説明

チェーン用ガイドレールおよびコンベア

【課題】フレーム内に精度良くかつ容易に形成することが可能なチェーン用ガイドレールを提供すること。
【解決手段】チェーン用ガイドレール11〜14は、チェーン3が収納されるフレーム4を構成する複数のフレーム板23〜25が接合される接合部26、27に、フレーム4の内部に向かってフレーム板23〜25の一部が曲げ起こされて形成されている。このチェーン用ガイドレール11〜14では、たとえば、レーザ加工やプレス加工等を経て精度良く形成されたフレーム板23〜25を溶接で接合することで、チェーン用ガイドレール11〜14をフレーム4の内部に精度良く、かつ、容易に形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーンを所定方向へ案内するためのチェーン用ガイドレールおよびこのチェーン用ガイドレールを備えるコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、切削等を行う工作機械で生じる切削屑を搬送するためのチップコンベアが知られている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のチップコンベアは、切削屑を掻き集めて搬送するスクレーパチェーンと、スクレーパチェーンを所定方向へ移動させる走行チェーンとを備えており、スクレーパチェーンは、走行チェーンに揺動可能に取り付けられた揺動部材を介して走行チェーンに取り付けられている。また、このチップコンベアでは、チップコンベアのフレームを構成する底板および側板に固定されたブロック状のガイドレールによって、走行チェーンがガイドされている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−71539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、特許文献1に記載のチップコンベアでは、ガイドレールによって走行チェーンがガイドされているため、走行チェーンを所定方向へ適切に案内することができる。しかしながら、このチップコンベアでは、ブロック状のガイドレールがチップコンベアのフレームを構成する底板および側板に固定されている。したがって、フレーム内に精度良くガイドレールを設置するためには、ガイドレール固定用の大掛かりな治具が必要となり、また、ガイドレールの固定作業が煩雑となる。
【0005】
そこで、本発明の課題は、フレーム内に精度良くかつ容易に形成することが可能なチェーン用ガイドレールおよびこのチェーン用ガイドレールを備えるコンベアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明のチェーン用ガイドレールは、チェーンが収納されるフレームを構成する複数のフレーム板が接合される接合部に、フレームの内部に向かってフレーム板の一部が曲げ起こされて形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のチェーン用ガイドレールは、フレーム板が接合される接合部に、フレームの内部に向かってフレーム板の一部が曲げ起こされて形成されている。すなわち、本発明のチェーン用ガイドレールは、フレームを構成するフレーム板と一体で形成されている。そのため、チェーン用ガイドレールをフレーム内に固定するための固定治具を用いなくても、フレーム内にチェーン用ガイドレールを形成することが可能になる。したがって、本発明では、チェーン用ガイドレールをフレーム内に精度良くかつ容易に形成することが可能になる。
【0008】
本発明において、チェーン用ガイドレールは、接合部で接合される2枚のフレーム板のそれぞれの一部が曲げ起こされ、接合されて形成されていることが好ましい。このように構成すると、フレーム板の厚さが薄い場合であっても、チェーン用ガイドレールの幅を厚くすることが可能になり、フレーム板の厚さが薄い場合であっても、幅の厚いチェーン用ガイドレールをフレーム内に精度良くかつ容易に形成することが可能になる。また、フレーム板の厚さが薄い場合であっても、チェーンの案内方向に直交する方向でのチェーンのがたつきを抑制することが可能になる。
【0009】
本発明のチェーン用ガイドレールが形成されるフレームは、チェーン用ガイドレールによって案内されるチェーンを備えるコンベアに用いることができる。このコンベアでは、チェーン用ガイドレールをフレーム内に精度良くかつ容易に形成することが可能になる。
【0010】
