説明

チョコレートアイスクリーム代用品

【課題】米を材料としてチョコレートに対するアレルギーを有する者にとっても安全なチョコレートアイスクリーム代用品を提供すること。
【解決手段】オーブン等により精白米を加熱して、少なくともその一部分が黒く焼け焦げた状態にまで焼き上げ、その後冷却した後フードミル等により粉末化した焦げ焼き米粉を製造する。これを副材料として、主材料である牛乳及び/又は生クリームと、卵と、砂糖と共にかき混ぜ、冷却し、冷凍してチョコレートアイスクリーム代用品を製造することができる。更に生クリームの代わりにプロセスチーズを使用し、またクエン酸等をも混入させることによって本物のチョコレートアイスクリームにより近い代用品ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精白された米を材料として製造したチョコレートアイスクリーム代用品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の物品に関連する技術としては、下記特許文献1に記載された「穀類茶飲料の製造方法」を挙げることができる。
この文献に記載の発明においては、焦げ臭さや雑味が除去でき、香ばしい香りのみで、まろやかですっきりした穀類茶飲料の製造方法を提供するものである。
その要旨とするところは、穀類茶飲料の製造方法において、穀類茶原料を還元性物質の存在下で温水により抽出する工程を有することを特徴とするものである。
【0003】
また、下記特許文献2に記載された「籾粉末含有加工品」においては、糖質、蛋白質、ビタミン類、脂質、ミネラル類、食物繊維などをバランスよく含む籾粉末を含有させた各種の加工品に関するものが開示されている。
この文献には、籾を水洗し、殺菌処理を施し、その後焙煎処理をした後に粉末化された籾粉末を各種の加工品に含有させることが記載されている。
このように、従来においては、穀類を原料とした茶飲料や、籾粉末を利用した各種の加工品の発明があるが、前者においては、その茶飲料を製造するに当り、焦げ臭さや雑味を排除させること、後者においては、籾に含まれる各種栄養素を有効に利用する点がその目的であった。
【特許文献1】特開2000−116364号公報
【特許文献2】特開平11−9199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の先行技術とは異なる観点から、本発明者は、アレルギー患者にとっても飲食することが出来るコーヒー飲料代用品及び醤油代用品を創案して、先に特願2007−121976号として提案している。
この先に提案した発明においては、精白米を加熱し、これらの米が膨張して少なくともその一部分が黒く焼け焦げた状態にまで焼き上げ、その後冷却した後、フードミル等により粉末化した「焦げ焼き米粉」を使用したコーヒー飲料代用品及び醤油代用品であった。
本発明においては、先に提案した「焦げ焼き米粉」が更に他の食品に応用できないかを鋭意研究し、各種のアレルギー患者にとっても食することのできる更に他の食品代用品を創案することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、主材料として、牛乳及び/又は生クリームと、卵と、砂糖とを使用し、副材料として、バニラエッセンス、ペパーミント、チョコレート、又はコーヒー等を使用し、これらをかき混ぜ、冷却し、冷凍して製造される各種アイスクリームにおいて、副材料として、上記副材料に代えて、精白米を相互に少しの間隔を保った状態で熱源に近づけ、これらの米が膨張して少なくともその一部分が黒く焼け焦げた状態にまで加熱をして焼き上げ、その後冷却した後、フードミル等により粉末化した焦げ焼き米粉を使用したことを特徴とするチョコレートアイスクリーム代用品である。
【0006】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、主材料の生クリームの代わりにプロセスチーズを使用し、更にクエン酸、イタコン酸、乳酸、りんご酸、酒石酸、アスコルビン酸、フマル酸、コハク酸、塩酸等の食品添加物としての有機酸又は無機酸から選ばれた少なくとも一種を加えたことを特徴とするチョコレートアイスクリーム代用品である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の第1のものにおいては、お米を従来のように焙煎するというのではなく、精白された米を用いて、その米を直接加熱するのであって、しかも、少なくともその一部を焦がす程度まで熱を加えることにより、苦味を付与させ、これを粉末化することによって焦げ焼き粉末を製造し、この焦げ焼き米粉を副材料としてチョコレートアイスクリームに非常に近い味の代用品を製造することができたものである。
勿論、米を焦がす程度は、好みに合わせて行うことができ、苦味の強いチョコが好きな者にとっては、米全体が焦げた状態にまで焼き上げた後に、粉体化してもよい。
【0008】
このチョコレートアイスクリーム代用品は、チョコレートの香りこそ有していないものの、チョコレートアイスクリームと同様の味を有しており、本発明は、焦げ焼き米粉からチョコレートアイスクリーム代用品を提供することができた。
これにより、チョコレート或はカカオに対してアレルギーを有する者にとっても、チョコレートアイスクリームを食することができるようになるものである。
また、本発明においては、焦げ焼き米粉を利用してチョコレートアイスクリーム代用品を製造するという今までに全く思いも寄らないアイディアから生まれたもので、いわば一種の用途発明とも言えるものである。
【0009】
本発明の第2のものにおいては、チョコレートアイスクリーム代用品にクエン酸等の食品添加物としての有機酸又は無機酸を添加したことにより、やや酸味が付加され、深みとコクのあるチョコレートアイスクリーム代用品となる。
