説明

ダイバージョナルセラピーの装置および方法ならびに対話型デバイス

ダイバージョナルセラピー装置(100)が、患者の注意を治療からそらすために、タンジブルな直感的および没入型の対話デバイスを患者に提供する。装置は、動作センサを有する手持ち式タブレットデバイス(110)および3次元環境に関するデジタルコンテンツを表示するためのスクリーン(112)を含む。コントローラはタブレットデバイス(110)の動きを判断し、この動きに基づいてコンテンツをスクリーン(112)上に表示し、患者はスクリーン上に表示された3次元環境と、デバイス(110)の物理的操作を通して対話することができるようになっている。コンテンツおよびアクションの選択を可能にするためにデバイス(110)上に取り付けることができる例えば小像(114)などの交換可能なセレクター要素、カメラ、バイオメトリックセンサ、タッチスクリーン、面上でデバイスを揺らすことができるようにするドーム形後面および輪郭となるスクリーン壁(124)を含む、様々な他の対話機能も開示されている。デバイス(110)をすぐに回転させるよう促すために、ハンドグリップ(122)を水平に対して斜めに設けることもできる。例えば小像(114)などのマーカー要素上のパターンを撮像するカメラに基づいた動作感知のように、デバイスの様々な他の用途が考察される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイバージョナルセラピーの装置および方法、ならびにより一般的な用途の対話型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療処置の1つの重要な態様は疼痛およびストレスの管理であり、これは主に薬物による鎮痛によって達成される。
【0003】
しかし、疼痛の知覚には大きな心理的要因もあり、患者が医療処置の間に受ける疼痛および苦痛を低減するために、鎮痛剤と併せて認知的手法が長い間使用されてきた。そのような手法には、呼吸運動、ポジティブ行動の強化、催眠術、行動リハーサルおよび注意転換療法が含まれている。
【0004】
注意転換またはダイバージョナルセラピーは、治療中、疼痛が緩和されるように患者の注意をそらすことを目的とする。注意転換は、いくつかの形態をとることができ、音楽やストーリーを聴く、本を読む、ビデオを見ることなどが含まれ得る。
【0005】
近年では、疼痛の低減にビデオゲームおよびバーチャルリアリティを使用することが研究されている。バーチャルリアリティシステムは一般に、現実世界を遮断し人工的に創造された世界の眺めを提供する、例えば立体映像ゴーグルなどのヘッドマウントディスプレイ(HMD)、およびユーザがバーチャル世界を通して動きをコントロールすることを可能にするジョイスティック等を含む。バーチャルリアリティ経験の没入性が高いという性質は、痛みを伴う治療において効果的な注意転換をもたらすことが明らかにされており、標準的なよく知られているゲーム機を使用した場合より良好な結果が得られており、そのようなゲーム機では同じレベルの没入性は得られない。バーチャルリアリティ療法は、恐怖症および外傷後ストレス症候群の治療にも有用であることが明らかにされており、患者は自らの恐怖または外傷を与える事象に、制御された環境で向き合うことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、新規のダイバージョナルセラピーの装置および方法を提供することであり、その様々な実施形態では、新しい有用な疼痛管理能力を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によると、本発明は、患者が治療中に保持して動かすように構成され、デジタルコンテンツを表示するためのディスプレイスクリーンが中に取り付けられたハウジングを有するタブレットデバイスと、タブレットデバイスの動きを感知するための動作センサと、動作センサを通してタブレットデバイスの動きを判断し、タブレットデバイスの動きに従ってデジタルコンテンツをスクリーン上に表示ためのコントローラとを含み、デジタルコンテンツは3次元環境を規定する、ダイバージョナルセラピーの装置を提供し、コントローラは患者が3次元環境と対話することを可能にする。タブレットデバイスおよびデジタルコンテンツは、ユーザがタブレットデバイスを通してコンテンツと対話するとき、治療から注意をそらす効果をユーザが経験するように設計されている。
【0008】
別の態様によると、本発明は、治療を受ける患者にダイバージョナルセラピーを施す方法を提供し、方法は、ディスプレイスクリーンを有する手持ち式タブレットデバイスを患者に提供するステップと、ディスプレイスクリーンにデジタルコンテンツを提供し、デジタルコンテンツは3次元環境に関するステップと、患者によって生成されたタブレットデバイスの動きを監視するステップと、監視されたタブレットデバイスの動きに基づいてスクリーンに提供されるデジタルコンテンツを変化させるステップとを含み、患者はタブレットデバイスを動かすことによって3次元環境と対話することができ、対話によって治療から患者の注意をそらす。
【0009】
本発明は、没入型の対話型経験を提供することによって、治療の不安および疼痛を緩和するための注意転換/ダイバージョナルセラピーを提供し、それにより患者は、動作感知型の手持ち式タブレットデバイスを通して、例えばバーチャル世界など3次元環境と対話することができる。デバイスは、患者が例えばタブレットデバイスを空間で傾斜、回転および/または平行移動するだけで、反射的かつ即時に対話することができる、直感的でタンジブルなコントロールインターフェースを患者に提供することができる。
【0010】
病院環境での試みを通して、デバイスは、例えば小児科の熱傷治療において、治療の疼痛およびストレスを低減することができる効果的なダイバージョナルセラピーを提供することができることが明らかにされてきた。
【0011】
装置は、従来考えられてきたバーチャルリアリティ機器とは対照的である。バーチャルリアリティ機器は複雑でかさばることがあり、混み合った治療エリア内に導入することは困難な場合がある。また、バーチャルリアリティ機器は使用が難しいことがあり、コントロールは必ずしも直感的な性質のものであるとは限らない。さらに、例えばヘッドマウントディスプレイの使用を含むシステムの装置は、威圧的であることがあり、治療装置全体の一部のように見えることがあり、閉所恐怖を引き起こす性質を有することがある。バーチャルリアリティシステムは、綿密な注意集中が必要であること、および患者の視覚システムの発達が不十分であることから、特に小児科でのケアにおいて問題が多い。実際、バーチャルリアリティデバイスの長時間使用は、幼い子供には推奨されておらず、眼の焦点障害を引き起こす恐れがある。
【0012】
本発明のデバイスは、バーチャルリアリティ環境における視覚的没入度の高い使用とは異なり、単純にコントロールしたり見たりするタブレットデバイスを提供し、患者が直接触れることのできる直感的なインターフェースを使用して、適切に没入する対話型の環境を提供する。装置はまた、やはり治療環境での使用に合わせたものではなく、理解しマスターするのに多大な時間を必要とすることの多い、標準的なゲーム機とも対照的である。バーチャルリアリティおよびゲーム機では一般にトレーニングが必要であり、それらの使用には一般に医療スタッフのメンバーが介入して患者を補助する必要がある。
【0013】
本発明は、すぐに手にとって使用することができ、ユーザが3次元環境を探索および他の方法で対話するため物理的に操作することができる、直感的で非脅迫的な、簡単に制御可能なデバイスを提供することができる。デバイスは3次元世界への窓として作用することができ、ユーザがデバイスを回転、傾斜および/または平行移動することによって、その世界を移動する。
【0014】
デバイスは、患者が使用の際にほとんど指示をする必要がなく、その代わりに実験を通してデバイス自体の様々な機能を調査することができるように、設計することができる。デバイスは、その機能に例えば形状および色などの視覚および触覚によるプロンプトを備え、デバイスとの対話方法について実験や工夫を促すように構成することができる。
【0015】
デバイスは、特に操作のしやすさから全体的に円形の形状とすることができ、患者はタブレットデバイスをハンドルと同じように手で保持することができる。デバイスはその周辺部にハンドグリップを含むことができる。一実施形態では、デバイスは、例えばスクリーンによって規定されるタブレットデバイスの全体的水平方向に対して斜めである一組のハンドグリップを含むことができ、患者がデバイスを手に取ったとき、ハンドグリップが自然に水平方向へと回転する傾向にあり、デバイスも同様に動き、動作センサが起動し、表示されたシーンがすぐに変化するようになっている。
【0016】
ただし、デバイスは正方形、長方形、一般的な多角形および楕円形を含む、他の形状とすることもできる。また、デバイスの後部はその動きを助ける形状および/または特徴を含むことができる。デバイスは、例えば湾曲またはドーム形の後面を含むことができる。これにより、患者はデバイスの後面を揺らすことによって、例えば膝、テーブル面、ベッド等の面の上などで制限された身体能力でもデバイスを使用することができる。デバイスのドーム形部分は取り外し可能とすることができ、例えば、より細長い、または細長くない形状など、異なる形状のドームを設けて、デバイスの異なるユーザに対応し、または異なる動きを促すようにすることができる。他の動きの補助を設けることもでき、例えばローラまたはボール機構などを後面に設けることができる。デバイスは、例えばユニバーサルジョイント等を通してデバイスと連接または連結することのできる、例えばガイドワイヤまたはサポートアームから懸架することもできる。
