説明

チャンネルブラシ及びブラシロール

【課題】耐久性を向上させると共に、ブラシ片の折れを抑制できるチャンネルブラシ及びチャンネルブラシを外装したブラシロールを提供する。
【解決手段】横断面が略U字形状となる長尺のチャンネル10の内部11に芯線30を配置し、ブラシ片20を芯線30とチャンネル10との間に挟んでチャンネル10に植え込むようにしたチャンネルブラシ1において、ブラシ片20を硬質樹脂によって形成し、チャンネルの口縁部12とブラシ片20との間に、不織布40を介在させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、横断面が略U字形状となる長尺のチャンネルの内部に芯線を配置し、ブラシ片を前記芯線と前記チャンネルとの間に挟んで該チャンネルに植え込むようにしたチャンネルブラシ及び該チャンネルブラシを外装したブラシロールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、金属帯板を折曲して形成させた長尺チャンネル内に、液状接着性組成物を注入した上で、芯線を添わせた毛材の束を該長尺チャンネル内に押し込んで形成したチャンネルブラシが開示されている。特許文献1のチャンネルブラシでは、毛材束を長尺チャンネル内に押し込むことにより、毛材に押しやられて前記チャンネル内を上昇した接着性組成物は、その一部がチャンネル内壁面に付着すると共に、その幾分かが毛材束に浸透する。
【0003】
さらに、接着性組成物の内の残る幾分かは、前記長尺チャンネルの口縁部から漏れ出ると共に、該長尺チャンネルの外に突出している毛材束の根元部分も被覆する。このため、毛材束と、長尺チャンネルの口縁部との間に、合成樹脂系の適度のクッション性及び強靱性を備えた接着性組成物の固化層を介在させた状態になる。これにより、前記チャンネルブラシをシャフトへ螺旋状に巻き付けたブラシロールを過酷な条件下で使用しても、毛材が長尺チャンネルの口縁部に擦られて摩擦損傷を受ける恐れが著しく少なくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−38255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のチャンネルブラシが過酷な条件下で使用される場合があることを考慮して、該チャンネルブラシの寿命を長くするために、毛材束を構成するブラシ片を硬質樹脂で形成し、ブラシ片の摩耗を少なくして耐久性を向上させることが考えられる。
【0006】
しかしながら、ブラシ片を硬質樹脂で形成することにより、ブラシ片の耐久性を向上させることはできても、硬質樹脂のブラシ片は伸長回復性に劣るものであった。このため、例えば、硬質樹脂のブラシ片を有するチャンネルブラシを用いてブラシロールを形成するために、該チャンネルブラシを円筒状の回転体の外周に巻き付ける際に、芯線が該回転体の中心に向けて引き寄せられると同時に、前記長尺チャンネルの口縁部が狭まるときに、該口縁部のエッジに、毛折れが発生し易い状態でブラシ片が繰り返して当たることがある。この場合には、口縁部のエッジが、ブラシ片の折れを誘発してしまうことが懸念されている。
【0007】
この発明は、このような状況に鑑み提案されたものであって、耐久性を向上させると共に、ブラシ片の折れを抑制できるチャンネルブラシ及び該チャンネルブラシを外装したブラシロールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明に係るチャンネルブラシは、横断面が略U字形状となる長尺のチャンネルの内部に芯線を配置し、ブラシ片を前記芯線と前記チャンネルとの間に挟んで該チャンネルに植え込むようにしたチャンネルブラシにおいて、前記ブラシ片を硬質樹脂によって形成し、前記チャンネルの口縁部と前記ブラシ片との間に、不織布を介在させたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記硬質樹脂は、ポリエステル系樹脂であることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明に係るブラシロールは、横断面が略U字形状となる長尺のチャンネルの内部に芯線を配置し、ブラシ片を前記芯線と前記チャンネルとの間に挟んで該チャンネルに