説明

タブレットコンピュータ用ケース

【課題】簡易な構造によりタブレットコンピュータを複数角度で立設可能としたタブレットコンピュータ用ケースを提供する。
【解決手段】タブレットコンピュータ5の背面側を被覆すると共に該タブレットコンピュータを保持する背面板部2と、背面板部とで見開き状となるように開閉自在でタブレットコンピュータの正面側を被覆自在な正面板部1とが、連結部3を介して一方向に連結されてなり、正面板部1のタブレットコンピュータの画面に対向する面には、タブレットコンピュータの厚みに略適合する幅の保持溝12が、一方向と直交する方向に沿って複数本形成され、背面板部2は、連結部3が設けられる側と反対側にタブレットコンピュータの一方側を保持固定する固定部21、22を有し、硬質部材からなると共に一方向の中間位置で該一方向と直交する方向に沿って折り曲げ自在とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正面側に画面を有するタブレットコンピュータを収納して両面を被覆するタブレットコンピュータ用ケースに関し、特にタブレットコンピュータを複数角度で立設可能な複数の溝を備えたタブレットコンピュータ用ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯、操作しやすいコンピュータとして、タッチパネルを備えたタブレットコンピュータが知られているが、コンピュータ技術の発達により、軽量・薄型のタブレットコンピュータが実現可能となり、人気を博している。タブレットコンピュータは、略方形の薄板状の外形状を有し、正面側にタッチパネル付の画面を備えており、画面を指やタッチペンなどで触れたり、なぞったりすることで、各種操作をなすことができる。
【0003】
このようなタブレットコンピュータは、直接手で持って操作され、また携帯されることが多いため、画面をはじめとして汚れや傷が付きやすい。このため、タブレットコンピュータを被覆して汚れや傷を防ぐケースが広く流通している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タブレットコンピュータでは、写真や映像を再生することが多く、このときにはタブレットコンピュータをある程度傾けた状態で立てかけておくことで、画面を見やすくすることができる。そこで、タブレットコンピュータを被覆するケースに、所定角度で立てかけるスタンド機能を持たせ、利便性を向上させたものも知られている。
【0005】
しかし、従来のタブレットコンピュータ用ケースは、タブレットコンピュータを一定の角度でのみ立設させるのが一般的であり、この場合には状況に応じて画面の角度を変えることができない。スタンド機能において角度を可変としたものもあるが、タブレットコンピュータの保持が十分でなかったり、あるいは構造が複雑となっていた。
【0006】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、簡易な構造によりタブレットコンピュータを複数角度で立設可能としたタブレットコンピュータ用ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係るタブレットコンピュータ用ケースは、正面側に画面を有する方形状のタブレットコンピュータを収納して被覆するタブレットコンピュータ用ケースにおいて、
前記タブレットコンピュータの背面側を被覆すると共に該タブレットコンピュータを保持する背面板部と、該背面板部とで見開き状となるように開閉自在で前記タブレットコンピュータの正面側を被覆自在な正面板部とが、連結部を介して一方向に連結されてなり、
前記正面板部の前記タブレットコンピュータの画面に対向する面には、前記タブレットコンピュータの厚みに略適合する幅の保持溝が、前記一方向と直交する方向に沿って複数本形成され、
前記背面板部は、前記連結部が設けられる側と反対側に前記タブレットコンピュータの一方側を保持固定する固定部を有し、硬質部材からなると共に前記一方向の中間位置で該一方向と直交する方向に沿って折り曲げ自在とされ、
前記背面板部の固定部に前記タブレットコンピュータの一方側を保持固定させた状態で、前記背面板部を折り曲げ、前記タブレットコンピュータの保持固定されていない他方側の端部を前記正面板部の保持溝のいずれかに保持させると共に、前記タブレットコンピュータの背面側を前記背面板部で支持することにより、前記タブレットコンピュータを複数角度で立設自在としたことを特徴として構成されている。
【0008】
