説明

ダイクッション装置

【課題】プレス成形品の品質をより精度よく良好に維持することができるダイクッション装置を提供する。
【解決手段】各高さ毎に定められた設定クッション力を調整するクッション力調整装置21を備える。クッション力調整装置21は、プレス成形された被加工物1の成形品質値を、被加工物における複数の高さで測定する成形品質測定装置23と、被加工物1における各高さ毎に、成形品質値の測定値と所定の成形品質基準値とを比較し、両者が一致しない場合には、当該成形品質値を成形品質基準値に近づけるように、当該高さに対応する設定クッション力を変化させる設定クッション力変更部25と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイクッション装置に関し、より詳しくは、設定クッション力を調整するクッション力調整装置を備えるダイクッション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プレス機械では、上金型と下金型との間でプレス成形を行うが、プレス成形を絞り成形とする場合、プレス機械には、プレス成形の品質を高めるためにしわ押さえを行うダイクッション装置が設けられる。ダイクッション装置は、例えば下記特許文献1に記載されている。なお、特許文献1では、クッション力(しわ押さえの荷重)をパターンにしたがって可変としている。
【0003】
クッション力は絞り成形の品質を大きく左右するため、それぞれのプレス金型・被加工物ごとに適切なクッション力で絞り成形を行うことが重要である。しかし、適切なクッション力を計算やシミュレーションで決めることは技術的に困難なため、クッション力を変えて試験的な絞り成形を行い、良好な成形品質が得られたときのクッション力を量産で用いる。
【特許文献1】特公平7−106477号
【特許文献2】特許第2722936号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、試験的な絞り成形に費やせる時間・費用は限られているため、試験可能なクッション力のバリエーションは少ない。そのため、必ずしも最適または良好とは言えないクッション力で量産が行われることが多い。
【0005】
また、金型の経年劣化や、金型をプレス機械に出し入れするごとに生じる微小な設置位置のズレなどの原因により、最適な成形品質が得られるクッション力は量産加工中に少しずつ変化する。そのため、量産開始時に設定したクッション力を変えずに量産を続けると、成形品質が低下することがある。
【0006】
上述した問題のうち、最適な成形品質が得られるクッション力が量産加工中に少しずつ変化するという問題に対処する1つの手法として、しわ押さえ部分の温度(もしくは、温度の代わりにプレス加工回数および停止時間)に基づいてクッション力(即ち、しわ押さえ荷重)を変化させる装置が特許文献2に記載されている。
しかし、特許文献2とは異なる手段により、プレス成形品の品質をより精度よく良好に維持することが望まれる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、プレス成形品の品質をより精度よく良好に維持することができるダイクッション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明によると、上金型と下金型との間でプレス成形を行うプレス機械に設けられるダイクッション装置であって、
被加工物が上金型と下金型との間でプレス成形されるプレス成形時に、被加工物を上金型との間に挟みながら下降する可動部と、
プレス成形時における前記可動部の複数の高さに対してそれぞれ定められた設定クッション力を記憶する記憶部と、
プレス成形時に前記高さ毎の前記設定クッション力に基づいて前記可動部を制御するクッション力制御装置と、
前記設定クッション力を調整するクッション力調整装置と、を備え、
該クッション力調整装置は、
前記プレス成形された被加工物の成形品質値を、該被加工物における複数の高さで測定する成形品質測定装置と、
前記被加工物における前記各高さ毎に、前記成形品質値の測定値と所定の成形品質基準値とを比較し、両者が一致しない場合には、前記成形品質値を前記成形品質基準値に近づけるように、当該高さに対応する前記設定クッション力を変化させる設定クッション力変更部と、を備える、ことを特徴とするダイクッション装置が提供される。
【0009】
上述の本発明のダイクッション装置では、成形品質測定装置が、前記プレス成形された被加工物の成形品質値を、該被加工物における複数の高さで測定し、設定クッション力変更部が、前記被加工物における前記各高さ毎に、前記成形品質値の測定値と所定の成形品質基準値とを比較し、両者が一致しない場合には、前記成形品質値を前記成形品質基準値に近づけるように、当該高さに対応する前記設定クッション力を変化させるので、各高さ毎に、被加工物の成形品質値を所望の成形品質基準値に近づけるように設定クッション力を調整することができる。これにより、プレス成形品(プレス成形された被加工物)の品質を精度よく良好に維持することができる。
