説明

テスト用紙

【課題】テストの解答を行う児童・生徒にとっても、これを採点する教師にあっても、テスト用紙の表裏を返す煩雑さがなく、転記の手間などがないようにして、容易に解答作業や採点作業等をできるようにしたテスト用紙を提供すること。
【解決手段】1枚の用紙に、問題部と、解答とが記入可能とされ、採点結果を記入するための採点結果の記載欄を有するテスト用紙において、前記1枚の用紙20の一側縁に位置させた見出し代22を除いて、残り面積の二分線に沿って折り畳むための折り線26と、該折り線に沿って折り畳むことで前記見出し代と隣接して表側に露出した面でなる1ページ目23と、該折り畳み状態から開くことで露出する前記折り線の内側が属する面に関して、見開き左側もしくは右側に位置する2ページ目24と、前記見開き状態で、前記2ページ目に隣接して位置する3ページ目25と、前記見出し代に形成された採点欄40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として小学校や中学校等で行われるテストや問題練習に使用されるテストもしくは練習問題のためのテスト用紙の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小学校や中学校等で児童・生徒を対象として、あるいは各家庭において、テストや練習問題を解いて解答させるためのテスト用紙(練習問題用紙を含む)は、広く使用されている。
また、このような学校におけるものに限らず、各種テストに解答させて、該解答を記入させるためのテスト用紙としては、例えば特許文献1のものが知られている。
このテスト用紙は、コンピュータによる採点を前提としたマークシート記載欄を備え、画像処理における位置合わせの工夫を特徴とするものである。
【0003】
また、テスト用紙の他の例としては、テスト用紙のひとつの面を例えば左右に2分し、例えば左欄に問題である設問の事例欄を印刷し、右欄に解答欄を設けるというものである(特許文献2参照)。
このような模擬試験用のテスト用紙では、適宜右側の設問事例分を読みながら、左の解答欄に解答を記載し、あるいは問題に対する解答を適宜解答欄を、問題毎に部分的に遮蔽しながら解答を確認できるので、適切な問題演習を行うことができるというものである。
【0004】
【特許文献1】特開2005−24693
【特許文献2】特開2004−291610
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1はコンピュータによる採点を前提としてテスト用紙の構造を工夫したものである。
特許文献2のものは、問題演習に対応した模擬試験用紙と言う用途に適するもので、学校教材として使用されるテスト用紙について、下記のような特殊な課題に答える技術は存在しない。
【0006】
図8は従来のテスト用紙の一例を示す図である。
すなわち、図8(a)は、従来のテスト用紙の概略平面図である。
小学校や中学校などの教育現場において、テスト用紙を利用して行われる「テスト」は、単元単位に編集され、授業において単元終了後に、当該授業の対象となった単元の理解度をテストする目的で行われるものである。
【0007】
このような単元単位のテストを行うためのテスト用紙1は、例えば、A3縮小版でなる1枚の用紙であり、当該授業を行った単元の内容に対応して作製された問題が記載された問題部3が設けられており、さらに、例えば右端の一辺に沿って、「国語」等の科目見出しとともに、テーマタイトル欄2や、採点結果の点数を記載する採点欄5が設けられている。
なお、「国語」ではなく、「算数」などの科目においては、図示と異なり縦長に用紙を使用するようにされ、テーマタイトル欄などは上辺に沿って印刷されている。
【0008】
ところで、このようなテスト用紙1においては、従来は図8(a)に示すように、テスト用紙1の表面(おもてめん)に、問題部3が設けられており、同様に表面に設けた解答欄(図示せず)に解答を記入するようにされていた。
すなわち、児童もしくは生徒は、テストに解答する際には、テスト用紙1の表面だけを見て、問題を読み、当該テスト用紙1の表面の解答欄に答えを記入すればよいので、特別使い勝手に問題はなかった。
【0009】
ところが、最近では、このようなテスト用紙1の構成では、以下のような要請に応えられない。
すなわち、小・中学校における成績評価が、相対評価から絶対評価に移行している。
その背景としては、多方面で問題にされる児童・生徒の学力低下問題および読解力の低下、論理的思考の低下が初等教育における課題とされていることがある。
その対策のために、単元単位のテストにおいては、真の学力を計り、再指導に役立てる材料を得て、確かな学力を定着させる工夫がもとめられ、特に、絶対評価による成績評価を行えるようにするためには、テストのデータとしてより詳細なものが望まれる。
