説明

チェーンコンベア装置

【課題】搬送物の残留物を堆積させることなく、容易に回収することができるチェーンコンベア装置を提供する。
【解決手段】チェーンコンベア装置1は、四角柱状のケーシング2の内部に、複数の押圧板10,10・・を設けた無端のチェーンベルト4と、当該チェーンベルト4を周回動させるための前後一対のスプロケット3a,3bとが設置されている。また、後側のスプロケット3bの外側には、当該スプロケット3bの下方と上方とを繋ぐようにダクト11が設けられている。さらに、当該ダクト11の基端には、スプロケット3bの下方に残留した搬送物をエア圧によって搬送するためのエアノズル5a,5bが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の工場やサイロにおいて種々の粉体を搬送する目的で使用されるチェーンコンベア装置に関するものであり、詳しくは、搬送物が残留しにくいチェーンコンベア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製粉工場、穀物飼料工場等の工場や穀物サイロにおいて穀物等の粉体を搬送するための装置として、前後一対のスプロケットによって周回動するチェーンベルトをケーシング内に設けた密閉型のチェーンコンベア装置が知られている。また、そのような密閉型のチェーンコンベア装置として、特許文献1の如く、周回動する無端のチェーンベルトに複数の送り羽根が固着されており、ケーシングの底面上に投入された粉体を、チェーンベルトの周回動に伴う送り羽根のスライドによって排出口へ押し出すものが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2008−174313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のチェーンコンベア装置では、穀物が投入口の下方から排出口へと搬送される際に、チェーンベルトや送り羽根に付着した穀物が、排出口から排出されず、その一部が、チェーンベルトと後側のスプロケットとの噛合時に、後側のスプロケットの下側に落下して堆積してしまうことがある。かかる残留物は、他の原料へ混ざったり、腐敗したりして、搬送物の品質の低下を招く原因となる。
【0005】
本発明の目的は、上記従来のチェーンコンベア装置が有する問題点を解消し、搬送物の残留物を堆積させることなく、容易に回収することができるチェーンコンベア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる本発明の内、請求項1に記載された発明は、搬送物を投入するための投入口と搬送された搬送物を排出するための排出口とを設けたケーシングの内部に、前記投入口際から前記排出口際まで延設された搬送物載置用の載置基板と、前記載置基板上の搬送物を押し出して前記排出口から外部へ排出させるための複数の押圧板を設けた無端のチェーンベルトと、そのチェーンベルトを周回動させるための前後一対のスプロケットとを設置したチェーンコンベア装置であって、前記後側のスプロケットの外側に、その後側のスプロケットの下方と上方とを繋ぐようにダクトを設けるとともに、そのダクトの基端に、前記後側のスプロケットの下方に残留した搬送物をエア圧によって搬送するためのエアノズルを設けたことを特徴とするものである。
【0007】
また、請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記ダクトの先端側の開口部分の面積が前記ダクトの基端側の開口部分の面積よりも大きくなっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載のチェーンコンベア装置は、後側のスプロケットの外側に、その後側のスプロケットの下方と上方とを繋ぐようにダクトを設けるとともに、そのダクトの基端にエアノズルを設けたものであるため、エアノズルからエアを噴射することによって、堆積した残留物をダクトに送り込み、スプロケットの上側に位置したダクトの出口から排出して、排出口へ導くことができる。したがって、請求項1に記載のチェーンコンベア装置によれば、残留物の堆積に起因した搬送物の品質の低下を防止することが可能となる。
【0009】
請求項2に記載のチェーンコンベア装置は、ダクトの先端側の開口部分の面積がダクトの基端側の開口部分の面積よりも大きくなっており、ダクト内に搬送物が堆積する事態が起こりにくいので、エアノズルによる残留物の除去機能を、長期間に亘って安定して発現させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係るチェーンコンベア装置について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
<チェーンコンベア装置の構造>
図1、図2は、それぞれ、チェーンコンベア装置の右側面、平面の様子を示したものであり、チェーンコンベア装置1は、外周を覆うケーシング2、前後一対のスプロケット3a,3b、それらのスプロケット3a,3bに懸架されたチェーンベルト4、スプロケット3aを駆動させるための駆動装置(図示せず)、残留物除去手段として機能するエアノズル5a,5b等によって構成されている。
【0012】