例えば、プレス成形品を量産する場合に、量産中に、実際に発生するクッション力が少しずつ変化することで、プレス成形品の成形品質値が成形品質基準値からずれた場合でも、各高さ毎に、被加工物の成形品質値を所望の成形品質基準値に近づけるように設定クッション力が調整されるので、量産の全過程を通して、プレス成形品の品質を精度よく良好に維持することができる。
また、試験的なプレス成形において最適な設定クッション力が得られていない場合であっても、量産中に、プレス成形品の成形品質値が所望の成形品質基準値に近づくように設定クッション力が調整されるので、良好な品質のプレス成形品を量産することができる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によると、前記成形品質値は、プレス成形された被加工物の厚みと該被加工物の光沢を示す値と該被加工物の硬さを示す値との少なくともいずれかである。
【0011】
このように、プレス成形品の品質の基準となる値として、被加工物の厚み、光沢を示す値、硬さを示す値を用いることができる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によると、前記成形品質値の測定値と前記成形品質基準値とが一致しない場合、
(A)前記クッション力変更部は、該測定値が測定された前記高さに対応する設定クッション力を増加させ、該増加させられた前記設定クッション力に基づいたクッション力制御装置によるプレス成形を行い、前記成形品質測定装置は、該プレス成形された被加工物の当該高さにおける成形品質値を測定し、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値に近づいていれば、該設定クッション力をさらに増加させ、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値から遠ざかっていれば、該設定クッション力を減少させ、または、
(B)前記クッション力変更部は、該測定値が測定された前記高さに対応する設定クッション力を減少させ、該減少させられた前記設定クッション力に基づいたクッション力制御装置によるプレス成形を行い、前記成形品質測定装置は、該プレス成形された被加工物の当該高さにおける成形品質値を測定し、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値に近づいていれば、該設定クッション力をさらに減少させ、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値から遠ざかっていれば、該設定クッション力を増加させる。
【0013】
前記成形品質値の測定値と前記成形品質基準値とが一致しない場合、当該成形品質値を所望の成形品質基準値に近づけるためには、設定クッション力を増加させればよいか減少させればよいかが未知である場合には、前記クッション力変更部は、とりあえず、該測定値が測定された前記高さに対応する設定クッション力を増加(または減少)させ、該増加(または減少)させられた前記設定クッション力に基づいたクッション力制御装置によるプレス成形を行い、前記成形品質測定装置は、該プレス成形された被加工物の当該高さにおける成形品質値を測定し、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値に近づいていれば、該設定クッション力をさらに増加(または減少)させ、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値から遠ざかっていれば、該設定クッション力を減少(または増加)させるので、前記設定クッション力の調整方向が未知であっても、前記成形品質値の測定値を成形品質基準値に近づけることができる。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によると、前記成形品質測定装置は、前記各高さ毎に、複数位置における前記被加工物の成形品質値を測定し、該複数位置の成形品質値の測定結果を反映した値を、当該高さでの成形品質値の前記測定値とする。
【0015】
このように、前記成形品質測定装置は、前記各高さ毎に、複数位置における前記被加工物の成形品質値を測定し、該複数位置の成形品質値の測定結果を反映した値を、当該高さでの成形品質値の前記測定値とするので、各高さにおける成形品質値の測定値は、複数位置の測定結果(測定データ)を反映したものとなっている。これにより、より確実にプレス成形品の品質を良好に維持できる。
【発明の効果】
【0016】
上述した本発明によると、プレス成形品の品質をより精度よく良好に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態によるプレス機械のダイクッション装置の構成図である。
プレス機械10は、図1に示すように、昇降駆動される上金型3と、ボルスタ5の上面に設置される下金型7とを備え、上金型3と下金型7との間に被加工物1を挟み込んでプレス成形を行う。