【0017】
ディスプレイスクリーンは、例えばスクリーンの周辺部に沿って高さ断面を変えることができる、スクリーンの前面に突き出て輪郭を形成することができる壁を周辺部の周りに含むことができ、スクリーンがユーザに対して傾いたときスクリーンの一部が見えにくくなるようにすることができる。これにより、スクリーン画像の遮断された部分を見るためにタブレットデバイスを動かすよう促すことができる。
【0018】
デバイスの動作センサは任意の適切な形状をとることができ、デバイスは例えば任意の適切な慣性測定ユニットを組み込むことができる。ジャイロスコープおよび/または加速度計を使用することもできる。デバイスは3次元における動きを感知することができ、3軸における平行移動およびこれらの軸周りでの回転を感知することができる。デバイスはピッチ、ロールおよびヨー、ならびに3つの垂直軸における加速度を判断することができる。
【0019】
ディスプレイスクリーンは、任意の適切な形態をとることができ、例えばTFTスクリーンなどのLCDスクリーンとすることができる。ディスプレイスクリーンは、表示された3次元シーンが物理的3次元空間にあるように見えるように、立体映像スクリーンを含むことができる。
【0020】
ディスプレイスクリーンはまた、患者がデバイスと対話することができる他の方法を提供するように、タッチスクリーンを組み込むこともできる。タッチスクリーンによって、患者はシーン内の物体を選択し、機能を起動し、またはシーンの中で動かすことができる。タッチスクリーンは、例えば抵抗性、容量性、赤外線、弾性表面波またはひずみゲージなど、任意の適切な形態をとることができる。
【0021】
コントローラは任意の適切な形態をとることができ、関連するメモリおよびビデオ機能を備えた適切にプログラムされたマイクロプロセッサとすることができ、適切なオペレーティングシステムおよびアプリケーションで実行することができる。コントローラは単一ユニットとすることができ、または、例えば別個のビデオプロセッサ、別個の動作プロセッサ等、いくつかの別個のコントロールユニットを含むこともできる。
【0022】
コンテンツはいくつかの異なるタイプの対話型経験を提供することができる。コンテンツはストーリーブックまたはゲームを提供することができる。コンテンツは3次元環境の探索を可能にし、その環境内で見られるエンティティとの対話を可能にする。コンテンツは、探し出し型の経験またはスキルベースの経験を提供することができる。コンテンツは、複数回の訪問にわたって興味を保持するように設計することができ、ストーリーのいくつかの様々なチャプター、ゲームのレベル等を含むことができる。タブレットデバイスまたは一組のセレクター要素または小像とともに、補足的なストーリーブックを含めることもでき、これをデバイスの使用中に介護者が患者に読み聞かせることができる。
【0023】
一実施形態では、デバイスはコントロールボタンを含まない。他の実施形態ではボタンを設けることもできるが、その数は一般に少なく維持され、例えばタッチパッドなど簡単に作動できるものとする。ボタンは例えば、デバイスのコンテンツをスタート位置にリセットし、ディスプレイスクリーン上のシーンにズームインおよびシーンからズームアウトし、またはオン/オフ機能を提供するように設けることができる。ボタンはまた、例えばスクリーン上の特定のエリアまたはターゲットの中にある、シーン内に示されたエンティティを選択するなど、例えば選択のアクションを含む他の機能を提供することもできる。ボタンはコンテンツ特有とすることができ、ロードしたコンテンツごとに異なる機能を提供することができる。
【0024】
装置は、例えばトークンまたはフィギュアの形態とすることができるタンジブルなセレクター要素またはアーチファクトを含むことができ、例えばコンテンツまたはアクションを選択するため、特定のストーリーまたはゲームを選択するため、ストーリーまたはゲームの中で新しいチャプター、シナリオまたはレベルを選択するため、新しいキャラクターまたは難易度を選択するため、あるいは、例えばコンテンツのパラメータまたはパラダイム、例えばスキルベースのゲームではなく探し出し型のゲームなど、コンテンツの何らかの他の選択を提供するために、例えばタブレットデバイスのソケットなどの入力部に患者が挿入することができる。セレクター要素はまた、アクションをコントロールするために使用することもできる。例えば、デバイスを使用してビデオを見る場合、セレクター要素を使用して早送りまたは巻き戻し機能を開始することができる。コンテンツセレクターは、タンジブルメニューを提供する物理的に具現化されたメニュー要素として見ることもできる。装置は、患者が関連するコンテンツを選択または変更するためにデバイスに手で挿入することができる、1組のそのような要素を含むことができる。要素の組はストーリーの様々なチャプターまたは様々なゲームのレベルと関連させることができる。
【0025】
セレクター要素は多くの様々な方法で設けることができ、例えば、適切な識別子を備えた小像の形状とすることができる。セレクター要素はまた、カードまたはディスクの形状あるいは何らかの他の形状とすることもできる。選択機能を提供する物理的要素の使用は、オンスクリーンのメニュー等に対して、使用が簡単であり、直感的な形態でユーザに追加的な程度の対話およびコントロールを提供するという利点を有する。
【0026】
セレクター要素を識別するために、デバイス内の読取装置によって読み取られる識別要素を有することもできる。これは要素上のパターンとすることができ、または要素上のメモリ内に保存されたデータとし、メモリからのデータをタブレットデバイスに送信することができる。パターンは、例えば光学的、電気的または機械的に読み取ることができ、1次元または2次元バーコード、導電体アレー、ピンアレーまたはカメラ読取可能なパターンの形態とすることができる。セレクター要素はまた、データをタブレットデバイスに送信するために、例えばRFIDタグなどの送信機をその中に含むこともできる。
【0027】
セレクター要素は、すでにタブレットデバイス内に保存されている、例えばシナリオまたはキャラクターなどの識別データを提供するだけとすることもでき、あるいは、例えばシナリオまたはキャラクターなどのコンテンツを生成するためのデータを提供することもできる。セレクター要素はまた、シナリオ、ゲーム等を実行するためのコンピュータコードを提供することもできる。
【0028】
1つの好ましい形態では、セレクター要素は、例えばデバイスの前面上のソケットなど、タブレットデバイスへと差し込むことができる複数のフィギュアを含む。フィギュアはその基部にマーカーなどのデータ要素を有することができ、これをタブレットデバイスが読み取ることができる。マーカーはカメラによって読み取ることができ、タブレットデバイスはマーカーを照明するための、例えばLEDなどの光源を含むことができる。
【0029】
セレクター要素はタブレットデバイス上で可動とすることができ、タブレットデバイスはセレクター要素のための動作センサを含むことができる。次いで、セレクター要素を動かすことによって、例えばスクリーン上に表示された3次元環境内での視点を動かし、または変化させることができるなど、デバイスと対話することができる。したがって患者は、タブレットデバイスの動き、および、例えば小像などのセレクター要素の動きを通して、3次元環境と対話することができる。
【0030】
デバイスはカメラを含むことができる。これは、デジタル画像を取り込み、次いでスクリーン上に表示することができるようにするために使用することができ、例えばバーチャルな特徴を現実世界の画像上に重ね合わせ、または他の方法で混合するデバイスなど、現実増強デバイスを提供することができる。デバイスはまた、取り込んだ画像を処理して特徴を抽出し、抽出された特徴に基づいて様々な機能を開始することもできる。例えば、カメラはセレクター要素上のマーカーを取り込むことができ、デバイスは、セレクター要素が表すキャラクターまたは機能を判断するように、画像を処理することができる。デバイスはまた、カメラによって取り込まれた一般的な画像を処理することもでき、例えば、エッジ、フォーム、パターン、色および/または動きなど、取り込まれた写真内に見られる特徴に基づいて音声または画像を生成し、またはアクションを行う。したがって、デバイスを傾斜することによって、動作センサの出力による、表示されたシーン内での変化が生じるだけでなく、タブレットデバイスを動かすときカメラが捕らえた画像内の変化による、表示されたシーン内での変化も生じることがある。カメラは、例えばデバイスの最上部に向くように設けることができる。タブレットデバイスは、ユーザが取り込む画像を選択できるようにコントロールを含むことができる。
【0031】
カメラは多くの様々な機能を提供することができ、患者にデバイスとの対話およびやり取りを大きく増加させることができる。カメラは静止画像カメラまたは動画カメラとすることができ、例えばウェブカメラとすることもできる。カメラはデバイス上の任意の適切な位置に取り付けることができる。1つの好ましい形態では、カメラはデバイスの前面にユーザに面して設けられている。これによりユーザはスクリーン上に自分自身を簡単に取り込むことができる。また、ユーザがデバイスを膝の上等に保持する場合、カメラはデバイスの後側に取り付けられると、隠れることがある。
【0032】
