説明

チャー回収装置

【課題】チャー回収装置において、設備コストやランニングコストの増加を抑制可能とする。
【解決手段】石炭ガス化炉12から可燃性ガスを排出するガス生成ライン38に第1サイクロン41を連結し、この第1サイクロン41における第1ガス排出ライン46に第2サイクロン42を連結する一方、第1サイクロン41における第1チャー排出ライン47及び第2サイクロン42における第2チャー排出ライン49にビン44及びホッパ45a,45bを連結し、第2チャー排出ライン49に第2サイクロン42で分離された微粒チャーを貯留可能であると共に貯留した微粒チャーを所定量だけビン44へ排出可能なチャー貯留排出部43を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭ガス化複合発電設備に用いられるチャー回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石炭ガス化複合発電設備は、石炭をガス化し、コンバインドサイクル発電と組み合わせることにより、従来型の石炭火力に比べてさらなる高効率化・高環境性を目指した発電設備である。この石炭ガス化複合発電設備は、資源量が豊富な石炭を利用可能であることも大きなメリットであり、適用炭種を拡大することにより、さらにメリットが大きくなることが知られている。
【0003】
従来の石炭ガス化複合発電設備は、一般的に、給炭装置、石炭ガス化炉、チャー回収装置、ガスタービン設備、蒸気タービン設備、排熱回収ボイラ、ガス浄化装置を有している。従って、石炭ガス化炉に対して、給炭装置により石炭(微粉炭)が供給されると共に、空気が取り込まれ、この石炭ガス化炉で石炭が燃焼ガス化されて生成ガス(可燃性ガス)が生成される。そして、この生成ガスは、チャー回収装置にて、石炭の未燃分(チャー)が除去されてからガス精製され、ガスタービン設備に供給されることで燃焼して高温・高圧の燃焼ガスを生成し、タービンを駆動する。タービンを駆動した後の排気ガスは、排熱回収ボイラで熱エネルギが回収され、蒸気を生成して蒸気タービン設備に供給され、タービンを駆動する。これにより発電が行なわれる。一方、熱エネルギが回収された排気ガスは、ガス浄化装置で有害物質が除去された後、煙突を介して大気へ放出される。
【0004】
上述した石炭ガス化複合発電設備におけるチャー回収装置は、石炭ガス化炉から排出された生成ガスに含まれるチャーを回収し、リサイクル装置を用いて石炭ガス化炉に戻している。このチャー回収装置は、従来、サイクロンとフィルタを組み合わせた精密集塵装置により構成され、直径がミクロン単位の微粒チャーまで回収し、回収したチャーは、ビンを介してホッパに集められ、配管を通して石炭ガス化炉に戻される。このような従来のチャー回収装置は、例えば、下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−063098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来のチャー回収装置は、上述したように、サイクロンとフィルタを組み合わせた精密集塵装置により構成されており、フィルタにより微粒チャーを回収可能としている。ところが、フィルタは、設備コストが高く、目詰まりを防止するために定期的なメンテナンス(逆洗処理など)が必要となり、ランニングコストが増加してしまうという問題がある。また、ビンからフィルタ側へのガスの逆流を防止するために、フィルタの下部にロータリバルブを設ける必要があり、この点でもコスト高を招いてしまう。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、設備コストやランニングコストの増加を抑制可能とするチャー回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明のチャー回収装置は、石炭をガス化して生成された生成ガスから石炭の未燃分を回収するチャー回収装置であって、生成ガスの生成ラインに連結される第1サイクロンと、該第1サイクロンにおける第1ガス排出ラインに連結される第2サイクロンと、前記第1サイクロンにおける第1未燃分排出ライン及び前記第2サイクロンにおける第2未燃分排出ラインに連結される未燃分貯留部と、前記第2未燃分排出ラインに設けられて前記第2サイクロンで分離された未燃分を貯留可能であると共に貯留した未燃分を所定量だけ前記未燃分貯留部へ排出可能な未燃分貯留排出手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
従って、生成ガスを第1サイクロン及び第2サイクロンにより処理して石炭の未燃分を回収することで、フィルタを不要として設備コストやランニングコストの増加を抑制することが可能となる。また、第2未燃分排出ラインに未燃分貯留排出手段を設けることで、第2サイクロンで分離された未燃分を貯留し、この貯留した未燃分を所定量だけ未燃分貯留部へ排出することで、未燃分貯留部から第2サイクロン側への未燃分の逆流を防止することができ、集塵効率の低下を防止することができる。
【0010】
本発明のチャー回収装置では、前記未燃分貯留排出手段は、前記第2未燃分排出ライン上に直列に接続された第1ホッパ及び第2ホッパと、前記第2未燃分排出ライン上で下流側に位置する第2ホッパの入口部及び出口部に設けられる入口開閉弁及び出口開閉弁とを有することを特徴としている。
【0011】
従って、未燃分貯留排出手段を2つのホッパと入口開閉弁及び出口開閉弁により構成することで、装置を簡素化することができると共に、入口開閉弁と出口開閉弁の開閉動作により第2サイクロンで分離された未燃分を貯留し、所定量の未燃分を未燃分貯留部へ排出することができ、未燃分貯留部から第2サイクロン側への未燃分の逆流を適正に防止することができる。
