説明

タンデム連続紙印刷装置

【課題】マーク印刷に使用する無駄なトナーの消費を無くし、かつ、第1印刷装置での印刷面に対応して第2印刷装置で印刷を正しく行う。
【解決手段】第1プリンタエンジン110と、第2プリンタエンジン120と、プリンタコントローラ200と、を備え、第1プリンタエンジン110により連続紙の片面に印刷し、第2プリンタエンジン120により第1プリンタエンジン110が印刷した連続紙の同一面または裏面に印刷することで、タンデム印刷を行うタンデム連続紙印刷プリンタ100において、プリンタコントローラ200は、第1プリンタエンジン110で印刷する印刷データの所定ページについて、その一部を選択可能にプリンタコントローラ200が備える表示部215に表示させ、選択された印刷データの一部をページ識別情報300とし、該ページ識別情報300に基づいて、第1プリンタエンジン110と第2プリンタエンジン120との印刷位置合わせを行う

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続紙印刷装置をタンデム接続構成で使用するタンデム連続紙印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
片面印刷可能な連続紙印刷装置(連続紙プリンタ)2台の構成により、第1印刷装置(第1プリンタエンジン)と第2印刷装置(第2プリンタエンジン)との動作の同期を取りながら、第1印刷装置と第2印刷装置で使用するトナーの色を変えて同一面に重ねて印刷したり、第1印刷装置と第2印刷装置間で用紙を反転させることにより、第1印刷装置が印刷した用紙の裏面に第2印刷装置が印刷したりするタンデム連続紙印刷装置が知られている。
【0003】
このようなタンデム連続紙印刷装置においては、第1印刷装置で印刷されるページと第2印刷装置で印刷されるページの同期を取ることが重要となる。
【0004】
この問題に対し、第1印刷装置でページの識別情報を印刷し、第2印刷装置により第1印刷装置で印刷したページ識別情報を読み取り、表面に対応する裏面の印刷を行うことが既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、第1、第2印刷装置間のページ数をNとしたときに第2印刷装置でページ数Nをカウントした後に印刷開始するという構成が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ページの識別のためにマーク等のページ識別情報を印刷し、これを読み取る方式では、ページ識別情報の印刷のためにユーザにとっては必要のないトナーが無駄に消費されるという問題があった。
【0007】
また、ユーザによる用紙装填の操作によってはNの値が実際に装填されているページ数と合わなくなるという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、マーク印刷に使用する無駄なトナーの消費を無くし、かつ、第1印刷装置での印刷面に対応して第2印刷装置で印刷を正しく行うことができるタンデム連続紙印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため、請求項1に記載のタンデム連続紙印刷装置は、第1印刷装置と、第2印刷装置と、印刷制御手段と、を備え、第1印刷装置により連続紙の片面に印刷し、第2印刷装置により第1印刷装置が印刷した連続紙の同一面または裏面に印刷することで、タンデム印刷を行うタンデム連続紙印刷装置において、印刷制御手段は、第1印刷装置で印刷する印刷データの所定ページについて、その一部を選択可能に該印刷制御手段が備える表示部に表示させ、選択された印刷データの一部をページ識別情報とし、該ページ識別情報に基づいて、第1印刷装置と第2印刷装置との印刷位置合わせを行うものである。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のタンデム連続紙印刷装置において、第2印刷装置は、ページ識別情報を検知する検知手段を備え、印刷制御手段は、ページ識別情報が、印刷データの各ページにおいて異なる場合において、第1印刷装置で印刷され、検知手段により検知されたページ識別情報と、印刷データにおけるページ識別情報に相当する領域のデータと、を照合することにより、第1印刷装置と第2印刷装置との印刷位置合わせを行うものである。