カメラは、デバイスのための動作感知システムの一部として形成することもでき、取り込まれた画像はカメラの視野内のマーカーを処理することができる。次いで、マーカーに対するカメラの相対位置およびタブレットデバイス自体の相対位置を判断するために、マーカーの位置または向きを判断することができる。一実施形態では、マーカーは、例えばジンバル方式で、デバイス上に取り付けられたマーカーおよび加重を有する物体の上に設けられている。デバイスが回転するとき、物体はカメラから一定の距離で垂直のままであり、物体とカメラの相対的な向きはデバイスの動きとともに変化する。この変化は物体上のマーカーの向きを処理することによって検出することができ、デバイスの位置および動きに関する情報を提供する。上述のセレクター要素が可動である場合、セレクター要素はマーカーを有することができ、カメラを使用してマーカーを撮像することができる。次いで、マーカーの向きを使用して、セレクター要素の動きを検出することができる。
【0033】
デバイスはバイオフィードバック機能を含むことができる。例えば、心拍数、血圧、脳活動、筋緊張、皮膚の導電性、呼吸数、酸素飽和度および全身のバイオメトリクス等、患者の生理学的条件を監視するためのセンサを含むことができる。センサの出力によって、患者は、例えばスクリーン上に提供されたデジタルコンテンツを変えるなど、デバイスと対話できるようになる。デバイスは、ある状態に対する生理学的反応のコントロールにおいて、ユーザの特定の生理学的状態に従ってある機能を提供する、または身体的状態の視覚化をユーザに提供することによって、患者を補助することができる。デバイスは、例えば心拍数センサ、温度センサまたは皮膚導電性センサとすることができる。デバイスはECG(心電図)、EEG(脳波図)またはEMG(筋電図)デバイスを含むことができる。
【0034】
一実施形態では、デバイスは、例えばデバイスのハンドグリップに取り付けられた心拍数センサを含むことができ、心拍数に基づいてコンテンツを変化させることができ、例えば心拍数の視覚化によって、および/または心拍数が設定された基準と一致すると所望のアクションをとることができるようにすることなどによって、心拍数の低下を患者に促すようになっている。
【0035】
デバイスはまた、触覚によるフィードバックをユーザに提供することもでき、例えば特定の対話によってデバイスが振動等を行うことができる。したがって、デバイスは、ユーザの対話に従って振動する振動モータなどの振動要素を含むことができる。
【0036】
デバイスは、例えばマイクロフォンなど、周囲の音声に反応するため、およびデバイスを音声に反応させるための、音声センサを含むことができる。デバイスは、例えばナレーション、音声効果等の音声を患者に対して発するための、例えばマイクロフォンおよび/またはイヤフォンを含む音声発生装置を含むことができる。デバイスは、環境への没入をさらに増加するために、サラウンド音声または空間音声装置を含むことができる。
【0037】
デバイスは、例えばコンテンツの受取りおよび/または処理サポートの提供のために、例えばデジタルコンテンツストアまたはコントローラ等の外部デバイスへのリンクを含むことができる。デバイスは通信ケーブルによって外部回路に接続することができ、これは線で繋がれたデバイスでも同様であるが、ワイヤレス接続が好ましい。デバイスは例えばBluetooth(商標)またはWi−Fi接続等を使用することができる。
【0038】
デバイスは好ましくは治療エリアの必要性に関連してある程度頑丈であるように製造されており、好ましくはハウジングは耐水性であり、患者がデバイスを治療槽等で使用することができるようになっている。例えば、熱傷患者は水槽の中で治療する必要があることがあり、デバイスはどのような問題も起きないように十分な耐水性を持つべきである。デバイスはまた、CTまたはMRスキャン処置等で使用されるとき、適切な磁気シールドも含むことができる。
【0039】
デバイスは主電源リードを含むことができるが、完全自立型とするために電池電力とすることが好ましい。
【0040】
デバイスは、例えば熱傷の包帯交換、緊急治療、腫瘍科、放射線科、歯科等の熱傷治療を含む多くのタイプの治療での用途を有する。成人を含むあらゆる年齢層で使用することができるが、小児および1〜7歳の幼い子供でのケアにとって特に有用である。デバイスは、例えば手術前の待機など治療以外の環境で使用することもでき、一般的な医療環境で使用することもできる。
【0041】
タブレットデバイスはまた、一般的なエンターテイメントおよびディスプレイデバイスの分野で幅広い用途を有することもできる。
【0042】
他の態様によれば、本発明は手持ち式のストーリーボードタブレットデバイスを提供し、タブレットデバイスは、ストーリーからシーンを表示するためのディスプレイスクリーンが中に取り付けられたハウジングと、タブレットデバイスの動きを感知するための動作センサと、表示されるストーリーに関連するデジタルコンテンツを保存するためのメモリと、動作センサを通してタブレットデバイスの動きを判断し、タブレットデバイスの動きに従って、上記の保存されたコンテンツからシーンを表示するためのコントローラとを有する。デバイスは、例えば、表示されたストーリーのチャプターまたはキャラクターなどのコンテンツまたはアクションを選択するための物理的セレクター要素を含む、上述の様々な特徴を含むことができる。
【0043】
様々な上述の特徴は、タブレットデバイスから独立して使用することもできる。別の態様によれば、本発明は、ハウジングと、ディスプレイスクリーンと、コントローラと、デバイスの動きを判断するための動作センサとを含む対話型ディスプレイデバイスを提供し、コントローラは、デバイスの動きに従ってスクリーン上にコンテンツを表示する。デバイスは、ディスプレイスクリーンが取り付けられたタブレットデバイス、または一方の目に1つずつの一対のディスプレイスクリーンを有することができるヘッドマウントディスプレイとすることができる。デバイスは、コンテンツを選択するため、および/または他の選択をするために、例えばメニューの代わりにディプレイデバイスに取り付けることができる、例えば一組の交換可能な物理的セレクター要素の使用を含む、上記の特徴のいずれかを含むことができる。デバイスはまた、例えば表示されたコンテンツ内の画像を使用することによって、または画像から様々な機能のためのトリガーまたはコントロールパラメータとして使用することができる特徴を抽出することによって、さらなる対話を提供するように処理することができる画像を取り込むための、例えばカメラを含むことができる。
【0044】
マーカーの画像を取り込むため、およびマーカーとカメラの相対的な向きを判断するためにカメラを使用することは、一般的な用途を有する特徴の別の例である。カメラは、例えばゲーム機、ヘッドマウントディスプレイおよび任意の他の位置感知型電子機器製品など、任意の適切な応用分野で一般的な動作センサとして使用することができる。
【0045】
したがって、別の態様によれば、本発明は、互いに一定距離だけ離間して取り付けられたカメラおよびマーカー要素を含む動作センサを提供し、カメラおよびマーカー要素は互いに対する向きが相対的に可動であり、カメラは上記のマーカー要素のパターンを取り込むように適合されている。これにより、カメラによって撮られたマーカー要素の画像を処理して、マーカー要素のパターンの向きおよび2つの間の相対的な向きを判断することが可能になる。好ましくは、カメラは定位置に固定されており、マーカー要素はその向きを変えることができる。カメラは、手持ち式タブレットディスプレイデバイスなどのデバイスに固定することができ、マーカー要素は一般に、例えば垂直のままとなるように重み付けすることによって、または例えばブラケット等の固定されたアンカーに取り付けることによって、定位置または定方向に固定することができる。次いで、例えばタブレットデバイスなどのデバイスを動かすことによって、カメラとマーカー要素の相対的な向きを変化させ、取り込まれた画像を処理することによって、この変化の情報を提供し、例えば表示されたシーンの変化など、適切なアクションをとることを可能にする。
【0046】
本発明のこの態様は、マーカー要素のためのマウントデバイスを提供することとしても見ることができ、マウントデバイスは、支持体と、支持体上に可動に取り付けられて、停止の向きに付勢されるように重み付けされたマーカー要素と、マウントデバイスをカメラまたはカメラマウントに固定するためのカメラマウント手段とを含み、支持体はカメラに対して一定関係で保持されるようになっている。
【0047】
マウントデバイスは手持ち式スクリーンに取り付けることができ、ヘッドマウントカメラシステム内に組み込むことができ、または動作感知型に作製された任意のデバイス内に設けることができる。
【0048】
マウントデバイスはカメラレンズおよびマーカー要素を、LED光源などの照明を含むことができる単一のエンクロージャ内に包囲することができ、マーカーの一定照明を提供するようになっている。マーカー要素は重み付けされると、重力によって一定の向きに付勢される。カメラを動かすと、例えばスクリーンまたはヘッドマウントカメラシステムが動くことによって、カメラからマーカー要素表面、したがってカメラから見たマーカー要素パターンの相対的な向きが、それに従って変化する。カメラから送られる様々な画像から、コントローラは向きを計算することができ、向きの変化を反映するように、例えば生成された画像をそれに従って修正することができるなど、適切なアクションをとることができる。
【0049】
マーカー要素は支持体内の穴の中に枢動的に置くことができ、その下側端部に重りを有することができる。ただし、他の形態の重み付けまたは重力による付勢を使用することもできる。マウントデバイスは、少なくとも一部がカメラレンズを環境光から遮断するカウル状のハウジングを有することができる。マーカー要素は、他のマーカー要素と交換可能であるように、支持体に取り外し可能に取り付けることができ、この場合マーカーパターンは識別情報または他の情報を表すことができる。
【0050】
上述された態様のいずれも、上述された他のいずれかの態様の特徴のいずれかを含むことができ、後述されるいずれかの実施形態のいずれかの特徴を、適時含むことができることを理解されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