【0019】
ダイクッション装置20は、図1に示すように、可動部9、記憶部11およびクッション力制御装置13を備える。
【0020】
可動部9は、被加工物1が上金型3と下金型7との間でプレス成形されるプレス成形時に、被加工物1を上金型3との間に挟みながら下降する。これにより、プレス成形時にしわ押えがなされる。可動部9は、プレス成形時に被加工物1に接触して被加工物1を上金型3との間に挟むブランクホルダ9aと、ブランクホルダ9aを下方から支持するクッションピン9bと、クッションピン9bを下方から支持するクッションプレート9cと、クッションプレート9cを昇降するように駆動される昇降機構9dと、を有する。プレス成形時に、ブランクホルダ9a、クッションピン9b、クッションプレート9cおよび昇降機構9dが、一体となって下降しながら、駆動装置15によるクッション力を上金型3に対し作用させる。なお、昇降機構9dは、油圧式やサーボモータ式であってよい。油圧式の場合には、駆動装置15は油圧シリンダ装置であり、昇降機構9dは油圧シリンダ装置15のピストンであり、サーボモータ式の場合には、駆動装置15はサーボモータであり、昇降機構9dはサーボモータ15の回転駆動力により昇降駆動される機構である。
【0021】
記憶部11は、プレス成形時における可動部9の複数の高さ毎に設定クッション力を記憶する。即ち、記憶部11は、複数の高さと複数の設定クッション力とを互いに関係付けたクッション力パターンを記憶する。
【0022】
クッション力制御装置13は、プレス成形時に、記憶部11に記憶された前記高さ毎の設定クッション力に基づいて、クッション力を発生させるように可動部9を制御する。具体的には、クッション力制御装置13は、昇降機構9dを駆動する上述の駆動装置15と、駆動装置15を制御する制御部17と、可動部9の高さを検出するクッション高さ検出器19と、を有し、制御部17は、クッション高さ検出器19により検出された高さと前記クッション力パターンとに基づいて、プレス成形時に、下降する可動部9が前記各高さになる各時点で、該高さと関連付けられた前記設定クッション力を可動部9が上金型3に作用させるように、駆動装置制御部16を介して駆動装置15を制御する。駆動装置15が油圧式の場合には、駆動装置制御部16は油圧回路に設けられた制御弁などであり、制御部17は制御弁を制御することで油圧や油流量を制御し、駆動装置15がサーボモータ式の場合には、駆動装置制御部16はサーボモータ15に電流を供給するモータドライバなどであり、制御部17は、駆動装置制御部16を介してパルス幅変調やサイリスタチョッパによりサーボモータ15に供給する電流を制御する。制御方式としては、例えば、フィードバック制御や、フィードバック制御とフィードフォワード制御の組み合わせなどがある。
【0023】
以上の構成により、以下の手順にしたがって1枚の被加工物1(パネル)に対しプレス成形として絞り成形が行われる。
(1)可動部9を上昇させておく。
(2)絞り成形前の被加工物1を、手動もしくはロボット等の搬送装置(図示せず)により、ブランクホルダ9aの上に載せる。
(3)プレス機械10の運転を開始する。上金型3が下降し被加工物1上面に接したら、ダイクッション装置20が制御部17の上述した制御によりクッション力(荷重)を発生することにより、上金型3とブランクホルダ9aに挟み込まれた被加工物1に対ししわ押さえが行われる。
(4)被加工物1のしわ押さえを行いつつ、上金型3と可動部9が下降を続け、絞り成形が行われる。
(5)絞り成形終了後、上金型3は上昇する。
(6)ブランクホルダ9aの上に載っているプレス成形として絞り成形された被加工物1を手動もしくはロボット等の搬送装置(図示せず)により取り出す。
(7)次の被加工物1に対し上記(1)〜(6)の手順を繰り返すことにより、つぎつぎと被加工物1が絞り成形され量産が行われる。
【0024】
図2は、プレス成形中における可動部9の高さと被加工物1の高さとの関係を示す。h1、h2、h3、h4、h5は、ダイクッション装置20におけるある定位置、たとえば昇降機構9dが最も下降した位置(ピストンがシリンダに当たる位置や、機構がストッパに当たる位置)を原点としたときの可動部9の高さである。g1、g2、g3、g4、g5は、被加工物1のある定位置、たとえば成形後に被加工物1の周縁部に残る平坦部を原点としたときの被加工物1の他の部位の高さである。図2に示すように、可動部9が高さh1に位置する時に、被加工物1の高さg1における箇所がプレス成形され、可動部9が高さh2に位置する時に、被加工物1の高さg2における箇所がプレス成形され、可動部9が高さh3に位置する時に、被加工物1の高さg3における箇所がプレス成形され、可動部9が高さh4に位置する時に、被加工物1の高さg4における箇所がプレス成形され、可動部9が高さh5に位置する時に、被加工物1の高さg5における箇所がプレス成形される。従って、被加工物1における高さg1の部分の成形品質は、可動部9が高さh1に位置する時のクッション力に影響され、被加工物1における高さg2の部分の成形品質は、可動部9が高さh2に位置する時のクッション力に影響され、被加工物1における高さg3の部分の成形品質は、可動部9が高さh3に位置する時のクッション力に影響され、被加工物1における高さg4の部分の成形品質は、可動部9が高さh4に位置する時のクッション力に影響され、被加工物1における高さg5の部分の成形品質は、可動部9が高さh5に位置する時のクッション力に影響される。なお、g1−g2=h1−h2であり、g2−g3=h2−h3であり、g3−g4=h3−h4であり、g4−g5=h4−h5である。
