チェーンコンベヤ装置
【課題】直線走行部に生じる脈動を抑制し、装置の小型化・低騒音化を実現するチェーンコンベヤ装置を提供する。
【解決手段】所定の搬送路に沿って無端循環走行する少なくとも一条のローラチェーン１ｂを有するチェーンコンベヤ装置において、ローラチェーン１ｂが、無端循環軌道の両端でターン部材に掛架されており、無端循環軌道の直線部の少なくとも一箇所に螺旋駆動機構４が設置されており、螺旋駆動機構の螺旋部４ａと係合する爪部が、ローラチェーン１ｂのアタッチメント又は前記ローラチェーンに横架されたスラット２に突設されていることによって、上記の課題を解決するものである。
【解決手段】所定の搬送路に沿って無端循環走行する少なくとも一条のローラチェーン１ｂを有するチェーンコンベヤ装置において、ローラチェーン１ｂが、無端循環軌道の両端でターン部材に掛架されており、無端循環軌道の直線部の少なくとも一箇所に螺旋駆動機構４が設置されており、螺旋駆動機構の螺旋部４ａと係合する爪部が、ローラチェーン１ｂのアタッチメント又は前記ローラチェーンに横架されたスラット２に突設されていることによって、上記の課題を解決するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、物品の搬送装置や仕分け装置に用いられるチェーンコンベヤ装置に関するものであり、さらに詳しくは、直線走行部における脈動を抑制したチェーンコンベヤ装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来より、無端循環走行するチェーンコンベヤ装置を駆動する方式として、（１）離間配設された駆動スプロケットと従動スプロケットにコンベヤチェーンを掛架して、駆動スプロケットを原動機などで回動させることによって前記コンベヤチェーンを走行駆動するスプロケット駆動方式と、（２）離間配設された二つの案内スプロケットにコンベヤチェーンを掛架して、コンベヤチェーンの直線走行部分の少なくとも一箇所に前記コンベヤチェーンに噛合する複数の推進歯を有する無端駆動チェーンからなるキャタピラ駆動機構を設置することによって、コンベヤチェーンを走行駆動するキャタピラ駆動方式とが知られている。
【０００３】
後者のキャタピラ駆動方式によれば、コンベヤチェーンの直線走行部分において、キャタピラ駆動機構の配置位置及び配置数を任意に選定できるので、コンベヤの走行距離が長距離になる場合、キャタピラ駆動機構を複数箇所に設置することにより駆動力を増強できるという利点を有している（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特開昭５９−４８３１９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところが、前述したスプロケット駆動方式によるチェーンコンベヤ装置においては、チェーンの多角形運動に起因して、無端循環走行するローラチェーンの直線走行部に脈動が生じ、ローラチェーンによって支持された搬送物が揺れたり、搬送物がビールや清涼飲料の缶のようなものである場合、転倒したりすることが懸念されていた。
【０００５】
また、搬送物の負荷をすべてローラチェーンで受けるため搬送距離が長くなると、チェーンサイズを大きくしなければならず、そのため搬送装置の大型化及びコストアップを招いていた。さらに、チェーンの多角形運動を小さくするためには、スプロケットの歯数を多くする必要があり、その分スプロケットの大きさが大きくなる。その結果、チェーンコンベヤ装置の設置時に戻り側コンベヤチェーンを収納するための側溝（ピット）を掘るなどの余分な工数や費用を要し、しかも自由にレイアウトを変更することができないという課題が生じていた。
【０００６】
さらに、搬送時の低騒音化を図るため、ローラチェーンのローラを弾性を有する樹脂製にしたり、自己潤滑性を有する焼結合金製にした場合、スプロケットとの噛み合い時に過大な駆動トルクがローラに掛かるため、樹脂や焼結合金では、短期間で破損してしまうという課題が生じていた。
【０００７】
一方、キャタピラ駆動方式によるチェーンコンベヤ装置においては、新たにキャタピラ駆動機構を配置することで装置が大型化するという課題があった。また、キャタピラ駆動機構を構成する無端駆動チェーン自体が多角形運動を起こすためコンベヤチェーンの直線走行部に生じる脈動を完全に除去することができなかった。さらに二条以上のコンベヤチェーンを用いるチェーンコンベヤ装置の場合、複数のチェーン自身をキャタピラ駆動機構によって走行させるため、チェーン間でずれが生じるという課題があった。しかも、チェーン自身をキャタピラ駆動機構と噛み合うような構造とした専用チェーンにする必要があり、装置の汎用性がなく、コストアップの原因になっていた。
【０００８】
そこで、本発明の目的は、直線走行部に生じる脈動を抑制し、装置の小型化・低騒音化を実現するチェーンコンベヤ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
請求項１に係る発明は、所定の搬送路に沿って無端循環走行する少なくとも一条のローラチェーンを有するチェーンコンベヤ装置において、前記ローラチェーンが、無端循環軌道の両端でターン部材に掛架されており、前記無端循環軌道の直線部の少なくとも一箇所に螺旋駆動機構が設置されており、前記螺旋駆動機構の螺旋部と係合する爪部が、前記ローラチェーンのアタッチメント又は前記ローラチェーンに横架されたスラットに突設されていることによって、上記の目的を達成するものである。
なお、本発明においてチェーンコンベヤ装置とは、二条以上のコンベヤチェーンをそれぞれ並列配置し、走行するチェーン上に直接運搬物を載置する所謂スライドチェーンコンベヤ装置及び少なくとも一条以上のコンベヤチェーンのプレートに設けたアタッチメントに走行方向に対して直交する向きに取り付けられた鋼板、樹脂、木製等のスラットの上に搬送物を載置する所謂スラットコンベヤ装置を意味している。
また、本発明においてターン部材とは、無端循環状のチェーンの両端において確実且つ円滑にチェーンを支持できるものであれば、スプロケット、レールターン、ローラ等、その形態は、特に限定されるものではない。
【００１０】
