説明

テレビジョン信号発生器

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、信号発生器、特に全面的にデジタル化し、単一のシステム・クロックと単一のデジタル・アナログ変換器とを用いたテレビジョン信号発生器に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする問題点】従来のテレビジョン試験信号発生器、例えばアメリカ合衆国オレゴン州ビーバートンのテクトロニックス社製の1410Rシリーズ同期及び試験信号発生器は、アナログ形式である。すなわち、総ての信号成分をアナログ技法により発生している。デジタル回路は、アナログ成分のタイミング調整と切換にのみ用いられる。このような構成をとった場合の問題点としては、映像出力における水平同期に対する副搬送波(SCH)の不正確な位相の問題と、残留副搬送波の問題がある。とはいえ、このようなアナログ技法では、被試験テレビジョン・システム中のフィルタに典型的に起因するマルチバースト信号のリンギングを容易に検出できるよう、位相を回転できる。
【0003】他の方法、例えばデンマーク・フィリップス社製のPM5630型試験信号発生器及びテクトロニックス社製TSG300コンポーネント・テレビジョン信号発生器では、デジタル成分技法を用いている。これら信号発生器では、アナログ成分発生器をプログラマブル・リード・オンリー・メモリ(以下PROMと記す)に置換し、これらPRRMの後にデジタル・アナログ変換器(以下DACと記す)及びローパス・フィルタを接続している。また、色成分包絡線用DACの出力により、副搬送波周波数にて発振している発振器を変調することによって、色副搬送波を発生する。輝度チャンネルの出力を変調された副搬送波に加算して試験信号出力を発生する。このような構成によって試験信号の順応性が向上する。しかし、このアナログ変調の構成では、なお映像出力中に残留副搬送波とSCH誤差とが残ってしまう。また、位相回転をシミュレートするためには、各水平ライン用の個別のパターンを蓄積するメモリが必要なので、このメモリがなければ、この位相回転機能が失われてしまう。
【0004】そこで本発明の目的は、大容量のメモリを用いずに位相回転機能を保持しつつ、映像出力から残留副搬送波とSCH誤差を除去すると共に、色データ及び輝度データの分解能を独立にすることができるテレビジョン信号発生器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明のテレビジョン信号発生器は、所望テレビジョン信号のデータを表すデジタル成分を蓄積する蓄積手段(22、24、28、102)と、この蓄積手段に蓄積されたデジタル成分をアドレス指定するアドレス発生器(16、26、74)と、デジタル化された正弦波関数を発生する正弦波関数発生手段(18、20、82、84)と、このアドレス発生器でアドレス指定され蓄積手段から得たデジタル成分を、正弦波関数発生手段が発生したデジタル化された正弦波関数とデジタル的に組み合わせて、変調されたデジタル副搬送波を発生する変調手段(34、36、76、78)と、この変調手段からの出力信号をアナログ信号に変換するデジタル・アナログ変換器(40)とを具えている。
【0006】そして、本発明では、蓄積手段は、所望テレビジヨン信号の色データを表す第1及び第2デジタル成分並びに所望テレビジヨン信号の輝度データを表す第3デジタル成分を蓄積し、アドレス発生器は、蓄積手段の第1及び第2デジタル成分をアドレス指定する色データ用アドレス発生器と、蓄積手段の第3デジタル成分をアドレス指定する輝度データ用アドレス発生器とを有し、変調手段は、色データ用アドレス発生器でアドレス指定された第1及び第2デジタル成分を正弦波関数発生手段からのデジタル化された正弦波関数とデジタル的に組み合わせて2つの変調された副搬送波を発生し、これら2つの変調された副搬送波を輝度データ用アドレス発生器でアドレス指定された第3デジタル成分とデジタル的に組み合わせる。
【0007】本発明の目的・利点・及びその他の新規な特徴は、図面を参照しての以下の説明より明らかとなろう。
【0008】
