説明

チョコレートボールの表面を溶かしてスナックチップ又は堅果類チップをかぶせたチョコレートボールの製造方法

【課題】チョコレートボールの表面を溶かしてスナックチップ又は堅果類チップを表面に付着させて堅固にコーティングさせることで商品形態の差別性と機能性を付与したチョコレートボールの製造方法を提供する。
【解決手段】チョコレートボールの製造方法において、チョコレートセンターに30〜100℃の熱風を1〜60分間加えてセンターの表面を溶かす段階と、スナックチップ又は堅果類チップを製品重量対比1〜40重量%投入する段階と、5〜10℃の冷風を5〜30分間加えてセンターの表面に前記チップをコーティングさせる段階とを含めてからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチョコレートボールの表面を溶かしてスナックチップ又は堅果類チップをかぶせたチョコレートボールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来チョコレートボールを製造する際、チョコレートのコーティング方法は単純にチョコレートのみをコーティングした製品、又はチョコレートボールセンターに堅果類チップやスナックチップのコーティングする場合、固まっていないチョコレートをかぶせた状態でスナック又は堅果類を振りかけたり転がして、表面に少量かぶせる方式にて製品を製造していた。
【0003】
このようなコーティング方法は一時的に堅果類チップやスナックチップをチョコレートに付着させることで、製品生産後、消費者がチョコレートボール製品を購入して製品の包装を開封する際、包装容器内にチップのかすが多量に発生し、このような理由でチョコレートボール製品自体のクランチ感が相当に落ちるため消費者の嗜好を充足させることができないという問題点があった。
なお、特許を受けようとする者は、出願時に本発明の先行技術となる文献を知らないから、先行技術文献を記載しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の発明者は前記のような点を解決するために研究努力した結果、スナックチップ又は堅果類チップをチョコレートの表面に堅固に付着させるために、既存の液状チョコレートをかぶせた直後にチップをかぶせる方式ではなく、固体のチョコレートの表面に特定温度の熱風を加えて溶かした後、スナックチップ又は堅果類チップ等のコーティング材料を一緒に固めて堅固に付着できるチョコレートボール製品の製造方法を開発することで本発明を完成するに至った。
【0005】
従って、本発明の目的は、チョコレートボールの表面に熱を加えて表面のみを溶かした後、スナックチップ又は堅果類チップ等を表面に付着させて堅固にコーティングさせることで、商品形態の差別性と機能性を付与したチョコレートボールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、チョコレートセンターに30〜100℃の熱風を1〜60分間加えてセンター表面を溶かす段階と、スナックチップ又は堅果類チップを製品重量対比1〜40重量%投入する段階と、5〜10℃の冷風を5〜30分間加えてセンター表面に前記チップをコーティングさせる段階と、を含めてからなるチョコレートボールの製造方法をその特徴とする。
【0007】
このような本発明を更に詳しく説明すると次の通りである。
【0008】
本発明はチョコレートボールの表面に熱を加えて表面のみを溶かした後、スナックチップ又は堅果類チップ等を表面に付着させて堅固にコーティングさせることで、商品状態の差別性と機能性を付与したチョコレートボールの製造方法に関する。
【0009】
本発明によるチョコレートボールのチップコーティング方法に対する全体的な工程の流れは図1に示した通りである。
【0010】
チョコレート製品のセンターを作るのにはまず2種類の方式に分けることができる。
チョコレートセンターは、(1)純粋チョコレートのみを使用したセンターと、(2)スナックチップ又は堅果類チップを一緒に入れたセンターとを作ることができる。このとき、純粋チョコレートをセンターとしたものは追加のチョコレートコーティング工程が必要ないが、スナックチップ又は堅果類チップを入れて作ったチョコレートセンターは追加のチョコレートコーティング工程が必要となる場合がある。
【0011】
詳細な製造工程は次の通りである。
【0012】
菓子の原料は、栄養及び機能性と共に加工工程においての物性と製品の官能などで適合しなければならない。
【0013】
まず、チョコレートは立方体又は球形に作る。このとき、チョコレートはシートを形成してギロチンカッターとリングカッターなどを使用して所望する形態に切り取るか、ブックモールド又はアイスローラーで所望する形態を作る。また、センターを作る際、クランチ感を更に高めるためにチョコレートスイートと共にスナックチップ又は堅果類チップを入れた後、シートを形成して所望する形態と模様に切り取り成型したり、所望する形態のセンターを作ることができる。
【0014】
完成したチョコレートセンターをコーティングファンに入れてラウンディングさせる。このとき、表面を溶かすための温度は30〜100℃で1〜60分間、センターとなるチョコレートに熱風を吹き込む。このとき、熱風温度はチョコレートセンターの表面を溶かすことのできる程度の温度であれば良く、熱風温度と反応時間はチョコレートセンターを溶かしてスナックチップ又は堅果類チップを付着することができる程度で適当に組み合わせれば良い。熱風温度が低いほど反応時間を長く、温度が高いほど反応時間は短くしてこそセンターの模様を維持しながら表面のみを溶かすことができる。更に好ましくは、35〜70℃で1〜30分間熱風を加える。
【0015】
ラウンディングと共に熱風をコーティングファンに吹き込むと、チョコレートセンターの表面温度が29〜34℃の間で表面が溶けるようになる。このとき、表面温度はデジタル表面温度計を使用して測定した。表面温度が29℃未満の場合、表面が十分に溶けないためチップの付着がうまくいかず、34℃を超過すると、センターの表面だけでなく内部も共に溶けるためセンターの模様が維持されなかったり、センター同士が引っ付いて固まりになるという場合が発生する。
【0016】
肉眼で見たとき、表面がしっとりして見え、手で触ってみたとき、チョコレートが容易に付きはじめたら、表面に付着させるスナックチップ又は堅果類チップをコーティングファンに投入する。このとき、スナックチップ又は堅果類チップは製品重量対比1〜40重量%となるように投入する。万一、チップが1重量%未満の場合、クランチ感を得ることが難しく、40重量%より多い場合、センターの表面に付着しない損失量が増加する。
【0017】
その後、5〜10℃の冷風を1〜30分間吹き入れてチョコレートセンターを冷却させて、スナックチップ又は堅果類チップがセンターの表面に堅固に付着するようにする。
【0018】
このような過程を2〜3度反復して所望する程度のスナックチップ又は堅果類チップを表面に付着させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の製造方法によると、製造されたチョコレートボール製品は、スナック類又は堅果類をチョコレートの表面にコーティングさせる際、更に堅固に付着させることができ、自動ファンを使用して大量に製品を生産することができる。
【0020】
更に、既存製品に比べて相対的にクランチ感が更に高くなるため、消費者の嗜好に符合する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明と既存のチョコレートボール製品のコーティング方法に対するフロー図である(このとき、3段階のチョココーティングは省略することもある)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施例にて具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるわけではない。
【実施例】
【0023】
実施例1:純粋チョコレートセンターにチップをコーティングしたチョコレートボール製品の製造
下記表1の組成で構成されたチョコレートセンターはシート形成後、カッティングを通して正方形に作った。完成したチョコレートセンター200g(2g×100個)をコーティングファンに入れてラウンディングさせた。ラウンディングと共に50℃で10分間熱風をコーティングファンに入れてチョコレートセンターの表面を溶かした。30〜31℃の表面温度が測定すると、肉眼で見たときに表面がしっとりして見え、手で触ってみたとき、チョコレートが容易に付き始めた。表面が溶けたと判断したら、コーティングファンにチョコレートの表面に付着させるスナックチップ又は堅果類チップを製品重量対比15重量%投入した。7℃の冷風を15分間吹き込んで表面にスナックチップ又は堅果類チップが堅固に引っ付くようにした。このような過程を3度反復して所望する程度のスナックチップ又は堅果類チップを表面に付着させた。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
実施例2:スナックチップ又は堅果類チップをチョコレートスイートに入れてクランチ感を高めたセンターにチップをコーティングしたチョコレートボール製品の製造
下記表3の組成で構成されたチョコレートセンターはシート形成後、カッティングを通して正方形に作った。完成したチョコレートセンターをコーティングファンに入れてラウンディングさせた。ラウンディングと共に50℃で10分間熱風をコーティングファンに入れてチョコレートセンターの表面を溶かした。肉眼で見たときに表面がしっとりして見え、手で触ってみたとき、チョコレートが容易に付き始めたら、コーティングファンにチョコレートの表面に付着させるスナックチップ又は堅果類チップを製品重量対比15重量%投入した。7℃の冷風を15分間吹き込んで表面にスナックチップ又は堅果類チップが堅固に引っ付くようにした。このような過程を3度反復して所望する程度のスナックチップ又は堅果類チップを表面に付着させた。
【0027】
【表3】

