説明

ターボ吸入器

本発明は、活性物質が溶解された液体を含む活性液体容器(1)と、液体がエアロゾルに変えられて羽根ハウジングに導入される噴霧器(2)であって、その凹状面(41)が噴霧器に面するように囲みドーム(4)が吊着される噴霧器と、囲みドームの凸状面(42)の領域が羽根ハウジング(3)に接続される排気管(5)と、供給空気が羽根ハウジングと活性物質容器との間で導入され得る供給空気ガイド(6)とから構成されたターボ吸入器に関し、少なくとも案内羽根(7)が囲みドームの凸状面上に位置し、その上に螺旋状に延出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性物質が溶解された液体を含む活性液体容器と、液体がエアロゾルに変えられて羽根ハウジングに導入される噴霧器であって、その凹状面が噴霧器に面するように囲みドームが吊着される噴霧器と、囲みドームの凸状面の領域が羽根ハウジングに接続される排気管と、供給空気が羽根ハウジングと活性物質容器との間で導入され得る供給空気ガイドとから構成されたターボ吸入器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、吸入器は、呼吸の空気と共に液体形状の薬剤及び他の活性物質を人間及び動物の肺に運び、そこから低損失で血流へ非常に迅速に伝達される実績のある方法であった。
【0003】
液体をエアロゾルに変換するため、つまり霧を形成するためにノズルを通して移動させる従来技術の機械式霧吹きは、超音波振動を生成してそれを活性液体に伝達する圧電性結晶が噴霧器としてその下に配置された、通常、円錐形の活性物質容器に、度々取って代わられている。その結果、エアロゾル、つまり空気と活性液体の極めて微細な液滴との混合物として活性液体から分離するスプレーが液体表面上に形成される。直径が4マイクロメートルを上回らず、液滴の可能な比率が2マイクロメートルに近い直径を有するような可能な限り小さい滴を生成する意図を有するものである。
【0004】
従来技術において、ドイツ特許19838711号は、スプレーの方へその凹状面を回転させるスプレー上の囲みドームを開示する。この囲みドームは、特に液体レベルが低下する場合に形成される活性物質容器からの液飛びを捕え、活性容器へこれらの液体を導く。
【0005】
囲みドームのドーム型の窪みにおいて、スプレーから出てくるエアロゾルもまた内側の表面に沿って摺動して移動され、ドームから離れて、非常に急速にそれらの方向を変える、すなわち、およそ180°回転し、そして、囲みドームと前記ドームが固定されるハウジングとの間の隙間を通じて流れる。この急速な方向の変化により、エアロゾルの最大の液滴は、それらが付着したままでありかつ活性物質容器に戻る液滴へと凝集するハウジングの壁に対して加速される。一方で、エアロゾルの小さな液滴は、呼吸の空気によって伴出され、囲みドームより上で排気管から吸い出される。
【0006】
この原理をさらに改良して、ドイツ特許101 01 454号は、追加のバッフル板であって、囲みドームとハウジングと間の合間において流れに横断方向に配置され、及び、バッフル板と囲みドームと間の隙間にエアロゾルを移動させるバッフル板を開示する。これらの追加のバッフル表面は、5マイクロメートルのような比較的小さな直径、及び、大きいものと分類される直径を有する液滴の比率のさらなる減少を確実にする。
【0007】
しかしながら、ハウジングの出口に隣接する管の輪郭は、微細な液滴が管の湾曲部において又は2つの管の連結点で堆積して、さらなる滴と結合し、最終的に肉眼によって見ることができる液体の滴を形成するように、そのような多数の大きなエアロゾルの液滴が伴出されることが上記の配置両方の不都合である。特に管が透明である場合、とても高価である活性物質のすべてが肺に運ばれず、一部が失われることが示される。
【0008】
さらなる不都合は、続く使用における次の活性物質との混合を避けるために吸入器の使用前にパイプ部分のこれらの液滴は慎重に排除されなければならないことである。
【0009】
この原理の基本的な不都合は、結果としてユーザの呼吸が妨げられる、バッフル板での収縮から起こるバッフル板の非常に高い流れ抵抗である。ユーザは多くの場合病気によって弱っているので、それが不快なだけでなく、例えば浅い呼吸及び不規則な呼吸のような呼吸動作の変化にさえ至る可能性があり、同様に吸入の効果を損なってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ドイツ特許198 38 711号公報