更に、生クリームの代わりにプロセスチーズを使用しているために、チーズ本来が持っている複雑な臭いや味がチョコレートに似ているため、より本物のチョコレートアイスクリームに近似する味わいを付加することができたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。
先ず、お米としては、うるち米の精白した無洗米を使用する。
無洗米を使用するのは、便利さのためであると共に、糠に対するアレルギーを有する者を考慮したためであるが、通常の精白米を使用してもよいことは勿論である。また、もち米を使用して製造することもできる。
【0011】
このうるち米を、相互に少し間隔を開けた状態でアルミ箔上に載置し、オーブンに入れる。
ここでお米を相互に少し間隔を開けたのは、お米を加熱すると2.5倍程度に膨張するからであり、間隔を開けずに加熱すると、お米同士が重なり合って加熱が不十分なものができるからである。
またお米を加熱すると糊化する性質があり、相互にくっついてしまうため、その場合には余計に加熱が不十分になるからである。
オーブンは、上下に熱源のあるものが最適で、少なくとも600W程度のものが好ましい。
勿論、お米を焼き上げる装置は、種々のタイプのオーブンを利用することができるが、家庭ではオーブントースターでも製造可能である。また、アルミ箔を使用せずに、網状のネットを使用することもできる。
【0012】
オーブンの電源を投入して、加熱を開始する。
暫くすると、うるち米は膨張してくる。
更に加熱を続けて行くと、表面が茶色に変色してくる。
その後、更に膨張すると共に、焦げが始まり、部分的に黒く変色してくる。
このような一部黒く焦げて来た状態で、膨張してまだ茶色の部分が部分的に残っている程度で電源を切り、加熱を停止する。
【0013】
このとき、米粒は、最初の状態の約2.5倍程度の大きさに膨張している。
この状態が、最適の焼け焦げ状態である。
このような最適の焼け焦げ状態になるまでに要する時間は、概ね6分程度である。
尚、この焼け焦げ状態は、好みに応じて、変更させることができる。即ち、苦いものが好みの者は、この焼け焦げ状態を更に進行させて、米粒の全体がほぼ黒く焦げた状態まで焼き上げるのも自由である。
【0014】
上記最適状態に焼き上げられた米粒を、今度は放冷する。
加熱直後は、まだの糊のようになっており いわゆる「なましい」状態で上手く粉砕できないためである。
冷えると餅が固まったような状態になり、粉砕が容易となる。
この冷却の際、焼き上げられた米粒の内、過剰に加熱され過ぎて炭化してしまったもの、及び未だ加熱が不足しているものを除去する。
最適に加熱され、焼き上げられた米粒は、指で簡単に潰すことができる程度の硬さである。
次に、この焼き上げられた米粒を、ミキサー或はフードプロセッサー等で粉末化する。
フードプロセッサーを用いれば、3秒程度で粉末化が可能である。
【0015】
このようにして、粉末化されたものが「焦げ焼き米粉」(以下同じ)である。
この焦げ焼き米粉を副材料としてチョコレートアイスクリーム代用品を製造することができる。
以下は、約4人分(一人約100ml程度として)の分量と製法である。
(1) 鍋に、牛乳100ml、全卵2個、プロセスチーズの砕片15gを入れ、ゆっくり混ぜながら暖める。
(2) 柔らかく固まった後、火を止め、冷ます。
(3) これをミキサーに入れ、上記の「焦げ焼き米粉」約30g、砂糖150g、クエン酸0.3g程度を加え、攪拌する。なるべく泡立てる方が好ましい。
(4) 冷蔵庫で予冷して、最後に再度攪拌して、アイスクリームメーカーに入れ、冷凍庫で急冷する。
【0016】
以上で2時間から4時間程度でチョコレートアイスクリーム代用品が出来上がる。
尚、上記(4) で最終攪拌を十分に行うことにより、アイスクリームメーカーを使用せずに、そのまま冷凍庫に入れることによってもチョコレートアイスクリームを製造することもできる。
上記(1) で主材料として使用したプロセスチーズを使用せずに生クリームを使用することも可能であり、更には、生クリーム或はプロセスチーズを使用せずに牛乳により本発明のチョコアイス代用品を製造することもできる。
また、クエン酸の代わりに、イタコン酸、乳酸、りんご酸、酒石酸、アスコルビン酸、フマル酸、コハク酸、塩酸等の食品添加物としての有機酸又は無機酸のうちの何れか一種を使用してもよい。
【0017】
このように、本発明においては、米を焼き上げて、少なくともその一部を焦げた状態とし、これを粉末化した焦げ焼き米粉を用いて、チョコレートアイスクリーム代用品を製造したことがその要旨となる。
これにより、チョコレートに対して食品アレルギー症状を呈する者であっても、これを安全に食することができるのである。
以上、本発明は、米という食材に着目して焦げ焼き米粉を製造し、これを適宜応用することによりこれまでにない新しい用途としてのチョコレートアイスクリーム代用品を創案し、チョコレートに対するアレルギーを有する者にとっても安心して食することのでき、本物のチョコレートアイスクリームに劣らないチョコレートアイスクリーム代用品を提供し得たものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主材料として、牛乳及び/又は生クリームと、卵と、砂糖とを使用し、
副材料として、バニラエッセンス、ペパーミント、チョコレート、又はコーヒー等を使用し、これらをかき混ぜ、冷却し、冷凍して製造される各種アイスクリームにおいて、
副材料として、上記副材料に代えて、精白米を相互に少しの間隔を保った状態で熱源に近づけ、これらの米が膨張して少なくともその一部分が黒く焼け焦げた状態にまで加熱をして焼き上げ、その後冷却した後、フードミル等により粉末化した焦げ焼き米粉を使用したことを特徴とするチョコレートアイスクリーム代用品。
【請求項2】
主材料の生クリームの代わりにプロセスチーズを使用し、更にクエン酸、イタコン酸、乳酸、りんご酸、酒石酸、アスコルビン酸、フマル酸、コハク酸、塩酸等の食品添加物としての有機酸又は無機酸から選ばれた少なくとも一種を加えたことを特徴とする請求項1に記載のチョコレートアイスクリーム代用品。