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のタンデム連続紙印刷装置において、印刷制御手段は、ページ識別情報が、印刷データの各ページにおいて同一である場合は、該印刷制御手段が備えるページカウンタによるカウント結果に基づいて、第1印刷装置と第2印刷装置との印刷位置合わせを行うものである。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載のタンデム連続紙印刷装置において、印刷制御手段は、第1印刷装置で印刷され、検知手段により検知されたページ識別情報と、印刷データにおけるページ識別情報に相当する領域のデータと、の照合に際して、印刷データにおけるページ識別情報に相当する領域を、選択されたページ識別情報よりも広い範囲とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、マーク印刷に使用する無駄なトナーの消費を無くし、かつ、第1印刷装置での印刷面に対応して第2印刷装置で印刷を正しく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係るタンデム連続紙プリンタの概略構成図である。
【図2】ページ識別情報の説明図である。
【図3】プリンタコントローラの機能ブロック図である。
【図4】連続紙の表面と裏面とにおける印刷開始位置合わせの説明図である。
【図5】タンデム連続紙プリンタが実行する印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る構成を図1から図5に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0016】
本実施形態に係るタンデム連続紙印刷装置(タンデム連続紙プリンタ100)は、第1印刷装置(第1プリンタエンジン110)と、第2印刷装置(第2プリンタエンジン120)と、印刷制御手段(プリンタコントローラ200)と、を備え、第1印刷装置により連続紙の片面に印刷し、第2印刷装置により第1印刷装置が印刷した連続紙の同一面または裏面に印刷することで、タンデム印刷を行うタンデム連続紙印刷装置において、印刷制御手段は、第1印刷装置で印刷する印刷データの所定ページについて、その一部を選択可能に該印刷制御手段が備える表示部(215)に表示させ、選択された印刷データの一部をページ識別情報(300)とし、該ページ識別情報に基づいて、第1印刷装置と第2印刷装置との印刷位置合わせを行うものである。
【0017】
(タンデム連続紙プリンタの構成)
図1に本発明に係るタンデム連続紙印刷装置の一実施形態であるタンデム連続紙プリンタの概略構成図を示す。タンデム連続紙プリンタ100は、第1プリンタエンジン110、第2プリンタエンジン120およびプリンタコントローラ200を備え、上位装置10から送信される印刷データに基づいて印刷を行うものである。以下、本実施形態では、タンデム連続紙プリンタ100が、連続紙の表面に奇数ページ、裏面に偶数ページの印刷を行うことで両面印刷を実施する場合を例に説明する。
【0018】
第1プリンタエンジン110は、給紙部111、印写ドラム112および定着部114等を備えている。印写ドラム112の周りには、図示していないが、印写ドラムを帯電する帯電手段、印写ドラム表面を露光する露光手段、トナーを付着させて現像化する現像手段、トナー像を用紙に転写する転写手段、転写されずに残った残留トナーを清掃する清掃手段などの電子写真プロセスが設けられている。
【0019】
また、給紙部111には、ミシン目等でページが区切られた折り畳みタイプの連続紙が設置されている。連続紙は給紙部111より供給され、印写ドラム112にてトナーが転写される。その後、定着部114にて用紙上のトナーが定着される。なお、本実施形態では、用紙として折り畳みタイプの連続紙を用いる例に説明するが、用紙としてロール紙等を用いても良いのは勿論である。
【0020】
第2プリンタエンジン120は、検知器122、印写ドラム123、定着部124および排紙部125等を備えている。印写ドラム123、定着部124の構成、機能は第1プリンタエンジン110と同様であり、説明は省略する。
【0021】