また、本発明に係るタブレットコンピュータ用ケースは、前記背面板部の固定部は、前記タブレットコンピュータの周縁部に係合する係合爪からなることを特徴として構成されている。
【0009】
さらに、本発明に係るタブレットコンピュータ用ケースは、前記背面板部の連結部側端部には、前記タブレットコンピュータの他方側を保持する保持部が形成されることを特徴として構成されている。
【0010】
さらにまた、本発明に係るタブレットコンピュータ用ケースは、前記正面板部は硬質部材からなり外面側を構成する基板と、可撓性部材からなり内面側を構成する保護部とからなり、該保護部に前記保持溝が形成されてなることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るタブレットコンピュータ用ケースによれば、正面板部のタブレットコンピュータの画面に対向する面には、タブレットコンピュータの厚みに略適合する幅の保持溝が、一方向と直交する方向に沿って複数本形成され、背面板部は、連結部が設けられる側と反対側にタブレットコンピュータの一方側を保持固定する固定部を有し、硬質部材からなると共に一方向の中間位置で該一方向と直交する方向に沿って折り曲げ自在とされることにより、タブレットコンピュータの一辺をいずれかの保持溝に保持させ、タブレットコンピュータの背面を背面板部に保持させることができ、簡易な構造でタブレットコンピュータを複数角度で立設させることができ、利便性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態におけるタブレットコンピュータ用ケースの閉じた状態の斜視図である。
【図2】タブレットコンピュータ用ケースの開いた状態の斜視図である。
【図3】タブレットコンピュータ用ケースを開いて背面板部を折り曲げた状態の側面図である。
【図4】タブレットコンピュータを一つの保持溝に保持させた状態のタブレットコンピュータ用ケースの側面図である。
【図5】タブレットコンピュータを他の一つの保持溝に保持させた状態のタブレットコンピュータ用ケースの側面図である。
【図6】タブレットコンピュータをさらに他の一つの保持溝に保持させた状態のタブレットコンピュータ用ケースの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。図1には、本実施形態におけるタブレットコンピュータ用ケースの閉じた状態の斜視図を示している。この図を含む以下各図は、いずれもタブレットコンピュータ5を保持した状態のタブレットコンピュータ用ケースを示している。保持されるタブレットコンピュータ5は、方形薄板状に形成され、正面側に画面を有してなるものである。
【0014】
図1に示すように、タブレットコンピュータ用ケースを閉じた状態において、タブレットコンピュータ5は、正面及び背面がそれぞれ被覆されていて、外部に露出しない。このため、タブレットコンピュータ5を持ち運ぶ際に、汚れや傷が付くことを防止することができる。
【0015】
タブレットコンピュータ用ケースは、タブレットコンピュータ5の正面側を被覆する正面板部1と、タブレットコンピュータ5の背面側を被覆する背面板部2とを有している。タブレットコンピュータ5は、背面板部2によって保持固定され、正面板部1は背面板部2に対して見開き状に開閉自在となっており、正面板部1を開くことによりタブレットコンピュータ5の画面を露出させて操作・閲覧を行うことができる。
【0016】
背面板部2によるタブレットコンピュータ5の固定は、背面板部2の周縁部に設けられる固定部であるコーナー係合爪21及び上下係合爪22によってなされる。コーナー係合爪21と上下係合爪22は、それぞれタブレットコンピュータ5の一方側の側部に係合し、これを保持固定する。また、背面板部2の周縁部には、保持部23も形成されている。保持部23は、タブレットコンピュータ5の他方側の角部を保持するが、係合はしておらず、タブレットコンピュータ5の他方側を背面板部2から接離自在としている。
【0017】
正面板部1は、側端部に側部係合片13を備えている。側部係合片13は、正面板部1を閉じた状態でタブレットコンピュータ5の側部に係合し、正面板部1が自然に開くことがないようにしている。
【0018】
図2には、タブレットコンピュータ用ケースの開いた状態の斜視図を示している。この状態では、前述のように、タブレットコンピュータ5の画面5bが露出している。正面板部1と背面板部2は、折り曲げ自在な連結部3によって一方向に連結されている。この連結部3を折り曲げることによって、正面板部1を閉じた状態とすることができる。