【0025】
本実施形態によると、ダイクッション装置20は、前記設定クッション力を調整するクッション力調整装置21を備える。クッション力調整装置21は、成形品質測定装置23と設定クッション力変更部25を備える。
成形品質測定装置23は、前記プレス成形された被加工物1の成形品質値を、前記複数の高さh1〜h5にそれぞれ対応する該被加工物1における複数の高さg1〜g5毎に測定する。成形品質測定装置23は、成形品質測定器23a、移動装置23bおよび測定器高さ検出器23cを有し、絞り成形後の被加工物1の成形品質値を高さを変えて測定するため、成形品質測定器23aが高さ方向に可動な移動装置23bに搭載されている。成形品質測定器23aを絞り成形後の被加工物1に近接させたり、絞り成形後の被加工物1に沿って動かす目的のために、移動装置23bは水平方向に可動であってもよい。成形品質測定器23aの高さが測定器高さ検出器23cによって測定される。成形品質測定器23aで測定された成形品質値の測定値と、当該測定時に測定器高さ検出器23cで測定された測定器高さ信号は、後述の成形品質判定機25aへ伝送される。
設定クッション力変更部25は、被加工物1の前記各高さ毎に、前記成形品質値の測定値と所定の成形品質基準値とを比較し、両者が一致しない場合には、前記成形品質値を前記成形品質基準値に近づけるように、該測定値が測定された前記高さに対応する前記設定クッション力を変化させる。設定クッション力変更部25は、成形品質判定機25aとクッション能力設定変更器25bを有する。成形品質判定機25aは、成形品質測定器23aからの成形品質値の測定値と、測定器高さ検出器23cからの測定器高さ信号とに基づいて、成形品質値の当該測定値cmと当該測定器高さ信号が示す高さgiにおける成形品質基準値crとを比較し、比較結果をクッション能力設定変更器25bへ伝送する。クッション能力設定変更器25bは、cmとcrが一致しない場合には、高さgi(即ち、被加工物1での高さ)に対応する可動部9の高さhiにおける(記憶部11に記憶されている)設定クッション力を増加させるまたは減少させる処理を行う。ここで、比較結果は、高さの情報も含んでいる。このような処理を各高さgi(例えば、i=1〜5)について行う。
成形品質基準値crは、可動部9の前記各高さ毎に予め求められたものであってよく、これら成形品質基準値crはそれぞれ前記各高さgiと関連付けられて成形品質判定機25aに記憶されている。
【0026】
図3(A)は、可動部9の高さと設定クッション力との関係の一例を示す図であり,図3(B)は、クッション力調整装置21による調整後の設定クッション力の一例を示す。なお、図3(B)において、白丸は調整前の設定クッション力を示している。
【0027】
以下において、クッション力調整装置21とクッション力調整装置21による設定クッション力の調整についてより詳細に説明する。
【0028】
絞り成形の品質を判定するための成形品質値としては、例えば、プレス成形された被加工物1の厚み、または、プレス成形された被加工物1の表面の光沢を示す値、または、プレス成形された被加工物1の局所的な硬さを示す値を使用することができる。成形品質値として前記厚みを使用する場合には、成形品質測定器23aとして、超音波発信子を被加工物1表面に当てて超音波の反射時間で前記厚みを測定するもの、サブミリ波帯の電磁波を被加工物1へ照射し表面と裏面からの反射時間の差で前記厚みを測定するもの、被加工物1の裏面から放射線を当て表面でその透過量を測定して前記厚みに換算するもの、被加工物1の近くで強さ既知の磁場を発生し、磁場が被加工物1の影響で変化する量を測定して前記厚みに換算するものなどがある。成形品質値として表面の光沢を示す値を使用する場合には、成形品質測定器23aとして、電球やLED等の光源から光を被加工物1の表面に照射し、その反射量を光電センサやTVカメラで測定し、当該測定値を成形品質値の測定値とするものがある。成形品質値として前記局所的な硬さを示す値を使用する場合には、成形品質測定器23aとして、ピストンや圧電素子を用いて被加工物1表面を既知の力で押しそのときに生じる微小変形量をリニアエンコーダや容量式の変位センサで測定して前記硬さを測定するもの、形状・性状が既知の小球を一定速度で被加工物1表面に当て、跳ね返り量を容量式やレーザー式の変位センサで測定して前記硬さを測定するものなどがある。
成形品質測定器23aによる成形品質値測定は、例えば、所定の設置台(図示せず)に置かれた被加工物1に対して行ってよい。プレス成形された被加工物1は、搬送装置(図示せず)によりプレス機械10から取り出されて前記設置台上に置かれてよい。
