開口部から形成された前記平面状パターン内の意匠部分からなることを特徴とする請求項1に記載のタッチスイッチ。
【請求項3】
前記マークは、開口部と非開口部から形成された前記平面状パターンと、前記意匠部分に対応する形状を有する非開口部から形成された前記平面状パターン内の意匠部分からなることを特徴とする請求項1に記載のタッチスイッチ。
【請求項4】
前記開口部内に補助電極が設けられており、該補助電極は前記平面状パターンの前記非開口部と接続されることを特徴とする請求項2に記載のタッチスイッチ。
【請求項5】
前記スイッチ電極の前記平面状パターンは外周部に複数個の突起部が設けられており、前記突起部と他の前記スイッチ電極又は前記スイッチ電極用配線又は前記ダミー電極が対向していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のタッチスイッチ。
【請求項6】
前記ダミー電極は外周部に複数個の突起部が設けられており、前記突起部と他の前記スイッチ電極又は前記スイッチ電極用配線が対向していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のタッチスイッチ。
【請求項7】
少なくとも2つの前記スイッチ電極の間、前記スイッチ電極と前記ダミー電極の間、前記スイッチ電極用配線上及び前記ダミー電極上に遮光性の絶縁部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のタッチスイッチ。
【請求項8】
前記基板の前記センサ部を形成した面と反対側の面に塗膜が設けられており、前記塗膜はビーズを混入した樹脂からなり、少なくとも一部の前記ビーズが前記塗膜の表面に露出していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のタッチスイッチ。
【請求項9】
外部の接続部材と前記スイッチ電極用配線及び前記ダミー電極を接続する複数の接続端子が設けられており、前記センサ部、前記ダミー電極、前記接続端子を含む前記基板上のすべての金属薄膜は、同じ金属材料から形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のタッチスイッチ。
【請求項10】
前記マークを透過照明する照明光源が設けられており、前記マークに対応して前記照明光源を配設することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のタッチスイッチ。
【請求項11】
前記照明光源は複数色で発光可能であり、タッチと判定した前記スイッチ電極の発光色を順次変化させることを特徴とする請求項10に記載のタッチスイッチ。
【請求項12】
すべての前記照明光源を所定の色で発光させておき、タッチと判定した前記スイッチ電極に対応した前記照明光源のみを他の色で発光させることを特徴とする請求項10に記載のタッチスイッチ。
【請求項13】
前記マークの裏面に前記金属薄膜と異なる色の非発光部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のタッチスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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