具体的には、単元単位のテストにおいて、評価のための単元毎に複数の観点別の評価が行えるように、これら観点別の問題をそれぞれ作る必要がある。
【0010】
例えば、「算数」では、「知識・処理」、「表現・処理」、「数学的な考え方」などの3つの観点別に問題を作ると好ましい。
そのため、従来のように、テスト用紙1の表面だけでは、問題が掲載しきれないことから、図8(b)に示すように、テスト用紙1の裏面にも問題部4を設けるようになってきている。
なお、裏面の右辺にもテーマタイトル欄6が設けられている。
【0011】
かくして、授業が行われる全ての単元毎に、上記した複数の観点別の問題が作られたテスト用紙1が用意されるようになり、ほとんどの場合、ひとつの単元に基づく問題の問題数は多くなり、テスト用紙の表だけなく裏にも印刷される構成となっている。
ところが、現場で授業を行い、テストをする教師によっては、全ての単元において、必ずしも、各単元のテスト用紙1にそれぞれ印刷された全ての問題について、児童・生徒に解答させ、該解答を採点した評価の全てを、成績を決めるためのデータとして活用する必要があるとは考えない場合も多い。
【0012】
つまり、ある単元においては、テスト用紙1の表面の問題部3に印刷された問題だけが、成績評価のデータとして必要であると考えられる場合もあり、さらには、裏面の問題部4は、早くテストを終えた生徒などに、他の生徒がテストを終えるのは待つ間の練習問題として使用させたりするケースもある。
このように、表と裏の両方に問題が印刷されたテスト用紙1は、表の問題部3だけを成績評価や再指導の資料の対象とする場合には、児童・生徒は表の問題部3だけを解答すればよい場合もある。その場合には、机上にテスト用紙1の表面を上に向けて置いて、表面に印刷されている問題だけに解答し、そのまま終了することもできる。
また、担当する教師の方針などによっては、あるいは、単元によっては、テスト用紙1の表面の問題部3に解答した後で、テスト用紙1を裏返し、問題部4にも解答しなければならない。
【0013】
以上のように、児童・生徒にとっては、単元の相違や担当する教師の方針等により、テスト用紙1の表面の問題部3だけに取り組めばよい場合と、テスト用紙1を裏返して、裏面の問題部4にも解答しなければならない場合とがあり、テスト用紙1の使い勝手としては煩雑で理解しにくく、誤解による解答漏れなどのミスも生じやすい。
特に、テスト用紙1は表裏に印刷がされて、図8(a)と図8(b)に示すように見た目にも紛らわしく、児童・生徒にとっては解くべき問題の選択を誤るおそれがある。
【0014】
上記に加えて、以下のような欠点もある。
既に説明したように、図8(a)に示すように、テスト用紙1の表面には、テーマタイトル部2の下部に、問題部3に対応した解答の採点結果を記入するための採点欄5が設けられている。
一方、図8(b)に示すように、テスト用紙1の裏面にも、該裏面のテーマタイトル部6の下部に、その問題部4に対応した解答の採点結果を記入するための採点欄7が設けられている。
これら採点欄5と7のそれぞれの詳細は図8(c)に示されている。
【0015】
ここで、図8(c)の採点欄5はテスト用紙1の表面に印刷されていて、採点欄7はテスト用紙1の裏面に採点されている。
通常の場合、問題部3と問題部4は、相互に関係がないために、すなわち、同じ単元に属するとはいえ、観点が異なる出題である問題部3の問題と、問題部4の問題に対応した採点欄であるため、個別に合計点数を算出するようになっている。
すなわち、採点欄5は、表面に印刷された問題部3の一部の解答に対する採点結果を記入する記入欄5aと、同じ問題部3の残りの部分の解答に対する採点結果を記入する記入欄5bと、これら5aと5bの点数を合計した問題部3の全体の解答の点数を記入するための合計得点欄5cを有している。
同様にして、テスト用紙1の裏面の採点欄7は、裏面に印刷された問題部4の一部の解答に対する採点結果を記入する記入欄7aと、同じ問題部4の残りの部分の解答に対する採点結果を記入する記入欄7bと、これら7aと7bの点数を合計した問題部3の全体の解答の点数を記入するための合計得点欄7cを有している。
【0016】
しかしながら、テスト用紙1の表面の問題部3と、裏面の問題部4の解答全体の点数を合計する合計欄が設けられておらず、単元全体の評価点を記入しておいて、単元単位の評価点を把握しやすいように工夫されているものは存在しない。すなわち、単元単位のテスト結果を把握しにくいという大きな欠点がある。
また、仮に、テスト用紙1の表側の採点欄5の合計得点欄5cと裏側の採点欄7の合計得点欄7cとを合計する必要がある場合においては、採点者(主として教師)にとって次のように困難がともなう。
