説明

チラシ作成システム、チラシ作成方法、及びプログラム

【課題】 消費者の消費性向に細かく対応したチラシの送付を行い、且つ、広告主にとって、広告の利用効率を高める。
【解決手段】 広告主のチラシ基本情報を登録するチラシ管理サーバ2と、チラシの商品情報と商品画像からチラシの原稿データを作成するか、または予め作成されたチラシの原稿データを登録しておくチラシ原稿登録サーバ3と、各顧客の基本情報及びチラシの希望情報が記憶された顧客データベース4と、顧客に配布するチラシを顧客情報に基づき、チラシ管理サーバに登録されているチラシ基本情報から複数選定するチラシ選定手段と、前記選定したチラシ基本情報に対応するチラシの原稿データを取得するとともに、チラシ基本情報の所在地情報から複数の店舗の所在地を示す地図を作成し、前記地図を含む共同チラシの印刷データを生成する印刷データ生成手段を備え、複数の広告主のチラシを顧客毎に選別して印刷データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個々の条件に応じてチラシ等の印刷物を作成するチラシ作成システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の新聞の折り込みチラシは、地域単位で配られるため、消費者の選択の余地が無く、各消費者にとって不要なチラシも多く含む場合が多い。その結果、折り込みチラシの受領者(消費者)は、必要なチラシを探し難かったり、不快な思いをしたりすることがあった。その一方で、広告主は、一律に折り込みチラシを配布するため、広告の印刷枚数が多く必要となるが、需要が見込めない消費者にも配布することとなり、費用に対する効果の向上が図れず、広告費に非効率が生じていた。
【0003】
この他、通信販売会社等の場合、登録された会員に対し、カタログ等の広告を送付する場合がある。また、店頭販売の事業主の場合、過去に来店した顧客に会員登録等により顧客情報を取得し、その会員に対し、来店、購買誘導を図る目的で、チラシ等を作成して送付する場合がある。
【0004】
このように、スーパーマーケットや百貨店、通信販売会社等の商品流通業が頒布するチラシは、日々の特売情報、イベント情報等が掲載されており、顧客の購買意欲を促進する効果がある。そして、このようなチラシ類の原稿は、DTP(Desk Top Publishing)の技術を利用して作成されるのが一般的である。
【0005】
例えば、特許文献1には、ダイレクトメール等の印刷物として、1つの紙面パターンを多数印刷する際に、広告の共通データであるフォームデータに、付加データを合成する合成手段を有し、1枚毎に紙面の一部が差し替えられるバリアブル印刷システム等に関する発明が開示されている。具体的には、印刷物1枚毎に差し替えられる顧客情報(顧客の名前、住所、電話番号等)がバリアブルデータとしてデータベースに保存され、バリアブルデータに含まれる地域情報等の特定情報を抽出し、この特定情報に対応する付加データを選択してフォームデータに合成して広告データを作成し、印刷装置に送信するバリアブル印刷システムが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、同一紙面上に複数の広告を同時掲載する共同広告の作成に関し、通信ネットワークを介して通信可能に接続されたユーザ端末を用いて広告依頼を受注できる共同広告印刷受注システムが開示されている。具体的には、予め蓄積された共同広告の企画情報をユーザ端末に表示させることにより、共同広告への掲載を希望する応募者が企画情報を確認し、所望の企画情報に関する応募情報を入力すると、応募情報が企画毎に受注情報として蓄積され、受注情報が所定数に達すれば、その企画について共同広告の製版、刷版、印刷加工を行い、印刷物を所定の場所に配送する共同広告印刷受注システムが開示されている。
【0007】
さらに、特許文献3には、いずれかのグループに属するユーザ端末がネットワークを介して広告作成サーバに接続され、グループ毎のユーザに関する情報に基づいて広告商品を選定し、グループ毎に個別の広告を作成し、各グループに属するユーザのユーザ端末に個別の広告を送信する個別広告作成システム等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−33635号公報
【特許文献2】特開2002−99794号公報
【特許文献3】特開2002−230414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示の技術では、複数の広告主から原稿を集めることができないため、宅配代金の軽減につながらない。また、特許文献1及び特許文献2に開示の技術では、顧客が広告の内容を選別することができず、顧客の消費性向に応じた広告の提供ができず、顧客にとっては望まない広告を受領することとなり、広告主は、広告による十分な効果を得ることが難しかった。
【0010】
さらに、特許文献2に開示の技術では、所定の広告スペース埋まらないと広告が発行できない恐れがあり、ニーズに対する細かい対応ができない。また、特許文献3の技術では、広告をユーザ端末で所定のWebサイトにアクセスすることにより確認する手法であるため、顧客がユーザ端末を能動的に利用しないと広告を見ることができず、広告主の期待する効果が十分に得られない。
【0011】
すなわち、特許文献1〜特許文献3に開示されたような従来技術では、広告主または顧客のいずれかのニーズにある程度対応した広告の一部差し替えが可能であるが、広告主及び顧客双方の個別のニーズに具体的に対応することが難しかった。
【0012】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、消費者の消費性向、個行動範囲等に細かく対応したチラシの送付が可能であり、且つ、広告主にとって、広告の利用効率を高めることが可能な広告作成システム、広告作成方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した課題を解決するため、第1の発明は、複数の広告主のチラシを顧客毎に選別して作成して配布するチラシ作成システムであって、広告主のチラシ基本情報を登録するチラシ管理サーバと、各広告主のチラシの商品情報と商品画像からチラシの原稿データを作成するか、または予め作成されたチラシの原稿データを登録するチラシ原稿登録サーバと、各顧客の基本情報及びチラシの希望情報を記憶する顧客データベースと、顧客に配布するチラシを前記顧客データベースに記憶された情報に基づき、前記チラシ管理サーバに登録されているチラシ基本情報から複数選定するチラシ選定手段と、前記選定したチラシ基本情報に対応するチラシの原稿データを取得するとともに、チラシ基本情報の所在地情報から複数の店舗の所在地を示す地図を作成し、前記地図を含む共同チラシの印刷データを生成する印刷データ生成手段を備えることを特徴とするチラシ作成システムである。