本発明の実施形態を、以下で添付の図面を参照しながら単に例として説明する。図面の特定性は、本発明の上述の説明の一般性に取って代わるものではないことを理解されたい。
【0052】
図1を参照すると、ダイバージョナルセラピーの装置100は、ユーザがスクリーン112に表示されたデジタルコンテンツと対話することができるようにするためのタンジブルインターフェースとして働く、手持ち式の動作感知型タブレットデバイス110、およびタンジブルコンテンツまたはメニューセレクターとして働き、適切な小像114を例えば図2に示すタブレットデバイス110のソケット116へとユーザが手で置くことによって様々なコンテンツおよび機能選択ができるようにする、1組の小像114を含む。
【0053】
小像114を使用してコンテンツが選択されると、図3に示すように、適切な3次元シーンがスクリーン112上に表示され、例えばデバイスの傾斜、回転および/または平行移動などデバイス110の動きによって、ユーザは、例えば表示された3次元環境を通して移動するなど、そのシーンと対話することができ、その環境でのエンティティと対話することができる。
【0054】
デバイス110は、例えば熱傷治療室等の病院環境で使用することができ、子供に与えて、例えば包帯交換などの治療を受けながらデバイスと対話させることができる。デバイス110は、患者の注意を治療からそらすために効果的であることが明らかにされており、したがって患者が感じる疼痛および不安を低減することが明らかにされてきた。
【0055】
タブレットデバイス110およびデジタルコンテンツはユーザに没入型の経験を提供するように設計されており、デバイス110はユーザが直感的かつ即時的な方法で、複雑なコントロール等を必要とすることなく、また医療スタッフの助けをさほど必要とすることなく、コンテンツと対話することができるようにする。
【0056】
タブレットデバイス110は、その前面に、LCDスクリーン等とすることができるスクリーン112が取り付けられている、円形のハウジング118を含む。ハウジング118の周辺部にハンドグリップ領域120が設けられており、一対の主ハンドグリップ122が、例えばスクリーン112によって規定されるデバイス110の全体的水平方向軸に対して斜めに設けられている。ハンドグリップ122を斜めに配置することによって、ユーザがタブレットデバイスを手に取ると、ハンドグリップ122が水平方向になるまで、すなわち水平軸に沿って位置合わせされるまで、すぐにタブレットデバイス110を回転するようユーザを促す。このアクションによって、表示されたコンテンツシナリオにすぐに動きが生じ、ユーザはすぐにデバイス110と対話できるようになる。
【0057】
デバイス110は、やはり動きを促すために、スクリーン112の周辺部の周りに、ある視角ではスクリーン112の一部が遮断されるようにスクリーン112から突き出し高さが変化している輪郭壁124を含むことができる。これは、シーンの遮断された部分が見えるようにするために、ユーザがデバイス110をあちこちに動かすよう促すことができる。
【0058】
デバイス110はまた、様々な機能を可能にするために、タッチパッドの形態のボタン126も含む。ボタンは、例えば、表示されたコンテンツをスタート位置にリセットすることができ、または表示されたシーンへのズームインまたはシーンからのズームアウトを可能にする。ボタンの機能は、表示されているコンテンツおよび提供されているストーリーまたはゲーム等に応じて変えることができる。ボタンは、ユーザがハンドグリップ122を持っているとき、親指を使って簡単に起動できるように配置されている。
【0059】
一実施形態では、ボタンは設けられておらず、例えばデバイス110を動かすことによって、機能と関連付けることができる様々な特定のタブレットデバイスの動きを通して、そのような機能を提供することができる。例えば、タブレットデバイスの前方または後方方向へ平行移動する動きを、ズームインまたはズームアウトのトリガーとすることができ、デバイスを強く振ることによってリセットを行うようにすることができる。
【0060】
図4を参照すると、タブレットデバイス110は、ジャイロスコープおよび/または加速度計などいくつかの動作センサとすることができ、例えば慣性運動検出器ユニットとすることができる、動作センサ128を収容している。動作センサ128はタブレットデバイス110の位置および動作を監視する。デバイス110は、動作センサ128の出力からタブレットデバイス110の動きおよび位置を判断し、判断された動作に基づいてスクリーン112に適切なコンテンツを提供する、コントローラ130を含む。
【0061】
コントローラ130は、例えばタッチパッド126から、他の形態の対話を可能にするための他の入力も受け取る。様々なタイプの対話によって、デバイスへのさらなる興味および没入がユーザにもたらされる。他の入力には、音声を検出するためのマイクロフォン132および、例えばディスプレイスクリーン112の上に取り付けられたタッチスクリーン134を含むことができる。タッチスクリーン134は、例えば3次元環境における機能または指示を選択するため、またはスクリーン等の上のソフトボタン/起動領域を押すために使用することができる。
【0062】
他の入力を生理学的センサ136から受け取ることもできる。生理学的センサ136はいくつかの形態をとることができ、心拍数、血圧、脳活動、筋緊張、皮膚の導電性、呼吸数、酸素飽和度、全身のバイオメトリクス等を測定することができる。生理学的センサはECG、EEGまたはEMG情報を提供することができる。次いで、ユーザは生理学的条件のコントロールに基づいてコンテンツと対話することができ、デバイスは、例えば条件を結果等と関連付ける、または条件をユーザに見えるようにすることによって、ユーザに条件をコントロールするよう促すことができる。一実施形態では、ハンドグリップ122はユーザの心拍数を監視するように関連付けたECG電極を有することができ、ユーザは、心拍数が低くなった場合、例えばデバイスがユーザにタスクを完了させ、または3次元環境における視界を変化させることによって、報酬を受け取ることができる。
【0063】
小像114はタンジブルな選択機能を提供し、任意の適切な方法でタブレットデバイス110によって認識することができる。例えば、デバイス110内の読取装置によって読み取られるRFIDタグを小像に取り付けることができる。小像114には、1次元または2次元バーコード、導電体アレー、ピンアレー等を含む、光学的、電気的、または機械的に読取可能なパターンを使用することもでき、次いで、デバイス内の適切な読取装置によって読み取ることができる。
【0064】
図4を参照すると、小像114は基部にマーカーパターン138を有することができ、タブレットデバイス110はソケット116内に取り付けられたカメラ140およびLED142を有することができる。LED142はマーカーパターン138を照明し、カメラ140はマーカー138の画像を取り込む。次いで、適切な画像処理ソフトウェアを使用して、取り込まれた画像を処理してマーカーパターン138を識別することができ、コントローラは、例えば本またはゲーム等の特定のキャラクター、チャプターまたはレベルなど、小像のアイデンティティに従って、例えばマーカーパターンに関連付けられたコンテンツを表示するなど、適切なアクションをとることができる。小像によって、ビデオ等の早送りまたは巻き戻しなどの機能の選択も行うことができる。
【0065】
タブレットデバイス110は、コンテンツをディスプレイ112に出力するとともに、他の出力および刺激も提供する。例えばナレーション、音楽、音響効果等の音声出力を、例えばスピーカ144を通して、例えばサラウンド音声デバイスを使用して提供することができ、例えばストーリーまたはゲームで特定のイベントが起きるとき、例えばある条件でデバイス110を振動させる振動モータ146を通して、触覚のフィードバックを提供することができる。
【0066】
コントローラ130はまた、ワイヤレス送受信機、USB接続等を含むことができる適切な入力/出力モジュール148を含むことができる。これにより、デバイスは、例えばデータキャリア、データベース、ネットワークサーバ等から新しいコンテンツ等をダウンロードし、および/または外部処理デバイスに接続することが可能になる。小像114はまた、データキャリアとして働くこともでき、特定のシナリオ等と関連付けられたデータを提供することができる。例えば、送受信機または電気コネクタを通してアクセスすることができる小像に、適切なメモリを取り付けることができる。
【0067】
デバイスは再充電可能な電池150によって電力供給することができ、コントローラ130によってアクセス可能な、デジタルコンテンツ、アプリケーション、オペレーティングシステム等を保存するためのメモリ152を含むことができる。
【0068】
コントローラ130は、マイクロプロセッサまたは任意の他の適切な処理要素とすることができる。これは単一ユニットとする必要はなく、例えば別個のグラフィックプロセッサ、動作プロセッサ等、いくつかの処理ユニットを含むことができる。
【0069】