【0012】
本発明のチャー回収装置では、前記未燃分貯留排出手段は、前記第2ホッパに堆積した未燃分の堆積量を検出する未燃分堆積量検出部と、該未燃分堆積量検出部が検出した未燃分の堆積量に応じて前記入口開閉弁及び前記出口開閉弁を開閉制御する制御部とを有することを特徴としている。
【0013】
従って、制御部が入口開閉弁を開放すると共に出口開閉弁を閉止すると、第2サイクロンで分離された未燃分が第1ホッパを通って第2ホッパに堆積し、制御部は、第2ホッパに堆積した未燃分の堆積量が所定量となったら、入口開閉弁を閉止すると共に出口開閉弁を開放し、第2サイクロンで分離された未燃分を第1ホッパに堆積し、第2ホッパに堆積した未燃分を払い出すこととなり、未燃分を常時未燃分貯留部へ適正に排出することができる。
【0014】
本発明のチャー回収装置では、前記第1ガス排出ラインと前記未燃分貯留部との間で圧力を均一化させる均圧ラインと、該均圧ラインでガス流れに随伴する未燃分の粒子を凝集させる凝集手段とが設けられることを特徴としている。
【0015】
従って、均圧ラインにより第1ガス排出ラインと未燃分貯留部との間で圧力が均一化されることで、第1サイクロンで分離された粗粒の未燃分が第1チャー排出ラインで適切に整流されて未燃分貯留部に払い出されることとなり、ここでの未燃分を含むガスの逆流が防止され、第1サイクロンにおける集塵効率を向上することができる。また、この均圧ラインでは、未燃分貯留部から第1ガス排出ラインへの未燃分を含むガスの逆流が発生しやすいが、凝集手段によりガス流れに随伴する未燃分の粒子が凝集されることとなり、ここで凝集した未燃分を第2集塵装置により捕集し、未燃分貯留部に沈降させることができ、装置全体での集塵効率を向上することができる。
【0016】
本発明のチャー回収装置では、前記凝集手段は、前記均圧ラインにて、ガス流れに向けてガスを噴射するエジェクタを有することを特徴としている。
【0017】
従って、凝集手段としてエジェクタを設けることで、装置を簡素化することができると共に、エジェクタから噴射されるガスによりガス流れに随伴する未燃分の粒子に対して、乱流や摩擦力による静電気を発生させることで、この未燃分の粒子を容易に凝集させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のチャー回収装置によれば、生成ガスを第1サイクロン及び第2サイクロンにより処理して石炭の未燃分を回収することで、フィルタを不要として設備コストやランニングコストの増加を抑制することが可能となり、また、第2サイクロンで分離された未燃分を貯留可能であると共に貯留した未燃分を所定量だけ前記未燃分貯留部へ排出可能な未燃分貯留排出手段を設けることで、第2サイクロン側への未燃分の逆流を防止することができ、集塵効率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係るチャー回収装置が適用された石炭ガス化複合発電設備の概略構成図である。
【図2】図2は、本発明の実施例2に係るチャー回収装置が適用された石炭ガス化複合発電設備の概略構成図である。
【図3】図3は、実施例2のチャー回収装置におけるガスエジェクタを表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るチャー回収装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の実施例1に係るチャー回収装置が適用された石炭ガス化複合発電設備の概略構成図である。
【0022】
実施例1の石炭ガス化複合発電設備(IGCC:Integrated Coal Gasification Combined Cycle)は、空気を酸化剤としてガス化炉で石炭ガスを生成する空気燃焼方式を採用し、ガス精製装置で精製した後の石炭ガスを燃料ガスとしてガスタービン設備に供給して発電を行っている。即ち、本実施例の石炭ガス化複合発電設備は、空気燃焼方式(空気吹き)の発電設備である。
【0023】
実施例1の石炭ガス化複合発電設備は、図1に示すように、給炭装置11、石炭ガス化炉12、チャー回収装置13、ガス精製装置14、ガスタービン設備15、蒸気タービン設備16、発電機17、排熱回収ボイラ(HRSG:Heat Recovery Steam Generator)18、ガス浄化装置19を有している。
【0024】
給炭装置11は、流動層乾燥装置21と、石炭粉砕機(ミル)22とを有している。流動層乾燥装置21は、投入される石炭に対して乾燥用ガスを供給することで、石炭を加熱し、含有する水分を除去するものである。石炭粉砕機22は、流動層乾燥装置21により乾燥された石炭を細かい粒子状に粉砕して微粉炭を製造するものである。この場合、流動層乾燥装置21で用いる乾燥用ガスとして、ガスタービン設備15や排熱回収ボイラ18、または、大気中に放出する排ガスの一部を利用するとよい。また、石炭粉砕機22の下流側に、サイクロンを設けて乾燥用ガス等のガス成分と、微粉炭(粒子成分)とに分離し、粒子成分の微粉炭を重力により落下させてホッパに回収する一方、ガス成分を排気するとよい。
【0025】
石炭ガス化炉12は、給炭装置11から給炭ライン31が接続されており、この給炭装置11で処理された微粉炭が供給可能となっている。また、石炭ガス化炉12は、チャー回収装置13からチャー戻しライン32が接続されており、このチャー回収装置13で回収されたチャー(石炭の未燃分)が戻されてリサイクル可能となっている。
【0026】