第1プリンタエンジン110より排出された用紙は、用紙反転部150で表裏反転されて第2プリンタエンジン120に入る。第2プリンタエンジン120には、用紙巻上げ部160があり、用紙を印写ドラム123の方に搬送する。その後、第1プリンタエンジン110と同様に第2プリンタエンジンの印写ドラム123で電子写真プロセスに供給する。
【0022】
プリンタコントローラ200は、上位装置10より受信したデータを印刷データに展開し、第1プリンタ110で印刷する所定のページ(例えば、1ページ目)の印刷データについて、プリンタコントローラ200の表示部215(図3参照)に、ユーザに一部の領域を選択可能に表示する。
【0023】
ユーザは、コントローラ200に接続された入力手段(マウス、タブレット等)を用いて、表示された1ページ目の印刷データの所望の領域(表示された文字または記号等の一部)を選択することができる。選択された領域は、ページを識別するための情報(ページ識別情報)として使用される。
【0024】
ここで、ユーザにより選択される領域(ページ識別情報)は、ある印刷ジョブにおいて、指定された領域に相当する印字内容が異なる箇所であることが好ましい。例えば、1ページが1枚の帳票出力の場合であれば、帳票名(出庫伝票等)のようにすべてのページの同じ位置に同じ印字内容がなされる領域ではなく、ページ毎に異なるデータ(例えば、帳票における氏名、住所等)に相当する領域を選択するものである。
【0025】
図2にページ識別情報の説明図を示す。ユーザに指定されたページ識別情報300aは、用紙における印刷可能領域310の所定領域に対応する。
【0026】
ここで、プリンタコントローラ200は、ページ識別情報300aの上端部からページ区切り位置までの紙送り方向の長さをY、側端部から用紙左端(右端でも良い)までの長さをXとして、この長さX,Yと、ページ識別情報300aとして設定された領域の紙送り方向の長さaと幅bと、をメモリ213に記憶する。
【0027】
また、ページ識別情報300b,・・・,300nは、1ページ目に設定されたページ識別情報300aと対応して、各ページにおけるそれぞれの位置に設定される。すなわち、すべてのページ識別情報300a,300b,・・・,300nは、印刷可能領域310における位置および大きさは同じである。
【0028】
第2プリンタエンジン120の印写ドラム123の上流には、第1プリンタエンジン110で印刷したページ識別情報300を読み込むための検知手段としての検知器(センサ)122が設置されている。
【0029】
検知器122は、第1プリンタエンジン110で印刷した用紙面のページ識別情報300の位置にある印字データを検知する(読み込む)ものである。また、検知器122は、用紙が折り畳みタイプの連続紙である場合には、その改ページ部分(ミシン目等)を検知可能であることが好ましい。
【0030】
なお、検知器122は、用紙幅全域に亘る長さを有するセンサを用いることが好ましいが、用紙幅に対し所定幅を有する移動型のセンサを用いて、ページ識別情報300が設定された用紙幅方向の位置に移動して検知を行うものであっても良い。この場合、少なくとも設定されるページ識別情報300の幅b以上の範囲で検知可能なものであることが好ましい。なお、検知器122としては、例えば、CCDセンサを用いることができる。
【0031】
以上説明したタンデム連続紙プリンタ100により、最初に第1プリンタエンジン110にて表面に印刷し、次に第2プリンタエンジン120で裏面に印刷することでタンデム印刷を行い、両面印刷がされた連続紙は、排紙部125に排紙される。
【0032】
(プリンタコントローラの構成)
次に、プリンタコントローラについて説明する。図3は、プリンタコントローラ200の機能ブロック図を示している。
【0033】
プリンタコントローラ200は、通信制御部210、画像処理部211、CPU212、メモリ213、異常検知部214、表示部215、第1エンジン制御部216、および第2エンジン制御部217、ページ識別情報検知制御部218等を備えており、第1プリンタエンジン110および第2プリンタエンジン120を制御するものである。
【0034】
CPU212は、プリンタコントローラ全体の制御を司る制御手段であり、また、メモリ213は、CPU212が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROMと、印刷データ等を一時格納するRAM、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ(NVRAM)等により構成される。また、後述するページカウンタ219がメモリ213内に構成される。
