ダブルスキン構造物及びダブルスキン構造物における外壁開口部の制御方法
【課題】 高層建物等のような風圧力の影響を受ける構造物において、内壁面に生ずる風圧を全周に亘って軽減させることを可能にする。
【解決手段】 平面上の周囲を周回する外周壁の内、少なくとも互いに対向する区間を内壁1と外壁2から構成されるダブルスキン構造とし、ダブルスキンを構成する外壁2に周方向に間隔を隔て、開閉自在な開口部を形成する。
【解決手段】 平面上の周囲を周回する外周壁の内、少なくとも互いに対向する区間を内壁1と外壁2から構成されるダブルスキン構造とし、ダブルスキンを構成する外壁2に周方向に間隔を隔て、開閉自在な開口部を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高層建物等のような風圧力の影響を受ける構造物において、内壁面に生ずる風圧を周方向に亘って均等に軽減させることを可能にするダブルスキン構造物及びダブルスキン構造物における外壁開口部の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高層建物において外気を導入する自然換気システムを計画しようとする際には、外壁面が受ける強風圧をどのように処理すべきかの問題に直面する。建物が1方向からの風圧を受けるとき、風上側は正圧、風下側は負圧になるが、建物が高層化すれば、屋外風速が増すことで、風圧が正、負共、極端に大きくなることから、例えば窓(開口部)の開閉により通風・換気をしようとしても、安定した通風・換気が望めなくなるため、通常は窓を閉鎖したままにされることが多い。強風下で窓を開放させれば、突風による内部扉の急激な開閉により什器を破損させ、居住者に怪我を負わせる危険性があるからである。
【0003】
外周壁の一部が内壁と外壁から構成されるダブルスキン構造の外壁は外気を内壁との間に導入するために部分的に開閉可能とされ、内壁も外気を屋内に取り入れるために部分的に開閉可能とされるが(特許文献1〜3参照)、風下側となる外周壁の開口部を開放させれば、その開口部は必ず空気の流出側となるため、風上側では外気が急激に流入することになり、上記危険性の問題は解消されない。
【0004】
正圧となる風上側における風圧の問題に対しては、ダブルスキン構造の外壁となる屋外側のガラスと、内壁となる屋内側のガラスとの間に両ガラスに直交するガラスを設置し、屋外側のガラスが受ける風圧力を屋内側のガラスに流すことで、風圧力を両ガラスに分担させる方法がある(特許文献4参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−256637号公報(請求項1、段落0013〜0014、図1、図3)
【特許文献2】特開2003−253794号公報(請求項1、段落0023〜0030、図2〜図4)
【特許文献3】特開2005−105732号公報(請求項1、段落0047〜0050、図9〜図12)
【特許文献4】特開2004−232360号公報(請求項1、段落0011、0021〜0023、0026〜0028、0035〜0039、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献4の方法によれば、屋外側のガラスと屋内側のガラスが両者間に配置されるガラスで連結されることで、屋外側のガラスが受ける風圧力を屋内側のガラスに伝達し、両ガラスに風圧力を分担させることができる。しかしながら、この方法は風上側において屋外側のガラスの負担を軽減する効果を得るに留まり、屋内側のガラス面に作用する風圧自体を軽減させることにはならない。
【0007】
特許文献1〜3では屋外側のガラスと屋内側のガラスに開閉自在な開口部を形成しているが、風上側の開口部と風下側の開口部との関連性がないため、風下側での開口部の開放により風上側での外気の急激な流入を防止することはできない。
【0008】
例えば図17に示すようにダブルスキンが平面上の周囲を周回する外周壁の内、風下側にのみある場合には、風下側である限り、ダブルスキンには常に負圧が作用するため、ダブルスキンから外気を導入することはできない。ダブルスキンが風上側にのみある場合にも、風下側からの空気の流出がなければ、ダブルスキンからは外気が十分に導入されないため、ダブルスキンが風上側と風下側のいずれか一方に存在するのみでは外気の導入と排気が行われないことになる。
【0009】
本発明は上記背景より、内壁面に生ずる風圧を周方向に亘って均等に軽減させることを可能にするダブルスキン構造物及び外壁開口部の制御方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明のダブルスキン構造物は、平面上の周囲を周回する外周壁の内、少なくとも互いに対向する区間が内壁と外壁からなるダブルスキンを構成し、前記外壁が周方向に間隔を隔て、開閉自在な開口部を有していることを構成要件とする。内壁面の風圧を周方向に均等に軽減させる上では、外壁は開口部を周方向に均等に有することが望ましい。
【0011】
外周壁の内、対向する区間がダブルスキン構造で、外壁が周方向に間隔を隔てて開閉自在な開口部を有する構造物における、開口部の存在とその開閉状態による内壁面風圧の分布状況はダブルスキン構造物をモデル化した模型での内壁面風圧の分布を見ることで把握することができ、その模型から実証されることは実物の構造物にも妥当すると言える。外周壁の内の互いに対向する区間とは、平面上の中心を挟んで対向する外周壁であり、構造物の平面形状が方形状等、直線で構成される場合には1方向に対向する外周壁を指す。外周壁は必ずしも平面とは限らず、曲面の場合もある。
【0012】
そこで、ダブルスキン構造物と対比されるシングルスキンの模型イと、外周壁の全周がダブルスキン構造で、外壁の全周に開閉自在な開口部を有するダブルスキン構造物の模型ロに対して風洞実験をし、シングルスキン構造物での内壁面風圧の分布と、ダブルスキン構造物の外壁開口部の開閉状態の相違による内壁面風圧の変化を調べた。
【0013】
図1にシングルスキンの模型イを、図2にダブルスキンの構造物の模型ロを示す。模型イと模型ロは共に実物の1/200の縮尺で、シングルスキンの模型イは底面から一定の高さ(150mm)に、周方向に一定の間隔を隔てて風圧検出孔を有する円筒形の内筒であり、ダブルスキンの模型ロはシングルスキンの模型イである内筒と、それより僅かに径の大きい円筒形の外筒を組み合わせた形である。内筒の直径は80mm、高さは210mmであり、外筒の直径は100mm、高さは210mmである。模型ロの内筒はダブルスキン構造物の内壁に、外筒は外壁にそれぞれ相当し、模型ロの開口は実物の構造物の開口部に相当する。
【0014】
前記の通り、模型イ、ロ共、内筒には図1−(b)に示すように底面から150mmの高さに平面上、円周方向に等間隔で16個の、番号を付した風圧検出孔が形成され、模型ロの外筒には図2−(b)に示すように内筒の平面上の中心(17)に対し、内筒の風圧検出孔から周方向に11.25度ずれた位置に、内筒の風圧検出孔と同一の高さに、平面上、円周方向に等間隔で16個の直径3mmの、開口としての孔A〜Pが形成されている。内筒の風圧検出孔と外筒の孔が同一高さにあることで、外筒への孔の形成位置が構造物におけるダブルスキンの層に相当する。このダブルスキンの層は内筒の内部を含め、開口が形成されていない上下の層とは分離している。
【0015】
