説明

ダム式連続浸漬処理装置

【課題】液シール性を高めて、ワークの大きさ、めっき厚さ等の浸漬処理条件の変更等に柔軟に対応できる経済的なダム式連続浸漬処理装置を提供する。
【解決手段】ワークWを浸漬処理する浸漬処理槽Dとこの浸漬処理槽の前及び/又は後に配設したボックス槽Bとを備えた浸漬処理槽群と、ワークWを水平走行させる搬送手段Aと、各ボックス槽の前後に設けたワーク通路1を開閉する、液シール性を高めたゲート手段2と、ボックス槽と浸漬処理槽とに連通する連通パイプと、ボックス槽から排出される処理液を受ける受け槽と、受け槽から対応する浸漬処理槽に液を返送する返送手段とを有し、ボックス槽が、ワーク進行方向に対して直交する方向に複数並設したボックス室b1、b2を有する構成とし、ボックス槽の前後に変換槽Cを配設し、変換槽が、複数設けたワーク走行レーンの所望の走行レーンにワークWを変換する変換手段31を配設してなる構成である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、めっき処理、クロメート処理、アルミニウムの陽極酸化処理、電解研磨、電解酸洗、フロン代替洗浄、治具剥離等の薬液処理において、所望の薬液を満たした各薬液処理槽にワークを搬送しながら浸漬して処理を行うダム式連続浸漬処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ワークをめっきや電解脱脂等の処理液に浸漬して表面処理をする場合には、複数種類の処理槽を並べて、ワークを吊り下げて各処理槽に順次搬送している。この場合、各薬液処理槽に一定時間浸漬したワークを上方に吊り上げ、隣接する処理槽上方に搬送した後、当該ワークを降下させて所望の液処理をしている。しかし、この従来の装置では、ワークを搬送中に上下動させるため、上下動の時間が必要になり、工程全体の時間が長くなり、不都合であった。
【0003】
そこで、特開平7−166364号(特許文献1)には、ダム式連続浸漬処理装置として、めっき槽及び水洗中和回収槽の前後に複数のリザーブ槽を配置し、これらの境界をゲートによって開閉させ、リザーブ槽と外部、リザーブ槽相互間のワークの移動時にはリザーブ槽の液面レベルを低くして且つゲートを開いてワークを移動させ、リザーブ槽とめっき槽又は水洗中和回収槽との間の移動時には、ゲートを閉じて各リザーブ槽の液面レベルをめっき槽及び水洗中和回収槽と同一レベルとしてワークを移動させる装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−166364号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のダム式連続浸漬処理装置では、ワークを搬送中に上下動させることがなく、ロスタイムがなく、又、各浸漬処理槽を小さくすることができ、これにより、使用する処理液量も低減させることができる。
【0006】
しかし、上記装置は、浸漬処理槽の入側ゲートと出側ゲートを同期して開閉させる機構であり、リザーブ槽に処理液注入する際には、前後のゲートを閉じてから行う必要があり、ロス時間の短縮が十分でなかった。
【0007】
また、浸漬処理槽内の大きさは、予め設定された一般的な大きさに設計されているため、搬送速度の変更だけでは、ワークの大きさ、めっき厚さ等の浸漬処理条件の変更等に柔軟に対応しがたいものであった。
【0008】
更に、縦長のワークを短時間に効率よく処理する場合には、浸漬処理槽を深くする必要があるが、当該浸漬処理槽を深くして液量が多くなるとゲートにかかる水圧が高くなり、ゲート付近から漏れて噴出する液量が多くなる。この勢いよく噴出した液により、周囲を汚染するばかりでなく、汚染した装置自体を洗浄する必要から汚染当該装置のメンテナンス期間が短くなり、操業に制約が多いものであった。しかも、勢いよく噴出する液の圧力により、吊り下げたワークがゆれ、ワーク通路の側壁に当たってワークを傷つけたり、ワークがフレキシブル基板の場合には、治具に取り付けたフレキシブル基板がたるみ、めっき不良等の原因となったりして、種々の不都合が生じることがあった。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、液シール性を高めて種々の問題点を解決し、ワークの大きさ、めっき厚さ等の浸漬処理条件の変更等に柔軟に対応できる経済的なダム式連続浸漬処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、ワークを処理液中に浸漬して処理する浸漬処理槽とこの浸漬処理槽の前及び/又は後に配設したボックス槽とを備えた浸漬処理槽群と、前記浸漬処理槽群に沿ってワークを水平走行させる搬送手段と、前記各ボックス槽の前後に設けたワーク通路を開閉する、液シール性を有するゲート手段と、近接するボックス槽と浸漬処理槽とを開閉自在の弁を介して互いに連通する連通パイプと、前記ボックス槽に弁を介して設けた排出口から排出される処理液を受ける受け槽と、前記受け槽から対応する浸漬処理槽に当該液を返送する返送手段とを有することを特徴としてなる構成である。
【0011】
