説明

チェックアウト装置及び売上処理プログラム

【課題】セルフ式のチェックアウト装置において、量り売り商品の売上登録を可能にする。
【解決手段】載置部に載置された載置物の重量を計量する秤部を有したチェックアウト装置は、読取窓にかざされた商品を認識すると、この商品の単価と当該商品が量り売り商品か否かを識別するフラグとを少なくとも含む商品データを検出する。そして、商品データのフラグから商品が量り売り商品であると識別されるとき、秤部で計量された重量情報と商品データの単価とから商品の価格を算出して売上処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、セルフ式のチェックアウト装置及びコンピュータをセルフ式のチェックアウト装置として機能させるための売上処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スーパーマーケットやドラッグストア等の小売店では、商品コードの入力から決済処理までを顧客自らの操作によって行うセルフ式のチェックアウト装置が使用されている。
【0003】
ところで、小売店で販売される商品には、1点あたりの単価が決まっている商品(定額商品と称する)と、単位重量あたりの単価が決まっている商品(量り売り商品と称する)とがある。セルフ式のチェックアウト装置の場合、定額商品は、価格が定まっているため、売上登録することができる。しかしながら、量り売り商品は、顧客が購入する分量によって価格が変動するため、売上登録することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-053846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、量り売り商品の売上登録が可能なセルフ式のチェックアウト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、チェックアウト装置は、秤部と、商品認識手段と、商品データ検出手段と、量り売り商品売上手段とを備える。秤部は、商品を載置するための載置部に載置された載置物の重量を計量する。商品認識手段は、読取窓にかざされた商品を認識する。商品データ検出手段は、商品認識手段により認識された商品の単価と当該商品が単位重量あたりの単価が決まっている量り売り商品か否かを識別するフラグとを少なくとも含む商品データを検出する。量り売り商品売上手段は、商品データ検出手段により検出された商品データのフラグから商品が量り売り商品であると識別されるとき、秤部で計量された重量情報と商品データの単価とから商品の価格を算出して売上処理する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一実施形態であるセルフ式チェックアウトシステムの全体構成図。
【図2】同システムにおいて、商品サーバが管理する商品マスタファイルの商品マスタレコードを示す模式図。
【図3】同システムにおけるセルフPOS端末の外観斜視図。
【図4】同システムにおけるセルフPOS端末のブロック構成図。
【図5】同システムにおけるセルフPOS端末のHDDで保存する主要なデータファイルを示す模式図。
【図6】同システムにおけるセルフPOS端末のRAMに形成される主要なメモリエリアを示す模式図。
【図7】同システムにおけるセルフPOS端末のCPUが売上処理プログラムに従って実行する処理手順を示す流れ図。
【図8】同システムにおけるセルフPOS端末のカメラコントローラがCPUからの指令に従って実行する処理手順を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、チェックアウト装置の一実施形態について、図面を用いて説明する。なお、この実施形態は、商品コードの入力から決済処理までを顧客自らの操作によって行うセルフ式のPOS(Point Of Sales)端末に適用した場合である。
【0009】
図1は、セルフチェックアウト装置を導入したスーパーマーケット,ドラッグストア等の小売店に構築されるセルフ式チェックアウトシステム10の全体構成図である。このシステム10は、商品サーバ11と、複数台のセルフPOS端末12を備える。商品サーバ11と各セルフPOS端末12とは、LAN(Local Area Network)等のネットワーク13を介して双方向通信自在に接続される。
【0010】
商品サーバ11は、商品マスタファイル14を管理する。商品マスタファイル14は、店舗で販売される全ての商品に対して商品毎に作成される商品マスタレコード14Rを蓄積する。
【0011】
図2は、商品マスタレコード14Rのデータ構造を示す模式図である。本実施形態では、商品マスタレコード14Rに、その商品固有の識別コードである商品コードに関連付けて、商品分類、商品名、単価、量り売りフラグ、設定重量、商品画像等の商品情報を記述する。