図2−(a)に示すように外筒の開口と内筒の風圧検出孔は、外壁と内壁に挟まれたダブルスキンの空間を模した圧力チャンバを介して連通し、内筒の風圧検出孔はビニールチューブを通じて圧力計に接続され、そのまま風下側に移動し、風下側の内筒の壁面風圧を高め、均等化する。内部の圧力チャンバ内に流入した外気はやはり外筒の開口の一部から外筒の外部へ流出する。外筒の開口は開閉自在であり、各開口が開放状態であるか否か、等による内壁面風圧の分布は表1に示すように各開口の開放位置を変えることにより求められる。
【0016】
模型イ、ロに与えられる風圧の測定には図3に示す風洞を用い、その横300mm×縦600mmの測定部に模型イ、ロを横向きに設置し、一様流れ、乱れが0.1%の風速10m/sの風を与えた。模型の直径を代表寸法としたときのRe数は5.3〜6.7×104である。その結果を図4〜図10に示す。図4は模型イによる実験結果を、図5〜図10は模型ロによる実験結果を示す。実験ケースを表1に示す。
【表1】
【0017】
模型イに対しては風速を変えて3通り(ケース1〜3)の実験をし、模型ロに対しては全開口を開放させた状態で、ケース1〜3と同様に風速を変えて3通り(ケース4〜6)の実験と、風速を一定にしたまま、開放させる開口の位置を変えて5通り(ケース7〜11)の実験を行った。
【0018】
図4にケース1の結果を示すが、この場合、風向に対し、±35度の位置を境界に内壁面風圧が正圧から負圧に変わり、±68度の位置で負の最大値を取ることが分かる。ケース2、3もケース1と同様で、内壁面風圧の分布は図4と完全に重なり、既存の実験結果とも一致し、この実験が正しいことを証明している。またケース4〜6でもそれぞれの内壁面風圧分布がほぼ完全に重なる結果を得た。このことから、内壁面風圧分布に風速は大きく影響しないと考えられるため、ケース7〜11では風速を10m/sで一定にしている。
【0019】
ケース4〜6の結果を図5−(a)に示す。ケース5、6はケース4とは風速が異なるのみで、内壁面風圧分布は図5−(a)と完全に一致している。図5−(b)は開口の開閉状態を示し、白丸が開放状態を、図6−(b)以降の黒丸が閉鎖状態を示している。図5の結果から、外筒の全開口が開放しているときに風圧分布が周方向に均一になって表れていることから、実験で用いた開口の開放面積が適切であったと言える。全開口が開放状態でありながら、開放面積が適切でなければ、風上側での外気の流入と、風下側での空気の流出が円滑に行われず、内筒の風圧分布が均一になって表れないと考えられるからである。ケース7〜11の結果を示す図6〜図10でも各図の(a)は内筒の内周面における風圧分布を示している。
【0020】
図6−(a)はケース7の結果を示すが、図5−(a)との対比から、風上側の半分の開口を開放させたまま、風下側の半分の開口を塞ぐことで、全開口を開放させた場合より負圧の程度(絶対値)が半減していることが分かる。
【0021】
図7−(a)はケース8の結果を示す。ここに示すように風下側の半分の開口と共に、風上側の両側の一部の開口を塞いだ場合には、図5、図6の場合とは逆に、内壁面風圧が正圧となって表れることが分かる。
【0022】
図8−(a)は(b)に示すように図7の場合より風上側の両側の開口を各1箇所多く開放させた場合の結果を、図9−(a)は図7の場合より風上側の両側の内の一方の開口を多く開放させた場合の結果を示す。共に図7の場合と同様に内壁面風圧が正圧となって表れるものの、図7の場合より圧力の絶対値が小さくなっていることが分かる。
【0023】
図8、図9の、図7との違いは図4において最大負圧を示す風(気流)の剥離点となる位置での開口が開放状態にあるか閉鎖状態にあるか、であるから、図7〜図9の結果から、風上側から風の剥離点となる位置、またはその近傍までの開口を開放させると共に、それ以外の開口を閉鎖させることにより図8に示すように内筒の内壁面風圧を0に近付けること、あるいは0となるような最適な開閉状態を選択することが可能であることが分かる。建物の平面形状が方形状の場合で、そのいずれかの出角部が風上側となるとき、風の剥離点は風上側と風下側の間の出隅部に表れる。
【0024】
図10−(a)は(b)に示すように図6とは逆に、風上側の開口を閉鎖させ、風下側の開口を開放させた場合の結果を示す。ここに示すように風上側の開口を閉鎖させると、内筒の全周に負圧が発生する上、外筒がない場合より負圧の絶対値が大きくなり、外筒による風圧減少の利益が得られないことが分かる。
【0025】
図5〜図9は外周壁の全周が内壁と外壁から構成されるダブルスキンで、筒形の建物を想定した模型から得られた結果を示すが、図7〜図9の結果から、構造物の外周面を周回して配置された全開口の内、風上側に位置する開口を風の剥離点位置まで開放させると共に、風下側の開口を閉鎖させることにより内筒に発生する内壁面風圧を全周に亘って低減させ、0に近付けることが可能である、と言える。
【0026】
また図7〜図9の結果から、風上側の外壁と風下側の外壁が開閉自在な開口部を有していれば、それぞれの開口部の開閉状態を自由に設定することができ、図7〜図9の場合の開口と同じ状態を得ることができるため、構造物は必ずしも外周壁の全周がダブルスキンである必要はなく、少なくとも風上側と風下側がダブルスキンであればよい、と言える。
【0027】
従って請求項1に記載のように外周壁の、少なくとも互いに対向する区間が内壁と外壁から構成されるダブルスキンであり、このダブルスキンを構成する外壁が周方向に間隔を隔て、開閉自在な開口部を有していれば、ダブルスキンの内壁に生ずる内壁面風圧を低減させることが可能である。外壁が開閉可能な開口部を有していれば、請求項2に記載のようにダブルスキンを構成する外壁の全開口部の内、風上側に位置する開口部を、風上側から風の剥離点となる位置、またはその近傍まで開放させ、その他の開口部を閉鎖させた、図8、図9の状態にすることが可能だからである。
【0028】
請求項2によれば、ダブルスキンを構成する外壁が周方向に間隔を隔て、開閉自在な開口部を有し、外壁の全開口部の内、風上側の開口部が、風上側から風の剥離点となる位置、またはその近傍まで開放し、その他の開口部が閉鎖することで、図8、図9と同等の状態になるため、図8、図9の結果と同様の結果が得られることになる。特に請求項8に記載のように外周壁の全周がダブルスキン構造であれば、図8、図9の(a)に近い結果が得られることになる。請求項1、請求項2ではまた、内壁面風圧を全周に亘って低減できることで、風による内部扉の急激な開閉により什器を破損させ、居住者に怪我を負わせる危険性を回避することが可能になる。
【0029】
また例えばダブルスキン構造物の立地条件や地理的条件等から、ダブルスキン構造物に作用する風の向きがほとんど1方向に特定される、または1方向の風が卓越するような場合には、その風上側にのみ開口部を形成し、その開口部を開放させておくことにより図8、図9と同じ結果を得、内壁に生ずる風圧を低減することが可能である。その場合、平面上の周囲の内、風上側以外の区間の開口部は閉鎖していることと同等であるため、風上側以外の区間には必ずしも開口部が形成される必要はない。
【0030】
よって請求項4に記載のように平面上の周囲を周回する外周壁の内、少なくとも互いに対向する区間が内壁と外壁をからなるダブルスキンを構成し、このダブルスキンを構成する外壁の風上側に、風上側から風の剥離点となる位置、またはその近傍まで周方向に間隔を隔て、開放可能な開口部を有していれば、風の向きがほとんど1方向に特定される条件下では風上側がほぼ一定であるため、内壁に生ずる風圧を低減させることができることになる。この場合も内壁面の風圧を周方向に均等に軽減させる上では、外壁は開口部を周方向に均等に有することが適切である。
