説明

テスタ

【課題】使用環境に必ずしも磁性体が存在する必要はなく、また、使用後においては、テストリードを収納することができ、極めて利便性が良く、テストリードにストレスを掛けることもないテスタを提供する。
【解決手段】テスタ本体2にテストリード3(3A、3B)が固定的に或いは取り外し自在に接続されたテスタ1において、テスタ本体2にテストリード3(3A、3B)を収納するテストリード収納部10を備えており、テストリード収納部10は、一端がテスタ本体2に取り付けられ、他端に係止部材11が取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、測定切替スイッチにより電圧、電流、電気抵抗等の測定が可能であり、測定結果をデジタル表示部により表示するデジタルマルチメータのようなテスタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、測定切替スイッチにより電圧、電流、電気抵抗等の測定が可能であり、測定結果をデジタル表示部により表示するデジタルマルチメータのようなテスタが広く使用されている。テスタの一例を、本願添付の図6に示す。
【0003】
本例に示すように、通常、テスタ1は、テスタ本体2と、テスタ本体2に接続された一対のテストリード3(3A、3B)とにて構成される。テスタ本体2には、測定切替スイッチ4及びデジタル表示部5などが設けられている。
【0004】
ユーザは、テスタ1を使用するに際して、テスタ本体2に設けられた、本例ではロータリスイッチとされる測定切替スイッチ4を回して、測定対象、即ち、ファンクションを設定する。
【0005】
その後、測定に際しては、一般に、ユーザは、テスタ本体2を安定したテーブル等に置き、テストリード3(3A、3B)をそれぞれの手に持って、被測定物に接触させて測定する。
【0006】
ところが、テスタ本体2を置く安定した場所が見当たらない場合は、他の人の手助けを必要とすることとなる。
【0007】
また、テスタ使用後においては、テスタ1は、テスタ本体2とテストリード3(3A、3B)とを一緒にして所定の収納場所に保管されるが、その際に、テストリード3(3A、3B)は、テスタ本体2に単に巻き付けられていることが多い。
【0008】
そこで、特許文献1に開示するテスタは、図7に示すように、テスタ1の本体2の裏壁を非磁性材で構成し、裏壁の内側に磁石100を取り付け、テスタ使用時においては、テスタ本体2を磁性体100の他の物に吸着保持可能な構成とされる。また、テスタ不使用時には、テストリード3(3A、3B)は、リード線30(30A、30B)をテスタ本体2の側壁周囲に形成した溝状の段差101内に巻き込み、プローブ31(31A、31B)は、プローブ31(31A、31B)に形成したフランジ状止め部32(32A、32B)を側壁周縁部に形成した切り欠き102にはめ込み収容する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−64611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載のテスタでは、プローブ31(31A、31B)に形成したフランジ状止め部32(32A、32B)を側壁周縁部に形成した切り欠き102にはめ込むため、テストリード3(3A、3B)を側壁周縁部にしっかりと巻く必要がある。
【0011】
従って、テストリード3(3A、3B)を側壁周縁部にしっかりと巻く煩わしさと、また、しっかりと巻くことにより、テストリード3(3A、3B)にストレスを掛け、断線させる原因となる。
【0012】
そこで、本発明の目的は、使用環境に必ずしも磁性体が存在する必要はなく、また、使用後においては、テストリードを収納することができ、極めて利便性が良く、テストリードにストレスを掛けることもないテスタを提供することである。
【0013】
また、本発明の他の目的は、構造が簡易で、製造コストも安価であるテスタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は本発明に係るテスタにて達成される。要約すれば、本発明は、テスタ本体にテストリードが固定的に或いは取り外し自在に接続されたテスタにおいて、
前記テスタ本体に前記テストリードを収納するテストリード収納部を備えており、
前記テストリード収納部は、一端が前記テスタ本体に取り付けられ、他端に係止部材が取り付けられた収納部材であって、
テスタ不使用時には、前記テスタ本体と前記収納部材との間に前記テストリードを収納し、前記係止部材を前記テスタ本体に着脱自在に係止することによって、前記テストリードを前記テスタ本体と一体的に保持し、
テスタ使用時には、前記係止部材を、前記テストリードを取り出した後の前記テスタ本体を前記テスタ本体以外の他の物に係止するために使用する、
収納部材を有することを特徴とするテスタである。
【0015】
本発明の一実施態様によれば、前記収納部材は、伸縮性のある素材で作製したシート材である。
【0016】
本発明の他の態様によれば、前記係止部材は、弾性材料で作製したフック部材である。
【0017】
本発明の他の態様によれば、前記係止部材は、面ファスナーである。
【発明の効果】
【0018】
本発明のテスタは、使用環境に必ずしも磁性体が存在する必要はなく、また、使用後においては、テストリードを簡単に収納することができ、極めて利便性が良く、テストリードにストレスを掛けることもない。また、構造が簡易で、製造コストも安価である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るテスタの一実施例の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例におけるテストリードを収納した状態を示すテスタの側面図である。