この構成により、ボックス槽を浸漬処理槽の前後に設け、前記各ボックス槽の前後に設けたワーク通路を開閉する液シール性を高めたゲート手段を設けて、液シール性を高め、ワーク通路からの液噴出を防止して、浸漬処理槽へのワーク搬入をスムーズに行えるため、浸漬処理槽へワークを搬入する際の種々の問題点を解決し、経済的なダム式連続浸漬処理装置を提供することができるものである。
【0012】
請求項2に係る発明は、前記ボックス槽が、ワーク進行方向に対して直交する方向に複数並設したボックス室を有する構成とし、かつ当該ボックス槽の前後に変換槽を配設した構成とし、当該変換槽が、複数設けたワーク走行レーンの所望の走行レーンにワークを変換する変換手段を配設してなる構成である。
【0013】
この構成により、液シール性を高めたゲート手段を設けて、ワーク通路からの液噴出を防止して、浸漬処理槽へのワーク搬入をスムーズに行えると共に、吊り下げたワークが噴出液で揺れたりすることがなく、ワークが傷ついたり、たるんだりすることがなく、めっき不良等の種々の不都合を改善できるものである。また、複数のボックス室を並設することで、ボックス槽へ薬液を注入排出する時間のロスを短縮でき、ワークの大きさ、めっき厚さ等の浸漬処理条件の変更等に柔軟に対応でき、経済的なダム式連続浸漬処理装置を提供することができるものである。
【0014】
請求項3に係る発明は、前記搬送手段が、ワークを吊下して搬送するハンガを多数有し、各ハンガにワーク進行方向に対して直交する方向にワークを吊下する吊下部を複数個所設けてなる構成である。
【0015】
この構成により、前記変換手段と相俟って、ワークを所望の走行レーンに沿って正確に走行させることができ、所望の浸漬処理条件を確実に実行できるものである。
【0016】
請求項4に係る発明は、前記浸漬処理槽が、液面調整手段を有し、当該液面調整手段が、当該処理槽の側壁の所望の位置に切欠部を設け、当該切欠部の開放量を調整する調整板を上下動自在に当該側壁に設けてなる構成である。
【0017】
この構成により、浸漬処理槽内の薬液面を簡単に調整することができ、循環用ポンプ等の制御が簡単になり、ライン上を搬送されるワークサイズの変更や浸漬処理条件の変更にも柔軟に対応でき、経済的な装置とすることができるものである。さらに、前記ボックス槽や前記変換槽を設けることと相俟って、ワークの大きさに応じて浸漬処理時間を自由に選定でき、当該装置の浸漬処理能力を柔軟に変更でき、ワークの種類、大きさ、浸漬処理条件の変更により柔軟に対応できる装置とすることができるものである。
【0018】
請求項5に係る発明は、前記ゲート手段が、ワーク通路に対して直交する方向に摺動自在に開閉動作するゲートと、当該ゲートを開閉自在に駆動する駆動機構とを具備し、前記ゲートが摺動する面のうち、浸漬処理槽から遠い側面には滑り性のある硬質樹脂を、近い側面には柔軟性のある軟質樹脂を配してなる構成である。
【0019】
この構成により、液圧による液漏れを最小限にしながらゲートの円滑な摺動も確保でき、液シール性のより高いゲート手段とすることができるものである。
【0020】
請求項6に係る発明は、前記ゲート手段が、前記ゲートの本体端辺と当接するワーク通路の対向壁面及び/又は前記ゲート本体端辺に軟質樹脂を配設してなる構成である。
【0021】
この構成により、ワーク通路の対向壁面にゲート本体の端辺を押し付けた際に、前記軟質樹脂が少許変形して、液シール性のより高いゲート手段とすることができるものである。
【0022】
請求項7に係る発明は、前記ゲート手段が、前記ゲートの本体先端が当接するワーク通路壁に溝部を形成し、当該溝部の開放面を覆うように軟質樹脂膜を配設してなる構成である。
【0023】
この構成により、ワーク通路壁の溝部にゲート本体の端辺を押し付けた際に、前記軟質樹脂膜の厚み以上に当該樹脂膜が、当該ゲート本体の端辺により押し込まれて当該縦溝内まで変形し、この樹脂膜の弾発力により当該ゲート本体端辺と樹脂膜との密着性をより向上させることができ、液シール性のより高いゲート手段とすることができるものである。
【0024】
請求項8に係る発明は、前記ゲート手段が、ワーク通路に対して直交する方向に摺動自在に開閉動作するゲートと、当該ゲートを開閉自在に駆動する駆動機構とを具備し、当該ゲートが、板状のゲート本体の基端側に突設した当接片を有するものであり、当該ゲートの本体先端及び当接片を前記ボックス槽の壁面に当接させて、前記ボックス槽内に満たした液をシールするようにしてなる構成である。
【0025】
請求項9に係る発明は、前記ゲート手段が、ワーク通路に対して回動自在に開閉動作をするゲートと、当該ゲートを回動自在に駆動する駆動機構とからなり、前記ボックス槽のワーク通路周縁近傍の壁面に当該ゲートを当接させて、前記ボックス槽内に満たした液をシールするようにしてなる構成である。
【0026】
このような構成により、ゲートの本体先端及び当接片を前記ボックス槽の壁面に当接させているため、当該ゲートに高い水圧がかかっても、これらの隙間から薬液が噴出して飛散することがなく、液シール性の高い状態を確保できるものである。前記のように、液シール性を高めたことにより、当該装置の周囲を汚染することがなくなり、汚染した装置自体を洗浄する必要がなくなったり、洗浄作業の間隔を長くすることができ、当該装置のメンテナンス期間を長くすることができ、操業に制約の少ない装置とすることができる。また、吊り下げたワークが噴出液で揺れたりすることがなく、ワークが傷ついたり、たるんだりすることがなく、めっき不良等の種々の不都合を改善できるものである。