【0014】
第1の発明によれば、顧客によるチラシの希望情報を含む顧客情報と、広告主の広告情報との適合度合の高いチラシが作成され、顧客に提供することが可能となる。その結果、広告内容が確認されずに廃棄されるチラシを削減でき、効率的なチラシの作成と提供が可能となる。
そして、顧客にとっては、顧客が関心を持つ可能性の高いチラシを受領して、関心が無い広告主のチラシの受領を抑制できる。また、顧客の希望に合致したチラシだけが作成されるので、広告主にとっては、顧客の消費性向に関わらず地域単位で全戸に配布される新聞折り込みチラシやポスティングされるチラシ等の広告に比べて、印刷枚数を必要数に絞ることができ、印刷代等の広告コストを大幅に低減できる。また、広告主が単独でチラシを企画、作成して宅配するダイレクトメールの場合、広告主が独自にエリアマーケティングを検討する必要があるが、本発明では、広告主のエリアマーケティングの手間を省くことができるため、特に、エリアマーケティングの手間が負担となりやすい中小規模の広告主の負担を軽減できる。
【0015】
また、第1の発明によれば、選定された広告主の店舗の所在地情報の地図も印刷するので、顧客に分かり易い地図を提供できるとともに、来店の可能性を高めることができる。
【0016】
さらに、第1の発明において、前記チラシ選定手段は、前記顧客データベースに記憶された情報に適応する広告主の適応度を算出して、その適応度の高い順に任意の数の広告主を選定することが望ましい。
【0017】
このように、適応度の高い順に広告主の数が限られることにより、関心を持つ可能性が高いチラシから優先的に印刷されることとなり、不要なチラシが減少するとともに、顧客の関心を喚起しやすく、情報を見ずに捨てられる廃棄物が減少する。
【0018】
さらに、第1の発明において、前記印刷データ生成手段は、印刷可能な地図データを含む地図データベースから選定されたn件の広告主の所在地を含む領域の地図情報を取得し、チラシにn件の広告主の所在地を1つの地図にまとめて表示する地図データ作成手段を備えることが望ましい。
これにより、顧客が利用したことがない店舗の利用を予定する場合、顧客に分かり易い地図を提供でき、来店を誘導することができる。
【0019】
また、第1の発明において、前記印刷データ生成手段は、チラシの原稿データにおける地図表示領域の横の長さx及び縦の長さyを取得し、顧客の住所及び選定されたn件の広告主の所在地点における緯度及び経度を含む位置情報を取得し、前記位置情報に含まれる緯度及び経度の最大値及び最小値をそれぞれ抽出し、前記顧客の住所及び選定されたn件の広告主の各地点の全てを含む東西の距離CEW及び南北の距離CNSを算出し、東西方向の地図の縮尺をxa/CEW(aは0<a<1の範囲で任意に設定した調整値)、南北方向の地図の縮尺をya/CNSによって算出して、前記南北方向の地図の縮尺及び前記東西方向の地図の縮尺のうち小さい値の方の縮尺をチラシに掲載する地図の縮尺として設定して、広告主の所在地を示す印を地図上に表示可能な地図データを作成することが望ましい。
【0020】
このように、印刷データ生成手段により、顧客毎の希望に応じて作成された共同作成チラシに対応する地図を容易にカスタマイズして作成することができる。また、地図の縮尺は、南北方向または東西方向の距離に応じて適正な縮尺が設定され、見やすい地図を容易に作成可能となる。さらに、縮尺の決定に際し、調整値aを用いることにより、地図上に印刷される店舗の位置を適切に案内可能に表示することができる。この点については後述する。
【0021】
また、第1の発明において、前記印刷データ生成手段は、チラシの原稿データにおける地図表示領域の横の長さx及び縦の長さyを取得し、顧客の住所及び選定されたn件の広告主の所在地の各地点における緯度及び経度を含む位置情報を取得し、前記位置情報に含まれる緯度及び経度の最大値及び最小値をそれぞれ抽出し、前記顧客の住所及び選定されたn件の広告主の所在地点の全てを含む東西の距離CEW及び南北の距離CNSを算出し、東西方向の地図の縮尺をxa/CEW(aは0<a<1の範囲で任意に設定した調整値)、南北方向の地図の縮尺をya/CNSによって算出し、前記南北方向の地図の縮尺及び前記東西方向の地図の縮尺のうち小さい値の縮尺と、予め設定された縮尺の閾値bと比較し、前記閾値bより大きい場合は、前記小さい値の方の縮尺をチラシに掲載する地図の縮尺として設定して、広告主の所在地を示す印を地図上に表示可能な地図データを作成し、前記閾値bより小さい場合は、ランドマークデータベースに記憶されたランドマークデータの位置情報に含まれる緯度及び経度と、広告主の各所在地点の緯度及び経度とから、最も距離の短いランドマークを抽出し、顧客の住所を除き、抽出されたランドマーク及び広告主の所在地の緯度及び経度の全てを含む東西の距離LEW及び南北の距離LNSを算出し、前記東西方向の地図の縮尺をxa/LEW、前記南北方向の地図の縮尺をya/LNSによって再度算出して、前記南北方向の地図の縮尺及び前記東西方向の地図の縮尺のうち小さい値の方の縮尺をチラシに掲載する地図の縮尺として設定して、前記ランドマーク及び広告主の所在地を示す印を地図上に表示可能な地図データを作成することも望ましい。
【0022】
このような印刷データ生成手段とすれば、顧客の住所と広告主の店舗とが離れている場合でも、店舗への道順が分かり易い適切な地図を印刷することができる。すなわち、チラシ編集装置において顧客の希望に基づいて選定された広告主の店舗と顧客の住所との距離が遠い場合、チラシに印刷される地図の縮尺が小さくなり、実用性に乏しい地図となる。しかし、このような場合に、本発明に係る印刷データ出力装置の地図データ作成手段とすれば、作成する地図から顧客の住所を含む地域を除く代わりに、店舗近隣のランドマークを含む適切な縮尺の地図を容易に作成することができる。したがって、公共施設等のランドマークからの道順が分かるような地図を提供して、店舗の場所を分かり易く告知することができる。
【0023】
