説明

チューブポンプ

【課題】ハウジングの円筒内周面とこの円筒内周面に沿って公転する少なくとも1つ以上のローラとの間に収容されたチューブを、ローラの公転運動に伴って蠕動させることによりチューブの入口端部から送り込まれた液体をチューブの出口側端部に転送するチューブポンプにおいて、チューブの寿命が長く、チューブの交換頻度の低いものを提供する。
【解決手段】ハウジングの一部に、円筒内周面の周方向に沿って内歯歯車を形成し、チューブと接触しないローラの円筒面に、ローラを自転させる為、内歯歯車と係合する外歯歯車をその周方向に形成し、少なくともハウジングの円筒内周面においてローラがチューブと接触を始める入口側領域とローラがチューブとの接触を終了する出口側領域には内歯歯車を形成しない構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングの円筒内周面とこの円筒内周面に沿って公転する少なくとも1つ以上のローラとの間に収容されたチューブを、ローラの公転運動に伴って蠕動させることによりチューブの入口端部から送り込まれた液体をチューブの出口側端部に転送するチューブポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
液体を比較的小流量で転送するために、特許文献1に記載されているもののようなチューブポンプが利用されている。チューブポンプは、円筒形状の内周面を有するハウジングと、この円筒内周面の円周方向に沿って周回移動(公転)するローラを有する。チューブは、ハウジングの円筒内周面の円周方向に沿って配置されている。ローラを公転させると、ローラがチューブを押しつぶしながらチューブの長さ方向に移動することになり、これによってチューブが蠕動してチューブ内の液体がチューブの入口側から出口側に転送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭58−32987号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるような従来のチューブポンプにおいては、駆動軸に固定されたアームにてローラを支持し、モータによって駆動軸を回転駆動することによって、ケーシングの内壁に沿ってローラを周回運動(公転)させている。
【0005】
上記のように、チューブポンプのローラは、チューブを押しつぶしながらその外周面上を移動する。そのため、チューブとローラの間に働く摩擦力によって、チューブはその入口側から出口側に引きずられる。このため、チューブの入口側端部が液体の供給源(タンクなど)のコネクタから外れないように、チューブの入口側端部とコネクタを強固に固着させる必要がある。
【0006】
チューブの入口側端部がコネクタに固着しているため、チューブとローラの間に働く摩擦力によって、チューブは長さ方向の引張荷重を受ける。この引張荷重がチューブとローラに働く摩擦力を超えると、ローラがチューブ上を滑るか転がるかして、引張荷重が緩和される。そして、ローラが移動すると、摩擦力が発生して再びチューブに引張荷重が加わる。このように、チューブに加わる引張荷重は周期的に変動する、すなわちチューブには繰り返し荷重が加わることになるため、チューブは比較的短時間のうちに疲労破壊を起こす可能性がある。このため、従来のチューブポンプにおいては、比較的高い頻度でチューブを交換する必要があった。
【0007】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、チューブの寿命が長く、チューブの交換頻度の低いチューブポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明のチューブポンプにおいては、ハウジングの一部に、円筒内周面の周方向に沿って内歯歯車を形成し、チューブと接触しないローラの円筒面に、ローラを自転させる為、内歯歯車と係合する外歯歯車をその周方向に形成し、少なくともハウジングの円筒内周面においてローラがチューブと接触を始める入口側領域とローラがチューブとの接触を終了する出口側領域には内歯歯車を形成しない。
【0009】
ここで、ハウジングが、その一面側にローラ及びチューブが配置される板状のベースと、ローラ及びチューブを収容し且つベースの一面を覆うようにベースに取り付けられるキャップとから成る構成としてもよい。
【0010】
ここで、内歯歯車がキャップに形成されている。或いは、内歯歯車はベースに形成されている。
【0011】
また、ローラの円筒面に形成された外歯歯車のピッチ円の径が、前記ローラにおいて前記チューブと当接する円筒面の径と等しい構成とすることが好ましい。
【0012】