【0027】
請求項10に係る発明は、前記ゲート手段が、ワーク通路に対して常に閉状態に付勢したゲートを回動自在に開閉動作をするように配設し、ワークがその移動に伴って当該ゲートを前記付勢力に抗して押し開き、ワークが通過した後は、前記付勢力により自動的に閉状態になるようにしてなる構成である。
【0028】
この構成により、ゲートの駆動機構が不要となるばかりでなく、当該ゲートの開閉制御も不要となり、構造や制御を簡単なものとすることができ、より経済的な装置を提供することができる。
【0029】
請求項11に係る発明は、前記ゲート手段が、前記浸漬処理槽にワークが入る側のゲートを開閉自在に設けたものとし、浸漬処理槽から出てゆく側のゲートをいわゆるシールローラとしてなる構成である。
【0030】
この構成により、ゲートの駆動機構の数を減らすことができるばかりでなく、当該ゲートの開閉制御の数も減らすことができ、構造や制御を簡単なものとすることができ、より経済的な装置を提供することができる。
【0031】
請求項12に係る発明は、前記ボックス槽が、電気めっき用の浸漬処理槽の前及び/又は後に配設したものであって、バイポーラ現象防止手段を有してなる構成である。
【0032】
この構成により、浸漬処理槽で通電中であっても、ワークにバイポーラ現象を起こすことなく、電気めっきにおいてはめっき不良、密着不良等の種々の問題が、電解脱脂においては、被処理物の表面を荒らしたりする等の種々の問題が生じることのない装置を提供することができる。
【0033】
電気めっきや電解脱脂等の電気を使用する浸漬処理槽の前後に設けたリザーブ槽(本発明においてはボックス槽)において、当該リザーブ槽の薬液が連通する当該浸漬処理槽では通電中であるため、当該リザーブ槽に搬送されたワークにもいわゆる迷走電流(漏洩電流)が流れ、電気が無駄になるばかりでなく、電気めっきにおいてはめっき不良、密着不良等の種々の問題が、又、電解脱脂においては、被処理物の表面を荒らしたりする等の種々の問題が生じる。本明細書においては、これらの現象をバイポーラ現象と記す。
【0034】
【発明の実施の形態及び実施例】
以下、本発明のダム式連続浸漬処理槽に係る実施例を、治具に取り付けたフレキシブル基板からなるワークを電気ニッケルめっきした後、電気金めっきする装置の例で、図面に基づき説明する。なお、本発明は、当該図面の構造に限定されるものではない。
【0035】
本実施例の装置は、図1に示すように、各処理槽を略横U字状に配設してなる処理槽群と、当該処理槽群に沿って搬送手段Aを配設し、当該搬送手段AによりワークWを水平移動させて、各処理槽内を順次通過させ所望の液処理を施すようにしてなるものである。この場合、ワークは、実質的に上下移動することはない。前記搬送手段Aは、従来公知の技術を用いればよいが、ここでは、モータ等により駆動されるチェーンを有し、当該チェーンにハンガを等間隔に多数取り付け、当該ハンガの下側にワークWを吊り下げ支持して、前記処理槽群に囲まれたガイドフレームに沿ってハンガを前記処理槽群の上方を通って水平に搬送するものである。
【0036】
ここで、本発明の特徴的部分を有する浸漬処理槽D及びその前後の槽は、ロード部R側から第一変換槽C、ボックス槽B、第二変換槽C、電気ニッケルめっき槽D、第三変換槽C、第二ボックス槽Bが直線的に順次配設され、その後工程に第三ボックス槽B、第四変換槽C、電気金めっき槽D、第五変換槽C、第四ボックス槽B、第六変換槽Cがアンロード部U側に向かって順次配設されてなるものである。
【0037】
前記各ボックス槽Bは、図1に示すように、前記各浸漬処理槽Dの出入口外側にワーク進行方向に対して直交する方向に仕切壁によって仕切られた、互いに連通することのないボックス室b、bを二列並設してなり、図2に示すように、その各出入口にゲート手段Gを配設してなるものである。
【0038】
前記ゲート手段Gは、図3に示すように、ボックス槽Bのワーク通路1に対して直交する方向に摺動自在に開閉動作をする板状のゲート2と、当該ゲート2を摺動自在に駆動する駆動機構3と、当該駆動機構3を制御して当該ゲート2を開閉する制御機構(図示せず)とを有している。
【0039】
前記ゲート2の駆動機構3は、図4に示すように、ゲート本体4の端辺部の上下部に、ギア(図示せず)を刻設した摺動杆5を固着し、当該摺動杆5に刻設したギア(図示せず)と噛合う平ギア6をモータ7と連結した回転杆8に装着してなり、ワーク通路1を開閉するように駆動するものである。なお、ゲート2の駆動機構3は、ゲートが摺動自在に開閉できるものであればよく、駆動手段は、特に限定するものではない。
【0040】
ここで、図3に示すように、ボックス槽Bのワーク通路1の外側壁面にスリット11を設け、当該スリット11内を前記駆動機構3によりゲート2が摺動し、当該スリット11内面にゲート2の摺動を確保しつつ液漏れを最小限に規制するための樹脂部材を配設し、ゲート2の本体4端辺が当接するワーク通路1の対向壁面12の止部13に軟質樹脂を配設して、液シール性を高めたものである。
【0041】