カメラ140または他の別個のカメラもまた、他のタイプの対話を提供するために使用できる。例えば、小像114が定位置にないとき、カメラ140は他のデジタルコンテンツと組み合わせてスクリーン112上に表示することのできるデジタル画像を取り込むことができる。したがって、現実およびバーチャル画像データが互いに組み合わされる現実増強デバイスを提供することができる。カメラ140によって取り込まれた画像を処理して、例えば形状、色、動き等の画像内の特徴を識別することもでき、これらの特徴を使用して、例えば表示されたコンテンツ、発せられた音声等を変化させるように、デバイスと対話することができる。これによってさらなるレベルの対話を提供することができ、デバイスを動かすことによって、デバイス自体の動きおよびそれにより生成された、動いている間カメラによって取り込まれた一連の画像の両方を通して対話することができる。画像は、例えばカメラ画像をスクリーン112上に表示することによって、およびタッチパッド126の1つが押されたとき画像を取り込むことによって、ユーザ選択可能とすることができる。
【0070】
カメラ140は静止画カメラまたは動画カメラとすることができ、ウェブカメラとすることもできる。カメラは図に示すように、タブレットデバイス110に前向きに面するように取り付けることができ、デバイスの最上部に向くように取り付けることができる。このカメラを使用して小像114の感知および上記のさらなる対話の提供の両方を行う必要はなく、このために他のカメラを設けることができる。
【0071】
図5はタブレットデバイス110を通る断面図であり、デバイスの様々な部分の可能な配置を示している。図5はまた、使用していないとき面上に置くためのラバーフット154を有するデバイスを示す。図示された実施形態では、スクリーン112、タッチスクリーン134および主処理ユニット130が同じサブユニット内に設けられており、動作センサ128からの信号を主プロセッサ130に送る前に、プリプロセッサ130aを使用して前処理する。ただしこのような配置は必ずしも必要ではなく、例えばプロセッサを互いに組み合わせることもでき、ディスプレイスクリーンをプロセッサと別個にすることもできる。
【0072】
カメラ140はフォーカスリング156および保護レンズ158を含み、マグネット160によって小像114を定位置に保持することができる。
【0073】
図6および7は他の実施形態を示し、第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態と同様の要素には、同じ番号だがこれらに100を加えたものが付されている。デバイス210はラバーフット154の代わりにドーム形の後方部分270を含む。このドーム形部分270によって、ユーザはタブレットデバイス210を、例えばテーブル面、ベッドまたは患者の膝の上などの面上で回転することができ、それにより、身体能力が限られていることがあるユーザを補助することができる。ドーム形後方部分270は、第1の実施形態の基本的なタブレットデバイスに付属品として設けることができ、例えばより細長い、または細長くないなど、多くの様々なドーム形状を設けることができる。
【0074】
ドーム面270の代わりに、デバイスはローラまたはボールアタッチメントを備えることができる。また、デバイスはブーム上に懸架することができる。デバイスはガイドワイヤによって、またはサポートアーム上に取り付けることができ、例えば、ユニバーサルジョイントなどを介して連接されたアームに取り付けることができる。
【0075】
図8および9はデバイスの別の実施形態を示し、これは、スクリーン312およびそれ自体でも他の動作センサでも使用することができる代替タイプの動作センサ370を有する、長方形のタブレットデバイス310を使用する。
【0076】
動作センサ370は、例えば修正された小像などのマーカー要素378のための支持体376を有するカウル状のハウジング374を含む、マーカーマウント372を含む。支持体376は、半球体を有するマーカー要素378を中に置くための円形の開口または穴を有するプレートの形状である。この単純な配置は、マーカー要素378に、支持プレート376に平行な2つの垂直軸の周りでの回転自由度、ならびに支持プレート376に垂直な軸の周りでの回転自由度を与える、効果的なジンバルマウントを提供する。しかし、マーカー要素378を支持体376内で枢動的に取り付けるためには、様々なタイプのジンバルマウントなど、他の構造を使用することもできることを当業者であれば理解するであろう。
【0077】
適切には、マーカー要素378の本体と支持体376との間の摩擦が、マーカー要素378の支持体376内での枢動運動を妨害しないレベルにまで低減される。修正された実施形態では、支持プレート376が、半球体の下方のマーカー要素のネックの周りにある。言い換えると、マウントは支持プレートの穴の中にあるネック部分を有するマーカー要素を含み、ネック部分にはヘッド部分が載っており、ヘッド部分は、ネック部分が少なくとも2つの垂直軸の周りで振り子のように揺動できるようにする、丸み付けされた下側を有する。
【0078】
マーカー要素378は平坦な上面380を有し、その上に独自の識別パターンが設けられている。例えば小像の体部分などの重り382がマーカー要素378から吊り下がり、マーカー/重りの組合せを、(マーカー面380が全体的に水平になるように)全体的垂直方向に付勢している。ただし、マーカー面380は必ずしも水平でなくてもよいことは、当業者には明らかであろう。重り382は、マーカー面380を水平に対して一定の向きに付勢するのに十分である。
【0079】
重り382は好ましくは、ユーザが把持することができるハンドルの形状である。
【0080】
マーカーマウント372はまた、例えばウェブカメラなどのカメラ386のためのカメラマウント384も含む。このように、カメラ386はハウジング374および支持体376に対して固定されている。
【0081】
マーカー378およびカメラ386は好ましくは、マーカー面380がカメラ386の焦点面または焦点領域あるいはその付近にくるように互いに対して配置されている。
【0082】
マーカーマウント372はまた、マーカーマウント372を手持ち式デバイス310に取り付けることができるように、クリップ様のアタッチメント388を含む。
【0083】
使用の際は、マーカー面380上の画像がカメラ386によって取り込まれ、プロセッサに送られ、そこで画像が認識され、例えばグラフィックなどの対応するコンテンツが生成される。ユーザがディスプレイスクリーン310を重み付けされたハンドル382に対して動かすと、スクリーン310とマーカー378との間の相対運動、したがってカメラ386とマーカー面380との間の相対運動が生じる。例えば、スクリーンが重み付けされたハンドル382に対して傾斜すると、マーカー面380はカメラ386に対して傾斜する。スクリーンが重み付けされたハンドル382の周りを回転すると、マーカー面380はカメラレンズ386に対して回転する。そのようなマーカー面380とカメラ386との間の相対運動は、カメラ386から見えるマーカー面380上の画像の変化を認識する処理ソフトウェアによって検出される。処理ソフトウェアは、スクリーン312上に表示されるコンピュータ生成グラフィックの向きを結果的に修正する。したがってユーザは、手持ち式スクリーン310を回転することによって、コンピュータ生成グラフィックが、ユーザとスクリーンとの直接対話によってコントロールされているという印象を受け、それによりコンテンツへの高い没入度がユーザに提供される。
【0084】
マウント372は、マーカー378および少なくともカメラ386のレンズを、単一のエンクロージャまたはハウジング内に組み込んでいる。これにより2つの利点を提供することができる。まず、マーカー面380上のマーカー画像が、カメラ386の焦点または焦点付近に自動的に維持される。次に、実質的に閉鎖されたカウル状のハウジング372が、外部照明条件の影響を排除し、マーカー画像が一定または均一の光のもとで見えるようにする。
【0085】
図10から13は、ヘッドマウントデバイス410での使用に適切な、図8および9の動作センサの別の実施形態を示す。一般に、デバイス410はユーザが装着する一対の眼鏡の上に取り付けられており、眼鏡はそれぞれの目の前方にディスプレイスクリーンを有する。デバイス410は取り外し可能なマーカーマウント412を備えている(図13に、より明瞭に示す)。
【0086】
様々な画像の生成を可能にするように、様々なマーカーマウント412をデバイス410に交換可能に取り付けることができる。
【0087】
脱着可能なマーカーマウント412は、溝416を中に有するカウル状のハウジング414を有する。マーカーマウント412がヘッドマウントデバイス410に取り付けられているとき、溝416はデバイス410上でスタッドまたはボス418の上にクリップされる。これによりマーカーマウント412はデバイス410上に確実に維持されるが、手動での取り外しおよび所望のマーカーマウントへの取り換えが可能である。他のマウント方法も可能である。
【0088】
図12および13ではより明瞭に示すように、マーカーマウント412は、開口または穴を中に有する支持プレートの形態の支持体420を含む。マーカー要素422は支持プレート420の開口内にある。マーカー要素422は、支持体420の穴の中または下にあるネック部分を有し、丸み付けされたヘッド部分は少なくとも一部が穴の上方にある。好ましくは、マーカー要素422は、そのネック部分がオーバーサイズの穴の中にあり、ネック部分には拡大されたヘッド部分が載っており、ヘッド部分は、ネック部分が少なくとも2つの垂直軸の周りで振り子のように揺動できるようにする、丸み付けされた下側を有する。これにより、マーカー要素422は、図8および9の実施形態を参照して上記で説明したように、ジンバル様配置で支持プレート420内で支持される。また、マーカー要素の必要な自由運動を可能にする任意の他の適切なマウント配置を使用することもできる。
【0089】
マーカー要素422は、使用の際に独自の画像を有する、全体的に平坦な上面424を有する。マーカー要素422はネックおよびヘッド部分から吊り下がる、下側の重み付けされた部分426をさらに含む。図8および9の実施形態の重み付けされたハンドル382と同様に、重み付けされた部分426はマーカー要素を付勢して、マーカー面424が一定の向き(一般に水平方向であるが、必ずしも水平方向でなくてもよい)に維持されるようにする。