請求項２に係る発明は、請求項１に係る発明の構成に加えて、前記爪部のピッチ、すなわち隣接する爪部と爪部の距離が前記螺旋駆動機構の螺旋部のピッチ、すなわち螺旋部の螺旋が一回転したときに進行する軸方向の距離よりも長いことによって、前記の目的をさらに達成するものである。
【００１１】
請求項３に係る発明は、請求項１又は請求項２に係る発明の構成に加えて、前記ローラチェーンのローラが、樹脂製又は焼結合金製であることによって、前記の目的をより一層達成するものである。
【発明の効果】
【００１２】
請求項１に係る発明によれば、所定の搬送路に沿って無端循環走行する少なくとも一条のローラチェーンを有するチェーンコンベヤ装置において、前記ローラチェーンが、無端循環軌道の両端でターン部材に掛架されており、前記無端循環軌道の直線部の少なくとも一箇所に螺旋駆動機構が設置されており、前記螺旋駆動機構の螺旋部と係合する爪部が、前記ローラチェーンのアタッチメント又は前記ローラチェーンに横架されたスラットに突設されていることによって、螺旋駆動機構の螺旋部の回転運動が直接チェーンコンベヤ装置のローラチェーンを走行方向に移動させる直線運動に変換されるので、搬送物にチェーンの多角形運動に起因する脈動が伝搬しない。
【００１３】
しかも、チェーンの多角形運動に起因する脈動が搬送物に伝搬しないので、チェーンを例えば、ターン部材としてスプロケットを用いた場合、そのスプロケットの歯数を例えば三歯というように極端に少なくすることが可能になり、装置の小型化が図られる。その結果、側溝（ピット）を掘るなどの余分な工数や費用が不要となり、装置の設置レイアウトの変更も容易になる。
【００１４】
また、ローラチェーン又はローラチェーンに横架されたスラットが螺旋駆動機構によって直接駆動される結果、ローラチェーンに加わる負荷が軽減され、搬送距離の長さに関わらず、小さなサイズの汎用チェーンを使用することが可能になり、装置のさらなる小型化とコストダウンが図られる。
【００１５】
請求項２に係る発明によれば、請求項１に係る発明が奏する効果に加えて、前記爪部のピッチｎ１が、螺旋駆動機構の螺旋部のピッチｎ２よりも長いことによって、螺旋駆動機構に要求されるトルクは、ｎ２／ｎ１の比率によって低減されるので、螺旋駆動機構の駆動源を小型化することができる。
【００１６】
請求項３に係る発明によれば、請求項１又は請求項２に係る発明が奏する効果に加えて、前記ローラチェーンのローラに過大な負荷が加わることがないので、樹脂製又は焼結合金製のローラを用いることが可能になり、ローラとターン部材との接触によって生じる騒音が低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
本発明は、所定の搬送路に沿って無端循環走行する少なくとも一条のローラチェーンを有するチェーンコンベヤ装置において、前記ローラチェーンが、無端循環軌道の両端でターン部材に掛架されており、前記無端循環軌道の直線部の少なくとも一箇所に螺旋駆動機構が設置されており、前記螺旋駆動機構の螺旋部と係合する爪部が、前記ローラチェーンのアタッチメント又は前記ローラチェーンに横架されたスラットに突設されているものであって、直線走行部に生じる脈動を抑制し、装置の小型化・低騒音化を実現するチェーンコンベヤ装置であれば、その具体的な実施の態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
【実施例１】
【００１８】
そこで、本発明のチェーンコンベヤ装置の一実施例について、図１乃至図４に基づいて説明する。図１は、本発明によるスラットコンベヤ装置の斜視図である。なお、図１に示したスラットコンベヤ装置は、本装置の機構を説明するために構成されたものであって、搬送路の直線走行部分を短縮した装置を示している。図２は、図１のII−II線、すなわち、スラットの中心で切断して、手前側のスラットとそれに付随するローラチェーン等を取り除いて、スラットコンベヤ装置の内部が分かるように描写した斜視図である。図３（ａ）は、図２に示した切断されたスラットコンベヤ装置を真横から見た側面図であり、図３（ｂ）は、図３（ａ）のIIIB部の拡大図である。図４は、図２に示した斜視図の一部を拡大した拡大図である。
【００１９】
本発明のスラットコンベヤ装置は、所定の搬送路に沿って無端循環走行する平行配置された二条のローラチェーン１ａ、１ｂと、この二条のローラチェーン１ａ、１ｂ間に走行方向と直交する向きに取り付けられた複数のスラット２を有している。スラット２とローラチェーン１ａ、１ｂとの取付方法は、図面には明示されていないが、ローラチェーン１ａ、１ｂの対向する側のプレートを延長してＬ形に内側に曲げてアタッチメントを形成し、このアタッチメントにスラット２をボルト等で固定している。そして、この二条のローラチェーン１ａ、１ｂは、それぞれ、無端循環軌道の両端でターン部材としてのスプロケット３ａ、３ｂに掛架されている。本実施例の場合、図３（ａ）に示したように、六歯のスプロケットを用いている。このように、歯数を少なくすることによって搬送側のスラット面と戻り側のスラット面との距離を短くすることができる。さらに例えば三歯のスプロケットにすることにより、搬送側のスラット面と戻り側のスラット面との距離を一層短くすることができる。
【００２０】
ローラチェーン１ａ、１ｂとスラット２によって形成される無端循環軌道の内側直線部の一箇所に螺旋駆動機構４が設置されている。この螺旋駆動機構４は、連続した螺旋曲面を形成する螺旋部４ａと、この螺旋部４ａを回転駆動する電動機等の駆動源４ｂと、螺旋部４ａと駆動源４ｃとの間で動力を伝達する例えば、ベルトとプーリーからなる動力伝達部４ｃとを有している。
【００２１】
そして、図３（ｂ）に拡大して示したように、スラット２の搬送物載置面２ａの反対側の面に螺旋駆動機構４の螺旋部４ａと係合する爪部２ｂが突設されており、螺旋部４ａが一定速度で回転することによって、爪部２ｂが螺旋部４ａの回転に同期して螺旋の進行方向に押し出される。この動きが連続して作用することによって、スラット２が脈動することなく一定速度で走行する。また、螺旋部４ａと爪部２ｂが係合することによって、擬似的なウォーム構造が構成されるので、螺旋駆動機構４が停止したときにスラット２もその場で停止し、逆戻りしたり先送りされたりすることがない。さらに、二条のローラチェーン１ａ、１ｂとスラット２によって形成される無端循環軌道の両端に存在するスプロケット３ａ、３ｂは、単にローラチェーン１ａ、１ｂの周回部を案内するためのものであり、ローラチェーン１ａ、１ｂとスプロケット３ａ、３ｂとの間で大きな噛み合いトルクが掛かることがないので、ローラチェーン１ａ、１ｂのローラの材質をゴム弾性を有するウレタン系やポリエステル系の樹脂製としたり、自己潤滑性を有する焼結合金製とすることができ、給油を要することなく装置の低騒音化が達成される。