すなわち、図25に示すように、スリット11や、図27に示すように、ゲート本体4の底辺の摺動を案内するため、ワーク通路1の底部75に設けた摺動溝76においては、浸漬処理槽Dから遠い側の摺動面に滑り性のある硬質樹脂71を、近い側の摺動面に柔軟性のある軟質樹脂72を配するものである。
【0042】
このように、浸漬処理槽Dから遠い側の摺動面に滑り性のある硬質樹脂71を配することにより、浸漬処理槽Dの処理液圧でゲート2が当該摺動面に押し付けられてシール性を発揮するだけでなく、当該処理液圧力に抗してゲート2の円滑な摺動を確保できるものである。又、浸漬処理槽Dから近い側の摺動面に柔軟性のある軟質樹脂72を配することにより、浸漬処理槽Dの処理液圧でゲート2が当該摺動面から遠ざかる方向に力がかかっても、当該軟質樹脂72がゲート2面の動きに追従して少許変形し、当該ゲート2面に当接してシール性を高めることができるものである。
【0043】
そして、図25に示すように、前記ゲート2の本体4先端が当接するワーク通路1壁に一条の溝部73を縦に形成し、当該溝部73の開放面を覆うように軟質樹脂膜74を配設してなるものである。
【0044】
これにより、図26に示すように、ワーク通路1壁の溝部73にゲート本体4の端辺を押し付けた際に、当該軟質樹脂膜74が当該ゲート本体の端辺により前記溝部73内まで押し込まれて変形し、この軟質樹脂膜74の弾発力により当該ゲート本体4端辺と樹脂膜74との密着性をより向上させることができ、液圧による液漏れを最小限にすることができるものである。
【0045】
使用できる樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリスチレン、スチロール樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアミド、ナイロン、ポリウレタン、飽和ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリブタジエン、EVA樹脂、ポリメチルペンテン、メタクリルスチレン、フッ素樹脂、シリコン樹脂等の樹脂から適宜選択して使用するものである。
【0046】
硬質樹脂は、硬くて滑り性を有するものであればよく、フッ素樹脂、超高分子ポリエチレン等が好ましく、軟質樹脂又は軟質樹脂膜は、ゲートで押圧したときに変形し、かつ、その弾発力により密着性を発揮するものであればよく、ポリスチレン、ポリブタジエン、EVA樹脂等からなる柔軟性を有する樹脂が好ましいが、特に限定するものではない。
【0047】
この他に、液シール性をより高めるために、前記ゲート2の本体4端辺と当接するワーク通路1の対向壁面/又は前記ゲート本体4端辺に軟質樹脂72を配設したものとしてもよい(図示せず)。これにより、ワーク通路1の対向壁面にゲート本体4の端辺を押し付けた際に、前記軟質樹脂72が少許変形して、液シール性のより高いゲート手段とすることができるものである。
【0048】
また、並設した各ボックス室b、bは、図5に示すように、その底部に、近接するめっき槽Dの底部と電磁弁21を介して連通パイプ22でそれぞれ連通する一方、電磁弁23を介して排出口24を設けている。この排出口24の下方には、受け槽25を配設し、当該受け槽25に溜まっためっき液をポンプPによりフィルターFを介してめっき槽Dに返送するようにしている。
【0049】
ボックス室b、b内には、図3に示すように、バイポーラ現象を防止するために、電気ニッケルめっき槽の前後においては、ワークWに対面するようにニッケル金属板製(チタンケースにニッケル金属粒を入れたものでもよい)の電極板26を配設し、0.1〜6mmA/分の微弱電流を流すようにしている。そして、電気金めっき槽の前後に配設するボックス室においては、ワークWに対面するように白金・チタン合金製(チタン板に白金をコーティングしたものでもよい)の電極板を配設し、0.1〜5mmA/分の微弱電流を流すようにしている。これらの場合、流す電流量や強さ、電極の材質や大きさ等は、ワークの種類や大きさ、めっき液、めっき条件等を考慮して適宜設定すればよく、これに限定するものではない。
【0050】
各浸漬処理槽Dの前後に配設した変換槽Cは、図2に示すように、当該ワークWを手前走行又は奥側走行に変換する変換手段31を配設してなり、浸漬処理槽Dに比べてそのワーク走行方向と直交する方向に幅広くなっている。なお、このように浸漬処理槽より幅広く形成することに限定するものではない。
【0051】
前記変換手段31は、図9に示すように、前記変換槽Cの上方にワーク走行方向と直交するガイドレール32と、当該ガイドレール32上を走行する台車33と、当該台車33に取り付けた変換腕34とを具備したものである。前記変換手段31は、ガイドレール32上を走行して手前側に移動した台車33から下方に変換腕34を垂下させ、当該変換腕34でハンガ35に載置した治具の上杆36を把持し、把持した変換腕34を上昇させる。この後、図10に示すように、台車33を奥側の所望の位置まで摺動させ、この位置で変換腕34を再び垂下させ、把持した治具の上杆36をハンガ35の奥側に載置する。これにより奥側の走行レーンをワークが搬送される。なお、37は吊下部である。
【0052】