【0019】
背面板部2のコーナー係合爪21は、タブレットコンピュータ5の連結部3側と反対側の2つの角部を、それぞれ保持固定できるように、背面板部2の周縁部角部の2箇所に、それぞれ形成されている。また、コーナー係合爪21は、タブレットコンピュータ5の側面5cから正面5aにかけて引っ掛かるように形成されており、これによって、タブレットコンピュータ5の側部に係合して、これを保持固定する。
【0020】
背面板部2の上下係合爪22は、タブレットコンピュータ5の上下辺のうち連結部3側と反対側寄りの位置に、それぞれ形成されている。上下係合爪22の形状は、コーナー係合爪21と同様であって、タブレットコンピュータ5の側面5cから正面5aにかけて引っ掛かるように形成されていて、タブレットコンピュータ5の側部に係合し、これを保持固定する。
【0021】
背面板部2の保持部23は、タブレットコンピュータ5の連結部3側の2つの角部を、それぞれ保持できるように、背面板部2の周縁部角部の2箇所に、それぞれ形成されている。保持部23は、タブレットコンピュータ5の角部を保持するだけで固定はしないので、タブレットコンピュータ5の側面5cにのみかかるように形成されている。
【0022】
正面板部1のうちタブレットコンピュータ5の画面5bと対向する側の内面には、保持溝12が3本平行に形成されている。保持溝12は、連結部3により正面板部1と背面板部2とが連結される一方向と直交する方向に沿ってそれぞれ形成されている。したがって、保持溝12は、タブレットコンピュータ5の固定されない側の長辺と平行に配置されていることとなる。
【0023】
図3には、タブレットコンピュータ用ケースを開いて背面板部2を折り曲げた状態の側面図を示している。正面板部1は、皮革や合成皮革あるいは樹脂材などの硬質部材からなる基板10を外面側に有し、タブレットコンピュータ5の画面5bに接する内面側には、スポンジ等の可撓性部材からなる保護部11を配設している。保護部11は、正面板部1を閉じた際にタブレットコンピュータ5の画面5bに当接し、これを保護する。保持溝12は、保護部11を溝状に成形して形成されている。
【0024】
背面板部2は、硬質部材からなる基板20によって構成され、連結部3により正面板部1と背面板部2とが連結される一方向における中間位置には、この一方向と直交する方向に沿い内面側を山とする折り曲げ自在な折り曲げ部24が形成されている。図3は、この折り曲げ部24を折り曲げた状態を示している。なお、正面板部1と背面板部2には、いずれもタブレットコンピュータ5と接する内面側の表面に、タブレットコンピュータ5を傷付けないように、なめらかな表面からなる内張材を設けてある。
【0025】
前述のように、タブレットコンピュータ5は、連結部3側と反対側である一方側を固定部であるコーナー係合爪21と上下係合爪22により固定されているが、連結部3側である他方側は固定されていないから、背面板部2を折り曲げ部24で折り曲げることにより、タブレットコンピュータ5の他方側を背面板部2から離した状態とすることができる。すなわち、タブレットコンピュータ5は、背面板部2のうち折り曲げ部24より固定部側とは常に同じ角度となるが、背面板部2のうち折り曲げ部24より連結部3側とは異なる角度となることができる。
【0026】
図3の状態からさらに折り曲げ部24の折り曲げ角度を変化させると共に、連結部3の開き角度も変化させることにより、タブレットコンピュータ5の他方側の辺を正面板部1の保持溝12に保持させることができる。図4には、タブレットコンピュータ5を一つの保持溝12に保持させた状態のタブレットコンピュータ用ケースの側面図を示している。この図は、正面板部1の3本の保持溝12のうち、中央の保持溝12にタブレットコンピュータ5を保持させた状態である。
【0027】
図4に示すように、保持溝12は、タブレットコンピュータ5の一辺を差し込んで保持することのできる幅に形成されている。背面板部2は、前述のように硬質部材で形成されているから、連結部3側を支点として傾斜状となったタブレットコンピュータ5を背面側から支持することができる。これにより、タブレットコンピュータ用ケースは、タブレットコンピュータ5を所定角度で立設した状態とすることができる。
【0028】