【0012】
量り売りフラグは、対応する商品コードで特定される商品が、1点あたりの単価が決まっている定額商品なのか、単位重量あたりの単価が決まっている量り売り商品(精肉、野菜、惣菜等)なのかを識別する。設定重量は、対応する商品コードによって特定される商品の1点あたりの平均重量である。なお、設定重量は、定額商品に対して設定されており、量り売り商品に対しては設定されていない。商品画像は、対応する商品コードによって特定される商品を撮像した画像である。
【0013】
図3は、セルフチェックアウト装置の一態様であるセルフPOS端末12の外観斜視図である。セルフPOS端末12は、本体20の一方の側面(図3では右側面)に、まだ登録されていない商品を置くための第1の載置台21を配置し、他方の側面(図3では左側面)に、登録済みの商品を置くための第2の載置台22を配置する。
【0014】
第1の載置台21は、買物客が購入しようとする商品をまとめて入れるための買い物籠を載置可能な載置面21aを有する。
【0015】
第2の載置台22は、一対の袋保持アーム23a,23bに掛けられたレジ袋等の買物袋を載置可能な載置面22aを有する。前記袋保持アーム23a,23bは、一時載置台24の下面に取り付けられており、一時載置台24は、支持アーム25によって第2の載置台22の上方に取り付けられている。第2の載置台22は、秤部64(図4を参照)を内蔵する。秤部64は、載置面22aと一時載置台42に載せられる重量物の総重量を計量する。
【0016】
本体20は、その正面上部に、タッチパネル31付のディスプレイ32を備える。また、読取窓33、カード挿入口34、レシート発行口35、硬貨投入口36、硬貨排出口37、紙幣投入口38、紙幣排出口39を、本体20の正面に形成する。
【0017】
ディスプレイ32は、画面に、買物客のタッチ操作による情報入力機能を有するタッチパネル31を配したLCDで、買物客に操作方法を知らせるための案内メッセージを表示する。また、売上登録された商品の品名、価格や、合計購入金額、預かり金額、釣り銭額等も表示する。
【0018】
読取窓33は、矩形状をなし、セルフPOS端末12にて売上登録される商品の認識領域に対向して本体20に形成される。読取窓33の裏側である本体20内には、CCDイメージセンサ等のデジタルカメラ72(図4を参照)が配置されている。セルフPOS端末12のユーザ(買物客)が、読取窓33に商品をかざすと、この商品を含む画像がカメラ72によって撮影される。セルフPOS端末12は、上記カメラ72で撮影された画像を解析して、その画像に含まれる商品を認識する。
【0019】
カード挿入口34は、買物客のポイントカードや精算用のICカードの挿入口である。レシート発行口35は、チェックアウト業務の完了時にプリントされるレシートの発行口である。硬貨投入口36は、代金支払い用の硬貨の投入口である。硬貨排出口37は、つり銭としての硬貨の排出口である。紙幣投入口38は、代金支払い用の紙幣の投入口である。紙幣排出口39は、つり銭としての紙幣の排出口である。
【0020】
図4は、セルフPOS端末12の要部構成を示すブロック図である。セルフPOS端末12は、主制御部としてCPU(Central Processing Unit)51を搭載する。そして、このCPU311に、アドレスバス,データバス等のバスライン52を介して、ROM(Read Only Memory)53、RAM(Random Access Memory)54、HDD(Hard Disk Drive)55、通信インターフェース56、リーダ・ライタインターフェース57、硬貨投入・払出ユニット58、紙幣投入・払出ユニット59、カメラコントローラ60、タッチパネルコントローラ61、表示コントローラ62、プリンタコントローラ63及び秤部64のアナログ/デジタルコンバータ(以下、A/Dと略称する)64aを接続する。
【0021】
通信インターフェース56は、前記ネットワーク13を介して接続される商品サーバ11との間のデータ送受信を司る。
【0022】
リーダ・ライタインターフェース57は、カードリーダ・ライタ71との間のデータ送受信を司る。カードリーダ・ライタ71は、前記カード挿入口34から挿入されたカードからのデータの読取りと同カードへのデータの書込みを行う。
【0023】
硬貨投入・払出ユニット58は、前記硬貨投入口36から投入された硬貨を金種別に選別して金庫へ収納する機能と、釣銭としての硬貨を前記金庫からピックアップして前記硬貨排出口37へ払い出す機能とを有する。
【0024】
紙幣投入・払出ユニット59は、前記紙幣投入口38から投入された紙幣を金種別に選別して金庫へ収納する機能と、釣銭としての紙幣を前記金庫からピックアップして前記紙幣排出口39へ払い出す機能とを有する。