【特許文献2】ドイツ特許101 01 454号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
この背景に対して、エアロゾルからあまりに大きいエアロゾル液滴を分離し、活性物質容器の中へと戻すようにそれらを導き、その過程で、非常に少量により呼吸のための流れ抵抗を増やすだけであるような吸入器を発達させることが本発明の目的である。
【0012】
この目的を達成するため、本発明は、少なくとも1つの案内羽根が囲みドームの凹状面に載置され、螺旋形の輪郭においてその上で動作することを教示する。
【0013】
本発明の重要な要素はしたがって、流れにねじれを伝える、つまり追加的にその縦軸の周りに回転を与える案内羽根である。その結果、直径がより大きくなると、したがってエアロゾル液滴の質量もより大きくなるエアロゾル液滴に遠心力が及ぼされる。この遠心力の結果として、特に比較的大きなエアロゾル液滴は羽根ハウジングの端に対して移動され、そこから、活性物質容器に直接戻るように流れることができる。
【0014】
従来技術とは対照的に、案内羽根は、ドイツ特許DE101 01 454号の衝撃部材の壁のように空気の流れに直角に向きを定められるわけでも、囲みドームのキャリアから公知のように空気の流れの方向に向きを定められるわけでもない。むしろ、追加の案内羽根は空気の流れに斜めに向きを定められるので、後者はその方向を変えなければならない。加えて、案内羽根は、中に含まれる空気の流れ及びエアロゾルの方向が、案内面に直面して一度変わるだけでなく、バッフル面の有効な傾きがその螺旋形の形状により絶えず変わるので、絶えず変わり、結果として、囲みドームの凹状面上において螺旋形で動作する。
【0015】
この方向の継続的な変化のために、ねじれが空気の流れに伝えられる。つまり、それはその縦軸の周りを回転するので、遠心力は特に比較的大きなエアロゾル液滴に作用して、それらを羽根ハウジングの内側の表面上へ空気の流れから移動させ、その結果、それらは、そこで付着したままになり、活性物質容器へ戻るようにハウジング壁に沿って動き、後でエアロゾルとして戻るように液滴へと凝集する。
【0016】
比較的大きなエアロゾル液滴を分離するためのこの効果はまた、載置された案内羽根を有するドームの上で生じる圧縮した乱流として説明され得る。
【0017】
この乱流は均一であり、したがって、多数の案内羽根が外周周辺で均等に分配される場合に特に効率的である。それらは、それからタービン、船又は航空機のプロペラと同様の方法で作用するが、この場合、プロペラが固定されて、エアロゾルはそれに対して流れるという実質的な違いを有する。エアロゾルの流れが案内羽根から離れた後、ねじれを有する。それは、したがってその流れの方向の縦軸の周りを回転する。
【0018】
この流れが、羽根ハウジングの比較的大きな直径から排気管の比較的小さな直径へと排気管への入口上で減少する場合、この衝撃動作の運動エネルギーは、本質的に保持される。直径の減少のために、主な流れ方向へ接線方向にあるエアロゾル液滴の速度構成要素は、最も大きな液滴が、活性物質容器へと戻り案内羽根を通じて落下し、そこでまたエアロゾルに変換されるより大きな滴に凝集するハウジングに堆積された結果として有意に増加する。
【0019】
この効果はまた、単一の案内羽根のみであることは言うまでもない。そのような単一の案内羽根は、アルキメデス・ポンプの様に囲みドームに巻きつくことができる。この代替物は、しかしながら堆積したエアロゾル液滴の「戻り通路」が非常に長い制約を有し、そのためにより多数の案内羽根が好ましい。ますます多くの案内羽根を有して、最も大きなエアロゾル液滴におけるそれらの有益な効果もまた増加する。この効果は、羽根ハウジングの断面積全体が流れ方向において案内羽根でおおわれている時に最大に到達する。
【0020】
4から6の案内羽根が、実際には非常に良好な数であると判明した。
【0021】