【0029】
なお、成形品質測定器23aを移動させるのではなく、あらかじめ異なる高さごとに成形品質測定器23aを設置しておくことにより、それぞれの高さごとの被加工物1の成形品質値を測定する構成でもよい。この場合、移動装置23bを省略でき、それぞれの成形品質測定器23aの高さを予め測定して成形品質判定機25aに記憶させておけば、測定器高さ検出器23cも省略できる。
【0030】
移動装置23bの例としては、モータで駆動されるボールねじやリニアモータによる直動機構を用い直動機構を高さ方向、水平X軸方向、X軸と直交する水平Y軸方向に組み合わせる方式のものや、多軸の産業用ロボットがある。
【0031】
クッション高さ検出器19、測定器高さ検出器23cの例としては、磁歪式リニアエンコーダや光学式リニアスケールがある。また、移動装置23bとして産業用ロボットを使用する場合には、ロボットの関節角度をエンコーダで検出し、この検出値をロボットの形状寸法に基づいて前記高さに換算すればよい。
【0032】
記憶部11は、例えば、制御部17に設けられたメモリであってよく、設定クッション力変更部25と制御部17は、コンピュータやプログラマブルロジックコントローラとその上で実行される処理プログラムとの組み合わせにより構成できる。
【0033】
信号や指令の伝送には、アナログの電圧・電流を電線で伝える方法や、デジタル値をフィールドネットワークを用いて伝える方法がある。
【0034】
成形品質基準値の求め方としては、例えば、成形品質値として前記厚みを使用するならば、プレス成形シミュレーションを行って絞り成形後の被加工物1の形状を求めて、被加工物1の当該形状の各高さにおける厚みを成形品質基準値とすることができる。また、成形品質値として表面の光沢を示す値を使用するならば、プレス成形シミュレーションを行って得られる絞り成形後の被加工物1の形状に対し、レイトレーシングにより光の反射量を予測し、当該予測値を成形品質基準値とすることができる。また、成形品質値として硬さを示す値を使用するならば、プレス成形シミュレーションを行って得られる成形途中の局所的な荷重変化から予測される材料の組織変態を考慮した被加工物1の弾性率分布と、プレス成形シミュレーションを行って得られる絞り成形後の被加工物1の形状に対し、有限要素法による構造シミュレーションにより局所的な硬さを予測し、当該予測値を成形品質基準値とすることができる。
【0035】
図4は、本実施形態による設定クッション力の変更方法を示すフローチャートである。
ステップS1において、被加工物1を1枚プレス成形する。被加工物1の高さgi(i=1〜5)に関して、i=1としてステップS2へ進む。
ステップS2において、移動装置23bを動かして、成形品質測定器23aを高さgiへ移動させ、高さgiにおいて被加工物1の成形品質値を成形品質測定器23aで測定する。
ステップS3において、成形品質値判定機25aにより、ステップS2で測定した成形品質値の測定値と、高さgiに対応する成形品質基準値とを比較する。
ステップS4において、ステップS3での比較の結果、成形品質値の測定値と成形品質基準値が一致しない場合には、ステップS5へ進む。一方、一致する場合には、iを1増加させて、ステップS6へ進む。
ステップS5において、クッション能力設定変更器25bは、高さgiに対応する可動部9の高さhiにおける設定クッション力を増加または減少させる。
ステップS6において、iが5以下であれば、ステップS2へ戻り次の高さgiについて同様の処理を繰り返し、iが6以上であれば、高さg1〜g5について設定クッション力が適正かどうかの判断とその調整が終了したので、ステップS7へ進む。
ステップS7において、同じ金型を用いた同じ品種のプレス成形が終了したかを判断する。終了していない場合には,ステップS1へ戻る。終了した場合には、当該金型を用いたプレス成形を終了する。
【0036】
図3(B)に示す例では以下のようになっている。
ステップS2で測定した被加工物の高さg1における成形品質値が、ステップS3で高さg1に対する成形品質基準値と比較され、ステップS4で一致しないと判定され、ステップS5において高さh1における設定クッション力が増加される。
ステップS2で測定した被加工物の高さg2における成形品質値が、ステップS3で高さg2に対する成形品質基準値と比較され、ステップS4で一致しないと判定され、ステップS5において高さh2における設定クッション力が増加される。
ステップS2で測定した被加工物の高さg3における成形品質値が、ステップS3で高さg3に対する成形品質基準値と比較され、ステップS4で一致すると判定され、ステップS5はスキップされる、すなわち、高さh3における設定クッション力は変化しない。
ステップS2で測定した被加工物の高さg4における成形品質値が、ステップS3で高さg4に対する成形品質基準値と比較され、ステップS4で一致しないと判定され、
ステップS5において高さh4における設定クッション力が減少される。