【実施例】図1はPAL方式に適用した本発明のテレビジヨン信号発生器の第1の実施例のブロック図であり、PAL用の色名称及び数値を用いる。システム・クロック発振器(OSC)10は、副搬送波周波数の4倍、すなわち4fscにて発振し、テレビジョン信号発生回路のタイミングを決める。システム・クロック発振器10の出力を位相ロック・ループ12に入力する。この位相ロック・ループ12は、電圧制御型水晶発振器(VCXO)14を制御し、水平ライン周波数の1135倍の周波数を発生ずる。システム・クロック発振器10の出力を、同様に色アドレス発生器16、デジタル正弦波発生器20及びデジタル余弦波発生器18にも入力する。これら正弦波発生器20及び余弦波発生器18は、副搬送波周波数にて、正弦関数及び余弦関数のデジタル信号を夫々発生する。なお、正弦波関数及び余弦波関数は位相がずれているだけであるので、本明細書では、正弦波関数発生器(正弦PROMも含む)及び余弦波関数発生器(余弦PROMも含む)を総称して車に正弦波関数発生手段と呼び、この正弦波関数発生手段が発生する正弦波関数は余弦波関数も含むものとする。色アドレス発生器16は、副搬送波周波数の4倍で、U軸用PROM22及びV軸用PROM24からのデータをフェッチする。
【0009】VCXD14の出力は、輝度アドレス発生器26をクロックして、1水平ライン当り1135個のサンプル点という比率で輝度PROM28からのデータをフェッチする。輝度アドレス発生器26は、リセット信号を色アドレス発生器16へ各フィールドの初めに送る。このためクロック・スキュー誤差が累積することを防止でき、よってSCH位相誤差を最小にする。
【0010】U軸用PROM22及びV軸用PROM24からのフェッチされたデータは、対応する包絡線補間器30及び32を通過する。これら補間器により、副搬送波包絡線データを水平ライン単位に若干シフトすることができる。このことは、PAL副搬送波周波数が水平走査周波数の整数倍ではないためにPALテレビジョン・システムに必要である。したがって、副搬送波包絡線を、625本のライン毎に総計4つのサンプル点だけ拡張すべきである。包絡線補間器30,32を実現する1つの方法は、包絡線サンプルを2つの成分、即ち開始点及び勾配として蓄積することである。フレームの最初のラインにおいて、開始点の値は、なんら変調されることなく包絡線補間器30及び32を通過する。次の半フィールド期間中、開始点の値にオフセット値を加えて、包絡線サンプルを計算する。このオフセット値は、開始点の値、勾配及びライン数の関数である。フィールドの半分を走査した後、副搬送波包絡線のライン1の開始点を1サンプル分だけ正確にシフトし、上述の工程を繰り返す。フィールド1の最終ラインの後、この工程を再び繰り返して、2サンプル分だけ正確にシフトする。この同じ工程を第2のフィールドにおいても繰り返し、625ライン期間にわたり正確に4つのサンプル点だけ副搬送波包絡線を拡張する。
【0011】U軸とV軸の副搬送波データを補間した後、正弦SIN(Fsc)及び余弦COS(Fsc)デジタル値とこれら補間したデータとを掛け算器(変調手段)34及び36によって夫々積算する。サンプル結果は4fscでクロックされるため、正弦波発生器20及び余弦波発生器18を単純化するように、例えばSINE=0,+1,0,−1,・・COS=+1,0,−1,0・・となるように包絡線上の点を選んでもよく、それゆえ掛け算器34及び36も単純化できる。その結果のデータを加算器38に入力し、この加算結果出力をDAC40に供給して、変調された副搬送波を発生する。輝度PROM28からのデータを第2DAC42に供給し、これら2つのDAC出力を第2加算器44に入力する。これら輝度データ及ひ色データの加算結果をローパスフィルタ46に供給して、映像出力を発生する。総ての色データをデジタル的に発生するため、残留搬送波が除去される。またSCH誤差は、全面的にアナログ比較器である場合よりも少なくなる。しかし、後述するような単一のDAC、又は改良されたクロック発振器を用いたテレビジョン信号発生器のようには安定しない。
