テンプルの太い眼鏡
本発明は少なくとも一方のテンプルに開口部(15)を有する幅広のテンプルを備えた眼鏡に関する。テンプルの内側(1A)の開口部の縁部に取付部材(16,17,18)を備え、少なくとも部分的にテンプル開口部(15)と同じ形状を有するプレートに取付部材と同様の取付手段が設けられることにより、プレートはテンプル(1)に着脱自在に取り付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は幅広のテンプルを有し、少なくとも一方のテンプルに開口部を備える眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、幅広のテンプルを有する眼鏡の形態は数多く存在する。テンプルの中には幅広中実のものもあるが、横に寝かせたY字状となるように拡開したものもある。この場合の2本のアーム部は、テンプル前部において蝶番を設けたクロスメンバーによって接続され、後部において相互に結合して、耳にかかるテンプル端部へと続いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、服装や流行に合わせてテンプルを変えたり、調和させることのできる眼鏡を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的で、本発明は上に定義した種類の幅広テンプルを有する眼鏡に関し、テンプルの内面の開口部に隣接して固定要素が設けられ、少なくとも部分的にテンプルの開口部と等しい形状を有する装飾的化粧部材に固定要素と相補的な固定装置が設けられることにより、化粧部材がテンプルに対して着脱自在に固定される。
【0005】
装飾的化粧部材は、テンプルの内面、すなわちユーザの頭部側に向く面においてテンプルの開口部の一部を覆い、開口部を通して見えるようにすることで、非常に多様な美的効果をもたらすことができる。化粧部材の固定法が着脱式であるため、化粧部材は別の形、別の意匠のものと容易に交換することができる。テンプルの開口部から見える化粧部材の意匠は、平坦でも浮き彫りでも良いし、色彩があっても白黒でも良い。化粧部材または眼鏡の一方のテンプルに結合された化粧部材に無線回路、電話回路、又はWiIFiによって動作できるリンク手段等の電子及び情報技術手段を設けると有利である。
【0006】
また、化粧部材に電子チップまたは無線ICタグ(RFID)タグを組み込んで、眼鏡の着用者の識別ができるようにすると有利である。例えば、オフィスや会社内のある区域などのセキュリティをかけられている区域の出入り、通行の検出、施設または機械の使用許可などに対するタグがあると、眼鏡着用者はタグの携行について注意する必要がないため、監視の管理が容易になる。標準的な形式のタグそのものを化粧部材に設けた標準形式の専用エリアに組み込むこともできるが、この場合の化粧部材は特定の眼鏡に適応させたものとなる。
【0007】
最後に、化粧部材を多様化して、眼鏡のユーザが一組の化粧部材を手元に用意して好みや必要に応じて適宜更新できるようにすることができる。
【0008】
化粧部材は平面的な構成であるため、眼鏡の着用の邪魔にならずテンプルの内面側から突出する障害物となることもない。
【0009】
化粧部材は不透明または透明の地に模様、嵌め込み細工、装入物等の装飾要素を付して開口部またはテンプルに複数の開口部がある場合はその1つから見えるようにするのであるが、化粧部材が開口部全部を被覆し、その寸法が化粧部材をテンプルの内面に当接して装着した時にテンプルの上縁および下縁と実質的に同じ高さとなるようにするのが有利である。
【0010】
開口部は細長い形状とすることができるが、その場合化粧部材もまた細長い形状となる。この細長い形状は三角形でも台形でも良いが、眼鏡のテンプルがその上縁と下縁において帯状にしか残らず、これらの2つの帯状の部分が後方に向かって相互に再結合して耳の上にかかるテンプル端部となるようにする。
【0011】
テンプルに設けられる固定要素と化粧部材の固定装置とは、挟止手段とするのが好ましい。テンプルの全体的な形状が三角形であるため、挟止手段をこの三角形の3つの頂点、すなわちテンプル前部の蝶番に2つと幅広のテンプルが通常の形状となる後部に1つ配置するのが有利である。後部の固定手段は化粧部材およびテンプルの長手方向に二重に配置すると有利である。
【0012】
挟止ピンは例えば化粧部材に対して溶接によって固定される。あるいは化粧部材に強制的に係合されるピンによって形成されても良い。これらの固定手段は弾性として、テンプルに設けられた孔に容易に係合してそこに固定要素を形成するものとするのが好ましい。この場合の孔は貫通するものでない方が良い。ただし、固定上または美観的な理由から、貫通孔を設けて、挟止ピンの長さをテンプルの他方の面から見えるように、あるいはその面を突き抜けるように設定しても良い。この構造は、着脱性を維持しながら適切な固定を提供するだけでなく、ピンの端部を見せることによる装飾的効果という点でも有利である。化粧部材およびピンを研磨金属または金箔を施した金属等で作成する場合、幅広のテンプルの固定要素を形成する孔の出口においてピン自体の端部が見えることになる。
【0013】
固定要素を、蝶番側のテンプルの前部においてはテンプルの後部に向けて湾曲された2つの突起部で形成し、また後部においては着座部によって形成し、固定装置についてはテンプルの着座部に長手方向に係合する舌片と、後部に向かって湾曲された突起部の下方を滑動する化粧部材の前縁部とによって形成しても良い。
【0014】
次に、化粧部材の可撓性に作用することで化粧部材を装着するが、これは化粧部材の固定装置の舌片状の端部をテンプル後部の着座部に係合させた後は、化粧部材をアーチ状に曲げてテンプル前部の湾曲突起部の下に滑り込ませるだけで良いためである。前記着座部は随意に貫通型の一種のループまたはライダ等によって形成される。
【0015】
化粧部材は、テンプルによって支持される蝶番部材に嵌合するように形成された切欠き部、湾曲突起部または蝶番部材の両側に配置した挟止用の孔のような固定要素によって定位置に保持すると有利である。これによって化粧部材をテンプルの長手方向に対して垂直方向に、テンプルの平面において保持または固定することができる。
【0016】
別の特長によると、テンプルの内面に、開口部の両側に配列された2つの軸受の形をとる固定要素と共に、これら2つの軸受の軸上ではなく開口部に隣接して設けられる挟止要素を配置し、化粧部材にはその各端部に配列された2つの軸ピンによって形成される固定装置と、第3の固定点を形成してテンプル側の挟止要素と協働する挟止装置とが設けられる。
【0017】
化粧部材の眼鏡のテンプルへのこのような固定方法は、装着が容易である上に離脱する恐れが無く有利である。これは、化粧部材がその2軸で軸受に係合すると共に、化粧部材の第3の地点が挟止により固定されるためである。例え、化粧部材が挟止されている挟止要素から離脱した場合でも、変形されない限り軸受から解放されることはない。この化粧部材の変形はアーチ状に曲げて軸と軸の間の距離を短くするもので、化粧部材の装着時に行われる。化粧部材を片手で保持し、その軸受に軸ピンを係合させた後、化粧部材をアーチ状に曲げて第2の軸ピンをその軸受に係合させることができるため、化粧部材の変形は容易に行うことができる。化粧部材を真っ直ぐにしたとき、軸を中心として旋回して挟止することができるためである。
【0018】
このようにアーチ状に曲げる動作は、化粧部材を取り外して別のものと交換する際にも行う必要があるが、テンプルを誤って何かに引っかけた場合に生じ得るような変形とは異なるものである。
【0019】
この種の化粧部材および化粧部材固定方法は、宝石や金箔のような宝飾品で装飾した化粧部材など、高価な化粧部材に関して特に有利である。
【0020】
効果的な方法としては、軸ピンの1つを化粧部材本体から取り外した突起部によって支持されるようにし、弾性リンクを形成する帯状の材料によって突起部に接続されたままとなるようにすることで、2つの軸ピンを圧縮して相互に接近せしめ、軸ピンをテンプルの2つの軸受に係合させることが可能となる。化粧部材の装着は、可撓性の突起部の軸ピンをその軸受に係合させた後、可撓性の突起部を圧縮して他方の軸ピンをその軸受に導入し、最後にこれら2つの軸ピンと2つの軸受とによって形成される軸を中心として化粧部材を旋回せしめ、化粧部材の挟止装置をテンプルの挟止要素に挟止して化粧部材の組立位置を画定することによって行われる。
【0021】
この実施形態の化粧部材は、特に装着が容易であるが、これは、その軸受に軸ピンを係合させた後、軸ピン間の距離を縮めて第2の軸ピンをその軸受に導入できるようにするために、可撓性のアームを弾性リンクを形成する化粧部材本体との接合部において圧縮して、第2の軸ピンが軸受に入るところまでの長さを獲得する方法による。
【0022】
その後、圧縮力を緩めると化粧部材は自然に元の状態に戻る。この場合の化粧部材は、2つの軸ピンによって形成される軸を中心として旋回して、挟止要素を挟止装置に係合させることもできる。
【0023】
挟止連結から離脱させるには、上記の動作を逆に行うことにより、眼鏡のテンプルの開口部を介して化粧部材を押した後、2つの軸ピンを外すだけで良い。
【0024】
有利な構成として、眼鏡のテンプルの蝶番の近くに軸ピンと挟止要素を設け、化粧部材の軸ピンの一つを支持する可撓性の突起部が化粧部材の挟止装置も支持するようにし、化粧部材の他端部に第2の軸ピンを設けると良い。
【0025】
別の有利な特長によると、テンプルの軸受および挟止要素を一体とする。
【0026】
軸ピンは、化粧部材の装着または取り外しの際に固定するための要素、また場合によっては旋回または回転のための要素を形成する。軸ピンが断面非円形の場合でも、旋回に全く問題はない。例えば、プラスチック材料や金属などの剛性材料から化粧部材を切り出した場合、断面正方形の軸ピンは断面円形の軸受の円筒形の穴の中で問題なく回転することができる。
【0027】
さらに別の特長によると、化粧部材を作成する材料片の一部から2つの軸ピンと挟止装置が形成される。
【0028】
化粧部材の一部を形成する挟止装置についても同じである。
【0029】
さらに別の特長によると、固定要素の少なくとも1つをテンプルの裏面のガセットとし、化粧部材の一端部の固定装置の少なくとも1つを2つの突起部とし、これらの突起部が長手方向の圧縮によってガセット内で弾性変形することにより、化粧部材の他端部の固定装置をテンプルの固定要素に導入できるようにする。
【0030】
さらに別の特長によると、テンプルの裏面にガセットの形を取る2つの固定要素を設け、化粧部材の2つの固定装置の各々に長手方向の圧縮により弾性変形可能な2つの突起部を設ける。
【0031】
この固定要素および固定装置の実施形態によると、テンプルへの化粧部材の装着が非常に容易かつ効率的に行えるようになる。化粧部材が例えばその固有の形状、または化粧部材に施されたリブや装飾等により非常に堅い場合であっても、2つの突起部の弾性力に働きかけることによって化粧部材の装着を行うことができる。
【0032】
化粧部材の装飾または構造の種類によっては、化粧部材を弾性的に曲げることなく、該化粧部材の適用されるテンプルの形状に従ってその形状(平坦またはやや湾曲した形状)に維持するのが望ましい場合がある。化粧部材の自然な形状を越えて弾性的に変形させると、たとえば被覆しているフィルムに亀裂を生じたり、化粧部材の表面に付加されている要素が離脱するなど、装飾要素を損なってしまう恐れがある。
【0033】