【0025】
カメラコントローラ60は、撮像部としてのデジタルカメラ72の撮像オン、オフを制御する。タッチパネルコントローラ61は、タッチパネル31を制御し、ユーザによってタッチ操作された画面上の位置座標データを取り込む。表示コントローラ62は、表示データに対応する画面をディスプレイ32に表示させる。プリンタコントローラ320は、レシートプリンタ73によるレシート印字を制御し、レシートをレシート発行口35から発行させる。
【0026】
秤部64は、第2の載置台22の載置面22aと一時載置台42とに加わる荷重を受けて電気信号に変換するロードセル64bと、このロードセル64bから出力される荷重信号(電気信号)をデジタルデータに変換するA/D64bとを備える。CPU51は、A/D64aを介して取り込んだデジタルデータにより、第2の載置台22に載せられた商品の総重量を検出する。
【0027】
かかる構成のセルフPOS端末12は、図5示すように、プログラムファイル81と、売上登録ファイル82と、閾値ファイル83とを、HDD55で保存する。プログラムファイル81は、少なくとも後述する売上処理プログラムを格納する。売上登録ファイル82は、当該POS端末12で売上登録された商品の販売データを格納する。閾値ファイル83は、商品マスタファイル14に登録されている各商品の画像の中に、カメラ72によって撮像された商品の画像が一致しているか否かを判定するための閾値を記憶する。
【0028】
また、セルフPOS端末12は、CPU51が前記売上処理プログラムを実行する上で必要なメモリ領域として、図6に示すように、商品画像メモリ91、商品データメモリ92、今回重量メモリ93、前回重量メモリ94及び差分メモリ95を、RAM54に形成する。
【0029】
図7は、前記売上処理プログラムに従い動作するCPU51の手順を示す流れ図であり、図8は、このCPU51に連携して動作するカメラコントローラ60の手順を示す流れ図である。以下、図7,図8の流れ図を参照しながら、買物客がセルフPOS端末12を利用して買上商品を売上登録し、決済を終えるまでの流れについて説明する。
【0030】
先ず、買物客は、自身が購入する商品を第1の載置台21に置く。また、買物客は、第2の載置台22の載置面22にレジ袋などの買物袋を広げる。買物袋の取っ手は、一対の袋保持アーム23a,23bに掛ける。
【0031】
次に、買物客は、ディスプレイ32に表示されるガイダンスに従い、登録開始の宣言ボタンにタッチする。そうすると、セルフPOS端末2では、売上処理プログラムが起動する。このプログラムの起動により、CPU51は、カメラコントローラ60に撮像オン指令のコマンドを送信する(ステップP1)。
【0032】
上記撮像オン指令のコマンドを受信したカメラコントローラ60は、カメラ72に撮像オン信号を出力する(ステップQ1)。この撮像オン信号を受信したカメラ72は、読取窓33に対向する商品認識領域を例えば30fpsの周期で撮像する。そして、そのフレーム画像をカメラコントローラ60に順次送出する。
【0033】
カメラコントローラ60は、カメラ72からフレーム画像データを取り込むと(ステップQ2)、その画像データから商品画像を検出する(ステップQ3)。ここで、フレーム内に商品画像が映り込んでいない場合(ステップQ3のNO)、カメラコントローラ60は、業務終了コマンドを受信したか否かを判断する(ステップQ5)。業務終了コマンドを受信していない場合(ステップQ5のNO)、カメラコントローラ60は、次のフレーム画像データを取り込む。
【0034】
フレーム内に商品画像の一部でも映り込んでいた場合には(ステップQ3のYES)、カメラコントローラ60は、そのフレーム画像データを商品画像メモリ91に書き込む(ステップQ4)。しかる後、カメラコントローラ60は、業務終了コマンドを受信したか否かを判断する(ステップQ5)。
【0035】
こうして、カメラコントローラ60は、業務終了コマンドを受信するまで、ステップQ2,Q3,Q4の処理を繰り返し実行する。すなわち、カメラコントローラ60は、カメラ72からフレーム画像データを取り込む毎に、商品画像を検索し、商品画像を検出したならば、そのフレーム画像データを商品画像メモリ91に上書きする。
【0036】
一方、カメラコントローラ60に撮像オン指令のコマンドを送信したCPU51は、商品画像メモリ91に商品画像を含むフレーム画像データが書き込まれるのを待機する(ステップP2)。商品画像メモリ91に商品画像を含むフレーム画像データが書き込まれると(ステップP2のYES)、CPU51は、商品認識処理を実行する(ステップP3:商品認識手段)。
【0037】
