説明

ダイラタンシー性を誘起する水溶性ブロック状共重合体及びダイラタンシー性組成物

【課題】
本発明の目的は、水溶液系にダイラタンシー性を誘起する水溶性ブロック状共重合体及びダイラタンシー性を示す安定性に優れた水溶液組成物を提供することにある。また、流動によりゲル化する水溶液組成物を提供することにある。
【解決手段】
両端に同イオン性のイオン性ブロックを有し、中央部分に非イオン性親水性ブロックを有する水溶性ブロック状共重合体と、該水溶性ブロック状共重合体とは反対のイオン性を有するイオン性水溶性高分子を含有する均一な高分子水溶液がダイラタンシー性を示すことを見出した。また、両端に同イオン性のイオン性ブロックを有し、中央部分に非イオン性親水性ブロックを有する水溶性ブロック状共重合体と、該水溶性ブロック状共重合体とは反対のイオン性を有するイオン性水溶性高分子を含有する均一な高分子水溶液が流動によりゲル化することを見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水溶液系に対しダイラタンシー性を誘起する水溶性ブロック状共重合体、及びダイラタンシー性組成物に関する。また、流動によりゲル化する組成物に関する。本発明の水溶性ブロック状共重合体及び組成物は、衝撃吸収材、その他水溶液系の粘性調節剤、流動によるゲル化組成物として有用である。本発明においてダイラタンシー性とは、流動により粘度が上昇し、流動性が低下することをさす。
【背景技術】
【0002】
水溶性高分子水溶液は、一般に高せん断下で粘度が低下する。一方微細粒子を含む液体は、高せん断下で粘度が上昇するダイラタンシー性を示す場合がある。特許文献1には微粒子と分散剤と液体の系についてダイラタンシー性の報告がされている。特許文献2、非特許文献1には油滴と水溶性高分子の系について、ダイラタンシー性を示す報告があるが、いずれも油滴等を含む不均一な系であり、この場合には界面活性剤等を加えることにより油滴等を乳化、安定化する必要があることなどの問題があった。
【特許文献1】特許第3922370号
【特許文献2】特許第4098967号
【非特許文献1】THE JOURNAL OF CHEMICAL PHYSICS 127号 144507
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、水溶液系に対しダイラタンシー性を誘起する水溶性ブロック状共重合体、及びダイラタンシー性を示す安定性に優れた水溶液組成物を提供することにある。また、流動によりゲル化する水溶液組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
両端に同イオン性のイオン性ブロックを有し、中央部分に非イオン性親水性ブロックを有する水溶性ブロック状共重合体と、該水溶性ブロック状共重合体とは反対のイオン性を有するイオン性水溶性高分子を含有する均一な高分子水溶液がダイラタンシー性を示すことを見出した。また、両端に同イオン性のイオン性ブロックを有し、中央部分に非イオン性親水性ブロックを有する水溶性ブロック状共重合体と、該水溶性ブロック状共重合体とは反対のイオン性を有するイオン性水溶性高分子を含有する均一な高分子水溶液が流動によりゲル化することを見出した。
【発明の効果】
【0005】
本発明のダイラタンシー性を誘起する水溶性ブロック状共重合体は、反対の電荷を有するイオン性水溶性高分子等を含有する水溶液に添加されることにより、水系でダイラタンシー性を示す。本組成物は、均一系であり、分散安定剤、界面活性剤等を必要とせず、保存安定性にも優れ、1%以下の低濃度でもダイラタンシー性を示すという特徴がある。また、流動刺激を与えない場合には、低粘性の均一な水溶液であるが、流動刺激を加えることにより、急激に高粘性となり、流動性が低下し、ゲル化するという特徴を持つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明をさらに詳述する。本発明において、イオン性ブロックとはイオン性単量体単位からなる部分、或いはイオン性単量体単位と非イオン性親水性単量体単位の混在した部分をさす。イオン性単量体単位からなる部分は、同イオン性であれば異なる種類の単量体の混合物から生成したブロックでもよく、同様に非イオン性親水性単量体単位からなる部分も異なる種類の単量体の混合物から生成したブロックであっても良い。本発明において非イオン性親水性ブロックとは非イオン性親水性単量体単位からなる部分をさす。非イオン性親水性単量体単位からなる部分は、異なる種類の単量体の混合物から生成したブロックであっても良い。