ケーシング2は、金属板によって、前後長約25m×左右幅約0.3m×高さ約0.6mの長尺な四角柱状(箱状)に形成されている。そして、上板6の前側には、搬送物を投入するための矩形の投入口7が穿設されており、その投入口7の下方には、中空な四角柱状の筒状部材18が取り付けられている。一方、底板8の後側には、搬送後の搬送物を排出するための矩形の排出口9が穿設されており、その排出口9の下方には、中空で扁平な四角柱状の筒状部材19が取り付けられている。
【0013】
また、ケーシング2の内部の前端際および後端際には、それぞれ、直径約430mmのスプロケット3a,3bが、回転可能に枢着されている。スプロケット3a,3bは、略同一形状を有しており、それぞれ、ケーシング2の幅方向における中心に、ケーシングの長手方向に沿って鉛直に設置された状態になっており、水平軸を中心として回転可能になっている。加えて、前側のスプロケット7aは、駆動装置(図示せず)によって回転駆動されるようになっている。
【0014】
上記したスプロケット3a,3bには、チェーンベルト4が懸架されている。チェーンベルト4は、多数の長円形のプレートP,P・・を、前後を重なり合わせた状態で、ローラR,R・・によって回動自在に固定したものであり、所定の長さの周状(無端状)に形成されている。さらに、プレートP,P・・の外面には、一つおきに、硬質の合成樹脂によって形成された幅広な長方形状の押圧板10が固着されており、プレートPの外面に対して垂直に突出した状態になっている。そして、当該押圧板10の下側の端縁が、ケーシング2の底板8に接した状態になっている。
【0015】
<チェーンコンベア装置の特徴部分の説明>
チェーンコンベア装置1のケーシング2の後端際には、後側のスプロケット3bの周囲に堆積した残留物を排出口9へ空送するためのダクト11とエアノズル5a,5bとが設けられている。ダクト11は、金属板を略半円筒状に折り曲げ形成してなる内側壁体12および外側壁体13をケーシング2に設置することによって形成されている。すなわち、半円筒状の内側壁体12、外側壁体13が、いずれも、左右両端を、ケーシング2の左側板14および右側板15に固着させることによって、ケーシング2の左右を横断するように設置されており、それらの内側壁体12と外側壁体13との隙間がダクト11として機能するようになっている。また、内側壁体12は、後側のスプロケット3bの外周と近接した状態になっており(約20mm)、外側壁体13は、所定の間隔を隔てて内側壁体12の外側に位置した状態になっている。加えて、長手方向に沿った鉛直断面で見た場合、内側壁体12と外側壁体13との距離は、ダクト11の先端際の方がダクト11の基端側よりも大きくなっている(すなわち、スプロケット3bの直径方向における内側壁体12と外側壁体13との距離が、ダクト11の先端では約100mmになっており、ダクト11の基端では約60mmになっている)。また、内側壁体12の先端は、後側のスプロケット3bの略上端まで至った状態になっており、外側壁体13の先端は、当該内側壁体12の先端よりも前方まで至った状態になっている。そして、ダクト11の先端側の開口部分の面積の方が、ダクト11の基端側の開口部分の面積よりも大きくなっている。
【0016】
さらに、ダクト11の基端側の左右には、それぞれ、エアノズル5a,5bが設置されている。図3、図4は、エアノズル5a,5bの設置部分を示したものであり、各エアノズル5a,5bは、金属によってL字状に形成されており、エア供給装置(図示せず)から導出された供給管16の二股状に分岐した各先端部分に固着されている。各エアノズル5a,5bは、ケーシング2の底板8に固着された断面(幅方向に沿った断面)コ字状の補強部材17に、リングジョイントを用いて固定されている。そして、各エアノズル5a,5bは、幅方向においては、それぞれ、後側のスプロケット3bとケーシング2の右側板14との中間、後側のスプロケット3bとケーシング2の左側板15との中間に位置した状態になっており、前後方向においては、先端が内側壁板12よりもわずかに前方に位置した状態になっている。加えて、各エアノズル5a,5bの先端部分は、ケーシング2の底板8に沿って後方を向いた状態になっている。
【0017】
<チェーンコンベア装置の作動内容>
上記の如く構成されたチェーンコンベア装置1においては、ケーシング2の上板6に穿設された投入口7から搬送物(たとえば、穀物等の粉体)を投入すると、その搬送物が、底板8上に載置される。そして、その状態で駆動装置(図示せず)を駆動させると、前側のスプロケット3aが回転し、その回転に伴って、チェーンベルト4が周回動する(右側面から見た場合に時計回りに周回動する)。そして、そのチェーンベルト4の周回動に伴って、押圧板10,10・・が底板8上をスライド(摺動)すると、その摺動に伴って、底板8上の搬送物が後方へと押し下げられ、底板8に穿設された排出口9へと導かれる。
【0018】
また、上記の如く、搬送物が投入口7の下方から排出口9へと搬送される際に、チェーンベルト4や押圧板10,10・・に付着した搬送物は、排出口9から排出されず、その一部が、チェーンベルト4と後側のスプロケット3bとが噛合する際に、後側のスプロケット3bの下側に落下して堆積する。
【0019】