また、本発明のチューブポンプにおいては、ハウジング内にローラをハウジングの円筒内周面に沿って公転させるためのローラ支持部材を設け、ローラ支持部材に前記ローラをその軸回りに回転可能に支持する軸部を設け、この軸部に軸支されるローラの軸受穴は手前側が太径部で奥側が細径部となる段差付きであり、ローラ支持部材の軸部も又軸受穴の太径部及び細径部のそれぞれに摺動可能に嵌合する段差付きの軸である。
【0013】
また、軸受穴の太径部とローラ支持部材の軸部との間の隙間が軸受穴の細径部とローラ支持部材の軸部との間の隙間より大きい構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のチューブポンプによれば、ローラを公転させると、ハウジングに設けられた内歯歯車とローラに設けられた外歯歯車との係合により、ローラが自転するようになっている。このため、ローラはチューブ上を転がりながら公転することになり、チューブに加わる摩擦力の大きさは小さくなる。これにより、上記摩擦力に起因するチューブへの引張荷重もまた小さなものとなる。また、チューブがローラに殆ど押しつぶされていない状態で自転するローラがチューブに接触すると、チューブがローラに巻き込まれ、出口側端部から入口側端部に向かう引張荷重がチューブに加わるが、本発明のチューブポンプにおいては、ハウジングの円筒内周面においてローラがチューブと接触を始める入口側領域とローラがチューブとの接触を終了する出口側領域には内歯歯車は形成されていないため、チューブがローラに巻き込まれることはない。このように、本発明のチューブポンプにおいては、チューブとローラとの間の摩擦力による引張荷重も、チューブがローラに巻き込まれることによって生じる引張荷重も発生しないため、チューブが疲労破壊しにくくなり、チューブの寿命を長いものとすることができる。また、チューブに加わる引張荷重の大きさが小さいものとなるため、チューブの入口側端部及び出口側端部をコネクタに強固に固着させる必要はなく、液体輸送システムへのチューブポンプの組み込みが容易なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本発明の第1の実施の形態のチューブポンプの正面図である。
【図2】図2は図1のI−I断面図である。
【図3】図3は図2のII−II断面図である。
【図4】図4は本発明の第2の実施の形態のチューブポンプの側断面図である。
【図5】図5は本発明の第2の実施の形態のローラのローラ本体及び歯車部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態のチューブポンプの正面図を示したものである。また、図2は、図1のI−I断面図である。
【0017】
図1及び2に示されるように、本実施形態のチューブポンプ1は、ベース10、キャップ20、一対のローラ30、ローラ支持部材40及びチューブ50を有する。チューブ50の入口側端部51は液体供給源(タンクなど)にコネクタを介して接続されるものであり、液体供給源から供給される液体は、チューブポンプ1によってチューブ50の出口側端部52に転送される。
【0018】
ベース10は、略円盤形状の部材であり、その一面15(図2中左側)には、円環形状の溝11(図2)が形成されている。この溝11には、キャップ20内に配置される一対のローラ30のベース10側端部(図2中右側)から突出した突出部31が差し込まれる。突出部31は前記円環形状の溝11に対して摺動可能であり、該溝11が突出部31をガイドすることにより、ローラ30の運動は、この溝11に沿った周回運動(公転)と、ローラ30の軸周りの回転(自転)のみに制限される。
【0019】
キャップ20は、ベース10の一面15を覆うようにベース10に着脱自在に取り付けられる片端閉塞の円筒形状の部材であり、その円筒外周面には入口管21及び出口管22が形成されている。チューブ50は、キャップ20の円筒内周面23に沿って配置されており、その入口側端部51及び出口側端部52は入口管21及び出口管22を介してキャップ20の外部に露出している。
【0020】
ローラ支持部材40は、図2に示されるように、主軸41と、先端部41aの近傍でキャップ20の半径方向に突出している一対のアーム42と、アーム42の中途から主軸41の基端部41bに向かう方向(図中右方向)に突出する一対の副軸43を有する。
【0021】
ベース10の略中央には貫通孔12が形成されており、主軸41はこの貫通孔12に摺動可能に差し込まれる。また、キャップ20の閉塞側の内周底面24の略中央には、主軸41の先端部41a(図2中左側)が摺動可能に差し込まれるようになっている軸受部25が形成されている。主軸41は、基端部41b(図2中右側)側と先端部41a側の双方が、夫々ベース10の貫通孔12及びキャップ20の軸受部25に回転可能に保持され、その軸周りに回動可能となっている。
