説明

チオフェン化合物単量体の製造方法

【課題】分子設計の自由度が高く、不必要な副反応化合物を簡単に取り除き、高収率、省エネルギーで且つ容易に導電性高分子原料となるチオフェン化合物単量体を製造する方法を提供する。
【解決手段】3,4−ジアルコキシチオフェンと、ジオール化合物またはジチオール化合物またはチオール基および水酸基を有する化合物と、アルコール除去剤とを含んでなる混合物を脱アルコール反応させることを特徴とする製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性高分子原料となるチオフェン化合物単量体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
π共役ポリマーの化合物群は、ここ数十年で、光・電子機能性高分子である電導性高分子の応用として活発に進められている。PCや携帯電話のコンポーネント部品であるアルミやタンタル固体電解コンデンサの固体電解質をはじめELのホール注入層、半導体用チャージアップ防止剤、金属の防錆剤、帯電・静電防止剤、電磁波シールド剤、エレクトロクロミック素子など多方面に渡って利用が拡大している。
知られているπ共役ポリマーとしては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニリンおよびポリ(p−フェニレンビニレン)である。
特に重要で工業的に使用されているポリチオフェンは、ポリ−3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン系化合物である。
これまで、そのモノマーとなるチオフェン化合物の製造方法が述べられている。
例えば、特許文献1および2においては、3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボン酸エステルのアルカリ金属塩を適当なアルキルハロゲン化物又はアルキレンジハロゲン化物と反応させ、次いで遊離の3,4−ジアルコキシ−又は(アルキレン−1,2−ジオキシ)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸を脱カルボン酸することによる製造方法が述べられている。出発原料から目的化合物までの工程が、煩雑であるために製造コストが高くなる傾向がある。
また、特許文献3において、出発原料をジアルコキシチオフェンとジオール化合物とのエーテル交換反応の原理により目的化合物を製造できる。この製造方法では、副反応化合物としてアルコールが生成してくる。この副反応化合物であるアルコールを反応系から除去しなければ、反応阻害を起こし、目的化合物を得ることが困難となる。
これを防ぐ方法として、還流下で溶媒との共沸で取り除き、取り除いた量の溶媒を添加することで反応を促進させる方法や、アルコールと溶解する塩化カルシウムを使用する方法が挙げれる。しかし、塩化カルシウムではアルコールに溶解するために液体状になるので反応系に不純物として混入されやすい傾向がある。そして、反応が阻害されることや、より副反応物が生成されると推測される。また、溶媒との共沸で取り出す方法では、溶媒の使用が多量となり、コストがかかり工業的には効率のよい製造方法とはいえない。
不必要な副反応化合物を簡単に取り除き、省エネルギーで目的化合物を製造する方法が求められている。

【特許文献1】US patent No.4910645号公報
【特許文献2】US patent No.4959430号公報
【特許文献3】特開2005−39276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、分子設計の自由度が高く、不必要な副反応化合物を簡単に取り除き、高収率、省エネルギーで且つ容易に導電性高分子原料となるチオフェン化合物単量体を製造する方法を提供することである。

【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、下記一般式[1]で表されるチオフェン化合物の製造方法であって、3,4−ジアルコキシチオフェンと、ジオール化合物またはジチオール化合物またはチオール基および水酸基を有する化合物と、アルコール除去剤とを含んでなる混合物を脱アルコール反応させることを特徴とする製造方法に関する。
一般式[1]
【化1】




[式中、X1およびX2は、それぞれ独立に、酸素原子または硫黄原子を表す。Aは、置換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは未置換のアリーレン基、置換もしくは未置換のヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせを表す。]
【0005】
本発明は、アルコール除去剤が、モレキュラシーブスおよび/またはシリカゲルである上記製造方法に関する。
【0006】
本発明は、更に、混合物が、酸触媒を含むことを特徴とする上記製造法方法に関する。