図4の状態から、タブレットコンピュータ5の一辺を他の保持溝12に保持させることもできる。図5には、タブレットコンピュータ5を他の一つの保持溝12に保持させた状態のタブレットコンピュータ用ケースの側面図を示している。この図は、正面板部1の3本の保持溝12のうち、側部係合片13側の保持溝12にタブレットコンピュータ5を保持させた状態である。また、図6には、タブレットコンピュータ5をさらに他の一つの保持溝12に保持させた状態のタブレットコンピュータ用ケースの側面図を示している。この図は、正面板部1の3本の保持溝12のうち、連結部3側の保持溝12にタブレットコンピュータ5を保持させた状態である。
【0029】
図5に示すように、タブレットコンピュータ5を側部係合片13側の保持溝12に保持させた場合、背面板部2の角度も変化し、タブレットコンピュータ5は図4の状態よりも水平に近い角度で立設される。また、図6に示すように、タブレットコンピュータ5を連結部3側の保持溝12に保持させた場合、背面板部2の角度も変化し、タブレットコンピュータ5は図4の状態よりも垂直に近い角度で立設される。
【0030】
このように、このタブレットコンピュータ用ケースは、正面板部1に複数の保持溝12が形成され、また背面板部2も任意の角度に折り曲げることができることにより、タブレットコンピュータ5を3種類の角度で立設させることができる。これにより、用途や状況に応じてタブレットコンピュータ5の立設角度を変化させることができ、より利便性の高いタブレットコンピュータ用ケースとすることができる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば、本実施形態では、保持溝12を3本形成しているが、2本あるいは4本以上であってもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 正面板部
2 背面板部
3 連結部
5 タブレットコンピュータ
10 基板
11 保護部
12 保持溝
13 側部係合片
20 基板
21 コーナー係合爪
22 上下辺係合爪
23 保持部
24 折り曲げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面側に画面を有する方形状のタブレットコンピュータを収納して被覆するタブレットコンピュータ用ケースにおいて、
前記タブレットコンピュータの背面側を被覆すると共に該タブレットコンピュータを保持する背面板部と、該背面板部とで見開き状となるように開閉自在で前記タブレットコンピュータの正面側を被覆自在な正面板部とが、連結部を介して一方向に連結されてなり、
前記正面板部の前記タブレットコンピュータの画面に対向する面には、前記タブレットコンピュータの厚みに略適合する幅の保持溝が、前記一方向と直交する方向に沿って複数本形成され、
前記背面板部は、前記連結部が設けられる側と反対側に前記タブレットコンピュータの一方側を保持固定する固定部を有し、硬質部材からなると共に前記一方向の中間位置で該一方向と直交する方向に沿って折り曲げ自在とされ、
前記背面板部の固定部に前記タブレットコンピュータの一方側を保持固定させた状態で、前記背面板部を折り曲げ、前記タブレットコンピュータの保持固定されていない他方側の端部を前記正面板部の保持溝のいずれかに保持させると共に、前記タブレットコンピュータの背面側を前記背面板部で支持することにより、前記タブレットコンピュータを複数角度で立設自在としたことを特徴とするタブレットコンピュータ用ケース。
【請求項2】
前記背面板部の固定部は、前記タブレットコンピュータの周縁部に係合する係合爪からなることを特徴とする請求項1記載のタブレットコンピュータ用ケース。
【請求項3】
前記背面板部の連結部側端部には、前記タブレットコンピュータの他方側を保持する保持部が形成されることを特徴とする請求項1または2記載のタブレットコンピュータ用ケース。
【請求項4】
前記正面板部は硬質部材からなり外面側を構成する基板と、可撓性部材からなり内面側を構成する保護部とからなり、該保護部に前記保持溝が形成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のタブレットコンピュータ用ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−43182(P2012−43182A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183893(P2010−183893)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(390023191)ハクバ写真産業株式会社 (8)