説明

テレビジョン受像機

【課題】 テレビジョン放送の番組中に表示されるテキスト情報を、初期投資を必要とせず、且つ省資源化を図りつつユーザに提供することができるテレビジョン受像機を提供する。
【解決手段】 テレビ放送信号の映像データの中の、外部から指定された1枚の映像データを画像データをキャプチャするキャプチャ画像処理部14と、キャプチャ画像処理部14でキャプチャされた画像データから文字データ抽出処理により文字データを抽出し、この抽出した文字データに対して文字認識処理を行いうことによりテキストデータを生成するテキストデータ生成部17と、テキストデータ生成部17で生成されたテキストデータを電子メールデータの形態に変換して予め設定されている受信端末宛てにインターネット40を介して送信することによりユーザに提供する電子メール送信部19とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン放送を受信し、表示するテレビジョン受像機に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン放送の番組の中で、懸賞の応募条件や宛先、料理のレシピ、募金の振込先、観覧希望の宛先、番組で紹介されたお店の情報など、記録しておく必要のあるテキスト情報が表示されることがある。
【0003】
これらの情報は短時間しか表示されないことが多く、ユーザがこれらの情報のメモをとることは困難である。
【0004】
そのため、これらのテキスト情報を画面で表示する他にユーザに提供する技術として、特許文献1に記載の受信装置を利用するものがある。
【0005】
特許文献1の受信装置は印刷装置に接続されており、テレビジョン放送の映像データ中の画像データを記憶し、この記憶された画像データを印刷装置に供給するものである。
【0006】
この受信装置を利用することにより、テレビジョン番組で記録が必要なテキスト情報が表示されたときにこの表示された画像データを印刷してユーザに提供することができ、ユーザは短時間しか表示されない情報を印刷物として取得することができる。
【特許文献1】特開2002−191002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1を利用してテレビジョン番組中の画像データを印刷するためには印刷装置および印刷用の紙などが必要であり、初期投資が必要であるという問題があった。
【0008】
また、必要な情報が少量であっても印刷すると紙やインクが消費され、省資源化に逆行するという問題があった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、テレビジョン放送の番組中に表示されるテキスト情報を、初期投資を必要とせず、且つ省資源化を図りつつユーザに提供することができるテレビジョン受像機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明のテレビジョン受像機は、インターネットへの接続機能を有するものであり、テレビジョン放送信号を受信して得た映像データを表示する表示部(13)と、表示部(13)に表示された映像データの中の、外部から指定された1枚の映像データを画像データとしてキャプチャするキャプチャ画像処理部(14)と、キャプチャ画像処理部(14)でキャプチャされた画像データから文字データ抽出処理により文字データを抽出し、この抽出した文字データに対して文字認識処理を行うことによりテキストデータを生成するテキストデータ生成部(17)と、テキストデータ生成部(17)で生成されたテキストデータを電子メールデータの形態に変換し、この変換した電子メールデータを、あらかじめ設定されている受信端末宛てにインターネットを介して送信する電子メール送信部(19)とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のテレビジョン受像機によれば、テレビジョン放送の番組中に表示されるテキスト情報を、初期投資を必要とせず、且つ省資源化を図りつつユーザに提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
《一実施形態》
〈一実施形態によるテレビジョン受像機の構成〉
本発明の一実施形態によるテレビジョン受像機10の構成を、図1を参照して説明する。
【0013】
本実施形態によるテレビジョン受像機10は、放送局20から送信されるテレビジョン放送を受信して表示する。
【0014】
また、本実施形態によるテレビジョン受像機10は、インターネット40への接続機能を有しており、このインターネット40を介して電子メール受信装置としての携帯端末50に接続が可能である。
【0015】
本実施形態によるテレビジョン受像機10は、テレビジョン放送受信部11と、信号処理部12と、表示部13と、キャプチャ画像処理部14と、キャプチャ画像記録部15と、辞書データ記録部16と、テキストデータ生成部17と、テキストデータ記録部18と、電子メール送信部19とを有する。
【0016】
テレビジョン放送受信部11は、放送局20から送信されるテレビジョン放送信号を受信する。
【0017】
信号処理部12は、テレビジョン放送受信部11で受信されたテレビジョン放送信号を復調およびデコードして映像データを表示部13に送出する。
【0018】
表示部13は、信号処理部12から送出された映像データ、およびテキストデータ記録部18に記録されたテキストデータや処理中の操作に関する情報などを表示する。
【0019】
キャプチャ画像処理部14は、表示部13に表示された映像データの中からユーザにより指定されたテキスト情報を含む1枚の映像データを画像データとしてキャプチャする。
【0020】
キャプチャ画像記録部15は、キャプチャされた画像データをキャプチャ画像データとして記録する。
【0021】