【0012】図2は、本発明の好適な第2実施例のブロック図であり、この実施例では、水平ライン周波数の1135倍(以下1135Hと記す)で発振するクロック発振器50から4倍の副搬送波周波数を引き出すために、改良した技術を用いている。クロック発振器50を用いて、アドレス・ポインタ・ラッチ52を増分し、この増分した値をアドレス信号としてPROM54に供給する。このPROM54はデジタル化した正弦波の1サイクルを記憶している。デジタル化した正弦波の長さは、2の累乗になるように選択するので、2進加算を行うと共にキャリーを無視することにより、正弦波の終わりから初めに戻って「巻き込む」ようにアドレスをオフセットする。位相増分回路56の出力を加算器58にてラッチ52の出力と加算し、この加算された値をラッチ52に再び入力して、新たなアドレス・ポインタとする。位相増分の値は、正弦PROM54の出力が100Hzの正弦波のデジタル表現となるように選ぶ。正弦PROM54からのデータは、DAC60に、そしてローパス・フィルタ62に送られ、1対の平衡アナログ変調器64,66及び90度位相シフト器68,70にて1135Hのクロックと混合される。これによって、加算器72の出力端において、水平ライン周波数の1135倍の周波数と100Hzとの和であり、正確に副搬送波周波数の4倍に等しい周波数を発生する。これら2つのクロック信号、即ち4fscと1135Hとを、正弦波発生器20、余弦波発生器18、色アドレス発生器16及び輝度アドレス発生器26へと、図1を参照して上述したように入力する。本実施例においては、この2つのクロック4fscと1135Hとが位相ロックループを用いずに相互にロックされており、冗長な分周回路、PLLの位相ジッタ及びSCH誤差を除去できる。
【0013】図3は本発明の第3の実施例のブロック部であり、ここでは1135Hの単一のクロック発振器を用いて2つの正確に同期した発振器を具える必要をなくしている。この1135Hのクロック信号により、信号アドレス発生器74はU軸PROM22、V軸PROM24及び輝度PROM28から1135Hの周波数でサンプル値をフェッチすることができる。ここで、U軸データとV軸データとは、夫々掛算器(変調手段)76、78によってSIN(Fsc)及びCOS(Fsc)のデジタル表現とデジタル的に変調され、更に輝度データと加算器80にて加算される。加算結果のデータは、DAC40とローパスフィルタ44とを通過し、映像信号出力となる。総てのデータは1135Hにてクロックされているため、ただ1つのDACがあれば十分である。なお、これらSIN(Fsc)及びCOS(Fsc)データは、1対のPROM82及び84からデータをフェッチすることにより発生するが、これらPROM82及び84は夫々1サイクル分がデジタル化された正弦波関数と余弦波関数とを記憶している。正弦PROM82と余弦PROM84用のアドレスは、加算器86において、ラッチ88からの現在のアドレスに、位相増分回路56からの90度に固定された位相増分とオフセット発生器90の出力とを加算して計算する。なお、オフセット発生器90の発振周波数は、PALの場合、25Hzである。
【0014】図4は、上述のオフセット発生器90の詳細なブロック図である。PALテレビジョン方式においては、副搬送波周波数を水平ライン周波数の1135/4倍と25Hzとの和と定めている。データを1135Hの周波数でクロックする場合、副搬送波の各サイクル当り約4サンプル点となる。副搬送波に必要とされる正確な周波数を発生するためには、正弦PROM82からフェッチするサンプルは、90度よりは若干多めに離れていなければらない。実際25Hzのオフセットは、625本の水平ラインの各期間内に副搬送波の「余分な」サイクルとして加えることと理解できる。この余分なサイクルを加えるには、正弦PROM82からフェッチされるサンプルのアドレスをオフセット発生器90が周期的に増分する。一例として、4096個の点にデジタル化された正弦波を記憶した正弦PROM82や、水平ライン当り1135個のサンプル点に対して、625ラインのフレーム当り709,375サンプル個の点がある。625本のライン毎に1つの余分な副搬送波サイクルを加えるために、オフセット発生器90は709,375/4096=173.18726クロック・サイクル毎に1つのパルスを発生しなければならない。このオフセット発生器90は、16回に3回の割合で174クロック・サイクルだけ待機すると共に、16回に13回の割合で173クロック・サイクルだけ待機することによって、この値を近似している。これは、173.18725クロック・サイクルのパルス間平均時間に対応する。この近似によって生まれる残留誤差は、フィールド1のライン1の開始において、正弦PROMアドレス・ラッチ88を0度にリセットすることによって、4フレーム毎に1回クリアできる。