本発明において、コンベアは、チェーン用ガイドレールとして、一方向へ向かうチェーンを案内する第1ガイドレールと、他方向へ向かうチェーンを案内する第2ガイドレールとを備え、フレームは、略直方体の箱状に形成されるとともに、フレームの底面の一部を構成する底面フレーム板と、略直角に折り曲げられフレームの底面の一部および側面の一部を構成する角部フレーム板と、フレームの側面の一部を構成する側面フレーム板とを備え、底面フレーム板と角部フレーム板との接合部に角部フレーム板の一部が曲げ起こされて第1ガイドレールの少なくとも一部が形成されるとともに、角部フレーム板と側面フレームとの接合部に角部フレーム板の一部が曲げ起こされて第2ガイドレールの少なくとも一部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、第1ガイドレールと第2ガイドレールとの2つのチェーン用ガイドレールが形成される場合であっても、角部フレーム板を用いて、第1ガイドレールと第2ガイドレールとの2つのチェーン用ガイドレールを形成することが可能となる。その結果、フレームの構成を簡素化することができる。
【0011】
本発明では、たとえば、フレームの少なくとも一部が工作機械の下方に配置されるとともに、コンベアは工作機械で生じる切削屑を搬送する。このコンベアでは、チェーン用ガイドレールを精度良く形成することが可能であるため、たとえば、チェーンに固定されたスクレーパ等の掻取部材を用いて切削屑を確実に搬送することが可能になる。
【0012】
本発明において、フレームは、工作機械の下方に配置される底面部および底面部の一端側から斜め上方に向かって傾斜する傾斜部を備え、コンベアは、チェーン用ガイドレールとして、底面部および傾斜部に配置され一方向へ向かうチェーンを下側から支持する第1ガイドレールと、底面部および傾斜部に配置され他方向へ向かうチェーンを下側から支持する第2ガイドレールとを備えるとともに、底面部と傾斜部との境界部分に、チェーンに上側から当接可能な略円弧状または略扇形状のガイド部材を備えることが好ましい。このように構成すると、境界部分において、チェーンを適切に案内することが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明のチェーン用ガイドレールおよびコンベアでは、チェーン用ガイドレールをフレーム内に精度良くかつ容易に形成することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
(コンベア装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるコンベア1の概略構成を説明するための側面図である。図2は、図1に示すコンベア1の平面図である。なお、以下の説明では、図2のX1方向を「右」方向、X2方向を「左」方向、Y1方向を「前」方向およびY2方向を「後(後ろ)」方向とする。
【0016】
本形態のコンベア1は、たとえば、切削等を行う工作機械(図示省略)で生じる切削屑を切削油とともに回収し、回収した切削屑を所定の回収箱2まで搬送するためのいわゆるクーラントコンベアである。このコンベア1は、図1、図2に示すように、切削屑を搬送するための2本のチェーン3と、チェーン3が収納されるフレーム4と、チェーン3を駆動するためのチェーン駆動機構5とを備えている。また、コンベア1は、上述のように、切削油も回収するため、切削屑と切削油とを分離するためのフィルター(図示省略)や、回収された切削油を所定のタンク(図示省略)に戻すためのポンプ(図示省略)等を備えている。
【0017】
フレーム4は、工作機械の下方に配置され工作機械で生じた切削屑等が回収される底面部7と、底面部7の右端側から右斜め上方に向かって傾斜する傾斜部8と、傾斜部8の上端から右方向に向かって突出するように形成される上面部9とを備えている。底面部7、傾斜部8および上面部9はいずれも略直方体の箱状に形成されている。また、底面部7の上面側には開口部7aが形成され(図2参照)、上面部9の底面側には開口部9bが形成されている(図1参照)。
【0018】
底面部7の内部には、後述のように、底面部7に回収された切削屑を回収箱2まで搬送するときのチェーン3の移動方向となる右方向へチェーン3を案内するチェーン用ガイドレールとしての第1ガイドレール11と、切削屑を再び搬送するために回収箱2から戻るチェーン3の戻り方向となる左方向へチェーン3を案内するチェーン用ガイドレールとしての第2ガイドレール12とが形成されている。第1ガイドレール11は、底面部7の底面側に形成され、第2ガイドレール12は、第1ガイドレール11の上方に形成されている。