【0031】
図8、図9の結果を得た模型ロは内壁が周方向に間隔を隔て、ダブルスキン内に取り入れた外気を建物内に導く開口部(風圧検出孔)を有しているから、請求項3に記載のように請求項1、もしくは請求項2において、ダブルスキンを構成する内壁が周方向に間隔を隔て、開閉自在な開口部を有していれば、請求項1、もしくは請求項2による効果を引き継ぐことが可能である。同様に請求項5に記載のように請求項4において、ダブルスキンを構成する内壁が周方向に間隔を隔て、開閉自在な開口部を有していれば、請求項4による効果を引き継ぐことが可能である。請求項3、請求項5の場合も、開口部は周方向に均等に有することが適切である。請求項3、請求項5では内壁の開口部を通じ、内壁内に取り込まれた外気の屋外への排気が可能になるため、風上側での外気の導入が促され、自然換気の効率が向上する。
【0032】
また請求項6に記載のように請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のダブルスキン構造物において、外壁の開口部の、開放状態での開放面積が自由に調整自在であれば、風上側の風圧力の大きさに応じて開口部の開放面積を変えることで、最適な内壁面風圧を得ることが可能である。
【0033】
更に請求項7に記載のように内壁の内周側に、前記外壁の開口部から取り入れた外気を屋外へ導く排気筒を有すれば、内壁の開口から屋内に導入された空気の屋外への排気が円滑に行われ、同時に外筒の開口からの外気の導入も円滑に行われることになるため、自然換気性能が向上し、上記した内壁面風圧の均等化の効果が確実に得られることになる。請求項7では屋内に導入された外気の屋外への排気が円滑に行われることで、高層建物での自然換気システムを構築することが可能になる。
【0034】
実験に用いた模型イ、ロは筒形の建物を想定しているが、実験結果より、本発明は高層建物を含め、アスペクト比の大きい塔状建物、柱状構造物のような風圧力の影響を強く受ける構造物全般において有効である、と言える。
【0035】
内壁面風圧を積極的に均等化させることは、例えば請求項9に記載のように開口部を有する内壁を構成要件とする請求項3、または請求項5〜請求項8のいずれかに記載のダブルスキン構造物において、ダブルスキンを構成する内壁における圧力が周方向に均等化されるように、外壁における開口部の開閉を制御し、例えば圧力が大きい外壁における開口部を閉鎖することにより実現される。
【0036】
図5、図10に示すように外筒の風下側の開口が開放している状態では、内筒の風下側の圧力が大きく、負圧となるのに対し、図6〜図9に示すように外筒の風下側の開口部を閉鎖させることで、内筒の風下側の圧力を低減できることから、圧力が大きくなる風上側の外壁における開口部の開閉を制御することで、内壁面における圧力を周方向に均等化させることが可能になる。
【0037】
請求項9の制御を行う際に、内壁面における圧力が風上側であるか風下側であるか等、部位毎に相違するために、内壁面における圧力と外壁面における圧力との差が顕著に表れず、相対的に外壁面における圧力が大きくならないような場合には、請求項10に記載のようにほぼ一定に保たれ得る屋内の圧力を基準として利用し、内壁における圧力と、基準となる屋内の圧力との差が周方向に均等化されるように、外壁における圧力と屋内の圧力との差が大きい外壁における開口部の開閉を制御することにすれば、内壁面風圧を均等化させることの精度を向上させることが可能になる。
【発明の効果】
【0038】
上記の通り、本発明では平面上の周囲を周回する外周壁の内、少なくとも互いに対向する区間が内壁と外壁からなるダブルスキンを構成し、その外壁が周方向に間隔を隔てて開閉自在な開口部を有するため、模型での実験結果から、風上側に位置する開口部を風上側から風の剥離点となる位置、またはその近傍まで開放させると共に、その他の開口部を閉鎖させることで、内壁面風圧を全周に亘って低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0040】
図11〜図13はダブルスキン構造物の平面形状が方形状の場合の、内壁1と外壁2からなるダブルスキンを通じての外気の導入と排気の流れを示す。
【0041】
図11−(a)は外周壁の全周がダブルスキンである場合の水平方向の通風での外気の流れを示す。ここでは平面上、いずれかの出隅部の方角が風上側となる場合を想定し、風上側となる2方向の外壁2における開口部を全開させ、風下側となる2方向の外壁2における開口部の内、風の剥離点となる位置、またはその近傍から風下側の一部の区間の開口部を閉鎖させ、風上側から最も遠い出隅部寄りの一部の開口部のみを開放させている。この場合、外気は風上側の外壁2の開口部からダブルスキンの空間に取り込まれた後、内壁1の内周側の屋内空間を通り、風下側のダブルスキンの空間を経て外壁2の開口部から屋外へ排気される。
【0042】
なお、ダブルスキンを構成する外壁2には外気導入のための開口部とは別に、ダブルスキンの内部で温度が上昇した空気を排気し、ダブルスキン内部の温度上昇を抑制するための開口部が形成される。
【0043】
図11−(b)は全周の内、1方向に対向する区間がダブルスキンである場合の外気の流れを示す。ここでも平面上、いずれかの出隅部の方角が風上側となる場合を想定しているが、風上側に位置する外壁2の全開口部を開放させると共に、風下側の外壁2の、風上側から最も遠い出隅部寄りの一部の開口部を閉鎖させ、その他の開口部を開放させている。外気は風上側のダブルスキンの空間と屋内空間を通り、風下側のダブルスキンの空間を経て屋外へ排気される。
【0044】
図12−(a)、(b)は垂直方向の通風で、外周壁の全周がダブルスキンである場合に、内壁1の内周側、すなわち屋内空間に、外壁2の開口部から取り入れた外気を屋外へ導く排気筒3を有する場合の外気の流れを示す。排気筒3は少なくともダブルスキンの層から屋上等、屋外まで連続するが、必ずしも筒状である必要はなく、吹抜けのような空間でもよい。構造物におけるダブルスキンの層の形成位置は問われず、ある層のみ、またはある層より上の層に形成される他、全層に形成される。構造物が排気筒3を有する場合には、屋内に取り入れられた外気は排気筒3から屋外へ排出されるため、風下側の外壁2における開口部を開放させる必要がない。排気筒3の屋外に通ずる部分では屋外を通過する風の負圧による吸引力によって排気が行われる。
【0045】
図13は全周の内、1方向に対向する区間がダブルスキンである場合に、内壁1の内周側に、外壁2の開口部から取り入れた外気を屋外へ導く排気筒3を有する場合の外気の流れを示す。この場合も図12−(a)と同様に必ずしも風下側の外壁2の開口部を開放させる必要はないが、開口部を開放させたときに、例えば排気筒3から排出されるときの外気の吸引力が大きくなる場合には、図示するように排気側となるべき風下側の開口部から外気が取り込まれる可能性がある。
【0046】
図14はダブルスキンを有効に利用した通気換気システムの具体例を示す。安定した通気換気システムを成立させるには内壁面風圧の絶対値を小さくし、内壁面風圧が風速の急激な変化の影響を受けないようにすることが適切である。それには内壁1の開口部を居住者の手により自由に開閉できるようにした上で、風向き、風速等に応じ、外壁2の開口部の開閉を自動的に制御できるようにすることが望ましい。
【0047】