更に、石炭ガス化炉12は、ガスタービン設備15(圧縮機61)から圧縮空気供給ライン33が接続されており、このガスタービン設備15で圧縮された圧縮空気が供給可能となっている。空気分離装置34は、大気中の空気から窒素と酸素を分離生成するものであり、第1窒素供給ライン35が給炭ライン31に接続されると共に、第2窒素供給ライン36がチャー戻しライン32に接続され、酸素供給ライン37が圧縮空気供給ライン33に接続されている。この場合、窒素は、石炭やチャーの搬送用ガスとして利用され、酸素は、酸化剤として利用される。
【0027】
石炭ガス化炉12は、例えば、噴流床形式のガス化炉であって、内部に供給された石炭、チャー、空気(酸素)、またはガス化剤としての水蒸気を燃焼・ガス化すると共に、二酸化炭素を主成分とする可燃性ガス(生成ガス、石炭ガス)が発生し、この可燃性ガスをガス化剤としてガス化反応が起こる。なお、石炭ガス化炉12は噴流床ガス化炉に限らず、流動床ガス化炉や固定床ガス化炉としてもよい。そして、この石炭ガス化炉12は、チャー回収装置13に向けて可燃性ガスのガス生成ライン38が設けられており、チャーを含む可燃性ガスが排出可能となっている。この場合、ガス生成ライン38にガス冷却器を設けることで、可燃性ガスを所定温度まで冷却してからチャー回収装置13に供給するとよい。
【0028】
チャー回収装置13は、第1サイクロン41と、第2サイクロン42と、未燃分貯留排出手段として構成されるチャー貯留排出部43と、未燃分貯留部として構成されるビン44及びホッパ45a,45bとを有している。第1サイクロン41は、石炭ガス化炉12で生成された可燃性ガスに含有する粗粒のチャーを分離するものであり、上部に粗粒チャーが分離された可燃性ガスを排出する第1ガス排出ライン46が接続されると共に、下部に可燃性ガスから分離した粗粒チャーを排出する第1チャー排出ライン(第1未燃分排出ライン)47が接続されている。第2サイクロン42は、第1サイクロン41により粗粒チャーが分離された可燃性ガスに含有する微粒のチャーを分離するものであり、上部に微粒チャーが分離された可燃性ガスを排出する第2ガス排出ライン48が接続されると共に、下部に可燃性ガスから分離した微粒チャーを排出する第2チャー排出ライン(第2未燃分排出ライン)49が接続されている。
【0029】
チャー貯留排出部43は、第2チャー排出ライン49に設けられて第2サイクロン42で分離された微粒チャーを一時的に貯留可能であると共に、この貯留した微粒チャーを所定量だけビン44へ排出可能となっている。このチャー貯留排出部43は、第2チャー排出ライン49上に直列に接続された第1ホッパ54及び第2ホッパ55と、第2チャー排出ライン49上で下流側に位置する第2ホッパ55の入口部、つまり、第1ホッパ54と第2ホッパ55の間に設けられる入口開閉弁56と、第2ホッパ55の出口部、つまり、第2ホッパ55の下流側に設けられる出口開閉弁57とを有している。
【0030】
また、チャー貯留排出部43は、第2ホッパ55に堆積したチャーの堆積量を検出する未燃分堆積量検出部としての第2ホッパ55に設けられた粉体レベルセンサ58と、この粉体レベルセンサ58が検出したチャーの堆積量に基づいて入口開閉弁56及び出口開閉弁57を開閉制御する制御装置(制御部)59とを有している。即ち、制御装置59は、粉体レベルセンサ58により検出された第2ホッパ55におけるチャーの堆積量が予め設定された基準堆積量より多くなったら、入口開閉弁56を閉止すると共に、出口開閉弁57を開放する。そして、制御装置59は、粉体レベルセンサ58により検出された第2ホッパ55におけるチャーの堆積量がなくなったら、入口開閉弁56を開放すると共に、出口開閉弁57を閉止する。
【0031】
従って、制御装置59が入口開閉弁56を開放すると共に出口開閉弁57を閉止すると、第2サイクロン42で分離されたチャーが第1ホッパ54及び入口開閉弁56を通って第2ホッパ55に堆積される。そして、第2ホッパ55におけるチャーの堆積量が予め設定された基準堆積量を超えたら、制御装置59は、入口開閉弁56を閉止すると共に出口開閉弁57を開放する。すると、第2サイクロン42で分離されたチャーが第1ホッパ54に堆積される一方、第2ホッパ55に堆積しているチャーがビン44側へ排出される。そして、第2ホッパ55に堆積しているチャーが全て排出されると、制御装置59は、入口開閉弁56を開放すると共に出口開閉弁57を閉止する。すると、再び、第2サイクロン42で分離されたチャーが第1ホッパ54及び入口開閉弁56を通って第2ホッパ55に堆積される。
【0032】
この場合、第2ホッパ55は、内部の圧力を調整可能な圧力調整機構を有しており、内部を加圧することで、堆積したチャーをビン44側の第2チャー排出ライン49に排出することができる。なお、粉体レベルセンサ58は、静電容量式、振動式、モータトルク式など、どの形式のものを適用してもよい。また、第2ホッパ55だけでなく、第1ホッパ54にも未燃分堆積量検出部としての粉体レベルセンサを設け、第1ホッパ54に堆積したチャー堆積量に基づいて入口開閉弁56や出口開閉弁57開閉制御してもよい。
【0033】
そして、第1ガス排出ライン46とビン44との間には、両者の圧力を均一化させる第1均圧ライン50が設けられている。
【0034】