【００２２】
なお、図４は、図２に示した螺旋駆動機構４の螺旋部４ａの形状とスラット２との係合を明示するために示した拡大図である。この図から明らかなように、螺旋部４ａは、連続した螺旋曲面からなり、芯となる円柱部材が存在しないスクリュー状のものである。また、本実施例では、スラット２の搬送物載置面２ａの反対側の面に突設された爪部２ｂのピッチｎ１を螺旋駆動機構の螺旋部４ａのピッチｎ２の４倍としたことによって、螺旋駆動機構に要求されるトルクは、ｎ２／ｎ１の比率、すなわち、約４分の１に低減されるので、螺旋駆動機構の駆動源を小型化することができる。
【実施例２】
【００２３】
次に、本発明の別の実施の態様である実施例２について説明する。実施例２は、実施例１と比べて螺旋駆動機構の螺旋部の形状のみが相違している。したがって、実施例１の図４に相当する図５を用いて説明する。図５において、図４と対応する部材には、１の位の桁を同じにして１０の位の桁を１として示している。この図面から明らかなように螺旋駆動機構の螺旋部１４ａが、芯となる円柱部材１４ｄの外周面に沿って螺旋状の曲面を付設したネジ状の形状をしている。このような形状にしたことによって、螺旋部１４ａの芯となる円柱部材１４ｄの外周面と、スラット１２の搬送物載置面１２ａの反対側の面に突設された爪部１２ｂの先端が摺接するため、スラット１２の搬送物載置面１２ａの走行がより安定する。
【実施例３】
【００２４】
さらに、本発明の別の実施の形態である実施例３について図６に基づき説明する。図６は、本発明を構成する無端循環走行するローラチェーン２１と、無端循環軌道の両端でローラチェーン２１を掛架するスプロケット２３と、無端循環軌道の内側直線部に設置した螺旋駆動機構２４との関係を側面から模式的に示した概念図である。
図６から明らかなように実施例３では、螺旋駆動機構２４を無端循環軌道の直線搬送路に沿って４箇所設置している。このように駆動源を分散配置することによって、大きな駆動源を要することなく、搬送路の直線部分を長くすることができる。また、搬送路の直線部分の長さに応じて螺旋駆動機構２４の数を変えることによって、搬送路の直線部分の長さを自由に設定できるので、チェーンコンベヤ装置のレイアウトを自由に設定することができる。この実施例は、実施例１又は実施例２に示したようなスラットコンベヤ装置だけでなくスライドチェーンコンベヤ装置にも適用可能である。
【実施例４】
【００２５】
さらに、本発明の別の実施の形態である実施例４について図７に基づき説明する。図７は、本発明を構成する無端循環走行するローラチェーン３１と、無端循環軌道の両端でローラチェーン３１を掛架するスプロケット３３と、無端循環軌道の内側直線部に設置された螺旋駆動機構３４との関係を側面から模式的に示した概念図である。
図７から明らかなように実施例４では、螺旋駆動機構３４を無端循環軌道の搬送路の直線部分の少なくとも１箇所に設けられた搬送物の投入部位ＩＮの裏側に２個設置している。このように負荷が集中するところに螺旋駆動機構３４を多く配置することにより、螺旋駆動機構３４がスラットコンベヤ装置の搬送面を下支えするので、一度に多くの搬送物が投入された場合であっても無端循環軌道の搬送面が沈むことなく安定した無端循環走行が達成される。この実施例は、スラットコンベヤ装置として説明しているが、スライドチェーンコンベヤ装置にも同様に適用可能である。
【実施例５】
【００２６】
さらに、本発明の別の実施の形態である実施例５について図８に基づき説明する。図８は、本発明を構成する無端循環走行するローラチェーン４１と、無端循環軌道の両端でローラチェーン４１を掛架するスプロケット４３と、無端循環軌道の内側直線部に設置された螺旋駆動機構４４との関係を側面から模式的に示した概念図である。
図８から明らかなように実施例５では、螺旋駆動機構４４を無端循環軌道の内側直線部の搬送側に２つと戻り側に１つ配置している。このように無端循環軌道の内側直線部の戻り側にも螺旋駆動機構４４を設けることにより、直線搬送路が長い場合であってもスラットコンベヤの戻り側の重量がスプロケット４３に集中することが抑制されるので、ローラチェーン４１とスプロケット４３の噛み合い時に生じるトルクを低減することができる。この実施例は、スラットコンベヤ装置として説明しているが、スライドチェーンコンベヤ装置にも同様に適用可能である。
【実施例６】
【００２７】
さらに、本発明の別の実施の形態である実施例６について図９に基づき説明する。図９は、本発明を構成する無端循環走行する離間配置された二条のローラチェーン５１ａ、５１ｂと、無端循環軌道の両端でローラチェーン５１ａ、５１ｂを掛架するスプロケット５３ａ、５３ｂと、無端循環軌道の内側直線部に設置した螺旋駆動機構５４との関係をスラット等は省略して上面から模式的に示した概念図である。
図９から明らかなように実施例６では、螺旋駆動機構５４が、ローラチェーン５１ａ、５１ｂのプレートに突設された爪部５５と噛み合うように配置されている。なお、図９に示した例では、螺旋駆動機構５４を二条のローラーチェーン５１ａ、５１ｂの対称の位置に１つずつ設置しているが、螺旋駆動機構５４の数や設置箇所については、これに限られることはない。
【００２８】
なお、前述した実施例１乃至実施例６では、二条のローラチェーン間に複数のスラットを取り付けたスラットコンベヤ装置を対象したものであるが、一条又は三条以上のローラチェーンにスラットを取り付けたスラットコンベヤ装置に適用することも可能である。
【実施例７】
【００２９】
さらに、本発明の別の実施の形態である実施例７について図１０に基づき説明する。図１０は、本発明を構成する無端循環走行する三条のローラチェーン６１ａ、６１ｂ、６１ｃと、無端循環軌道の両端で各ローラチェーン６１を掛架するスプロケット６３ａ、６３ｂ、６３ｃと、前記無端循環走行する三条のローラチェーン６１の真ん中のローラチェーン６１ｂの直線部に螺旋駆動機構６４が設置されたスライドチェーンコンベヤ装置６０の斜視図である。
