説明

テント用幕体の固定手段

【課題】 フレームの脚部の位置決めが簡単で、かつ幕体のテンションを均一にかけることができるテント用幕体の固定手段を提供する。
【解決手段】 固定手段10を、幕体22の裾部に取付けられこの幕体を均一に張設するための幕体張力調節部12と、幕体張力調節部と連設されたフレームの脚部の位置決めをするためのはとめ部14と、はとめ部と連設され幕体を固定するためのループ部16とにより構成する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、テント用幕体の固定手段に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のロッジ型テントは、ロッジ型に組立てられた外幕を覆うための外幕用フレームと内幕を覆うための内幕用フレームと、これらのフレームを覆う幕体、すなわち外幕および内幕と、この外幕と内幕とを張設するための幕体用固定手段(幕体固定具)とを具えている。そして、内幕を設営する場合は、内幕用フレームを組立てた後、当該内幕フレームを内幕で覆った後、内幕の裾部に接続されているループ部にフレームの脚部先端を係合させて当該脚部を地面に載置する。
【0003】
一方、外幕を設営する場合は、外幕用フレームを組立てた後、当該フレームの外側を外幕で覆った後、外幕の裾部に接続されているループ状の固定具にペグ(幕体を止める杭)を差し込んで外幕にテンションをかけて張設していた。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したロッジ型のテントは、外幕用フレームの脚部と固定具とはそれぞれ分離して設置されているため、外幕用フレームの脚部が移動すれば、外幕のテンションに緩みが生じて、外幕の屋根の部分に雨水が溜ってしまい好ましくない。このように外幕に緩みが生じた場合、再度外幕にテンションのかけ直しを行う必要があり、特に初心者にとって外幕のテンションを均一にかけることは大変難しかった。
【0005】
そこで、初心者でもフレームの脚部の位置決めが簡単にでき、かつ幕体のテンションを均一にかけることができる幕体の固定手段の出現が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため、この考案の幕体の固定手段によれば、ロッジ型に組立てられたフレームと、このフレームを覆う幕体と、幕体を張設するための幕体用固定手段とを具えたテントにおいて、 固定手段を、幕体の裾部に取り付けられこの幕体を均一に張設するための幕体張力調節部と、この幕体張力調節部と連設されフレームの脚部の位置決めをするためのはとめ部と、該はとめ部と連設され幕体を固定するためのループ部とにより構成してなることを特徴とする。
【0007】
このように、この考案では、はとめ部、ループ部および幕体張力調節部を具えており、かつ幕体張力調節部には、はとめ部およびループ部が連設されているので、はとめ部にフレームの脚部を挿入するだけてフレームの位置決めができ、またはとめ部と連設されているループ部に杭(ペグ)を差し込んで地中に固定するだけで幕体を固定することができる。また幕体張力調節部を設けているので、この幕体張力調節部で幕体のテンションの調節を行うことにより、初心者でも幕体に対して簡便にかつ均一なテンションをかけることが可能となる。
【0008】
また、この考案では、好ましくは幕体張力調節部は、幕体の裾部と接続された第一バンドと、この第一バンドとは分離されかつはとめ部とループ部とを連設してなる第二バンドと、第一バンドおよび第二バンドを連結しかつこの第二バンドの長さを調節できる締付け手段とを具えているのが良い。
【0009】
この考案では、締付け手段を具えているので、この締付け手段により第二バンドの長さを調節することにより、第一バンドに接続された幕体のテンションを自由に変えることができる。
【0010】
【考案の実施の形態】
以下、図を参照して、この考案のテント用幕体の固定手段の実施の形態につき説明する。尚、図1〜図5は、この考案が理解できる程度に各構成成分の形状、大きさ及び配置関係を概略的に示してあるにすぎない。
【0011】
この考案の特徴である固定手段の説明に先立って、図5を参照して、ロッジ型テントの全体構成につき説明する。図5の(A)および(B)は、ロッジ型テントの外観部と内部との構成を説明するための斜視図である。