【0015】このオフセット発生器90は、16進法によって遅延PROM94をアドレス指定する遅延カウンタ92を有する。この遅延PROM94は、16個の整数を記憶している。循環カウンタ96は、クロック・サイクルを計数し、遅延PROM94からのデータをプリロードしている。循環カウンタ96からのキャリー出力は173クロック・サイクルの後に発生し、これによって遅延カウンタ92が増分して、遅延PROM94の次の整数を選択し、この選択した整数を循環カウンタ96にプリロードする。遅延PROM94中の整数は、16個の内の13個がキャリー・パルスの間で173クロック・サイクルの遅延を行ない、16個の内の3個がキャリー・パルスの間で174クロック・サイクルの遅延を行なうように選択され、パルス間の平均時間を173.1875クロック・サイクルとしている。
【0016】図5は、本発明の第4実施例を示すブロック図であり、この実施例ではデジタル化した正弦波の振幅と位相を変調することによって、色副搬送波を発生している。この実施例では、総てのデータが1135Hにクロックされており、デジタル掛算器はたった1つでよく、色データと輝度データは共に単一のDACを通過する。発生する各信号は、3つの成分、即ち副搬送波位相(Φ)増分、副搬送波振幅及び輝度に分け、これらの成分を対応するPROM100,102,28に蓄積する。アドレス発生器74は、各PROM100,102,28内のデータをアクセスするために、適切なアドレスを発生する。正弦PROM82からサンプル値をフェッチすることによって色副搬送波を発生する。サンプル周波数と連続したサンプル値間のアドレス数とを変化させることによって、任意の周波数及び位相特性を有する正弦波を発生できる。正弦PROM82の出力をデジタル掛算器76に供給することによって、副搬送波の振幅を制御する。正弦PROM82からフェッチされる現在のサンプル値のアドレスは、アドレス・ラッチ88からの前のアドレスに、副搬送波位相増分PROM100及びオフセット発生器90からの現在のデータを加算器86にて加算することによって計数する。正弦PROM82からのデータは、副搬送波振幅PROM102からの現在のデータと掛け合わせて、適当な位相と振幅特性を有する色副搬送波を発生する。加算器38にて、この副搬送波データを輝度PROM28からの現在のデータと加算し、その結果データをDAC40及びローパスフィルタ46に順次供給する。位相増分PROMを用いていることで、ライン掃引、マルチバースト及びマルチパルス等の周波数応答信号の包絡線を観察する際に望ましい位相回転ができる。位相増分PROM100からの位相増分は、信号出力正弦波の周波数を設定し、振幅PROM102からの振幅データは包絡線を変調する。位相増分をサンプル毎に直線的に変化させることによって、波形モニタ上に表示される際に水平ラインを掃引する周波数の正弦波を発生する。
【0017】オフセット発生器90は、各ライン上で位相差を生じさせるので、テレビジョン信号を表示する際、正弦波の隣接するノード間の間隔が無視できるようになり、この包絡線を明瞭に見ることができる。
【0018】図6は、本発明の第5実施例を示すブロック図であり、図5に示す実施例の改良版である。この実施例では正弦PROM82は正弦波の半サイクル分のみ記憶しており、残りの(第2)半サイクルは初めの(第1)半サイクルを再びアドレス指定して、データを反転させることによって発生している。第1半サイクルと対称な第2半サイクルを発生するために、データを反転させた後に加算器106にてこのデータに1を加算する。この方法によってアドレス・ラッチ88からの最上位アドレス・ビットは符号ビットとなり、掛算器76を迂回して排他的論理和ゲート104へ入力する。掛算器76の出力も同様に排他的論理和ゲート104へ入力するので、符号ビットが1のときに、この排他的論理和ゲートの出力が反転したデータとなる。この構成が持つ利点は、安価なN×N掛算器でN+1ビットのデータを正確に発生させることができる点にある。
【0019】図7は、本発明の第6実施例を示すブロック図である。この実施例においては、正弦波の複数の半サイクルが正弦PROM82に蓄積されており、この正弦PROMを上位ビット用のMSB PROM82a及び下位ビット用のLSB PROM82bに分割している。発生する試験信号に必要な各定常状態副搬送波振幅用に正弦波の個別な半サイクルが存在するように、これらサイクルを拡大又は縮小する。こうすることによって副搬送波サンプル点の分解能が向上する。定常状態副搬送波振幅の期間中に、MSBデータはMSB PROM82aから直接掛算器108へ入力し、LSB PROM82bからのLSBデータは、マルチプレクサ110を経由する。副搬送波振幅の遷移期間は定常状態の期間に対して非常に短いが、この遷移期間中、マルチプレクサ110にてLSB PROM82bの出力を無視することによって劣化した分解能となる。アドレス発生器74からの選択信号は、正弦PROM82a,82bの両方又はMSB PROM82aのみをアドレス指定するようにアドレス・ラッチ88を設定すると共にマルチプレクサ110の状態も決定する。このため、一層高分解能のデジタル掛算器を必要とせずに、テレビジョン信号の定常状態部分期間中、副搬送波の振幅分解能が向上する。