第2の発明は、複数の広告主のチラシを顧客毎に選別して作成して配布するチラシ作成方法であって、チラシ管理サーバが、広告主のチラシ基本情報を登録するステップと、チラシ原稿登録サーバが、商品情報と商品画像からチラシの原稿データを作成するか、または予め作成されたチラシの原稿データを登録するステップと、顧客データベースが、各顧客の基本情報及びチラシの希望情報を記憶するステップと、チラシ編集装置が、顧客に配布するチラシを前記顧客データベースに記憶された情報に基づき、前記チラシ管理サーバに登録されているチラシ基本情報から複数選定するステップと、印刷データ出力装置が、前記選定したチラシ基本情報に対応するチラシ原稿データを取得するとともに、チラシ基本情報の所在地情報から複数の店舗の所在地を示す地図を作成し、前記地図を含む共同チラシの印刷データを生成するステップと、を備えることを特徴とするチラシ作成方法である。
【0024】
第2の発明によれば、顧客にとって関心が無い広告主のチラシを配布することが無いため配布の効率が良く、顧客が関心の無いチラシに有益なチラシが埋没する恐れがなく、チラシのレスポンス率を高めることが期待できる。また、広告主は、広告費用の低減を図るとともに、広告費用に対する効果を高めることができる。
【0025】
第3の発明は、第2の発明のチラシ作成方法を実現するための、コンピュータにより読み取り可能な形式で記述されたプログラムであって、各コンピュータを、前記チラシ管理サーバ、前記チラシ原稿登録サーバ、前記顧客データベース、前記チラシ編集装置、及び前記印刷データ出力装置として機能させるためのプログラムである。
【0026】
第3の発明により、汎用のコンピュータによって第1の発明のチラシ作成システムを構築することが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、広告主と顧客の受領したい広告とを個別具体的に適合させることが可能であり、且つ、その個別に対応した広告に対応する地図を付加することが可能なチラシ作成システム、チラシ作成方法、及びプログラムを提供できる。この結果、広告主及び顧客のニーズに個別に対応可能であり、非常に効率の良いチラシの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るチラシ作成システム1の概略構成図
【図2】コンピュータのハードウエア構成を示すブロック図
【図3】本発明に係るチラシ作成システム1の機能ブロック図
【図4】チラシ作成システム1において実行される顧客のデータ登録処理の流れを説明するフローチャート
【図5】チラシ作成システム1において実行される広告主のデータ登録処理の流れを説明するフローチャート
【図6】チラシ編集処理の手順を説明するフローチャート
【図7】チラシ印刷データの生成処理の手順を説明するフローチャート
【図8】地図データの生成処理の手順を説明するフローチャート
【図9】地図作成手段により作成される地図の一例を示す図
【図10】地図データの生成処理の手順を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0030】
まず、図1を参照して、本発明を適用するチラシ作成システム1について説明する。
図1は、本発明に係るチラシ作成システム1の概要を示す図である。
チラシ作成システム1は、チラシ管理サーバ2と、チラシ原稿登録サーバ3と、顧客データベース4と、チラシ編集装置5と、印刷データ出力装置6と、印刷機7と、顧客の情報を入力する端末(顧客端末又は顧客管理者端末)8と、広告主の情報を入力する端末(広告主端末又は広告主管理者端末)9とを備え、必要に応じてネットワーク10a,10b,10cを介して通信接続されて構成される。
【0031】
本発明に係るチラシ作成システムは、複数の広告主のチラシを顧客毎に選別して作成して配布するチラシ作成システムである。
ここで、本発明にいうチラシとは、例えば、カタログ、安売り情報、イベントの案内等の広告情報を含む印刷物を言い、一枚の印刷物の他、複数頁の印刷物を綴じて冊子状にしたものや、複数頁の印刷物を新聞の形態のように折り込んでまとめたもの、葉書等であってもよい。
また、本発明では、チラシのうち、特に、複数の広告主の広告をまとめて一部のチラシに掲載する共同チラシに適用される。
【0032】
チラシ管理サーバ2は、広告主の基本情報及び広告情報が入力され、チラシの原稿作成の際に必要な情報を出力するコンピュータである。チラシ管理サーバ2は、広告主端末9から入力される各広告主の名称、所在地、識別番号(ID)、取扱商品ジャンル、広告主が広告したい営業情報(営業日、特売日、特売商品、お勧め商品等)等を記載したチラシ基本情報を記憶している。
【0033】
チラシ原稿登録サーバ3は、商品情報と商品の画像データを格納するデータベースを備えるとともに、チラシに掲載する商品の画像を管理する画像管理テーブルを記憶している。チラシの配送時期に応じて、印刷会社が指定した期日までに、商品情報と商品画像データがチラシ原稿登録サーバ3に入力され、指定された紙面サイズのチラシの原稿データが作成される。
商品情報と商品画像は広告主IDで広告主が識別できるようにデータベースに記憶されており、チラシのレイアウトと商品情報の書式を指定したチラシ原稿フォームもチラシ原稿登録サーバ3に登録されている。
チラシ原稿登録サーバ3は、チラシ管理サーバ2から取得された各広告主の情報に基づいてチラシの原稿データを作成して登録するコンピュータである。すなわち、チラシ原稿登録サーバ3は、データベースに格納された商品情報からチラシに必要な商品情報を抽出する機能、抽出された商品情報と商品画像データを、チラシ原稿フォームに従って商品情報と商品画像を配置してチラシの原稿データを作成する機能、印刷データ出力装置6から受信した信号(広告主ID)に対応するチラシの原稿データを、印刷データ出力装置6に送信する機能を有する。
また、チラシ原稿登録サーバ3でデータベースに登録された商品情報と商品画像からチラシ原稿データを作成しているが、広告主は広告主端末9から予め商品情報、商品画像がレイアウトされたチラシの原稿データを広告主IDと共にチラシ原稿登録サーバ3に登録してもよい。
【0034】
次に、顧客データベース4は、顧客端末8から入力された各顧客の基本情報及びチラシの希望情報を蓄積して記憶するデータベースである。顧客とは、本発明に係るチラシ作成システムにより作成される個別共同チラシの配送サービスを受けることを希望した顧客であり、サービスの利用に際し、顧客登録を行う。顧客データベース4は、例えば、DBMS(DataBase Management System:データベース管理システム)のソフトウエアがインストールされたコンピュータとして実現される。
【0035】
顧客の基本情報は、チラシの配送に必要な住所、氏名、識別番号(ID)が挙げられ、必要に応じて年齢、性別等、チラシの提供に際し、参照できる情報が付加されてもよい。