植え込むようにしたチャンネルブラシを、円筒状の回転体の外周に外装して形成したブラシロールにおいて、前記チャンネルブラシは、前記ブラシ片が硬質樹脂によって形成され、前記チャンネルの口縁部と前記ブラシ片との間に、不織布を介在させたものであることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3において、前記チャンネルブラシを、山部と谷部が所定の間隔で連続する波形に屈曲させると共に無端環状にして波形環状チャンネルブラシを形成し、複数の前記波形環状チャンネルブラシを、前記回転体の軸線方向において隣接する各波形環状チャンネルの前記山部同士及び前記谷部同士が対面するように前記円筒体の外周に装着させたことを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項3又は4において、前記硬質樹脂は、ポリエステル系樹脂であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明に係るチャンネルブラシによれば、ブラシ片が耐摩耗性に優れることになり、ブラシ片の耐久性を向上させることができる。
加えて、不織布を、その柔軟性を利用して、加工性に優れた緩衝材として働かせることができる。これにより、口縁部のエッジからブラシ片に与えられるストレスを軽減し、該エッジがブラシ片の折れを誘発することを抑制できる。
さらに、不織布は安価であるため、本チャンネルブラシが、経済性にも優れたものになる。
請求項2の発明によれば、ブラシ片は、ポリエステル系樹脂の性質を利用して、耐摩耗性に加えて、耐薬品性、耐水性及び耐湯性に優れたものになる。
請求項3の発明に係るブラシロールによれば、ブラシ片が耐摩耗性に優れることになり、ブラシロールのブラシ片の耐久性を向上させることができる。
加えて、不織布を、その柔軟性を利用して、加工性に優れた緩衝材として働かせることができる。これにより、口縁部のエッジからブラシ片に与えられるストレスを軽減し、該エッジがブラシ片の折れを誘発することを抑制できる。
さらに、不織布は安価であるため、前記チャンネルブラシを外装したブラシロールが、経済性にも優れたものになる。
請求項4の発明によれば、硬質樹脂のブラシ片を有する各波形環状チャンネルブラシは、波形に屈曲した凹凸構造となり、円筒状の回転体の軸線方向において前記山部同士及び前記谷部同士を対面させた場合には、該回転体の外周に、長尺のチャンネルを有するチャンネルブラシを、螺旋状に巻き付けて前記軸線方向において密着させる場合に比べて、該外周に装着する波形環状チャンブラシの数を少なくすることができる。
このため、外周に装着する波形環状チャンブラシの数を少なくしても硬質樹脂のブラシ片によって、洗浄能力を確保することで、効率性に優れたブラシロールを提供できる。
請求項5の発明によれば、ブラシロールのブラシ片は、ポリエステル系樹脂の性質を利用して、耐摩耗性に加えて、耐薬品性、耐水性及び耐湯性に優れたものになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態のチャンネルブラシの斜視図である。
【図2】(a)図は、同チャンネルブラシを構成する長尺チャンネルの溝内に芯線と共に不織布及びブラシ片を押し込んだ状態を示す横断面図、(b)図は、同チャンネルブラシのブラシ片が不織布を介在させた状態で口縁部と芯線との間に挟着された状態を示す横断面図である。
【図3】本発明の実施形態1のブラシロールを主ブラシとして使用する路面清掃車の側面図である。
【図4】(a)図は同ブラシロールの正面図、(b)図は同ブラシロールの要部断面図である。
【図5】本発明の実施形態2における波形環状チャンネルブラシの概略図である。
【図6】本発明の実施形態2のブラシロールの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を、図1ないし図4を参照しつつ説明する。図1及び図2に示すチャンネルブラシ1は、長尺チャンネル10と、ブラシ片20と、芯線30と、不織布40とを備えている。
【0016】