すなわち、採点者である教師は、テスト用紙1について、その表裏を返しながら採点を行い、表裏面のそれぞれにおいて点数の集計をしなければならないだけでなく、表裏面のいずれかの採点結果を、他方の面に転記し、そして、転記した面の点数との合計を出すように加算して、全体の合計点を求める必要があるので、きわめて煩雑であるだけなく、転記にともなうミスが生じるおそれもある。
【0017】
そこで、本発明は、テストの解答を行う児童・生徒にとっても、これを採点する教師にあっても、テスト用紙の表裏を返す煩雑さがなく、転記の手間などがないようにして、容易に解答作業や採点作業等をできるようにしたテスト用紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的は、第1の発明にあっては、1枚の用紙に、問題部と、該問題部で出題されている問題に対する解答とが記入可能とされ、該解答に対する採点結果を記入するための採点結果の記載欄を有するテスト用紙において、前記1枚の用紙の一側縁に位置させた見出し代を除いて、残り面積の二分線に沿って折り畳むための折り線と、該折り線に沿って折り畳むことで前記見出し代と隣接して表側に露出した面でなる1ページ目と、該折り畳み状態から開くことで露出する前記折り線の内側が属する面に関して、見開き左側もしくは右側に位置する2ページ目と、前記見開き状態で、前記2ページ目に隣接して位置する3ページ目と、前記見出し代に形成された採点欄とを備えるテスト用紙により、達成される。
【0019】
第1の発明の構成によれば、1枚の用紙の一側縁に位置させた見出し代を除いて、残り面積の二分線に沿って折り畳むための折り線を設け、該折り線で折り畳んだ状態で表側に露出しているのが第1ページであるから、児童・生徒は先ず、この第1ページ目の問題に解答した後で、前記見出し代が見えている状態において、ページをめくると、第2ペ−ジと第3ページとが見開きで露出する。
したがって、第1ページ目から順番に第3ページ目まで解答作業を行う児童・生徒にとっては、従来のように、見た目にも紛らわしいテスト用紙の表裏を返しながら、解答作業を行うことに比べて、解答順序が自然に決定され、勘違いによる解答ミスを生じにくく、解答作業が容易である。
さらに、本発明のテスト用紙では、用紙の表面に印刷した見出し代が、どのページを開いても露出している。
つまり、前記1ページ目に隣接して前記見出し代が露出しており、さらに、折り畳み状態から開いて、内側を露出させた状態においても見出し代は露出している。この開いた状態は2ページ目と3ページ目が露出している状態である。
したがって、1ページ目の問題部に対する解答を採点している時も、2ページ目の問題部に対する解答を採点している時も、3ページ目の問題部に対する解答を採点している時も、常に見出し代は露出している。
本発明では、この見出し代に採点欄を設けているので、1ないし3ページの問題部に対応して常に同じ採点欄が存在し、用紙を裏返して採点し、一部の採点結果を転記する必要がない。このため、採点が楽であり、転記ミスを生じることもない。
かくして、テストの解答を行う児童・生徒にとっても、これを採点する教師にあっても、テスト用紙の表裏を返す煩雑さがなく、転記の手間などがないようにして、容易に解答作業や採点作業等をできるようにしたテスト用紙を提供することができる。
【0020】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記問題部が、特定の教科に関して、前記見出し代に表示されたテーマタイトルに対応した単元に対応するテスト問題を含んでおり、少なくとも、前記1ページ目ないし3ページ目の各ページには、当該単元に含まれる複数の観点別につくられた問題が、ページ単位で観点ごとに編集して印刷されていることを特徴とする。
第2の発明の構成によれば、特に、絶対評価に移行した学校教育の現場に適したテスト用紙を形成できる。
すなわち、絶対評価にともない、1単元の授業における成果を観点別に見る必要が生じて、従来よりも多くの問題数を観点別に分けて出題するのに適したテスト用紙構造が望まれている。
そこで、第2の発明では、各ページにひとつの観点を割り振り、ページ単位で観点別の問題を掲載できるようにすることで、教師には、当該ページの位置づけが把握しやすくなり、当該ページの問題をどのように利用するか等について、決定しやすくなる。同様に保護者にとっては、当該ページの問題の位置づけを理解しやすくし、教師の指導内容と対照させて、教育方針の詳細などを把握しやすくすることができる。
また、児童・生徒には、当該ページの問題を解く上で、題意を把握しやすい利点がある。