【発明の効果】
【0007】
本発明の一般式[1]で表されるチオフェン化合物の製造方法は、3,4−ジアルコキシチオフェンと、ジオール化合物またはジチオール化合物またはチオール基および水酸基を有する化合物と、アルコール除去剤とを含んでなる混合物を脱アルコール反応させることを特徴とするものである。3,4−ジアルコキシチオフェンと、ジオール化合物またはジチオール化合物またはチオール基および水酸基を有する化合物との反応は、エーテル交換反応(脱アルコール反応)の原理に基づくものである。前記エーテル交換反応(脱アルコール反応)は、反応系内にアルコール副生成物を発生し、反応を阻害するので反応系内から除去する必要がある。このために、アルコール除去剤を用いることで反応を促進させることができるので、分子設計の自由度が高く、不必要な副反応化合物を簡単に取り除き、高収率、省エネルギーで且つ容易に製造できるという顕著な効果を奏する。
また、さらに好ましくは、前記混合物が酸触媒を含むことを特徴とするものであり、さらに、分子設計の自由度が高く、不必要な副反応化合物を簡単に取り除き、高収率、省エネルギーで且つ容易に製造できるという顕著な効果を奏する。
また、さらに好ましくは、前記混合物を加熱処理をすることを特徴とするものであり、さらに、分子設計の自由度が高く、不必要な副反応化合物を簡単に取り除き、高収率、省エネルギーで且つ容易に製造できるという顕著な効果を奏する。