【0007】
両端に同イオン性のイオン性ブロックを有し、中央部分に非イオン性親水性ブロックを有する水溶性ブロック状共重合体は、リビングアニオン重合、Atom transfer radical polymerization、Nitroxide mediated polymerization、可逆的付加脱離連鎖移動重合(Reversible Addition−Fragmentation Chain Transfer Polymerization、以下RAFT重合と略記する)等により得ることができる。以下RAFT重合の場合について詳細に説明する。
【0008】
RAFT重合では、通常のラジカル重合の反応系中にRAFT重合連鎖移動剤を添加することにより実施する。通常、ジチオエステル基、トリチオカルボナート基等を含むRAFT重合連鎖移動剤が使用される。それらのうち水溶性のものが好ましく、例としては、4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエート、S−Ethyl−S‘−(α,α‘−dimethyl−α“−acetic acid)−trithiocarbonate等が挙げられる。これらの他にビスジチオエステル類、ビストリチオカルボナート類を使用することも可能である。
【0009】
重合時使用する単量体のうち、アニオン性単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸、及びそれらの塩などがあげられる。これらのうちアクリル酸およびその塩がより好ましい。
【0010】
カチオン性単量体のうち三級アミノ基含有カチオン性単量体の例としてはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ−ト、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレ−ト、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びそれらの塩などが挙げられる。また四級アンモニウム塩基含有カチオン性単量体の例としては(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。また、一級アミンとしてはアリルアミン、二級アミンとしては、ジアリルメチルアミンなどが挙げられる。
【0011】
非イオン性親水性単量体の例としては(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、グリセロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。重合のしやすさなどからアクリルアミドがより好ましい。
【0012】
重合開始はラジカル重合開始剤を使用する。これら開始剤は水溶性であることが好ましく、アゾ系,レドックス系、過酸化物系いずれでも重合することが可能である。水溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩化水素化物、2、2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物、4、4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)などが挙げられる。またレドックス系の例としては、過硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミンなどとの組み合わせが挙げられる。さらに過酸化物の例としては、過硫酸アンモニウムあるいはカリウム、過酸化水素などを挙げることができる。これらのうち、水溶性アゾ系開始剤が好ましい。
【0013】
重合条件は通常、使用する単量体や重合開始剤等により適宜決めていく。温度としては0〜100℃の範囲で行う。重合は通常3段階に分けて行う。1段目の重合時に、イオン性単量体(混合物)と非イオン性親水性単量体(混合物)の混合物の重合を実施する。イオン性単量体(混合物)のみの重合であっても良い。イオン性単量体(混合物)は、単一の種類であっても良いし,同イオン性の複数種類のイオン性単量体の混合物であっても良い。非イオン性親水性単量体(混合物)は単一の種類であっても良いし、複数種類の混合物であっても良い。イオン性単量体(混合物)と非イオン性親水性単量体(混合物)の混合物の水溶液に連鎖移動剤、重合開始剤を添加し、系内を十分窒素置換後第1の重合を開始する。