説明

テルテール用光源の故障判断装置

【課題】容易に適切な時期に光源の故障判断を行うことができるテルテール用光源の故障判断装置を提供する。
【解決手段】エンジンECU10のコンピュータ11は、グローテルテール100に対する点灯要求信号/消灯要求信号をメータECU20のコンピュータ21に出力する。メータECU20のコンピュータ21は、グローテルテール100のLED120の消費電圧に基づいて、LED120の点消灯状態を検出して検出結果をエンジンECU10のコンピュータ11へ出力する。エンジンECU10のコンピュータ11は、点消灯要求信号が示す点消灯状態と検出結果が示す点消灯状態とから、LED120の故障判断を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のコンビネーションメータなどに設けられ、所定の情報表示を行なうテルテールに用いるテルテール用光源の故障判断を行う故障判断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のコンビネーションメータなどに設けられているテルテールは、テルテール用光源を点灯させることによって、所定の情報表示を行なう(たとえば、特許文献1参照)。そのため、光源が故障している場合にはテルテールによる情報表示を適切に行なうことができない。
【0003】
そこで、光源の故障を判断するために、テルテール用光源に対して強制的に点灯指示を出力し、そのときの光源の点灯/消灯状態を目視または視認装置で確認することで、光源の故障を判断していた。
【特許文献1】特開平6−52707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、目視または視認装置で光源の故障を判断する従来の方法では、故障判断のために人の作業が必要となるため、面倒であるとともに、適切な時期に故障判断を行えない可能性があった。たとえば、車両出発時(イグニッションがオンされた時)には、テルテール用光源の故障判断を行うことが好ましいにも係わらず、車両出発時に、運転者等が作業を行ってテルテール用光源の故障を判断することは困難であった。
【0005】
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、容易に適切な時期に光源の故障判断を行うことができるテルテール用光源の故障判断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その目的を達成するための請求項1記載の発明は、点消灯決定装置から出力される点消灯要求信号に基づいて点灯消灯が切り替えられるテルテール用光源の故障を判断するテルテール用光源の故障判断装置であって、前記テルテール用光源の消費電圧を検出する消費電圧検出回路と、その消費電圧が示す前記テルテール用光源の点消灯状態と、前記点消灯要求信号が示す前記テルテール用光源の点消灯状態との比較に基づいて、前記テルテール用光源が故障しているか否かを判断する故障判断手段とを含むことを特徴とする。
【0007】
このようにテルテール用光源の消費電圧が示す点消灯状態と、点消灯要求信号が示す点消灯状態との比較に基づいてテルテール用光源が故障しているか否かを判断するようにすれば、人の作業を必要とせず、自動的に故障判断を行なうことができる。従って、たとえば次に示すように、イグニッションがオンされた時に光源の故障判断を行なうなど、適切な時期に光源の故障判断を行なうことができる。
【0008】
請求項2は、前記テルテール用光源が、イグニッションがオンされた時に異常か正常かの情報表示を行なう必要があるテルテールに用いられる光源であり、前記故障判断手段は、イグニッションがオンされた時に前記テルテール用光源が故障しているか否かを判断することを特徴とする。
【0009】
テルテール用光源が、イグニッションがオンされた時に異常か正常かの情報表示を行なう必要があるテルテールに用いられる光源の場合、このように、そのテルテール用光源の故障判断も、イグニッションがオンされた時に行なうことが好ましい。
【0010】
請求項3は、前記故障判断手段によって故障と判断された場合、その故障と判断されたテルテール用光源に関連するものとして予め設定されているテルテールを点灯させることを特徴とする。
【0011】
このようにすれば、故障判断の対象となっているテルテール用光源が故障していたとしても、その光源に関連する別のテルテールが点灯する。この別のテルテールが点灯することによって、ユーザに、故障判断の対象となっているテルテール用光源が故障している可能性があること認識させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の故障判断装置としての機能を備えた点灯制御装置1の構成を示すブロック図である。この点灯制御装置1は、グローテルテール100、チェックエンジンテルテール200等のテルテールを点灯制御するとともに、グローテルテール用光源であるLED120(図2参照)の故障判断を行う。