【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
まず、本発明で用いられる一般式[1]について説明する。式中X1およびX2は、それぞれ独立に、酸素原子または硫黄原子を表す。Aは、置換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは未置換のアリーレン基、置換もしくは未置換のヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせを表す。
【0009】
本発明における置換もしくは未置換のアルキレン基としては、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、2−エチルヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、イソオクチレン基、ステアリレン基、トリクロロメチレン基、シクロヘキシレン基などが挙げられ、これらの基に置換基を有しても良い。
【0010】
本発明における置換もしくは未置換アリーレン基としては、好ましくは炭素数6〜60の単環または縮合環のアリーレン基であり、より好ましくは炭素数6〜40、更に好ましくは炭素数6〜30のアリーレン基である。具体例としてはフェニレン、ビフェニレン、ナフタレンジイル、アントラセンジイル、フェナントロリンジイル、ピレンジイル、トリフェニレンジイル、ベンゾフェナントロリンジイル、ペリレンジイル、ペンタフェニレンジイル、ペンタセンジイルなどが挙げられ、これらの基に置換基を有しても良い。
【0011】
本発明における置換もしくは未置換のヘテロアリーレン基とは、好ましくは炭素数4ないし60の単環または縮合環の芳香族ヘテロ環基であり、より好ましくは窒素原子、酸素原子または硫黄原子の少なくとも一つを含有する炭素数4ないし60の単環または縮合環の芳香族ヘテロ環基であり、更に好ましくは炭素数4ないし30の5員または6員の芳香族ヘテロ環基である。芳香族ヘテロ環基の具体例としては、ピロールジイル、フランジイル、チエニレン、ピリジンジイル、ピリダジンジイル、ピリミジンジイル、ピラジンジイル、キノリンジイル、イソキノリンジイル、シンノリンジイル、キナゾリンジイル、キノキサリンジイル、フタラジンジイル、プテリジンジイル、アクリジンジイル、フェナジンジイル、フェナントロリンジイルなどが挙げられ、これらの基に置換基を有しても良い。
【0012】
本発明におけるジアルコキシチオフェンとは、例えば、ジメトキシチオフェン、ジエトキシチオフェン、ジ−n−プロポキシチオフェン、ジ−iso−プロポキシチオフェン、ジ−n−ブトキシチオフェン、ジ−iso−ブトキシチオフェン、ジ−t−ブトキシチオフェンが挙げられる。好ましくは、ジメトキシチオフェン、ジエトキシチオフェン、ジ−t−ブトキシチオフェンである。
【0013】
本発明における脱アルコールされるアルコールは、出発原料であるジアルコシキチオフェンのアルコキシ基にエーテル交換反応によって発生するアルコールである。
【0014】
本発明におけるアルコール除去剤としては、モレキュラシーブズ4A、モレキュラシーブス5A、シリカゲルが挙げれる。これらは、市販品を用いてもよい。さらに、アルコール除去剤は、溶剤などによって溶解や破壊されないことが好ましい。
さらに、脱アルコール反応で生じるメタノールおよびエタノールを除去するには、モレキュラシーブス4Aが、プロパノールおよびブタノールを除去するにはモレキュラシーブス5Aが好ましい。メタノールおよびエタノールの分子径が4×10−4(4A)以下であり、プロパノールおよびブタノールの分子径が5×10−10(5A)以下であるので、これらのアルコールがモレキュラシーブスの細孔内に浸入し吸着される易い傾向にある。また、本発明のジアルコキシチオフェンの分子径は、5×10−10m(5A)よりも大きいのでのモレキュラシーブスに吸着されにくい傾向にある。
シリカゲルにおいては、シラノール基が前記アルコールと相互作用するので、いずれのアルコール吸着される。このときの反応溶媒は、親水性溶媒でないことが好ましい。親水性溶媒であるとシリカゲルに吸着されたアルコールが溶出されるためである。また、前記シラノール基は、酸触媒としての作用も兼ね備えているので、他の酸触媒を添加しなくてもよい。更に、触媒効果を向上させるために他の酸触媒を加えてもよい。
【0015】
本発明における酸触媒としては、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等のスルホン酸類、硫酸、塩酸等の鉱酸、トリフルオロメチル硫酸、トリフルオロメチル酢酸、ルイス酸等が用いられる。その他、テトラブチルジルコネート、テトライソプロピルチタネート等の金属錯体、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等のアルカリ、アルカリ土類金属の酸化物、金属塩触媒等、固体酸も用いられる。また、このような条件下で反応物が着色することがあるため、還元剤である次亜リン酸、トリフェニルホスファイト、トリフェニルホスフェート等を併用することもある。
【0016】
酸触媒の添加量としては、前記3,4−ジアルコキシチオフェン1molに対して、1.5mol%未満である。
【0017】
ジオール化合物またはジチオールまたはチオール基および水酸基を有する化合物の添加量としては、前記3,4−ジアルコキシチオフェン1molに対して、等量モル〜2倍等量モルである。より好ましくは、1.1倍等量〜1.5倍等量モルである。
【0018】
本発明におけるアルコール除去剤の使用量としては、3,4−ジアルコールチオフェン100重量部に対してかさ体積10cm〜2000cmである。
【0019】
本発明におけるエーテル交換反応に使用される溶剤としては、この反応を阻害しないものであればいずれのものでも使用できる。例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼンなどの芳香族系溶剤、メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の飽和脂肪族系溶剤、テトラヒドロフラン、メチルセルソルブアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、スルホラン、メチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0020】
本発明におけるジオール化合物としては、水酸基を2個以上有した炭化水素化合物であればよい。