そのように搬送物が後側のスプロケット3bの下側に堆積した状態で、エア供給装置(図示せず)を作動させることによって、各エアノズル5a,5bの先端から所定圧のエアを噴射させると、堆積している搬送物がエアの流れに伴って、後方のダクト11内へ吹き飛ばされる。なお、各エアノズル5a,5bの先端からエアが噴射される際には、ダクト11の内部が負圧になることによって、エアノズル5a,5bの後方に存在している搬送物が、ダクト11内へ吸い込まれる(いわゆる、エジェクター効果)。そして、そのようにダクト11内へ吹き飛ばされたり吸い込まれたりした搬送物は、ダクト11の形状に沿ってスプロケット3bの上側まで巻き上げられ、ダクト11の出口(開口部分)から排出される。そして、そのようにダクト11から排出された粉体は、エアの流れに伴って排出口9から排出される。
【0020】
<実施例のチェーンコンベア装置の効果>
チェーンコンベア装置1は、上記の如く、後側のスプロケット3bの外側に、当該スプロケット3bの下方と上方とを繋ぐようにダクト11を設けるとともに、そのダクト11の基端に、スプロケット3bの下方に残留した搬送物をエア圧によって搬送するためのエアノズル5a,5bを設けたものであるため、それらのエアノズル5a,5bからエアを噴射することによって、堆積した残留物をダクト11に送り込んで、スプロケット3bの上側に設けられたダクト11の出口から排出して、排出口9へ導くことができる。したがって、チェーンコンベア装置1によれば、残留物の堆積に起因した搬送物の品質の低下を防止することが可能となる。
【0021】
また、チェーンコンベア装置1は、ダクト11の先端側の断面積がダクト11の基端側の断面積より大きくなっており、ダクト11内に粉体が堆積する事態が起こりにくいので、エアノズル5a,5bによる残留物の除去機能を、長期間に亘って安定して発現させることができる。
【0022】
さらに、チェーンコンベア装置1は、各エアノズル5a,5bが、それぞれ、後側のスプロケット3bとケーシング2の左右の側板との略中間に位置した状態になっているため、チェーンベルト4の張りが緩くチェーンベルト4が弛んだ場合でも、当該チェーンベルト4がエアノズル5a,5bと接触する事態が生じない。
【0023】
<変更例>
なお、本発明に係るチェーンコンベア装置の構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて適宜変更することができる。たとえば、チェーンコンベア装置は、上記実施形態の如く、2個のエアノズルを設けたものに限定されず、1個のエアノズルを設けたものや、3個以上のエアノズルを設けたものでも良い。また、チェーンコンベア装置は、チェーンベルトに単純な平板状の押止板を設けたものに限定されず、搬送を効率化するための部材等を押止板に設けることも可能である。さらに、チェーンコンベア装置は、上記実施形態の如く、エアノズルからエアを噴出するものに限定されず、窒素等の他の気体をエアノズルから噴射するものに変更することも可能である。
【0024】
加えて、ノズルの内部に搬送物が付着しにくくなるようにテフロン(登録商標)等の樹脂等をコーティングすることも可能であるし、ノズルの内部に付着した搬送物を除去し易くするように、ノズルの外側壁体にスライドタイプあるいは片開きタイプの開閉扉を付設することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のチェーンコンベア装置は、上記の如く、優れた効果を奏するものであるから、各種の工場やサイロにおいて種々の粉体を搬送するための装置として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】チェーンコンベア装置の右側面を示す説明図である。
【図2】チェーンコンベア装置の平面を示す説明図である。
【図3】エアノズルの設置部位を示す説明図(右側面図)である。
【図4】エアノズルの設置部位を示す説明図(図2におけるA−A線断面図)である
【符号の説明】
【0027】
1・・チェーンコンベア装置
2・・ケーシング
3a,3b・・スプロケット
4・・チェーンベルト
5a,5b・・エアノズル
7・・投入口
8・・底板
9・・排出口
10・・押止板
11・・ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を投入するための投入口を上面に設けるとともに搬送された搬送物を排出するための排出口を底板に設けた前後に長尺な四角柱状のケーシングの内部に、
前記載置基板上の搬送物を押し出して前記排出口から外部へ排出させるための複数の押圧板を設けた無端のチェーンベルトと、
そのチェーンベルトを周回動させるための前後一対のスプロケットとを設置したチェーンコンベア装置であって、
前記後側のスプロケットの外側に、その後側のスプロケットの下方と上方とを繋ぐようにダクトを設けるとともに、
そのダクトの基端に、前記後側のスプロケットの下方に残留した搬送物をエア圧によって搬送するためのエアノズルを設けたことを特徴とするチェーンコンベア装置。
【請求項2】
前記ダクトの先端側の開口部分の面積が前記ダクトの基端側の開口部分の面積よりも大きくなっていることを特徴とする請求項1に記載のチェーンコンベア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−150007(P2010−150007A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331003(P2008−331003)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(390025391)株式会社尾上機械 (2)