具体的には、CPU51は、フレーム画像データに含まれる商品の画像から、特徴量として色合いや凹凸等の表面の状態を読み取る。そしてCPU51は、商品マスタファイル14に保存されている各商品の画像データを参照して、特定の物体としての商品を認識する。なお、処理時間の短縮を図るため、商品の輪郭や大きさは考慮しない。
【0038】
このように、画像中に含まれる物体を認識することは、一般物体認識(generic object recognition)と呼ばれている。このような一般物体認識については、下記の文献において、各種認識技術が解説されている。
【0039】
柳井 啓司,“一般物体認識の現状と今後”,情報処理学会論文誌,Vol.48,No.SIG16,[平成22年8月10日検索],インターネット<URL: http://mm.cs.uec.ac.jp/IPSJ-TCVIM-Yanai.pdf >
また、画像をオブジェクト毎に領域分割することによって一般物体認識を行う技術が、下記の文献において解説されている。
【0040】
Jamie Shottonら,“Semantic Texton Forests for Image Categorization and Segmentation”,[平成22年8月10日検索],インターネット<URL: http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.145.3036&rep=repl&type=pdf >
こうして、フレーム画像データから商品を認識したならば、CPU51は、この認識した商品について類似度を算出する(ステップP4)。類似度は、商品マスタファイル14に記憶されている商品の画像を100%=[類似度1.0]とした場合に、フレーム画像データに含まれる商品の画像がどの程度似ているかを示すものである。前述したように、例えば表面の色合いや凹凸状況等によって類似度を算出する。なお、例えば、色合いと凹凸状況とでは、重み付けを変えるようにしてもよい。
【0041】
類似度が算出されたならば、CPU51は、この類似度が閾値ファイル83に予め設定されている閾値を超えたか否かを判断する(ステップP5)。超えていない場合(ステップP5のNO)、CPU51は、次のフレーム画像データが商品画像メモリ91に書き込まれるのを待機する(ステップP2)。
【0042】
これに対し、類似度が閾値を超えたならば(ステップP5のYES)、CPU51は、フレーム画像データから認識した商品の商品マスタレコード14Rを、商品マスタファイル14から検出し、商品データメモリ92で記憶する(ステップP6:商品データ検出手段)。そして、CPU51は、このレコード14R中の商品名をディスプレイ32に表示する(ステップP7)。
【0043】
次に、CPU51は、認識した商品の重量データを取得する(ステップP8)。具体的には、CPU51は、秤部64で計量される重量値が変化するのを待機する。そして、重量変化を検知したならば、CPU51は、それまで今回重量メモリ93に格納されていた重量値を前回重量メモリ84に複写し、今回計量された重量値を今回重量メモリ93に上書きする。そして、今回重量メモリ93の重量値から前回重量メモリ84の重量値の差分を算出し、差分メモリ95に上書きする。CPU51は、差分メモリ95に上書きされた重量値を、認識した商品の重量データとして取得する。
【0044】
次に、CPU51は、商品データメモリ92で記憶する商品マスタレコード14Rの量り売りフラグをチェックして、認識した商品が量り売り商品なのか定額商品なのかを識別する(ステップP9)。
【0045】
定額商品の場合(ステップP9のNO)、CPU51は、同商品マスタレコード14Rの基準重量が、差分メモリ95の重量値と同一性を有するか否かを判定する(ステップP10:重量判定手段)。例えば、基準重量と差分メモリ95の重量値との誤差が所定の許容範囲内であれば同一性ありと判定し、許容範囲外であれば同一性無しと判定する。同一性無しと判定されると(ステップP10のNO)、CPU51は、エラーを報知する。
【0046】
これに対し、同一性ありと判定された場合には(ステップP10のYES)、CPU51は、同商品マスタレコード14Rの単価を、認識した商品の価格とする(ステップP11)。そして、当該商品の商品コードと価格と売上点数=1とを含む商品販売データを、売上登録ファイル82に登録処理する(ステップP13:定額商品売上手段)。
【0047】
一方、量り売り商品の場合には(ステップP9のYES)、CPU51は、同商品マスタレコード14Rの単価に差分メモリ95の重量値を乗算して、認識した商品の価格を算出する(ステップP12)。しかる後、CPU51は、当該商品の商品コードと価格と売上点数=1とを含む商品販売データを、売上登録ファイル82に登録処理する(ステップP13:量り売り商品売上手段)。