【0035】
通信制御部210は、上位装置10からネットワーク等を介して印刷データを受け取るものである。また、画像処理部211は、上位装置10から受け取った印刷データをドットイメージデータ形式の印刷データに展開し、第1プリンタエンジン用データまたは第2プリンタエンジン用データとしてメモリ213に書き込むものである。
【0036】
異常検知部214は、ページ識別情報検知制御部218が、ページ照合(用紙位置合わせ)に失敗した場合を検知して表示部215にエラー表示、または用紙位置合わせのための制御(搬送速度の加速/減速)を第2エンジン制御部217に指示するものである(図5のステップS107参照)。
【0037】
表示部215は、上述のように、印刷データについてページ識別情報300をユーザに選択可能に表示するものであり、液晶ディスプレイ、液晶パネル等により構成される。
【0038】
プリンタコントローラ200は、第1エンジン制御部216によりドットイメージデータに展開した印刷データを第1プリンタエンジン110に出力し、第1プリンタエンジン110はこの印刷データに基づいて、用紙の表面への印刷を行う。同様に、第2エンジン制御部217によりドットイメージデータに展開した印刷データを第2プリンタエンジン120に出力し、第1プリンタエンジン120はこの印刷データに基づいて、用紙の裏面への印刷を行う。
【0039】
この際、ページ識別情報検知制御部218は、検知器122で検知される第1プリンタエンジン110により印刷されたページ識別情報300に相当する位置の印字結果と、印刷データ上においてページ識別情報300が設定された位置に相当するデータとの照合を行うものである。この際の照合処理は、公知または新規の技術によれば良く、特に限られるものではない。
【0040】
ここで、比較する印刷データは、各ページの印刷データ上において、ページ識別情報300が設定された位置に相当する部分である。すなわち、折り畳みタイプの連続紙である場合は、検知器122は改ページ部を検知して、改ページ部から、上記長さX,Yで特定される長さa,幅bの範囲である。なお、ロール紙のように改ページ部分の検知ができない用紙の場合は、設定されるページ長に基づいて印刷データ上で特定すれば良い。
【0041】
このようにすることにより、検知器122で検知した印字結果について、印刷データの全域と照合することなく一部の領域と照合するだけで、対応する表面であるか否かを検知することができるので、効率的な照合が可能であり、第2プリンタエンジン120は、当該表面に対応する印刷を裏面に行うことが可能となる。
【0042】
なお、後述するように、印刷位置ずれを検知および補正するために、設定されたページ識別情報300の大きさよりも若干広い範囲で(所定のマージンを有して)照合を行うことが好ましい。
【0043】
(印刷開始位置合わせ)
図4はタンデム連続紙プリンタによる連続紙の表面と裏面とにおける印刷開始位置合わせの説明図である。図4は、第1プリンタエンジン110と第2プリンタエンジン120に用紙として折り畳みタイプの連続紙を装填した状態を模式的に示している。
【0044】
第1プリンタエンジン110の転写器112aと第2プリンタエンジン120の転写器123a間の用紙長は、ページ長の整数倍であることが好ましい。このようにすることで、第1プリンタエンジン110と第2プリンタエンジン120による書き込みタイミングを同じくすることができるからである。しかしながら、必ずしもページ長の整数倍であることは必要ではなく、この場合、第1エンジン制御部216および第2エンジン制御部217は、第1プリンタエンジン110と第2プリンタエンジン120との書き込みタイミングをそれぞれ制御すればよい。
【0045】
図4に示すように、第1プリンタエンジン110において、転写器112aの転写点と改ページ部分(ミシン目)が一致した状態において、ページ識別情報300は転写器112aの転写点よりも紙送り方向において距離Y(図2参照)分、後方の位置に印刷される。また、第2プリンタエンジン120の検知器122は、転写器123aよりも紙送り方向において距離t1分、前方に設置されている。
【0046】