ビン44は、第1チャー排出ライン47及び第2チャー排出ライン49の下流端部が接続されており、第1サイクロン41及び第2サイクロン42により可燃性ガスから分離された粗粒チャーや微粒チャーを貯留するものである。各ホッパ45a,45bは、ビン44と切替ライン51a,51bを介して接続され、この切替ライン51a,51bは、ホッパ45a,45bの上流側に第1切替弁52a,52bが装着され、下流側に第2切替弁53a,53bが装着されている。即ち、各切替弁52a,52b,53a,53bにより使用する切替ライン51a,51bを切り替えることで、ホッパ45a,45bを交互に使用して連続運転を可能としている。そして、各切替ライン51a,51bは、ホッパ45a,45bの下流側で合流し、チャー戻しライン32に接続されている。この場合、本実施例では、2つの切替ライン51a,51b(2つのホッパ45a,45b)のために、その上流側にビン44を配置しており、チャーを一時的に貯留するビン44を未燃分貯留部として構成したが、ビン44を配置しない構成でもよい。
【0035】
ガス精製装置14は、チャー回収装置13によりチャーが分離された可燃性ガスに対して、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物を取り除くことで、ガス精製を行うものである。そして、ガス精製装置14は、可燃性ガスを精製して燃料ガスを製造し、これをガスタービン設備15に供給する。
【0036】
ガスタービン設備15は、圧縮機61、燃焼器62、タービン63を有しており、圧縮機61とタービン63は、回転軸64により連結されている。燃焼器62は、圧縮機61から圧縮空気供給ライン65が接続されると共に、ガス精製装置14から燃料ガス供給ライン66が接続され、タービン63に燃焼ガス供給ライン67が接続されている。また、ガスタービン設備15は、圧縮機61から石炭ガス化炉12に延びる圧縮空気供給ライン33が設けられており、中途部に昇圧機68が設けられている。従って、燃焼器62では、圧縮機61から供給された圧縮空気とガス精製装置14から供給された燃料ガスとを混合して燃焼し、タービン63にて、発生した燃焼ガスにより回転軸64を回転することで発電機17を駆動することができる。
【0037】
蒸気タービン設備16は、ガスタービン設備15における回転軸64に連結されるタービン69を有しており、発電機17は、この回転軸64の基端部に連結されている。排熱回収ボイラ18は、ガスタービン設備15(タービン63)からの排ガスライン70に設けられており、空気と高温の排ガスとの間で熱交換を行うことで、蒸気を生成するものである。そのため、排熱回収ボイラ18は、蒸気タービン設備16のタービン69との間に蒸気供給ライン71が設けられると共に、蒸気回収ライン72が設けられ、蒸気供給ライン71に復水器73が設けられている。従って、ガスタービン設備15では、排熱回収ボイラ18から供給された蒸気によりタービン69が駆動し、回転軸64を回転することで発電機17を駆動することができる。
【0038】
ガス浄化装置19は、排熱回収ボイラ18で熱が回収された排ガスから、有害物質を除去するものであり、浄化された排ガスは、煙突74から大気へ放出される。
【0039】
ここで、実施例1の石炭ガス化複合発電設備の作動について説明する。
【0040】
実施例1の石炭ガス化複合発電設備において、給炭装置11にて、石炭は、流動層乾燥装置21により乾燥され、石炭粉砕機22により粉砕されて微粉炭が製造される。この微粉炭は、空気分離装置34から供給される窒素により給炭ライン31を通して石炭ガス化炉12に供給される。また、後述するチャー回収装置13で回収されたチャーが、空気分離装置34から供給される窒素によりチャー戻しライン32を通して石炭ガス化炉12に供給される。更に、後述するガスタービン設備15から抽気された圧縮空気が昇圧機68で昇圧された後、空気分離装置34から供給される酸素と共に圧縮空気供給ライン33を通して石炭ガス化炉12に供給される。
【0041】
石炭ガス化炉12では、供給された微粉炭及びチャーが圧縮空気(酸素)により燃焼し、微粉炭及びチャーがガス化することで、二酸化炭素を主成分とする可燃性ガス(石炭ガス)を生成することができる。そして、この可燃性ガスは、石炭ガス化炉12からガス生成ライン38を通して排出され、チャー回収装置13に送られる。
【0042】
このチャー回収装置13にて、可燃性ガスは、まず、第1サイクロン41に供給されることで、ここで可燃性ガスからこのガスに含有する粗粒チャーが分離される。そして、粗粒チャーが分離された可燃性ガスは、第1ガス排出ライン46に排出される一方、可燃性ガスから分離した粗粒チャーは、第1チャー排出ライン47を通してビン44に払い出される。
【0043】
第1サイクロン41で粗粒チャーが分離されて第1ガス排出ライン46に排出された可燃性ガスは、次に、第2サイクロン42に供給されることで、ここで可燃性ガスからこのガスに含有する微粒チャーが分離される。そして、微粒チャーが分離された可燃性ガスは、第2ガス排出ライン48に排出される一方、可燃性ガスから分離した微粒チャーは、チャー貯留排出部43を介して第2チャー排出ライン49を通してビン44に払い出される。ビン44は、第1チャー排出ライン47を通してビン44に払い出される粗粒チャーと、第2チャー排出ライン49を通してビン44に払い出される微粒チャーとが合流するとき、その流れを安定化することができる。
【0044】
即ち、運転開始当初、制御装置59は、入口開閉弁56を開放すると共に出口開閉弁57を閉止しておく。すると、第2サイクロン42で分離されたチャーは、第1ホッパ54及び入口開閉弁56を通って第2ホッパ55に払い出され、この第2ホッパ55に堆積する。そして、第2ホッパ55におけるチャーの堆積量が増加し、このチャー堆積量が基準堆積量を超えたら、制御装置59は、入口開閉弁56を閉止すると共に出口開閉弁57を開放する。すると、第2サイクロン42で分離されたチャーは、第1ホッパ54に堆積する一方、第2ホッパ55に堆積しているチャーは、第2チャー排出ライン49へ払い出されてビン44に排出される。そして、第2ホッパ55に堆積しているチャーが全て排出されると、制御装置59は、入口開閉弁56を開放すると共に出口開閉弁57を閉止する。すると、再び、第2サイクロン42で分離されたチャーが第1ホッパ54及び入口開閉弁56を通って第2ホッパ55に堆積される。