例えば、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ヘキシルジオール、2,3−ヘキシルジオール、2,5−ヘキシルジオール、2,3−ヘキシルジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、
3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオール、2,2‘−チオジエタノール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−デカンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2’(p-トリルイミノ)ジエタノール、ペンタエリスリトール、ビス(メルカプト酢酸)−1,4−ブタンジオール、ビス(3−メルカプトプロピオン酸)エチレングリコール、ビス(3−メルカプト酢酸)−1,4−ブタンジオール、酒石酸、
1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、
2−ブテン−1,4−ジオール、2,2’−チオジエタノール、3,4−ジヒドロキシ−3−シクロブテン-1,2−ジオン、4,5−ジヒドロキシ−4−シクロペンテン−1,2,3−トリオン、2,2‘−ジヒドロキシジエチルアミン、などの脂肪族系化合物または置換基含有脂肪族系化合物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。前記置換基としては、ハロゲン基、フェニル基、アルコキシル基、アミノ基、水酸基、N−オキシド基、フェニルオキシド基、アミノ基、ヒドラジル基、フェルダジル基、ニトロ基、ニトロソ基、水酸基、燐酸基、ジスルフィド基、メルカプタン基、アミド基、イミド基、イソシアネート基、ビニル基、(メタ)アクロリル基、シアノ基、カルボン酸、アルデヒド基、炭化水素基が挙げられる。炭化水素基は鎖状であっても、環状であってもよく、環状炭化水素は脂肪族系でも芳香族系でもよく、さらには単環であっても、多環であっても、またヘテロ環であってもよい。また炭化水素基は置換基を含んでいてもよい。
【0021】
例えば、テトラフルオロ−1,2−ジオール、ジヒドロキシアセトン、2,3−ジヒドロキシ−1−ブテン、
2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1,8−オクタンジオール、
パーフルオロ−1,4−ブタンジオール、パーフルオロ−1,6−ヘキサンジオール、パーフルオロ−などのパーフルオロ化合物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
例えば、2,2’−ジヒドロキシ−4,4‘−ジメトキシベンゾフェノン、2,3−ジヒドロキシジフェイルスルホン、3,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、カテコール、4−t−ブチルカテコール、1,2−ナフタレンジオール、2,3−ナフタレンジオール、2,3−ナフタレンジメタノール、2,3−ナフタレンジエタノール、2,3−ジヒドロキシビフェニル、1,2−ヒドロキシアントラキノン、2,3−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、1,2−ジヒドロキシ−3,5−ベンゼンスルホン酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシベンゾニトリル、3,4−ジヒオロキシベンゾフェノン、3,4−ジヒドロキシベンジルアミン、3,4−ジヒドロキシけい皮酸、、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸、1,2−ジヒドロキシ−4−ニトロベンゼン、3,4−ジヒドロキシフェネチルアミン、3,4−ジヒドロキシフェニル酢酸、3’,4’−ジヒドロキシプロピオフェノン、2’,4’−ジヒドロキシ−3’−プロピルアセトフェノン、3,4−ジヒドロキシトルエンなどのアリーレン系化合物または置換含有アリーレン系化合物、前記置換基としては前述の置換基が挙げられる。
例えば、2,3−ジヒドロキシピリジン、3,4−ジヒドロキシチオフェン、3,4−ジヒドロキシピロール、2,3−ジヒドロキシキノキサリンなどのヘテロアリーレン系化合物または置換基含有ヘテロアリーレン系化合物、前記置換基としては前述の置換基が挙げられる。
【0022】
本発明におけるジチオール化合物としては、チオールを2個以上有する炭化水素であればよい。
例えば、1,2−エタンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,9−ノナンジチオール、3−プロパンジチオール、1,4−ジメルカプトブタン、2,3−ジメルカプト−1−プロパンスルホン酸塩
例えば、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,2−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,2−ペンタンジチオール、1,3−ペンタンジチオール、1,4−ペンタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、2,3−ペンタンジちオール、2,4−ペンタンジチオール、1,2−ヘキサンジチオール、1,3−ヘキサンジチオール、1,4−ヘキサンジチオール、1,5−ヘキサンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、2,3−ヘキシルジチオール、2,3−ヘキシルジチオール、2,5−ヘキシルジチオール、2,3−ヘキシルジチオール、2−ブテン−1,4−ジチオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジチオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジチオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジチオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジチオール、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジチオール、2,2‘−チオジエタノール、1,10−デカンジチオール、1,12−ドデカンジチオール、1,2−デカンジチオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジチオール、2,2’(p-トリルイミノ)ジエチルチオール、ビス(メルカプト酢酸)−1,4−ブタンジチオール、ビス(3−メルカプトプロピオン酸)エチレンチオグリコール、ペンタエリスリチオトール、ビス(3−メルカプト酢酸)−1,4−ブタンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、1,3−シクロヘキサンジチオール、1,4−シクロヘキサンチジオール、2−ブテン−1,4−ジチオール、2,2’−チオジエチルチオール、3,4−ジメルカプト−3−シクロブテン-1,2−ジオン、4,5−ジメルカプト−4−シクロペンテン−1,2,3−トリオン、2,2‘−ジメルカプトジエチルアミン、などの脂肪族系化合物または置換基含有脂肪族系化合物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。前記置換基としては前述の置換基が挙げられる。