第2プリンタエンジン120側では、転写器123aの転写点からt1長さの紙送り分だけ、早いタイミングでページ識別情報300を読み込むことにより第1プリンタエンジン110の印刷ページの情報を検知するものである。
【0047】
すなわち、ユーザに選択されるページ識別情報の紙送り方向の位置YをY<t1とすることにより、第2プリンタエンジン120は第1プリンタエンジン110の第1ページを認識し、このページに対応する印刷データを特定することができる。
【0048】
したがって、第2プリンタエンジン120の検知器122と転写器123aとの距離t1は、1ページの長さを取ることが好ましい。これは、ページ識別情報300の用紙搬送方向の位置Yは、ページ区切り位置から略1ページ分の位置となることが想定されるためである。なお、各転写器間がページNの整数倍の場合で説明したが、各転写器間がページNの整数倍でない場合(例えば20.5ページ)の場合、検知器122は、端数ページ分(例えば、0.5ページ分)だけ、さらに用紙送り方向で上流位置に設置する必要がある。従って、各転写器間がページの整数倍でない場合、距離t1は更に1ページ分だけ上流位置に設置することが好ましい。しかしながら、装置の構成上、t1の距離に制約がある場合等は、Y<t1を維持できるようにページ識別情報300の設定可能位置をページ長において制限することとしても良い。例えば、t1をページ長の半分程しか取れない場合には、ページ識別情報300の設定可能位置をページの上半分に制限する等とすることとしても良い。
【0049】
(印刷処理)
図5は、本実施形態に係るタンデム連続紙プリンタが実行する印刷処理の一例を示すフローチャートであって、第2プリンタエンジン120によるマークチェック(ページ識別情報の認識)と印刷処理について説明するものである。
【0050】
第2プリンタエンジン120は、印刷開始後に、第1プリンタエンジン110で印刷されたページ識別情報300を待ち(ステップS101)、検知器122により最初の識別情報300を検知したときに、上述のように第1ページのページ識別情報300aかどうかを照合し、一致するかどうかを判断する(ステップS102)。
【0051】
第1ページのページ識別情報300aである場合(ステップS102:YES)は、第1プリンタエンジン110で印刷したページの裏面に対応する印刷を行う(ステップS103)。例えば、両面印刷を行う10ページのジョブの場合に、1枚目の表面に印刷された1ページの印刷内容に対し、1枚目の裏面には2ページ目の印刷を行うものである。
【0052】
一方、第1ページのページ識別情報300aを検知できない場合(ステップS102:NO)は、ページ識別情報エラーを報告(ステップS107)し、印刷停止に移行する(ステップS108)。なお、この際、照合結果に基づいて印刷位置の紙送り方向におけるずれ量を検知し、このずれ量を補正するように、用紙搬送速度を加速/減速する制御を行うことも好ましい。
【0053】
ステップS103で第2プリンタエンジンの最初のページを印刷したあと、同様に、次ページのページ識別情報300(300b,・・・,300n)を待ち、次ページのページ識別情報300かどうかを照合し、一致するかどうかを判断する(ステップS104)。
【0054】
次ページのページ識別情報300である場合(ステップS104:YES)は、第1プリンタエンジン110で印刷したページの裏面に対応する印刷を行う(ステップS105)。一方、次ページのページ識別情報300を検知できない場合(ステップS104:NO)は、ページ識別情報エラーを報告(ステップS107)し、印刷停止に移行する(ステップS108)。同様に、ずれ量の補正を行うようにしても良い。
【0055】
印刷ジョブが終了していない場合(ステップS106:NO)は、ステップS104に戻り、ページ識別情報300の検知を繰り返す(ステップS104)。一方、印刷ジョブが終了した場合(ステップS106:YES)は、印刷停止に移行して処理は終了する(ステップS108)。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係るタンデム連続紙プリンタでは、専用のページ識別情報を印刷することに替えて、印刷データの一部の領域をページ識別情報として使用する、すなわち、第1印刷装置にて印刷されたデータの一部をページ識別情報として使用し、第2印刷装置は、その識別情報を検知して裏面の印刷を行なうものである。
【0057】