かくして、児童・生徒の真の学力を計り、再指導に役立てる材料を得ることができるとともに、確かな学力を定着させる手段とすることができる。
【0021】
第3の発明は、第1または2のいずれかの発明の構成において、前記採点結果の記載欄には、前記各ページもしくは一部のページに印刷された前記問題部に対応した複数の採点欄と、該複数の採点欄の点数を集計した全体の点数を記入するための合計の採点欄とを備えることを特徴とする。
第3の発明の構成によれば、上述した通り1ないし3ページの問題部に対応して常に同じ採点欄が露出しているから、該採点欄に前記各ページもしくは一部のページに印刷された前記問題部の一部に対応した複数の採点欄と、該複数の採点欄の点数を集計した全体の点数を記入するための合計の採点欄を設ければ、用紙を裏返す必要なく、順次採点した問題部毎に複数の採点欄に点数を記入し、最後に合計の点数を計算して書き込むことができ、作業がし易い。
しかも、各ページに観点別の問題が印刷されている場合には、採点欄がページ毎の点数を記入できるようにされているので、採点結果についても、教師や保護者が、当該単元全体のテスト結果を一目で把握できるだけでなく、観点別の把握もあわせて可能となる。
【0022】
第4の発明は、第1ないし3のいずれかの発明の構成において、前記見出し代には、前記採点欄に加えて、名前の記載欄を設けたことを特徴とする。
第4の発明の構成によれば、上記作業をしながら、解答者の名前を確認することもできるので、採点作業の参考とすることができる。
【0023】
第5の発明は、第1ないし4の発明の構成において、前記1ページ目の左側縁の位置で、折り重ねた用紙を貫通する対となった貫通孔を設けたことを特徴とする。
第5の発明の構成によれば、用紙の左側縁の貫通孔を利用して綴じることができるから、全てのページを参照可能な状態で綴じることができる。
【0024】
第6の発明は、第1ないし5のいずれかの発明の構成において、前記対となった貫通孔が前記1ページ目の上縁の位置、および/または右縁の位置に設けられていることを特徴とする。
第6の発明の構成によれば、適宜の貫通孔を形成することでファイルの綴じ形式に合わせることができる。
【0025】
第7の発明は、第1ないし6のいずれかの発明の構成において、前記見出し代の裏面に名前の記載欄を設けたことを特徴とする。
第7の発明の構成によれば、一枚の用紙の前記見出し代の裏面部分に関しても、名前の記載欄を設けると無駄なスペースが無くなり、有効な紙面利用ができる。
【0026】
第8の発明は、第7の発明の構成において、前記見出し代の裏面を利用して、前記問題部とは無関係の読み物部もしくは出題部が設けられていることを特徴とする。
第8の発明の構成によれば、一枚の用紙の前記見出し代の裏面部分に関して、採点対象の問題部とは無関係の読み物部もしくは出題部を設けることにより、採点作業の対象とならないので、採点作業を阻害することなく、スペースを無駄なく使用でき、特に、早く解答を終えた者が時間を持てあますことなく過ごすこと等に利用できる。
【0027】
第9の発明は、第1ないし8のいずれかの発明の構成において、前記1ページ目の一部が開口されて窓部が形成されており、この窓部から前記1ページ目の下のページに印刷された問題文が露出される構成としたことを特徴とする。
第9の発明の構成によれば、1ページ目の解答と他のページの解答が共通した問題文に基づくものである構成にした場合に、同じ内容の問題を2箇所に印刷することを省くことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、上述のような構成を有することから、テスト用紙の表裏を返す煩雑さがなく、転記の手間などがないようにして、用紙に採点作業をできるようにしたテスト用紙を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態に係るテスト用紙の概略正面図、図2はテスト用紙の1ページ目をめくる様子を示す概略斜視図、図3はテスト用紙の見開き状態であり、2ページ目、3ページ目を開いた様子を示す正面図、図4は図1の裏面を示す図である。
これらの図において、テスト用紙20は、1枚の紙で形成されている。紙の種類は、印刷に適していて、解答を記載し、採点が行われるという用途に適するものであれば、なんでもよく、普通紙が適している。
【0031】
テスト用紙20を構成する紙は、例えば、図1の折り畳んだ状態で例えばB4サイズであり、開くと、図3を参照して理解されるように、横長の長方形の紙である。