【0090】
デバイス410は、カメラ430を取り付けるためのカメラ支持体428を含む。マーカー要素およびカメラは互いに対して離間しており、マーカー面424がカメラ430の焦点または焦点領域にあるようになっている。
【0091】
マーカーマウント412がユーザの頭部に装着されたデバイス410に取り付けられると、例えば頷きなどのユーザの頭部の動きによって、マーカー面424とカメラ430との間の相対運動が生じる。特に、カメラはユーザの頭部とともに動くが、マーカー要素424は、支持体420内の開口の中で動くことによって、一定(垂直)の向きを維持するように重力によって付勢される。カメラとマーカー要素との間のこれらの相対的な変化は検出され、デバイス410に関連付けられた眼鏡に供給されるコンピュータ生成画像は、それに従って修正される。
【0092】
図10〜13の脱着可能なマーカーマウント412は、図8および9の実施形態のマーカーマウントの利点を有し、また、小型で軽量でありヘッドマウントディスプレイに取り付けることができるという利点も有する。
【0093】
図8および9または図10から13のデバイスは、例えばバーチャルブックの新しいページをコンピュータスクリーン上にロードし、次いで各マーカー要素を使用して対話することができるようにする。ユーザは、手持ち式スクリーン310を操作することによって、あるいはヘッドマウントディスプレイおよび動作デバイス410を使用している場合は頭部の動きを使用することによって、例えばスクリーン上に表示された画像の回転またはズームインまたはズームアウトを行うことができる。手持ち式スクリーン装置および動作センサあるいはヘッドマウントディスプレイ装置および動作センサを使用して、子供が受けている治療または子供が経験している疼痛から子供の注意をそらし、または転換することができる。
【0094】
以上、本発明を主にダイバージョナルセラピーの提供に関連して上記のとおり説明したが、デバイス自体およびその様々な特徴はまた、幅広い応用を有し、一般的なエンターテイメントおよびゲームのシナリオに使用することもできる。
【0095】
例えば、図8から13の実施形態に示すように、一定距離だけ離間して取り付けられるが互いの向きが相対的に可動であるカメラおよびマーカー要素を使用する動作センサは、動作感知能力を必要とする任意のデバイスで、一般的な動作センサとして使用することもできる。
【0096】
さらに、物理的メニュー要素として働く、例えば一組の置換可能なマーカー要素またはアーチファクトなどの物理的セレクター要素の使用は、多くの他の分野でも使用することができる。
【0097】
動作による対話の他にもデバイスとの追加的な対話を提供するために、画像を取り込むためのカメラを含む手持ち式の動作感知型ディスプレイデバイスはまた、一般的にも有用である。
【0098】
上述の部品には、本発明の範囲から逸脱することなく様々な改変、追加および/または修正を行うことができ、上記の教示に照らして本発明は、当業者には理解されるであろう様々な方法で、ソフトウェア、ファームウェアおよび/またはハードウェアにおいて実施することができることが理解されよう。
【0099】
[実施例]
急性熱傷の子供において、鎮痛剤および鎮静剤の補助として、図8に示すものと同様の手持ち式ストーリーボードの動作感知型タブレットデバイスを使用して、このようなダイバージョナルセラピーデバイスの有効性を試験した。
【0100】
[第1相臨床試験]
本試験に参加した42人の子供が合計56回の包帯交換を受けた。男児29人および女児13人であり、年齢は3.5〜14歳(平均年齢9歳)であった。全熱傷面積を小児用Lund and Browderの図表から推定し、1〜16%(平均TBSA=5%)であった。患者は治療群(n=20、包帯交換は合計24回)および対照群(n=22、包帯交換は32回)に無作為に割り付けられた。複数回の包帯交換が必要であった場合は、もとの試験群のままとした。すべての包帯交換は同一の処置室で行った。治療群では、包帯交換前および包帯交換中に手持ち式デバイスを使用した。
【0101】
対照群では、ポジティブ強化などの基本的多次元認知法、リラクゼーション、年齢に合ったビデオプログラムを使用した。熱傷部位または知能障害に基づいて除外された子供はいなかった。無作為割付けの前に鎮静剤を投与し、すべての子供は体重あたりの用量に基づいて算出された標準薬物用量を服用した。最も頻繁に投与された薬物はパラセタモール/コデインまたはオキシコドンであった。投与された他の薬物には、ミダゾラム経口投与、モルヒネ静脈内投与および亜酸化窒素吸入が含まれた。
【0102】
脈拍数(PR、1分あたりの拍動数)および室内での酸素飽和度(SaO2)をパルスオキシメータで記録した。呼吸数(RR、1分あたりの呼吸数)も記録した。疼痛スコアは年齢に合った臨床的に検証されたツールを使用して算出し、子供がそれぞれ0〜5の標準疼痛スコアを記録できるようにした。3〜4歳の子供および言葉で表現のできない子供の疼痛スコアは、顔、脚、活動、泣きおよび精神安定性(Faces,Legs,Activity,Cry and Consolability、FLACC)の疼痛評価ツールを使用して算出した。言葉で表現のできる4〜8歳の子供の疼痛スコアは、改良型フェイス疼痛スケール(Faces Pain Scale−Revised、FPS−R)を用いて測定した。8〜14歳の子供の疼痛スコアは、自己報告によるビジュアルアナログスケール(Visual Analogue Scale、VAS)によって測定した。
【0103】
個々の子供についてのすべての臨床測定値の記録は、全処置に立ち会った同一の治験担当医師が行った。包帯交換の開始前に臨床測定値を記録し、ベースライン値とした。その後、包帯交換の完了まで10分間隔で記録を行った。
【0104】
包帯交換の完了後、手術後臨床測定値も10分後に記録した。10、20および30分間隔の臨床測定値を解析した。次いで、包帯交換中に子供に付き添った親または保護者に、処置中の子供の全体的な疼痛レベルをビジュアルアナログスケール(VAS0〜5)でスコア評価するよう求めた。
【0105】
使用されたストーリーボードタブレットデバイスは7インチLCDスクリーンからなり、寸法は300×200×500ミリメートル、重量は1,000グラムであり、600×800解像度の能力を有した。デバイスは、3.00GHz、2GB RAM、NVIDIA Deforce 6800TTMグラフィックカードを備えたIntel Pentium (登録商標) 4コンピュータとの接続を必要とした。システムはスクリーン上に取り付けられたカメラユニットにプラスチック製フィギュアを挿入することによって作動した。小像は最上部にカメラユニットによって取り込まれるアイコンを有し、それにより3次元キャラクターのアニメーションを生成した。フィギュアをカメラユニット内部で操作することによって、子供は多角度からキャラクターを見ることができた。子供は音声ナレーションに促されて、タスクを実行し、新しいフィギュアを選択することにより次のフィギュアのアニメーションに進んだ。親または介護者がストーリーを説明し、付随のストーリーブックを使用して子供を促すことができた。
【0106】
2つの試験群からの臨床測定値の各コホートおよび親による疼痛評価に、標準t検定を適用した。親による疼痛スコア、脈拍数、呼吸数および酸素飽和度は、処置前の測定値との間隔値を比較することによって解析した。間隔測定値には標準誤差(SEM)を算出した。
【0107】
治療群と対照群の間には、統計的に有意な差異はなかった。2つの試験群間で、年齢(p=0.397)、全熱傷面積(p=0.923)または処置前疼痛スコア(p=0.775)、処置前臨床測定値(PR、RR、SaO2および疼痛スコア)に有意な差異はなかった。それぞれの子供に行った包帯交換の平均時間もまた、2つの試験群間で有意な差異はなかった(対照群=34.1分、治療群=33.8分;p=0.994)。2つの試験群間の性別分布は、治療群では20人のうち男児17人、女児3人であり、対照群では22人のうち男児13人、女児9人であった。ストーリーボードタブレットデバイスの使用による副作用を報告した子供または親はいなかった。
【0108】
対照群と比べて治療群では、患者の疼痛は10分で有意に低下した(p=0.015)。これは30分間隔でも再現された(p=0.017)。20分水準では、対照群と比べて治療群では疼痛スコアは低下したが、統計的有意性は示さなかった(p=0.08)。4人の患者がストーリーボードタブレットデバイスを使用して2回の別個の包帯交換を受けた。2回の包帯交換の10、20および30分では、これらの子供の疼痛スコアに有意な差異は見られなかった。
【0109】
親または保護者による、包帯交換全体に対する子供の疼痛レベルの評価は、対照群と比べて治療群で有意に低下した(p=0.015)。
【0110】
対照集団の呼吸数(RR)は、処置前呼吸数と比べて10、20および30分間隔で、持続的に上昇した。呼吸数は、対照群と比べて治療群で、10分(p=0.005)および20分(p=0.014)で有意に低下した。10分および20分では、治療群の呼吸数は処置前呼吸数より低かった。30分では、治療群の呼吸数は対照群の呼吸数より低い傾向にあったが、統計的有意性は示さず(p=0.095)、処置前呼吸数と比べてわずかに上昇した。
【0111】
10分および20分では、脈拍数が、治療群、対照群とも、処置前の値と比べて上昇した。治療群では、対照群と比べて脈拍数が低い傾向にあった。これは、10分では統計的有意性は示さず(p=0.053)、20分では有意な差異はなかった(p=0.24)。
【0112】