化粧部材の弾性突起部の形をとる固定装置を受容するようにガセットの形をとる着座部を眼鏡テンプルの少なくとも一方の端部に設けることによって、テンプルの裏面に当接して化粧部材を非常に平坦に配置することが可能となる。つまり、まず弾性突起部を備えた方の端部をガセット内に位置決めし、次いでこの端部を押して2つのアームを弾性変形せしめると共に、化粧部材の他端部、すなわち化粧部材他端部の固定装置を他端部のそれと同様のガセット等の固定要素の中に通した後、圧縮を加えていた弾性突起部を有する端部を解放することにより、化粧部材を着脱自在のままで確実に定位置に取り付けることができる。
【0034】
ガセットの形を取る固定要素は、実質的にテンプルの内面に浮き出しを形成しないように非常に平坦としても良い。ガセットの形を取るこれら固定要素は、テンプルの裏面と一体化しても良い。
【0035】
さらに別の有利な特長によると、
テンプルの内面側において開口部が内のりに隣接し、
各固定要素が内面側において、せん断縁の中で開口部に接して開口部に隣接する内のりの内側と同じ高さになるように設けられた着座部によって形成されており、
一方の着座部がテンプルの前部、他方の着座部がテンプルの後部と、2つの着座部が相互に相対して設けられており、少なくとも一方の着座部がバネを装填したピストンを備え、
化粧部材が開口部の内側を介して内のりに当接するように形成された縁部を有しており、
化粧部材の各固定装置は、縁部を延長して開口部の相補的着座部内に滑り込むように形成された突起部の形を取り、突起部の一つがピストンを備えた着座部に係合して、他方の突起部が他方の着座部に対向するところまで該ピストンをバネの作用に抗して押圧し、ピストンのバネの作用と反対方向に化粧部材に加えられる推力を緩めることにより、化粧部材全体を押し戻して第2の突起部を着座部に導入して固定する。
【0036】
化粧部材を特に簡単な方法で開口部で導入してそこに固定することができる。化粧部材の外面に推力が加えられた場合でも、それをブロックすることができる。ピストンを圧縮するようにテンプルに平行に化粧部材に並進的運動が加えられた場合のみ、他方の突起部を着座部から離脱させて化粧部材を交換のため取り出し、色や装飾を変更する化粧部材と取り換えることができる。
【0037】
このような運動は自然ではなく、特に偶然には起こり得ないものであるため、化粧部材が眼鏡テンプルの内側から定位置に配置されるということもあって、化粧部材を無くすというリスクを実質的に回避することができる。
【0038】
さらに別の有利な特長によると、化粧部材はテンプルの開口部に対応するドーム型の形状を有し、このドーム型形状に縁部を設けることにより、ドーム型形状が開口部内に収容され、縁部が内のりに当接支持される。
【0039】
化粧部材のドーム型形状に十分に広い縁部を設けることにより、化粧部材を開口部内に装着するための並進運動が、開口部およびドーム型形状のそれぞれの寸法が化粧部材の並進運動を妨げることなく突起部を導入できるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1A】幅広の眼鏡テンプルの内側から見た図である。
【図1B】幅広のテンプル用に構成された化粧部材の内側から見た図である。
【図2A】別の実施形態で、先の図の幅広の眼鏡テンプルに対応する図である。
【図2B】別の実施形態で、先の図の化粧部材に対応する図である。
【図3A】第3の実施形態の組み立て状態における幅広のテンプルを有する眼鏡を示す。
【図3B】第3の実施形態で、組み立てた状態における幅広のテンプルを有する眼鏡の化粧部材を示す。
【図4A】さらに別の実施形態による別の固定方法を用いた幅広の眼鏡のテンプルを示す。
【図4B】さらに別の実施形態による別の固定方法を用いた幅広の眼鏡の化粧部材を示す。
【図4C】化粧部材を取り付けたテンプルの内面を示す図である。
【図4D】取り付け前の幅広のテンプルと化粧部材を上から見た図である。
【図4E】化粧部材を図4Bにより備え付けた図4Aの幅広のテンプルを外側から見た図である。
【図5A】別の実施形態による眼鏡テンプルを示す。
【図5B】別の実施形態による眼鏡テンプルの化粧部材を示す。
【図5C】別の実施形態による眼鏡テンプルとその化粧部材を示す。
【図6A】図5A〜図5Cの実施形態による眼鏡テンプルに化粧部材を装着する際の段階を示す。
【図6B】図5A〜図5Cの実施形態による眼鏡テンプルに化粧部材を装着する際の段階を示す。
【図6C】図5A〜図5Cの実施形態による眼鏡テンプルに化粧部材を装着する際の段階を示す。
【図6D】図5A〜図5Cの実施形態による眼鏡テンプルに化粧部材を装着する際の段階を示す。
【図7A】別の実施形態によるテンプルを固定要素において示す。
【図7B】別の実施形態による化粧部材を固定装置において示す。
【図8】図7A〜図7Bによる化粧部材の端部をテンプルの端部に固定装置を固定要素に係合させることにより組み付けた状態を示す。
【図9A】化粧部材端部をテンプルの固定要素に装着する段階を図式的に示しており、固定要素を形成するガセットを、テンプルの裏面に平行な平面を通る断面で示したもので、固定装置が固定要素の前方にある係合前の状態を示す。
【図9B】化粧部材端部をテンプルの固定要素に装着する段階を図式的に示しており、固定要素を形成するガセットを、テンプルの裏面に平行な平面を通る断面で示したもので、固定装置の2つの突起部を固定要素に圧入する状態を示す。
【図9C】化粧部材端部をテンプルの固定要素に装着する段階を図式的に示しており、固定要素を形成するガセットを、テンプルの裏面に平行な平面を通る断面で示したもので、テンプルの固定装置が弾性復帰した後の状態を示す。
【図10A】別の実施形態による眼鏡テンプルの側面図であり、化粧部材は取り外されている。
【図10B】図10Aのテンプル用の化粧部材を内側から見た正面図である。
【図11A】眼鏡の幅広テンプルにおける化粧部材の取り付けに関し、図10AのXI−XI線に沿って取った水平断面図であり、化粧部材を装着していないテンプルを示す。
【図11B】眼鏡の幅広テンプルにおける化粧部材の取り付けに関し、図10AのXI−XI線に沿って取った水平断面図であり、化粧部材の対応する断面図である。
【図11C】眼鏡の幅広テンプルにおける化粧部材の取り付けに関し、図10AのXI−XI線に沿って取った水平断面図であり、ピストンの圧縮により化粧部材を装着する最初の動作を示す。
【図11D】眼鏡の幅広テンプルにおける化粧部材の取り付けに関し、図10AのXI−XI線に沿って取った水平断面図であり、化粧部材がテンプルに固定された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
次に、添付図面に示す様々な実施形態を用いて、本発明についてより詳細に説明する。
【0042】
図1A,図1Bに示すように、本発明は幅広のテンプルを有する眼鏡に関する。図示されているのは眼鏡の片方のテンプル1のみで、その内側1が示されている。幅広のテンプルは、耳の上にかかる後端部11から蝶番部材13で眼鏡の前部の接続される前端部12cまで次第に幅広となる形状を有する。
【0043】
幅広のテンプル1は、その幅広部14において比較的平坦であり、幅広部の全長にわたって延びる細長い溝孔によって開口部15が形成されている。
【0044】
開口部15の前方の両側において、幅広部14に2つの固定要素16,17が設けられている。開口部15の後部の幅広部には第3の固定要素18が設けられている。
【0045】
固定要素16,17,18は、図1Bに示す化粧部材2を受容するために設けられたものである。化粧部材2は固定要素16,17,18と相補的な固定装置26,27,28を備え、固定装置26,27,28が固定要素16,17,18と協働することで図1Bの化粧部材を幅広のテンプル1の内側1Aに押圧保持し、テンプル1の開口部15を通して見えるように構成されている。
【0046】
図1Bに示すように、その外面2Bのみを示されている化粧部材2は、幅広のテンプルの内側に取り付けたときに幅広のテンプルの開口部を少なくとも部分的に(図示の例では完全に)覆うように構成されており、頂点を切断した三角形の形状を有している。化粧部材2の寸法は、ここでは開口部15の寸法より大きくしており、特に化粧部材の上縁2Cおよび下縁2Dで大きくなっている。図1Bは、幅広のテンプル1の内側1Aに嵌め合わされるように構成された化粧部材2の外面2Bを示している。化粧部材は固定装置に加えて切欠き部29を備えており、この切欠き部29が蝶番要素13に跨座して蝶番要素と協働することで、要素16,17,18と固定装置26,27,28との協働により提供される保持効果を完結させる係止手段を構成している。
【0047】
本実施形態の固定要素16,17,18および固定装置26,27,28は挟止手段によって形成される。すなわち、固定要素16,17,18は幅広のテンプル1に設けられた好ましくは貫通式のものではない着座部とし、固定装置26,27,28は化粧部材2に支持される挟止ピンとする。化粧部材がプラスチック材料、より一般的には成型部品である場合には、挟止ピンは化粧部材と同じ材料から形成することができる。挟止装置を化粧部材に溶接しても良いし、化粧部材の着座部に挿入して焼嵌めすることで確実に固定するようにしても良い。
【0048】
これらの挟止手段により、化粧部材2をテンプル1の内面1Aに着脱自在に連結することが可能となる。
【0049】
化粧部材2の外面2Bには、幅広のテンプルの開口部を通して見えるように装飾要素が設けられている。装飾要素は開口部に設けた平坦な装飾としても良いし、浮き彫り装飾としても良い。特に有利な実施形態によると、化粧部材2を金属製とし、これに処理をしたり、ブラシ加工、組紐飾り、染色などを施す。化粧部材には、電子無線回路や電話回路、情報技術支援装置等の機能要素、特にWiIFiで動作する手段を組み込むと有利である。
【0050】
化粧部材にRFIDタグ等の識別チップを組み込むと非常に有利である。セキュリティ保護されたオフィスやビジネスゾーンなどでは、RFID式等のタグを携帯している者にのみ通過を許可するコントロール・ポイントを設ける場合があるが、その眼鏡を着用することによってこのようなコントロール・ポイントを通過することが可能となるからである。RFIDタグと眼鏡を結合するということは、常にタグを携帯していることになり、タグの携帯に関して心配する必要が無くなる。
【0051】
図2Aと図2Bは、本発明の幅広のテンプルを有する眼鏡の別の実施形態を示しているが、ここでもやはり内側101Aから見た幅広のテンプル101のみを示している。
【0052】
幅広のテンプル101は、幅広のテンプルの輪郭に沿う三角形状の細長い開口部115を備えている。この開口部115用として構成された化粧部材102も図1Bのものと同様の三角形状を有しており、実質的に同様の固定手段126,127,128、すなわち連結装置と、幅広のテンプル101に設けた蝶番要素113を跨座させることのできる切欠き部129とを備えている。この組立手段は、前述のように挟止手段としても良い。一例として、着脱自在の連結部として、3点116,117,118をテンプル101の内側101Aに設けると共に、3点126,127,128が化粧部材をテンプル上の低位置に配置した時に化粧部材101の内側101Aに当接する化粧部材201の外側201Aに設けられている。
【0053】
図3Aと図3Bは、本発明による幅広のテンプルを備えた眼鏡の別の変形例を示している。この場合、幅広のテンプル201はその前部312と幅広部314において実質的に台形の外形を有しており、やはり台形状の開口部315を備えている。この開口部は大きいものである。開口部315を覆うように構成された化粧部材302が図3Bにおいてその組立位置、すなわち内面302Aを見せる位置で示されている。
【0054】
開口部315の寸法、ひいては化粧部材302の寸法を考慮すると、化粧部材302とテンプル301との間を4つの固定点による着脱自在の組み立てとするのが有利である。すなわち前部の316,317;326,327の2つの固定点に加えて後部にも2つの固定点318,3181;328,3281をそれぞれ前後に並べて設ける。化粧部材302もテンプル301の蝶番要素313を跨座させるための切欠き部309を備える。