図3の状態で、テスト用紙20は、その一側縁、図示の場合右辺に相当する側縁に沿って、所定幅のスペースでなる見出し代(しろ)22を設けている。この見出し代22を除いて、全体の面積を半分ずつに分割するように、縦方向に折り線26が設定されている。 すなわち、折り線26は、図3のテスト用紙20の見出し代22を除き、その横寸法を2分して、L1=L2となるようにして設けたものである。
【0032】
そして、図3の折り線26の26aの部分を谷折りして、折り畳むと、図1に示すように、見出し代22に隣接して、1ページ目23が露出される構造である。
また、図2に示すように、折り線26の山折りされている部分26aを元に戻すようにして、開くと図3の状態となる。この見開き状態において、折り線26の内側26bが属する面の左半分が2ページ目24であり、右半分が3ページ目25である。なお、テスト用紙20にあっては、図3とは異なり、右半分を2ページ目とし、左半分を3ページ目としてもよい。
後述するように、1ページ目23から3ページ目25までがテスト用紙20における出題が印刷された問題部であり、問題には解答も記入できるようになっている。
特に、好ましくは、1ページ目23から3ページ目25までの各ページに印刷される問題が、出題の観点を異にする観点別の問題とされる。
【0033】
すなわち、この実施形態のテスト用紙20は、単元学習に対応して、学校の授業において、特定の単元の授業を終えた後で、単元毎に行われるテストに対応して、当該単元全体の問題を網羅するようにされている。
しかも、それらの問題は当該単元内で、決められた数の特定の観点に沿って作製される観点別の問題となっている。
例えば、算数では、「知識・理解」、「表現・処理」、「数学的な考え方」などの3つの観点別に問題を作ると好ましい。
同様にして、国語においては、「読むこと」、「書くこと」、「話す・聞く」、「言語」の各観点別に、社会では、「知識・理解」、「技能・表現」、「思考・判断」の各観点別に、問題を作ると好ましい。
同様にして、理科では、「知識・理解」、「技能・表現」、「科学的な思考」の各観点別に、問題を作ると好ましい。
【0034】
このようにして、各ページにひとつの観点を割り振り、ページ単位で観点別の問題を掲載できるようにすることで、教師には、当該ページの位置づけが把握しやすくなり、当該ページの問題をどのように利用するか等について、決定しやすくなる。同様に保護者にとっては、当該ページの問題の位置づけを理解しやすくし、教師の指導内容と対照させて、教育方針の詳細などを把握しやすくすることができる。
また、児童・生徒には、当該ページの問題を解く上で、題意を把握しやすい利点がある。
かくして、児童・生徒の真の学力を計り、再指導に役立てる材料を得ることができるとともに、確かな学力を定着させる手段とすることができる。
【0035】
また、図4は、図1に表れている面の裏面、つまり、見出し代22の裏面の様子を示しており、この面は4ページ目27となる。
さらに、図1において、1ページ目23の左側縁の位置で、貫通する対となった貫通孔35,35を設けている。
貫通孔35は、図3の符合35a,35bを参照して理解されるように、折り重ねた用紙をそれぞれ貫通している。
これにより、図1において、テスト用紙20の左側縁の貫通孔35,35を利用して綴じることができるから、全てのページを参照可能な状態で綴じることができる。
また、これに限らず、このような対となった貫通孔が1ページ目23の上縁の位置、および/または右縁の位置に設けてもよい。これにより、適宜の貫通孔を形成することでファイルの綴じ形式に合わせることができる。
【0036】
テスト用紙は、一枚の紙を以上のように折り畳みおよび区分をすることで、次のように使用することができる。
(実施例)
図5及び図6は、テスト用紙20を算数のテスト用紙に構成した実施例を示している。
図において、見出し代22は、縦方向に所定に寸法にいくつかに区分した領域を設け、異なる印刷をして複数の機能を果たすようにされている。
【0037】
見出し代22の各欄を上から順に説明する。
見出し代22の一番上の欄には、「算数」の後を印刷することで、テスト用紙の表題とすることができる。
次の欄32には、「3.かけ算とわり算」と印刷することで表題部とすることができる。次の欄33には、テストを受ける児童・生徒などの名前を記入することで、名前の記載欄として使用することができる。
次の欄40は、テストの採点欄であり、採点結果としての得点を記入するようになっている。採点欄40は、上から順に複数の記載欄を設けている。この実施例では、採点欄40を4つの欄41,42,43,44に区分してそれぞれ採点結果を記入するようになっている。具体的な機能については、後述する。
【0038】
次に、図5において、1ページ目23には、算数の問題1〜3が記載され、それに対する解答が記載できる問題部とされている。