辞書データ記録部16は、文字認証の処理で参照するための文字または単語等のテンプレートとなる辞書データを記録する。本実施形態においては、テレビジョン放送信号に番組毎の辞書データが含まれており、辞書データ記録部16はこの辞書データを取得して記録するものとする。
【0022】
テキストデータ生成部17は、キャプチャ画像記録部15に記録されたキャプチャ画像データを2値化することによりテキスト情報を取得し、辞書データ記録部16に記録された辞書データを参照して文字認証を行うことによりテキストデータを生成する。
【0023】
テキストデータ記録部18は、テキストデータ生成部17で生成されたテキストデータを記録する。
【0024】
電子メール送信部19は、テキストデータ記録部18に記録されたテキストデータを本文とした電子メールを生成し、インターネット40を介して携帯端末50に送信する。
【0025】
また、テレビジョン受像機10は、ユーザの操作によりリモコン30から送信される操作指示を受信する。リモコン30は、図2に示すように、表示部13に表示されている画像をキャプチャする静止画ボタン31と、各種操作内容を表示させるためのメニューボタン32と、表示された操作内容の中から操作を選択するための十字キー33と、選択された操作内容を決定するための決定ボタン34などを有する。
【0026】
〈一実施形態によるテレビジョン受像機の動作〉
本発明の一実施形態によるテレビジョン受像機10の動作を図3〜6を参照して説明する。
【0027】
まず、放送局20から送信されるテレビジョン放送信号が、テレビジョン放送受信部11で受信される(S1)。
【0028】
受信されたテレビジョン放送信号は、信号処理部12で映像データと音声データとに復調およびデコードされ(S2)、映像データを基に映像が表示部13で表示される。
【0029】
また、受信されたテレビジョン放送信号に含まれる辞書データが、辞書データ記録部16に送出される。
【0030】
辞書データ記録部16では、テレビジョン放送信号から辞書データが取得されると、辞書データの保存またはアップデートが行われる(S3)。
【0031】
表示部13に表示されているテレビジョン放送の映像の中で、テキスト情報を含む画像が表示されているときにユーザによりリモコン30の静止画ボタン31が押下されると、この画像のキャプチャ要求がリモコン30からテレビジョン受像機10に送信される(S4)。
【0032】
ここでは、テキスト情報としてプレゼントの応募先が表示されているときに、この表示されている画像のキャプチャ要求がリモコン30から送信されたものとする。
【0033】
送信されたキャプチャ要求はテレビジョン受像機10の信号処理部12で受信され、トリガによりキャプチャモードに切り替えられる。キャプチャモードに切り替えられることにより、図4に示すように、キャプチャ要求された画像の中に「OK」ボタン131および「戻る」ボタン132が付加され、静止画として表示部13に表示される。「OK」ボタン131はテキストデータの生成を要求するためのボタンであり、「戻る」ボタン132はテキストデータを生成せずにキャプチャモードを終了するためのボタンである。このとき、音声データは静止せずに出力され続ける。
【0034】
ここで、「OK」ボタン131または「戻る」ボタン132のいずれかが押下されることにより、静止画からテレビジョン放送信号による映像の表示に復帰する。
【0035】
ユーザのリモコン30操作により、キャプチャ要求された画像中の「OK」ボタン131が押下されると、この画像の画像データがキャプチャ画像処理部14でキャプチャされる。キャプチャされた画像データは、キャプチャ画像データとしてキャプチャ画像記録部15に記録される(S5)。
【0036】
次に、テキストデータ生成部17では、従来より用いられている様々な文字データ抽出手法によって、キャプチャ画像記録部15に記録されたキャプチャ画像データが2値化されて文字情報を構成する文字データが抽出され、辞書データ記録部16に記録された辞書データが参照されることにより(S6)、テキストデータが生成される(S7)。なお、文字データの抽出手法の詳細説明は、本実施形態とは関連が薄いので省略する。
【0037】
テキストデータの生成処理について、図5を参照して説明する。
【0038】
まず、キャプチャ画像データが2値化されて(S11)、全体の文字数が計数される(S12)。
【0039】
次に、2値化されたキャプチャ画像データから、計数された文字データが1文字ずつに分離され抽出される(S13)。
【0040】
次に、文字認証を行うために、抽出された文字データの大きさが調整され正規化される(S14)。
【0041】
次に、辞書データ記録部16に記録された辞書データが参照され、正規化された文字データの文字認証が行われて(S15)保存される(S16)。
【0042】
次に、ステップS13で計数された文字データの文字認証処理が全て終了されたか否かが判定され(S17)、文字認証処理が終了するまでステップS13からステップS16の処理が繰り返される(S17の「NO」)。
【0043】
すべての文字認証処理が終了すると(S17の「YES」)、保存された各文字から構成されるテキストデータが生成される(S18)。
【0044】
以上でテキストデータの生成処理の説明を終了する。
【0045】
図3に戻り、テキストデータ生成部17でテキストデータが生成されると、このテキストデータがテキストデータ記録部18に記録される(S8)。
【0046】
次に、このテキストデータを本文とした電子メールが生成され(S9)、電子メール送信部19からインターネット40を介して携帯端末50に送信される(S10)。
【0047】
電子メールの送信先は、テレビジョン受像機10において予め設定しておく。電子メールの送信先の設定処理について図6および図7を参照して説明する。
【0048】
まず、ユーザの操作により電子メールの送信先の設定が要求されると、図6のような受信端末設定画面が表示部13に表示される。
【0049】