【0055】
前述のように、化粧部材302は任意の材料で形成できるが、金属が好ましい。その外側の装飾面は彩色処理される。
【0056】
図4A〜図4Eは、本発明による幅広のテンプルを備える眼鏡の別の実施形態を示している。幅広のテンプル401が、テンプル401の内側401Aに固定される化粧部材402によって少なくとも部分的に覆われるように構成された開口部415を備えるという原理はそのままであるが、化粧部材の着脱自在の固定手段が変更されている。
【0057】
すなわち、図4Aによると、その開口部415が三角形状を呈する幅広のテンプル401の前部412が、後部411に向かって湾曲した2つの突起部416,417を備え、後部411には固定点418がループまたは着座部によって形成されている。
【0058】
図4Aの平坦なテンプル401に備えるように構成された図4Bの化粧部材402は、開口部415の形状より大きな形状を有し、特に、その上側輪郭線402Cとその下側輪郭線402Dとが幅広のテンプル401の上側輪郭線401Cと下側輪郭線401Dにそれぞれ対応する形状を有している。
【0059】
化粧部材402の後端部には、幅広のテンプル401のループ418と係合するように構成された舌片428が設けられており、化粧部材の前端部42は突起部416,417の下に取り付けられる。この目的で、化粧部材402は平坦な状態で前部と後部の固定装置416,417,418の間の距離に実質的に相当する長さを有している。このため、化粧部材は後ろに折り返された突起部に嵌合できるように変形させることによって装着される。この化粧部材は接合要素413を跨座させる切欠き部429を含んでいる。
【0060】
図4Cは、化粧部材402を装着したテンプル401の内側を示している。
【0061】
図4Dは、ループ418の形状と、フックを形成する前方突起部416,418の形状をより詳細に示している。
【0062】
最後に、図4Eは幅広のテンプル401の開口部415を通して見た化粧部材の外観を示している。
【0063】
図5A〜図5Cと図6A〜図6Dは、化粧部材502を備えた幅広のテンプル501の別の実施形態を示している。
【0064】
図5Aに示すように、幅広のテンプル501はマウント前部に関して軸zzを中心として旋回するための蝶番要素513を備えている。テンプル501の内面に3つの固定要素、すなわち軸xxに沿って整列された2つの軸受516,518と、挟止要素によって形成される第3の固定要素517とが設けられている。
【0065】
テンプル501は開口部515を備えており、その上縁を軸xxの下方に示しているが、その幾何学的な構成については必須事項ではない。
【0066】
テンプル501に設けるように構成された化粧部材502は、この例ではテンプル501の台形形状の開口部515を覆う形状を有している。
【0067】
化粧部材502は軸x′x′に沿って整列された2つの軸ピンによって形成される2つの固定装置526,528を有しており、軸x′x′は、下記の条件下で化粧部材502をテンプル501を装着した際に軸xxと一致する。
【0068】
化粧部材502は、テンプル501の挟止要素517と協働するように構成された挟止縁部によって形成される第3の固定装置527を備える。
【0069】
化粧部材の本体530は、軸x′x′と交差する切欠き部531を含み、可撓性の突起部532を形成しており、可撓性の突起部532は材料の一部分533を介して本体と連結されている。
【0070】
可撓性の突起部532の自由端に軸ピン526を支持し、連結部533に近接する方の突起部の端部に挟止装置527を支持している。
【0071】
化粧部材502のテンプル501への取付けは、軸ピン526,528を軸受516,518に係合した後、挟止装置527を挟止装置517に挟止することによって行う。
【0072】
化粧部材502の取付けを終わると、テンプル501の内面は図5Cに示す外観を呈する。化粧部材502が開口部515を全面的または部分的に覆っている。この例では、開口部515は台形であり、化粧部材502の本体も開口部515より寸法が大きい台形である。ただし、このような幾何学的関係は必要事項ではない。獲得しようとする効果または結果に応じて、化粧部材と開口部とが全面的または部分的に重なり合うものとする。
【0073】
化粧部材の取付けおよび取外しは、図6A〜図6Dに示すように行われる。
【0074】
図6Aに示すように、眼鏡頭部のテンプル501が化粧部材502を受容する。
【0075】
この例では、軸受を形成する固定要素516と、挟止の働きをする固定要素517とが、テンプル501の内面に支持される小さな棒状の1つの部品によって形成されている。化粧部材が別個に示されている。化粧部材はシート材から切り抜き形成された材料片で形成されており、その固定装置と挟止用の縁部は切り抜きの際に同時に作成されている。この場合の化粧部材は装飾要素を含まない。
【0076】
テンプルの開口部515から見える側、およびその裏面に装飾要素を設けて製造することもできる。
【0077】
図6Bに示すように、第1の動作では化粧部材本体を親指と人差し指で挟んだ状態で軸ピン526を軸受516に滑り込ませる。軸ピン526が係合すると、軸x′x′の方向に本体を押圧し、溝孔531を変形させることにより軸ピン528が軸受518に係合できるところまで軸ピン528を軸ピン526に近づける。次に、押圧を緩めて化粧部材が連結部分533の変形の緩和によって元の状態に戻るようにする。
【0078】
その後、化粧部材は図6Cに示す位置をとる。この状態で化粧部材は軸xxを中心として旋回することで、挟止装置527を挟止要素517の下に通すことが可能となる。このようにして化粧部材502は眼鏡部片501の内面に当接保持される。
【0079】
化粧部材502を取り外して別の化粧部材と取り換えるためには、テンプル501の外側から開口部515を通して化粧部材を押し、挟止装置527を挟止要素517から離脱させ、化粧部材を旋回軸xxを中心に旋回させるだけで良い。図6Cに示すように、化粧部材502を持ち上げる際、親指と人差し指の間に把持して軸ピン528を眼鏡テンプルの軸受518から取り外せるところまで(図6B)可撓性のアーム532を弾性連結部分の変形により押圧する。後はもう1つの軸ピン526をその軸受516から取り出すだけで良い。
【0080】
上記実施例では、幅広のテンプルの形状が実質的に三角形状となっているが、本発明の幅広のテンプルの形状はこれに限定されない。本発明は少なくとも1つの開口部を備える眼鏡の幅広のテンプルに一般的に適用されるものであり、その開口部が細長い形状であるかその他の形状であるかを問わない。テンプルは複数の開口部を備えても良く、それらの1つのみ、あるいはいくつかが該開口部を部分的または全面的に被覆する化粧部材を受容するようにしても良い。
【0081】
テンプルの開口部は、左側と右側のテンプルに関して対称としても良いし、非対称としても良い。
【0082】
最後に、眼鏡の両テンプルのうち一方のみが化粧部材を受容する1つまたはそれ以上の開口部を有するようにしても良い。
【0083】
図7A,図7Bに示す別の実施形態による眼鏡では、テンプル601の一端部614および化粧部材602の固定要素616と固定装置が変更されているが、テンプル601の他端部を固定するための手段は上記実施形態と同じにしても良いし、異なるものとしても良い。
【0084】
図7Aに示すように、眼鏡のテンプル601は、その内面601Aの端部614の一方(ここでは前端部)に、ガセットの形態をとる固定要素616が矩形で示されているが、その輪郭は眼鏡テンプルの裏面と一体化されている。このガセットの形態をとり、テンプル601の蝶番613の近くに配置されている要素は、その着座部601−1において化粧部材の対応端部を受容し、その開口部616−2はテンプル601の他端側に向けられている。
【0085】
図7Bに示すように、化粧部材の固定装置は化粧部材の延長としての2つの弾性突起部626,627によって形成される。弾性突起部は相互に向かって湾曲しており、ガセット616の着座部616−1へ導入する方向(A)に押圧することで変形させることができる。
【0086】
眼鏡テンプル601および化粧部材602の他端部を固定するための手段は、たとえばガセットの形態をとる着座部によって形成することができ、これに化粧部材端部の突起部を導入する。
【0087】
化粧部材602はテンプル601の開口部615を被覆する方の面に、この窓を通して見えるように形成した装飾要素を有する。装飾要素は図示されていない。
【0088】
図8は、固定要素613と化粧部材602の固定装置626,627が相互に係合した状態を示しており、テンプル601の裏面601Aと化粧部材602の裏面を示している。
【0089】
図9A〜図9Cは、化粧部材602の固定装置626,627とテンプル601の固定要素616の係合を段階毎に示している。
【0090】
図9Aは、化粧部材602の端部が、断面で示されるガセット616の入口616−2に対向して、テンプル601の裏面601Aに平坦に当接されている状態を示す。
【0091】
図9Bに示すように、2つの弾性突起部626,627によって形成される化粧部材端部をガセット616内に滑り込ませて導入した後、弾性突起部を圧縮して弾性的に変形させることにより、化粧部材の他端部がテンプルの対応する固定要素内に配置するのに必要な距離(e)だけ化粧部材を矢印Aの方向に送られる(テンプルおよび化粧部材の該当部分は図示していない)。着座部616−1の底部に押圧した際の突起部626,627の形状を実線で示し、突起部626,627の自然な形状を破線で示すことにより、Aの方向の推力の下での突起部626,627の弾性圧潰と非圧潰に相当するこれら2つの位置の間での距離(e)のずれを明示できるようにしている。
【0092】
次に、このもう一方の固定装置が固定要素に配置されると、化粧部材602の弾性突起部626,627に加わる推力が緩められて弾性突起部は通常の形状に戻るが、やや圧縮された状態のままとしても良い(図9C)。
【0093】
こうして化粧部材602は、テンプル601から自然に離脱する恐れなく、テンプル601に着脱自在に固定されて点線で示す開口部602を被覆する。化粧部材602を取り外すには、取り付けの場合と逆の動き、すなわち図9Cの状態から化粧部材602を左方向(矢印A)に押して、突起部626,627を弾性変形せしめ、化粧部材602の他端部を第2の固定要素から離脱させる必要がある。この端部を取り外した後、2つの突起部を有する方の化粧部材端部をガセット616の着座部616−1から引き抜く。
【0094】
化粧部材の他端部にも、前記化粧部材の端部の2つの突起部と同様の弾性変形部で形成される固定装置を設け、前記ガセットの形状に対応する形状のガセットに係止するようにしても良い。この第2の端部に弾性固定装置を設けることによって、テンプル601の2つの固定要素に化粧部材を一定の予備応力をかけた状態で保持することができる。この場合の寸法は、固定装置がやや圧縮された状態となるように選択される。これによって、例え非常に小さいものであっても問題となり得るような製造上の公差を吸収することができる。これら2つの突起部の弾性によって伸長度の違いも吸収することができる。
【0095】
眼鏡の別の実施形態を示す図10A,図10Bを参照すると、ここではテンプル701に台形の開口部715が設けられており、開口部の全ての辺または少なくともその大部分に接して内のり715aを有している。開口部の前部には、テンプル701の内面に向けて、固定要素を形成する着座部716が設けられており、開口部の後部には、バネ719を装填したピストン718を内部に備える他方の固定要素としての着座部717が第1の固定要素716に対向して設けられている。