例えば、テトラフルオロ−1,2−ジチオール、ジヒドロキシアセトン、2,3−ジメルカルト−1−ブテン、
2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1,8−オクタンジチオール、パーフルオロ−1,4−ブタンジチオール、パーフルオロ−1,6−ヘキサンジチオールなどのパーフルオロ化合物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
例えば、2,2’−ジメルカプト−4,4‘−ジメトキシベンゾフェノン、2,3−ジメルカプトジフェニルスルホン、3,4−ジメルカプトジフェニルスルホン、1,2-ベンゼンジチオール、4−t−ブチルベンゼン−1,2−ジチオール、1,2−ナフタレンジチオール、2,3−ナフタレンジチオール、2,3−ナフタレンジメタチオール、2,3−ナフタレンジエタチオール、2,3−ジメルカプトビフェニル、1,2−ジメルカプトアントラキノン、2,3−ジメルカプトベンズアルデヒド、3,4−ジメルカプトベンズアルデヒド、1,2−ジメルカプト−3,5−ベンゼンスルホン酸、2,3−ジメルカプト安息香酸、3,4−ジメルカプト安息香酸、3,4−ジヒドロキシベンゾニトリル、3,4−ジヒオロキシベンゾフェノン、3,4−ジヒドロキシベンジルアミン、3,4−ジメルカプトけい皮酸、2,3−ジメルカプトナフタレン−6−スルホン酸、1,2−ジメルカプト−4−ニトロベンゼン、3,4−ジメルカプトフェネチルアミン、3,4−ジメルカプトフェニル酢酸、3’,4’−ジメルカプトプロピオフェノン、2’,4’−ジメルカプト−3’−プロピルアセトフェノン、3,4−ジメルカプトトルエンなどのアリーレン系化合物または置換含有アリーレン系化合物、前記置換基としては前述の置換基が挙げられる。
例えば、2,3−ジメルカプトピリジン、3,4−ジメルカプトチオフェン、3,4−ジメルカプトピロール、2,3−ジメルカプトキノキサリンなどのヘテロアリーレン系化合物または置換基含有ヘテロアリーレン系化合物、前記置換基としては前述の置換基が挙げられる。
【0023】
本発明におけるチオール基および水酸基を有する化合物としては、
例えば、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ブタンジオール、2−メルカプトエタノール、10−メルカプト−1−デカノール、9−メルカプト−1−ノナノール、3−プロパンジチオール、4−メルカプト−1−ブタノール、2−ヒドロキシ−3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸塩、1,2−メルカプト−1−プロパノール、1,3−メルカプト−1−プロパノール、2−メルカプト−1−ブタノール、3−メルカプト−2−ブタノール、3−メルカプト−1−ブタノール、4−メルカプト−1−ブタノール、2−メルカプト−1−ペンタノール、3−メルカプト−1−ペンタノール、4−メルカプトペンタノール、5−メルカプト−1−ペンタノール、3−メルカプト−2−ペンタノール、4−メルカプト−2−ペンタノール、2−メルカプト−1−ヘキサノール、3−メルカプト−1−ヘキサノール、4−メルカプト−1−ヘキサノール、5−メルカプト−1−ヘキサノール、6−メルカプト−1−ヘキサンノール、3−メルカプト−2−ヘキシルノール、3−メルカプト−2−ヘキシサノール、5−メルカプト−2−ヘキサノール、3−メルカプト−2−ヘキサノール、3,3−ジメチル−2−メルカプト−1−ブタノール、3−ジメチル−2,3−メルカプト−2−ブタノール、2,2−ジメチル−3−メルカプト―1−プロパノール、2,6−ジメチル−3,5−メルカプタン−3−ヘプタノール、メルカプトエチルチオエタノール、10−メルカプト−1−デカノール、1,12−メルカプト−1−ドデカノール、2−メルカプト−1−デカノール、2,2,4−トリメチル−3−メルカプト−1−ペンタノール、2,2’(p-トリルイミノ)エチルチオールエタノール、ビス(メルカプト酢酸)−4−メルカプト−1−ブタノール、ビス(3−メルカプト酢酸)−1,4−メルカプト−1−ブタノール、2−メルカプトシクロヘキサノール、3−メルカプトシクロヘキサノール、4−メルカプトシクロヘキサノール、2−ブテノール−4−チオール、3−ヒドロキシ−4−メルカプト−3−シクロブテン-1,2−ジオンなどの脂肪族系化合物または置換基含有脂肪族系化合物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。前記置換基としては前述の置換基が挙げられる。
例えば、2−ヒドロキシ−2’−メルカプト−4,4‘−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−3−メルカプトジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−3−メルカプトジフェニルスルホン、2−メルカプトフェノール、2−ヒドロキシメチル−3−メルカプトメチルナフタレン、2−ヒドロキシエチル−3−メルカプトエチルナフタレン、2−ヒドロキシ−3−メルカプトビフェニル、1−ヒドロキシ−2−メルカプトアントラキノン、2−ヒドロキシ−3−メルカプトベンズアルデヒド、4−ヒドロキシ−3−メルカプトトルエンなどのアリーレン系化合物または置換含有アリーレン系化合物、前記置換基としては前述の置換基が挙げられる。
例えば、2−ヒドロキシ−3−メルカプトピリジン、3−ヒドロキシ−4−メルカプトチオフェン、3-ヒドロキシ−4−メルカプトピロール、2−ヒドロキシ−3−メルカプトキノキサリンなどのヘテロアリーレン系化合物または置換基含有ヘテロアリーレン系化合物、前記置換基としては前述の置換基が挙げられる。