外壁2の開口部を自動的に開閉するための最も有効なシステムは図14に示すようにダブルスキンで建物の全周を包囲し、屋上の風速・風向計により風向き、風速を計測すると共に、代表階(複数階に亘ることもある)の外壁2及び内壁1の風圧力を圧力センサ等の圧力計4で検出し、これらの計測・検出値に基づいて外壁2の開口部の開閉を制御することである。図示するように建物の平面上の出隅部が風上となるとき、外壁2における、風(気流)の剥離点となる風下側との境界より風下側の開口部は大きな負圧となる点であるから(図4)、この開口部を閉鎖するように制御することが必要になる。
【0048】
図15は図14に示す箱形の建物を円筒形に置き換えたときの、外壁2と内壁1の圧力計4の配置例を示す。図中、Oiは外壁2における圧力計4の位置を、Iiは内壁1における圧力計4の位置を示す。ここで、建物内の気圧を基準として、外壁2の圧力計4の測定値から外壁2面と建物内の圧力差(ΔPOi)が算出され、内壁1の圧力計4の測定値から内壁1面と建物内の圧力差(ΔPIi)が算出される。この算出値から、ΔPIiが周方向に均等化されるように全ΔPOiの算出値の内、負の値が大きい箇所の開口部を閉鎖するように外壁2の開口部の開閉が制御される。外壁2の開口部の開閉はアクチュエータ等の駆動手段により行われる。
【0049】
ΔPOiの内、負の値が大きい箇所の開口部を閉鎖するのは、風下側の開口部が開放しているときに、風下側の内壁における圧力が負圧で、その絶対値が大きくなるのに対し(図5、図10)、風下側の内壁における開口部を閉鎖させることで、風下側の内壁の圧力の絶対値を低減できるからである(図6〜図9)。
【0050】
図15では外壁2の各部での圧力値のばらつきによる誤差を減らし、その圧力値の精度を高めるために、内壁1の圧力及び外壁2の圧力と建物内の気圧との差を算出しているが、必ずしも建物内の気圧を基準にする必要はなく、別に基準圧力を用意しても良い。
【0051】
図15の制御例を示したブロック図を図16に示す。外壁2の圧力計4の測定値から算出された外壁2面と屋内の圧力差(ΔPOi)と、内壁1の圧力計4の測定値から算出された内壁1面と屋内の圧力差(ΔPIi)はパーソナルコンピュータ(PC)等の演算手段に送られ、演算手段から上記した指令が駆動手段に伝達される。駆動手段の動作に基づいて外壁2の開口部の開閉が行われ、開放時に外気が導入され、屋外→屋内→屋外の通風が確保される。屋内に導入された外気に起因する屋内温度・湿度の変化、開口部を外気が通過するときの風速等の情報は演算手段にフィードバックされ、時々刻々得られるデータ(ΔPOi、ΔPIi)による次の指令に反映される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】(a)はシングルスキン構造物をモデル化した模型を示した立面図、(b)は平面図である。
【図2】(a)はダブルスキン構造物をモデル化した模型を示した立面図、(b)は平面図である。
【図3】(a)は実験に使用した風洞を示した平面図、(b)は立面図である。
【図4】シングルスキンの模型における内壁面風圧の分布を示した平面図である。
【図5】(a)は外筒の全開口を開放させた場合の、ダブルスキンの模型における内壁面風圧の分布を示した平面図、(b)は外筒の開口の開放位置を示した平面図である。
【図6】(a)は外筒の風上側の開口を開放させた場合の、ダブルスキンの模型における内壁面風圧の分布を示した平面図、(b)は外筒の開口の開放位置を示した平面図である。
【図7】(a)は外筒の風上側の一部の開口を開放させた場合の、ダブルスキンの模型における内壁面風圧の分布を示した平面図、(b)は外筒の開口の開放位置を示した平面図である。
【図8】(a)は外筒の風上側の剥離点までの開口を開放させた場合の、ダブルスキンの模型における内壁面風圧の分布を示した平面図、(b)は外筒の開口の開放位置を示した平面図である。
【図9】(a)は外筒の風上側の剥離点までの開口を開放させた場合の、ダブルスキンの模型における内壁面風圧の分布を示した平面図、(b)は外筒の開口の開放位置を示した平面図である。
【図10】(a)は外筒の風下側の開口を開放させ、風上側の開口を閉鎖させた場合の、ダブルスキンの模型における内壁面風圧の分布を示した平面図、(b)は外筒の開口の開放位置を示した平面図である。
【図11】(a)は全周がダブルスキンである場合の外気の流れを示した平面図、(b)は1方向に対向する面がダブルスキンである場合の外気の流れを示した平面図である。
【図12】(a)は全周がダブルスキンであり、内壁の内周側に排気筒を有する場合の外気の流れを示した平面図、(b)は斜視図である。
【図13】1方向に対向する面がダブルスキンである場合に、内壁の内周側に排気筒を有する場合の外気の流れを示した平面図である。
【図14】ダブルスキンを有効に利用した通気換気システムの具体例を示した概念図である。
【図15】図14に示す通気換気システムにおける、円筒形の建物での圧力計の配置例を示した平面図である。
【図16】内壁面と屋内の圧力差を均等化させるための制御例を示したブロックである。
【図17】ダブルスキンが風下側にのみある場合の空気の流れを示した概要図である。
【符号の説明】
【0053】
1………内壁
2………外壁
3………排気筒
4………圧力計
【技術分野】
【0001】
本発明は高層建物等のような風圧力の影響を受ける構造物において、内壁面に生ずる風圧を周方向に亘って均等に軽減させることを可能にするダブルスキン構造物及びダブルスキン構造物における外壁開口部の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高層建物において外気を導入する自然換気システムを計画しようとする際には、外壁面が受ける強風圧をどのように処理すべきかの問題に直面する。建物が1方向からの風圧を受けるとき、風上側は正圧、風下側は負圧になるが、建物が高層化すれば、屋外風速が増すことで、風圧が正、負共、極端に大きくなることから、例えば窓(開口部)の開閉により通風・換気をしようとしても、安定した通風・換気が望めなくなるため、通常は窓を閉鎖したままにされることが多い。強風下で窓を開放させれば、突風による内部扉の急激な開閉により什器を破損させ、居住者に怪我を負わせる危険性があるからである。
【0003】
外周壁の一部が内壁と外壁から構成されるダブルスキン構造の外壁は外気を内壁との間に導入するために部分的に開閉可能とされ、内壁も外気を屋内に取り入れるために部分的に開閉可能とされるが(特許文献1〜3参照)、風下側となる外周壁の開口部を開放させれば、その開口部は必ず空気の流出側となるため、風上側では外気が急激に流入することになり、上記危険性の問題は解消されない。
【0004】
正圧となる風上側における風圧の問題に対しては、ダブルスキン構造の外壁となる屋外側のガラスと、内壁となる屋内側のガラスとの間に両ガラスに直交するガラスを設置し、屋外側のガラスが受ける風圧力を屋内側のガラスに流すことで、風圧力を両ガラスに分担させる方法がある(特許文献4参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−256637号公報(請求項1、段落0013〜0014、図1、図3)
【特許文献2】特開2003−253794号公報(請求項1、段落0023〜0030、図2〜図4)
【特許文献3】特開2005−105732号公報(請求項1、段落0047〜0050、図9〜図12)