【0096】
図10Bに示すように、化粧部材は開口部715の形状に概ね対応する形状を有している。この化粧部材702は中心部702bと、開口部715の内のり715aに嵌合するように構成された周縁部702aを有する。
【0097】
化粧部材702の前端部に、周縁部702aへと延びる突起部の形状を取る固定装置726が設けられている。化粧部材の後端部にも、やはり、周縁部702aの延長としての突起部の形を取る固定装置727が設けられている。
【0098】
本実施形態の構造については、図11A〜図11Dの断面図を参照することでより明らかとなろう。
【0099】
図11Aは開口部715を取り囲む内のり715aの形状を示しており、その前部には着座部716が、また後部にはバネ719を装填したピストン718を備える着座部717が設けられている。バネ719はピストンを前方に向かって押圧している。ピストンは着座部717のへり717aによって開口部715のせん断縁に向かう方向に保持されている。
【0100】
着座部716,717は、テンプル701の内側、開口部715のせん断縁に位置し、内のり715aと実質的に同じ高さになっている。
【0101】
図11Bの断面図は、化粧部材702の一実施形態を示しており、この化粧部材702の中心部は、例えばその両端部が突起部726および727となって終わっている周縁部702aを備えるドーム状702bとなっている。
【0102】
テンプル701の開口部715への化粧部材の取付けは図11Cに示すように行われる。
【0103】
まず初めに、ピストン718をバネ719の作用に抗して押し戻すと共に矢印Aの方向に作用させることにより、もう一方の突起部726が開口部内に入って着座部716に対向して配置されるまで、突起部727をテンプル701の内面に沿って着座部717内に導入する。この時点で矢印Aの方向の推力を緩めると、バネ718がピストン717aを介して突起部727を押し返し、それによって化粧部材702と突起部726が着座部716内に押し戻される。
【0104】
化粧部材702の装着動作は、化粧部材を矢印Cの方向に傾けることにより突起部727の着座部717への導入を開始して、その縁部702aを内のり715aに載置した状態で化粧部材を開口部715内に配置することから成る。このように支持することで化粧部材702が安定し、化粧部材をAの方向に押してピストン718を押し戻す動作が容易になる。次にもう一方の突起部727を着座部716前方の内のり715aに載置することができる。その後化粧部材に推力をかけるのを止めると、化粧部材をAの方向と反対の方向に戻して突起部726をその着座部716に係合させることができる。
【0105】
装着動作の終りの状態を示したのが図11Dであり、2つの突起部726,727がそれぞれの着座部に固定され、テンプルの面に対して垂直に、Bの方向に加えられる推力に抗している。この推力が外側から加えられるか(いずれにせよこちらの方が多い)、テンプル702の内側から加えられるかに関わらず、Aの方向の推力成分は存在しないため、化粧部材702が解放されることはない。
【0106】
化粧部材を取り外すには、図11Cにおいて説明した動作と逆の手順を行う必要があり、突起部726が着座部717から離脱するまで化粧部材702を矢印Aの方向に押し戻した後、矢印Cと反対方向に旋回運動させながら化粧部材を取り外す。
【0107】
この非常に簡単な動作によって、化粧部材を非常に効果的に固定することができ、眼鏡の装飾または表示を容易に変えることが可能となる。従って、眼鏡のユーザは、色やデザインの異なる化粧部材を一組手元に用意して状況に合わせて使い分けることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は幅広のテンプルを有し、少なくとも一方のテンプルに開口部を備える眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、幅広のテンプルを有する眼鏡の形態は数多く存在する。テンプルの中には幅広中実のものもあるが、横に寝かせたY字状となるように拡開したものもある。この場合の2本のアーム部は、テンプル前部において蝶番を設けたクロスメンバーによって接続され、後部において相互に結合して、耳にかかるテンプル端部へと続いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、服装や流行に合わせてテンプルを変えたり、調和させることのできる眼鏡を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的で、本発明は上に定義した種類の幅広テンプルを有する眼鏡に関し、テンプルの内面の開口部に隣接して固定要素が設けられ、少なくとも部分的にテンプルの開口部と等しい形状を有する装飾的化粧部材に固定要素と相補的な固定装置が設けられることにより、化粧部材がテンプルに対して着脱自在に固定される。
【0005】
装飾的化粧部材は、テンプルの内面、すなわちユーザの頭部側に向く面においてテンプルの開口部の一部を覆い、開口部を通して見えるようにすることで、非常に多様な美的効果をもたらすことができる。化粧部材の固定法が着脱式であるため、化粧部材は別の形、別の意匠のものと容易に交換することができる。テンプルの開口部から見える化粧部材の意匠は、平坦でも浮き彫りでも良いし、色彩があっても白黒でも良い。化粧部材または眼鏡の一方のテンプルに結合された化粧部材に無線回路、電話回路、又はWiIFiによって動作できるリンク手段等の電子及び情報技術手段を設けると有利である。
【0006】
また、化粧部材に電子チップまたは無線ICタグ(RFID)タグを組み込んで、眼鏡の着用者の識別ができるようにすると有利である。例えば、オフィスや会社内のある区域などのセキュリティをかけられている区域の出入り、通行の検出、施設または機械の使用許可などに対するタグがあると、眼鏡着用者はタグの携行について注意する必要がないため、監視の管理が容易になる。標準的な形式のタグそのものを化粧部材に設けた標準形式の専用エリアに組み込むこともできるが、この場合の化粧部材は特定の眼鏡に適応させたものとなる。
【0007】
最後に、化粧部材を多様化して、眼鏡のユーザが一組の化粧部材を手元に用意して好みや必要に応じて適宜更新できるようにすることができる。
【0008】
化粧部材は平面的な構成であるため、眼鏡の着用の邪魔にならずテンプルの内面側から突出する障害物となることもない。
【0009】
化粧部材は不透明または透明の地に模様、嵌め込み細工、装入物等の装飾要素を付して開口部またはテンプルに複数の開口部がある場合はその1つから見えるようにするのであるが、化粧部材が開口部全部を被覆し、その寸法が化粧部材をテンプルの内面に当接して装着した時にテンプルの上縁および下縁と実質的に同じ高さとなるようにするのが有利である。
【0010】
開口部は細長い形状とすることができるが、その場合化粧部材もまた細長い形状となる。この細長い形状は三角形でも台形でも良いが、眼鏡のテンプルがその上縁と下縁において帯状にしか残らず、これらの2つの帯状の部分が後方に向かって相互に再結合して耳の上にかかるテンプル端部となるようにする。
【0011】
テンプルに設けられる固定要素と化粧部材の固定装置とは、挟止手段とするのが好ましい。テンプルの全体的な形状が三角形であるため、挟止手段をこの三角形の3つの頂点、すなわちテンプル前部の蝶番に2つと幅広のテンプルが通常の形状となる後部に1つ配置するのが有利である。後部の固定手段は化粧部材およびテンプルの長手方向に二重に配置すると有利である。
【0012】
挟止ピンは例えば化粧部材に対して溶接によって固定される。あるいは化粧部材に強制的に係合されるピンによって形成されても良い。これらの固定手段は弾性として、テンプルに設けられた孔に容易に係合してそこに固定要素を形成するものとするのが好ましい。この場合の孔は貫通するものでない方が良い。ただし、固定上または美観的な理由から、貫通孔を設けて、挟止ピンの長さをテンプルの他方の面から見えるように、あるいはその面を突き抜けるように設定しても良い。この構造は、着脱性を維持しながら適切な固定を提供するだけでなく、ピンの端部を見せることによる装飾的効果という点でも有利である。化粧部材およびピンを研磨金属または金箔を施した金属等で作成する場合、幅広のテンプルの固定要素を形成する孔の出口においてピン自体の端部が見えることになる。
【0013】
固定要素を、蝶番側のテンプルの前部においてはテンプルの後部に向けて湾曲された2つの突起部で形成し、また後部においては着座部によって形成し、固定装置についてはテンプルの着座部に長手方向に係合する舌片と、後部に向かって湾曲された突起部の下方を滑動する化粧部材の前縁部とによって形成しても良い。
【0014】
次に、化粧部材の可撓性に作用することで化粧部材を装着するが、これは化粧部材の固定装置の舌片状の端部をテンプル後部の着座部に係合させた後は、化粧部材をアーチ状に曲げてテンプル前部の湾曲突起部の下に滑り込ませるだけで良いためである。前記着座部は随意に貫通型の一種のループまたはライダ等によって形成される。
【0015】
化粧部材は、テンプルによって支持される蝶番部材に嵌合するように形成された切欠き部、湾曲突起部または蝶番部材の両側に配置した挟止用の孔のような固定要素によって定位置に保持すると有利である。これによって化粧部材をテンプルの長手方向に対して垂直方向に、テンプルの平面において保持または固定することができる。
【0016】
別の特長によると、テンプルの内面に、開口部の両側に配列された2つの軸受の形をとる固定要素と共に、これら2つの軸受の軸上ではなく開口部に隣接して設けられる挟止要素を配置し、化粧部材にはその各端部に配列された2つの軸ピンによって形成される固定装置と、第3の固定点を形成してテンプル側の挟止要素と協働する挟止装置とが設けられる。
【0017】
化粧部材の眼鏡のテンプルへのこのような固定方法は、装着が容易である上に離脱する恐れが無く有利である。これは、化粧部材がその2軸で軸受に係合すると共に、化粧部材の第3の地点が挟止により固定されるためである。例え、化粧部材が挟止されている挟止要素から離脱した場合でも、変形されない限り軸受から解放されることはない。この化粧部材の変形はアーチ状に曲げて軸と軸の間の距離を短くするもので、化粧部材の装着時に行われる。化粧部材を片手で保持し、その軸受に軸ピンを係合させた後、化粧部材をアーチ状に曲げて第2の軸ピンをその軸受に係合させることができるため、化粧部材の変形は容易に行うことができる。化粧部材を真っ直ぐにしたとき、軸を中心として旋回して挟止することができるためである。
【0018】
このようにアーチ状に曲げる動作は、化粧部材を取り外して別のものと交換する際にも行う必要があるが、テンプルを誤って何かに引っかけた場合に生じ得るような変形とは異なるものである。
【0019】
この種の化粧部材および化粧部材固定方法は、宝石や金箔のような宝飾品で装飾した化粧部材など、高価な化粧部材に関して特に有利である。
【0020】
効果的な方法としては、軸ピンの1つを化粧部材本体から取り外した突起部によって支持されるようにし、弾性リンクを形成する帯状の材料によって突起部に接続されたままとなるようにすることで、2つの軸ピンを圧縮して相互に接近せしめ、軸ピンをテンプルの2つの軸受に係合させることが可能となる。化粧部材の装着は、可撓性の突起部の軸ピンをその軸受に係合させた後、可撓性の突起部を圧縮して他方の軸ピンをその軸受に導入し、最後にこれら2つの軸ピンと2つの軸受とによって形成される軸を中心として化粧部材を旋回せしめ、化粧部材の挟止装置をテンプルの挟止要素に挟止して化粧部材の組立位置を画定することによって行われる。
【0021】