【0012】
ロッジ型テントは、外幕部20と当該外幕部20内に配設された内幕部30とにより構成されている。
【0013】
外幕部20には、外幕用フレーム21とこのフレーム21の外側を覆っている外幕22とが設けてある。そして、この外幕22には、出入りできる出入口24と、外幕22内の換気をするための窓26(26a,26bおよび26c)と、外幕22にテンションをかけて張設するための固定手段の部分28a,28b,28cおよび28dとが設けてある(図5の(A))。なお、固定手段については、後述する。
【0014】
一方、内幕部30には、外幕用フレーム21とは離間させて内幕用フレーム(図示せず)が設けてある。そして、この内幕用フレームの外側を覆う内幕31が設けてある。またこの内幕31にも外幕22の出入口24と同じ方向に内幕31の出入口32が設けられており、さらに内幕31には窓34が設けられている(図5の(B))。なお、この内幕31の裾部31aにも当該内幕31を張設するたの固定手段(図示せず)が設けてある(詳細は後述する)。
【0015】
[第1の実施の形態の固定手段]
次に図1および図5の(A)および(B)を参照して、第1の実施の形態の固定手段につき説明する。なお、図1は、第1の実施の形態の固定手段の構成を説明するための斜視図である。
【0016】
この考案では、第1の実施の形態の固定手段10は、幕体22、すなわち外幕の裾部22aに取付けられた外幕22を均一に張設するための幕体張力調節部12と当該幕体張力調節部12と連設された外幕用フレーム21の脚部21aの位置を決めるためのはとめ部14と外幕22を固定するためのループ部16を具えている。
【0017】
また幕体張力調節部12には、外幕22の裾部22aと接続された第一バンド121と第一バンド121とは分離されかつはとめ部14とループ部16とを連設してなる第二バンド122と第一バンド121および第二バンド122を連結しかつ第二バンド122の長さを調節するための締付け手段123、例えばバックルとが設けてある。なお、第1の実施の形態では、ループ部16のループ形状を馬蹄形状とする。
【0018】
次に図2および図5を参照して、第1の実施の形態の固定手段を用いて外幕を張設する方法につき説明する。なお、図2は、固定手段を用いて外幕を張設する方法を説明するための図である。
【0019】
まず、外幕用フレーム21を設営した後、フレームの脚部21aの先端をはとめ部14に挿入して地面に載置する。
【0020】
次にはとめ部14に連設されているループ部16に杭(ペグ)36を差し込み、その後ペグ36を地中に打ち込んでループ部16を地面に固定する。その後、バックル123に取付けられている第二バンド122の端部の一端を強く引張って第二バンド122の長さを調節する。このような一連の操作により、外幕22を簡単かつ容易に外幕のテンションを均一にかけて張設することができる。またはとめ部14およびループ部16は、共に第二ベルト122に連設されているので、フレーム21の脚部21aが適正な位置に固定できる。なお、はとめ部14とループ部16とは近接して第二ベルト122に連設されている。
【0021】
また、ここでは一カ所の固定手段につき説明したが、実際には外幕22用フレームの脚部21aは4カ所設けてあるので、上述した方法と同様な方法により4カ所の外幕22を張設する。
【0022】
[第2の実施の形態の固定手段]
次に図3を参照して、第2の実施の形態の固定手段の構造につき説明する。なお、図3は、第2の実施の形態の固定手段の構造を説明するための斜視図である。
【0023】
第2の実施の形態では、ループ部18の形状が上述した第1の実施の形態と異なっている。すなわち、第1の実施の形態では、ループ部のループ形状を馬蹄形状にしてあるのに対し、第2の実施の形態ではリング状にしてある。その他の構成成分は、第1の実施の形態と同様であるため、ここではその構成成分の説明を省略する。
【0024】
[第3の実施の形態の固定手段]
次に図4を参照して、第3の実施の形態の固定手段の構造につき説明する。なお、図4は、第3の実施の形態の固定手段の構造を説明するための斜視図である。
【0025】