【0045】
制御装置59は、入口開閉弁56及び出口開閉弁57を繰り返し開閉制御することで、第2サイクロン42で分離されたチャーを第1、第2ホッパ54,55に貯留し、定期的にビン44側に払い出すことが可能となる。即ち、第2サイクロン42とビン44との間で、入口開閉弁56と出口開閉弁57のいずれか一方が閉止していることから、第2サイクロン42により分離された微粒チャーは、第2チャー排出ライン49で適切に整流されてビン44に払い出されることとなり、第2サイクロン42における集塵効率が向上する。このチャー貯留排出部43がないと、微粒チャーの体積と置換されるガスが第2チャー排出ライン49を逆流することとなり、微粒チャーの排出量が増加すると、第2サイクロン42の排出部(スロート部)で微粒チャーが吹き上がるフラッディング(Flooding)現象が発生し、第2サイクロン42における集塵効率が低下してしまう。
【0046】
また、ガス生成ライン38の圧力P、第1ガス排出ライン46の圧力P、第2ガス排出ライン48の圧力Pとすると、その圧力関係は、P>P>Pとなっている。また、第1ガス排出ライン46とビン44との間に、第1均圧ライン50が設けられていることで、第1ガス排出ライン46の圧力Pとビン44の圧力Pがほぼ同圧となり、その圧力関係は、P>P=P>Pとなっている。そのため、第1サイクロン41により分離された粗粒チャーは、第1チャー排出ライン47で適切に整流されてビン44に払い出されることとなり、第1チャー排出ライン47における粗粒チャーを含むガスの逆流が防止され、第1サイクロン41における集塵効率が向上する。この第1均圧ライン50がないと、粗粒チャーの体積と置換されるガスが第1チャー排出ライン47を逆流することとなり、粗粒チャーの排出量が増加すると、第1サイクロン41の排出部(スロート部)で粗粒チャーが吹き上がるフラッディング現象が発生し、第1サイクロン41における集塵効率が低下してしまう。
【0047】
なお、第1ガス排出ライン46の圧力Pとビン44の圧力Pとは、第1均圧ライン50によりほぼ同圧に調整されるものの、各サイクロン41,42からチャーが各チャー排出ライン47,48を通してビン44に払い出されることから、ビン44にあるチャーを含むガスが第1均圧ライン50を通して第1ガス排出ライン46に逆流するおそれがある。しかし、第1均圧ライン50を逆流するガスは、第2サイクロン42に供給されることで、ここで可燃性ガスからチャーが分離される。この場合、微粒チャーを含むガスがビン44、第1均圧ライン50、第1ガス排出ライン46、第2サイクロン42、チャー貯留排出部43、第2チャー排出ライン49、ビン44を循環することで、微粒チャーが凝集して粗粒チャーとなり、ビン44に沈降して貯留するため、チャーの回収効率が向上する。
【0048】
そして、ビン44に貯留されたチャーは、第1切替弁52a,53aと第2切替弁52b,53bを交互に開閉することで、切替ライン51a及びホッパ45aと、切替ライン51b及びホッパ45bを交互に使用するようにしている。例えば、切替弁52a,53aを開放して切替弁52b,53bを閉止することで、ビン44のチャーを切替ライン51aによりホッパ45aに貯留する。そしてこのホッパ45aが一杯になったら、切替弁52a,53aを閉止して切替弁52b,53bを開放することで、ビン44のチャーを切替ライン51bによりホッパ45bに貯留する。これによりチャーの貯留作業を連続して行うことができ、チャー回収装置13の連続運転が可能となる。その後、ホッパ45a,45bに貯留されているチャーは、チャー戻しライン32を通して石炭ガス化炉12に戻されてリサイクルされる。
【0049】
チャー回収装置13によりチャーが分離された可燃性ガスは、ガス精製装置14にて、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物が取り除かれてガス精製され、燃料ガスが製造される。そして、ガスタービン設備15では、圧縮機61が圧縮空気を生成して燃焼器62に供給すると、この燃焼器62は、圧縮機61から供給される圧縮空気と、ガス精製装置14から供給される燃料ガスとを混合し、燃焼することで燃焼ガスを生成し、この燃焼ガスによりタービン63を駆動することで、回転軸64を介して発電機17を駆動し、発電を行うことができる。
【0050】
そして、ガスタービン設備15におけるタービン63から排出された排気ガスは、排熱回収ボイラ18にて、空気と熱交換を行うことで蒸気を生成し、この生成した蒸気を蒸気タービン設備16に供給する。蒸気タービン設備16では、排熱回収ボイラ18から供給された蒸気によりタービン69を駆動することで、回転軸64を介して発電機17を駆動し、発電を行うことができる。
【0051】
そして、ガス浄化装置19では排熱回収ボイラ18から排出された排気ガスは、ガス浄化装置19により有害物質が除去され、浄化された排ガスが煙突74から大気へ放出される。
【0052】