この実施形態の化粧部材は、特に装着が容易であるが、これは、その軸受に軸ピンを係合させた後、軸ピン間の距離を縮めて第2の軸ピンをその軸受に導入できるようにするために、可撓性のアームを弾性リンクを形成する化粧部材本体との接合部において圧縮して、第2の軸ピンが軸受に入るところまでの長さを獲得する方法による。
【0022】
その後、圧縮力を緩めると化粧部材は自然に元の状態に戻る。この場合の化粧部材は、2つの軸ピンによって形成される軸を中心として旋回して、挟止要素を挟止装置に係合させることもできる。
【0023】
挟止連結から離脱させるには、上記の動作を逆に行うことにより、眼鏡のテンプルの開口部を介して化粧部材を押した後、2つの軸ピンを外すだけで良い。
【0024】
有利な構成として、眼鏡のテンプルの蝶番の近くに軸ピンと挟止要素を設け、化粧部材の軸ピンの一つを支持する可撓性の突起部が化粧部材の挟止装置も支持するようにし、化粧部材の他端部に第2の軸ピンを設けると良い。
【0025】
別の有利な特長によると、テンプルの軸受および挟止要素を一体とする。
【0026】
軸ピンは、化粧部材の装着または取り外しの際に固定するための要素、また場合によっては旋回または回転のための要素を形成する。軸ピンが断面非円形の場合でも、旋回に全く問題はない。例えば、プラスチック材料や金属などの剛性材料から化粧部材を切り出した場合、断面正方形の軸ピンは断面円形の軸受の円筒形の穴の中で問題なく回転することができる。
【0027】
さらに別の特長によると、化粧部材を作成する材料片の一部から2つの軸ピンと挟止装置が形成される。
【0028】
化粧部材の一部を形成する挟止装置についても同じである。
【0029】
さらに別の特長によると、固定要素の少なくとも1つをテンプルの裏面のガセットとし、化粧部材の一端部の固定装置の少なくとも1つを2つの突起部とし、これらの突起部が長手方向の圧縮によってガセット内で弾性変形することにより、化粧部材の他端部の固定装置をテンプルの固定要素に導入できるようにする。
【0030】
さらに別の特長によると、テンプルの裏面にガセットの形を取る2つの固定要素を設け、化粧部材の2つの固定装置の各々に長手方向の圧縮により弾性変形可能な2つの突起部を設ける。
【0031】
この固定要素および固定装置の実施形態によると、テンプルへの化粧部材の装着が非常に容易かつ効率的に行えるようになる。化粧部材が例えばその固有の形状、または化粧部材に施されたリブや装飾等により非常に堅い場合であっても、2つの突起部の弾性力に働きかけることによって化粧部材の装着を行うことができる。
【0032】
化粧部材の装飾または構造の種類によっては、化粧部材を弾性的に曲げることなく、該化粧部材の適用されるテンプルの形状に従ってその形状(平坦またはやや湾曲した形状)に維持するのが望ましい場合がある。化粧部材の自然な形状を越えて弾性的に変形させると、たとえば被覆しているフィルムに亀裂を生じたり、化粧部材の表面に付加されている要素が離脱するなど、装飾要素を損なってしまう恐れがある。
【0033】
化粧部材の弾性突起部の形をとる固定装置を受容するようにガセットの形をとる着座部を眼鏡テンプルの少なくとも一方の端部に設けることによって、テンプルの裏面に当接して化粧部材を非常に平坦に配置することが可能となる。つまり、まず弾性突起部を備えた方の端部をガセット内に位置決めし、次いでこの端部を押して2つのアームを弾性変形せしめると共に、化粧部材の他端部、すなわち化粧部材他端部の固定装置を他端部のそれと同様のガセット等の固定要素の中に通した後、圧縮を加えていた弾性突起部を有する端部を解放することにより、化粧部材を着脱自在のままで確実に定位置に取り付けることができる。
【0034】
ガセットの形を取る固定要素は、実質的にテンプルの内面に浮き出しを形成しないように非常に平坦としても良い。ガセットの形を取るこれら固定要素は、テンプルの裏面と一体化しても良い。
【0035】
さらに別の有利な特長によると、
テンプルの内面側において開口部が内のりに隣接し、
各固定要素が内面側において、せん断縁の中で開口部に接して開口部に隣接する内のりの内側と同じ高さになるように設けられた着座部によって形成されており、
一方の着座部がテンプルの前部、他方の着座部がテンプルの後部と、2つの着座部が相互に相対して設けられており、少なくとも一方の着座部がバネを装填したピストンを備え、
化粧部材が開口部の内側を介して内のりに当接するように形成された縁部を有しており、
化粧部材の各固定装置は、縁部を延長して開口部の相補的着座部内に滑り込むように形成された突起部の形を取り、突起部の一つがピストンを備えた着座部に係合して、他方の突起部が他方の着座部に対向するところまで該ピストンをバネの作用に抗して押圧し、ピストンのバネの作用と反対方向に化粧部材に加えられる推力を緩めることにより、化粧部材全体を押し戻して第2の突起部を着座部に導入して固定する。
【0036】
化粧部材を特に簡単な方法で開口部で導入してそこに固定することができる。化粧部材の外面に推力が加えられた場合でも、それをブロックすることができる。ピストンを圧縮するようにテンプルに平行に化粧部材に並進的運動が加えられた場合のみ、他方の突起部を着座部から離脱させて化粧部材を交換のため取り出し、色や装飾を変更する化粧部材と取り換えることができる。
【0037】
このような運動は自然ではなく、特に偶然には起こり得ないものであるため、化粧部材が眼鏡テンプルの内側から定位置に配置されるということもあって、化粧部材を無くすというリスクを実質的に回避することができる。
【0038】
さらに別の有利な特長によると、化粧部材はテンプルの開口部に対応するドーム型の形状を有し、このドーム型形状に縁部を設けることにより、ドーム型形状が開口部内に収容され、縁部が内のりに当接支持される。
【0039】
化粧部材のドーム型形状に十分に広い縁部を設けることにより、化粧部材を開口部内に装着するための並進運動が、開口部およびドーム型形状のそれぞれの寸法が化粧部材の並進運動を妨げることなく突起部を導入できるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1A】幅広の眼鏡テンプルの内側から見た図である。
【図1B】幅広のテンプル用に構成された化粧部材の内側から見た図である。
【図2A】別の実施形態で、先の図の幅広の眼鏡テンプルに対応する図である。
【図2B】別の実施形態で、先の図の化粧部材に対応する図である。
【図3A】第3の実施形態の組み立て状態における幅広のテンプルを有する眼鏡を示す。
【図3B】第3の実施形態で、組み立てた状態における幅広のテンプルを有する眼鏡の化粧部材を示す。
【図4A】さらに別の実施形態による別の固定方法を用いた幅広の眼鏡のテンプルを示す。
【図4B】さらに別の実施形態による別の固定方法を用いた幅広の眼鏡の化粧部材を示す。
【図4C】化粧部材を取り付けたテンプルの内面を示す図である。
【図4D】取り付け前の幅広のテンプルと化粧部材を上から見た図である。
【図4E】化粧部材を図4Bにより備え付けた図4Aの幅広のテンプルを外側から見た図である。
【図5A】別の実施形態による眼鏡テンプルを示す。
【図5B】別の実施形態による眼鏡テンプルの化粧部材を示す。
【図5C】別の実施形態による眼鏡テンプルとその化粧部材を示す。
【図6A】図5A〜図5Cの実施形態による眼鏡テンプルに化粧部材を装着する際の段階を示す。
【図6B】図5A〜図5Cの実施形態による眼鏡テンプルに化粧部材を装着する際の段階を示す。
【図6C】図5A〜図5Cの実施形態による眼鏡テンプルに化粧部材を装着する際の段階を示す。
【図6D】図5A〜図5Cの実施形態による眼鏡テンプルに化粧部材を装着する際の段階を示す。
【図7A】別の実施形態によるテンプルを固定要素において示す。
【図7B】別の実施形態による化粧部材を固定装置において示す。
【図8】図7A〜図7Bによる化粧部材の端部をテンプルの端部に固定装置を固定要素に係合させることにより組み付けた状態を示す。
【図9A】化粧部材端部をテンプルの固定要素に装着する段階を図式的に示しており、固定要素を形成するガセットを、テンプルの裏面に平行な平面を通る断面で示したもので、固定装置が固定要素の前方にある係合前の状態を示す。
【図9B】化粧部材端部をテンプルの固定要素に装着する段階を図式的に示しており、固定要素を形成するガセットを、テンプルの裏面に平行な平面を通る断面で示したもので、固定装置の2つの突起部を固定要素に圧入する状態を示す。
【図9C】化粧部材端部をテンプルの固定要素に装着する段階を図式的に示しており、固定要素を形成するガセットを、テンプルの裏面に平行な平面を通る断面で示したもので、テンプルの固定装置が弾性復帰した後の状態を示す。
【図10A】別の実施形態による眼鏡テンプルの側面図であり、化粧部材は取り外されている。
【図10B】図10Aのテンプル用の化粧部材を内側から見た正面図である。
【図11A】眼鏡の幅広テンプルにおける化粧部材の取り付けに関し、図10AのXI−XI線に沿って取った水平断面図であり、化粧部材を装着していないテンプルを示す。
【図11B】眼鏡の幅広テンプルにおける化粧部材の取り付けに関し、図10AのXI−XI線に沿って取った水平断面図であり、化粧部材の対応する断面図である。
【図11C】眼鏡の幅広テンプルにおける化粧部材の取り付けに関し、図10AのXI−XI線に沿って取った水平断面図であり、ピストンの圧縮により化粧部材を装着する最初の動作を示す。
【図11D】眼鏡の幅広テンプルにおける化粧部材の取り付けに関し、図10AのXI−XI線に沿って取った水平断面図であり、化粧部材がテンプルに固定された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
次に、添付図面に示す様々な実施形態を用いて、本発明についてより詳細に説明する。
【0042】
図1A,図1Bに示すように、本発明は幅広のテンプルを有する眼鏡に関する。図示されているのは眼鏡の片方のテンプル1のみで、その内側1が示されている。幅広のテンプルは、耳の上にかかる後端部11から蝶番部材13で眼鏡の前部の接続される前端部12cまで次第に幅広となる形状を有する。
【0043】
幅広のテンプル1は、その幅広部14において比較的平坦であり、幅広部の全長にわたって延びる細長い溝孔によって開口部15が形成されている。
【0044】
開口部15の前方の両側において、幅広部14に2つの固定要素16,17が設けられている。開口部15の後部の幅広部には第3の固定要素18が設けられている。
【0045】
固定要素16,17,18は、図1Bに示す化粧部材2を受容するために設けられたものである。化粧部材2は固定要素16,17,18と相補的な固定装置26,27,28を備え、固定装置26,27,28が固定要素16,17,18と協働することで図1Bの化粧部材を幅広のテンプル1の内側1Aに押圧保持し、テンプル1の開口部15を通して見えるように構成されている。
【0046】
図1Bに示すように、その外面2Bのみを示されている化粧部材2は、幅広のテンプルの内側に取り付けたときに幅広のテンプルの開口部を少なくとも部分的に(図示の例では完全に)覆うように構成されており、頂点を切断した三角形の形状を有している。化粧部材2の寸法は、ここでは開口部15の寸法より大きくしており、特に化粧部材の上縁2Cおよび下縁2Dで大きくなっている。図1Bは、幅広のテンプル1の内側1Aに嵌め合わされるように構成された化粧部材2の外面2Bを示している。化粧部材は固定装置に加えて切欠き部29を備えており、この切欠き部29が蝶番要素13に跨座して蝶番要素と協働することで、要素16,17,18と固定装置26,27,28との協働により提供される保持効果を完結させる係止手段を構成している。
【0047】