また、顧客の希望情報は、顧客がチラシの受領に望む情報であり、例えば、利用意向の高い店舗、利用意向の高い地域、購買意向のある商品、チラシの受け取り優先度の低い広告主や業種等、顧客が任意に登録可能な情報である。
【0036】
顧客端末8及び広告主端末9はウェブブラウザ、またはチラシ作成システムを利用するためのアプリケーションがインストールされているコンピュータである。また、広告主端末9は、チラシ管理サーバ2へログインすると、広告主操作画面情報を受信し、表示部に表示する。広告主端末9及びチラシ管理サーバ2は、広告主用操作画面を利用して、チラシ管理サーバ2からのチラシ基本情報の検索及び取得、確認、追加、訂正等に関する種々の処理を実行する。同様に広告主端末9からチラシ原稿登録サーバ3にアクセスして、商品情報、商品画像、チラシの原稿データの登録、追加、変更を行える。
同様の方法で、顧客端末8においても、顧客情報の登録、確認、追加、訂正等に関する種々の処理を実行する。
【0037】
なお、顧客端末8及び広告主端末9は、汎用的なコンピュータに代えて、デジタルテレビ、携帯電話、モバイル端末、通信機能搭載のゲーム機などで実現することもできる。
また、上述した顧客端末8及び広告主端末9は、顧客自身あるいは広告主自身がネットワーク10a,10cを介して操作する場合に限定されるものではない。例えば、顧客が、サービスの利用に必要な情報を印刷会社に提供し、印刷会社の顧客管理者が端末を操作して登録してもよい。広告主に関しても同様である。
【0038】
次に、チラシ編集装置5は、顧客データベース4に記憶された情報に基づき、チラシ管理サーバ2に登録されている複数の広告主の中から適当な広告主を選定する機能と、選定結果を印刷データ出力装置6に送信する機能を備えるコンピュータである。
【0039】
印刷データ出力装置6は、チラシ編集装置5から送信された選定結果に該当する広告主のチラシの原稿データをチラシ原稿登録サーバ3から取得する機能と、選定結果に該当する広告主の店舗の所在地情報の地図を作成する機能と、選定された広告主の広告と所在地を示す地図とを含む共同チラシの印刷データを生成して印刷機7に送信する機能を備えるコンピュータである。また、印刷データ出力装置6は、チラシの原稿を制作するDTP作業機能を有し、DTPアプリケーションプログラム等がインストールされ、原稿制作処理を行う。
【0040】
印刷機7は、制御部、操作部、通信部、両面印刷装置等を有し、入力された印刷出力データに応じて印刷を行う。印刷データ出力装置6は、画像を出力する印刷機7のような出力機器に対応して、画像に組み込まれたプロファイル、あるいは、関連付けられたプロファイルを用いて、複数の画像を含む情報を一括して変換出力する。
【0041】
次に、図2は、コンピュータ(チラシ管理サーバ2、チラシ原稿登録サーバ3、チラシ編集装置5、印刷データ出力装置6、顧客端末8、広告主端末9等)のハードウエア構成図である。なお、図2のハードウエア構成は一例であり、用途、目的に応じて様々な構成を採ることが可能である。
図2に示すように、コンピュータ100は、制御部101、記憶部102、入力部103、表示部104、メディア入出力部105、通信制御部106、周辺機器I/F部107等が、バス109を介して接続される。
【0042】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成される。CPUは、記憶部102、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス109を介して接続された各装置を駆動制御し、コンピュータ100が行う処理を実現する。
ROMは、不揮発性メモリであり、コンピュータ100のブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持している。
RAMは、揮発性メモリであり、記憶部102、ROM、記録媒体等からロードしたプログラム、データ等を一時的に保持するとともに、制御部101が各種処理を行う為に使用するワークエリアを備える。
【0043】
記憶部102は、HDD(ハードディスクドライブ)であり、制御部101が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OS(オペレーティングシステム)等が格納される。プログラムに関しては、OS(オペレーティングシステム)に相当する制御プログラムや、後述する処理をコンピュータに実行させるためのアプリケーションプログラムが格納されている。
【0044】
入力部103は、データの入力を行い、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、テンキー等の入力装置を有する。入力部103を介して、コンピュータ100に対して、操作指示、動作指示、データ入力等を行うことができる。
表示部104は、液晶パネル等のディスプレイ装置、ディスプレイ装置と連携してコンピュータのビデオ機能を実現するための論理回路等(ビデオアダプタ等)を有する。
【0045】
メディア入出力部15(ドライブ装置)は、データの入出力を行い、例えば、CDドライブ(−ROM、−R、−RW等)、DVDドライブ(−ROM、−R、−RW等)、MOドライブ等のメディア入出力装置を有する。
通信制御部106は、通信制御装置、通信ポート等を有し、コンピュータ100とネットワーク10a,10b,10c間の通信を媒介する通信インタフェースであり、ネットワーク10a,10b,10cを介して、他のコンピュータ100間との通信制御を行う。
【0046】
周辺機器I/F(インタフェース)部107は、コンピュータ100に周辺機器を接続させるためのポートであり、周辺機器I/F部17を介してコンピュータ100は周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器I/F部17は、USBやIEEE1394やRS−232C等で構成されており、通常複数の周辺機器I/Fを有する。周辺機器との接続形態は有線、無線を問わない。
バス109は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0047】
次に、図3〜図8を参照して、チラシ作成システム1における個別共同チラシの作成の流れについて説明する。
図3は、チラシ作成システム1における個別共同チラシの作成機能の概要を説明するブロック図、図4は、チラシ作成システム1において実行される顧客のデータ登録処理の流れを説明するフローチャート、図5は、チラシ作成システム1において実行される広告主のデータ登録処理の流れを説明するフローチャート、図6は、チラシ編集処理の手順を説明するフローチャート、図7は、チラシ印刷データの生成処理の手順を説明するフローチャートである。また、図8は、地図作成手段により作成される地図の一例を示す図である。