ステップS2で測定した被加工物の高さg5における成形品質値が、ステップS3で高さg5に対する成形品質基準値と比較され、ステップS4で一致すると判定され、ステップS5はスキップされる、すなわち、高さh5における設定クッション力は変化しない。
【0037】
上述した設定クッション力の変更方法において、各高さgiで、成形品質値の測定値と前記成形品質基準値とが一致しない場合に、当該成形品質値を前記成形品質基準値に近づけるようにするためには、設定クッション力を増加させればよいか減少させればよいかが未知である場合には、前記クッション力変更部は、とりあえず、各高さgi毎に、該測定値が測定された当該高さgiに対応する設定クッション力を増加(または減少)させ、該増加(または減少)させられた前記設定クッション力に基づいたクッション力制御装置13によるプレス成形を行い、成形品質測定装置23は、該プレス成形された被加工物1の当該高さにおける成形品質値を測定し、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値に近づいていれば、該設定クッション力をさらに増加(または減少)させ、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値から遠ざかっていれば、該設定クッション力を減少(または増加)させる。これにより、前記設定クッション力の調整方向が未知であっても、前記成形品質値の測定値を成形品質基準値に近づけることができる。
【0038】
また、設定クッション力の増加量または減少量の決め方としては、成形品質値の測定値と成形品質基準値の差の大きさに応じて決めてもよいし(たとえば、成形品質値が厚さであれば、厚さの測定値と成形品質基準値である基準厚さの差)、増加量、減少量を一定の微小量としてもよい。後者の場合、図4に示すフローチャートの処理がくり返し行われることにより、被加工物1を何枚も絞り成形する間に微小量ずつクッション力が調整されることにより、適切な設定クッション力の値が得られる。
【0039】
上述した本発明の実施形態によるダイクッション装置20では、成形品質測定装置23が、前記プレス成形された被加工物1の成形品質値を、該被加工物1における複数の高さで測定し、設定クッション力変更部25が、被加工物1における前記各高さ毎に、前記成形品質値の測定値と所定の成形品質基準値とを比較し、両者が一致しない場合には、前記成形品質値を前記成形品質基準値に近づけるように、当該高さに対応する前記設定クッション力を変化させるので、各高さ毎に、被加工物1の所望の成形品質値に近づけるように設定クッション力を調整することができる。これにより、プレス成形品の品質を精度よく良好に維持することができる。
例えば、プレス成形品を量産する場合に、量産中に、実際に発生するクッション力が少しずつ変化することで、プレス成形品(プレス成形された被加工物1)の成形品質値が成形品質基準値からずれた場合でも、各高さ毎に、被加工物1の成形品質値を所望の成形品質基準値に近づけるように設定クッション力が調整されるので、量産の全過程を通して、プレス成形品の品質を精度よく良好に維持することができる。
また、試験的なプレス成形において最適な設定クッション力が得られていない場合であっても、量産中に、プレス成形品の成形品質値が所望の成形品質基準値に近づくように設定クッション力が調整されるので、良好な品質のプレス成形品を量産することができる。
【0040】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【0041】
例えば、上述の実施形態では、被加工物1の成形品質値を測定する高さと、クッション力を設定する高さを5通り(図2に示す例ではg1〜g5とh1〜h5)としたが、より少ない高さやより多い高さで被加工物1の成形品質値測定とクッション力の設定を行ってよい。
【0042】
また、上述の実施形態では、被加工物1の高さ(図2に示す例ではg1〜g5)と可動部9の高さ(図2に示す例ではh1〜h5)は、1対1で対応していた。両者の対応は、1対1でなくてもよい。例えば、被加工物1における複数の高さでの成形品質値の測定値に基づいて、可動部9の1つの高さでの設定クッション力を調整してもよい。また、両者の対応は、金型形状の非対称性、被加工物1の素材の塑性変形特性などの影響により厳密には、両者が同じ高さとなるように1対1で対応しないことがあるが、この1対1の対応からのずれは小さいので、本発明の方法にしたがって従来よりも良好な成形品質が得られる。前記ずれの大きさが予測・計測できる場合には、ずれを考慮して被加工物1の高さと可動部9の高さを対応づけることにより、より正確にクッション力を調整できる。
【0043】
上述の実施形態では、説明の単純化のために、プレス成形された被加工物1を凸形状としたが、被加工物1全体のおおまかな形状が凸形状という意味で、細かく見ればプレス成形された被加工物1において凹部や平坦部があってもよい。
【0044】