本実施形態の固定要素16,17,18および固定装置26,27,28は挟止手段によって形成される。すなわち、固定要素16,17,18は幅広のテンプル1に設けられた好ましくは貫通式のものではない着座部とし、固定装置26,27,28は化粧部材2に支持される挟止ピンとする。化粧部材がプラスチック材料、より一般的には成型部品である場合には、挟止ピンは化粧部材と同じ材料から形成することができる。挟止装置を化粧部材に溶接しても良いし、化粧部材の着座部に挿入して焼嵌めすることで確実に固定するようにしても良い。
【0048】
これらの挟止手段により、化粧部材2をテンプル1の内面1Aに着脱自在に連結することが可能となる。
【0049】
化粧部材2の外面2Bには、幅広のテンプルの開口部を通して見えるように装飾要素が設けられている。装飾要素は開口部に設けた平坦な装飾としても良いし、浮き彫り装飾としても良い。特に有利な実施形態によると、化粧部材2を金属製とし、これに処理をしたり、ブラシ加工、組紐飾り、染色などを施す。化粧部材には、電子無線回路や電話回路、情報技術支援装置等の機能要素、特にWiIFiで動作する手段を組み込むと有利である。
【0050】
化粧部材にRFIDタグ等の識別チップを組み込むと非常に有利である。セキュリティ保護されたオフィスやビジネスゾーンなどでは、RFID式等のタグを携帯している者にのみ通過を許可するコントロール・ポイントを設ける場合があるが、その眼鏡を着用することによってこのようなコントロール・ポイントを通過することが可能となるからである。RFIDタグと眼鏡を結合するということは、常にタグを携帯していることになり、タグの携帯に関して心配する必要が無くなる。
【0051】
図2Aと図2Bは、本発明の幅広のテンプルを有する眼鏡の別の実施形態を示しているが、ここでもやはり内側101Aから見た幅広のテンプル101のみを示している。
【0052】
幅広のテンプル101は、幅広のテンプルの輪郭に沿う三角形状の細長い開口部115を備えている。この開口部115用として構成された化粧部材102も図1Bのものと同様の三角形状を有しており、実質的に同様の固定手段126,127,128、すなわち連結装置と、幅広のテンプル101に設けた蝶番要素113を跨座させることのできる切欠き部129とを備えている。この組立手段は、前述のように挟止手段としても良い。一例として、着脱自在の連結部として、3点116,117,118をテンプル101の内側101Aに設けると共に、3点126,127,128が化粧部材をテンプル上の低位置に配置した時に化粧部材101の内側101Aに当接する化粧部材201の外側201Aに設けられている。
【0053】
図3Aと図3Bは、本発明による幅広のテンプルを備えた眼鏡の別の変形例を示している。この場合、幅広のテンプル201はその前部312と幅広部314において実質的に台形の外形を有しており、やはり台形状の開口部315を備えている。この開口部は大きいものである。開口部315を覆うように構成された化粧部材302が図3Bにおいてその組立位置、すなわち内面302Aを見せる位置で示されている。
【0054】
開口部315の寸法、ひいては化粧部材302の寸法を考慮すると、化粧部材302とテンプル301との間を4つの固定点による着脱自在の組み立てとするのが有利である。すなわち前部の316,317;326,327の2つの固定点に加えて後部にも2つの固定点318,3181;328,3281をそれぞれ前後に並べて設ける。化粧部材302もテンプル301の蝶番要素313を跨座させるための切欠き部309を備える。
【0055】
前述のように、化粧部材302は任意の材料で形成できるが、金属が好ましい。その外側の装飾面は彩色処理される。
【0056】
図4A〜図4Eは、本発明による幅広のテンプルを備える眼鏡の別の実施形態を示している。幅広のテンプル401が、テンプル401の内側401Aに固定される化粧部材402によって少なくとも部分的に覆われるように構成された開口部415を備えるという原理はそのままであるが、化粧部材の着脱自在の固定手段が変更されている。
【0057】
すなわち、図4Aによると、その開口部415が三角形状を呈する幅広のテンプル401の前部412が、後部411に向かって湾曲した2つの突起部416,417を備え、後部411には固定点418がループまたは着座部によって形成されている。
【0058】
図4Aの平坦なテンプル401に備えるように構成された図4Bの化粧部材402は、開口部415の形状より大きな形状を有し、特に、その上側輪郭線402Cとその下側輪郭線402Dとが幅広のテンプル401の上側輪郭線401Cと下側輪郭線401Dにそれぞれ対応する形状を有している。
【0059】
化粧部材402の後端部には、幅広のテンプル401のループ418と係合するように構成された舌片428が設けられており、化粧部材の前端部42は突起部416,417の下に取り付けられる。この目的で、化粧部材402は平坦な状態で前部と後部の固定装置416,417,418の間の距離に実質的に相当する長さを有している。このため、化粧部材は後ろに折り返された突起部に嵌合できるように変形させることによって装着される。この化粧部材は接合要素413を跨座させる切欠き部429を含んでいる。
【0060】
図4Cは、化粧部材402を装着したテンプル401の内側を示している。
【0061】
図4Dは、ループ418の形状と、フックを形成する前方突起部416,418の形状をより詳細に示している。
【0062】
最後に、図4Eは幅広のテンプル401の開口部415を通して見た化粧部材の外観を示している。
【0063】
図5A〜図5Cと図6A〜図6Dは、化粧部材502を備えた幅広のテンプル501の別の実施形態を示している。
【0064】
図5Aに示すように、幅広のテンプル501はマウント前部に関して軸zzを中心として旋回するための蝶番要素513を備えている。テンプル501の内面に3つの固定要素、すなわち軸xxに沿って整列された2つの軸受516,518と、挟止要素によって形成される第3の固定要素517とが設けられている。
【0065】
テンプル501は開口部515を備えており、その上縁を軸xxの下方に示しているが、その幾何学的な構成については必須事項ではない。
【0066】
テンプル501に設けるように構成された化粧部材502は、この例ではテンプル501の台形形状の開口部515を覆う形状を有している。
【0067】
化粧部材502は軸x′x′に沿って整列された2つの軸ピンによって形成される2つの固定装置526,528を有しており、軸x′x′は、下記の条件下で化粧部材502をテンプル501を装着した際に軸xxと一致する。
【0068】
化粧部材502は、テンプル501の挟止要素517と協働するように構成された挟止縁部によって形成される第3の固定装置527を備える。
【0069】
化粧部材の本体530は、軸x′x′と交差する切欠き部531を含み、可撓性の突起部532を形成しており、可撓性の突起部532は材料の一部分533を介して本体と連結されている。
【0070】
可撓性の突起部532の自由端に軸ピン526を支持し、連結部533に近接する方の突起部の端部に挟止装置527を支持している。
【0071】
化粧部材502のテンプル501への取付けは、軸ピン526,528を軸受516,518に係合した後、挟止装置527を挟止装置517に挟止することによって行う。
【0072】
化粧部材502の取付けを終わると、テンプル501の内面は図5Cに示す外観を呈する。化粧部材502が開口部515を全面的または部分的に覆っている。この例では、開口部515は台形であり、化粧部材502の本体も開口部515より寸法が大きい台形である。ただし、このような幾何学的関係は必要事項ではない。獲得しようとする効果または結果に応じて、化粧部材と開口部とが全面的または部分的に重なり合うものとする。
【0073】
化粧部材の取付けおよび取外しは、図6A〜図6Dに示すように行われる。
【0074】
図6Aに示すように、眼鏡頭部のテンプル501が化粧部材502を受容する。
【0075】
この例では、軸受を形成する固定要素516と、挟止の働きをする固定要素517とが、テンプル501の内面に支持される小さな棒状の1つの部品によって形成されている。化粧部材が別個に示されている。化粧部材はシート材から切り抜き形成された材料片で形成されており、その固定装置と挟止用の縁部は切り抜きの際に同時に作成されている。この場合の化粧部材は装飾要素を含まない。
【0076】
テンプルの開口部515から見える側、およびその裏面に装飾要素を設けて製造することもできる。
【0077】
図6Bに示すように、第1の動作では化粧部材本体を親指と人差し指で挟んだ状態で軸ピン526を軸受516に滑り込ませる。軸ピン526が係合すると、軸x′x′の方向に本体を押圧し、溝孔531を変形させることにより軸ピン528が軸受518に係合できるところまで軸ピン528を軸ピン526に近づける。次に、押圧を緩めて化粧部材が連結部分533の変形の緩和によって元の状態に戻るようにする。
【0078】
その後、化粧部材は図6Cに示す位置をとる。この状態で化粧部材は軸xxを中心として旋回することで、挟止装置527を挟止要素517の下に通すことが可能となる。このようにして化粧部材502は眼鏡部片501の内面に当接保持される。
【0079】
化粧部材502を取り外して別の化粧部材と取り換えるためには、テンプル501の外側から開口部515を通して化粧部材を押し、挟止装置527を挟止要素517から離脱させ、化粧部材を旋回軸xxを中心に旋回させるだけで良い。図6Cに示すように、化粧部材502を持ち上げる際、親指と人差し指の間に把持して軸ピン528を眼鏡テンプルの軸受518から取り外せるところまで(図6B)可撓性のアーム532を弾性連結部分の変形により押圧する。後はもう1つの軸ピン526をその軸受516から取り出すだけで良い。
【0080】
上記実施例では、幅広のテンプルの形状が実質的に三角形状となっているが、本発明の幅広のテンプルの形状はこれに限定されない。本発明は少なくとも1つの開口部を備える眼鏡の幅広のテンプルに一般的に適用されるものであり、その開口部が細長い形状であるかその他の形状であるかを問わない。テンプルは複数の開口部を備えても良く、それらの1つのみ、あるいはいくつかが該開口部を部分的または全面的に被覆する化粧部材を受容するようにしても良い。
【0081】
テンプルの開口部は、左側と右側のテンプルに関して対称としても良いし、非対称としても良い。
【0082】
最後に、眼鏡の両テンプルのうち一方のみが化粧部材を受容する1つまたはそれ以上の開口部を有するようにしても良い。
【0083】
図7A,図7Bに示す別の実施形態による眼鏡では、テンプル601の一端部614および化粧部材602の固定要素616と固定装置が変更されているが、テンプル601の他端部を固定するための手段は上記実施形態と同じにしても良いし、異なるものとしても良い。
【0084】
図7Aに示すように、眼鏡のテンプル601は、その内面601Aの端部614の一方(ここでは前端部)に、ガセットの形態をとる固定要素616が矩形で示されているが、その輪郭は眼鏡テンプルの裏面と一体化されている。このガセットの形態をとり、テンプル601の蝶番613の近くに配置されている要素は、その着座部601−1において化粧部材の対応端部を受容し、その開口部616−2はテンプル601の他端側に向けられている。
【0085】
図7Bに示すように、化粧部材の固定装置は化粧部材の延長としての2つの弾性突起部626,627によって形成される。弾性突起部は相互に向かって湾曲しており、ガセット616の着座部616−1へ導入する方向(A)に押圧することで変形させることができる。
【0086】
眼鏡テンプル601および化粧部材602の他端部を固定するための手段は、たとえばガセットの形態をとる着座部によって形成することができ、これに化粧部材端部の突起部を導入する。
【0087】