【0013】
この点灯制御装置1は、エンジンECU10とメータECU20とを備えている。これらECU10、20はコンピュータ11、21等を備えており、それぞれ、それらコンピュータ11、21が図示しないROMに格納されているプログラムを実行することにより、エンジンECU10は、所定のエンジン制御を行うとともに、請求項の点消灯決定装置としての機能を実行する。一方、メータECU20は、所定のメータ制御を行うとともに、テルテールの点消灯制御を行う。
【0014】
また、エンジンECU10のコンピュータ11には、燃料温度センサ30によって検出される燃料温度信号が入力される。この燃料温度センサ30は、エンジンの燃焼室に噴射されるときの燃料の温度を直接または間接的に検出する。
【0015】
エンジンECU10のコンピュータ11は、上記燃料温度信号に基づいて、グローテルテール100およびチェックエンジンテルテール200の点消灯要求信号をメータECU20のコンピュータ21へ出力する。メータECU20のコンピュータ21は、上記点消灯要求信号に基づいて、テルテール100、200を点消灯させる処理を行なうとともに、グローテルテール100の光源であるLED120の点消灯状態を検出して、検出結果をエンジンECU10のコンピュータ11に出力する。これら、コンピュータ11、21の処理内容は後に詳述する。
【0016】
グローテルテール100、チェックエンジンテルテール200等のテルテールは、そのテルテールに備えられている光源を駆動させる駆動回路を備えている。図2は、グローテルテール100が備えている駆動回路110を示す図であり、グローテルテール100の駆動回路110は、LED120の消費電圧を検出する消費電圧検出回路130を含んでいる。
【0017】
駆動回路110は、第1トランジスタTr1を備えており、この第1トランジスタTr1は、コレクタ端子が第1抵抗R1を介してLED120の一方の端子に接続され、エミッタ端子はダイオードDのカソード端子と接続され、ベース端子は第4抵抗R4および第5抵抗R5の一端に接続されている。
【0018】
ダイオードDのアノード端子はイグニッション電源IG+に接続されている。LED120の第1抵抗R1が接続されている側とは反対側は接地されており、また、LED120には第1コンデンサC1が並列に接続されている。
【0019】
第4抵抗R4は、前述のように、一端が第1トランジスタTr1のベース端子と接続されており、他端は、第1トランジスタTr1のエミッタ端子およびダイオードDのカソード端子に接続されている。第5抵抗R5は、前述のように、一端が第1トランジスタTr1のベース端子と接続されており、他端は、第2トランジスタTr2のコレクタ端子に接続されている。
【0020】
その第2トランジスタTr2は、エミッタ端子が接地され、ベース端子が第6抵抗R6を介してメータECU20のコンピュータ21に接続されている。第7抵抗R7も、一端がメータECU20のコンピュータ21に接続されており、第7抵抗R7の他端は接地されている。
【0021】
前述の消費電圧検出回路130は、第2抵抗R2、第3抵抗R3、ツェナーダイオードZDによって構成される。第2抵抗R2、第3抵抗R3は互いに直列に接続され、第2抵抗R2の一端はLED120のアノード端子に接続されている。また、ツェナーダイオードZDの一端もLED120のアノード端子に接続されており、第3抵抗R3の一端およびツェナーダイオードZDの一端は接地されている。
【0022】
そして、第2抵抗R2と第3抵抗R3とによって分圧された電圧がメータECU20のコンピュータ21に入力されるようになっている。そのため、コンピュータ21に入力されるこの電圧は、LED120の消費電圧Vkに対応して変化する。また、LED120の消費電圧Vkは点灯時には数ボルト、消灯時には0Vである。従って、コンピュータ21は、消費電圧検出回路130からの入力電圧によって、LED120が点灯しているか、消灯しているかを判断することができる。なお、第3抵抗R3には、第2コンデンサC2が並列に接続されている。この第2コンデンサC2は、一時的なノイズ成分がコンピュータ21に入力されることによって、LED120の点消灯状態を誤判定してしまうことを防止するものである。
【0023】
次に、このように構成された駆動回路110の作動を説明する。メータECU20のコンピュータ21は、LED120を点灯させようとする場合、点灯信号として、第2トランジスタTr2をオンさせる信号(Hi信号)を出力する。第2トランジスタTr2がオンすると、第1トランジスタTr1のベース端子の電圧が第4抵抗R4と第5抵抗R5との分圧比によって定まる電圧となり、これによって第1トランジスタTr1がオンする。
【0024】