これにより、ページ識別情報の印刷におけるトナーの消費を無くし、かつ、第1印刷装置と第2印刷装置との装置間のページ数合わせ(すなわち、第1、第2印刷装置間のページ数Nを正確に認識すること)を印刷データの一部の領域(ページ識別情報)に基づいて正確に行うことができ、第1印刷装置での印刷面に対応して、第2印刷装置が正確に印刷を実施することができる。
【0058】
また、照合の際に、ずれ量の検知を合わせて行うことにより、ずれ量を検知して、印字ずれを補正することができる。以下、ずれ量の検知処理について説明する。なお、ずれ量検知においては、送り穴のある用紙と送り穴のないロール紙等の用紙における紙送り制御は、その制御内容が異なるため、それぞれについて説明する。
【0059】
先ず、送り穴のある用紙(送り穴をモータ回転と対応するピンで紙送りをする)の場合は、紙送り量は紙送りモータの回転数で決まるため、プリンタエンジンは紙送りモータを一定の速度で回転させることにより一定速度での紙送りを行うことができる。
【0060】
この場合、2台のプリンタエンジンをタンデム接続すると、各エンジンには機差としてクロックの誤差が発生する場合があり、この誤差が累積して、ずれが発生する可能性がある。したがって、この場合のずれ量の補正は、2台のプリンタエンジンをページエンドで一旦停止し、再スタートすることにより、ずれ量をリセットすることができる。
【0061】
一方、送り穴のない連続用紙(ロール紙等)の紙送りの場合には、用紙のすべり等により、紙送りモータの回転数と紙送り量が一致しないことが考えられるため、紙送りモータの速度を可変できるように構成される場合が多い。
【0062】
したがって、この場合、第2プリンタエンジン120で検出するユーザデータのタイミングにより第2プリンタエンジン120の紙送り速度を可変することにより、ずれ量の累積を防止することができる。
【0063】
具体的には、例えば、ユーザデータはページの境目からYだけ後方にあるので、ページ先頭からYだけ紙送りするのに必要な時間をT(Y)とし、第2プリンタエンジン120の検知器123aでページの先頭からユーザデータを検出するまでの時間をT(t1)とした時、T(Y)とT(t1)との差が一定になるように第2プリンタエンジン120の速度を制御すればよい。このように制御することにより、ずれ量の累積を防止することができる。
【0064】
以下、本発明に係るタンデム連続紙印刷装置のその他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同様の点についての説明は省略する。
【0065】
上述のように、ページ識別情報300は、ジョブにおける各ページの印刷内容の異なる部分に設定されるものであることが好ましいが、2ページからなるジョブ(両面印刷で1枚)を大量に印刷する場合や、あるジョブにおける全ページにおいて同じ印字内容である部分(例えば、帳票タイトル等)にページ識別情報300が設定された場合のように、各ページの印刷内容が同一となる場合は、ページ識別情報検知制御部218による照合は困難となる。
【0066】
そこで、図5に示した印刷処理において、プリンタコントローラ200において、ステップS101の前に、指定されたページ識別情報300が、ページ間で異なる部分に正しく設定されているかどうかを、ジョブの印刷データの最初の所定ページ数分(例えば、10ページ分)を確認する処理を行い、ページ間で異なる部分に正しく設定されている場合は、図5のフローチャートに沿って以降の処理を行い、同じ印字内容である部分に設定されている場合は、ページカウンタ219により印刷枚数をカウントし、カウント数に基づいて裏面の印刷を行うようにすればよい。また、その旨を表示部215に表示してユーザに再度、ページ識別情報300の選択させるようにしても良い。
【0067】
また、特に、照合範囲を広げた場合等において、同一ページ内にページ識別情報300が設定された部分と同一(または類似)の印刷データがある場合は、照合における誤検知が生じる可能性がある。そのため、プリンタコントローラ200は、ユーザによる設定範囲が適切か否かを判断し、同一ページ内(特に、指定領域の周辺)に類似のデータがある場合は、その旨を表示部215等に通知するようにすることも好ましい。また、この判断は、各ジョブの最初の数ページ等についてプリンタコントローラ200が判断するようにすれば良い。
【0068】