浸漬処理槽Dである電気ニッケルめっき槽や電気金めっき槽は、従来のように、処理時間や処理能力等を考慮して、所望の長さと深さを有する上面を開放した矩形体であり、ワークWの走行方向に沿って、両内壁面に所定間隔で電極部を配設してなるものである。各浸漬処理槽Dの側壁42には、図2に示すように、液面調整手段41を設け、オーバーフローした薬液を回収して受け槽(図示せず)に貯めるための囲壁43が、当該液面調整手段41を取り囲むように設けられている。
【0053】
当該液面調整手段41は、電気ニッケルめっきのための浸漬処理槽Dの場合で説明すると、当該処理槽Dの側壁42に上方を開放した切欠部44を設け、当該切欠部44の開放量を調整する調整板45を上下動自在に駆動する駆動機構46に設けてなるものである。この調整板45を上下動させることにより、当該めっき槽の液面を当該調整板の上辺と同じ高さとすることができ、めっき槽の液面を調整することができるものである。
【0054】
なお、前記ボックス槽Bに設けたゲート手段Gの近傍及び底部分には、図5に示すように、漏れ出た薬液を受け、受け槽に回収できるように漏液受け51を設け、当該漏液受け51を経由して、受け槽25で回収するようにしている。
【0055】
次に、上記ダム式連続浸漬処理槽の使用方法について、ワークの動きを中心にして説明する。ロード部Rでハンガ35の奥側に載置された第一ワークW1が、搬送手段により、脱脂、水洗、ソフトエッチング、酸活性の各槽内を水平走行しながら順次通過する。この場合、めっき液以外の処理液、水洗水などは、ワークに対し噴霧される。なお、これらの噴霧液はワークを処理した後、図示していないが、各槽の底部に連通された溜め槽に回収される。この第一ワークW1が、第一ボックス槽Bの手前に配設された第一変換槽Cの奥側走行レーンを一旦所定時間停止した後、そのまま通過する。第一変換槽Cを通過した第一ワークW1は、入口側ゲートが開いたワーク通路1から第一ボックス槽の奥側の第一ボックス室bに搬入され、当該走行を停止し、図11に示す状態となる。
【0056】
そして、当該第一ボックス室bの入口側のゲートが閉じられた後、連通パイプ22に配した電磁弁21を開放して電気ニッケルめっき槽D内のめっき液を、液面差による圧力を利用して、図6に示すように、めっき液を供給し、めっき槽Dの液面と同じ高さになるまで、前記第一ボックス室bにめっき液を充満させ、図7に示す状態とする。
【0057】
所定時間経過後、図12に示すように、当該第一ボックス室bのめっき槽D側のゲートを開き、再び第一ワークW1の搬送を開始し、第一ワークW1をめっき槽D手前の第二変換槽Cに搬送する。一方、次の第二ワークW2は、前工程から第一ボックス槽Bの手前側の第二ボックス室bに搬送され、第一ワークW1が第二変換槽Cで停止し、第二ワークW2が第二ボックス室bで所定時間停止され、図13に示す状態となる。
【0058】
この所定時間に第一ボックス室bでは、出口側のゲートを閉じた後、電磁弁23を開放して当該ボックス室b中のめっき液を排水口24から受け槽25に自然落下により排出した後、入口側のゲートを開き、一方、第二ボックス室bでは、入口側のゲートが閉じられた後、連通パイプ22に配した電磁弁21を開放してめっき槽D内のめっき液を供給し、めっき槽Dの液面と同じ高さになるまで、めっき液を充満させてから、めっき槽D側のゲートを開く。
【0059】
さらに、所定時間経過後、図14に示すように、第一ワークW1はめっき槽Dに搬送され、第二ワークW2は、めっき槽D手前の第二変換槽Cに搬送され、第三ワークW3が第一ボックス室bに搬送された後、それぞれ停止し、図15に示す状態となる。
【0060】
この第一ワークW1がめっき槽Dで停止している間に、図16に示すように、第二変換槽Cの手前側に位置する第二ワークW2は、変換手段31により、搬送手段Aのハンガ35の奥側に移動し、第二ボックス室bでは、めっき槽D側のゲートが閉じられて、めっき液が排出された後、入口側のゲートが開かれた状態となり、第一ボックス室bでは、入口側のゲートが閉じられて、めっき液が供給される。この後、同様にして、各ワークが順次、次の槽へ搬送し、液処理されたワークをアンロード部Uまで搬送し、アンロード手段(図示せず)により、当該装置の系外に搬出するものである。
【0061】
なお、前記装置において、ワークの間歇走行搬送、ゲートの開閉、各種電磁弁の開閉、ワークの変換等の制御を、予め設定したプログラムを記憶させたパソコンによって行うようにしてもよい。
【0062】
前記のように前方のワークが第一ボックス室bから搬出されている間に、手前側の第二ボックス室bに次のワークを搬入することができるため、ワークとワークとの間隔を短くすることができ、処理量を効率よく増やすことができるものである。
【0063】
また、第一ボックス室bからのめっき液排出時間と、第二ボックス室bへのめっき液注入時間とを分離して制御することができるため、ワークの搬入搬出時間を精密に制御でき、これにより、めっき槽等の処理時間をきめ細かく設定することが可能になり、搬送速度の変更、液面調整等の簡単な操作だけで、ワークの大きさ、めっき厚さ等の液処理条件の変更等に柔軟に対応できる経済的な装置とすることができる。
【0064】