【0048】
(1)顧客情報の登録
本発明のチラシ作成システムによる個別共同チラシの配送を希望する顧客は、図3及び図4に示すように、顧客データが未登録の場合(ステップS1のYes)、顧客端末8は、顧客情報、顧客ID等を顧客データベース4に登録する(ステップS2)。
顧客の基本情報は、チラシの配送に必要な住所、氏名、識別番号(ID)が挙げられ、必要に応じて年齢、性別等、チラシの提供に際し、参照できる情報が付加されてもよい。
また、顧客の希望情報は、顧客がチラシの受領に望む情報であり、例えば、利用意向の高い店舗等、顧客が任意に登録可能な情報である。
【0049】
(2)チラシ基本情報及び商品情報の登録
図3及び図5に示すように、チラシ基本情報が未登録の場合(ステップS11のYes)、広告主端末(広告主管理者端末)9は、各広告主の名称、所在地、識別番号(ID)、取扱商品ジャンル等の基本情報と、広告主が広告したい営業情報(営業日、特売日、特売商品、お勧め商品等)をチラシ管理サーバ2に登録する。(ステップS12)。
【0050】
広告主端末9は、商品情報と商品画像データをチラシ原稿登録サーバ3に登録する。
入力された商品情報と商品画像データから、チラシの配送時期に応じて、印刷会社が指定した期日までに、指定された紙面サイズのチラシの原稿データがチラシ原稿登録サーバ3で作成され、広告主IDが付与される。
あるいは、広告主端末(広告主管理者端末)9からDTP印刷可能なDTPデータ(ai、indd、pdf形式等)のチラシの原稿データを広告主IDと関連付けて送信して、チラシ原稿登録サーバ3に登録される(ステップS13)。
【0051】
(3)チラシ編集処理
次に、図3及び図6を用いて、各顧客情報に適合する個別のチラシの編集処理について説明する。
【0052】
まず、チラシ編集装置5は、チラシの送付対象となる顧客IDを指定する(ステップS101)。チラシの送付対象となる顧客は、印刷会社の端末を用いて特定の顧客を指定することも可能である。しかし、より多くの個別共同チラシを迅速に作成するためには、チラシ編集装置5の制御部101が、所定の条件に従って、顧客データベース4に格納された顧客情報のリストから順次顧客IDを指定する処理を行うことが望ましい。また、例えば、定期的に輪番で選出する方法や、広告主の希望に応じた企画や、お中元やお歳暮といった特定の需要を想定した企画、マーケティングによる企画等、任意の条件に応じて、送付対象となる顧客をある程度絞り込んだ後、顧客IDを指定する処理を行うことも考えられる。
【0053】
次に、チラシ編集装置5は、顧客IDに対応する顧客の住所及び希望情報を顧客データベース(顧客DB)4から取得する(ステップS102)。顧客の住所の情報は、作成した個別共同チラシを送付する送付状を作成するための情報に用いる他、後述する地図データの作成処理の際に、住所に対応する緯度、経度の情報を用いる。また、広告主の絞り込み条件に使用することも可能である。
【0054】
次に、チラシ編集装置5は、取得した顧客の住所及び希望情報を元に広告主の絞り込み条件として地域を設定する(ステップS103)。
例えば、取得した顧客の住所が関東地方である場合、北海道や九州のような遠隔地の広告主の広告を提供しても、来店を誘導できる可能性が低いと考えられることから、全広告主の店舗の所在地情報から、遠隔地域に属するものを除外する設定を行うことにより、広告主の絞り込みを行う。
ここで、例えば、顧客がこのような遠隔地への旅行を計画しており、顧客の希望情報に、この遠隔地の広告主の情報の提供を希望する旨が登録されている場合は、広告主の絞り込みにおいても、その希望情報を反映させて個別共同チラシを作成すればよい。
【0055】
一方、顧客の希望情報は、顧客がチラシの受領に望む情報であり、例えば、利用意向の高い店舗、利用意向の高い地域、購買意向のある商品、チラシの受け取り優先度の低い広告主や業種等、顧客が任意に登録可能な情報である。具体例として、利用意向の高い店舗の指定は、チラシ作成システムのサービスを利用している広告主のリストから特定の広告主の店舗から選択する場合や、利用意向の高い業種を指定した場合、顧客が頻繁に訪れる地域を指定した場合等が考えられる。
【0056】
なお、従来の新聞折り込みチラシやポスティングによるチラシでは、顧客の住所周辺に店舗を有する広告主のチラシを配布している。しかし、顧客によっては、居住地から離れた地域での買い物を頻繁に行う場合があり、居住地の地理的な距離や、行政的な地域区分と関係の無い地域でもチラシの広告効果が得られる可能性がある。従来、このような遠方地域の商圏へのチラシの配布は、配布地域の判断が難しいうえに、レスポンス率が低下するため行われておらず、顧客が利用した経験のある店舗において、直接顧客登録した場合に、その店舗からチラシが直接配送される程度であった。
しかし、本発明では、顧客自身が希望する広告主を指定できるので、広告主の店舗所在地と顧客の住所との距離に関わらず、希望に該当する広告主の広告をチラシで一括して受領できる。
【0057】
このようにして、顧客住所、希望地域を元に、広告主の店舗所在地の地域を設定したら、次に、チラシ編集装置5は、絞り込み条件に合致する広告主データをチラシ管理サーバ2から取得する処理を行う(ステップS104)。
【0058】
チラシ編集装置5は、顧客の希望情報に受け取り優先度の低い広告主の指定の有無を判断する処理を行う(ステップS105)。
ここで、チラシ基本情報は、顧客の条件に合致する全ての広告主のチラシを作成すると、膨大な量となる場合がある。そこで、本発明は、絞り込み条件に合致する広告主データは、顧客データベース4に記憶された顧客情報に適応する広告主の適応度を算出して、その適応度の高い順に任意の数の広告主を選定することが望ましい。
個別共同チラシとして受領できる広告主を、適応度の高い順に優先順位を付け、優先順位の上位から任意の数の広告主を選定することにより、顧客が関心を持つ可能性の高いチラシから優先的に印刷されるので、顧客が情報を見ないままに捨てられるチラシを減らすことができ、また、提供する個別共同チラシの質を高めることができる。
【0059】
顧客の希望情報に受け取り優先度の低い広告主の指定がある場合(ステップS105のYes)、チラシ編集装置5は、その希望情報を元に、絞り込み後に取得された広告主において、該当する広告主の出力優先順位を下げ、これを記憶する処理を行う(ステップS106)。
【0060】