上述の実施形態では、図5に○印で示すように、ある高さに対し一箇所ずつ成形品質値を測定しているが、成形品質測定装置23は、前記各高さ毎に、図5に△印で示すように複数位置における被加工物1の成形品質値を測定し、該複数位置の成形品質値の測定結果を反映した値を、当該高さでの成形品質値の測定値としてもよい。複数位置の成形品質値の測定結果を反映した値は、例えば、複数位置の成形品質値の測定値の中央値、平均値または最低値(最高値)であってよい。
【0045】
所定の設置台(図示せず)に置かれた被加工物1に対して成形品質測定器23aによる成形品質値測定を行うかわりに、プレス成形された被加工物1を産業用ロボット等の搬送装置(図示せず)がプレス機械10から取り出して把持した状態のまま、搬送装置の位置を制御して被加工物1を成形品質測定器23aに接近させてもよい。この場合、搬送装置が高さ方向に可動であれば移動装置23bを省略可能であり、搬送装置先端の把持部の高さを測定もしくは計算可能であれば測定器高さ検出器23cを省略可能である。
【0046】
成形品質値として、厚さ・光沢・硬さ以外に、被加工物の絞り成形成形品質を示す他の品質指標値を用いてもよい。複数の品質指標値の組み合わせを用いてもよい。
【0047】
駆動装置15は、油圧駆動方式やサーボモータ駆動方式に限定されず、空圧方式、複数の駆動方式の複合方式など、クッション力のパターンを変化させられる構成であれば駆動方式は問わない。
【0048】
金型交換を容易にすること等を目的としてボルスタを可動式にするために、クッションピンをボルスタと一緒に動くピンプレートで支持し、クッションプレートがピンプレートを押し上げる構成にすることも可能である。
【0049】
(本発明を複数台のプレス機械から構成されるプレスラインへ適用する例)
被加工物1のプレス成形に複数のプレス機械10a、10b、10cが必要な場合、図6に例を示すような複数のプレス機械10a〜10c、最上流のプレス機械10aへ被加工物1を供給する搬送装置27a、被加工物1を上流側のプレス機械10aまたは10bから取り出し下流側のプレス機械10bまたは10c供給する搬送装置27b,27c、最下流のプレス機械10cから被加工物1を搬出する搬送装置27dから構成されるプレスラインが用いられる。例えば、プレス機械10aのみがダイクッション装置20を有していて絞り成形を行い、プレス機械10b,10cは絞り成形以外のプレス加工(切断、穴あけ、など)を行うので、絞り成形の品質はプレス機械10aのみで決まり、プレス機械10b、10cの影響を受けない。よって、絞り成形成形品質検出(図1に示す成形品質測定装置23による成形品質値測定に相当)は、プレス機械10aとプレス機械10bの間、プレス機械10bとプレス機械10cの間、プレス機械10cの下流のいずれで行ってもよい。また、搬送装置27b、27cまたは27dに成形品質測定装置23を取り付け、搬送装置27b、27cまたは27dが被加工物1を搬送中に前記成形品質値を測定してもよい。
なお、図6の例ではプレス機械が3台、搬送装置は4台であり、各搬送装置27a〜27dはロボットであるが、プレス機械・搬送装置の台数が異なっていてもよく、搬送装置としてロボット以外を使用することも可能である。
【0050】
量産中に本発明を適用する場合、前記成形品質値の変化はゆっくりしているので、絞り成形後の前記成形品質値の測定は、すべての被加工物1に対して行ってもよいし、抜き取った被加工物1(例えば、100個の被加工物1を絞り成形するごとに1個の被加工物1を抜き取る)に対してのみ前記成形品質値を測定してもよい。
【0051】
上述の実施形態では、成形品質値の比較結果に対してクッション能力設定変更器25bを用いて自動的にクッション能力パターンを調整する方法を示したが、成形品質判定機25aによる判定結果(それぞれの高さに対する成形品質値の良否)を人間が目視できるよう数値やグラフで表示装置(CRTディスプレイや液晶ディスプレイなど)に表示し、人間が判断して設定クッション力を手動で調整するように構成することも可能である。この場合、例えば、記憶部11に設けられた操作部を人間が操作することで、設定クッション力を調整してよい。
【0052】
本発明はプレス機械10,10aによる量産中に実施すると効果が大きいが、試験的な絞り成形を実施中に実行してもよい。この場合、少ない回数の試験的な絞り成形によって良好な設定クッション力(クッション力パターン)が得られるという効果が期待できる。
【0053】
プレス機械、プレスラインでは金型を交換して多品種生産が行われるが、その場合は金型・品種ごとにクッション力パターン(各高さ毎の設定クッション力)、成形品質基準値を用意し、金型・品種を変えたときに、その金型・品種に対応する前記クッション力パターン、成形品質基準値を、記憶部11、成形品質判定機25aに伝送して記憶させればよい。生産中に設定クッション力は変化するので、Xという金型・品種で生産した後、Yという金型・品種で生産し、再びXという金型・品種で生産する場合、1回目のXの生産終了後、生産中に変化したクッション力パターンを保存しておき、2回目のXの生産開始時に再び記憶部11に記憶させることにより、金型の経年劣化を考慮した生産がすぐに再開できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態によるダイクッション装置を示す図である。