30分では、対照群はベースライン値と比べて平均脈拍数のわずかな低下を示し、治療群はわずかな上昇を示したが、統計的有意性は見られなかった。治療群における脈拍数は、処置前の値と比べてわずかな差だけ持続的に上昇した。両方の試験群にわたって、脈拍数の個人差は最も大きく、標準誤差はより大きかった。
【0113】
酸素飽和度(SaO2)は、治療群または対照群のいずれにおいても、処置前10分間隔または処置後群で有意な差異は見られなかった。
【0114】
処置後臨床測定値は、治療群または対照群のいずれにおいても、処置前の値との有意な差異は見られなかった。
【0115】
本試験の結果から、本ストーリーボードタブレットデバイスの使用は、熱傷の包帯交換を受ける子供における患者の疼痛スコアを有意に低下することができることが示される。
【0116】
疼痛スコアは、10分および30分間隔の両方で、有意に低かった。疼痛スコアが20分間隔では有意に低下しなかった理由は、ソフトウェアプログラムが約15〜20分間作動するように設計されていたためと考えられた。子供が対話型タスクを完了したとき、システムが再起動できるようにわずかな遅延があり、これにより子供はデバイスを再使用することができるようになる。このことは、30分での記録された疼痛スコアが有意に低いことの理由と考えられる。
【0117】
両群での平均包帯時間は約34分であった。治療群および対照群の両方で、40分水準での記録データを有する患者は42人中わずか13人であり、これは統計的に有効なデータを集めるにはサンプルサイズが小さいと思われた。治療群では20人中4人の患者が、治療デバイスを使用しながら2回の別個の包帯交換を受けており、それらの疼痛スコアに有意な差異は見られなかった。この結果は、以前のより小規模な試験で示された、バーチャルリアリティの鎮痛的特性が複数回の治療で減少しなかったことと一致している。患者の疼痛、不安および苦痛を減少することは、痛みを伴う複数回の処置を受けなければならない子供にとっては特に重要である。なぜなら回避行動を低減することができ、子供はその後の治療を受ける際、より協力的になるからである。
【0118】
親による疼痛スコアは、治療群で有意に低かった。処置に対する介護者の行動および反応は、治療中の子供の行動に大きな影響を及ぼすことができる。親が子供の鎮痛および治療中の不安に対してより満足した場合、これは現在および将来の治療セッションの両方で子供にポジティブな影響を与えることができる。
【0119】
呼吸数は子供のネガティブな感情によって大きな影響を受ける。治療群の呼吸数に対照群と比べて有意な低下が見られたことは、疼痛スコアがより低いことを反映しているだけでなく、ネガティブな感情および包帯交換との関連が低いことも示している。10分および20分では、呼吸数は処置前ベースライン平均を下回った。処置前の不安感が、治療群で見られた呼吸数の低下の理由と考えられる。30分では有意性がないことが観察されたが、これは、両群の子供が時間の経過とともに治療を受け入れやすくなったこと、その環境に落ち着くようになったこと、および30分ではほとんどの包帯交換がほぼ完了していることによって説明することができる。
【0120】
脈拍数(PR)は、痛みを伴う処置の直前および開始時に、認知的要因による影響を受けることがある。しかし、処置は継続するためPRと疼痛スコアの相関関係は弱い。2つの試験群間で、PRに有意な差異は観察されなかった。
【0121】
酸素飽和度(SaO2)は、いずれの群でも、どの測定間隔でも有意な差異は見られなかった。SaO2は生理学的な肺機能に依存するものであり、本臨床環境における疼痛または心理的要因による影響は受けていないと思われる。本試験では、換気およびSaO2に影響するほど十分な薬物による鎮静が行われた子供はいなかった。
【0122】
[第2相臨床試験]
外来病棟で熱傷の包帯交換を受ける21人の子供が登録された。オキシコドン0.15mg/kgの標準的な前投薬が投与され、子供は治療群に10人および対照群に11人が無作為に割り付けられた。
【0123】
脈拍および呼吸数ならびに酸素飽和度を、処置前および処置後5分ならびに包帯交換中は10分間隔で記録した。
【0124】
疼痛スコアも同じ間隔で、Wong−Bakerのフェイススケール(4〜7歳)またはアナログスケール(7〜14歳)を使用して0から5のスコアで記録した。
【0125】
2つの群の間には、年齢、性別または全熱傷面積の有意な差異はなく、試験群の間にはオキシコドン用量の有意な差異はなかった。
【0126】
図14および15に示すように、ストーリーボードタブレットデバイス群では子供および親によって報告された疼痛スコアに、有意な低下が見られた。
【0127】
2つの臨床試験ともストーリーボードの動作感知型タブレットデバイスは、薬物による鎮痛の補助として有用となり得ることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の一実施形態によるダイバージョナルセラピー装置の斜視図である。
【図2】メニューフィギュアが上に取り付けられている、図1のタブレットデバイスの側面斜視図である。
【図3】タブレットデバイスのスクリーン上にデジタルコンテンツを示す、図2のタブレットデバイスの前面図である。
【図4】タブレットデバイスシステムのブロック図である。
【図5】図3の線IV−IVを通る断面図である。
【図6】タブレットデバイスがドーム形の後方部分を含む、本発明の第2の実施形態の側面斜視図である。
【図7】図6の中心を通る断面図である。
【図8】本発明の別の態様による動作センサおよびタブレットデバイスの部分断面斜視図である。
【図9】図8の動作センサ部分の側面図である。
【図10】本発明のこの態様の別の実施形態による動作センサを組み込んだ、ヘッドマウント式の動作感知デバイスの一部分の前面図である。
【図11】線XI−XIを通る図9のデバイスの断面側面図である。
【図12】図10のデバイスの後方から見た分解斜視図である。
【図13】図10のデバイスで使用されるマーカーマウントの斜視図である。
【図14】小児の熱傷患者の臨床試験について、本発明の一実施形態によるダイバージョナルセラピーデバイスを使用した治療群および対照群のデータを示す、時間に対する疼痛スコアの表である。
【図15】図13の2つの群について、親による疼痛評価スコアを示す図である。
【符号の説明】
【0129】
100 ダイバージョナルセラピーの装置
110 タブレットデバイス
112 スクリーン
114 小像
116 ソケット
118 ハウジング
120 ハンドグリップ領域
122 ハンドグリップ
124 輪郭壁
126 タッチパッド
128 動作センサ
130 コントローラ、主処理ユニット、主プロセッサ
130a プリプロセッサ
132 マイクロフォン
134 タッチスクリーン
136 生理学的センサ
138 マーカーパターン
140 カメラ
142 LED
144 スピーカ
146 振動モータ
148 入力/出力モジュール
150 電池
152 メモリ
154 ラバーフット
156 フォーカスリング
158 保護レンズ
160 マグネット
210 タブレットデバイス
270 ドーム形後方部分、ドーム面
310 タブレットデバイス
312 スクリーン
370 動作センサ
372 マーカーマウント
374 ハウジング
376 支持体
378 マーカー要素
380 マーカー面
382 重り
384 カメラマウント
386 カメラ
388 アタッチメント
410 ヘッドマウントデバイス
412 マーカーマウント
414 ハウジング
416 溝
418 スタッドまたはボス
420 支持体
422 マーカー要素
424 マーカー面
426 重み付けされた部分
428 カメラ支持体
430 カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療中に患者によって保持され、且つ動かされるように構成されたタブレットデバイスにおいて、デジタルコンテンツを表示するためのディスプレイスクリーンが中に取り付けられたハウジングを有する前記タブレットデバイスと、
前記タブレットデバイスの動きを感知するための動作センサと、
前記動作センサを通して前記タブレットデバイスの動きを判断し、前記タブレットデバイスの動きに従って前記デジタルコンテンツをスクリーン上に表示するためのコントローラと、を含んでいるダイバージョナルセラピーの装置であって、