重合の時間は1〜30時間程度である。必要に応じ、塩酸等を添加し、pHを調節することが好ましい。連鎖移動剤の量は全重合を通して使用する重合性単量体に対し、20〜20000ppm程度である。これより少ないと重合の進行が遅く、この範囲より多いと得られる重合体の分子量が小さくなりすぎる。重合開始剤の量は、連鎖移動剤に対し5〜100モル%程度である。第1の重合が十分完結した後に、非イオン性親水性単量体と必要に応じ水を添加し、更に重合開始剤を添加し、系内を十分窒素置換後第2の重合を開始する。重合の時間は1〜30時間程度である。重合開始剤の量は、第1の重合の際添加した連鎖移動剤の量に対し5〜100%程度である。第2の重合が十分完結した後に、イオン性単量体(混合物)と非イオン性親水性単量体(混合物)を添加し、更に重合開始剤を添加し、系内を十分窒素置換後第3の重合を開始する。イオン性単量体(混合物)のみの重合であっても良い。重合の時間は1〜30時間程度である。重合開始剤の量は、第1の重合の際に添加した連鎖移動剤の量に対し5〜100%程度である。重合性単量体の全体の量は特に制限は無いが、最終的に生成した水溶液の粘度、経済性を考慮すれば全体の5〜30%程度が好ましい。第1、第2の重合後、透析法、沈殿法、抽出法等により未反応の単量体を取り除くことも可能である。
【0014】
第1の重合時及び第3の重合時に使用するイオン性単量体の量は、それぞれ単量体総量に対し1モル%以上であることが好ましい。これよりも少ないとダイラタンシー性が低下する。また、第1の重合時及び第3の重合時に使用する非イオン性親水性単量体のモル数とイオン性単量体モル数の比は、それぞれ、
0≦ (非イオン性親水性単量体のモル数)/(イオン性単量体モル数) ≦5
を満たすことが好ましい。5よりも大きくなるとダイラタンシー性が低下する。第1の重合及び第3の重合は、イオン性単量体(混合物)のみの重合であっても良い。第2の重合の際に使用する単量体(混合物)のモル数は、第1の重合の際に使用する単量体(混合物)のモル数と第3の重合の際に使用する単量体(混合物)のモル数の和以上となることが好ましい。これより少ないとダイラタンシー性が低下する。第1と第3の重合におけるイオン性単量体の種類は同イオン性であれば異なっていても良い。最終的に得られる共重合体の分子量は5000〜300万であることが好ましい。更に好ましくは1万から300万である。これよりも大きい分子量のものを得るためには、RAFT重合連鎖移動剤、重合開始剤の添加量を少なくする必要があるが、その場合重合に長時間を要する等の問題が起こる。分子量はRAFT重合連鎖移動剤の量により制御することができる。
【0015】
RAFT重合連鎖移動剤としてビスジチオエステル類、ビストリチオカルボナート類を使用することも可能である。これらのものを使用すると、2段階の重合で、本発明の水溶性ブロック状共重合体を得ることが可能である。
【0016】
ダイラタンシー性を発現させるために、水溶性ブロック状共重合体と組み合わせるイオン性高分子は、該水溶性ブロック状共重合体とは逆のイオン性を持つイオン性水溶性高分子である。たとえば、前記イオン性単量体を通常の方法で重合すること、または前記イオン性単量体と前記非イオン性親水性単量体とを通常の方法で共重合することにより得られる。他に天然のイオン性高分子、天然高分子にイオン性基を導入したものであっても良い。
【0017】
水溶性ブロック状共重合体と逆イオン性であるイオン性水溶性高分子との水溶液中での混合比は、重量比で20〜80:80〜20の範囲にあることが特に好ましい。この範囲よりも小さいかまたは大きいと、ダイラタンシー性が低下する。また水溶液中の水溶性ブロック状共重合体とイオン性高分子を足し合わせた濃度は、0.001重量%〜20重量%が好ましい。0.001重量%以下の場合、ダイラタンシー性は低下し、20重量%以上であると流動刺激を加えない場合でも高粘度となる。更に好ましくは0.01重量%〜1重量%である。また、水溶液中に、ブロック状共重合体、イオン性水溶性高分子の溶解性を低下させない程度に、メタノール、エタノール等の水混和性溶媒を含有しても良い。
【0018】
(実施例)
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。実施例中、粘度はブルックフィールド粘度計を用い回転数100rpm、No2ローターで測定した(25℃にて測定)。
【実施例1】
【0019】