【0019】
同様に、傾斜部8の内部には、切削屑を回収箱2まで搬送するときのチェーン3の移動方向となる右斜め上方向へチェーン3を案内するチェーン用ガイドレールとしての第1ガイドレール13と、切削屑を再び搬送するために回収箱2から底面部7へ戻るチェーン3の戻り方向となる左斜め下方向へチェーン3を案内するチェーン用ガイドレールとしての第2ガイドレール14とが形成されている。第1ガイドレール13は、傾斜部8の底面側に形成され、第2ガイドレール14は、第1ガイドレール13の左斜め上方に形成されている。
【0020】
また、底面部7と傾斜部8との境界部分には、チェーン3に上側から当接可能なガイド部材としてのガイド板15、16が固定されている。具体的には、第1ガイドレール11の右端と第1ガイドレール13の下端との間に略円弧状のガイド板15が固定され、第2ガイドレール12の右端と第2ガイドレール14の下端との間に略円弧状のガイド板16が固定されている。ガイド板15、16は、たとえば、フレーム4の内部に溶接で固定された円筒状の固定部材(図示省略)にボルトで固定されている。なお、ガイド板15、16は、略扇形状に形成されても良い。
【0021】
底面部7、傾斜部8の詳細な構成については後述する。
【0022】
2本のチェーン3は、図2に示すように、コンベア1の前後方向の両端側に配置されている。この2本のチェーン3の間には、切削屑に当接して切削屑を搬送する複数のスクレーパ19が間欠的に配置されている。具体的には、前後方向の断面が略L形状に形成された複数のスクレーパ19の前端が前方向に配置されるチェーン3に間欠的に固定され、複数のクレーパ19の後端が後方向に配置されるチェーン3に間欠的に固定されている。
【0023】
チェーン駆動機構5は、傾斜部8の上端側に回転可能に取り付けられるスプロケット20と、スプロケット20を回転駆動する駆動モータ(図示省略)を備えている。本形態では、駆動モータに連結された回転軸に、2本のチェーン3のそれぞれに係合する2個のスプロケット20が固定されている。
【0024】
以上のように構成されたコンベア1では、工作機械で生じた切削屑が開口部7aから底面部7の内部に回収される。底面部7に回収された切削屑は、チェーン駆動機構5で駆動されるチェーン3に固定されたスクレーパ19によって上面部9まで搬送され、開口部9bの下方に配置された回収箱2に回収される。このとき、切削屑は、底面部7の底面および傾斜部8の底面を順次通過する。また、このとき、上面部9へ向かうチェーン3は、第1ガイドレール11、13およびガイド板15に案内される。
【0025】
また、切削屑を上面部9まで搬送した後のチェーン3(具体的には、スクレーパ19)は、再び、底面部7の底面に向かって戻る。このとき、底面部7の底面へ向かうチェーン3は、第1ガイドレール12、14およびガイド板16に案内される。
【0026】
(底面部および傾斜部の構成)
図3は、図1のE−E断面を示す断面図である。図4は、図1のG部を説明するための図であり、(A)はG部の拡大平面図であり、(B)は(A)のH−H方向からG部を示す図である。
【0027】
底面部7は、図3に示すように、底面部7の底面の一部(具体的には、前後方向における底面の中心側部分)を構成する底面フレーム板23と、略直角に折り曲げられるとともに底面部7の底面の一部(具体的には、前後方向における底面の両端側部分)および底面部7の前後方向の側面の一部(具体的には、側面の下端側部分)を構成する2枚の角部フレーム板24と、底面部7の前後方向の側面の一部(具体的には、側面の上端側部分)を構成する2枚の側面フレーム板25とを備えている。
【0028】
底面フレーム板23は、図3に示すように、溝形状に形成されている。すなわち、底面フレーム板23の前後方向両端には、底面部7の内部に向かって(具体的には、上側に向かって)底面フレーム板23の一部が曲げ起こされた起立部23aが形成されている。
【0029】
角部フレーム板24の底面における前後方向の内側端には、底面部7の内部に向かって(具体的には、上側に向かって)角部フレーム板24の一部が曲げ起こされた起立部24aが形成されている。具体的には、後述のように、底面フレーム板23と角部フレーム板24とが接合された状態で、起立部23aの上端と起立部24aの上端とがほぼ一致するように、起立部24aが形成されている。
【0030】