続いて、図6を参照すると、2ページ目24には、問題4が記載された問題部が設けられており、その隣接した右側には、3ページ目とされて、問題5〜7が上から順に印刷された問題部とされている。
【0039】
かくして、児童・生徒は、テスト用紙20の各問題部における出題に答える際には、テスト用紙20を図1のようにして、その1ページ目23の問題部から解き始め、次いで、図5に示すように、折り線26を戻して、図6の見開き状態として、2ページ目24の問題部の出題に答え、続いて、隣接する3ページ目の出題に解答することになる。したがって、ST8の従来例におけるように、解答の過程で、机の上でテスト用紙を裏返す必要がなく、解答しやすい。
【0040】
さらに、教師などの採点者においては、1ページ目23の採点を行い、その採点結果を、1ページ目23に隣接して露出されている見だし代22の採点欄40の一番上の欄41に記入する。
次いで、図5に示すように、折り線26を戻して、図6の見開き状態とする。
この2ページ目24と3ページ目25が見開き露出した状態においても、なお見出し代22は隣接して3ページ目25に隣接して露出されている。
【0041】
このため、2ページ目24の採点結果の得点を次の欄42に記入し、続いて、3ページ目25の採点結果をその次の欄43に順次記入する。
この採点作業においては、図8で説明したような従来のテスト用紙のように、用紙を裏返す必要がなく、常に同じ採点欄40が露出しているので、同一の箇所の記載欄を利用して、各ページの採点結果を記入することができる。
さらに、各採点欄41,42,43の得点をその場で合計して、合計点を記入するための採点欄44に記入することができるから、部分的な得点について、一切転記する必要がない。
【0042】
したがって、採点作業がきわめて容易であるだけでなく、部分的な得点の転記作業が不要であるから、転記ミスなどを生じることもなく、作業効率がきわめて高い。
加えて、各ページに観点別の問題が印刷されている場合には、各採点欄41,42,43にページ毎の点数を記入できるようにされているので、採点結果についても、教師や保護者が、当該単元全体のテスト結果を一目で把握できるだけでなく、観点別の評価結果の把握もあわせて可能となる。
【0043】
なお、これに関連して、各ページ毎に、観点(の内容)を表示し、説明を加えてもよい。
例えば図5に示す第1ページ23の最上段には、「知識・理解」として観点の種類を明示し、加えて「到達目標;わり算の意味がわかる。」とし、さらには、同段の末尾に「各5点(30点)」というように、さらに観点のねらいや配点などを記入することができる。
同様にして第2ページ24の最上段には、観点として「表現・処理」「到達目標;かけ算九九を1回使うわり算と0のわり算ができる。」とし、末尾に「各2点(30点)」と記載することができる。
さらに、第3ページ25の最上段には、観点として「数学的な考え方」「到達目標;わり算を使った問題が解ける。」とし、末尾に「各2点(40点)」と記載することができる。
このように、各ページに観点別の問題を割り振るだけでなく、当該観点を明示し、これを説明するとともに、配点などを表示するとさらに、教師や保護者の理解が促進され、使い勝手が向上する。
【0044】
図4を参照する。
採点欄40と関係した問題部は、1ページ目23〜3ページ目25までであるが、この4ページ目27には、これらと無関係な読み物部や、あるいは、他の練習問題などの出題部を設けるようにしてもよい。
これにより、テスト用紙20の見出し代22の裏面部分である4ページ目27に関して、採点対象の問題部とは無関係の読み物部もしくは出題部を設けても、採点作業の対象とならないので、採点作業を阻害することなく、スペースを無駄なく利用できる。すなわち、例えば、特に、早く解答を終えた児童や生徒が上記読み物などを興味深く読むことで、残ったテスト時間を持て余すことなく待つようにさせること等に利用できる。
また、図4の符合27aなどの箇所に名前の記載欄を設けるようにしてもよい。
これにより、テスト用紙20を伏せた状態でも名前を確認できるし、見出し代22にあえて名前の記載欄を設けない場合、あるいはスペースの関係で設けることが出来ない場合にも、紙面を無駄なく利用することができる。
【0045】
図7は、変形例を示している。
図7において、テスト用紙20−1は、1ページ目23の一部が開口されて窓部28が形成されており、この窓部28から前記1ページ目23の下のページ(3ページ目25)に印刷された問題文が露出される構成としたものである。
これにより、1ページ目23の解答と他のページの解答が共通した問題文に基づく構成とした場合において、同じ内容の問題を2箇所に印刷することを省くことができる。