案内羽根の数のさらなる増加は、堆積効果をさらに強めることなく流れ抵抗を増やすだけである。約45°の囲みドームの螺旋状に動作している案内羽根の平均傾斜度がここでの好ましい実施態様である。より大きな又はより小さな平均値も可能であるが、最も大きなエアロゾル液滴を堆積させるために必要であるねじれを構築するのを一般に補助しない。案内羽根がドームの周りで螺旋状に常に動作し、したがって、1つの視点のみから見られる場合に変更傾斜度を有するのみであることに留意する必要がある。
【0022】
空気の流れに対する効果もまた均一であるので、案内羽根は囲みドームの外周周りで均等に分配されることが好ましい。
【0023】
本発明のターボ吸入器から起こる空気の流れはその内部で、噴霧器から排気管まで延長する縦軸に沿って動く。この縦軸に関して、ターボ吸入器の要素の断面図は、最も一般的な場合、任意であり得る。しかしながら、縦軸に関する回転型の対称形の構造は好ましい。羽根ハウジング、囲みドーム及び含まれる活性物質は、円形の横断面を有し、互いに同軸である。
【0024】
本発明のターボ吸入器において、囲みドームは、キャリアによって羽根ハウジングに接続され得る。しかしながら、少なくとも1つの案内羽根は、少なくともその先端が羽根ハウジングまで延長するほど長く、そのために空気の流れの案内面としても機能して、囲みドームの機械的固定を実行することが好ましい。
【0025】
上記したように、−流れ方向に直角に見られて− 羽根ハウジングと囲みドームとの間の空間は完全に案内羽根で満たされることが好ましい実施態様である。それから−縦軸の方向に見られると−排気管の方に向かって指す各々の案内羽根の自由端は、噴霧器を指す隣接した案内羽根の自由端から隙間を有する。しかしながら、あるいは、案内羽根は縦軸の方向に多少重なることもまた可能であり、その結果、噴霧器を指す隣接した案内羽根の自由端を多少超えて、排気管に面するその自由端で各々の案内羽根が突出する。
【0026】
他の実施態様において、案内羽根は、縦軸に横断する枢支軸の周りで回動可能にすることによってそれらの傾斜度において変化し得る。案内羽根と縦軸との間の鋭角の拡大のために、空気の流れの回転速度もまた増加する。実際にはしかしながら、この実施態様は、まれである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明のさらなる詳細及び特徴は、実施態様によって後述される。これは、本発明を制限する意図を有さず、説明的な意図を有するのみである。
概略図において:
【図1】図1は、ターボ吸入器を通じた断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、縦軸5−2に沿って、排気管5から噴霧器2まで切取図での本発明のターボ吸入器を示す。その一番低い側に、噴霧器2が配置されていて、圧電性結晶の場合には、それの上に配置された活性液体容器1の活性液体に伝えられる超音波を生成する。明確さのために、噴霧器2の適切な作動のためのすべての制御要素及び他の機能が、この部分図に示されるというわけではない。活性液体容器1において、スプレーは、微細な液滴がエアロゾルとして分離される超音波での励起による活性液体を形成する。
【0029】
活性液体容器1とその上に配置された羽根ハウジング3との間に周囲スリットが配置され、それを通って供給空気Zが入り、エアロゾルと混ざる。
【0030】
このエアロゾルは囲みドーム4に入り、その凹状面41を示すためにその2つの角で切開されて示される。エアロゾルのより大きな粒子はこの凹状面上へ加速され、そこでそれらは、横に屈折し、囲みドーム4と羽根ハウジング3との間でスリットへ導かれる。図1において、囲みドーム4の凹状面41に集まった比較的大きなエアロゾル液滴が滴を形成するために凝集し、さらに活性液体容器1に戻るスプレーからの液飛びは反映されると直ちに理解され得る。
【0031】
残っている微細なエアロゾル液滴は、呼吸の間、囲みドーム4の凸状面42と羽根ハウジング3の内側との間の空間へと排気管5で外へ出される排気Aによって吸い込まれる。そこでそれらは、本発明の決定的な特徴である案内羽根7上に生成される空気の流れのねじれを通過する。図1において、案内羽根7が囲みドーム41の凸状面42に螺旋状に拡大し、これにより空気の流れにねじれを伝える方法は直ちにわかる。
【0032】
また、図1において、タービンのように配置された案内羽根7を通過するエアロゾルは、その回転方向が縦軸5−2に垂直に定められるように空気の流れのねじれを受ける方法、及び、遠心力がこのことによりそれに及ぼされる方法は直ちに理解され得る。