このスライドチェーンコンベヤ装置６０は、三条のローラチェーン６１の真ん中のローラチェーン６１ｂの内プレートに延設されたアタッチメント６６に螺旋駆動機構６４の螺旋部６４ａと係合する爪部６５が突設されている。また、三条のローラチェーン６１を掛架する三個のスプロケット６３が、連結軸６７で連結されていることによって、真ん中のローラチェーン６１ｂに同期して他のローラチェーン６１ａ、６１ｃが回動する。真ん中のローラチェーン６１ｂは、螺旋駆動機構６４によって直接駆動されるため、脈動することがなく、さらに、このローラチェーン６１ｂと同期して回動する他のローラチェーン６１ａ、６１ｃに脈動が生じることも抑制される。
この実施例では、三条のローラチェーン６１からなるスライドチェーンコンベヤ装置を説明しているが、二条又は四条以上のローラチェーンを有するスライドチェーンコンベヤ装置に対しても適用可能である。
【実施例８】
【００３０】
さらに、本発明の別の実施の形態である実施例８について、図１１乃至図１３に基づいて説明する。本実施例は、二条のローラチェーンを有し、そのローラチェーンを無端循環軌道の両端で支持するターン部材として、レールターンを用いたスラットコンベヤ装置である。図１１は、本発明によるスラットコンベヤ装置をスラットの走行方向の中心で切断して、手前側のスラットとそれに付随するローラチェーン等を取り除いて、スラットコンベヤ装置の内部が分かるように描写した側面図である。また、図１２は、図１１のXII部をローラチェーンの手前側の外プレート及び内プレートを取り除いてレールターンの形状が分かるように描写した拡大図であり、図１３は、図１２のXIII−XIII線における断面図である。
【００３１】
本実施例のスラットコンベヤ装置は、所定の搬送路に沿って無端循環走行する平行配置された二条のローラチェーン７１と、この二条のローラチェーン７１間に走行方向と直交する向きに取り付けられた複数のスラット７２を有している。そして、この二条のローラチェーン７１は、それぞれ、無端循環軌道の両端でレールターン７３に掛架されている。本実施例の場合、図１２に示したように、円弧状をしたレールターン７３を用いている。また、本実施例に用いたローラチェーン７１は、図１３の断面図に示したようにローラ７１ｂの片側外周縁にフランジ７１ｆを有するフランジローラを用いている。フランジローラを用いることによって、レールターン７３からローラチェーンが脱輪することを抑制することができる。図１３において、７１ａは内プレート、７１ｂはローラ、７１ｃはブシュ、７１ｄは連結ピン、７１ｅは外プレートを示している。また、前述したように図１２における手前側、すなわち、図１３における左側の外リンク及び内リンクの記載は省略してある。なお、本実施例のスラットコンベヤ装置は、ターン部材としてレールターンを用いた点を除き実施例１で説明したスラットコンベヤの構成と同じであるので詳しい説明は割愛する。
【００３２】
なお、前述した実施例１乃至実施例８では、無端循環軌道の直線部の内側に螺旋駆動機構を設置した例のみを説明しているが、螺旋駆動機構は、無端循環軌道の直線部の外側に設置することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【００３３】
本発明は、搬送走行面に生じる脈動を抑制し、装置の小型化・低騒音化を実現するチェーンコンベヤ装置を提供するものであって、その産業上の利用可能性はきわめて高い。
【図面の簡単な説明】
【００３４】
【図１】実施例１のスラットコンベヤ装置の斜視図。
【図２】図１のII−II線における断面斜視図。
【図３】（ａ）が図２の側面図であり、（ｂ）が、（ａ）のIIIB部の拡大図。
【図４】図２の断面斜視図の一部を拡大した拡大図。
【図５】実施例２の断面斜視図の一部を拡大した拡大図。
【図６】実施例３の概念図。
【図７】実施例４の概念図。
【図８】実施例５の概念図。
【図９】実施例６の概念図。
【図１０】実施例７のスライドチェーンコンベヤ装置の斜視図。
【図１１】実施例８のスラットコンベヤ装置の一部を削除した断面側面図。
【図１２】図１１のXII部の一部を削除した拡大図。
【図１３】図１２のXIII−XIII線における断面図。
【符号の説明】
【００３５】
１ａ、１ｂ、２１、３１、４１、５１ａ、５１ｂ、６１ａ、６１ｂ、６１ｃ ・・・ ローラチェーン
２、１２ ・・・ スラット
２ａ、１２ａ ・・・ （スラットの）搬送物載置面
２ｂ、１２ｂ ・・・ （スラットの）爪部
３ａ、３ｂ、２３、３３、４３、５３ａ、５３ｂ、６３ａ、６３ｂ、６３ｃ ・・・ スプロケット
４、２４、３４、４４、５４、６４ ・・・ 螺旋駆動機構
４ａ、１４ａ、６４ａ ・・・ （螺旋駆動機構の）螺旋部
４ｂ、１４ｂ ・・・ （螺旋駆動機構の）駆動源
４ｃ ・・・ （螺旋駆動機構の）動力伝達部
１４ｄ ・・・ （螺旋部の）円柱部材
５５、６５ ・・・ （ローラチェーンの）爪部
６６ ・・・ アタッチメント
６７ ・・・ 連結軸
７１ ・・・ ローラチェーン
７１ａ ・・・ （ローラチェーンの）内プレート
７１ｂ ・・・ （ローラチェーンの）ローラ
７１ｃ ・・・ （ローラチェーンの）ブシュ
７１ｄ ・・・ （ローラチェーンの）ピン
７１ｅ ・・・ （ローラチェーンの）外プレート
７１ｆ ・・・ （ローラチェーンの）フランジ
ＩＮ ・・・ 投入部位
【技術分野】
【０００１】
本発明は、物品の搬送装置や仕分け装置に用いられるチェーンコンベヤ装置に関するものであり、さらに詳しくは、直線走行部における脈動を抑制したチェーンコンベヤ装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来より、無端循環走行するチェーンコンベヤ装置を駆動する方式として、（１）離間配設された駆動スプロケットと従動スプロケットにコンベヤチェーンを掛架して、駆動スプロケットを原動機などで回動させることによって前記コンベヤチェーンを走行駆動するスプロケット駆動方式と、（２）離間配設された二つの案内スプロケットにコンベヤチェーンを掛架して、コンベヤチェーンの直線走行部分の少なくとも一箇所に前記コンベヤチェーンに噛合する複数の推進歯を有する無端駆動チェーンからなるキャタピラ駆動機構を設置することによって、コンベヤチェーンを走行駆動するキャタピラ駆動方式とが知られている。