【特許文献4】特開2004−232360号公報(請求項1、段落0011、0021〜0023、0026〜0028、0035〜0039、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献4の方法によれば、屋外側のガラスと屋内側のガラスが両者間に配置されるガラスで連結されることで、屋外側のガラスが受ける風圧力を屋内側のガラスに伝達し、両ガラスに風圧力を分担させることができる。しかしながら、この方法は風上側において屋外側のガラスの負担を軽減する効果を得るに留まり、屋内側のガラス面に作用する風圧自体を軽減させることにはならない。
【0007】
特許文献1〜3では屋外側のガラスと屋内側のガラスに開閉自在な開口部を形成しているが、風上側の開口部と風下側の開口部との関連性がないため、風下側での開口部の開放により風上側での外気の急激な流入を防止することはできない。
【0008】
例えば図17に示すようにダブルスキンが平面上の周囲を周回する外周壁の内、風下側にのみある場合には、風下側である限り、ダブルスキンには常に負圧が作用するため、ダブルスキンから外気を導入することはできない。ダブルスキンが風上側にのみある場合にも、風下側からの空気の流出がなければ、ダブルスキンからは外気が十分に導入されないため、ダブルスキンが風上側と風下側のいずれか一方に存在するのみでは外気の導入と排気が行われないことになる。
【0009】
本発明は上記背景より、内壁面に生ずる風圧を周方向に亘って均等に軽減させることを可能にするダブルスキン構造物及び外壁開口部の制御方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明のダブルスキン構造物は、平面上の周囲を周回する外周壁の内、少なくとも互いに対向する区間が内壁と外壁からなるダブルスキンを構成し、前記外壁が周方向に間隔を隔て、開閉自在な開口部を有していることを構成要件とする。内壁面の風圧を周方向に均等に軽減させる上では、外壁は開口部を周方向に均等に有することが望ましい。
【0011】
外周壁の内、対向する区間がダブルスキン構造で、外壁が周方向に間隔を隔てて開閉自在な開口部を有する構造物における、開口部の存在とその開閉状態による内壁面風圧の分布状況はダブルスキン構造物をモデル化した模型での内壁面風圧の分布を見ることで把握することができ、その模型から実証されることは実物の構造物にも妥当すると言える。外周壁の内の互いに対向する区間とは、平面上の中心を挟んで対向する外周壁であり、構造物の平面形状が方形状等、直線で構成される場合には1方向に対向する外周壁を指す。外周壁は必ずしも平面とは限らず、曲面の場合もある。
【0012】
そこで、ダブルスキン構造物と対比されるシングルスキンの模型イと、外周壁の全周がダブルスキン構造で、外壁の全周に開閉自在な開口部を有するダブルスキン構造物の模型ロに対して風洞実験をし、シングルスキン構造物での内壁面風圧の分布と、ダブルスキン構造物の外壁開口部の開閉状態の相違による内壁面風圧の変化を調べた。
【0013】
図1にシングルスキンの模型イを、図2にダブルスキンの構造物の模型ロを示す。模型イと模型ロは共に実物の1/200の縮尺で、シングルスキンの模型イは底面から一定の高さ(150mm)に、周方向に一定の間隔を隔てて風圧検出孔を有する円筒形の内筒であり、ダブルスキンの模型ロはシングルスキンの模型イである内筒と、それより僅かに径の大きい円筒形の外筒を組み合わせた形である。内筒の直径は80mm、高さは210mmであり、外筒の直径は100mm、高さは210mmである。模型ロの内筒はダブルスキン構造物の内壁に、外筒は外壁にそれぞれ相当し、模型ロの開口は実物の構造物の開口部に相当する。
【0014】
前記の通り、模型イ、ロ共、内筒には図1−(b)に示すように底面から150mmの高さに平面上、円周方向に等間隔で16個の、番号を付した風圧検出孔が形成され、模型ロの外筒には図2−(b)に示すように内筒の平面上の中心(17)に対し、内筒の風圧検出孔から周方向に11.25度ずれた位置に、内筒の風圧検出孔と同一の高さに、平面上、円周方向に等間隔で16個の直径3mmの、開口としての孔A〜Pが形成されている。内筒の風圧検出孔と外筒の孔が同一高さにあることで、外筒への孔の形成位置が構造物におけるダブルスキンの層に相当する。このダブルスキンの層は内筒の内部を含め、開口が形成されていない上下の層とは分離している。
【0015】
図2−(a)に示すように外筒の開口と内筒の風圧検出孔は、外壁と内壁に挟まれたダブルスキンの空間を模した圧力チャンバを介して連通し、内筒の風圧検出孔はビニールチューブを通じて圧力計に接続され、そのまま風下側に移動し、風下側の内筒の壁面風圧を高め、均等化する。内部の圧力チャンバ内に流入した外気はやはり外筒の開口の一部から外筒の外部へ流出する。外筒の開口は開閉自在であり、各開口が開放状態であるか否か、等による内壁面風圧の分布は表1に示すように各開口の開放位置を変えることにより求められる。
【0016】
模型イ、ロに与えられる風圧の測定には図3に示す風洞を用い、その横300mm×縦600mmの測定部に模型イ、ロを横向きに設置し、一様流れ、乱れが0.1%の風速10m/sの風を与えた。模型の直径を代表寸法としたときのRe数は5.3〜6.7×104である。その結果を図4〜図10に示す。図4は模型イによる実験結果を、図5〜図10は模型ロによる実験結果を示す。実験ケースを表1に示す。
【表1】
【0017】
模型イに対しては風速を変えて3通り(ケース1〜3)の実験をし、模型ロに対しては全開口を開放させた状態で、ケース1〜3と同様に風速を変えて3通り(ケース4〜6)の実験と、風速を一定にしたまま、開放させる開口の位置を変えて5通り(ケース7〜11)の実験を行った。
【0018】
図4にケース1の結果を示すが、この場合、風向に対し、±35度の位置を境界に内壁面風圧が正圧から負圧に変わり、±68度の位置で負の最大値を取ることが分かる。ケース2、3もケース1と同様で、内壁面風圧の分布は図4と完全に重なり、既存の実験結果とも一致し、この実験が正しいことを証明している。またケース4〜6でもそれぞれの内壁面風圧分布がほぼ完全に重なる結果を得た。このことから、内壁面風圧分布に風速は大きく影響しないと考えられるため、ケース7〜11では風速を10m/sで一定にしている。
【0019】
ケース4〜6の結果を図5−(a)に示す。ケース5、6はケース4とは風速が異なるのみで、内壁面風圧分布は図5−(a)と完全に一致している。図5−(b)は開口の開閉状態を示し、白丸が開放状態を、図6−(b)以降の黒丸が閉鎖状態を示している。図5の結果から、外筒の全開口が開放しているときに風圧分布が周方向に均一になって表れていることから、実験で用いた開口の開放面積が適切であったと言える。全開口が開放状態でありながら、開放面積が適切でなければ、風上側での外気の流入と、風下側での空気の流出が円滑に行われず、内筒の風圧分布が均一になって表れないと考えられるからである。ケース7〜11の結果を示す図6〜図10でも各図の(a)は内筒の内周面における風圧分布を示している。
【0020】
図6−(a)はケース7の結果を示すが、図5−(a)との対比から、風上側の半分の開口を開放させたまま、風下側の半分の開口を塞ぐことで、全開口を開放させた場合より負圧の程度(絶対値)が半減していることが分かる。
【0021】
図7−(a)はケース8の結果を示す。ここに示すように風下側の半分の開口と共に、風上側の両側の一部の開口を塞いだ場合には、図5、図6の場合とは逆に、内壁面風圧が正圧となって表れることが分かる。
【0022】