前記実施例では、板状のゲートの例で説明したが、図17に示すように、当該ゲート本体52の基端側に当接片53を突設して平面視上略ト字状に形成し、ワーク通路1の対向壁54に軟質樹脂を配設した鉤状の止部55を形成すると共に、外壁56側に軟質樹脂を配設した当接部57を形成したものとしてもよい。そして、当該ゲートGを閉じたときに、ゲート本体52の先端が止部55に、ゲートGの当接片53が当接部57にそれぞれ軟質樹脂を介して当接し、かつ、前記止部55を鉤状としているために、水圧で押されてもゲートGの先端が当該鉤状止部55に係止されて隙間があくことがなく、液シール性の高いゲート手段とすることができる。
【0065】
また、図19に示すように、ゲートGのゲート本体61の基端側に鉤状の当接片62を突設して平面視上略十手形状に形成し、ワーク通路1の対向壁54に溝状の止部63を形成すると共に、外壁56側に溝状の当接部64を形成したものとしてもよい。当該ゲートGを閉じたとき、ゲートの本体61先端及び鉤状の当接片62がボックス槽壁の溝状止部63や溝状当接部64に嵌合係止するため、水圧で押されてもゲートGが動くことがなく、隙間があくことがなく、液シール性の高いゲート手段とすることができる。この場合、前記溝状止部や溝状当接部に軟質樹脂を配設して、液シール性をより一層高めたものとしてもよい。
【0066】
前記実施例では、ゲートを摺動させた例で説明したが、図20に示すように、ワーク通路1に対して回動自在に開閉動作をするゲートGを取り付け、ワーク通路周縁近傍65に当該ゲートGを当接させる構成としてもよい。この場合、ゲートは当接するワーク通路1の壁面に軟質樹脂を配設するようにして、液シール性をより高めるようにしてもよい。なお、回動自在に取り付ける手段は、蝶番を使用したり、回転軸部をゲートに設けたり、従来公知の技術を用いればよく、特に限定するものではない。
【0067】
前記実施例では、ゲートを駆動手段で駆動して開閉する例で説明したが、図21に示すように、ワーク通路に対して常に閉状態にばね等で付勢したゲートGを回動自在に開閉動作をするように配設し、ワークWがその移動に伴って当該ゲートGを前記付勢力に抗して押し開き、ワークWが通過した後は、前記付勢力により自動的に閉状態になるように構成したものとしてもよい。この場合、図21に示したように、観音開きのゲートとしてもよいが、一枚のゲートで構成してもよい。なお、ゲートGを常に閉状態とする付勢手段は、ばね等公知の技術を用いればよく、特に限定するものではない。
【0068】
前記実施例では、ボックス槽の両側に駆動により開閉するゲート手段を設けた例で説明したが、図22に示すように、ゲート手段が、浸漬処理槽にワークが入る側のゲートを開閉自在に設けたものとし、浸漬処理槽から出てゆく側のゲートをいわゆるシールローラ66で構成したものとしてもよい。前記のように、ワークで押し開くようにしたり、シールローラを配設する場合には、制御しなければならないゲートが少なくなり、制御部の負荷が減る効果があるばかりでなく、開閉制御を頻繁に変えなければならない、多品種少量の種々のワークを浸漬処理する必要がある場合には、特に有効である。ボックス槽の出入口に設ける上記のゲート手段を、摺動方式、回動方式、押し開き方式等任意に組み合わせた構成としてもよい。
【0069】
前記実施例では、ボックス槽の前後にゲート手段を設けた例で説明したが、連続する浸漬槽側にゲート手段を設け、ボックス槽の浸漬槽側に設けたゲート手段を省略したものとしてもよく、ボックス槽と連続する浸漬槽との間に設けるゲート手段の配設位置は、特に限定するものではない。
【0070】
前記実施例では、浸漬処理槽として、電気ニッケルめっき槽と電気金めっき槽を使用した例で説明したが、当該浸漬処理槽は、ワークを浸漬して処理する槽であればよく、薬液の種類や電気を使用するか否か等については、限定するものではない。
【0071】
前記実施例では、ボックス室を二個一組として並設した例で説明したが、ボックス室を併設する数は、特に限定するものではない。また、ボックス室を複数並設し、当該ボックス室の前後に変換槽を配設した例で説明したが、複数槽のボックス室を配設せず、ボックス槽を一列とした場合には、前記変換槽を省略したものとしてもよい。
【0072】
【発明の効果】
本発明のダム式連続浸漬処理装置は、以下に記述する種々の実用上の効果を有するものである。すなわち、ボックス槽を浸漬処理槽の前後に設け、ワーク通路を開閉する液シール性を高めたゲート手段を設けているため、ワーク通路からの液噴出を防止して、浸漬処理槽へのワーク搬入をスムーズに行え、吊り下げたワークが噴出液で揺れたりすることがなく、ワークが傷ついたり、たるんだりすることがなく、めっき不良等の種々の不都合を改善でき、経済的なダム式連続浸漬処理装置を提供することができる。
【0073】
また、複数のボックス室を並設することで、ボックス槽へ薬液を注入排出する時間のロスを短縮でき、ワークの大きさ、めっき厚さ等の浸漬処理条件の変更等に柔軟に対応できるものである。
【0074】
変換手段と共に、ハンガにワークを係止する係止部を複数個所設けることにより、ワークを所望の走行レーンに沿って正確に走行させることができ、所望の浸漬処理条件を確実に実行できるものである。
【0075】
液面調整手段を配設することにより、浸漬処理槽内の薬液面を簡単に調整することができ、循環用ポンプ等の制御が簡単になり、ライン上を搬送されるワークサイズの変更や浸漬処理条件の変更にも柔軟に対応でき、経済的な装置とすることができるものである。