【0022】
なお、主軸41の基端部41aには、図示しないモータの駆動軸が図示しない減速ギアボックスを介して接続されており、モータによって主軸41を回転させることができるようになっている。
【0023】
ローラ30のキャップ20側(図2中左側)には、ローラ30の軸方向に延びる軸受穴32が形成されており、副軸43は、この軸受穴32に摺動可能に差し込まれ、これによりローラ30は副軸43に対して回動可能に支持される。
【0024】
ここで、副軸43は、基端側の太径部43aと、先端側の細径部43cと、太径部43aと細径部43cとの間に配置された中径部43bとを有する段差付き円柱形状となっている。軸受穴32もまた、副軸43に対応した段差付きの形状となっている。副軸43の基端側を太径として副軸43の曲げ剛性を大きくしているため、副軸43がチューブ50の弾力に対して殆ど弾性変形しないようになっている。このため、ローラ30は、十分に大きい荷重でチューブ50をキャップ20の円筒内周面23に押しつけて、漏れなくチューブ50を押しつぶすことができる。
【0025】
一方、ローラ30の軸受穴32において太径となっている(すなわち、ローラ30が薄肉となっている)箇所は、副軸43の太径部43aに対応する手前側部分のみであり、軸受穴32の奥側は細径であり、その部分におけるローラ30は肉厚となっている。このように、本実施形態のローラ30は、全体としては十分に肉厚となっており、チューブ50の弾力に十分耐えられるだけの剛性を有している。
【0026】
なお、本実施形態においては、上記のように副軸43及び軸受穴32を段差付きの円柱形状としているが、副軸43をテーパ軸とし、且つ軸受穴32をテーパ穴としてもよい。ただし、副軸43及び軸受穴32をテーパ形状とすると、チューブ50の弾力によってローラ30に半径方向の荷重が加わった時に、副軸43をローラ30から離す方向の分力が発生するため、本実施形態のように副軸43及び軸受穴32を段差付きの円柱形状とすることがより望ましい。
【0027】
以上説明した構成のローラ支持部材40の主軸41を外部のモータによって回転駆動すると、ローラ30は、主軸41を中心に所定方向(図1中時計回り方向)に公転する。図1及び2に示されるように、ローラ30は、キャップ20の円筒内周面23との間でチューブ50を挟み込んで押しつぶしながら公転し、これによってチューブ50は蠕動運動をする。この蠕動運動によって、チューブ50内の液体が、入口側端部51から出口側端部52に向かって転送される。
【0028】
本実施形態のチューブポンプ1は、ローラ30とチューブ50との間に働く摩擦力を低減させるために、ローラ30を自転させる機構を有している。以下、ローラ自転機構について説明する。
【0029】
図3は、図2にII−II断面図である。図2及び3に示されるように、ローラ30のローラ円筒面の一部には、外歯歯車33が形成され、また、キャップ20の円筒内周面23の一部には前記外歯歯車と噛み合う内歯歯車26が形成されている。ローラ支持部材40の主軸41を回転させると、ローラ30の外歯歯車33とキャップ20の内歯歯車26との係合により、ローラ30はその公転に伴って、公転方向とは逆方向(図1中反時計回り)に自転する。この自転により、ローラ30は、チューブ50の外周面上を転がりながら移動することになり、チューブ50とローラ30との間に働く摩擦力が大幅に軽減される。
【0030】
ローラ30の自転によるローラ円筒面34(図1、図2)の周速と、ローラ30の公転によるローラ円筒面34の周速を等しくするため、ローラ円筒面34の径と、外歯歯車33のピッチ円33aの径は等しくなっている。このため、ローラ30はチューブ50上で滑ることなく転がり、両者の間に働く摩擦力は極めて小さくなる。
【0031】
本実施形態のチューブポンプ1は、チューブ50とローラ30との間に働く摩擦力の大きさが小さいため、チューブ50の入口側端部51及び出口側端部52をチューブポンプ1の外部のコネクタと接続する際に、外れないように各端部をコネクタに固着させなくても、ローラ30とチューブ50との間に働く摩擦力によってチューブ50が入口側端部51側から出口側端部52側に引っ張られてチューブ50がコネクタから外れることはない。また、チューブ50に加わる負荷が小さくなるため、チューブ50が疲労破壊しにくくなり、チューブ50の長寿命化が実現される。
【0032】
