説明

チューブポンプ

【目的】 移送能力及び定量性を向上でき、チューブ交換までの期間を大幅に延長できるチューブポンプを提供すること。
【構成】 吸込用口305と吐出用口307とが開口された密閉空間303を有するケーシング3と、弾性を有する部材から形成され、前記密閉空間303内でケーシング3の壁部301に沿って延設されて一端が前記吸込用口305に他端が吐出用口307に配置されたチューブ5と、前記密閉空間303に配設された回転体7と、前記回転体7に取着され、該回転体7の回転により前記吸込用口305側から吐出用口307側に向かい前記チューブ5を前記壁部301に押圧しつつ移動するローラ9と、前記密閉空間303に連通し該密閉空間303を負圧に保つ負圧器11とを備える。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はチューブポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】チューブポンプは、従来、チューブが大気圧の下に置かれ、被移送流体の吸引、吐出は専らチューブ自体の弾性的復元力に基ずいて行なわれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このようなポンプの作動原理では、移送能力及びその定量性はチューブの劣化に伴い大きく変動してしまう。そのため、従来のチューブポンプでは、チューブの材質や、肉厚の選定に注意を要しなければならず、また、比較的短期間でチューブの交換をしなければならない不具合があった。本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、移送能力及び定量性を向上でき、チューブ交換までの期間を大幅に延長できるチューブポンプを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため本発明は、吸込用口と吐出用口とが開口された密閉空間を有するケーシングと、弾性を有する部材から形成され、前記密閉空間内でケーシングの壁部に沿って延設されて一端が前記吸込用口に他端が吐出用口に配置されたチューブと、前記密閉空間に配設された回転体と、前記回転体に取着され、該回転体の回転により前記吸込用口側から吐出用口側に向かい前記チューブを前記壁部に押圧しつつ移動するローラと、前記密閉空間に連通し該密閉空間を負圧に保つ負圧器とを備えることを特徴とする。
【0005】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。図1は本発明に係るチューブポンプの断面正面図を示す。1はチューブポンプで、チューブポンプ1はケーシング3と、チューブ5と、回転体7と、ローラ9と、負圧器11で構成されている。ケーシング3は壁部301により形成された密閉空間303を有し、壁部301には密閉空間303に連通する吸込用口305と吐出用口307とが並設され、更に、これらの開口305,307の近傍で下方箇所に負圧用口309が形成されている。尚、ケーシング3の形状は円筒形でも良く、或は球形でも良く、回転体7やローラ9の形状は、このようなケーシング3の形状に対応して決定される。
【0006】前記チューブ5は弾性を有する部材により形成されている。前記チューブ5は前記壁部301の内面に沿って配設され、一端が前記吸込用口305に、他端が前記吐出用口307に夫々継手部材13A,13Bを介して取着されている。尚、この継手部材13A,13Bには、例えば、被移送流体が充填されたタンクに接続するホース15Aと、被移送流体の移送場所に接続するホース15Bが連結される。
【0007】前記回転体7は前記密閉空間303の中心O1 を中心として回転可能に配設され、回転体7はモータ等の駆動源により、図1中、反時計回りで吸込用口305側から吐出用口307側に回転される。回転体7の外周は、前記チューブ5の内側に沿った輪郭で形成され、前記回転体7の外周で周方向に180度位相をずらした箇所に、夫々欠部701が形成されている。
【0008】前記ローラ9は二つ設けられ、前記欠部701に軸703を介して回転可能に配設されている。前記ローラ9の径は、図1に示すように、チューブ5を壁部301に押圧しチューブ5を閉塞させる大きさで形成されている。回転体7の回転によりローラ9が前記吸込用口305側から前記吐出用口307側にチューブ5を押圧しつつ移動し、これによりホース15A、吸込用口305から被移送流体が吸引され、吐出用口307、ホース15Bから吐出される。
【0009】更に、このようにチューブ5、回転体7、ローラ9が配設された密閉空間303には流体が充填され、前記密閉空間303と前記負圧器11は、前記負圧用口309に連結した管体1101を介して接続されている。尚、前記流体としては、水や油等の液体や、空気等の気体を用いることができる。前記負圧器11は、前記管体1101に連通するシリンダ1103と、シリンダ1103に嵌装されたピストン1105と、前記管体1101内の流体を引っ張る方向に前記ピストン1105を付勢するコイルスプリング1107とで構成されている。
【0010】本実施例によれば、ケーシング3の密閉空間303は負圧器11により負圧に保たれ、チューブ5には常にその断面を拡大する方向に力が働き、従って、回転体7の回転によるローラ9の移動時、チューブ5自体の弾性による復元力に頼ることなく負圧による被移送流体の吸引が可能となる。従って、チューブポンプ1の移送能力及び定量性を向上でき、また、チューブ交換までの時間を大幅に延長できる。
【0011】更に、実施例では、負圧が作用する負圧用口309を吸込用口305の近傍に配置したので、被移送流体を吸引するチューブ5部分に負圧が有効に働き、チューブポンプ1の移送能力及び定量性を向上する上で有利となる。
【0012】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明によれば、密閉空間を有するケーシングと、前記密閉空間内でケーシングの壁部に沿って延設されたチューブと、前記密閉空間に配設された回転体と、前記回転体の回転により吸込用口側から吐出用口側に向かい前記チューブを前記壁部に押圧しつつ移動するローラと、前記密閉空間に連通し該密閉空間を負圧に保つ負圧器とでチューブポンプを構成したので、チューブポンプの移送能力及び定量性を向上でき、チューブ交換までの期間を大幅に延長することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】チューブポンプの断面正面図である。
【符号の説明】
1 チューブポンプ
3 ケーシング
5 チューブ
7 回転体
9 ローラ
11 負圧器

【特許請求の範囲】
【請求項1】 吸込用口と吐出用口とが開口された密閉空間を有するケーシングと、弾性を有する部材から形成され、前記密閉空間内でケーシングの壁部に沿って延設されて一端が前記吸込用口に他端が吐出用口に配置されたチューブと、前記密閉空間に配設された回転体と、前記回転体に取着され、該回転体の回転により前記吸込用口側から吐出用口側に向かい前記チューブを前記壁部に押圧しつつ移動するローラと、前記密閉空間に連通し該密閉空間を負圧に保つ負圧器と、を備えることを特徴とするチューブポンプ。

【図1】
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【公開番号】特開平5−321846
【公開日】平成5年(1993)12月7日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−155896
【出願日】平成4年(1992)5月22日
【出願人】(000112668)株式会社フジタ (20)