長尺チャンネル10は、金属帯板を折り曲げて、該長尺チャンネル10の横断面が略U字形状となるように形成されている。ここでは、金属帯板として、アルミ合金やステンレス鋼等の帯鋼を用いた。ブラシ片20は、チャンネルブラシ1の毛材束を構成し、図2の(b)図に示すように、芯線30をあてがった状態で2つ折りにされて、長尺チャンネル10の溝11内に植え込まれている。本実施形態では、ブラシ片20を、硬質の樹脂であるポリエステル系樹脂によって形成した。ポリエステル系樹脂としては、特に、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂を用いることが好ましい。芯線30は、金属製のものとした。
【0017】
不織布40は、2つ折りにされたブラシ片20の外周に添わせた状態で、長尺チャンネル10の口縁部12とブラシ片20との間に挟着されている。不織布40に使用する繊維としては、特に、引張り強度が高いものを用いることが好ましい。
【0018】
本実施形態では、以下に説明するようにして、チャンネルブラシ1を成形した。不織布40、ブラシ片20の順に、不織布40及び多数のブラシ片20を、上記の溝11上に交差させて配置し、多数のブラシ片20の上に芯線30をあてがう。その後、芯線30を溝11内に押し込んで配置し、図2の(a)図に示すように、不織布40及びブラシ片20を2つ折りにして溝11内に押し込んだ。不織布40は、その柔軟性を利用して加工性に優れるため、2つ折りにすることが容易である。なお、長尺チャンネル10の溝11は、本発明の長尺のチャンネルの内部の一例である。
【0019】
続いて、図2の(b)図に示すように、不織布40を溝11の底面に到達させて、不織布40及びブラシ片20を溝11内に植え込み、長尺チャンネル10の開口する左右の端縁を挟圧することにより、不織布40を介在させた状態で、口縁部12、12が多数のブラシ片20を締め付ける。これにより、溝11内に植え込まれた多数のブラシ片20は、不織布40を介在させた状態で、口縁部12、12と芯線30との間で締め付けられて挟着される。
【0020】
上述したチャンネルブラシ1は、図3に示す路面清掃車2の後輪3の後方に配置される主ブラシ50を形成する際に用いられる。主ブラシ50は、路面4から路面清掃車2の進行方向の前方に、粉塵等を掃き上げる。この粉塵等は、コンベアスキュージ5によってすくい上げられて上昇する。その後、粉塵等は、コンベアスキュージ5から逆回転パドル6に投射される。続いて、逆回転パドル6は、投入口7を通じて、粉塵等をホッパ8へ投入する。
【0021】
図4には、主ブラシ50に使用するブラシロール51を示した。この種のブラシロール51のブラシ片には、毛折れが発生し難いポリプロピレン系樹脂が用いられていた。これに対し、本実施形態では、ブラシ片20に上記のポリエステル系樹脂(硬質の樹脂)を用いた。これにより、ポリプロピレン系樹脂を用いたブラシ片と比較して、ブラシ片20の寿命が2〜3倍となった。
【0022】
ブラシロール51は、図4の(a)図及び(b)図に示すように、円筒形のシャフト52の外周に、上記のチャンネルブラシ1を螺旋状に巻き付けることによって形成されている。このとき、上記の背景技術の項で述べた場合とは異なり、口縁部12、12と多数のブラシ片20との間には不織布40(図1参照。)が位置するため、不織布40が緩衝材として働き、該不織布40によって、口縁部12、12のエッジから各ブラシ片20に与えられるストレスが軽減される。なお、円筒形のシャフト52は、本発明の円筒形の回転体の一例である。
【0023】
ブラシロール51では、前記シャフト52の外周に、長尺チャンネル10の底面の裏面側15(図4の(a)図参照。)を接触させて固定し、該長尺チャネル10を螺旋状に巻き付けた。これにより、ブラシロール51では、シャフト52の外周から、ブラシ片20が放射状に突出する。上記の主ブラシ50にブラシロール51を使用して、ブラシ片20が粉塵等をすくい上げるときにおいても、不織布40によって、口縁部12、12のエッジから各ブラシ片20に与えられるストレスが軽減される。
【0024】
<実施形態1の効果>
本実施形態のチャンネルブラシ1及びブラシロール51では、ブラシ片20が硬質の樹脂によって形成されている。これにより、ブラシ片20が耐摩耗性に優れることになり、該ブラシ片20の耐久性を向上させることができる。