攪拌機、還流冷却管、および窒素導入管を備えた4つ口300mlセパラブルフラスコに60%アクリル酸水溶液1.67g、1N−NaOH12.0g、4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエート0.005gを添加し均一な混合溶液とした。温度を20℃に保ち、攪拌しながら窒素導入管より窒素を導入し、系内を窒素置換した。次に1%2、2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物水溶液0.1gを添加し、温度を50℃になるようにフラスコを加熱し、第1の重合を開始させた。8時間後に第1の重合反応を終了した。その後室温まで冷却し、50%アクリルアミド水溶液を16g、脱イオン水18.4g、1%2、2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物水溶液0.1gを添加し、温度を50℃になるように加熱し第2の重合を開始させた。16時間後に第2の重合反応を終了した。室温まで冷却後、60%アクリル酸水溶液1.67g、脱イオン水50g、1%2、2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物水溶液0.1gを添加し、温度を50℃になるように加熱し第3の重合を開始させた。22時間後に第3の重合を終了した。得られたものを水溶性ブロック状共重合体1とする。
【実施例2】
【0020】
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドホモポリマー(p−MMCQ、MALSによる重量平均分子量90万)を1%になるように脱イオン水に溶解した。実施例1の水溶性ブロック状共重合体1を1%になるように脱イオン水に溶解した。1%p−MMCQ水溶液2gと1%水溶性ブロック状共重合体1水溶液2gを混合後、36gの脱塩水を添加しトータルの濃度が0.1%になるように希釈した。1日静置後の粘度を測定したところ、4.8mPa・s(25℃において測定、以下同様)であった。次に50mLのサンプル瓶に入れ、振幅約10cm、振動数4回/Sで5秒間シェイク後測定した粘度は38.4mPa・sであり、粘度は8倍に上昇した。また、サンプル瓶の壁に透明な固形物が付着し、一部ゲルが生じた。
【実施例3】
【0021】
攪拌機、還流冷却管、および窒素導入管を備えた4つ口300mlセパラブルフラスコに60%アクリル酸水溶液1.67g、1N−NaOH12.0g、4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエート0.01gを添加し均一な混合溶液とした。温度を20℃に保ち、攪拌しながら窒素導入管より窒素を導入し、系内を窒素置換した。次に1%2、2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物水溶液0.2gを添加し、温度を50℃になるようにフラスコを加熱し、第1の重合を開始させた。8時間後に第1の重合反応を終了した。その後室温まで冷却し、50%アクリルアミド水溶液を16g、脱イオン水68.4g、1%2、2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物水溶液0.2gを添加し、温度を50℃になるように加熱し第2の重合を開始させた。16時間後に第2の重合反応を終了した。室温まで冷却後、60%アクリル酸水溶液1.67g、1%2、2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物水溶液0.2gを添加し、温度を50℃になるように加熱し第3の重合を開始させた。22時間後に第3の重合を終了した。得られたものを水溶性ブロック状共重合体2とする。
【実施例4】
【0022】
1%p−MMCQ水溶液3gと1%水溶性ブロック状共重合体2水溶液6gを混合後、36gの脱塩水を添加しトータルの濃度が0.2%になるように希釈した。
1日静置後の粘度を測定したところ、4.8mPa・sであった。次に50mLのサンプル瓶に入れ、振幅約10cm、振動数4回/Sで5秒間シェイク後測定した粘度は41.1mPa・sであり、粘度は8.6倍に上昇した。また、サンプル瓶の壁に透明な固形物が付着し、一部ゲルが生じた。
【実施例5】
【0023】
1%2、2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物水溶液を0.1g、第3の重合時に加えるアクリル酸の量を3.3gとしたほかは、実施例3と同じ条件で重合を行った。得られたものを水溶性ブロック状共重合体3とする。