【０００３】
後者のキャタピラ駆動方式によれば、コンベヤチェーンの直線走行部分において、キャタピラ駆動機構の配置位置及び配置数を任意に選定できるので、コンベヤの走行距離が長距離になる場合、キャタピラ駆動機構を複数箇所に設置することにより駆動力を増強できるという利点を有している（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特開昭５９−４８３１９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところが、前述したスプロケット駆動方式によるチェーンコンベヤ装置においては、チェーンの多角形運動に起因して、無端循環走行するローラチェーンの直線走行部に脈動が生じ、ローラチェーンによって支持された搬送物が揺れたり、搬送物がビールや清涼飲料の缶のようなものである場合、転倒したりすることが懸念されていた。
【０００５】
また、搬送物の負荷をすべてローラチェーンで受けるため搬送距離が長くなると、チェーンサイズを大きくしなければならず、そのため搬送装置の大型化及びコストアップを招いていた。さらに、チェーンの多角形運動を小さくするためには、スプロケットの歯数を多くする必要があり、その分スプロケットの大きさが大きくなる。その結果、チェーンコンベヤ装置の設置時に戻り側コンベヤチェーンを収納するための側溝（ピット）を掘るなどの余分な工数や費用を要し、しかも自由にレイアウトを変更することができないという課題が生じていた。
【０００６】
さらに、搬送時の低騒音化を図るため、ローラチェーンのローラを弾性を有する樹脂製にしたり、自己潤滑性を有する焼結合金製にした場合、スプロケットとの噛み合い時に過大な駆動トルクがローラに掛かるため、樹脂や焼結合金では、短期間で破損してしまうという課題が生じていた。
【０００７】
一方、キャタピラ駆動方式によるチェーンコンベヤ装置においては、新たにキャタピラ駆動機構を配置することで装置が大型化するという課題があった。また、キャタピラ駆動機構を構成する無端駆動チェーン自体が多角形運動を起こすためコンベヤチェーンの直線走行部に生じる脈動を完全に除去することができなかった。さらに二条以上のコンベヤチェーンを用いるチェーンコンベヤ装置の場合、複数のチェーン自身をキャタピラ駆動機構によって走行させるため、チェーン間でずれが生じるという課題があった。しかも、チェーン自身をキャタピラ駆動機構と噛み合うような構造とした専用チェーンにする必要があり、装置の汎用性がなく、コストアップの原因になっていた。
【０００８】
そこで、本発明の目的は、直線走行部に生じる脈動を抑制し、装置の小型化・低騒音化を実現するチェーンコンベヤ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
請求項１に係る発明は、所定の搬送路に沿って無端循環走行する少なくとも一条のローラチェーンを有するチェーンコンベヤ装置において、前記ローラチェーンが、無端循環軌道の両端でターン部材に掛架されており、前記無端循環軌道の直線部の少なくとも一箇所に螺旋駆動機構が設置されており、前記螺旋駆動機構の螺旋部と係合する爪部が、前記ローラチェーンのアタッチメント又は前記ローラチェーンに横架されたスラットに突設されていることによって、上記の目的を達成するものである。
なお、本発明においてチェーンコンベヤ装置とは、二条以上のコンベヤチェーンをそれぞれ並列配置し、走行するチェーン上に直接運搬物を載置する所謂スライドチェーンコンベヤ装置及び少なくとも一条以上のコンベヤチェーンのプレートに設けたアタッチメントに走行方向に対して直交する向きに取り付けられた鋼板、樹脂、木製等のスラットの上に搬送物を載置する所謂スラットコンベヤ装置を意味している。
また、本発明においてターン部材とは、無端循環状のチェーンの両端において確実且つ円滑にチェーンを支持できるものであれば、スプロケット、レールターン、ローラ等、その形態は、特に限定されるものではない。
【００１０】
請求項２に係る発明は、請求項１に係る発明の構成に加えて、前記爪部のピッチ、すなわち隣接する爪部と爪部の距離が前記螺旋駆動機構の螺旋部のピッチ、すなわち螺旋部の螺旋が一回転したときに進行する軸方向の距離よりも長いことによって、前記の目的をさらに達成するものである。
【００１１】
請求項３に係る発明は、請求項１又は請求項２に係る発明の構成に加えて、前記ローラチェーンのローラが、樹脂製又は焼結合金製であることによって、前記の目的をより一層達成するものである。
【発明の効果】
【００１２】
請求項１に係る発明によれば、所定の搬送路に沿って無端循環走行する少なくとも一条のローラチェーンを有するチェーンコンベヤ装置において、前記ローラチェーンが、無端循環軌道の両端でターン部材に掛架されており、前記無端循環軌道の直線部の少なくとも一箇所に螺旋駆動機構が設置されており、前記螺旋駆動機構の螺旋部と係合する爪部が、前記ローラチェーンのアタッチメント又は前記ローラチェーンに横架されたスラットに突設されていることによって、螺旋駆動機構の螺旋部の回転運動が直接チェーンコンベヤ装置のローラチェーンを走行方向に移動させる直線運動に変換されるので、搬送物にチェーンの多角形運動に起因する脈動が伝搬しない。
【００１３】
しかも、チェーンの多角形運動に起因する脈動が搬送物に伝搬しないので、チェーンを例えば、ターン部材としてスプロケットを用いた場合、そのスプロケットの歯数を例えば三歯というように極端に少なくすることが可能になり、装置の小型化が図られる。その結果、側溝（ピット）を掘るなどの余分な工数や費用が不要となり、装置の設置レイアウトの変更も容易になる。
【００１４】
また、ローラチェーン又はローラチェーンに横架されたスラットが螺旋駆動機構によって直接駆動される結果、ローラチェーンに加わる負荷が軽減され、搬送距離の長さに関わらず、小さなサイズの汎用チェーンを使用することが可能になり、装置のさらなる小型化とコストダウンが図られる。
【００１５】