加えて、長尺チャンネル10の口縁部12、12と多数のブラシ片20との間に、不織布40を介在させた。このため、不織布40を、その柔軟性を利用して、加工性に優れた緩衝材として働かせることができる。これにより、口縁部12、12のエッジからブラシ片20に与えられるストレスを軽減し、該エッジがブラシ片20の折れを誘発することを抑制できる。
さらに、不織布40は安価であるため、チャンネルブラシ1及びブラシロール51が、経済性にも優れたものになる。
【0025】
また、ブラシ片20を形成する硬質の樹脂が、ポリエステル系樹脂であるため、ブラシ片20は、ポリエステル系樹脂の性質を利用して、上記の耐摩耗性に加えて、耐薬品性、耐水性及び耐湯性に優れたものになる。
【0026】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を、図5及び図6を参照しつつ説明する。ここでは、実施形態1と同一の構成は同一の符号を付しその説明を省略する。図5に示す波形環状チャンネルブラシ1Aは、環状チャンネル10Aと、ブラシ片20A、20Bと、芯線30と、不織布40とを備えている。
【0027】
環状チャンネル10Aは、実施形態1と同様の長尺チャンネル10をリング状(無端環状)に成形した後に、該リング状にした長尺チャンネル10を折り曲げて波形に屈曲させた凹凸構造を有するように成形した。この環状チャンネル10Aでは、その周方向に沿って、山部16及び谷部17が所定の間隔で規則的に連続している。本実施形態では、環状チャンネル10Aに、山部16及び谷部17をそれぞれ4箇所設けた。
【0028】
また、環状チャンネル10Aには、図5に示すように、2つ折りにされたブラシ片20Aに2つ折りにされたブラシ片20Bを装入するように組み合わせて、該ブラシ片20A、20Bを環状チャンネル10Aの溝11A内に植え込ませている。不織布40は、2つ折りにされたブラシ片20Aの外周に添わせた状態で、環状チャンネル10Aの口縁部12とブラシ片20Aとの間に挟着されている。
【0029】
本実施形態では、以下に説明するようにして、波形環状チャンネルブラシ1Aを形成した。不織布40、ブラシ片20A、ブラシ片20Bの順に、不織布40、多数のブラシ片20A及び多数のブラシ片20Bを、溝11A上に交差させて配置し、多数のブラシ片20Bの上に芯線30をあてがう。その後は、実施形態1と同様に、芯線30、ブラシ片20B、20Aを溝11A内に押し込んで、多数のブラシ片20A、20Bを、不織布40を介在させた状態で、環状チャンネル10Aの口縁部12、12と芯線30との間で締め付けて挟着した。
【0030】
続いて、実施形態1と同様の長尺チャンネル10をリング状にするため、環状チャンネル10Aの合わせ目部分となる長尺チャンネル10の両端部を、図示しないプレートと係合爪とによって接合した。さらに、環状チャンネル10Aの周方向に沿って設ける山部16及び谷部17の数に合わせ、油圧プレスによって、リング状にした長尺チャンネル10を、所定の間隔で順次押圧しつつ、波形に屈曲させる。これにより、環状チャンネル10Aを、上記の凹凸構造を有するように成形した。
【0031】
波形環状チャンネルブラシ1Aを形成する際には、背景技術の項で述べた場合と同様に、芯線30が環状チャンネル10Aのリング中心に向けて引き寄せられると同時に、口縁部が12、12が狭まる場合であっても、実施形態1と同様に、不織布40が緩衝材として働く。これにより、実施形態1と同様に、口縁部12、12のエッジからブラシ片20A、20Bに与えられるストレスが軽減される。
【0032】
上述した波形環状チャンネルブラシ1Aも、上記の主ブラシ50を形成する際に用いられる。図6には、主ブラシ50に使用するブラシロール51Aを示した。ブラシロール51Aは、下記の主ブラシコア55の外面に、複数の波形環状チャンネルブラシ1Aを装着して形成した。図6には、不織布40を省略した状態で各波形環状チャンネルブラシ1Aを示した。各波形環状チャンネルブラシ1Aは、主ブラシコア55の外面に装着されたときに、下記のブラシ軸56の軸線方向においては、隣接する一の波形環状チャンネルブラシ1Aの山部16と、隣接する他の波形環状チャンネルブラシ1Aの山部16とが対面するようにされている。加えて、前記軸線方向においては、隣接する一の波形環状チャンネルブラシ1Aの谷部17と、隣接する他の波形環状チャンネルブラシ1Aの谷部17とが対面するようにされている。
【0033】