【0024】
本発明におけるアルコール除去剤の使用法としては、反応容器内に他の原料と一緒に仕込む方法、溶媒を還流させ、前記溶媒を反応容器内に戻す前に、アルコール除去剤で処理する方法、例えば、ディーンスターク装置、ソックスレー装置、還流管中に直接に充填する方法、金属製または高分子ポリマーなどの網に充填して、反応容器内に設置しておくなどが挙げられるがこれらに限定するものはない。
【0025】
本発明における加熱処理温度としては、好ましくは40℃〜250℃である。40℃未満ではエーテル交換反応は生じるが反応が終了するまでに時間がかかりすぎ、250℃をこえると原料が蒸留される可能性があるために反応が不十分となるためである。


【実施例】
【0026】

以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、この例示により本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0027】

(実施例1)
500ml四つ口フラスコ中に、3,4−ジメトキシチオフェン9.0重量部とジメチルプロパンジオール7.8重量部、トルエン220ml、p−トルエンスルホン酸一水和物0.18重量部とモレキュラーシーブ4A 1/8 嵩体積で20mlを加え、窒素雰囲気下で撹拌しながら、溶液温度が105℃になるまで加熱した。続けて、5時間加熱した。反応は、シリカゲル薄層クロマトグラフィーで確認し、完了した。反応溶液を室温まで冷却した。エバポレータで溶媒を留去し、シリカゲルカラム(展開溶媒:ジクロロメタン/n−ヘキサン=2/3vol/vol)で精製した。
溶媒を留去して、真空乾燥機で室温で5時間乾燥した。収量11.1重量部(収率95.7%)、水分700ppm以下であった。

(実施例2)
500ml四つ口フラスコ中に、3,4−ジメトキシチオフェン9重量部とジメチルプロパンジオール7.8重量部、キシレン250ml、p−トルエンスルホン酸一水和物0.18重量部とモレキュラーシーブ4A 1/8 嵩体積で20mlを加え、窒素雰囲気下で撹拌しながら、溶液温度が130℃になるまで加熱した。続けて、3時間加熱した。反応は、シリカゲル薄層クロマトグラフィーで確認し、完了した。反応溶液は、室温まで冷却した。エバポレータで溶媒を留去し、シリカゲルカラム(展開溶媒:ジクロロメタン/n−ヘキサン=2/3vol/vol)で精製した。
溶媒を留去して、真空乾燥機で室温で5時間乾燥した。収量10.9重量部(収率94.0%)、水分700ppm以下であった。
(実施例3)
500ml四つ口フラスコ中に、3,4−ジメトキシチオフェン9重量部とジメチルプロパンジオール7.8重量部、キシレン250ml、p−トルエンスルホン酸一水和物0.18重量部とシリカゲル嵩体積で10mlを加え、窒素雰囲気下で撹拌しながら、溶液温度が130℃になるまで加熱した。続けて、3時間加熱した。反応は、シリカゲル薄層クロマトグラフィーで確認し、完了した。反応溶液は、室温まで冷却した。エバポレータで溶媒を留去し、シリカゲルカラム(展開溶媒:ジクロロメタン/n−ヘキサン=2/3vol/vol)で精製した。
溶媒を留去して、真空乾燥機で室温で5時間乾燥した。収量10.0重量部(収率93.1%)、水分700ppm以下であった。
(実施例4)
500ml四つ口フラスコ中に、3,4−ジメトキシチオフェン9.0重量部と2,2−ジメチル−3−メルカプト−1−プロパノール9.1重量部、トルエン220ml、p−トルエンスルホン酸一水和物0.18重量部とモレキュラーシーブ4A 1/8 嵩体積で20mlを加え、窒素雰囲気下で撹拌しながら、溶液温度が105℃になるまで加熱した。続けて、3.5時間加熱した。反応は、シリカゲル薄層クロマトグラフィーで確認し、完了した。反応溶液を室温まで冷却した。エバポレータで溶媒を留去し、シリカゲルカラム(展開溶媒:ジクロロメタン/n−ヘキサン=2/3vol/vol)で精製した。
溶媒を留去して、真空乾燥機で室温で5時間乾燥した。収量11.4重量部(収率90.3%)、水分700ppm以下であった。