また、角部フレーム板24の上端には、底面部7の内部に向かって角部フレーム板24の一部が曲げ起こされた起立部24bが形成されている。具体的には、角部フレーム板24の上端から前後方向の内側に向かって曲げ起こされた水平部24cと、水平部24cの前後方向の内側端から上方向に向かって曲げ起こされた垂直部24dとからなる起立部24bが形成されている。
【0031】
側面フレーム板25の下端には、底面部7の内部に向かって側面フレーム板25の一部が曲げ起こされた起立部25bが形成されている。具体的には、側面フレーム板25の下端から前後方向の内側に向かって曲げ起こされた水平部25cと、水平部25cの前後方向の内側端から上方向に向かって曲げ起こされた垂直部25dとからなる起立部25bが形成されている。起立部25bは、後述のように、角部フレーム板24と側面フレーム板25とが接合された状態で、起立部24bの上端と起立部25bの上端とがほぼ一致するように形成されている。
【0032】
底面フレーム板23と角部フレーム板24とは接合されている。具体的には、底面フレーム板23の底面と角部フレーム板24の底面とがほぼ一致するように、かつ、前後方向における起立部23aの外側と起立部24aの内側とが当接した状態で、溶接によって、底面フレーム板23と角部フレーム板24とが接合されている。なお、前後方向における起立部23aの外側と起立部24aの内側との間に若干の隙間をあけた状態で、底面フレーム板23と角部フレーム板24とが接合されても良い。
【0033】
本形態では、接合された起立部23aと起立部24aとによって上述の第1ガイドレール11が形成されている。すなわち、底面フレーム板23と角部フレーム板24との接合部26には、底面部7の内部に向かって曲げ起こされた起立部23aと起立部24aとによって第1ガイドレール11が形成されている。
【0034】
また、角部フレーム板24と側面フレーム板25とは接合されている。具体的には、前後方向の外側における角部フレーム板24の側面と側面フレーム板25の側面とがほぼ一致するように、かつ、起立部24bと起立部25bとが当接した状態で、溶接によって、角部フレーム板24と側面フレーム板25とが接合されている。なお、起立部24bと起立部25bとの間に若干の隙間をあけた状態で、角部フレーム板24と側面フレーム板25とが接合されても良い。
【0035】
本形態では、接合された起立部24bと起立部25bとによって上述の第2ガイドレール12が形成されている。すなわち、角部フレーム板24と側面フレーム板25との接合部27には、底面部7の内部に向かって曲げ起こされた起立部24bと起立部25bとによって第2ガイドレール12が形成されている。より具体的には、接合された垂直部24dと垂直部25dとによって第2ガイドレール12が形成されている。
【0036】
図3に示すように、第1ガイドレール11および第2ガイドレール12は、チェーン3を構成するローラ28の下面に当接している。すなわち、第1ガイドレール11および第2ガイドレール12は、チェーン3を下側から支持している。
【0037】
なお、本形態では、図1に示すように、底面部7の左右方向の端部側には、第1ガイドレール11および第2ガイドレール12が形成されていない部分がある。接合部26の、第1ガイドレール11が形成されていない部分では、起立部23aが形成されていない底面フレーム板23の端部と、起立部24aが形成されていない角部フレーム板24の端部とが当接した状態で、底面フレーム板23と角部フレーム板24とが接合されている。
【0038】
一方、図4に示すように、起立部24bが形成されていない角部フレーム板24の上端には、水平部24cとほぼ同様に、前後方向の内側に向かって曲げ起こされた水平部24eが形成され、起立部25bが形成されていない側面フレーム板25の下端には、水平部25cとほぼ同様に、前後方向の内側に向かって曲げ起こされた水平部25eが形成されている。そのため、接合部27の、第2ガイドレール12が形成されていない部分では、水平部24eと水平部25eとが当接した状態で、角部フレーム板24と側面フレーム板25とが接合されている。
【0039】
傾斜部8は、底面部7と同様に構成されている。すなわち、傾斜部8は、底面フレーム板23と、2枚の角部フレーム板24と、2枚の側面フレーム板25とを備えており、図1のF−F断面の構成は、図3に示す構成と同様になる。そのため、傾斜部8の構成の説明は省略する。
【0040】
なお、傾斜部8では、底面フレーム板23と角部フレーム板24との接合部26に、底面部7の内部に向かって曲げ起こされた起立部23a、24aによって上述の第1ガイドレール13が形成されている。また、傾斜部8では、角部フレーム板24と側面フレーム板25との接合部27に、底面部7の内部に向かって曲げ起こされた起立部24b、25bによって上述の第2ガイドレール14が形成されている。