このように実施例1のチャー回収装置にあっては、石炭ガス化炉12から可燃性ガスを排出するガス生成ライン38に第1サイクロン41を連結し、この第1サイクロン41における第1ガス排出ライン46に第2サイクロン42を連結する一方、第1サイクロン41における第1チャー排出ライン47及び第2サイクロン42における第2チャー排出ライン49にビン44及びホッパ45a,45bを連結し、第2チャー排出ラインに第2サイクロン42で分離された微粒チャーを貯留可能であると共に貯留した微粒チャーを所定量だけビン44へ排出可能なチャー貯留排出部43を設けている。
【0053】
従って、可燃性ガスを第1サイクロン41及び第2サイクロン42により処理してチャーを回収することで、フィルタやロータリバルブなどを不要とすることができる。そのため、設備コストの増加を抑制することができると共に、フィルタの逆洗処理などを不要としてランニングコストの増加を抑制することができる。また、第2チャー排出ライン49にチャー貯留排出部43を設けることで、第2サイクロン42で分離された微粒チャーを貯留し、この貯留した微粒チャーを所定量だけビン44へ排出することで、ビン44から第2サイクロン42側へのチャーの逆流を防止することができ、集塵効率の低下を防止することができる。
【0054】
また、実施例1のチャー回収装置では、チャー貯留排出部43として、第2チャー排出ライン49上に直列に接続された第1ホッパ54及び第2ホッパ55と、第2チャー排出ライン49上で下流側に位置する第2ホッパ55の入口部及び出口部に位置する入口開閉弁56及び出口開閉弁57とを設けている。従って、チャー貯留排出部43を2つのホッパ54,55と2つの開閉弁56,57により構成することで、装置を簡素化することができると共に、入口開閉弁56と出口開閉弁57の開閉動作により第2サイクロン42で分離されたチャーを貯留し、所定量のチャーをビン44へ排出することができ、ビン44から第2サイクロン42側へのチャーの逆流を適正に防止することができる。
【0055】
また、実施例1のチャー回収装置では、チャー貯留排出部43として、第2ホッパ55に堆積した未燃分の堆積量を検出する粉体レベルセンサ58と、粉体レベルセンサ58が検出したチャーの堆積量に応じて入口開閉弁56及び出口開閉弁57を開閉制御する制御装置59とを設けている。従って、制御装置59が入口開閉弁56を開放すると共に出口開閉弁57を閉止すると、第2サイクロン42で分離されたチャーが第1ホッパ54を通って第2ホッパ55に堆積し、制御装置59は、第2ホッパ55に堆積したチャーの堆積量が所定量となったら、入口開閉弁56を閉止すると共に出口開閉弁57を開放し、第2サイクロン42で分離されたチャーを第1ホッパ54に堆積し、第2ホッパ55に堆積したチャーを払い出すこととなり、チャーを常時ビン44へ適正に排出することができる。
【0056】
なお、この実施例1にて、第1均圧ライン50などは、必ず設けなければならない構成ではなく、省略してもよく、この場合であっても、チャー貯留排出部43により集塵効率の低下を防止することができる。
【実施例2】
【0057】
図2は、本発明の実施例2に係るチャー回収装置が適用された石炭ガス化複合発電設備の概略構成図、図3は、実施例2のチャー回収装置におけるガスエジェクタを表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0058】
実施例2の石炭ガス化複合発電設備におけるチャー回収装置13は、図2に示すように、第1サイクロン41と、第2サイクロン42と、チャー貯留排出部43と、ビン44と、ホッパ45a,45bとを有し、第1ガス排出ライン46とビン44との間に第1均圧ライン50が設けられると共に、第2ガス排出ライン48と第1ホッパ54との間に第2均圧ライン81が設けられている。
【0059】
第1サイクロン41は、側部にガス生成ライン38が接続され、上部に粗粒チャーが分離された可燃性ガスを排出する第1ガス排出ライン46が接続されると共に、下部に可燃性ガスから分離した粗粒チャーを排出する第1チャー排出ライン47が接続されている。第2サイクロン42は、側部に第1ガス排出ライン46が接続され、上部に微粒チャーが分離された可燃性ガスを排出する第2ガス排出ライン48が接続されると共に、下部に可燃性ガスから分離した微粒チャーを排出する第2チャー排出ライン49が接続されている。そして、第2チャー排出ライン49にチャー貯留排出部43が設けられている。
【0060】
このチャー貯留排出部43は、第2サイクロン42で分離された微粒チャーを一時的に貯留可能であると共に、この貯留した微粒チャーを所定量だけビン44へ排出可能である。このチャー貯留排出部43は、第1ホッパ54、第2ホッパ55、入口開閉弁56、出口開閉弁57、粉体レベルセンサ58、制御装置59を有している。そして、制御装置59は、粉体レベルセンサ58により検出された第2ホッパ55におけるチャーの堆積量が基準堆積量より多くなったら、入口開閉弁56を閉止すると共に、出口開閉弁57を開放する。また、制御装置59は、粉体レベルセンサ58により検出された第2ホッパ55におけるチャーの堆積量がなくなったら、入口開閉弁56を開放すると共に、出口開閉弁57を閉止する。
【0061】
第1チャー排出ライン47及び第2チャー排出ライン49は、ビン44に接続され、このビン44は、切替ライン51a,51bを介してホッパ45a,45bに接続されており、ホッパ45a,45b(切替ライン51a,51b)は、チャー戻しライン32に接続されている。
【0062】
第1ガス排出ライン46とビン44との間には、両者の圧力を均一化させる第1均圧ライン50が設けられている。また、第2ガス排出ライン48と第1ホッパ54との間には、両者の圧力を均一化させる第2均圧ライン81が設けられている。
【0063】