この第3の実施の形態では、固定手段40を内幕31に取付けたときの例である。この場合は、上述した第1および第2の実施の形態の構成成分である第1バンド121およびバックル123を用いずに、はとめ部14およびループ部16を連設した第二バンド122を直接内幕31の裾部31aに接続する。
【0026】
また第3の実施の形態の固定手段40を内幕31に取付けるには、まず内幕用フレーム(図示せず)を設営した後、当該内幕用フレームの外側を内幕31で覆った後、固定手段40のはとめ部14に内幕用フレームの脚部(図示せず)先端を挿入した後、この脚部を地面に載置する。その後ループ部16中にペグ(図示せず)を差し込み、その後このペグを地中に打ち込んでループ部16を地面に固定する。
【0027】
内幕31は、外幕22に比べて比較的テンションを均一にかけやすいので、第1および第2の実施の形態のときに用いたバックル123がなくとも実質的に不都合なことはない。したがって、内幕31の固定手段40は、第1および第2の実施の形態の固定手段よりも部品点数が少なくて済むので、固定手段を安価に作製できるという利点がある。
【0028】
上述した実施の形態では、幕体張力調節部として第一バンドおよび第二バンドを用いる例につき説明したが、何らバンドに制限されるものではなく、例えばバンドの代わりに紐やロープ等を用いても良い。
【0029】
【考案の効果】
上述した説明から明らかなように、この考案の幕体の固定手段によれば、幕体張力調節部、当該幕体張力調節部に連設されたはとめ部およびループ部を具えているので、はとめ部にフレームの脚部を挿入した後、当該脚部を地面に載置し、ループ部には杭を挿入してループ部を地面に固定した状態で幕体張力調節部により幕体のテンションを調節する。このため、フレームの脚部の位置決めが容易となり、また幕体のテンションを均一かつ簡便に張設できる。このため、初心者でも簡単にかつきれいに幕体にテンションをかけることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の第1の実施の形態の固定手段を説明するために供する斜視図である。
【図2】第1の実施の形態の固定手段を用いて外幕を固定する方法を説明するための模式図である。
【図3】この考案の第2の実施の形態の固定手段を説明するために供する斜視図である。
【図4】この考案の第3の実施の形態の固定手段を説明するために供する斜視図である。
【図5】(A)〜(B)は、ロッジ型テントの外幕部および内幕部を説明するために供する斜視図である。
【符号の説明】
10、40:固定手段 12:幕体張力調節部
14:はとめ部 16、18:ループ部
22:外幕 22a:外幕の裾部
31:内幕 31a:内幕の裾部
121:第一バンド 122:第二バンド
123:バックル

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 ロッジ型に組立てられたフレームと、該フレームを覆う幕体と、該幕体を張設するための幕体用固定手段とを具えたテントにおいて、前記固定手段を、前記幕体の裾部に取付けられ該幕体を均一に張設するための幕体張力調節部と、該幕体張力調節部と連設され前記フレームの脚部の位置決めをするためのはとめ部と、該はとめ部と連設され前記幕体を固定するためのループ部とにより構成してなることを特徴とするテント用幕体の固定手段。
【請求項2】 請求項1に記載の幕体の固定手段において、前記幕体張力調節部は、前記幕体の裾部と接続された第一バンドと、該第一バンドとは分離されかつ前記はとめ部と前記ループ部とを連設してなる第二バンドと、前記第一バンドおよび第二バンドを連結しかつ該第二バンドの長さを調節できる締付け手段とを具えていることを特徴とするテント用幕体の固定手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【登録番号】第3038989号
【登録日】平成9年(1997)4月16日
【発行日】平成9年(1997)6月30日
【考案の名称】テント用幕体の固定手段
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平8−13116
【出願日】平成8年(1996)12月25日
【出願人】(000185020)小川テント株式会社 (1)