【0048】
ステップP13の売上登録処理が終了したならば、CPU51は、タッチパネル31を介して業務終了の入力が行われたか否かを判断する(ステップP14)。業務終了の入力が行われていない場合(ステップP14のNO)、CPU51は、次のフレーム画像データが商品画像メモリ91に書き込まれるのを待機する(ステップP2)。
【0049】
業務終了の入力が行われたならば(ステップP14のYES)、CPU51は、カメラコントローラ60に業務終了指令のコマンドを送出する(ステップP15)。また、CPU51は、売上登録ファイル82に登録された各商品販売データに基づいて決済処理を行う(ステップP16)。この決済処理には、釣銭の演算及び払出の処理や、レシートの発行処理等を含む。
【0050】
一方、業務終了指令のコマンドを受信したカメラコントローラ60は(ステップQ5のYES)、カメラ72に撮像オフ信号を出力する(ステップQ6)。この撮像オフ信号を受信したカメラ72は、撮影動作を終了する。
【0051】
登録開始の宣言ボタンにタッチした買物客は、第1の載置台21に置いた商品を1品ずつ手に取り、読取窓33にかざす。そうすると、この商品の画像がカメラ72によって撮像され、この商品画像から商品が自動認識されて商品名がディスプレイ32に表示される。そこで買物客は、読取窓33にかざした商品を、第2の載置台22の買物袋に入れる。あるいは、一時載置台24に置く。
【0052】
このとき、商品が定額商品であった場合には、第2の載置台22に設けられた秤部64によって計量される重量の変化量と、認識した定額商品の基準重量との同一性が判定される。そして、同一性ありと判定されたならば、認識した定額商品の単価を価格として当該商品の販売データが売上登録される。
【0053】
一方、商品が量り売り商品であった場合には、第2の載置台22に設けられた秤部64によって計量される重量の変化量が、認識した量り売り商品の販売量と確定される。そして、認識した量り売り商品の単価と重量とから価格が算出されて、当該商品の販売データが売上登録される。
【0054】
このように本実施形態のセルフPOS端末12は、量り売り商品と定額商品とを識別する。そして、量り売り商品については、秤部64の重量変化をその商品の販売量と確定し、単価に販売量である重量を乗算して価格を算出する。一方、定額商品については、予め設定されている単価を価格とする。そして、量り売り商品及び定額商品のいずれに対しても、セルフPOS端末12は、価格を含む商品販売データを売上登録ファイル82に登録処理する。
【0055】
買物客は、第1の載置台21に置いた商品を全て第2の載置台22側に移した後、業務終了の宣言ボタンにタッチする。そうすると、売上登録ファイル82に登録された各商品の販売データに基づいて決済処理が行われる。すなわち、合計金額の表示、預り金額の算出及び表示、釣銭額の算出及び表示、レシートの発行等の処理が行われる。
【0056】
したがって、本実施形態のセルフPOS端末12によれば、定額商品のみならず、量り売り商品についても、セルフによる売上登録が可能である。この場合において、購買商品として定額商品と量り売り商品とが混在している買物客であっても、その購買商品全品を正しく売上登録して決済処理することができる。
【0057】
また、本実施形態のセルフPOS端末12は、撮像部としてのカメラ72を備え、このカメラ72で撮影した商品の画像から、購買商品を自動的に認識するようにしている。したがって、バーコードや二次元データコードを読み取ることで商品を認識する既存のセルフチェックアウト装置と比較して、買物客はバーコードや二次元データコードが付されている位置を意識して商品を読取窓にかざす必要がないので、作業性が良好である。
【0058】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。
例えば、前記実施形態では、秤部64を第2の載置台22に設けたが、第1の載置台21に設けてもよい。この場合、買物客が第1の載置台21に置かれた商品を1品、手に取って読取窓33にかざした際に、CPU51は、秤部64の重量変化を検出する。その変化量を差分メモリ95で記憶することで、第1の実施形態と同様なデータ処理を実行することができる。
【0059】
また、前記実施形態では、商品サーバ11によって管理される商品マスタファイル14から、認識した商品の商品データレコード14Rを検出したが、各セルフPOS端末12のHDD55にローカルの商品ファイルを保存し、この商品ファイルから、認識した商品の商品データレコード14Rを検出してもよい。こうすることにより、ネットワーク13の通信に要する時間を短縮できるので、処理効率を高めることができる。
【0060】