(比較例1)
500mlのディーンスターク抽出装置中に、3,4−ジメトキシチオフェン9.0重量部とジメチルプロパンジオール7.8重量部、トルエン220ml、p−トルエンスルホン酸一水和物0.18重量部とを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、還流下7時間加熱した。このとき、トルエンおよび発生したメタノールを連続的に除去し、新たなトルエンにより置き換えた。合計、トルエンを200ml取り出し、トルエンを200mlを加えた。反応は、シリカゲル薄層クロマトグラフィーで確認し、完了した。反応溶液を室温まで冷却した。エバポレータで溶媒を留去し、シリカゲルカラム(展開溶媒:ジクロロメタン/n−ヘキサン=2/3vol/vol)で精製した。
溶媒を留去して、真空乾燥機で室温で5時間乾燥した。収量7.5重量部(収率64.7%)、水分700ppm以下であった。
(比較例2)
500mlのディーンスターク装置中に、3,4−ジメトキシチオフェン9.0重量部と2,2−ジメチル−3−メルカプト−1−プロパノール9.1重量部、トルエン220ml、p−トルエンスルホン酸一水和物0.18重量部とを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、還流下6.5時間加熱した。このとき、トルエンおよび発生したメタノールを連続的に除去し、新たなトルエンにより置き換えた。合計、トルエンを210ml取り出し、トルエンを210mlを加えた。反応は、シリカゲル薄層クロマトグラフィーで確認し、完了した。反応溶液を室温まで冷却した。エバポレータで溶媒を留去し、シリカゲルカラム(展開溶媒:ジクロロメタン/n−ヘキサン=2/3vol/vol)で精製した。
溶媒を留去して、真空乾燥機で室温で5時間乾燥した。収量6.5重量部(収率51.5%)、水分700ppm以下であった。


【0028】
【表1】

【0029】
表1から、実施例1〜4は従来の方法比較例1及び2に比べて、収率で約1.5倍、反応時間で約57%へ短縮できた。このように、分子設計の自由度が高く、高収率で、従来に比べて、反応時間が短くうえ、無駄な溶媒消費量も非常に少ない、省エネルギーで、且つ容易に導電性高分子原料となるチオフェン化合物単量体を製造することができる。

【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の3,4−ジアルコキシチオフェンと、ジオール化合物またはジチオール化合物またはチオール基および水酸基を有する化合物と、アルコール副生成物を除去するためのアルコール除去剤とを含有することを特徴とする製造方法であり、分子設計の自由度が高く、不必要な副反応化合物を簡単に取り除き、高収率、省エネルギーで且つ容易に導電性高分子原料となるチオフェン化合物単量体を製造できるという顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値が高い。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式[1]で表されるチオフェン化合物の製造方法であって、3,4−ジアルコキシチオフェンと、ジオール化合物またはジチオール化合物またはチオール基および水酸基を有する化合物と、アルコール除去剤とを含んでなる混合物を脱アルコール反応させることを特徴とする製造方法。
一般式[1]
【化1】



[式中、X1およびX2は、それぞれ独立に、酸素原子または硫黄原子を表す。Aは、置換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは未置換のアリーレン基、置換もしくは未置換のヘテロアリーレン基、またはこれらの組み合わせを表す。]
【請求項2】
アルコール除去剤が、モレキュラシーブスおよび/またはシリカゲルである請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
更に、混合物が、酸触媒を含むことを特徴とする請求項1また2記載の製造法方法。




【公開番号】特開2007−217355(P2007−217355A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−40409(P2006−40409)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】