【0020】図8は、図5〜図7に示す実施例に用いられた信号アドレス発生器74のブロック図である。PROM28,100,102は、16個のサンプル点のブロックに分割された試験信号データを夫々記憶している。これらPROM28,100,102のアドレスの下位4ビットは、1135Hにてクロックされている水平カウンタ71からの下位4ビット(HLSB )である。よって、16個のサンプル点のブロックからのデータは、1135Hの周波数でこれらPROM28,100,102からアクセスされる。これらPROM28,100,102の上位アドレス・ビットは、LROMブロックPROM77とCROMブロックPROM79の出力から夫々得る。これらのブロック選択PROM77,79は、16個のサンプル点のどのブロックをPROM28,100,102から出力するかを選択する。これらのブロック選択PROM77,79は、1135Hのサンプル周波数の1/16でアクセスされるため、安価なEPROMで構成できる。これらブロック選択PROM77,79のアドレスは、水平カウンタ71の上位ビット(HMSB )及び信号選択PROM73の出力から得る。水平カウンタ71のビットは、半ラインの始点と終点にて「遷移ブロック」を選択するために必要とされる。この信号選択PROM73は、どの信号が各水平ラインに現われるかを決定するので、ただ2本の個別の水平ラインとして蓄積される収束信号のような信号を可能にする。この信号選択PROM73により、いくつかの試験信号をマトリックスに組合せて、1つの試験パターンを作ることができる。この信号選択PROM73のアドレスは垂直カウンタ81とマイクロ・プロセッサ(μP)75の出力から得る。このマイクロ・プロセッサ75は、どの試験信号又はどの試験信号のマトリックスが発生するかを決定し、一方、垂直カウンタ81は各水平ラインにどの信号が現われるかを決定する。この信号選択PROM73は、1135H毎に1回の垂直周波数でアクセスされるため、安価なEPROMで構成される。
【0021】図9は、本発明の第7実施例を示すブロック図であるが、本実施例によって副搬送波の分解能が向上する。この実施例では、正弦PROM82に蓄積された正弦波の単一半サイクルを、ある整数により複数のセグメントに分割しており、各セグメントの振幅がゼロからオフセットしている。データは第6図と同様に、正弦PROM82からフェッチされ、掛算器76に供給する。しかし、排他的論理和ゲート104を経由する掛算器76の出力は、加算器106にて振幅補正PROM112からの出力と加算される。この振幅補正PROM112は、副搬送波振幅PROM102からの現在のデータよって掛算された適当な振幅オフセットと等しいデータを記憶している。この技術による振幅分解能は、より高分解能のデジタル掛算器を必要とせずに向上し、しかも定常状態領域と同様に副搬送波遷移領域における振幅分解能も向上させる。
【0022】図10は、本発明の第8実施例を示すブロック図である。この実施例では、副搬送波振幅に対応したテレビジョン信号の成分を、オフセットPROM114に蓄積された副搬送波位相オフセット成分に置き替えられている。またこの実施例では加算器106にて副搬送波を第2正弦PROM82′からの第2正弦波と加算されることによって、副搬送波の振幅を調整する。加算器116にてオフセットPROM114からの増分をラッチ88からのアドレスと加算することによって第2正弦PROM82′からの第2正弦波の位相をオフセットしている。位相オフセットをゼロから180度へと変化させることによって、加算器106の出力端に、結果としての正弦波が発生する。この正弦波は、ゼロから各正弦PROM82,82′に蓄積されている最大値の2倍まで振幅が変化し得る。この方法によって、副搬送波振幅の分解能はなんらデジタル掛算器を必要とせずに無限に向上する。
【0023】