化粧部材602はテンプル601の開口部615を被覆する方の面に、この窓を通して見えるように形成した装飾要素を有する。装飾要素は図示されていない。
【0088】
図8は、固定要素613と化粧部材602の固定装置626,627が相互に係合した状態を示しており、テンプル601の裏面601Aと化粧部材602の裏面を示している。
【0089】
図9A〜図9Cは、化粧部材602の固定装置626,627とテンプル601の固定要素616の係合を段階毎に示している。
【0090】
図9Aは、化粧部材602の端部が、断面で示されるガセット616の入口616−2に対向して、テンプル601の裏面601Aに平坦に当接されている状態を示す。
【0091】
図9Bに示すように、2つの弾性突起部626,627によって形成される化粧部材端部をガセット616内に滑り込ませて導入した後、弾性突起部を圧縮して弾性的に変形させることにより、化粧部材の他端部がテンプルの対応する固定要素内に配置するのに必要な距離(e)だけ化粧部材を矢印Aの方向に送られる(テンプルおよび化粧部材の該当部分は図示していない)。着座部616−1の底部に押圧した際の突起部626,627の形状を実線で示し、突起部626,627の自然な形状を破線で示すことにより、Aの方向の推力の下での突起部626,627の弾性圧潰と非圧潰に相当するこれら2つの位置の間での距離(e)のずれを明示できるようにしている。
【0092】
次に、このもう一方の固定装置が固定要素に配置されると、化粧部材602の弾性突起部626,627に加わる推力が緩められて弾性突起部は通常の形状に戻るが、やや圧縮された状態のままとしても良い(図9C)。
【0093】
こうして化粧部材602は、テンプル601から自然に離脱する恐れなく、テンプル601に着脱自在に固定されて点線で示す開口部602を被覆する。化粧部材602を取り外すには、取り付けの場合と逆の動き、すなわち図9Cの状態から化粧部材602を左方向(矢印A)に押して、突起部626,627を弾性変形せしめ、化粧部材602の他端部を第2の固定要素から離脱させる必要がある。この端部を取り外した後、2つの突起部を有する方の化粧部材端部をガセット616の着座部616−1から引き抜く。
【0094】
化粧部材の他端部にも、前記化粧部材の端部の2つの突起部と同様の弾性変形部で形成される固定装置を設け、前記ガセットの形状に対応する形状のガセットに係止するようにしても良い。この第2の端部に弾性固定装置を設けることによって、テンプル601の2つの固定要素に化粧部材を一定の予備応力をかけた状態で保持することができる。この場合の寸法は、固定装置がやや圧縮された状態となるように選択される。これによって、例え非常に小さいものであっても問題となり得るような製造上の公差を吸収することができる。これら2つの突起部の弾性によって伸長度の違いも吸収することができる。
【0095】
眼鏡の別の実施形態を示す図10A,図10Bを参照すると、ここではテンプル701に台形の開口部715が設けられており、開口部の全ての辺または少なくともその大部分に接して内のり715aを有している。開口部の前部には、テンプル701の内面に向けて、固定要素を形成する着座部716が設けられており、開口部の後部には、バネ719を装填したピストン718を内部に備える他方の固定要素としての着座部717が第1の固定要素716に対向して設けられている。
【0096】
図10Bに示すように、化粧部材は開口部715の形状に概ね対応する形状を有している。この化粧部材702は中心部702bと、開口部715の内のり715aに嵌合するように構成された周縁部702aを有する。
【0097】
化粧部材702の前端部に、周縁部702aへと延びる突起部の形状を取る固定装置726が設けられている。化粧部材の後端部にも、やはり、周縁部702aの延長としての突起部の形を取る固定装置727が設けられている。
【0098】
本実施形態の構造については、図11A〜図11Dの断面図を参照することでより明らかとなろう。
【0099】
図11Aは開口部715を取り囲む内のり715aの形状を示しており、その前部には着座部716が、また後部にはバネ719を装填したピストン718を備える着座部717が設けられている。バネ719はピストンを前方に向かって押圧している。ピストンは着座部717のへり717aによって開口部715のせん断縁に向かう方向に保持されている。
【0100】
着座部716,717は、テンプル701の内側、開口部715のせん断縁に位置し、内のり715aと実質的に同じ高さになっている。
【0101】
図11Bの断面図は、化粧部材702の一実施形態を示しており、この化粧部材702の中心部は、例えばその両端部が突起部726および727となって終わっている周縁部702aを備えるドーム状702bとなっている。
【0102】
テンプル701の開口部715への化粧部材の取付けは図11Cに示すように行われる。
【0103】
まず初めに、ピストン718をバネ719の作用に抗して押し戻すと共に矢印Aの方向に作用させることにより、もう一方の突起部726が開口部内に入って着座部716に対向して配置されるまで、突起部727をテンプル701の内面に沿って着座部717内に導入する。この時点で矢印Aの方向の推力を緩めると、バネ718がピストン717aを介して突起部727を押し返し、それによって化粧部材702と突起部726が着座部716内に押し戻される。
【0104】
化粧部材702の装着動作は、化粧部材を矢印Cの方向に傾けることにより突起部727の着座部717への導入を開始して、その縁部702aを内のり715aに載置した状態で化粧部材を開口部715内に配置することから成る。このように支持することで化粧部材702が安定し、化粧部材をAの方向に押してピストン718を押し戻す動作が容易になる。次にもう一方の突起部727を着座部716前方の内のり715aに載置することができる。その後化粧部材に推力をかけるのを止めると、化粧部材をAの方向と反対の方向に戻して突起部726をその着座部716に係合させることができる。
【0105】
装着動作の終りの状態を示したのが図11Dであり、2つの突起部726,727がそれぞれの着座部に固定され、テンプルの面に対して垂直に、Bの方向に加えられる推力に抗している。この推力が外側から加えられるか(いずれにせよこちらの方が多い)、テンプル702の内側から加えられるかに関わらず、Aの方向の推力成分は存在しないため、化粧部材702が解放されることはない。
【0106】
化粧部材を取り外すには、図11Cにおいて説明した動作と逆の手順を行う必要があり、突起部726が着座部717から離脱するまで化粧部材702を矢印Aの方向に押し戻した後、矢印Cと反対方向に旋回運動させながら化粧部材を取り外す。
【0107】
この非常に簡単な動作によって、化粧部材を非常に効果的に固定することができ、眼鏡の装飾または表示を容易に変えることが可能となる。従って、眼鏡のユーザは、色やデザインの異なる化粧部材を一組手元に用意して状況に合わせて使い分けることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅広のテンプルを有する眼鏡であって、少なくとも一方のテンプルが装飾的化粧部材を受容する開口部を有する眼鏡において、
テンプル(1)の内面(1A)が、開口部(15)に隣接する固定要素(16,17,18)と、少なくとも部分的にテンプル(1)の開口部(15)と等しい形状を有する装飾的化粧部材(2)とを備えており、前記化粧部材(2)が固定要素(16,17,18)と相補的な固定装置(26,27,28)を備えることにより、化粧部材(1)を着脱自在にテンプル(2)に固定すると共に、テンプルの開口部をその内面から少なくとも部分的に塞ぐように構成されていることを特徴とする眼鏡。
【請求項2】
請求項1に記載の眼鏡において、前記開口部(15)は細長い形状であり、前記化粧部材(2)もまた細長い形状であり、具体的には開口部(115,315)が三角形または台形の形状であり、化粧部材(102,302)も三角形または台形の形状であることを特徴とする眼鏡。
【請求項3】
請求項1に記載の眼鏡において、前記化粧部材の輪郭(102C,102D)がテンプル(101)の上縁および下縁(101C,101D)に到達していることを特徴とする眼鏡。
【請求項4】
請求項1に記載の眼鏡において、前記幅広のテンプル(1)が複数の開口部と、前記開口部の少なくとも1つと関連して、開口部を少なくとも部分的に被覆するように構成された化粧部材を受容する固定要素とを有することを特徴とする眼鏡。
【請求項5】
請求項1に記載の眼鏡において、前記テンプル(1)の固定要素(16,17,18)および前記化粧部材(2)の固定装置(26,27,28)が挟止手段であることを特徴とする眼鏡。
【請求項6】
請求項1に記載の眼鏡において、
前記固定要素(416,417)が、後部の着座部(418)と、蝶番(413)と同じ側のテンプル(401)前方の2つの湾曲した突起部であって、テンプルの後方(411)に向けられている突起部とによって形成され、
前記固定装置は、テンプルの着座部に長手方向に係合する舌片(428)と、後方に向かって湾曲している前記突起部(416,417)の下に滑り込む化粧部材の前方縁部(422)とによって形成されている、ことを特徴とする眼鏡。
【請求項7】
請求項1に記載の眼鏡において、
前記テンプル(501)の内面に、開口部(515)の両側で軸(x′x′)上に配列して設けられた2つの軸受(516,518)の形を取る固定要素と、前記2つの軸受の軸(xx)上に位置せず、開口部(515)に隣接して設けられる挟止要素(517)とを備えており、
前記化粧部材(502)が該化粧部材の両端で軸(x′x′)上に配列して設けられた2つの軸ピン(526,528)によって形成される固定装置と、第3の固定点を形成して前記テンプル(501)の挟止要素(517)と協働する挟止装置(527)とを備えている、ことを特徴とする眼鏡。
【請求項8】
請求項7に記載の眼鏡において、
前記軸ピン(526,528)の一方(526)が突起部(532)によって支持されており、該突起部(532)は化粧部材(502)の本体(530)から取り外されたときに弾性リンクを形成する材料片(533)によって連結されたままとなることにより、前記2つの軸ピン(526,528)を圧縮して2つの軸ピン(526,528)を相互に接近させ、前記テンプル(501)の2つの軸受(516,518)に係合させることができるように構成されており、
化粧部材(502)の装着が、可撓性突起部(532)の軸ピン(526)をその軸受(516)内に導入した後、該可撓性突起部(532)を圧縮して他方の軸ピン(528)をその軸受(518)内に導入し、最後に化粧部材(502)を2つの軸ピン(526,528)と2つの軸受(516,518)によって形成される軸(xx)を中心として旋回せしめることにより化粧部材(502)の挟止装置(527)をテンプル(501)の挟止要素(517)に挟止して該化粧部材(502)の組み付け位置を画定することによって行われることを特徴とする眼鏡。
【請求項9】
請求項8に記載の眼鏡において、眼鏡のテンプル(501)がその蝶番(513)の近くに軸ピン(516)と挟止要素(517)とを備えており、化粧部材(502)の軸ピンの一方(526)を支持する前記可撓性突起部(532)は化粧部材の挟止装置(527)も支持しており、化粧部材の他端部が第2の軸ピン(528)を有していることを特徴とする眼鏡。
【請求項10】
請求項9に記載の眼鏡において、前記テンプル(501)の軸受(516)と挟止要素(517)とが一体に形成されていることを特徴とする眼鏡。
【請求項11】
請求項8に記載の眼鏡において、前記2つの軸ピン(526,528)と挟止装置(527)とが、化粧部材を形成する材料の帯状片の一部で形成されていることを特徴とする眼鏡。
【請求項12】