前記デジタルコンテンツは3次元環境を規定し、前記コントローラは前記患者が前記タブレットデバイスの動きによって前記3次元環境と対話することを可能にすることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記タブレットデバイス上に取り付けられたカメラを含み、前記コントローラが前記カメラによって取り込まれた画像データを処理し、前記処理の結果に従って前記表示されたコンテンツを変化させることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カメラが、前記ディスプレイスクリーンが取り付けられた前記タブレットデバイスの前面から外向きに向いていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記タブレットデバイス上に取り付けるための一組の交換可能な物理的セレクター要素を含み、前記コントローラが前記タブレットデバイス上にどのセレクター要素が取り付けられたかを判断し、前記判断に従って前記デジタルコンテンツを変化させていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記セレクター要素が、前記カメラによって撮像されるマーカーを前記要素上に含み、前記コントローラが前記マーカーの画像を処理して、前記タブレットデバイス上にどのセレクター要素が取り付けられたかを判断していることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラが、前記タブレットデバイス上に取り付けられたセレクター要素の動きを検出し、前記検出された動きに基づいて、表示されたコンテンツを変化させていることを特徴とする請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記装置が生理学的センサを含み、前記コントローラが、測定された前記患者の生理学的条件に従って、例えば前記表示されたコンテンツを変化させるなど、前記患者との対話をコントロールしていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置が心拍数モニターを含み、前記コントローラが、監視された前記患者の心拍数に基づいて、例えば前記表示されたコンテンツを変化させるなど、前記患者との対話をコントロールしていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記タブレットデバイスのハウジングの前方部分が全体的に円形に構成されたことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記タブレットデバイスが前記ハウジング上に一対のハンドグリップを含み、前記ハンドグリップが前記デバイスの水平方向に対して傾斜した軸に沿って設けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記タブレットデバイスが前記タブレットデバイスの後面にドーム形部分を含み、前記タブレットデバイスの前記ドーム形部分を揺らすことができるようになっていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記タブレットデバイスが音声センサを含み、検出された音声に対する反応を前記コントローラが提供していることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記タブレットデバイスが触覚フィードバック機構を含んでいることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記装置がタッチスクリーンを含み、前記タッチスクリーンを介して患者が前記タブレットデバイスと対話できるようになっていることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記タブレットデバイスが、外部コンテンツプロバイダおよび/または処理ユニットと通信するためのワイヤレス送受信機を含んでいることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記タブレットデバイスのハウジングが前記スクリーンの少なくとも一部分を取り囲む輪郭壁を含み、前記壁が1つまたは複数の視角から前記スクリーンの一部分を隠すようになっていることを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
ダイバージョナルセラピーの方法であって、請求項1から15のいずれか一項に記載された装置を患者に提供するステップを含み、治療中、前記患者が前記装置を作動させることができることを特徴とする方法。
【請求項18】
治療を受ける患者にダイバージョナルセラピーを提供する方法であって、
ディスプレイスクリーンを有する手持ち式タブレットデバイスを患者に提供するステップと、
前記ディスプレイスクリーンに3次元環境に関するデジタルコンテンツを提供するステップと、
前記患者によって生成された前記タブレットデバイスの動きを監視するステップと、
前記監視された前記タブレットデバイスの動きに基づいて、前記スクリーンに提供された前記デジタルコンテンツを変化させるステップと、
を含んでいる方法において、前記患者は前記タブレットデバイスを動かすことによって前記3次元環境と対話することができ、前記対話によって治療から前記患者の注意をそらすことを特徴とする方法。
【請求項19】
前記タブレットデバイスがカメラを含み、前記カメラによって取り込まれた画像を処理するステップと、前記画像処理に基づいて、前記スクリーン上に表示されたコンテンツを修正するステップと、を含んでいることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記患者の生理学的条件を監視するステップと、前記監視された条件を使用して、例えば前記スクリーン上に表示された前記コンテンツの修正など、患者とタブレットデバイスとの対話を提供するステップと、を含んでいることを特徴とする請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記装置が前記タブレットデバイス上に交換可能に取り付け可能な一組のセレクター要素を含み、前記タブレットデバイス上に前記セレクター要素を取り付けることによってコンテンツに関する選択を行うステップを含んでいることを特徴とする請求項18、19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記セレクター要素は前記タブレットデバイス上で可動であり、前記デバイス上に取り付けられたセレクター要素の動きによって、前記表示されたコンテンツを変化させていることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記タブレットデバイスがドーム形の後方部分を含み、前記タブレットデバイスを面上に置くステップと、前記タブレットデバイスを前記ドーム形の後方部分の周りで回転させるステップとを含んでいることを特徴とする請求項18から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記タブレットデバイスと外部デバイスとの間の通信を提供するために前記タブレットデバイスにワイヤレスリンクを提供するステップを含み、前記外部デバイスが前記タブレットデバイスに対してデジタルコンテンツまたは他の機能を提供および/または処理することを特徴とする請求項18から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
手持ち式のストーリーボードタブレットデバイスであって、
ストーリーからシーンを表示するためのディスプレイスクリーンが中に取り付けられたハウジングと、
タブレットデバイスの動きを感知するための動作センサと、
表示されるストーリーに関連するデジタルコンテンツを保存するためのメモリと、
前記動作センサを通してタブレットデバイスの動きを判断し、タブレットデバイスの動きに従って、前記保存されたコンテンツからシーンを表示するためのコントローラと、を含んでいることを特徴とするデバイス。
【請求項26】
前記保存されたコンテンツに関する選択を行うために、前記タブレットデバイスに取り付けるための物理的セレクター要素を含んでいることを特徴とする請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
ハウジングと、
ディスプレイスクリーンと、
コントローラと、
デバイスの動きを判断するための動作センサと、
を含む対話型ディスプレイデバイスであって、
前記コントローラが、前記デバイスの動きに従って前記スクリーン上にコンテンツを表示することを特徴とするデバイス。
【請求項28】
前記デバイスが、前記コンテンツに関する選択を行うためにディスプレイデバイスに取り付けることができる、一組の交換可能な物理的セレクター要素を含んでいることを特徴とする請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記デバイスが画像を取り込むためのカメラを含み、前記コントローラが、前記取り込まれた画像を処理して前記デバイスとの対話をユーザに提供することを特徴とする請求項27または28に記載のデバイス。
【請求項30】
互いに一定距離だけ離間して取り付けられたカメラおよびマーカー要素を含む動作センサであって、
前記カメラおよび前記マーカー要素は互いに対する向きが相対的に可動であり、前記カメラは前記マーカー要素のパターンを取り込むように適合されていることを特徴とする動作センサ。
【請求項31】
前記カメラの少なくともレンズおよび前記マーカー要素パターンをカバーするエンクロージャを含み、前記マーカー要素を照明するための照明要素を含んでいることを特徴とする請求項30に記載のセンサ。
【請求項32】
マーカー要素のためのマウントデバイスであって、
支持体と、
前記支持体上に可動に取り付けられて、停止の向きに付勢されるように重み付けされたマーカー要素と、
マウントデバイスをカメラまたはカメラマウントに固定するためのカメラマウント手段と、
を含んでいるマウンドデバイスにおいて、
前記支持体が前記カメラに対して一定関係で保持されるようになっていることを特徴とするマウントデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2009−511220(P2009−511220A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535843(P2008−535843)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【国際出願番号】PCT/AU2006/001531
【国際公開番号】WO2007/045021
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(508116492)ディバージョナリー・セラピー・テクノロジーズ・ピーティーワイ・リミテッド (2)