【0028】
【表4】

【0029】
試験例1:付着程度の確認
既存方式にてチップコーティングした製品との付着程度の差を調べるために製品を既存方式と本発明の方式の2つの方式で作った後、筒の中に入れた後、1mの高さから自由落下させた後、チップの分離程度を確認した。センターにチョコレートのみの製品と、チップがチョコレートセンターに混ざっている製品との間では、外側のチップの分離差はなかったが、本願の方法で外側にチップをコーティングした製品と、従来方法で外側にチップをコーディングした製品とでは、分離差があることを確認することができた。
【0030】
【表5】

【0031】
前記表5に示したように、既存のコーティング方法にて生産された製品に比べ、本発明を通して生産させた製品はスナック類又は堅果類をチョコレートの表面に付着させる際、はるかに堅固に付着させることができることを確認した。
【0032】
試験例2:製品質感の確認
20〜40代の男女50名を対象にクランチ感の選好度を次のように調査した。
本発明にて製作したチョコレートボール製品は、その外形と性状において既存のチョコレートボール製品と大きな差別があった。本発明により作った製品に対するクランチ感の選好度は既存方式にて作った製品に比べて15〜85%の優位を見せた。
【0033】
【表6】

【0034】
前記表6に示したように、本発明を通して生産された製品は既存製品に比べて相対的にクランチ感が更に高くなったことを確認することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョコレートセンターに30〜100℃の熱風を1〜60分間加えてセンターの表面を溶かす段階と、
スナックチップ又は堅果類チップを製品重量対比1〜40重量%投入する段階と、
5〜10℃の冷風を5〜30分間加えてセンターの表面に前記チップをコーティングさせる段階と、
を含めてからなることを特徴とするチョコレートボールの製造方法。
【請求項2】
前記チョコレートセンターにスナックチップ又は堅果類チップが含まれることを特徴とする、請求項1記載のチョコレートボールの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2の方法にて製造されることを特徴とするチョコレートボール。

【図1】
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【公開番号】特開2010−142225(P2010−142225A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285255(P2009−285255)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(501401593)ロッテ コンフェクショナリー カンパニー リミテッド (6)
【出願人】(307013857)株式会社ロッテ (101)
【Fターム(参考)】