請求項1に記載の眼鏡において、前記固定要素の少なくとも1つがテンプル(601)の裏面(601A)のガセット(616)であり、化粧部材(602)の一方の端部に設けられた前記固定装置(626,627)の少なくとも1つが2つの突起部(626,627)によって形成されており、該突起部は長手方向(A)の圧縮によりガセット(616)内で弾性変形して、化粧部材(602)の他端部にある他方の固定装置をテンプル(601)の対応する固定要素内に導入されるように構成されていることを特徴とする眼鏡。
【請求項13】
請求項12に記載の眼鏡において、眼鏡テンプル(601)がその裏面(601A)にガセット(616)の形状をとる2つの固定要素を備え、化粧部材(602)の2つの固定装置は各々が長手方向の圧縮により弾性変形可能な2つの突起部(626,627)によって形成されていることを特徴とする眼鏡。
【請求項14】
幅広のテンプルを有する眼鏡であって、少なくとも一方のテンプル(701)が装飾的化粧部材(702)を受容する開口部(715)を有する眼鏡において、該眼鏡が、
テンプル(701)の内面側において開口に隣接する内のり(515a)と、
各々が内面側において、せん断縁の中で開口部に接して開口部に隣接する内のり(715a)の内側と同じ高さになるように設けられた着座部によって形成される固定要素(716,717)とを備え、
前記2つの着座部(716,717)は、着座部の一方がテンプルの前方に、他方がテンプルと後方に、と相互に対向して配設されており、少なくとも一方の着座部(717)がバネ(719)を装填されたピストン(718)を含み、他方は自由であり、
該眼鏡がさらに、各々が縁部(702a)を延長した突起部の形状を取る化粧部材(702)の固定装置(726,727)を備えており、該固定装置はそれぞれ開口部(715)の相補的な着座部(716,717)に滑り込むように形成されており、前記突起の1つ(727)がピストン(718)を備えた着座部に係合することにより、他方の突起部(726)が他方の着座部(716)に対向するところまでピストンをバネ(719)の作用に抗して押し戻し、ピストン(718)のバネ(719)の作用方向と反対の方向に化粧部材に加えられる推力を解放し、化粧部材(702)全体を押し戻すことにより、第2の突起部(726)がその着座部(716)に導入されてテンプル(701)に対して化粧部材を固定するように構成されており、
該眼鏡がさらに、開口部(715)の内側を介して内のり(715a)に当接するように構成された化粧部材(702)の縁部(702a)を備えていることを特徴とする眼鏡。
【請求項15】
請求項14に記載の眼鏡において、化粧部材(702)がテンプル(701)の開口部(715)に対応するドーム型の形状を有し、該ドーム型形状にドーム型部分(702b)を開口部(715)に係止するための縁部(702a)が設けられていることを特徴とする眼鏡。
【請求項1】
幅広のテンプルを有する眼鏡であって、少なくとも一方のテンプルが装飾的化粧部材を受容する開口部を有する眼鏡において、
テンプル(1)の内面(1A)が、開口部(15)に隣接する固定要素(16,17,18)と、少なくとも部分的にテンプル(1)の開口部(15)と等しい形状を有する装飾的化粧部材(2)とを備えており、前記化粧部材(2)が固定要素(16,17,18)と相補的な固定装置(26,27,28)を備えることにより、化粧部材(1)を着脱自在にテンプル(2)に固定すると共に、テンプルの開口部をその内面から少なくとも部分的に塞ぐように構成されていることを特徴とする眼鏡。
【請求項2】
請求項1に記載の眼鏡において、前記開口部(15)は細長い形状であり、前記化粧部材(2)もまた細長い形状であり、具体的には開口部(115,315)が三角形または台形の形状であり、化粧部材(102,302)も三角形または台形の形状であることを特徴とする眼鏡。
【請求項3】
請求項1に記載の眼鏡において、前記化粧部材の輪郭(102C,102D)がテンプル(101)の上縁および下縁(101C,101D)に到達していることを特徴とする眼鏡。
【請求項4】
請求項1に記載の眼鏡において、前記幅広のテンプル(1)が複数の開口部と、前記開口部の少なくとも1つと関連して、開口部を少なくとも部分的に被覆するように構成された化粧部材を受容する固定要素とを有することを特徴とする眼鏡。
【請求項5】
請求項1に記載の眼鏡において、前記テンプル(1)の固定要素(16,17,18)および前記化粧部材(2)の固定装置(26,27,28)が挟止手段であることを特徴とする眼鏡。
【請求項6】
請求項1に記載の眼鏡において、
前記固定要素(416,417)が、後部の着座部(418)と、蝶番(413)と同じ側のテンプル(401)前方の2つの湾曲した突起部であって、テンプルの後方(411)に向けられている突起部とによって形成され、
前記固定装置は、テンプルの着座部に長手方向に係合する舌片(428)と、後方に向かって湾曲している前記突起部(416,417)の下に滑り込む化粧部材の前方縁部(422)とによって形成されている、ことを特徴とする眼鏡。
【請求項7】
請求項1に記載の眼鏡において、
前記テンプル(501)の内面に、開口部(515)の両側で軸(x′x′)上に配列して設けられた2つの軸受(516,518)の形を取る固定要素と、前記2つの軸受の軸(xx)上に位置せず、開口部(515)に隣接して設けられる挟止要素(517)とを備えており、
前記化粧部材(502)が該化粧部材の両端で軸(x′x′)上に配列して設けられた2つの軸ピン(526,528)によって形成される固定装置と、第3の固定点を形成して前記テンプル(501)の挟止要素(517)と協働する挟止装置(527)とを備えている、ことを特徴とする眼鏡。
【請求項8】
請求項7に記載の眼鏡において、
前記軸ピン(526,528)の一方(526)が突起部(532)によって支持されており、該突起部(532)は化粧部材(502)の本体(530)から取り外されたときに弾性リンクを形成する材料片(533)によって連結されたままとなることにより、前記2つの軸ピン(526,528)を圧縮して2つの軸ピン(526,528)を相互に接近させ、前記テンプル(501)の2つの軸受(516,518)に係合させることができるように構成されており、
化粧部材(502)の装着が、可撓性突起部(532)の軸ピン(526)をその軸受(516)内に導入した後、該可撓性突起部(532)を圧縮して他方の軸ピン(528)をその軸受(518)内に導入し、最後に化粧部材(502)を2つの軸ピン(526,528)と2つの軸受(516,518)によって形成される軸(xx)を中心として旋回せしめることにより化粧部材(502)の挟止装置(527)をテンプル(501)の挟止要素(517)に挟止して該化粧部材(502)の組み付け位置を画定することによって行われることを特徴とする眼鏡。
【請求項9】
請求項8に記載の眼鏡において、眼鏡のテンプル(501)がその蝶番(513)の近くに軸ピン(516)と挟止要素(517)とを備えており、化粧部材(502)の軸ピンの一方(526)を支持する前記可撓性突起部(532)は化粧部材の挟止装置(527)も支持しており、化粧部材の他端部が第2の軸ピン(528)を有していることを特徴とする眼鏡。
【請求項10】
請求項9に記載の眼鏡において、前記テンプル(501)の軸受(516)と挟止要素(517)とが一体に形成されていることを特徴とする眼鏡。
【請求項11】
請求項8に記載の眼鏡において、前記2つの軸ピン(526,528)と挟止装置(527)とが、化粧部材を形成する材料の帯状片の一部で形成されていることを特徴とする眼鏡。
【請求項12】
請求項1に記載の眼鏡において、前記固定要素の少なくとも1つがテンプル(601)の裏面(601A)のガセット(616)であり、化粧部材(602)の一方の端部に設けられた前記固定装置(626,627)の少なくとも1つが2つの突起部(626,627)によって形成されており、該突起部は長手方向(A)の圧縮によりガセット(616)内で弾性変形して、化粧部材(602)の他端部にある他方の固定装置をテンプル(601)の対応する固定要素内に導入されるように構成されていることを特徴とする眼鏡。
【請求項13】
請求項12に記載の眼鏡において、眼鏡テンプル(601)がその裏面(601A)にガセット(616)の形状をとる2つの固定要素を備え、化粧部材(602)の2つの固定装置は各々が長手方向の圧縮により弾性変形可能な2つの突起部(626,627)によって形成されていることを特徴とする眼鏡。
【請求項14】
幅広のテンプルを有する眼鏡であって、少なくとも一方のテンプル(701)が装飾的化粧部材(702)を受容する開口部(715)を有する眼鏡において、該眼鏡が、
テンプル(701)の内面側において開口に隣接する内のり(515a)と、
各々が内面側において、せん断縁の中で開口部に接して開口部に隣接する内のり(715a)の内側と同じ高さになるように設けられた着座部によって形成される固定要素(716,717)とを備え、
前記2つの着座部(716,717)は、着座部の一方がテンプルの前方に、他方がテンプルと後方に、と相互に対向して配設されており、少なくとも一方の着座部(717)がバネ(719)を装填されたピストン(718)を含み、他方は自由であり、
該眼鏡がさらに、各々が縁部(702a)を延長した突起部の形状を取る化粧部材(702)の固定装置(726,727)を備えており、該固定装置はそれぞれ開口部(715)の相補的な着座部(716,717)に滑り込むように形成されており、前記突起の1つ(727)がピストン(718)を備えた着座部に係合することにより、他方の突起部(726)が他方の着座部(716)に対向するところまでピストンをバネ(719)の作用に抗して押し戻し、ピストン(718)のバネ(719)の作用方向と反対の方向に化粧部材に加えられる推力を解放し、化粧部材(702)全体を押し戻すことにより、第2の突起部(726)がその着座部(716)に導入されてテンプル(701)に対して化粧部材を固定するように構成されており、
該眼鏡がさらに、開口部(715)の内側を介して内のり(715a)に当接するように構成された化粧部材(702)の縁部(702a)を備えていることを特徴とする眼鏡。
【請求項15】
請求項14に記載の眼鏡において、化粧部材(702)がテンプル(701)の開口部(715)に対応するドーム型の形状を有し、該ドーム型形状にドーム型部分(702b)を開口部(715)に係止するための縁部(702a)が設けられていることを特徴とする眼鏡。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【公表番号】特表2010−518421(P2010−518421A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547731(P2009−547731)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【国際出願番号】PCT/FR2008/050024
【国際公開番号】WO2008/107574
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(509043548)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【国際出願番号】PCT/FR2008/050024
【国際公開番号】WO2008/107574
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(509043548)
【Fターム(参考)】
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