【図3】本発明の一実施例におけるテスタの使用状態を示すテスタの斜視図である。
【図4】図4(a)は、本発明の他の実施例におけるテスタの使用状態を示すテスタの斜視図であり、図4(b)及び図4(c)は、係止部材の係止態様を示す側面図である。
【図5】本発明の他の実施例におけるテストリードを収納した状態を示すテスタの側面図である。
【図6】従来のテスタの一例を示す図である。
【図7】従来のテスタの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るテスタを図面に則して更に詳しく説明する。
【0021】
実施例1
図1及び図2を参照して、本発明に係るテスタの一実施例について説明する。テスタは、例えば、測定切替スイッチにより電圧、電流、電気抵抗等の測定が可能であり、測定結果をデジタル表示部により表示するデジタルマルチメータなどとされる。
【0022】
図1にて、本実施例のテスタ1は、テスタ本体2と、テスタ本体2から延びた一対のテストリード3(3A、3B)とを備えている。
【0023】
テスタ本体2には、テスタ本体2の表面側に、測定対象を切り替えるための測定切替スイッチ、例えば、図6に示す従来のテスタと同様に、ロータリスイッチ4を備えており、ロータリスイッチ4を「OFF」位置から、「ACV」位置、或いは、「DCV」位置へと回し、ファンクションを設定することができる。又、測定結果を表示するための表示部5が設けられている。
【0024】
図1を参照すると、各テストリード3(3A、3B)は、それぞれ、一端がテスタ本体2の電気回路部(図示せず)に接続されたプローブケーブル30(30A、30B)と、プローブケーブル30(30A、30B)の他端にそれぞれ接続された測定プローブ31(31A、31B)とにて構成される。
【0025】
プローブケーブル30(30A、30B)は、テスタ本体2に対して取り外し自在に差し込まれる接続端子方式でも良く、テスタ本体2に対して固定的に接続された固定式のものでも良い。
【0026】
本発明のテスタ1は、テスタ本体2の前記表面側とは反対側、即ち、裏面側に、テストリード収納部10を備えている。
【0027】
図1に示す実施例では、テストリード収納部10は、矩形状のシート材にて形成された収納部材11を備えている。シート材は、例えば、織物、ニット、不織布などの伸縮性のある素材(ストレッチ生地)を好適に使用することができる。また、網状(ネット)部材とすることもできる。
【0028】
収納部材11は、本実施例では、その上端の縁部11aが、テスタ本体2の裏面の上端部2a、或いは、その近傍に接着、或いは、溶着などにより固定される。また、収納部材11の、本実施例では、下端の縁部11bには、係止部材12が取り付けられる。
【0029】
係止部材12は、任意の構造とし得るが、本実施例では、フック部材13とされる。フック部材13は、開口部13aが形成されU字状とされた、金属又はプラスチック部材などとされる弾性材料で作製される。フック部材13は、図2に示すように、その開口部13aをテスタ本体2の下端部2bに、弾発的に装着することにより着脱自在に取り付け可能とされる。
【0030】
本発明によれば、テスタ不使用時には、測定プローブ31(31A、31B)と、プローブケーブル30(30A、30B)とは、例えば、測定プローブ31(31A、31B)にプローブケーブル30(30A、30B)を巻き付けて束ねることにより、テスト本体2の裏面側に配置し、その後、収納部材11で覆うようにして収納し、図2に示すように、フック部材13をテスタ本体2の下端部2bに弾発的に装着する。このとき、収納部材11は、伸縮性を有しているようにすれば、テストリード3(3A、3B)が所定の力でテスタ本体裏面側に押圧され、テスタ本体裏面にしっかりと一体的に保持される。
【0031】
これによって、テストリード3(3A、3B)は、テスタ本体2の裏面側に設けた収納部材11によって収納部10にコンパクトに収納保持される。
【0032】
本実施例によれば、テストリード3(3A、3B)は、収納部材11にてテスタ本体裏面に保持するだけであるために、本実施例のテスタ1は、背景技術で説明した従来例の本体側面に巻き付ける構造に比べれば、収納操作が容易である。また、テストリード3(3A、3B)にストレスを掛けることもない。
【0033】
テスタ使用時には、フック部材13をテスタ本体2から外し、収納部材11を上方へと持ち上げることにより、テストリード3(3A、3B)をテスタ本体2から取り出すことができる。
【0034】
テスタ本体2の電源をONとし、テスタ本体2を置くべき適当な場所がない場合には、図3に示すように、収納部材11のフック部材13を、使用場所近傍に位置したテスト本体以外の他の物、例えばロッド材200などに引っ掛ける。
【0035】
本実施例のテスタ1は、上述のように、使用環境に必ずしも磁性体が存在する必要はない。勿論、フック部材13を磁石材にて作製しても良く、この場合には、使用環境に磁性体が存在すれば、磁力にてテスタ1の保持を可能とすることもできる。
【0036】
また、使用後においては、テストリード3(3A、3B)を簡単に収納することができ、極めて利便性が良い。また、テストリード3(3A、3B)にストレスを掛けることもない。更に、構造が簡易で、製造コストも安価である。
【0037】
実施例2
図4及び図5に本発明に係るテスタ1の他の実施例を示す。
【0038】