さらに、チラシ編集装置5は、顧客の希望情報に、利用意向の高い広告主や業種の指定の有無を判断する(ステップS107)。
すなわち、顧客の希望情報に利用意向の高い広告主の指定がある場合(ステップS107のYes)、チラシ編集装置5は、取得されたチラシ基本情報において、その希望情報を元に、該当する広告主の出力優先順位を上げ、これを記憶する処理を行う(ステップS108)。
【0061】
さらに、チラシ編集装置5は、顧客の希望情報に、購買意欲の高い商品やそのジャンル等の指定の有無を判断する(ステップS109)。
すなわち、顧客の希望情報に、今後購買計画のある商品の指定がある場合(ステップS109のYes)、チラシ編集装置5は、取得されたチラシ基本情報において、その希望情報を元に、該当する商品を扱う広告主の出力優先順位を上げ、これを記憶する処理を行う(ステップS110)。
【0062】
チラシ編集装置5は、ステップS105からステップS110の処理を顧客の希望情報の数に応じて行い、広告主の出力適合度を算出して順位を付け、出力優先順位が上位n件(1位からn位)の広告主を個別共同チラシに掲載する広告主として選定する。そして、チラシ編集装置5は、選定された広告主の広告主IDを顧客IDと関連付けて印刷データ出力装置6に送信して(ステップS111)、チラシ編集処理を終了する。
【0063】
(4)印刷データの生成処理
次に、図3及び図7を用いて、印刷データ出力装置6における印刷データの生成処理について説明する。
まず、印刷データ出力装置6は、選定されたn件の広告主の広告主IDを顧客IDと関連付けたデータを、チラシ編集装置5から取得する(ステップS201)。
【0064】
印刷データ出力装置6は、取得したn件の広告主の広告主IDに基づいて、チラシ原稿登録サーバ3から、該当する広告主のチラシの原稿データを取得する(ステップS202)。
【0065】
印刷データ出力装置6は、取得した原稿データに基づき、顧客毎のチラシ印刷データを生成する(ステップS203)。すなわち、作成すべき個別共同チラシの紙面サイズや、各広告主に割り当てられる印刷位置や範囲等、所定の印刷条件に従って、DTP処理により、チラシの原稿データをレイアウトしてチラシ印刷データを生成する。
【0066】
印刷データ出力装置6は、顧客データベース4から対象顧客の住所・氏名を取得し(ステップS204)、送り状印刷データを生成する(ステップS205)。
【0067】
ここで、印刷データ出力装置6は、各広告主により提供されたチラシの原稿データの他、掲載する各広告主の店舗の所在地を示す地図データを生成して、個別共同チラシに掲載する(ステップS206)。地図データは、個別共同チラシの紙面上の一部に、広告主の原稿データとともに小さく掲載する場合と、紙面の大きな領域を使用して地図データを掲載する場合がある。また、各広告主の広告欄の近傍に、1店舗毎あるいは近隣の数店舗毎に分割した地図を掲載する場合と、個別共同チラシに掲載される全ての広告主の店舗を一つの地図上にまとめて掲載する場合がある。
以下に、図8〜図10を用いて地図データの生成処理について詳述する。本発明において、2種類の地図データの生成処理が挙げられ、いずれを用いても良い。
【0068】
(4−1)地図データの生成処理1
一つ目の地図データの生成処理は、顧客の住所及び個別共同チラシに掲載される広告主の店舗の所在地を全て同じ地図内に表示するように地図データを生成する処理である。特に、顧客の住所と広告主の店舗の所在地との距離が比較的近い場合や、個別共同チラシの地図欄を大きく配置できる場合に好適に用いられる。
【0069】
図8に示すように、まず、印刷データ出力装置6は、作成する個別共同チラシの原稿データから、地図を表示する領域の横の長さx及び縦の長さyの情報を取得する(ステップS301)。
【0070】
次に、印刷データ出力装置6は、顧客の住所の所在地点における緯度及び経度を含む位置情報を顧客データベース4から取得する(ステップS302)。
【0071】
同様に、印刷データ出力装置6は、選定されたn件の広告主の店舗の所在地点における緯度及び経度を含む位置情報をチラシ管理サーバ2から取得する(ステップS303)。
【0072】
印刷データ出力装置6は、取得した全ての位置情報の緯度の最大値、経度の最大値、緯度の最小値及び経度の最小値をそれぞれ抽出し、この値から顧客の住所及び選定されたn件の広告主の各地点の全てを含む領域の東西の距離CEW及び南北の距離CNSを算出する(ステップS304)。尚、Cは顧客(Customer)、EWは東西(east-west)、NSは南北(north-south)を示している。
【0073】
印刷データ出力装置6は、ステップS304で算出された東西の距離CEW及び南北の距離CNSと、個別共同チラシに印刷される地図の領域の横の長さx及び縦の長さyとを用いて、印刷する地図の縮尺を決定する。
【0074】
ここで、印刷データ出力装置6は、見やすい地図を印刷するために、縮尺を決定する際、地図の表示領域に応じて任意に設定された調整値a(aの値は0<a<1の範囲)を用いるため、表示する地図の縮尺を決定前に、調整値aを取得する(ステップS305)。
【0075】
個別共同チラシに表示する地図は道案内図として利用されるものであり、限られた表示領域の場合、縮尺が大きい方が詳細な位置を分かり易く表示できる。この観点では、顧客の住所の地点及びチラシに掲載される広告主の全店舗の地点の中から、最も端に位置する地点を、地図の印刷領域の端部に合わせると、地図の縮尺を最も大きくすることができる。しかし、地図にプロットする店舗の目印が地図の表示領域の境界に近接した位置にあると、その店舗の周辺の情報が分かり難くなるため案内表示として不十分となる。これに対し、図9に示すように、個別共同チラシに表示する地図は、広告主の店舗の目印が、地図表示領域の境界から、ある程度内側に離れた位置となるように表示すると、位置が分かりやすくなる。
【0076】
そこで、印刷データ出力装置6は、ステップS304で算出された南北の距離Lx及び東西の距離Pyと、個別共同チラシに印刷される地図の領域の横の長さx及び縦の長さyとの比から、地図の縮尺を決定する際、調整値aを用いた以下の式(1)及び式(2)を採用し、東西方向及び南北方向の地図の縮尺を算出して、小さい値の方の縮尺をチラシに掲載する地図の縮尺として設定する(ステップS306)。
【0077】
東西方向の縮尺=xa/CEW・・・(1)
(aは0<a<1の範囲で任意に設定した調整値)
【0078】
南北方向の縮尺=ya/CNS・・・(2)
(aは0<a<1の範囲で任意に設定した調整値)
【0079】