請求項２に係る発明によれば、請求項１に係る発明が奏する効果に加えて、前記爪部のピッチｎ１が、螺旋駆動機構の螺旋部のピッチｎ２よりも長いことによって、螺旋駆動機構に要求されるトルクは、ｎ２／ｎ１の比率によって低減されるので、螺旋駆動機構の駆動源を小型化することができる。
【００１６】
請求項３に係る発明によれば、請求項１又は請求項２に係る発明が奏する効果に加えて、前記ローラチェーンのローラに過大な負荷が加わることがないので、樹脂製又は焼結合金製のローラを用いることが可能になり、ローラとターン部材との接触によって生じる騒音が低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
本発明は、所定の搬送路に沿って無端循環走行する少なくとも一条のローラチェーンを有するチェーンコンベヤ装置において、前記ローラチェーンが、無端循環軌道の両端でターン部材に掛架されており、前記無端循環軌道の直線部の少なくとも一箇所に螺旋駆動機構が設置されており、前記螺旋駆動機構の螺旋部と係合する爪部が、前記ローラチェーンのアタッチメント又は前記ローラチェーンに横架されたスラットに突設されているものであって、直線走行部に生じる脈動を抑制し、装置の小型化・低騒音化を実現するチェーンコンベヤ装置であれば、その具体的な実施の態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
【実施例１】
【００１８】
そこで、本発明のチェーンコンベヤ装置の一実施例について、図１乃至図４に基づいて説明する。図１は、本発明によるスラットコンベヤ装置の斜視図である。なお、図１に示したスラットコンベヤ装置は、本装置の機構を説明するために構成されたものであって、搬送路の直線走行部分を短縮した装置を示している。図２は、図１のII−II線、すなわち、スラットの中心で切断して、手前側のスラットとそれに付随するローラチェーン等を取り除いて、スラットコンベヤ装置の内部が分かるように描写した斜視図である。図３（ａ）は、図２に示した切断されたスラットコンベヤ装置を真横から見た側面図であり、図３（ｂ）は、図３（ａ）のIIIB部の拡大図である。図４は、図２に示した斜視図の一部を拡大した拡大図である。
【００１９】
本発明のスラットコンベヤ装置は、所定の搬送路に沿って無端循環走行する平行配置された二条のローラチェーン１ａ、１ｂと、この二条のローラチェーン１ａ、１ｂ間に走行方向と直交する向きに取り付けられた複数のスラット２を有している。スラット２とローラチェーン１ａ、１ｂとの取付方法は、図面には明示されていないが、ローラチェーン１ａ、１ｂの対向する側のプレートを延長してＬ形に内側に曲げてアタッチメントを形成し、このアタッチメントにスラット２をボルト等で固定している。そして、この二条のローラチェーン１ａ、１ｂは、それぞれ、無端循環軌道の両端でターン部材としてのスプロケット３ａ、３ｂに掛架されている。本実施例の場合、図３（ａ）に示したように、六歯のスプロケットを用いている。このように、歯数を少なくすることによって搬送側のスラット面と戻り側のスラット面との距離を短くすることができる。さらに例えば三歯のスプロケットにすることにより、搬送側のスラット面と戻り側のスラット面との距離を一層短くすることができる。
【００２０】
ローラチェーン１ａ、１ｂとスラット２によって形成される無端循環軌道の内側直線部の一箇所に螺旋駆動機構４が設置されている。この螺旋駆動機構４は、連続した螺旋曲面を形成する螺旋部４ａと、この螺旋部４ａを回転駆動する電動機等の駆動源４ｂと、螺旋部４ａと駆動源４ｃとの間で動力を伝達する例えば、ベルトとプーリーからなる動力伝達部４ｃとを有している。
【００２１】
そして、図３（ｂ）に拡大して示したように、スラット２の搬送物載置面２ａの反対側の面に螺旋駆動機構４の螺旋部４ａと係合する爪部２ｂが突設されており、螺旋部４ａが一定速度で回転することによって、爪部２ｂが螺旋部４ａの回転に同期して螺旋の進行方向に押し出される。この動きが連続して作用することによって、スラット２が脈動することなく一定速度で走行する。また、螺旋部４ａと爪部２ｂが係合することによって、擬似的なウォーム構造が構成されるので、螺旋駆動機構４が停止したときにスラット２もその場で停止し、逆戻りしたり先送りされたりすることがない。さらに、二条のローラチェーン１ａ、１ｂとスラット２によって形成される無端循環軌道の両端に存在するスプロケット３ａ、３ｂは、単にローラチェーン１ａ、１ｂの周回部を案内するためのものであり、ローラチェーン１ａ、１ｂとスプロケット３ａ、３ｂとの間で大きな噛み合いトルクが掛かることがないので、ローラチェーン１ａ、１ｂのローラの材質をゴム弾性を有するウレタン系やポリエステル系の樹脂製としたり、自己潤滑性を有する焼結合金製とすることができ、給油を要することなく装置の低騒音化が達成される。
【００２２】
なお、図４は、図２に示した螺旋駆動機構４の螺旋部４ａの形状とスラット２との係合を明示するために示した拡大図である。この図から明らかなように、螺旋部４ａは、連続した螺旋曲面からなり、芯となる円柱部材が存在しないスクリュー状のものである。また、本実施例では、スラット２の搬送物載置面２ａの反対側の面に突設された爪部２ｂのピッチｎ１を螺旋駆動機構の螺旋部４ａのピッチｎ２の４倍としたことによって、螺旋駆動機構に要求されるトルクは、ｎ２／ｎ１の比率、すなわち、約４分の１に低減されるので、螺旋駆動機構の駆動源を小型化することができる。
【実施例２】
【００２３】
次に、本発明の別の実施の態様である実施例２について説明する。実施例２は、実施例１と比べて螺旋駆動機構の螺旋部の形状のみが相違している。したがって、実施例１の図４に相当する図５を用いて説明する。図５において、図４と対応する部材には、１の位の桁を同じにして１０の位の桁を１として示している。この図面から明らかなように螺旋駆動機構の螺旋部１４ａが、芯となる円柱部材１４ｄの外周面に沿って螺旋状の曲面を付設したネジ状の形状をしている。このような形状にしたことによって、螺旋部１４ａの芯となる円柱部材１４ｄの外周面と、スラット１２の搬送物載置面１２ａの反対側の面に突設された爪部１２ｂの先端が摺接するため、スラット１２の搬送物載置面１２ａの走行がより安定する。
【実施例３】
【００２４】