さらに、ローラ30とチューブ50との間に働く摩擦力によってチューブ50が入口側端部51から出口側端部52に向けて引っ張られることも、この引張に対するチューブ50の弾力によってローラ30がチューブ50上で滑ることもない。このため、複数本のチューブをローラ30で蠕動させ、各チューブに供給される液体を転送するような場合に、ローラ30と特定のチューブの滑りによって特定のチューブ内の液体の転送のタイミングが他のチューブ内の液体の転送のタイミングからずれることは無い。すなわち、本実施形態のチューブポンプ1は、複数本のチューブに供給される液体の転送のタイミングの同期を取りながら、液体の転送を行うことが可能である。
【0033】
また、図1及び3に示されるように、公転するローラ30がチューブ50と接触を始める入口管21近傍の領域αと、ローラ30とチューブ50との接触が終わる出口管22近傍の領域βには、内歯歯車26は形成されていない。領域α及びβの位置でローラが自転しているとローラ30の自転にチューブ50が巻き込まれてチューブ50が出口側端部52から入口側端部51に向けて引っ張られるが、本実施形態においては、少なくとも領域α及びβの位置では、キャップ20の円筒内周面23には内歯歯車26が形成されていない為、ローラ30の外歯歯車33は内歯歯車26と係合せず、自転しないので、このため、本実施形態のチューブポンプ1においては、領域α及びβの位置でローラ30にチューブ50が巻き込まれることはない。
【0034】
以上説明した本発明の第1の実施の形態においては、ローラ30の外歯歯車33に係合する内歯歯車26がキャップ20に形成されていたが、本発明は上記の構成に限定されるものではない。以下に説明する本発明の第2の実施形態に示されるチューブポンプのように、ベース10に内歯歯車が設けられる構成としてもよい。尚、この第2の実施形態においても、少なくとも前記領域α及びβの位置においては、ベース10に内歯歯車が形成されていないのは、第1の実施形態と同様である。
【0035】
本発明の第2の実施形態によるチューブポンプ1’の側断面図(図1のI−I断面図に相当するもの)である。なお、本実施形態のチューブポンプ1’と第1の実施形態のチューブポンプ1とは、ベースとキャップのどちらに内歯歯車が形成されているか、及びこれに伴うローラの構成を除いて同一である。そのため、以下の説明においては、第1の実施形態と同様の部材については第1の実施形態のものと同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0036】
本実施形態のチューブポンプ1’においては、チューブ50を蠕動させるためのローラ130が、キャップ20側(図4中左側)に配置されたローラ本体131と、ベース10側(図中右側)に配置された歯車部132とに分かれている。ローラ本体131と歯車部132は、後述する連結機構によって一体に連結されており、歯車部132がベース10設けられた内歯歯車と噛み合うことによって、ローラ130全体をその軸回りに自転させることができるようになっている。
【0037】
ローラ本体131はローラ円筒面131aを有し、このローラ円筒面131aがキャップ20の円筒内周面23との間でチューブ50を押しつぶすようになっている。ローラ本体131のキャップ20側の端部には、ベース10側に向かって延びる軸受穴131bが形成されており、チューブポンプ1’のローラ支持部材40の副軸43がこの軸受穴131bに差し込まれる事により、ローラ本体131は副軸43に対して回転可能に支持される。
【0038】
ベース10の一面(図中左側)には、円形の凹部16が形成されている。また、凹部16の底面に、円環形状の溝11が形成されている。この溝11には、歯車部132のベース10側端部から突出した突出部132aが差し込まれる。突出部132aは溝11に対して摺動可能であり、溝11が突出部132aをガイドすることにより、ローラ30の運動は、この溝11に沿った周回運動(公転)と、ローラ130の軸周りの回転(自転)のみに制限される。
【0039】
歯車部132の円筒面には、外歯歯車132bが形成されている。また、ベース10の凹部16の円筒内周面に内歯歯車16aが形成されている。ローラ支持部材40の主軸41を回転させると、その回転運動がローラ130に伝わってローラ130が公転する。そして、歯車部132の外歯歯車132bとベース10の内歯歯車16aとの係合により、ローラ130の公転に伴って、ローラ130は、公転方向とは逆方向に自転する。
【0040】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様、ローラ130の自転によるローラ円筒面131aの周速と、ローラ130の公転によるローラ円筒面131aの周速を等しくするため、ローラ円筒面131aの径と、外歯歯車132bのピッチ円の径は等しくなっている。このため、ローラ130はチューブ50上で滑ることなく転がり、両者の間に働く摩擦力は極めて小さくなる。
【0041】