そして、第1均圧ライン50は、ガス流れに随伴するチャーの粒子を凝集させる凝集手段(乱流発生手段)として、ガスエジェクタ82が設けられている。このガスエジェクタ82は、図3に詳細に示すように、窒素などの駆動用ガスを噴射可能なガス噴射ノズル83と、図示しないガス供給源からこのガス噴射ノズル83に駆動用ガスを供給するガス供給ライン84とを有している。従って、第1均圧ライン50におけるガス流れに向けて、つまり、第1ガス排出ライン46側に向けて駆動用ガスを噴射することで、この第1均圧ライン50で流動するガスに乱流を発生させ、また、乱流によりチャーの粒子の摩擦力により静電気を発生させ、ガス流れに随伴するチャーの粒子を凝集させる。
【0064】
従って、石炭ガス化炉12で生成された可燃性ガスは、まず、第1サイクロン41により粗粒チャーが分離され第1ガス排出ライン46に排出され、次に、第2サイクロン42により微粒チャーが分離されて第2ガス排出ライン48に排出される。一方、第1サイクロン41により可燃性ガスから分離された粗粒チャーは、第1チャー排出ライン47を通してビン44に払い出され、第2サイクロン42により可燃性ガスから分離された微粒チャーは、チャー貯留排出部43により第2チャー排出ライン49を通してビン44に払い出される。
【0065】
このチャー貯留排出部43にて、制御装置59は、入口開閉弁56を開放すると共に出口開閉弁57を閉止する。すると、第2サイクロン42で分離されたチャーは、第1ホッパ54及び入口開閉弁56を通って第2ホッパ55に払い出されて堆積する。そして、この第2ホッパ55におけるチャーの堆積量が基準堆積量を超えたら、制御装置59は、入口開閉弁56を閉止すると共に出口開閉弁57を開放する。すると、第2サイクロン42で分離されたチャーは、第1ホッパ54に堆積する一方、第2ホッパ55に堆積しているチャーは、第2チャー排出ライン49へ払い出されてビン44に排出される。そして、第2ホッパ55に堆積しているチャーが全て排出されると、制御装置59は、入口開閉弁56を開放すると共に出口開閉弁57を閉止する。すると、再び、第2サイクロン42で分離されたチャーが第1ホッパ54及び入口開閉弁56を通って第2ホッパ55に堆積される。
【0066】
従って、制御装置59は、第2サイクロン42とビン44との間で、入口開閉弁56と出口開閉弁57のいずれか一方を閉止することで、所定量のチャーを払い出すことができ、また、ビン44からのチャーを含むガスの逆流を防止し、第2サイクロン42における集塵効率を向上できる。
【0067】
このとき、第1ガス排出ライン46とビン44との間に、第1均圧ライン50が設けられていることで両者がほぼ同圧となり、第1サイクロン41により分離された粗粒チャーは、第1チャー排出ライン47で適切に整流されてビン44に払い出されることとなり、第1チャー排出ライン47における粗粒チャーを含むガスの逆流が防止され、第1サイクロン41における集塵効率が向上する。また、第2チャー排出ライン49では、第1ガスエジェクタ54からビン44側に向けてガスが噴射されることで、第2サイクロン42(チャー貯留排出部43)からビン44に向けたガス流れが生成されることとなり、第2サイクロン42により分離された微粒チャーは、第2チャー排出ライン49で適切に整流されてビン44に払い出されることとなり、第2サイクロン42における集塵効率が向上する。
【0068】
また、第1ガス排出ライン46の圧力Pとビン44の圧力Pとは、第1均圧ライン50によりほぼ同圧に調整されるものの、各サイクロン41,42からチャーが各チャー排出ライン47,49を通してビン44に払い出されることから、ビン44にあるチャーを含むガスが第1均圧ライン50を通して第1ガス排出ライン46に逆流するおそれがある。
【0069】
そこで、本実施例では、第1均圧ライン50にて、ガスエジェクタ82により第1ガス排出ライン46側に向けてガスが噴射されている。そのため、ガスエジェクタ82からガスが噴射されると、この噴射ガスにより第1均圧ライン50を逆流するチャーを含むガス流れに乱流が発生する。すると、ガス中にあるチャーの粒子同士が互いに衝突し合い、且つ、ここで摩擦力が発生することから、静電気により互いに凝集する。即ち、第1均圧ライン50にて、逆流するガス流れに随伴するチャーの粒子は、ガスエジェクタ82から噴射されるガスにより凝集される。そして、ここで凝集したチャーは、粗粒チャーとなり、第1均圧ライン50から第1ガス排出ライン46を通して第2サイクロン42に供給され、ここで可燃性ガスからチャーが分離される。なお、第1均圧ライン50で凝集した粗流のチャーは、第1ガス排出ライン46に流れ込むとき、第1サイクロン41から供給される可燃性ガスに含まれる微粒チャーとも凝縮しやすくなり、第2サイクロン42で処理する微粒チャーの処理量が減少する。この場合、微粒チャーを含むガスがビン44、第1均圧ライン50(ガスエジェクタ)、第1ガス排出ライン46、第2サイクロン42、チャー貯留排出部43、第2チャー排出ライン49、ビン44を循環することで、微粒チャーが凝集しやすくなり、ビン44に沈降して貯留するため、チャーの回収効率が向上する。
【0070】
そして、ビン44に貯留されたチャーは、切替ライン51a,51bを通してホッパ45a,45bに貯留され、チャー戻しライン32を通して石炭ガス化炉12に戻されてリサイクルされる。
【0071】
このように実施例2のチャー回収装置にあっては、石炭ガス化炉12から可燃性ガスを排出するガス生成ライン38に第1サイクロン41及び第2サイクロン42を連結する一方、第1チャー排出ライン47にビン44を連結すると共に、第2チャー排出ライン49にチャー貯留排出部43を介してビン44を連結し、第1ガス排出ライン46とビン44との間で圧力を均一化させる第1均圧ライン50に、ガス流れに随伴する未燃分の粒子を凝集させる凝集手段としてのガスエジェクタ82を設けている。