ブラシロール51Aは、主ブラシコア55と、ブラシ軸56と、連結プレート57とを備えている。ブラシロール51Aの長手方向には、ブラシ軸56が貫通している。主ブラシコア55は、断面が矩形であって、ブラシ軸56の軸線方向に伸びる部材である。ここでは、複数の主ブラシコア55を、ブラシロール51Aの周方向に等間隔で配置して、略円筒形状体を形成し、略円筒形状体の軸線方向を、ブラシ軸56の軸線方向に一致させた。連結プレート57は、ブラシ軸56の軸線方向に所定の間隔を置いて複数設けられて、ブラシ軸56に溶着されると共に、主ブラシコア55、55間にも溶着されている。
【0034】
主ブラシコア55には、以下に説明するようにして、波形環状チャンネルブラシ1Aが装着される。最初に、主ブラシコア55を、ブラシ軸56、連結プレート57が溶着された状態で直立させる。その後、波形環状チャンネルブラシ1Aを、主ブラシコア55に嵌め入れるようにして、該主ブラシコア55の外面の所定の位置に装着する。これに続き、リング状のスペーサ58を、前記装着された波形環状チャンネルブラシ1Aの山部16に当接する位置まで主ブラシコア55に嵌め入れて固定する。
【0035】
次に、波形環状チャンネルブラシ1Aを、その山部16(16A)が前記スペーサ58に当接し、かつ該スペーサ58を挟んで前記軸線方向において隣接する他の波形環状チャンネルブラシ1Aの山部16と対面すると共に、波形環状チャンネルブラシ1Aの谷部17(17A)が、スペーサ58を挟んで前記軸線方向において隣接する他の波形環状チャンネルブラシ1Aの谷部17と対面するように、主ブラシコア55に嵌め入れる。
【0036】
その後、スペーサ58を、前記波形環状チャンネルブラシ1Aの谷部17(17A)に当接する位置まで主ブラシコア55に嵌め入れて固定する。続いて、波形環状チャンネルブラシ1Aを、その谷部17(17B)がスペーサ58に当接し、かつ該スペーサ58を挟んで前記軸線方向において隣接する他の波形環状チャンネルブラシ1Aの谷部17(17A)と対面すると共に、波形環状チャンネルブラシ1Aの山部16(16B)が、スペーサ58を挟んで前記軸線方向において隣接する他の波形環状チャンネルブラシ1Aの山部16(16A)と対面するように、主ブラシコア55に嵌め入れる。
【0037】
上記のように、波形環状チャンネルブラシ1Aとスペーサ58とを交互に嵌め入れる動作を繰り返して、ブラシロール51Aを形成する。ブラシロール51Aでは、その周方向に、ブラシ片20A、20Bが波形に蛇行しつつ、主ブラシコア55から、ブラシ片20A、20Bが突出する。本実施形態では、上記の路面清掃車2の主ブラシ50(図3参照。)にブラシロール51Aを使用するときに、該ブラシロール51Aが粉塵等をすくい上げる能力を高めるため、図6に示すように、主ブラシコア55の左端側に、前記軸線方向において隣接する各波形環状チャンネルブラシ1Aの山部16Cと山部16Dとが重なると共に、各波形環状チャンネルブラシ1Aの谷部17Cと谷部17Dとが重なる状態で、各波形環状チャンネルブラシ1Aを主ブラシコア55に嵌め入れた。
【0038】
上述したブラシロール51Aを主ブラシ50に使用する際には、ブラシ軸56が、主ブラシ50の駆動モータM(図6参照。)に接続されている。上記の路面清掃車2では、駆動モータMの回転に合わせ、連結プレート57を介してブラシ軸56に溶着された主ブラシコア55も回転する。このとき、主ブラシコア55から突出する多数のブラシ片20A、20Bによって、粉塵等をすくい上げるときにも、不織布40によって、口縁部12、12のエッジから各ブラシ片20A、20Bに与えられるストレスが軽減される。これにより、前記エッジによって各ブラシ片20A、20Bが傷つけられることがなく、ブラシロール51Aの使用を開始してから早期の段階で各ブラシ片20A、20Bが折れることを抑制できる。なお、主ブラシコア55は、本発明の回転体の一例であり、複数の主ブラシコア55によって形成した略円筒形状体の軸線方向(ブラシ軸56の軸線方向)は、本発明の回転体の軸線方向の一例である。
【0039】
<実施形態2の効果>
本実施形態のブラシロール51Aでは、スペーサ58を挟んでブラシ軸56の軸線方向において隣接する各波形環状チャンネルブラシ1Aの山部16同士及び谷部17同士が対面するように、各波形環状チャンネルブラシ1Aを、主ブラシコア55に嵌め入れた。