印刷データ出力装置6は、ステップS306で得られた縮尺において、顧客住所及び店舗の所在地の位置情報から緯度・経度の中央値を中心にした地図データを、地図データベース11から抽出する(ステップS307)。この地図データベース11は、印刷用の地図データが作成できるものであればよく、例えば、商用の地図データサービス等により提供されるものが考えられる。
【0080】
印刷データ出力装置6は、地図データベース11から抽出され、所定の大きさで表示可能に処理された地図データに広告主の店舗所在地の位置情報を付加し、更に地図データに広告主の所在地を示す目印をプロットし(ステップS308)、地図データを印刷機7に送信する。(ステップS309)。
【0081】
(4−2)地図データの生成処理2
二つ目の地図データの生成処理は、特に、顧客の住所と広告主の店舗の所在地との距離が遠い場合や、個別共同チラシ上に印刷する地図の領域が小さい場合に好適に用いられる処理である。図10を用いて説明する。
【0082】
まず、印刷データ出力装置6は、原稿データから地図を表示する領域の横の長さx及び縦の長さyの情報を取得する処理(ステップS401)から、調整値aを取得する処理(ステップS405)までは、上述の地図データの生成処理1のステップS301からステップS305と同様に行う。
【0083】
次に、印刷データ出力装置6は、印刷される地図が見やすくなるように予め設定された縮尺の閾値bを取得する(ステップS406)。閾値bは、個別共同チラシの地図表示欄の大きさに対して、店舗所在地の案内表示として見やすいレベルの縮尺の閾値である。地図データの生成処理1で説明したように、個別共同チラシに表示する地図の縮尺は、地図表示欄の大きさと、店舗所在地を表示するために必要な領域に影響を受ける。表示すべき地図の領域が、個別共同チラシの地図表示欄の大きさに対して広すぎると、地図の縮尺を小さくする必要がある。しかし、地図の縮尺が小さすぎると、店舗への道順を示すための地図としては分かり難くなる。
具体的には、顧客の住所と、個別共同チラシに掲載される広告主の店舗がある地域とが離れている場合、顧客の住所及び広告主の店舗を含む領域は広範囲となり、縮尺が小さくなる。
そこで、チラシ上の地図表示欄の大きさに対して、見やすいレベルの縮尺について予め閾値bを設定し、この閾値bに基づき、地図データの生成処理を変更する。
【0084】
次に、印刷データ出力装置6は、調整値aを用いた式(3)及び式(4)により東西方向及び南北方向の地図の縮尺を算出する(ステップS407)。
【0085】
東西方向の縮尺=xa/CEW・・・(3)
(aは0<a<1の範囲で任意に設定した調整値)
【0086】
南北方向の縮尺=ya/CNS・・・(4)
(aは0<a<1の範囲で任意に設定した調整値)
【0087】
次に、印刷データ出力装置6は、算出した東西方向の縮尺=xa/CEW及び南北方向の縮尺=ya/CNSのうち、小さい値の縮尺と、予め設定された閾値bとを比較する(ステップS408)。比較の結果、算出された小さい値の縮尺が閾値bより小さい場合は、見やすい地図を表示不可能であると判断され、表示する地図の領域を変更すべく、ステップS409の処理を行う。
【0088】
すなわち、印刷データ出力装置6は、顧客の住所を地図の表示領域から除外し、定められた地図表示欄に表示する地図の領域をより狭い範囲に設定する処理を行う。このとき、単に、顧客の住所の地域を地図の表示領域から除外した地図を表示すると、顧客は、顧客の住所からの方角が分からない等、店舗の所在地の概要の把握が困難となる場合がある。そこで、広告主の各所在地点の近隣の公共施設や著名施設等のランドマークを併せて表示することにより、広告主の店舗の所在地の場所を分かり易く表示することができる。
【0089】
具体的には、印刷データ出力装置6は、ランドマークデータベース12に記憶されたランドマークデータの位置情報に含まれる緯度及び経度と、広告主の各所在地点の緯度及び経度とから、最も距離の短いランドマークを抽出する(ステップS409)。
次に、印刷データ出力装置6は、抽出されたランドマークの所在地の緯度及び経度を取得する(ステップS410)。
【0090】
そして、印刷データ出力装置6は、抽出されたランドマーク及び広告主の所在地の緯度及び経度の全てを含む東西の距離LEW及び南北の距離LNSを算出し(ステップS411)、その算出値を元に、下記の式(5)及び式(6)により東西方向及び南北方向の地図の縮尺を再度算出する(ステップS412)。尚、Lはランドマーク(landmark)を示している。
【0091】
東西方向の縮尺=xa/LEW・・・(5)
(aは0<a<1の範囲で任意に設定した調整値)
【0092】
南北方向の縮尺=ya/LNS・・・(6)
(aは0<a<1の範囲で任意に設定した調整値)
【0093】
印刷データ出力装置6は、得られた東西方向及び南北方向の地図の縮尺のうち、小さい値の縮尺をチラシに掲載する地図の縮尺として設定する(ステップS413)。そして、印刷データ出力装置6は、地図データの生成処理1のステップS306〜ステップS309の処理と同様の処理(ステップS413〜ステップS415)により、ランドマークを含む地図を印刷可能な地図データを生成して、印刷機7に送信される印刷データとして処理し、地図データの生成処理2を終える。
【0094】
一方、ステップS408における比較の結果、算出された小さい値の縮尺が閾値bより大きい場合は、印刷データ出力装置6は、見やすい地図を表示可能であると判断し、地図データの生成処理1のステップS306〜ステップS309の処理と同様の処理(ステップS413〜ステップS415)により地図データを生成して、印刷機7に送信される印刷データとして処理し、地図データの生成処理2を終える。
【0095】
上述の処理により地図データが生成されると、印刷データ出力装置6は、続いて、図7のステップS207へ進み、チラシ印刷データ、地図データ及び送り状印刷データを併合して印刷データとする。
印刷データ出力装置6は、印刷データを印刷機7に送信して(ステップS208)、処理を終了する。
印刷データ出力装置6から送信された印刷データを受信した印刷機7は、オンデマンド印刷により、個別共同チラシと、送付先の顧客の住所、氏名等を含む送り状を印刷する。そして、個別共同チラシは、印刷会社により顧客宛てに発送される。
印刷会社は、発送した個別共同チラシに使われた印刷データの回数や印刷スペース等の情報を広告主毎に集計して、広告主に印刷料金、宅配料金を請求する。
【0096】
以上説明したように、本実施の形態のチラシ作成システム1によれば、顧客の希望に適合した顧客の関心の高いチラシのみを印刷して配送するので、宅配チラシの損失を抑え、レスポンス率の上昇が期待でき、広告費用に対する効率の良いサービスを提供することができる。