【0076】
さらに、液面調整手段、ボックス槽や前記変換槽を設けることにより、ワークの大きさに応じて浸漬処理時間を自由に選定でき、当該装置の浸漬処理能力を柔軟に変更でき、ワークの種類、大きさ、浸漬処理条件の変更により柔軟に対応できる装置とすることができるものである。
【0077】
液シール性を高めたゲート手段として、ゲートの本体先端及び当接片を前記ボックス槽の壁面に当接させているため、当該ゲートに高い水圧がかかっても、これらの隙間から薬液が噴出して飛散することがなく、液シール性の高い状態を確保できるものである。
【0078】
また、液シール性を高めたことにより、当該装置の周囲を汚染することがなくなり、汚染した装置自体を洗浄する必要がなくなったり、洗浄作業の間隔を長くすることができ、当該装置のメンテナンス期間を長くすることができ、操業に制約の少ない装置とすることができる。
【0079】
前記ゲート手段を、常に閉状態に付勢したゲートを回動自在に開閉動作をするようにすることにより、ゲートの駆動機構が不要となるばかりでなく、当該ゲートの開閉制御も不要となり、構造や制御を簡単なものとすることができ、より経済的な装置を提供することができる。
【0080】
開閉自在のゲートとシールローラとを併用することにより、ゲートの駆動機構の数を減らすことができるばかりでなく、当該ゲートの開閉制御の数も減らすことができ、構造や制御を簡単なものとすることができ、より経済的な装置を提供することができる。
【0081】
バイポーラ現象防止手段を配設することにより、浸漬処理槽で通電中であっても、ワークにバイポーラ現象を起こすことなく、電気めっきにおいてはめっき不良、密着不良等の種々の問題が、電解脱脂においては、被処理物の表面を荒らしたりする等の種々の問題が生じることのない装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るダム式連続浸漬処理槽を配しためっき装置の説明フロー図。
【図2】本発明の実施例に係るダム式連続浸漬処理槽の主要部を示す一部省略説明斜視図。
【図3】同装置のボックス槽及び変換槽を示す説明平面図。
【図4】同装置のボックス槽を示す説明側面図。
【図5】同装置のボックス槽への薬液の注入排出状態を説明する概念図。
【図6】同装置のボックス槽への薬液の注入排出状態を説明する概念図。
【図7】同装置のボックス槽への薬液の注入排出状態を説明する概念図。
【図8】同装置のボックス槽への薬液の注入排出状態を説明する概念図。
【図9】同装置の変換槽上部に設けた変換手段を示す一部省略説明図。
【図10】同装置の変換槽上部に設けた変換手段を示す一部省略説明図。
【図11】同装置におけるワークの搬送状態を説明する概念図。
【図12】同装置におけるワークの搬送状態を説明する概念図。
【図13】同装置におけるワークの搬送状態を説明する概念図。
【図14】同装置におけるワークの搬送状態を説明する概念図。
【図15】同装置におけるワークの搬送状態を説明する概念図。
【図16】同装置におけるワークの搬送状態を説明する概念図。
【図17】本発明に係るダム式連続浸漬処理槽のゲート手段であって、液シール性を高める手段の別態様を示す一部省略説明概念平面図。
【図18】本発明に係るダム式連続浸漬処理槽のゲート手段であって、液シール性を高める手段の別態様を示す一部省略説明概念平面図。
【図19】本発明に係るダム式連続浸漬処理槽のゲート手段であって、液シール性を高める手段の別態様を示す一部省略説明概念平面図。
【図20】本発明に係るダム式連続浸漬処理槽のゲート手段であって、ゲートの開閉の別態様を示す一部省略説明概念平面図。
【図21】本発明に係るダム式連続浸漬処理槽のゲート手段であって、ゲートの開閉の別態様を示す一部省略説明概念平面図。
【図22】本発明に係るダム式連続浸漬処理槽のゲート手段であって、ゲートの開閉の別態様を示す一部省略説明概念平面図。
【図23】本発明に係るダム式連続浸漬処理槽の搬送手段を示す一部省略説明平面図。
【図24】同搬送手段を示す一部省略説明側面図。
【図25】本発明に係るダム式連続浸漬処理槽のゲート手段であって、液シール性を高める手段の別態様を示す一部省略説明概念平面図。
【図26】本発明に係るダム式連続浸漬処理槽のゲート手段であって、液シール性を高める手段の別態様を示す一部省略説明概念平面図。
【図27】本発明に係るダム式連続浸漬処理槽のゲート手段であって、液シール性を高める手段の別態様を示す一部省略説明概念平面図。
【符号の説明】
W ワーク
A 搬送手段
B ボックス槽
b1、b2 ボックス室
C 変換槽
D 浸漬処理槽
G ゲート
1 ワーク通路
2 ゲート手段
4 ゲート本体
21 電磁弁
22 連通パイプ
24 排出口
25 受け槽
35 ハンガ
41 液面調整手段
42 側壁
44 切欠部
45 調整板
52 ゲート本体
53 当接片
61 ゲート本体
62 当接片
65 壁面
71 硬質樹脂
72 軟質樹脂
73 溝部
74 軟質樹脂膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを処理液中に浸漬して処理する浸漬処理槽とこの浸漬処理槽の前及び/又は後に配設したボックス槽とを備えた浸漬処理槽群と、