このとき、ブラシ片20A、20Bが植え込まれた各波形環状チャンネルブラシ1Aは、波形に屈曲させた凹凸構造を有しており、前記軸線方向において前記山部16同士及び前記谷部17同士を対面させた場合には、主ブラシコア55に、実施形態1のような長尺チャンネル10を備えたチャンネルブラシ1を、螺旋状に巻き付けて前記軸線方向において密着させる場合に比べて、該主ブラシコア55に嵌め入れる波形環状チャンネルブラシ1Aの数を少なくすることができる。
このため、主ブラシコア55に嵌め入れる波形環状チャンネルブラシ1Aの数を少なくしても、上記のポリエステル系樹脂(硬質の樹脂)にて形成されたブラシ片20A、20Bによって、粉塵等をすくい上げる能力を確保することで、効率性に優れたブラシロール51Aを提供できる。
【0040】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において構成の一部を適宜変更して実施することができる。上述した実施形態2の波形環状チャンネルブラシ1Aでは、2つ折りにされたブラシ片20Aに2つ折りにされたブラシ片20Bを装入するように組み合わせているが、これに限らず、実施形態1のチャンネルブラシ1と同様に、前記ブラシ片20Bを装入しないブラシ片20Aを、環状チャンネル10Aの溝11A内に植え込ませてもよい。
【0041】
また、上述した実施形態1とは異なり、実施形態2の波形環状チャンネルブラシ1Aのように、長尺チャンネル10の溝11内に、前記ブラシ片20Bを装入したブラシ片20Aを植え込ませて、チャンネルブラシを形成してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1・・チャンネルブラシ、1A・・波形環状チャンネルブラシ、10・・長尺チャンネル、11・・長尺チャンネルの溝、12・・長尺チャンネルの口縁部、16・・山部、17・・谷部、20・・ブラシ片、30・・芯線、40・・不織布、51・・ブラシロール、52・・シャフト、55・・主ブラシコア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断面が略U字形状となる長尺のチャンネルの内部に芯線を配置し、ブラシ片を前記芯線と前記チャンネルとの間に挟んで該チャンネルに植え込むようにしたチャンネルブラシにおいて、
前記ブラシ片を硬質樹脂によって形成し、前記チャンネルの口縁部と前記ブラシ片との間に、不織布を介在させたことを特徴とするチャンネルブラシ。
【請求項2】
前記硬質樹脂は、ポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のチャンネルブラシ。
【請求項3】
横断面が略U字形状となる長尺のチャンネルの内部に芯線を配置し、ブラシ片を前記芯線と前記チャンネルとの間に挟んで該チャンネルに植え込むようにしたチャンネルブラシを、円筒状の回転体の外周に外装して形成したブラシロールにおいて、
前記チャンネルブラシは、前記ブラシ片が硬質樹脂によって形成され、前記チャンネルの口縁部と前記ブラシ片との間に、不織布を介在させたものであることを特徴とするブラシロール。
【請求項4】
前記チャンネルブラシを、山部と谷部が所定の間隔で連続する波形に屈曲させると共に無端環状にして波形環状チャンネルブラシを形成し、
複数の前記波形環状チャンネルブラシを、前記回転体の軸線方向において隣接する各波形環状チャンネルの前記山部同士及び前記谷部同士が対面するように前記円筒体の外周に装着させたことを特徴とする請求項3に記載のブラシロール。
【請求項5】
前記硬質樹脂は、ポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項3又は4に記載のブラシロール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−45498(P2011−45498A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195831(P2009−195831)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000241588)豊和工業株式会社 (230)
【Fターム(参考)】