ローラ130のローラ本体131と歯車部132の連結機構について以下に説明する。図5は、ローラ本体131のベース10側端部及び歯車部132のキャップ20側端部を示す斜視図である。図5に示されるように、ローラ本体131のベース10側端面131cには、ローラ本体131の軸方向に延びる十字形状の連結孔131dが形成されている。また、歯車部132のキャップ20側端面132cには、歯車部132の軸方向に延びる十字形状の係合突起132dが形成されている。そして、係合突起132dを連結孔131dに嵌め込む事により、ローラ本体131と歯車部132が同軸に連結され、ローラ130が形成される。
【符号の説明】
【0042】
1、1’ チューブポンプ
10 ベース
16a 内歯歯車
20 キャップ
23 円筒内周面
26 内歯歯車
30 ローラ
32 軸受穴
33 外歯歯車
34 ローラ円筒面
40 ローラ支持部材
41 主軸
42 アーム
43 副軸
43a 太径部
43b 中径部
43c 細径部
50 チューブ
130 ローラ
131 ローラ本体
131a ローラ円筒面
131b 軸受穴
132 歯車部
132b 外歯歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの円筒内周面と該円筒内周面に沿って公転する少なくとも1つ以上のローラとの間に収容されたチューブを、前記ローラの公転運動に伴って蠕動させることにより、前記チューブの入口端部から送り込まれた液体を前記チューブの出口側端部に転送するチューブポンプであって、
前記ハウジングの一部に、前記円筒内周面の周方向に沿って内歯歯車を形成し、
前記チューブと接触しない前記ローラの円筒面に、該ローラを自転させる為、該内歯歯車と係合する外歯歯車をその周方向に形成し、
少なくとも前記円筒内周面において前記ローラが前記チューブと接触を始める入口側領域と前記ローラが前記チューブとの接触を終了する出口側領域には、前記内歯歯車を形成しない
ことを特徴とするチューブポンプ。
【請求項2】
前記ハウジングが、その一面側に前記ローラ及び前記チューブが配置される板状のベースと、該ローラ及びチューブを収容し該ベースの一面を覆うように該ベースに取り付けられるキャップとから成ることを特徴とする請求項1に記載のチューブポンプ。
【請求項3】
前記内歯歯車が前記キャップに形成されていることを特徴とする請求項2に記載のチューブポンプ。
【請求項4】
前記内歯歯車が前記ベースに形成されていることを特徴とする請求項2に記載のチューブポンプ。
【請求項5】
前記ローラの円筒面に形成された外歯歯車のピッチ円の径が、前記ローラにおいて前記チューブと当接する円筒面の径と等しいことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のチューブポンプ。
【請求項6】
ハウジングの円筒内周面と該円筒内周面に沿って公転する少なくとも1つ以上のローラとの間に収容されたチューブを、前記ローラの公転運動に伴って蠕動させることにより、前記チューブの入口端部から送り込まれた液体を前記チューブの出口側端部に転送するチューブポンプにおいて、
前記ハウジング内には、前記ローラをハウジングの円筒内周面に沿って公転させるためのローラ支持部材を設け、
該ローラ支持部材には、前記ローラをその軸回りに回転可能に支持する軸部を設け、
前記軸部に軸支されるローラの軸受穴は、手前側が太径部で奥側が細径部となる段差付きであり、
前記ローラ支持部材の軸部も、前記軸受穴の太径部及び細径部のそれぞれに摺動可能に嵌合する段差付きの軸である
ことを特徴とするチューブポンプ。
【請求項7】
前記軸受穴の太径部とローラ支持部材の軸部との間の隙間が前記軸受穴の細径部とローラ支持部材の軸部との間の隙間より大きいことを特徴とする請求項6に記載のチューブポンプ。
【請求項8】
前記ハウジングの一部に、前記円筒内周面の周方向に沿って内歯歯車を形成し、
前記チューブと接触しない前記ローラの円筒面に、該ローラを自転させる為、該内歯歯車と係合する外歯歯車をその周方向に形成し、
少なくとも前記円筒内周面において前記ローラが前記チューブと接触を始める入口側領域と前記ローラが前記チューブとの接触を終了する出口側領域には、前記内歯歯車を形成しない
ことを特徴とする請求項6又は7に記載のチューブポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−196538(P2010−196538A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40598(P2009−40598)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(592077992)株式会社ウエルコ (9)