前記浸漬処理槽群に沿ってワークを水平走行させる搬送手段と、
前記各ボックス槽の前後に設けたワーク通路を開閉する、液シール性を有するゲート手段と、
近接するボックス槽と浸漬処理槽とを開閉自在の弁を介して互いに連通する連通パイプと、
前記ボックス槽に弁を介して設けた排出口から排出される処理液を受ける受け槽と、
前記受け槽から対応する浸漬処理槽に当該液を返送する返送手段とを有することを特徴とするダム式連続浸漬処理装置。
【請求項2】
前記ボックス槽が、ワーク進行方向に対して直交する方向に複数並設したボックス室を有する構成とし、かつ当該ボックス槽の前後に変換槽を配設した構成とし、当該変換槽が、複数設けたワーク走行レーンの所望の走行レーンにワークを変換する変換手段を配設してなるものであることを特徴とする請求項1記載のダム式連続浸漬処理装置。
【請求項3】
前記搬送手段が、ワークを吊下して搬送するハンガを多数有し、各ハンガにワーク進行方向に対して直交する方向にワークを吊下する吊下部を複数個所設けたものであることを特徴とする請求項1又は2記載のダム式連続浸漬処理装置。
【請求項4】
前記浸漬処理槽が、液面調整手段を有し、当該液面調整手段が、当該処理槽の側壁の所望の位置に切欠部を設け、当該切欠部の開放量を調整する調整板を上下動自在に当該側壁に設けたものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のダム式連続浸漬処理装置。
【請求項5】
前記ゲート手段が、ワーク通路に対して直交する方向に摺動自在に開閉動作するゲートと、当該ゲートを開閉自在に駆動する駆動機構とを具備し、
前記ゲートが摺動する面のうち、浸漬処理槽から遠い側面には滑り性のある硬質樹脂を、近い側面には柔軟性のある軟質樹脂を配してなるものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のダム式連続浸漬処理装置。
【請求項6】
前記ゲート手段が、前記ゲートの本体端辺と当接するワーク通路の対向壁面及び/又は前記ゲート本体端辺に軟質樹脂を配設してなるものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のダム式連続浸漬処理装置。
【請求項7】
前記ゲート手段が、前記ゲートの本体先端が当接するワーク通路壁に溝部を形成し、当該溝部の開放面を覆うように軟質樹脂膜を配設してなるものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のダム式連続浸漬処理装置。
【請求項8】
前記ゲート手段が、ワーク通路に対して直交する方向に摺動自在に開閉するゲートと、当該ゲートを開閉自在に駆動する駆動機構とを具備し、当該ゲートが、板状のゲート本体の基端側に突設した当接片を有するものであり、当該ゲートのゲート本体先端及び当接片を前記ボックス槽の壁面に当接させて、前記ボックス槽内に満たした液をシールするようにしてなるものであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のダム式連続浸漬処理装置。
【請求項9】
前記ゲート手段が、ワーク通路に対して回動自在に開閉動作をするゲートと、当該ゲートを回動自在に駆動する駆動機構とからなり、前記ボックス槽のワーク通路周縁近傍の壁面に当該ゲートを当接させて、前記ボックス槽内に満たした液をシールするようにしてなるものであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のダム式連続浸漬処理装置。
【請求項10】
前記ゲート手段が、ワーク通路に対して常に閉状態に付勢したゲートを回動自在に開閉動作をするように配設し、ワークがその移動に伴って当該ゲートを前記付勢力に抗して押し開き、ワークが通過した後は、前記付勢力により自動的に閉状態になるように構成したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のダム式連続浸漬処理装置。
【請求項11】
前記ゲート手段が、前記浸漬処理槽にワークが入る側のゲートを開閉自在に設けたものとし、浸漬処理槽から出てゆく側のゲートをシールローラで構成したことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載のダム式連続浸漬処理装置。
【請求項12】
前記ボックス槽が、電気めっき用の浸漬処理槽の前及び/又は後に配設したものであって、バイポーラ現象防止手段を有するものであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項記載のダム式連続浸漬処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2004−99957(P2004−99957A)
【公開日】平成16年4月2日(2004.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−261795(P2002−261795)
【出願日】平成14年9月6日(2002.9.6)
【出願人】(502326543)