本実施例にて、テスタ1の全体構成は、実施例1のテスタ1と同様であるので、同じ構成、機能をなす部材には、同じ参照番号を付し、実施例1の説明を援用し、ここでの再度の説明は省略する。以下に、本実施例の特徴をなす、係止部材12の構成について説明する。
【0039】
本実施例では、係止部材12としてフック部材13の代わりに、雄型突起、雌型突起からなる面ファスナー(所謂、マジックテープ:登録商標)14を使用する。
【0040】
つまり、図4(a)、(b)に示すように、例えば雄型突起を備えた面ファスナー14を、例えば、細長帯状に形成し、その一端14aを収納部材11の自由端側11bに取り付ける。
【0041】
一方、例えば雌型突起を備えた所定形状、寸法の面ファスナー15を、面ファスナー14と係止し得るように、収納部材11の自由端側11bの表側面、或いは、裏側面、又は、両面の、一部所定領域に取り付ける。又は、収納部材11の全面を面ファスナー15とすることもできる。
【0042】
更に、テスタ本体2の下端側2bの所定領域に、本実施例では、図4(a)に示すように、テスタ本体2の表面側に、面ファスナー14と係止し得るように、例えば雌型突起を備えた所定形状、寸法の面ファスナー16を設ける。
【0043】
上記構成により、本実施例のテスタ1によれば、テスタ不使用時には、テストリード3(3A、3B)は、図5に示すように、実施例1の場合と同様に、測定プローブ31(31A、31B)と、プローブケーブル30(30A、30B)とを、例えば、測定プローブ31(31A、31B)にプローブケーブル30(30A、30B)を巻き付けて束ねることにより、テスト本体の裏面側に配置し、その後、収納部材11で覆うようにして収納し、面ファスナー14をテスタ本体2の下端部2bの面ファスナー16に押し付けて取り付ける。面ファスナー14の面ファスナー16に対する取り付け位置を加減することにより、テストリード3(3A、3B)が所定の力でテスタ本体裏面側に押圧され、テスタ本体裏面にしっかりと一体的に保持される。
【0044】
これによって、テストリード3(3A、3B)は、テスタ本体2の裏面側に設けた収納部材11によって収納部10にコンパクトに収納保持される。
【0045】
本実施例にてテストリード3(3A、3B)は、収納部材11にてテスタ本体裏面に保持するだけであるために、本実施例のテスタ1は、背景技術で説明した従来例の本体側面に巻き付ける構造に比べれば、収納操作が容易である。また、テストリード3(3A、3B)にストレスを掛けることもない。
【0046】
テスタ使用時には、面ファスナー14をテスタ本体2から外し、収納部材11を上方へと持ち上げることにより、テストリード3(3A、3B)をテスタ本体2から取り出すことができる。
【0047】
テスタ本体2の電源をONとし、テスタ本体2を置くべき適当な場所がない場合には、図4(a)に示すように、収納部材11の面ファスナー14を使用場所近傍に位置したロッド材200などに巻き付け、その後、面ファスナー14を、テスタ本体2に設けた面ファスナー15に押し付けて取り付ける。
【0048】
勿論、面ファスナー14自体が接合可能の場合には、図4(c)に示すように、ロッド材などに巻き付けた後は、重ね合わせられた面ファスナー14を互いに押し付けることによって、テスタ本体2を他の物に取り付けることができる。この構成とする場合には、テスタ本体2の面ファスナー15は省くこともできる。
【0049】
本実施例においても、テスタ1は、使用環境に必ずしも磁性体が存在する必要はない。また、使用後においては、テストリードを簡単に収納することができ、極めて利便性が良く、テストリードにストレスを掛けることもない。また、構造が簡易で、製造コストも安価である。
【符号の説明】
【0050】
1 テスタ
2 テスタ本体
3(3A、3B) テストリード
4 測定切替スイッチ
5 表示部
10 テストリード収納部
11 収納部材
12 係止部材
13 フック部材
14、15、16 面ファスナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テスタ本体にテストリードが固定的に或いは取り外し自在に接続されたテスタにおいて、
前記テスタ本体に前記テストリードを収納するテストリード収納部を備えており、
前記テストリード収納部は、一端が前記テスタ本体に取り付けられ、他端に係止部材が取り付けられた収納部材であって、
テスタ不使用時には、前記テスタ本体と前記収納部材との間に前記テストリードを収納し、前記係止部材を前記テスタ本体に着脱自在に係止することによって、前記テストリードを前記テスタ本体と一体的に保持し、
テスタ使用時には、前記係止部材を、前記テストリードを取り出した後の前記テスタ本体を前記テスタ本体以外の他の物に係止するために使用する、
収納部材を有することを特徴とするテスタ。
【請求項2】
前記収納部材は、伸縮性のある素材で作製したシート材であることを特徴とする請求項1に記載のテスタ。
【請求項3】
前記係止部材は、弾性材料で作製したフック部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載のテスタ。
【請求項4】
前記係止部材は、面ファスナーであることを特徴とする請求項1又は2に記載のテスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−164493(P2010−164493A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8293(P2009−8293)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】