さらに、本発明の別の実施の形態である実施例３について図６に基づき説明する。図６は、本発明を構成する無端循環走行するローラチェーン２１と、無端循環軌道の両端でローラチェーン２１を掛架するスプロケット２３と、無端循環軌道の内側直線部に設置した螺旋駆動機構２４との関係を側面から模式的に示した概念図である。
図６から明らかなように実施例３では、螺旋駆動機構２４を無端循環軌道の直線搬送路に沿って４箇所設置している。このように駆動源を分散配置することによって、大きな駆動源を要することなく、搬送路の直線部分を長くすることができる。また、搬送路の直線部分の長さに応じて螺旋駆動機構２４の数を変えることによって、搬送路の直線部分の長さを自由に設定できるので、チェーンコンベヤ装置のレイアウトを自由に設定することができる。この実施例は、実施例１又は実施例２に示したようなスラットコンベヤ装置だけでなくスライドチェーンコンベヤ装置にも適用可能である。
【実施例４】
【００２５】
さらに、本発明の別の実施の形態である実施例４について図７に基づき説明する。図７は、本発明を構成する無端循環走行するローラチェーン３１と、無端循環軌道の両端でローラチェーン３１を掛架するスプロケット３３と、無端循環軌道の内側直線部に設置された螺旋駆動機構３４との関係を側面から模式的に示した概念図である。
図７から明らかなように実施例４では、螺旋駆動機構３４を無端循環軌道の搬送路の直線部分の少なくとも１箇所に設けられた搬送物の投入部位ＩＮの裏側に２個設置している。このように負荷が集中するところに螺旋駆動機構３４を多く配置することにより、螺旋駆動機構３４がスラットコンベヤ装置の搬送面を下支えするので、一度に多くの搬送物が投入された場合であっても無端循環軌道の搬送面が沈むことなく安定した無端循環走行が達成される。この実施例は、スラットコンベヤ装置として説明しているが、スライドチェーンコンベヤ装置にも同様に適用可能である。
【実施例５】
【００２６】
さらに、本発明の別の実施の形態である実施例５について図８に基づき説明する。図８は、本発明を構成する無端循環走行するローラチェーン４１と、無端循環軌道の両端でローラチェーン４１を掛架するスプロケット４３と、無端循環軌道の内側直線部に設置された螺旋駆動機構４４との関係を側面から模式的に示した概念図である。
図８から明らかなように実施例５では、螺旋駆動機構４４を無端循環軌道の内側直線部の搬送側に２つと戻り側に１つ配置している。このように無端循環軌道の内側直線部の戻り側にも螺旋駆動機構４４を設けることにより、直線搬送路が長い場合であってもスラットコンベヤの戻り側の重量がスプロケット４３に集中することが抑制されるので、ローラチェーン４１とスプロケット４３の噛み合い時に生じるトルクを低減することができる。この実施例は、スラットコンベヤ装置として説明しているが、スライドチェーンコンベヤ装置にも同様に適用可能である。
【実施例６】
【００２７】
さらに、本発明の別の実施の形態である実施例６について図９に基づき説明する。図９は、本発明を構成する無端循環走行する離間配置された二条のローラチェーン５１ａ、５１ｂと、無端循環軌道の両端でローラチェーン５１ａ、５１ｂを掛架するスプロケット５３ａ、５３ｂと、無端循環軌道の内側直線部に設置した螺旋駆動機構５４との関係をスラット等は省略して上面から模式的に示した概念図である。
図９から明らかなように実施例６では、螺旋駆動機構５４が、ローラチェーン５１ａ、５１ｂのプレートに突設された爪部５５と噛み合うように配置されている。なお、図９に示した例では、螺旋駆動機構５４を二条のローラーチェーン５１ａ、５１ｂの対称の位置に１つずつ設置しているが、螺旋駆動機構５４の数や設置箇所については、これに限られることはない。
【００２８】
なお、前述した実施例１乃至実施例６では、二条のローラチェーン間に複数のスラットを取り付けたスラットコンベヤ装置を対象したものであるが、一条又は三条以上のローラチェーンにスラットを取り付けたスラットコンベヤ装置に適用することも可能である。
【実施例７】
【００２９】
さらに、本発明の別の実施の形態である実施例７について図１０に基づき説明する。図１０は、本発明を構成する無端循環走行する三条のローラチェーン６１ａ、６１ｂ、６１ｃと、無端循環軌道の両端で各ローラチェーン６１を掛架するスプロケット６３ａ、６３ｂ、６３ｃと、前記無端循環走行する三条のローラチェーン６１の真ん中のローラチェーン６１ｂの直線部に螺旋駆動機構６４が設置されたスライドチェーンコンベヤ装置６０の斜視図である。
このスライドチェーンコンベヤ装置６０は、三条のローラチェーン６１の真ん中のローラチェーン６１ｂの内プレートに延設されたアタッチメント６６に螺旋駆動機構６４の螺旋部６４ａと係合する爪部６５が突設されている。また、三条のローラチェーン６１を掛架する三個のスプロケット６３が、連結軸６７で連結されていることによって、真ん中のローラチェーン６１ｂに同期して他のローラチェーン６１ａ、６１ｃが回動する。真ん中のローラチェーン６１ｂは、螺旋駆動機構６４によって直接駆動されるため、脈動することがなく、さらに、このローラチェーン６１ｂと同期して回動する他のローラチェーン６１ａ、６１ｃに脈動が生じることも抑制される。
この実施例では、三条のローラチェーン６１からなるスライドチェーンコンベヤ装置を説明しているが、二条又は四条以上のローラチェーンを有するスライドチェーンコンベヤ装置に対しても適用可能である。
【実施例８】
【００３０】
さらに、本発明の別の実施の形態である実施例８について、図１１乃至図１３に基づいて説明する。本実施例は、二条のローラチェーンを有し、そのローラチェーンを無端循環軌道の両端で支持するターン部材として、レールターンを用いたスラットコンベヤ装置である。図１１は、本発明によるスラットコンベヤ装置をスラットの走行方向の中心で切断して、手前側のスラットとそれに付随するローラチェーン等を取り除いて、スラットコンベヤ装置の内部が分かるように描写した側面図である。また、図１２は、図１１のXII部をローラチェーンの手前側の外プレート及び内プレートを取り除いてレールターンの形状が分かるように描写した拡大図であり、図１３は、図１２のXIII−XIII線における断面図である。
【００３１】