【発明の効果】上述の如く、本発明によれば、蓄積手段が所望テレビジョン信号のデータを表すデジタル成分を蓄積し、変調手段が蓄積手段からのデジタル成分をデジタル化された正弦波関数(余弦波関数も含む)とデジタル的に組み合わせて変調されたデジタル副搬送波を発生する。このように変調までをデジタル的に処理した後に、アナログ形式のテレビジョン信号を得るために、最終段階で、デジタル・アナログ変換器が変調手段からのデジタル副搬送波をアナログ信号に変換する。よって、変調までをアナログ形式で処理した場合に比較して、出力テレビジョン信号中の残留副搬送波及びSCH誤差を改善できる。また、本発明では、色データを表す第1及び第2デジタル成分の蓄積位置をアドレス指定する色データ用アドレス発生器と、輝度データを表す第3デジタル成分の蓄積位置をアドレス指定する輝度データ用アドレス発生器とを別々に具えるため、夫々を別個にクロックできるので、色データ及び輝度データを独立の分解能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すブロック図
【図2】本発明の第2実施例を示すブロック図
【図3】本発明の第3実施例を示すブロック図
【図4】本発明に用いるオフセット発生器を示すブロック図
【図5】本発明の第4実施例を示すブロック図
【図6】本発明の第5実施例を示すブロック図
【図7】本発明の第6実施例を示すブロック図
【図8】本発明に用いる信号アドレス発生器を示すブロック図
【図9】本発明の第7実施例を示すブロック図
【図10】本発明の第8実施例を示すブロック図
【符号の説明】
16、26、74 アドレス発生器
18、20、82、84 正弦波関数発生手段
22、24、28、102 蓄積手段
34、36、76、78 変調手段
40 デジタル・アナログ変換器
82、84 正弦波関数発生手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 所望テレビジョン信号のデータを表すデジタル成分を蓄積する蓄積手段と、該蓄積手段に蓄積された上記デジタル成分をアドレス指定するアドレス発生器と、デジタル化された正弦波関数を発生する正弦波関数発生手段と、上記アドレス発生器でアドレス指定され上記蓄積手段から得た上記デジタル成分を、上記正弦波関数発生手段が発生した上記デジタル化された正弦波関数とデジタル的に組み合わせて、変調されたデジタル副搬送波を発生する変調手段と、該変調手段からの出力信号をアナログ信号に変換するデジタル・アナログ変換器とを具え、上記蓄積手段は、上記所望テレビジョン信号の色データを表す第1及び第2デジタル成分並びに上記所望テレビジョン信号の輝度データを表す第3デジタル成分を蓄積し、上記アドレス発生器は、上記蓄積手段の上記第1及び第2デジタル成分をアドレス指定する色データ用アドレス発生器と、上記蓄積手段の第3デジタル成分をアドレス指定する輝度データ用アドレス発生器とを有し、上記変調手段は、上記色データ用アドレス発生器でアドレス指定された上記第1及び第2デジタル成分を上記正弦波関数発生手段からのデジタル化された正弦波関数とデジタル的に組み合わせて2つの変調された副搬送波を発生し、該2つの変調された副搬送波をデジタル的に組み合わせることを特徴とするテレビジョン信号発生器。

【図2】
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【図1】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図9】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【特許番号】第2599091号
【登録日】平成9年(1997)1月9日
【発行日】平成9年(1997)4月9日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−152451
【分割の表示】特願昭62−229442の分割
【出願日】昭和62年(1987)9月12日
【公開番号】特開平6−46462
【公開日】平成6年(1994)2月18日
【出願人】(391002340)テクトロニクス・インコーポレイテッド (234)
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INCORPORATED
【参考文献】
【文献】特開 昭61−239793(JP,A)
【文献】特開 昭62−152289(JP,A)