さらに、ジョブの途中からページ識別情報300の設定範囲が同一の印刷内容となる場合や、ジョブの途中から同一ページ内にページ識別情報300が設定された部分と同一(または類似)の印刷データが生じる場合もありうるため、プリンタコントローラ200は、上記判断を所定ページごとに行うことも好ましい。
【0069】
また、上記実施形態では、第1プリンタエンジン110で片面印刷を行い、第2プリンタエンジン120で裏面印刷を行うタンデム連続紙プリンタ100を例に説明したが、用紙反転部150を備えず(機能させず)に第1プリンタエンジン110で片面印刷を行い、第2プリンタエンジン120で同一面に異なる色等で印刷を行うタンデム連続紙プリンタにも、上記の印刷処理を適用することにより同様の効果を得ることができる。なお、この場合、検知器(センサ)は、第2プリンタエンジン120の転写部と対面する側を検知する必要があるため、図1等に示す検知器122に加えて(またはこれに替えて)、搬送路に対して対向する側に、別の検知器122’を設置すればよい。
【0070】
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0071】
10 上位装置
100 タンデム連続紙プリンタ(タンデム連続紙印刷装置)
110 第1プリンタエンジン(第1印刷装置)
111 給紙部
112,123 印写ドラム
112a,123a 転写器
114,124 定着部
120 第2プリンタエンジン(第2印刷装置)
122,122’ 検知器
125 排紙部
150 用紙反転部
160 用紙巻上げ部
200 プリンタコントローラ(印刷制御手段)
210 通信制御部
211 画像処理部
212 CPU
213 メモリ
214 異常検知部
215 表示部
216 第1エンジン制御部
217 第2エンジン制御部
218 ページ識別情報検知制御部
219 ページカウンタ
300 ページ識別情報
310 印刷可能領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】特開2008−149657号公報
【特許文献2】特開平7−237336号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1印刷装置と、第2印刷装置と、印刷制御手段と、を備え、
前記第1印刷装置により連続紙の片面に印刷し、前記第2印刷装置により前記第1印刷装置が印刷した連続紙の同一面または裏面に印刷することで、タンデム印刷を行うタンデム連続紙印刷装置において、
前記印刷制御手段は、前記第1印刷装置で印刷する印刷データの所定ページについて、その一部を選択可能に該印刷制御手段が備える表示部に表示させ、
選択された印刷データの一部をページ識別情報とし、該ページ識別情報に基づいて、前記第1印刷装置と前記第2印刷装置との印刷位置合わせを行うことを特徴とするタンデム連続紙印刷装置。
【請求項2】
前記第2印刷装置は、前記ページ識別情報を検知する検知手段を備え、
前記印刷制御手段は、
前記ページ識別情報が、印刷データの各ページにおいて異なる場合において、
前記第1印刷装置で印刷され、前記検知手段により検知された前記ページ識別情報と、前記印刷データにおける前記ページ識別情報に相当する領域のデータと、を照合することにより、
前記第1印刷装置と前記第2印刷装置との印刷位置合わせを行うことを特徴とする請求項1に記載のタンデム連続紙印刷装置。
【請求項3】
前記印刷制御手段は、
前記ページ識別情報が、印刷データの各ページにおいて同一である場合は、該印刷制御手段が備えるページカウンタによるカウント結果に基づいて、前記第1印刷装置と前記第2印刷装置との印刷位置合わせを行うことを特徴とする請求項2に記載のタンデム連続紙印刷装置。
【請求項4】
前記印刷制御手段は、
前記第1印刷装置で印刷され、前記検知手段により検知された前記ページ識別情報と、前記印刷データにおける前記ページ識別情報に相当する領域のデータと、の照合に際して、
前記印刷データにおける前記ページ識別情報に相当する領域を、選択されたページ識別情報よりも広い範囲とすることを特徴とする請求項2または3に記載のタンデム連続紙印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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