そのため、イグニッション電源IG+からの電流がLED120に流れることになるので、LED120が点灯する。このとき、前述のように、コンピュータ21には、LED120が点灯していることを示す電位の電圧が入力される。なお、第1コンデンサC1は、メータECU20のコンピュータ21が点灯信号を出力していないにも係わらず、第1トランジスタTr1の漏れ電流等によりLED120に電流が流れてしまうことを防ぐために設けられている。
【0025】
LED120を消灯させる場合、メータECU20のコンピュータ21は、消灯信号として、第2トランジスタTr2をオフさせる信号(Lo信号)を出力する。これによって第1トランジスタTr1もオフとなるので、LED120は消灯する。
【0026】
次に、エンジンEUCU10およびメータECU20の各コンピュータ11、21が行なう点消灯制御処理を図3に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0027】
ステップS1では、イグニッションがオン状態であるか否かを判断する。この判断は、エンジンECU10およびメータECU20がそれぞれ行なう。なお、一方のECU10、20が判断を行って他方のECU10、20は判断結果を取得してもよい。
【0028】
イグニッションがオン状態である場合には、エンジンECU10のコンピュータ11はステップS2以降を実行し、メータECU20のコンピュータ21はステップS10以降を実行する。
【0029】
まず、エンジンECU10のコンピュータ11が行う処理であるステップS2〜S9を説明する。ステップS2では、燃料温度が十分か否かを判断する。この判断は、具体的には、燃料温度センサ30からの信号に基づいて定まる燃料温度が、予め設定された基準温度以上か否かを判断するものである。
【0030】
燃料温度が基準温度よりも低い場合にはステップS2が否定判断となりステップS3へ移る。そのステップS3ではグロープラグを用いて燃料のプレヒートを行う。そして、ステップS4において、グローテルテール100の点灯を要求する点灯要求信号をメータECU20のコンピュータ21へ出力する。一方、燃料温度が基準温度以上である場合にはステップS2が肯定判断となりステップS5へ移る。そのステップS5では、グローテルテール100の消灯を要求する消灯要求信号をメータECU20のコンピュータ21へ出力する。これらステップS4またはS5を実行した場合には、いずれも次にステップS6を実行する。
【0031】
上記ステップS4またはS5を実行して、グローテルテール100に対する点灯要求信号または消灯要求信号をメータECU20のコンピュータ21へ出力すると、後述するように、メータECU20のコンピュータ21は、グローテルテール100のLED120の点消灯状態の検出結果を示す信号をエンジンECU10のコンピュータ11に送信してくる。
【0032】
ステップS6では、メータECU20から送信されてきた信号が示すLED120の点消灯状態の検出結果が、ステップS4またはS5でメータECU20へ送信した信号、すなわち、点灯要求信号または消灯要求信号が示す点消灯状態と一致するか否かを判断する。
【0033】
要求信号が示す点消灯状態と点消灯状態の検出結果とが一致しない場合には、ステップS7へ進む。ステップS7では、LED120の故障を検出したと決定する。そして、ステップS8にて、チェックエンジンテルテール200の点灯を要求する点灯要求信号を、メータECU20のコンピュータ21へ出力する。
【0034】
グローテルテール100のLED120の故障を検出した場合に、このように、チェックエンジンテルテール200を点灯させるのは、グローテルテール100に関連する別のテルテールを点灯させることによって、グローテルテール100のLED120が故障していることを示すためである。
【0035】
一方、要求信号が示す点消灯状態と点消灯状態の検出結果とが一致する場合には、ステップS9へ進んで、チェックエンジンテルテール200の消灯を要求する消灯要求信号を、メータECU20のコンピュータ21へ出力する。ステップS8またはS9を実行した後はステップS1へ戻る。
【0036】
次に、メータECU20のコンピュータ21が行う処理であるステップS10〜S16を説明する。ステップS10では、エンジンECU10から送信されてきたグローテルテール100に対する要求信号が点灯要求信号であるか消灯要求信号であるかを判断する。
【0037】
エンジンECU10がステップS4を実行した場合、すなわち、点灯要求信号を送信した場合にはステップS12へ進んでLED120を点灯させる。一方、エンジンECU10がステップS5を実行した場合、すなわち、消灯要求信号を送信した場合にはステップS11へ進んでLED120を消灯させる。これらステップS11またはS12は、前述のように、トランジスタTr2に対してオンまたはオフさせる信号を出力するものである。