また、前記実施形態では、カメラ72によって撮影された商品の画像から購買商品を認識したが、既存のバーコードや二次元データコードを利用して購買商品を認識するセルフチェックアウト端末に対しても、この発明を同様に適用することができる。
【0061】
なお、前記実施形態は、装置内部のプログラム記憶部であるHDD55に発明の機能を実現させる売上処理プログラムが予め記録されているものとした。しかしこれに限らず、同様のプログラムがネットワークから装置にダウンロードされてもよい。あるいは、記録媒体に記録された同様のプログラムが、装置にインストールされてもよい。記録媒体は、CD−ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。また、プログラムのインストールやダウンロードにより得る機能は、装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0062】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
12…セルフPOS端末(セルフチェックアウト装置)、14…商品マスタファイル、21…第1の載置台、22…第2の載置台、31…ディスプレイ、32…タッチパネル、33…読取窓、51…CPU、64…秤部、72…カメラ、81…プログラムファイル、82…売上登録ファイル、83…閾値ファイル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を載置するための載置部に載置された載置物の重量を計量する秤部と、
読取窓にかざされた商品を認識する商品認識手段と、
この商品認識手段により認識された前記商品の単価と当該商品が単位重量あたりの単価が決まっている量り売り商品か否かを識別するフラグとを少なくとも含む商品データを検出する商品データ検出手段と、
この商品データ検出手段により検出された前記商品データの前記フラグから前記商品が量り売り商品であると識別されるとき、前記秤部で計量された重量情報と前記商品データの単価とから前記商品の価格を算出して売上処理する量り売り商品売上手段と、
を具備したことを特徴とするチェックアウト装置。
【請求項2】
前記商品データ検出手段により検出された前記商品データの前記フラグから前記商品が量り売り商品でないと識別されるとき、前記商品データに含まれる基準重量が前記秤部で計量された重量情報と同一性を有するか否かを判定する重量判定手段と、
この重量判定手段により同一性を有すると判定されると、前記商品データに含まれる単価で前記商品を売上処理する定額商品売上手段と、
をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載のチェックアウト装置。
【請求項3】
前記商品認識手段は、前記読取窓に対向する商品認識領域を撮像する撮像部を備え、この撮像部で撮像された画像から前記読取窓にかざされた商品を認識することを特徴とする請求項1または2記載のチェックアウト装置。
【請求項4】
前記秤部は、前記読取窓にかざされる前の商品を載置するための第1の載置部に載置された載置物の重量を計量することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1記載のチェックアウト装置。
【請求項5】
前記秤部は、前記読取窓にかざされた後の商品を載置するための第2の載置部に載置された載置物の重量を計量することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1記載のチェックアウト装置。
【請求項6】
商品を載置するための載置部に載置された載置物の重量を計量する秤部と、商品をかざすための読取窓とを備えたチェックアウト装置としてのコンピュータに、
前記読取窓にかざされた商品を認識する商品認識機能と、
この商品認識機能により認識された前記商品の単価と当該商品が量り売り商品か否かを識別するフラグとを少なくとも含む商品データを検出する商品データ検出機能と、
この商品データ検出機能により検出された前記商品データの前記フラグから前記商品が量り売り商品であると識別されるとき、前記秤部で計量された重量情報と前記商品データの単価とから前記商品の価格を算出して売上処理する量り売り商品売上機能と、
を実現させるための売上処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−25500(P2013−25500A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158440(P2011−158440)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】