【0046】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、「テスト用紙」は、テストだけでなく、練習問題を印刷したものを含む趣旨である。
見出し代は、上述の実施形態、実施例とも右側縁に設けているが、上側縁や下側縁に設けてもよいし、折り線を右に設けた場合には、左側縁に配置してもよい。
上記実施形態の構成その一部を省略して、上述の説明で言及することのない他の構成と組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態に係るテスト用紙の概略正面図。
【図2】図1のテスト用紙の1ページ目を開く様子を示す図。
【図3】図1のテスト用紙の見開きを示す図。
【図4】図1のテスト用紙1ページ目の裏面を示す図。
【図5】本発明のテスト用紙の実施例において、1ページ目を開く様子を示す図。
【図6】図5のテスト用紙の見開きを示す図。
【図7】図1のテスト用紙の変形例を示す図。
【図8】従来のテスト用紙の一例を示す図。
【符号の説明】
【0048】
20・・・テスト用紙、21・・・本体、22・・・見出し代、23・・・1ページ目、24・・・2ページ目、25・・・3ページ目、26・・・折り線、27・・・4ページ目、35・・・貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の用紙に、問題部と、該問題部で出題されている問題に対する解答とが記入可能とされ、該解答に対する採点結果を記入するための採点結果の記載欄を有するテスト用紙において、
前記1枚の用紙の一側縁に位置させた見出し代を除いて、残り面積の二分線に沿って折り畳むための折り線と、
該折り線に沿って折り畳むことで前記見出し代と隣接して表側に露出した面でなる1ページ目と、
該折り畳み状態から開くことで露出する前記折り線の内側が属する面に関して、見開き左側もしくは右側に位置する2ページ目と、
前記見開き状態で、前記2ページ目に隣接して位置する3ページ目と、
前記見出し代に形成された採点欄と
を備えることを特徴とするテスト用紙。
【請求項2】
前記問題部が、特定の教科に関して、前記見出し代に表示されたテーマタイトルに対応した単元に対応するテスト問題を含んでおり、少なくとも、前記1ページ目ないし3ページ目の各ページには、当該単元に含まれる複数の観点別につくられた問題が、ページ単位で観点ごとに編集して印刷されていることを特徴とする請求項1に記載のテスト用紙。
【請求項3】
前記採点結果の記載欄には、前記各ページもしくは一部のページに印刷された前記問題部に対応した複数の採点欄と、該複数の採点欄の点数を集計した全体の点数を記入するための合計の採点欄とを備えることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のテスト用紙。
【請求項4】
前記見出し代には、前記採点欄に加えて、名前の記載欄を設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のテスト用紙。
【請求項5】
前記見出し代の裏面に名前の記載欄を設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のテスト用紙。
【請求項6】
前記1ページ目の左側縁の位置で、折り重ねた用紙を貫通する対となった貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のテスト用紙。
【請求項7】
前記対となった貫通孔が前記1ページ目の上縁の位置、および/または右縁の位置に設けられていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のテスト用紙。
【請求項8】
前記見出し代の裏面を利用して、前記問題部とは無関係の読み物部もしくは出題部が設けられていることを特徴とする請求項7に記載のテスト用紙。
【請求項9】
前記1ページ目の一部が開口されて窓部が形成されており、この窓部から前記1ページ目の下のページに印刷された問題文が露出される構成としたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のテスト用紙。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−80716(P2008−80716A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−265188(P2006−265188)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(591139138)株式会社新学社 (13)