【0038】
ステップS11またはS12を実行した後はステップS13を実行する。そのステップS13では、LED120の点消灯状態を検出する。そして、検出結果をエンジンECU10へ送信する。LED120の点消灯状態の検出は、前述のように、消費電圧検出回路130からの入力電圧に基づいて行う。
【0039】
ステップS14では、エンジンECU10から送信されてきたチェックエンジンテルテール200に対する要求信号が点灯要求信号であるか消灯要求信号であるかを判断する。エンジンECU10がステップS8を実行した場合、すなわち、チェックエンジンテルテール200に対する点灯要求信号を送信した場合にはステップS16へ進んでチェックエンジンテルテール200の光源(図示せず)を点灯させる。一方、エンジンECU10がステップS9を実行した場合、すなわち、チェックエンジンテルテール200に対する消灯要求信号を送信した場合にはステップS15へ進んでチェックエンジンテルテール200の光源を消灯させる。そして、これらステップS15またはS16を実行した後はステップS1へ戻る。
【0040】
以上、説明した本実施形態によれば、LED120の消費電圧Vkを検出することで、そのLED120の点消灯状態を検出しており、消費電圧Vkから検出したその点消灯状態と、要求信号が示す点消灯状態との比較に基づいてLED120の故障判断を行っている。そのため、人の作業を必要とせずに自動的に故障判断を行なうことができる。
【0041】
また、グローテルテール100はイグニッションがオンされた時に情報表示を行う必要があるが、本実施形態では、グローテルテール100の光源であるLED120の故障判断をイグニッションがオンされた時から行っている。そのため、グローテルテール100の点灯/消灯状態が、LED120の故障によるものなのか否かをイグニッションがオンされた時から判断することができる。
【0042】
また、本実施形態では、グローテルテール100のLED120が故障と判断した場合には、このグローテルテール100に関連するものとして予め設定してあるチェックエンジンテルテール200を点灯させている。これによって、ユーザに、グローテルテール100のLED120が故障している可能性があること認識させることができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の故障判断装置としての機能を備えた点灯制御装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】グローテルテール100が備えている駆動回路110を示す図である。
【図3】エンジンEUCU10およびメータECU20の各コンピュータ11、21が行なう点消灯制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
1:点灯制御装置、 10:エンジンECU(点消灯決定装置)、 11:コンピュータ、 20:メータECU、 21:コンピュータ、 30:燃料温度センサ、 100:グローテルテール、 110:駆動回路、 120:LED(グローテルテール用光源)、 130:消費電圧検出回路、 200:チェックエンジンテルテール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
点消灯決定装置から出力される点消灯要求信号に基づいて点灯消灯が切り替えられるテルテール用光源の故障を判断するテルテール用光源の故障判断装置であって、
前記テルテール用光源の消費電圧を検出する消費電圧検出回路と、
その消費電圧が示す前記テルテール用光源の点消灯状態と、前記点消灯要求信号が示す前記テルテール用光源の点消灯状態との比較に基づいて、前記テルテール用光源が故障しているか否かを判断する故障判断手段と
を含むことを特徴とするテルテール用光源の故障判断装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記テルテール用光源が、イグニッションがオンされた時に異常か正常かの情報表示を行なう必要があるテルテールに用いられる光源であり、
前記故障判断手段は、イグニッションがオンされた時に前記テルテール用光源が故障しているか否かを判断することを特徴とするテルテール用光源の故障判断装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記故障判断手段によって故障と判断された場合、その故障と判断されたテルテール用光源に関連するものとして予め設定されているテルテールを点灯させることを特徴とするテルテール用光源の故障判断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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