【0041】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、底面フレーム板23と角部フレーム板24との接合部26に、フレーム4の内部に向かって曲げ起こされた起立部23a、24aによって第1ガイドレール11、13が形成されている。また、角部フレーム板24と側面フレーム板25との接合部27に、フレーム4の内部に向かって曲げ起こされた起立部24b、25bによって第2ガイドレール12、14が形成されている。
【0042】
すなわち、本形態では、第1ガイドレール11、13が底面フレーム板23、角部フレーム板24と一体で形成され、第2ガイドレール12、14が角部フレーム板24、側面フレーム板25と一体で形成されている。そのため、たとえば、レーザ加工やプレス加工等を経て精度良く起立部23a、24a、24b、25bが形成された底面フレーム板23、角部フレーム板24および側面フレーム板25を溶接で接合することで、第1ガイドレール11、13および第2ガイドレール12、14をフレーム4の内部に精度良く、かつ、容易に形成することができる。
【0043】
また、第1ガイドレール11、13が底面フレーム板23、角部フレーム板24と一体で形成され、第2ガイドレール12、14が角部フレーム板24、側面フレーム板25と一体で形成されているため、本形態のコンベア1では、部品点数を削減することができる。
【0044】
特に本形態では、2個の起立部23a、24aによって、第1ガイドレール11、13が形成され、2個の起立部24b、25bによって、第2ガイドレール12、14が形成されている。そのため、底面フレーム板23、角部フレーム板24および側面フレーム板25の厚さが薄い場合であっても、第1ガイドレール11、13および第2ガイドレール12、14の幅を厚くすることができ、前後方向でのチェーン3のがたつきを抑制することができる。また、底面フレーム板23、角部フレーム板24および側面フレーム板25の厚さが薄い場合であっても、幅の厚い第1ガイドレール11、13および第2ガイドレール12、14をフレーム4内に精度良くかつ容易に形成することができる。
【0045】
また、本形態のコンベア1では、第1ガイドレール11、13および第2ガイドレール12、14を精度良く形成することができるため、スクレーパ19を用いてフレーム4内の切削屑を確実に搬送することが可能になる。
【0046】
本形態では、角部フレーム板24の底面の一部が曲げ起こされて第1ガイドレール11、13の一部が形成されるとともに、角部フレーム板24の上端側の一部が曲げ起こされて第2ガイドレール12、14の一部が形成されている。そのため、第1ガイドレール11、13と第2ガイドレール12、14との2つのチェーン用ガイドレールがコンベア1に形成される場合であっても、フレーム4の構成を簡素化することができる。
【0047】
本形態では、底面部7と傾斜部8との境界部分に、チェーン3に上側から当接可能な略円弧状のガイド板15、16が固定されている。そのため、チェーン3が傾斜部8に沿って上面部9まで移動する場合であっても、底面部7と傾斜部8との境界部分において、チェーン3を適切に案内することができる。
【0048】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形可能である。
【0049】
上述した形態では、起立部23a、24aによって接合部26に第1ガイドレール11、13が形成されている。この他にもたとえば、角部フレーム板24に起立部24aが形成されずに、あるいは、底面フレーム板23に起立部23aが形成されずに、起立部23aまたは起立部24aのいずれか一方のみによって、接合部26に第1ガイドレール11、13が形成されても良い。また、たとえば、起立部23aと起立部24aとの間に板状部材が挟まれた状態で起立部23aと起立部24aとが接合されて、接合部26に第1ガイドレール11、13が形成されても良い。
【0050】
同様に、起立部24b、25bによって接合部27に第2ガイドレール12、14が形成されているが、側面フレーム板25に起立部25bが形成されずに、あるいは、角部フレーム板24に起立部24bが形成されずに、起立部24bまたは起立部25bのいずれか一方のみによって、接合部27に第2ガイドレール12、14が形成されても良い。また、起立部24bと起立部25bとの間に板状部材が挟まれた状態で起立部24bと起立部25bとが接合されて、接合部27に第2ガイドレール12、14が形成されても良い。