図8−(a)は(b)に示すように図7の場合より風上側の両側の開口を各1箇所多く開放させた場合の結果を、図9−(a)は図7の場合より風上側の両側の内の一方の開口を多く開放させた場合の結果を示す。共に図7の場合と同様に内壁面風圧が正圧となって表れるものの、図7の場合より圧力の絶対値が小さくなっていることが分かる。
【0023】
図8、図9の、図7との違いは図4において最大負圧を示す風(気流)の剥離点となる位置での開口が開放状態にあるか閉鎖状態にあるか、であるから、図7〜図9の結果から、風上側から風の剥離点となる位置、またはその近傍までの開口を開放させると共に、それ以外の開口を閉鎖させることにより図8に示すように内筒の内壁面風圧を0に近付けること、あるいは0となるような最適な開閉状態を選択することが可能であることが分かる。建物の平面形状が方形状の場合で、そのいずれかの出角部が風上側となるとき、風の剥離点は風上側と風下側の間の出隅部に表れる。
【0024】
図10−(a)は(b)に示すように図6とは逆に、風上側の開口を閉鎖させ、風下側の開口を開放させた場合の結果を示す。ここに示すように風上側の開口を閉鎖させると、内筒の全周に負圧が発生する上、外筒がない場合より負圧の絶対値が大きくなり、外筒による風圧減少の利益が得られないことが分かる。
【0025】
図5〜図9は外周壁の全周が内壁と外壁から構成されるダブルスキンで、筒形の建物を想定した模型から得られた結果を示すが、図7〜図9の結果から、構造物の外周面を周回して配置された全開口の内、風上側に位置する開口を風の剥離点位置まで開放させると共に、風下側の開口を閉鎖させることにより内筒に発生する内壁面風圧を全周に亘って低減させ、0に近付けることが可能である、と言える。
【0026】
また図7〜図9の結果から、風上側の外壁と風下側の外壁が開閉自在な開口部を有していれば、それぞれの開口部の開閉状態を自由に設定することができ、図7〜図9の場合の開口と同じ状態を得ることができるため、構造物は必ずしも外周壁の全周がダブルスキンである必要はなく、少なくとも風上側と風下側がダブルスキンであればよい、と言える。
【0027】
従って請求項1に記載のように外周壁の、少なくとも互いに対向する区間が内壁と外壁から構成されるダブルスキンであり、このダブルスキンを構成する外壁が周方向に間隔を隔て、開閉自在な開口部を有していれば、ダブルスキンの内壁に生ずる内壁面風圧を低減させることが可能である。外壁が開閉可能な開口部を有していれば、請求項2に記載のようにダブルスキンを構成する外壁の全開口部の内、風上側に位置する開口部を、風上側から風の剥離点となる位置、またはその近傍まで開放させ、その他の開口部を閉鎖させた、図8、図9の状態にすることが可能だからである。
【0028】
請求項2によれば、ダブルスキンを構成する外壁が周方向に間隔を隔て、開閉自在な開口部を有し、外壁の全開口部の内、風上側の開口部が、風上側から風の剥離点となる位置、またはその近傍まで開放し、その他の開口部が閉鎖することで、図8、図9と同等の状態になるため、図8、図9の結果と同様の結果が得られることになる。特に請求項8に記載のように外周壁の全周がダブルスキン構造であれば、図8、図9の(a)に近い結果が得られることになる。請求項1、請求項2ではまた、内壁面風圧を全周に亘って低減できることで、風による内部扉の急激な開閉により什器を破損させ、居住者に怪我を負わせる危険性を回避することが可能になる。
【0029】
また例えばダブルスキン構造物の立地条件や地理的条件等から、ダブルスキン構造物に作用する風の向きがほとんど1方向に特定される、または1方向の風が卓越するような場合には、その風上側にのみ開口部を形成し、その開口部を開放させておくことにより図8、図9と同じ結果を得、内壁に生ずる風圧を低減することが可能である。その場合、平面上の周囲の内、風上側以外の区間の開口部は閉鎖していることと同等であるため、風上側以外の区間には必ずしも開口部が形成される必要はない。
【0030】
よって請求項4に記載のように平面上の周囲を周回する外周壁の内、少なくとも互いに対向する区間が内壁と外壁をからなるダブルスキンを構成し、このダブルスキンを構成する外壁の風上側に、風上側から風の剥離点となる位置、またはその近傍まで周方向に間隔を隔て、開放可能な開口部を有していれば、風の向きがほとんど1方向に特定される条件下では風上側がほぼ一定であるため、内壁に生ずる風圧を低減させることができることになる。この場合も内壁面の風圧を周方向に均等に軽減させる上では、外壁は開口部を周方向に均等に有することが適切である。
【0031】
図8、図9の結果を得た模型ロは内壁が周方向に間隔を隔て、ダブルスキン内に取り入れた外気を建物内に導く開口部(風圧検出孔)を有しているから、請求項3に記載のように請求項1、もしくは請求項2において、ダブルスキンを構成する内壁が周方向に間隔を隔て、開閉自在な開口部を有していれば、請求項1、もしくは請求項2による効果を引き継ぐことが可能である。同様に請求項5に記載のように請求項4において、ダブルスキンを構成する内壁が周方向に間隔を隔て、開閉自在な開口部を有していれば、請求項4による効果を引き継ぐことが可能である。請求項3、請求項5の場合も、開口部は周方向に均等に有することが適切である。請求項3、請求項5では内壁の開口部を通じ、内壁内に取り込まれた外気の屋外への排気が可能になるため、風上側での外気の導入が促され、自然換気の効率が向上する。
【0032】
また請求項6に記載のように請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のダブルスキン構造物において、外壁の開口部の、開放状態での開放面積が自由に調整自在であれば、風上側の風圧力の大きさに応じて開口部の開放面積を変えることで、最適な内壁面風圧を得ることが可能である。
【0033】
更に請求項7に記載のように内壁の内周側に、前記外壁の開口部から取り入れた外気を屋外へ導く排気筒を有すれば、内壁の開口から屋内に導入された空気の屋外への排気が円滑に行われ、同時に外筒の開口からの外気の導入も円滑に行われることになるため、自然換気性能が向上し、上記した内壁面風圧の均等化の効果が確実に得られることになる。請求項7では屋内に導入された外気の屋外への排気が円滑に行われることで、高層建物での自然換気システムを構築することが可能になる。
【0034】
実験に用いた模型イ、ロは筒形の建物を想定しているが、実験結果より、本発明は高層建物を含め、アスペクト比の大きい塔状建物、柱状構造物のような風圧力の影響を強く受ける構造物全般において有効である、と言える。
【0035】
内壁面風圧を積極的に均等化させることは、例えば請求項9に記載のように開口部を有する内壁を構成要件とする請求項3、または請求項5〜請求項8のいずれかに記載のダブルスキン構造物において、ダブルスキンを構成する内壁における圧力が周方向に均等化されるように、外壁における開口部の開閉を制御し、例えば圧力が大きい外壁における開口部を閉鎖することにより実現される。
【0036】
図5、図10に示すように外筒の風下側の開口が開放している状態では、内筒の風下側の圧力が大きく、負圧となるのに対し、図6〜図9に示すように外筒の風下側の開口部を閉鎖させることで、内筒の風下側の圧力を低減できることから、圧力が大きくなる風上側の外壁における開口部の開閉を制御することで、内壁面における圧力を周方向に均等化させることが可能になる。
【0037】