本実施例のスラットコンベヤ装置は、所定の搬送路に沿って無端循環走行する平行配置された二条のローラチェーン７１と、この二条のローラチェーン７１間に走行方向と直交する向きに取り付けられた複数のスラット７２を有している。そして、この二条のローラチェーン７１は、それぞれ、無端循環軌道の両端でレールターン７３に掛架されている。本実施例の場合、図１２に示したように、円弧状をしたレールターン７３を用いている。また、本実施例に用いたローラチェーン７１は、図１３の断面図に示したようにローラ７１ｂの片側外周縁にフランジ７１ｆを有するフランジローラを用いている。フランジローラを用いることによって、レールターン７３からローラチェーンが脱輪することを抑制することができる。図１３において、７１ａは内プレート、７１ｂはローラ、７１ｃはブシュ、７１ｄは連結ピン、７１ｅは外プレートを示している。また、前述したように図１２における手前側、すなわち、図１３における左側の外リンク及び内リンクの記載は省略してある。なお、本実施例のスラットコンベヤ装置は、ターン部材としてレールターンを用いた点を除き実施例１で説明したスラットコンベヤの構成と同じであるので詳しい説明は割愛する。
【００３２】
なお、前述した実施例１乃至実施例８では、無端循環軌道の直線部の内側に螺旋駆動機構を設置した例のみを説明しているが、螺旋駆動機構は、無端循環軌道の直線部の外側に設置することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【００３３】
本発明は、搬送走行面に生じる脈動を抑制し、装置の小型化・低騒音化を実現するチェーンコンベヤ装置を提供するものであって、その産業上の利用可能性はきわめて高い。
【図面の簡単な説明】
【００３４】
【図１】実施例１のスラットコンベヤ装置の斜視図。
【図２】図１のII−II線における断面斜視図。
【図３】（ａ）が図２の側面図であり、（ｂ）が、（ａ）のIIIB部の拡大図。
【図４】図２の断面斜視図の一部を拡大した拡大図。
【図５】実施例２の断面斜視図の一部を拡大した拡大図。
【図６】実施例３の概念図。
【図７】実施例４の概念図。
【図８】実施例５の概念図。
【図９】実施例６の概念図。
【図１０】実施例７のスライドチェーンコンベヤ装置の斜視図。
【図１１】実施例８のスラットコンベヤ装置の一部を削除した断面側面図。
【図１２】図１１のXII部の一部を削除した拡大図。
【図１３】図１２のXIII−XIII線における断面図。
【符号の説明】
【００３５】
１ａ、１ｂ、２１、３１、４１、５１ａ、５１ｂ、６１ａ、６１ｂ、６１ｃ ・・・ ローラチェーン
２、１２ ・・・ スラット
２ａ、１２ａ ・・・ （スラットの）搬送物載置面
２ｂ、１２ｂ ・・・ （スラットの）爪部
３ａ、３ｂ、２３、３３、４３、５３ａ、５３ｂ、６３ａ、６３ｂ、６３ｃ ・・・ スプロケット
４、２４、３４、４４、５４、６４ ・・・ 螺旋駆動機構
４ａ、１４ａ、６４ａ ・・・ （螺旋駆動機構の）螺旋部
４ｂ、１４ｂ ・・・ （螺旋駆動機構の）駆動源
４ｃ ・・・ （螺旋駆動機構の）動力伝達部
１４ｄ ・・・ （螺旋部の）円柱部材
５５、６５ ・・・ （ローラチェーンの）爪部
６６ ・・・ アタッチメント
６７ ・・・ 連結軸
７１ ・・・ ローラチェーン
７１ａ ・・・ （ローラチェーンの）内プレート
７１ｂ ・・・ （ローラチェーンの）ローラ
７１ｃ ・・・ （ローラチェーンの）ブシュ
７１ｄ ・・・ （ローラチェーンの）ピン
７１ｅ ・・・ （ローラチェーンの）外プレート
７１ｆ ・・・ （ローラチェーンの）フランジ
ＩＮ ・・・ 投入部位
【特許請求の範囲】
【請求項１】
所定の搬送路に沿って無端循環走行する少なくとも一条のローラチェーンを有するチェーンコンベヤ装置において、
前記ローラチェーンが、無端循環軌道の両端でターン部材に掛架されており、
前記無端循環軌道の直線部の少なくとも一箇所に螺旋駆動機構が設置されており、
前記螺旋駆動機構の螺旋部と係合する爪部が、前記ローラチェーンのアタッチメント又は前記ローラチェーンに横架されたスラットに突設されていることを特徴とするチェーンコンベヤ装置。
【請求項２】
前記爪部のピッチが、前記螺旋駆動機構の螺旋部のピッチよりも長いことを特徴とする請求項１に記載のチェーンコンベヤ装置。
【請求項３】
前記ローラチェーンのローラが、樹脂製又は焼結合金製であることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載のチェーンコンベヤ装置。
【請求項１】
所定の搬送路に沿って無端循環走行する少なくとも一条のローラチェーンを有するチェーンコンベヤ装置において、
前記ローラチェーンが、無端循環軌道の両端でターン部材に掛架されており、
前記無端循環軌道の直線部の少なくとも一箇所に螺旋駆動機構が設置されており、
前記螺旋駆動機構の螺旋部と係合する爪部が、前記ローラチェーンのアタッチメント又は前記ローラチェーンに横架されたスラットに突設されていることを特徴とするチェーンコンベヤ装置。
【請求項２】
前記爪部のピッチが、前記螺旋駆動機構の螺旋部のピッチよりも長いことを特徴とする請求項１に記載のチェーンコンベヤ装置。
【請求項３】
前記ローラチェーンのローラが、樹脂製又は焼結合金製であることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載のチェーンコンベヤ装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【公開番号】特開２００９−７１５０（Ｐ２００９−７１５０Ａ）
【公開日】平成２１年１月１５日（２００９．１．１５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１７２３４０（Ｐ２００７−１７２３４０）
【出願日】平成１９年６月２９日（２００７．６．２９）
【出願人】（０００００３３５５）株式会社椿本チエイン (861)
【公開日】平成２１年１月１５日（２００９．１．１５）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年６月２９日（２００７．６．２９）
【出願人】（０００００３３５５）株式会社椿本チエイン (861)
[ Back to top ]