受信端末設定画面には、端末タイプを選択するための端末タイプ入力エリア133と、メールアドレスを入力するためのメールアドレス入力エリア134と、入力したメールアドレスの設定を実行するための「OK」ボタン135と、受信端末設定画面を終了するための「戻る」ボタン136とを有する。メールアドレス入力エリア134は、ユーザ名入力エリア134aとドメイン名入力エリア134bとを有する。
【0050】
本実施形態においては、端末タイプとしてabcd社の携帯端末が選択されたものとする。
【0051】
端末タイプ入力エリア133で端末タイプが選択されると、選択された端末タイプである「abcd社の携帯端末」のドメイン名「@abcd.ne.jp」がメールアドレス入力エリア134のドメイン名入力エリア134bに表示される。
【0052】
メールアドレスのユーザ名は、文字入力画面を用いて入力される。この文字入力画面は、ユーザ名入力エリア134aが押下されることにより、図7に示すようにポップアップ画面137として表示される。
【0053】
ユーザ名およびドメイン名が入力され、「OK」ボタン135が押下されると、入力されたメールアドレスが電子メールの送信先として設定される。
【0054】
以上でメールアドレスの送信先の設定処理に関する説明を終了する。
【0055】
ユーザは、携帯端末50で電子メールを受信することにより、テレビジョン放送で提供されたテキスト情報を取得することができる。
【0056】
以上の実施形態によれば、テレビジョン放送の番組中に表示されたテキスト情報が電子メールでユーザに送信されるため、ユーザは初期投資を必要とせず、且つ省資源化を図りつつこのテキスト情報を取得することができる。
【0057】
本実施形態において、番組毎にテレビジョン放送信号から辞書データを取得して辞書データ記録部に記録したが、これには限定されず、予めテレビジョン受像機に辞書データを設定しておいたり、または定期的にテレビジョン放送から辞書データを取得したりしてもよい。
【0058】
また、キャプチャ画像は、ユーザに提供された後はキャプチャ画像記録部15に長期にわたって保存する必要はなく、次にキャプチャが行われたときに上書きされるようにしてもよい。
【0059】
このように構成することにより、キャプチャ画像記録部15には大きなメモリを必要とせず、低コストで実現することが可能になる。
【0060】
また、本実施形態において、メール送信先の設定は受信端末設定画面の端末タイプ入力エリアおよびメールアドレス入力エリアを用いて行ったがこれには限定されず、メールアドレスを特定できる方法であれば他の設定方法でもよい。
【0061】
また、本実施形態において、電子メール受信装置として携帯端末を用いたがこれには限定されず、電子メールを受信する機能を有していれば汎用のパーソナルコンピュータ等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態によるテレビジョン受像機の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態によるテレビジョン受像機の操作を用いるリモコンを示す外観図である。
【図3】本発明の一実施形態によるテレビジョン受像機の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態によるテレビジョン受像機でキャプチャ要求された画像が表示されている状態を示す画面表示図である。
【図5】本発明の一実施形態によるテレビジョン受像機で用いられるテキストデータの生成処理の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態によるテレビジョン受像機で用いられる受信端末設定画面が表示されている状態を示す画面表示図である。
【図7】本発明の一実施形態によるテレビジョン受像機で用いられる受信端末設定画面上に文字入力画面がポップアップで表示されている状態を示す画面表示図である。
【符号の説明】
【0063】
10…テレビジョン受像機
11…テレビジョン放送受信部
12…信号処理部
13…表示部
14…キャプチャ画像処理部
15…キャプチャ画像記録部
16…辞書データ記録部
17…テキストデータ生成部
18…テキストデータ記録部
19…電子メール送信部
20…放送局
30…リモコン
31…静止画ボタン
32…メニューボタン
33…十字キー
34…決定ボタン
40…インターネット
50…携帯端末
131…「OK」ボタン
132…「戻る」ボタン
133…端末タイプ入力エリア
134…メールアドレス入力エリア
134a…ユーザ名入力エリア
134b…ドメイン名入力エリア
135…「OK」ボタン
136…「戻る」ボタン
137…ポップアップ画面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネットへの接続機能を有するテレビジョン受像機において、
テレビジョン放送信号を受信して得た映像データを表示する表示部と、
前記表示部に表示された映像データの中の、外部から指定された1枚の映像データを画像データとしてキャプチャするキャプチャ画像処理部と、
前記キャプチャ画像処理部でキャプチャされた画像データから文字データ抽出処理により文字データを抽出し、この抽出した文字データに対して文字認識処理を行うことによりテキストデータを生成するテキストデータ生成部と、
前記テキストデータ生成部で生成された前記テキストデータを電子メールデータの形態に変換し、この変換した電子メールデータを、あらかじめ設定されている受信端末宛てに前記インターネットを介して送信する電子メール送信部と
を備えることを特徴とするテレビジョン受像機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−259020(P2007−259020A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80215(P2006−80215)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】