【0097】
なお、上述の実施形態に記載されるものは本発明の一適用例であり、これに限定されない。その他、当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0098】
1・・・チラシ作成システム
2・・・チラシ管理サーバ
3・・・チラシ原稿登録サーバ
4・・・顧客データベース
5・・・チラシ編集装置
6・・・印刷データ出力装置
7・・・印刷機
8・・・顧客端末(顧客管理者端末)
9・・・広告主端末(広告主管理者端末)
10a,10b,10c・・・ネットワーク
11・・・地図データベース
12・・・ランドマークデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の広告主のチラシを顧客毎に選別して作成して配布するチラシ作成システムであって、
広告主のチラシ基本情報を登録するチラシ管理サーバと、
各広告主のチラシの商品情報と商品画像からチラシの原稿データを作成するか、または予め作成されたチラシの原稿データを登録するチラシ原稿登録サーバと、
各顧客の基本情報及びチラシの希望情報を記憶する顧客データベースと、
顧客に配布するチラシを前記顧客データベースに記憶された情報に基づき、前記チラシ管理サーバに登録されているチラシ基本情報から複数選定するチラシ選定手段と、
前記選定したチラシ基本情報に対応するチラシの原稿データを取得するとともに、チラシ基本情報の所在地情報から複数の店舗の所在地を示す地図を作成し、前記地図を含む共同チラシの印刷データを生成する印刷データ生成手段を備えることを特徴とするチラシ作成システム。
【請求項2】
前記チラシ選定手段は、前記顧客データベースに記憶された情報に適応する広告主の適応度を算出して、その適応度の高い順に任意の数の広告主を選定することを特徴とする請求項1に記載のチラシ作成システム。
【請求項3】
前記印刷データ生成手段は、印刷可能な地図データを含む地図データベースから選定されたn件の広告主の所在地を含む領域の地図情報を取得し、
チラシにn件の広告主の所在地を1つの地図にまとめて表示する地図データ作成手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のチラシ作成システム。
【請求項4】
前記印刷データ生成手段は、チラシの原稿データにおける地図表示領域の横の長さx及び縦の長さyを取得し、
顧客の住所及び選定されたn件の広告主の所在地点における緯度及び経度を含む位置情報を取得し、
前記位置情報に含まれる緯度及び経度の最大値及び最小値をそれぞれ抽出し、前記顧客の住所及び選定されたn件の広告主の各地点の全てを含む東西の距離CEW及び南北の距離CNSを算出し、
東西方向の地図の縮尺をxa/CEW(aは0<a<1の範囲で任意に設定した調整値)、南北方向の地図の縮尺をya/CNSによって算出して、前記南北方向の地図の縮尺及び前記東西方向の地図の縮尺のうち小さい値の方の縮尺をチラシに掲載する地図の縮尺として設定して、広告主の所在地を示す印を地図上に表示可能な地図データを作成することを特徴とする請求項3に記載のチラシ作成システム。
【請求項5】
前記印刷データ生成手段は、チラシの原稿データにおける地図表示領域の横の長さx及び縦の長さyを取得し、
顧客の住所及び選定されたn件の広告主の所在地の各地点における緯度及び経度を含む位置情報を取得し、
前記位置情報に含まれる緯度及び経度の最大値及び最小値をそれぞれ抽出し、前記顧客の住所及び選定されたn件の広告主の所在地点の全てを含む東西の距離CEW及び南北の距離CNSを算出し、
東西方向の地図の縮尺をxa/CEW(aは0<a<1の範囲で任意に設定した調整値)、南北方向の地図の縮尺をya/CNSによって算出し、
前記南北方向の地図の縮尺及び前記東西方向の地図の縮尺のうち小さい値の縮尺と、予め設定された縮尺の閾値bと比較し、
前記閾値bより大きい場合は、前記小さい値の方の縮尺をチラシに掲載する地図の縮尺として設定して、広告主の所在地を示す印を地図上に表示可能な地図データを作成し、
前記閾値bより小さい場合は、ランドマークデータベースに記憶されたランドマークデータの位置情報に含まれる緯度及び経度と、広告主の各所在地点の緯度及び経度とから、最も距離の短いランドマークを抽出し、
顧客の住所を除き、抽出されたランドマーク及び広告主の所在地の緯度及び経度の全てを含む東西の距離LEW及び南北の距離LNSを算出し、
前記東西方向の地図の縮尺をxa/LEW、前記南北方向の地図の縮尺をya/LNSによって再度算出して、前記南北方向の地図の縮尺及び前記東西方向の地図の縮尺のうち小さい値の方の縮尺をチラシに掲載する地図の縮尺として設定して、前記ランドマーク及び広告主の所在地を示す印を地図上に表示可能な地図データを作成することを特徴とする請求項3に記載のチラシ作成システム。
【請求項6】
複数の広告主のチラシを顧客毎に選別して作成して配布するチラシ作成方法であって、
チラシ管理サーバが、広告主のチラシ基本情報を登録するステップと、
チラシ原稿登録サーバが、商品情報と商品画像からチラシの原稿データを作成するか、または予め作成されたチラシの原稿データを登録するステップと、
顧客データベースが、各顧客の基本情報及びチラシの希望情報を記憶するステップと、
チラシ編集装置が、顧客に配布するチラシを前記顧客データベースに記憶された情報に基づき、前記チラシ管理サーバに登録されているチラシ基本情報から複数選定するステップと、
印刷データ出力装置が、前記選定したチラシ基本情報に対応するチラシ原稿データを取得するとともに、チラシ基本情報の所在地情報から複数の店舗の所在地を示す地図を作成し、前記地図を含む共同チラシの印刷データを生成するステップと、
を備えることを特徴とするチラシ作成方法。
【請求項7】
請求項6に記載のチラシ作成方法を実現するための、コンピュータにより読み取り可能な形式で記述されたプログラムであって、
各コンピュータを、前記チラシ管理サーバ、前記チラシ原稿登録サーバ、前記顧客データベース、前記チラシ編集装置、及び前記印刷データ出力装置として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−97528(P2013−97528A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238930(P2011−238930)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)