請求項9の制御を行う際に、内壁面における圧力が風上側であるか風下側であるか等、部位毎に相違するために、内壁面における圧力と外壁面における圧力との差が顕著に表れず、相対的に外壁面における圧力が大きくならないような場合には、請求項10に記載のようにほぼ一定に保たれ得る屋内の圧力を基準として利用し、内壁における圧力と、基準となる屋内の圧力との差が周方向に均等化されるように、外壁における圧力と屋内の圧力との差が大きい外壁における開口部の開閉を制御することにすれば、内壁面風圧を均等化させることの精度を向上させることが可能になる。
【発明の効果】
【0038】
上記の通り、本発明では平面上の周囲を周回する外周壁の内、少なくとも互いに対向する区間が内壁と外壁からなるダブルスキンを構成し、その外壁が周方向に間隔を隔てて開閉自在な開口部を有するため、模型での実験結果から、風上側に位置する開口部を風上側から風の剥離点となる位置、またはその近傍まで開放させると共に、その他の開口部を閉鎖させることで、内壁面風圧を全周に亘って低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0040】
図11〜図13はダブルスキン構造物の平面形状が方形状の場合の、内壁1と外壁2からなるダブルスキンを通じての外気の導入と排気の流れを示す。
【0041】
図11−(a)は外周壁の全周がダブルスキンである場合の水平方向の通風での外気の流れを示す。ここでは平面上、いずれかの出隅部の方角が風上側となる場合を想定し、風上側となる2方向の外壁2における開口部を全開させ、風下側となる2方向の外壁2における開口部の内、風の剥離点となる位置、またはその近傍から風下側の一部の区間の開口部を閉鎖させ、風上側から最も遠い出隅部寄りの一部の開口部のみを開放させている。この場合、外気は風上側の外壁2の開口部からダブルスキンの空間に取り込まれた後、内壁1の内周側の屋内空間を通り、風下側のダブルスキンの空間を経て外壁2の開口部から屋外へ排気される。
【0042】
なお、ダブルスキンを構成する外壁2には外気導入のための開口部とは別に、ダブルスキンの内部で温度が上昇した空気を排気し、ダブルスキン内部の温度上昇を抑制するための開口部が形成される。
【0043】
図11−(b)は全周の内、1方向に対向する区間がダブルスキンである場合の外気の流れを示す。ここでも平面上、いずれかの出隅部の方角が風上側となる場合を想定しているが、風上側に位置する外壁2の全開口部を開放させると共に、風下側の外壁2の、風上側から最も遠い出隅部寄りの一部の開口部を閉鎖させ、その他の開口部を開放させている。外気は風上側のダブルスキンの空間と屋内空間を通り、風下側のダブルスキンの空間を経て屋外へ排気される。
【0044】
図12−(a)、(b)は垂直方向の通風で、外周壁の全周がダブルスキンである場合に、内壁1の内周側、すなわち屋内空間に、外壁2の開口部から取り入れた外気を屋外へ導く排気筒3を有する場合の外気の流れを示す。排気筒3は少なくともダブルスキンの層から屋上等、屋外まで連続するが、必ずしも筒状である必要はなく、吹抜けのような空間でもよい。構造物におけるダブルスキンの層の形成位置は問われず、ある層のみ、またはある層より上の層に形成される他、全層に形成される。構造物が排気筒3を有する場合には、屋内に取り入れられた外気は排気筒3から屋外へ排出されるため、風下側の外壁2における開口部を開放させる必要がない。排気筒3の屋外に通ずる部分では屋外を通過する風の負圧による吸引力によって排気が行われる。
【0045】
図13は全周の内、1方向に対向する区間がダブルスキンである場合に、内壁1の内周側に、外壁2の開口部から取り入れた外気を屋外へ導く排気筒3を有する場合の外気の流れを示す。この場合も図12−(a)と同様に必ずしも風下側の外壁2の開口部を開放させる必要はないが、開口部を開放させたときに、例えば排気筒3から排出されるときの外気の吸引力が大きくなる場合には、図示するように排気側となるべき風下側の開口部から外気が取り込まれる可能性がある。
【0046】
図14はダブルスキンを有効に利用した通気換気システムの具体例を示す。安定した通気換気システムを成立させるには内壁面風圧の絶対値を小さくし、内壁面風圧が風速の急激な変化の影響を受けないようにすることが適切である。それには内壁1の開口部を居住者の手により自由に開閉できるようにした上で、風向き、風速等に応じ、外壁2の開口部の開閉を自動的に制御できるようにすることが望ましい。
【0047】
外壁2の開口部を自動的に開閉するための最も有効なシステムは図14に示すようにダブルスキンで建物の全周を包囲し、屋上の風速・風向計により風向き、風速を計測すると共に、代表階(複数階に亘ることもある)の外壁2及び内壁1の風圧力を圧力センサ等の圧力計4で検出し、これらの計測・検出値に基づいて外壁2の開口部の開閉を制御することである。図示するように建物の平面上の出隅部が風上となるとき、外壁2における、風(気流)の剥離点となる風下側との境界より風下側の開口部は大きな負圧となる点であるから(図4)、この開口部を閉鎖するように制御することが必要になる。
【0048】
図15は図14に示す箱形の建物を円筒形に置き換えたときの、外壁2と内壁1の圧力計4の配置例を示す。図中、Oiは外壁2における圧力計4の位置を、Iiは内壁1における圧力計4の位置を示す。ここで、建物内の気圧を基準として、外壁2の圧力計4の測定値から外壁2面と建物内の圧力差(ΔPOi)が算出され、内壁1の圧力計4の測定値から内壁1面と建物内の圧力差(ΔPIi)が算出される。この算出値から、ΔPIiが周方向に均等化されるように全ΔPOiの算出値の内、負の値が大きい箇所の開口部を閉鎖するように外壁2の開口部の開閉が制御される。外壁2の開口部の開閉はアクチュエータ等の駆動手段により行われる。
【0049】
ΔPOiの内、負の値が大きい箇所の開口部を閉鎖するのは、風下側の開口部が開放しているときに、風下側の内壁における圧力が負圧で、その絶対値が大きくなるのに対し(図5、図10)、風下側の内壁における開口部を閉鎖させることで、風下側の内壁の圧力の絶対値を低減できるからである(図6〜図9)。
【0050】
図15では外壁2の各部での圧力値のばらつきによる誤差を減らし、その圧力値の精度を高めるために、内壁1の圧力及び外壁2の圧力と建物内の気圧との差を算出しているが、必ずしも建物内の気圧を基準にする必要はなく、別に基準圧力を用意しても良い。
【0051】
図15の制御例を示したブロック図を図16に示す。外壁2の圧力計4の測定値から算出された外壁2面と屋内の圧力差(ΔPOi)と、内壁1の圧力計4の測定値から算出された内壁1面と屋内の圧力差(ΔPIi)はパーソナルコンピュータ(PC)等の演算手段に送られ、演算手段から上記した指令が駆動手段に伝達される。駆動手段の動作に基づいて外壁2の開口部の開閉が行われ、開放時に外気が導入され、屋外→屋内→屋外の通風が確保される。屋内に導入された外気に起因する屋内温度・湿度の変化、開口部を外気が通過するときの風速等の情報は演算手段にフィードバックされ、時々刻々得られるデータ(ΔPOi、ΔPIi)による次の指令に反映される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】(a)はシングルスキン構造物をモデル化した模型を示した立面図、(b)は平面図である。
【図2】(a)はダブルスキン構造物をモデル化した模型を示した立面図、(b)は平面図である。
【図3】(a)は実験に使用した風洞を示した平面図、(b)は立面図である。
【図4】シングルスキンの模型における内壁面風圧の分布を示した平面図である。
【図5】(a)は外筒の全開口を開放させた場合の、ダブルスキンの模型における内壁面風圧の分布を示した平面図、(b)は外筒の開口の開放位置を示した平面図である。