【0072】
従って、第2チャー排出ライン49にチャー貯留排出部43を設けることで、ビン44から第2サイクロン42側へのチャーの逆流を防止することができ、集塵効率の低下を防止することができ、また、第1均圧ライン50にガスエジェクタ82を設けることで、ビン44から第1均圧ライン50を通って第1ガス排出ライン46へ逆流するガス中のチャーは、ガスエジェクタ82からの噴射ガスによりその粒子が凝集されることとなり、ここで凝集したチャーを第2サイクロン42により捕集し、再びビン44に沈降させることができ、装置全体での集塵効率を向上することができる。
【0073】
また、実施例2のチャー回収装置では、凝集手段として、第1均圧ライン50のガス流れに向けてガスを噴射するガスエジェクタ82を設けている。従って、第1均圧ライン50にて、ガスの乱流が発生することとなり、ガス流れに随伴するチャーの粒子を容易に凝集させることができ、また、これをガスエジェクタ82とすることで、装置を簡素化することができる。
【0074】
なお、この実施例2にて、凝集手段としてガスエジェクタ82を適用したが、これに限定されるものではなく、均圧ラインでのガス流れに随伴する未燃分の粒子を凝集させることができるものであればよい。例えば、ガスエジェクタ82を用いた場合、ガスの噴射方向は、第1ガス排出ライン46側ではなく、ビン44側でもよく、また、第1均圧ライン50を構成する配管の内面に向って直交方向や傾斜方向でもよい。更に、凝集手段として乱流発生させるために、抵抗部材、変更部材、旋回翼などを適用してもよい。また、凝集手段として、電気集塵機のように、チャー粒子に対して電荷を付与する装置としてもよい。
【0075】
また、上述した各実施例にて、チャー貯留排出部43として2つのホッパ54,55を直列に配置したが、ホッパ45a,45bのように、並列に配置してもよく、この場合、並列に配置した各ホッパの入口側と出口側に開閉弁を設ける必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明に係るチャー回収装置は、複数のサイクロンにより石炭の未燃分を回収可能とすることで、設備コストやランニングコストの増加を抑制可能とするものであり、いずれの種類の石炭ガス化複合発電設備にも適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
11 給炭装置
12 石炭ガス化炉
13 チャー回収装置
14 ガス精製装置
15 ガスタービン設備
16 蒸気タービン設備
17 発電機
18 排熱回収ボイラ
19 ガス浄化装置
41 第1サイクロン
42 第2サイクロン
43 チャー貯留排出部(未燃分貯留排出手段ガスシール)
44 ビン(未燃分貯留部)
45a,45b ホッパ(未燃分貯留部)
46 第1ガス排出ライン
47 第1チャー排出ライン(第1未燃分排出ライン)
48 第2ガス排出ライン
49 第2チャー排出ライン(第2未燃分排出ライン)
50 第1均圧ライン
54 第1ホッパ
55 第2ホッパ
56 入口開閉弁
57 出口開閉弁
58 粉体レベルセンサ(未燃分堆積量検出部)
59 制御装置(制御部)
81 第2均圧ライン
82 ガスエジェクタ(凝集手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭をガス化して生成された生成ガスから石炭の未燃分を回収するチャー回収装置であって、
生成ガスの生成ラインに連結される第1サイクロンと、
該第1サイクロンにおける第1ガス排出ラインに連結される第2サイクロンと、
前記第1サイクロンにおける第1未燃分排出ライン及び前記第2サイクロンにおける第2未燃分排出ラインに連結される未燃分貯留部と、
前記第2未燃分排出ラインに設けられて前記第2サイクロンで分離された未燃分を貯留可能であると共に貯留した未燃分を所定量だけ前記未燃分貯留部へ排出可能な未燃分貯留排出手段と、
を備えることを特徴とするチャー回収装置。
【請求項2】
前記未燃分貯留排出手段は、前記第2未燃分排出ライン上に直列に接続された第1ホッパ及び第2ホッパと、前記第2未燃分排出ライン上で下流側に位置する第2ホッパの入口部及び出口部に設けられる入口開閉弁及び出口開閉弁とを有することを特徴とする請求項1に記載のチャー回収装置。
【請求項3】
前記未燃分貯留排出手段は、前記第2ホッパに堆積した未燃分の堆積量を検出する未燃分堆積量検出部と、該未燃分堆積量検出部が検出した未燃分の堆積量に応じて前記入口開閉弁及び前記出口開閉弁を開閉制御する制御部とを有することを特徴とする請求項2に記載のチャー回収装置。
【請求項4】
前記第1ガス排出ラインと前記未燃分貯留部との間で圧力を均一化させる均圧ラインと、該均圧ラインでガス流れに随伴する未燃分の粒子を凝集させる凝集手段とが設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のチャー回収装置。
【請求項5】
前記凝集手段は、前記均圧ラインにて、ガス流れに向けてガスを噴射するエジェクタを有することを特徴とする請求項4に記載のチャー回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−46571(P2012−46571A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187651(P2010−187651)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)