【0051】
上述した形態では、底面フレーム板23と角部フレーム板24との接合部26に第1ガイドレール11、13が形成され、角部フレーム板24と側面フレーム板25との接合部27に第2ガイドレール12、14が形成されている。この他にもたとえば、側面フレーム板25が第1側面フレーム板と第2側面フレーム板との2枚のフレーム板で構成され、第1側面フレームと角部フレーム板24との接合部に第1ガイドレールが形成されるとともに、第1側面フレームと第2側面フレームとの接合部に第2ガイドレールが形成されても良い。
【0052】
上述した形態では、切削屑を搬送するクーラントコンベアを例に本発明の実施の形態を説明しているが、本発明の構成は、クーラントコンベア以外の各種のコンベアに適用可能である。たとえば、2本のチェーン3の間に掛け渡された載置部材の上に荷物を載せて、この荷物を所定方向へ搬送するコンベアに本発明の構成を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態にかかるコンベアの概略構成を説明するための側面図である。
【図2】図1に示すコンベアの平面図である。
【図3】図1のE−E断面を示す断面図である。
【図4】図1のG部を説明するための図であり、(A)はG部の拡大平面図であり、(B)は(A)のH−H方向からG部を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 コンベア
3 チェーン
4 フレーム
7 底面部
8 傾斜部
11、13 第1ガイドレール(チェーン用ガイドレール)
12、14 第2ガイドレール(チェーン用ガイドレール)
15、16 ガイド板(ガイド部材)
23 底面フレーム板(フレーム板)
24 角部フレーム板(フレーム板)
25 側面フレーム板(フレーム板)
26、27 接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーンが収納されるフレームを構成する複数のフレーム板が接合される接合部に、上記フレームの内部に向かって上記フレーム板の一部が曲げ起こされて形成されていることを特徴とするチェーン用ガイドレール。
【請求項2】
前記接合部で接合される2枚の前記フレーム板のそれぞれの一部が曲げ起こされ、接合されて形成されていることを特徴とする請求項1記載のチェーン用ガイドレール。
【請求項3】
請求項1または2記載のチェーン用ガイドレールが形成される前記フレームと、前記チェーン用ガイドレールによって案内されるチェーンとを備えることを特徴とするコンベア。
【請求項4】
前記チェーン用ガイドレールとして、一方向へ向かう前記チェーンを案内する第1ガイドレールと、他方向へ向かう前記チェーンを案内する第2ガイドレールとを備え、
前記フレームは、略直方体の箱状に形成されるとともに、前記フレームの底面の一部を構成する底面フレーム板と、略直角に折り曲げられ前記フレームの底面の一部および側面の一部を構成する角部フレーム板と、前記フレームの側面の一部を構成する側面フレーム板とを備え、
上記底面フレーム板と上記角部フレーム板との前記接合部に上記角部フレーム板の一部が曲げ起こされて上記第1ガイドレールの少なくとも一部が形成されるとともに、上記角部フレーム板と上記側面フレームとの前記接合部に上記角部フレーム板の一部が曲げ起こされて上記第2ガイドレールの少なくとも一部が形成されていることを特徴とする請求項3記載のコンベア。
【請求項5】
前記フレームの少なくとも一部が工作機械の下方に配置されるとともに、上記工作機械で生じる切削屑を搬送することを特徴とする請求項3または4記載のコンベア。
【請求項6】
前記フレームは、前記工作機械の下方に配置される底面部および上記底面部の一端側から斜め上方に向かって傾斜する傾斜部を備え、
前記チェーン用ガイドレールとして、上記底面部および上記傾斜部に配置され一方向へ向かう前記チェーンを下側から支持する第1ガイドレールと、上記底面部および上記傾斜部に配置され他方向へ向かう前記チェーンを下側から支持する第2ガイドレールとを備えるとともに、
上記底面部と上記傾斜部との境界部分に、前記チェーンに上側から当接可能な略円弧状または略扇形状のガイド部材を備えることを特徴とする請求項5記載のコンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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