【図6】(a)は外筒の風上側の開口を開放させた場合の、ダブルスキンの模型における内壁面風圧の分布を示した平面図、(b)は外筒の開口の開放位置を示した平面図である。
【図7】(a)は外筒の風上側の一部の開口を開放させた場合の、ダブルスキンの模型における内壁面風圧の分布を示した平面図、(b)は外筒の開口の開放位置を示した平面図である。
【図8】(a)は外筒の風上側の剥離点までの開口を開放させた場合の、ダブルスキンの模型における内壁面風圧の分布を示した平面図、(b)は外筒の開口の開放位置を示した平面図である。
【図9】(a)は外筒の風上側の剥離点までの開口を開放させた場合の、ダブルスキンの模型における内壁面風圧の分布を示した平面図、(b)は外筒の開口の開放位置を示した平面図である。
【図10】(a)は外筒の風下側の開口を開放させ、風上側の開口を閉鎖させた場合の、ダブルスキンの模型における内壁面風圧の分布を示した平面図、(b)は外筒の開口の開放位置を示した平面図である。
【図11】(a)は全周がダブルスキンである場合の外気の流れを示した平面図、(b)は1方向に対向する面がダブルスキンである場合の外気の流れを示した平面図である。
【図12】(a)は全周がダブルスキンであり、内壁の内周側に排気筒を有する場合の外気の流れを示した平面図、(b)は斜視図である。
【図13】1方向に対向する面がダブルスキンである場合に、内壁の内周側に排気筒を有する場合の外気の流れを示した平面図である。
【図14】ダブルスキンを有効に利用した通気換気システムの具体例を示した概念図である。
【図15】図14に示す通気換気システムにおける、円筒形の建物での圧力計の配置例を示した平面図である。
【図16】内壁面と屋内の圧力差を均等化させるための制御例を示したブロックである。
【図17】ダブルスキンが風下側にのみある場合の空気の流れを示した概要図である。
【符号の説明】
【0053】
1………内壁
2………外壁
3………排気筒
4………圧力計
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面上の周囲を周回する外周壁の内、少なくとも互いに対向する区間が内壁と外壁からなるダブルスキンを構成し、前記外壁が周方向に間隔を隔て、開閉自在な開口部を有していることを特徴とするダブルスキン構造物。
【請求項2】
前記外壁の全開口部の内、風上側に位置する開口部が、風上側から風の剥離点となる位置、またはその近傍まで開放し、その他の開口部が閉鎖していることを特徴とする請求項1に記載のダブルスキン構造物。
【請求項3】
前記内壁が周方向に間隔を隔て、開閉自在な開口部を有していることを特徴とする請求項1、もしくは請求項2に記載のダブルスキン構造物。
【請求項4】
平面上の周囲を周回する外周壁の内、少なくとも互いに対向する区間が内壁と外壁からなるダブルスキンを構成し、前記外壁の風上側に、風上側から風の剥離点となる位置、またはその近傍まで周方向に間隔を隔て、開放可能な開口部を有していることを特徴とするダブルスキン構造物。
【請求項5】
前記内壁が周方向に間隔を隔て、開閉自在な開口部を有していることを特徴とする請求項4に記載のダブルスキン構造物。
【請求項6】
前記外壁の開口部の、開放状態での開放面積が自由に調整自在であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のダブルスキン構造物。
【請求項7】
前記内壁の内周側に、前記外壁の開口部から取り入れた外気を屋外へ導く排気筒を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のダブルスキン構造物。
【請求項8】
前記外周壁の全周が内壁と外壁からなるダブルスキンを構成していることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のダブルスキン構造物。
【請求項9】
請求項3、または請求項5〜請求項8のいずれかに記載のダブルスキン構造物において、前記内壁における圧力が周方向に均等化されるように、前記外壁における開口部の開閉を制御するダブルスキン構造物における外壁開口部の制御方法。
【請求項10】
請求項3、または請求項5〜請求項8のいずれかに記載のダブルスキン構造物において、前記内壁における圧力と屋内の圧力との差が周方向に均等化されるように、前記外壁における圧力と屋内の圧力との差が大きい外壁における開口部の開閉を制御するダブルスキン構造物における外壁開口部の制御方法。
【請求項1】
平面上の周囲を周回する外周壁の内、少なくとも互いに対向する区間が内壁と外壁からなるダブルスキンを構成し、前記外壁が周方向に間隔を隔て、開閉自在な開口部を有していることを特徴とするダブルスキン構造物。
【請求項2】
前記外壁の全開口部の内、風上側に位置する開口部が、風上側から風の剥離点となる位置、またはその近傍まで開放し、その他の開口部が閉鎖していることを特徴とする請求項1に記載のダブルスキン構造物。
【請求項3】
前記内壁が周方向に間隔を隔て、開閉自在な開口部を有していることを特徴とする請求項1、もしくは請求項2に記載のダブルスキン構造物。
【請求項4】
平面上の周囲を周回する外周壁の内、少なくとも互いに対向する区間が内壁と外壁からなるダブルスキンを構成し、前記外壁の風上側に、風上側から風の剥離点となる位置、またはその近傍まで周方向に間隔を隔て、開放可能な開口部を有していることを特徴とするダブルスキン構造物。
【請求項5】
前記内壁が周方向に間隔を隔て、開閉自在な開口部を有していることを特徴とする請求項4に記載のダブルスキン構造物。
【請求項6】
前記外壁の開口部の、開放状態での開放面積が自由に調整自在であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のダブルスキン構造物。
【請求項7】
前記内壁の内周側に、前記外壁の開口部から取り入れた外気を屋外へ導く排気筒を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のダブルスキン構造物。
【請求項8】
前記外周壁の全周が内壁と外壁からなるダブルスキンを構成していることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のダブルスキン構造物。
【請求項9】
請求項3、または請求項5〜請求項8のいずれかに記載のダブルスキン構造物において、前記内壁における圧力が周方向に均等化されるように、前記外壁における開口部の開閉を制御するダブルスキン構造物における外壁開口部の制御方法。
【請求項10】
請求項3、または請求項5〜請求項8のいずれかに記載のダブルスキン構造物において、前記内壁における圧力と屋内の圧力との差が周方向に均等化されるように、前記外壁における圧力と屋内の圧力との差が大きい外壁における開口部の開閉を制御するダブルスキン構造物における外壁開口部の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−46373(P2007−46373A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233145(P2005−233145)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【Fターム(参考)】
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