【0033】
主な流れ方向の周りの回転に配置されるエアロゾルが羽根ハウジング3の内部の大きな直径から排気管5の非常により小さな直径に減少する場合、それらの運動エネルギーが本質的に保持されるので、周囲速度は有意に増加する。その結果、有効な遠心力は増加し、排気管5の入口でさらにより大きなエアロゾル粒子が、排気管5の壁に堆積する。そこでそれらは、他のエアロゾル粒子と共に集まり、活性液体容器1に戻るより大きな滴を形成する。
【符号の説明】
【0034】
1 活性液体容器
2 液体をエアロゾルに変える活性液体容器1の下の噴霧器2
3 エアロゾル取り込む活性液体容器1の上の羽根ハウジング
4 噴霧器2の上の囲みドーム
41 噴霧器2に面する囲みドーム4の凹状面
42 囲みドーム4の凸状面
5 囲みドーム4の凸状面42の反対側に配置された排気管
5−2 排気管5から噴霧器2への縦軸
6 羽根ハウジング3と活性物質容器1との間に供給空気Zを案内する供給空気ガイド
7 囲みドーム4の凸状面42に載置された案内羽根
A エアロゾルを含み、排気管5から出る排気
Z 囲みドーム4と活性の液体容器1との間の空間に供給空気ガイド6を通じて入る供給空気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質が溶解された液体を含む活性液体容器1と;該液体がエアロゾルに変えられて、羽根ハウジング3に導入される噴霧器2であって、その凹状面41が該噴霧器2に面するように囲みドーム4が吊着される該噴霧器2と;該囲みドーム4の凸状面42の近傍で該羽根ハウジング3に接続される排気管5と;供給空気Zが該羽根ハウジング3と該活性物質容器1との間で導入され得る供給空気ガイド6と;を含むターボ吸入器であって、少なくとも1つの案内羽根7が該囲みドーム4の該凸状面42に載置され、螺旋状にその上で動作することにおいて特徴付けられる、ターボ吸入器。
【請求項2】
前記羽根ハウジング3の内部と、前記囲みドーム4と、前記活性物質容器1とが、前記排気管5から前記噴霧器2への縦軸5−2に関して回転するように対称形であり、該縦軸5−2に関して同軸的に配置されるように形成されることにおいて特徴付けられる、請求項1記載のターボ吸入器。
【請求項3】
複数の前記案内羽根7が前記囲みドーム4の外周で均等に配置されることにおいて特徴付けられる、請求項2記載のターボ吸入器。
【請求項4】
少なくとも1つの前記案内羽根7が前記羽根ハウジング3に接続され、前記囲みドーム4の支持として役立つことにおいて特徴付けられる、請求項3記載のターボ吸入器。
【請求項5】
前記排気管5の方を指す前記案内羽根7の各々の自由端が、前記縦軸5−2の方向に、前記噴霧器2の方を指す隣接した該案内羽根7の自由端に関する隙間を有することにおいて特徴付けられる、請求項1〜4の一項に記載のターボ吸入器。
【請求項6】
前記排気管5の方を指す自由端を持つ前記案内羽根7の各々が、前記縦軸5−2の方向に、前記噴霧器2の方を指す隣接した該案内羽根7の自由端を越えて突出することにおいて特徴付けられる、請求項1〜5の一項に記載のターボ吸入器。
【請求項7】
前記縦軸5−2に直角の前記羽根ハウジング3の断面が完全に前記案内羽根7でおおわれ、個々の該案内羽根7が該縦軸5−2の方向に互いに隙間を有することにおいて特徴付けられる、請求項1〜6の一項に記載のターボ吸入器。
【請求項8】
空気の流れの回転速度を増加させることで、前記案内羽根7と前記縦軸5−2との間の鋭角が増加することができることにおいて特徴付けられる、請求項1〜7の一項に記載のターボ吸入器。

【図1】
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【公表番号】特表2012−530562(P2012−530562A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516510(P2012−516510)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【国際出願番号】PCT/DE2010/000715
【国際公開番号】WO2010/149144
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(511314913)