【実施例6】
【0024】
1%p−MMCQ水溶液0.8gと1%水溶性ブロック状共重合体3水溶液の1.2gを混合後、38gの脱塩水を添加しトータルの濃度が0.05%になるように希釈した。1日静置後の粘度を測定したところ、8.7mPa・sであった。次に50mLのサンプル瓶に入れ、振幅約10cm、振動数4回/Sで5秒間シェイク後測定した粘度は21.1mPa・sであり、粘度は2.4倍に上昇した。
また、サンプル瓶の壁に透明な固形物が付着し、一部ゲルが生じた。
【0025】
(比較例1)
攪拌機、還流冷却管、および窒素導入管を備えた4つ口300mlセパラブルフラスコに60%アクリル酸水溶液3.4g、1N−NaOH12.0g、50%アクリルアミド水溶液16.0g、脱イオン水67.7gを添加し均一な混合溶液とした。温度を20℃に保ち、攪拌しながら窒素導入管より窒素を導入し、系内を窒素置換した。次に1%2、2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物水溶液1.0gを添加し、温度を50℃になるようにフラスコを加熱し、重合を開始させた。10時間後に重合を終了した。
得られたものをランダム共重合体1とする。
【0026】
(比較例2)
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドホモポリマー(p−MMCQ、MALSによる重量平均分子量90万)を1%になるように脱イオン水に溶解した。比較例1のランダム共重合体1を1%になるように脱イオン水に溶解した。1%p−MMCQ水溶液2gと1%ランダム共重合体1水溶液2gを混合後、36gの脱塩水を添加しトータルの濃度が0.1%になるように希釈した。白濁沈殿物を生じ、粘性を示さなかった。






【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に同イオン性のイオン性ブロックを有し、中央部分に非イオン性親水性ブロックを有する水溶性ブロック状共重合体であって、水溶液系に対しダイラタンシー性を誘起する水溶性ブロック状共重合体。
【請求項2】
前記水溶性ブロック状共重合体が、一方のイオン性ブロック中のイオン性単量体のモル数をa、非イオン性親水性単量体のモル数をb、中央の非イオン性親水性ブロック中の非イオン性親水性単量体のモル数をc、もう一方のイオン性ブロック中のイオン性単量体のモル数をd、非イオン性親水性単量体のモル数をeとしたとき、
a/(a+b+c+d+e)≧0.01、
d/(a+b+c+d+e)≧0.01、
0≦b/a≦5、0≦e/d≦5、
c≧(a+b+d+e)
である請求項1記載の水溶性ブロック状共重合体。
【請求項3】
前記水溶性ブロック状共重合体が、RAFT重合法によって合成したものであることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の水溶性ブロック状共重合体。
【請求項4】
両端に同イオン性のイオン性ブロックを有し、中央部分に非イオン性親水性ブロックを有する水溶性ブロック状共重合体と、該水溶性ブロック状共重合体とは反対のイオン性を有するイオン性水溶性高分子を含有するダイラタンシー性組成物。
【請求項5】
両端に同イオン性のイオン性ブロックを有し、中央部分に非イオン性親水性ブロックを有する水溶性ブロック状共重合体と、該水溶性ブロック状共重合体とは反対のイオン性を有するイオン性水溶性高分子を含有し、流動によりゲル化する組成物。
【請求項6】
前記水溶性ブロック状共重合体が、一方のイオン性ブロック中のイオン性単量体のモル数をa、非イオン性親水性単量体のモル数をb、中央の非イオン性親水性ブロック中の非イオン性親水性単量体のモル数をc、もう一方のイオン性ブロック中のイオン性単量体のモル数をd、非イオン性親水性単量体のモル数をeとしたとき、
a/(a+b+c+d+e)≧0.01、
d/(a+b+c+d+e)≧0.01、
0≦b/a≦5、0≦e/d≦5、
c≧(a+b+d+e)
である請求項4あるいは5に記載の組成物。


【公開番号】特開2010−18660(P2010−18660A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−178537(P2008−178537)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(000142148)ハイモ株式会社 (151)
【Fターム(参考)】