【図2】プレス成形中における可動部の高さと被加工物の高さとの関係を示す。
【図3】(A)は、可動部の高さと設定クッション力との関係であるクッション力パターンを示し,(B)は、クッション力調整装置による調整後のクッション力パターンを示す。
【図4】本発明の本実施形態による設定クッション力の変更方法を示すフローチャートである。
【図5】各高さにおける複数位置で成形品質値を測定する場合の説明図である。
【図6】本発明が適用可能なプレスラインの例を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1 被加工物、3 上金型、5 ボルスタ、7 下金型、9 可動部、9a ブランクホルダ、9b クッションピン、9c クッションプレート、9d 昇降機構、10 プレス機械、10a〜10c プレス機械、11 記憶部、13 クッション力制御装置、15 駆動装置、16 駆動装置制御部、17 制御部、19 クッション高さ検出器、20 ダイクッション装置、21 クッション力調整装置、23 成形品質測定装置、23a 成形品質測定器、23b 移動装置、23c 測定器高さ検出器、25 設定クッション力変更部、25a 成形品質判定機、25b クッション能力設定変更器、27a〜27d 搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上金型と下金型との間でプレス成形を行うプレス機械に設けられるダイクッション装置であって、
被加工物が上金型と下金型との間でプレス成形されるプレス成形時に、被加工物を上金型との間に挟みながら下降する可動部と、
プレス成形時における前記可動部の複数の高さに対してそれぞれ定められた設定クッション力を記憶する記憶部と、
プレス成形時に前記高さ毎の前記設定クッション力に基づいて前記可動部を制御するクッション力制御装置と、
前記設定クッション力を調整するクッション力調整装置と、を備え、
該クッション力調整装置は、
前記プレス成形された被加工物の成形品質値を、該被加工物における複数の高さで測定する成形品質測定装置と、
前記被加工物における前記各高さ毎に、前記成形品質値の測定値と所定の成形品質基準値とを比較し、両者が一致しない場合には、前記成形品質値を前記成形品質基準値に近づけるように、当該高さに対応する前記設定クッション力を変化させる設定クッション力変更部と、を備える、ことを特徴とするダイクッション装置。
【請求項2】
前記成形品質値は、プレス成形された被加工物の厚みと該被加工物の光沢を示す値と該被加工物の硬さを示す値との少なくともいずれかである、ことを特徴とする請求項1に記載のダイクッション装置。
【請求項3】
前記成形品質値の測定値と前記成形品質基準値とが一致しない場合、
(A)前記クッション力変更部は、該測定値が測定された前記高さに対応する設定クッション力を増加させ、該増加させられた前記設定クッション力に基づいたクッション力制御装置によるプレス成形を行い、前記成形品質測定装置は、該プレス成形された被加工物の当該高さにおける成形品質値を測定し、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値に近づいていれば、該設定クッション力をさらに増加させ、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値から遠ざかっていれば、該設定クッション力を減少させ、または、
(B)前記クッション力変更部は、該測定値が測定された前記高さに対応する設定クッション力を減少させ、該減少させられた前記設定クッション力に基づいたクッション力制御装置によるプレス成形を行い、前記成形品質測定装置は、該プレス成形された被加工物の当該高さにおける成形品質値を測定し、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値に近づいていれば、該設定クッション力をさらに減少させ、該成形品質値の測定値が前記成形品質基準値から遠ざかっていれば、該設定クッション力を増加させる、ことを特徴とする請求項1または2に記載のダイクッション装置。
【請求項4】
前記成形品質測定装置は、前記各高さ毎に、複数位置における前記被加工物の成形品質値を測定し、該複数位置の成形品質値の測定結果を反映した値を、当該高さでの成形品質値の前記測定値とする、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のダイクッション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−274072(P2009−274072A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124578(P2008−124578)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)