説明

テープカセット

【課題】テープ印字装置による印字に用いられるテープカセットに関し、特に、印字テープの粘着剤層に貼着された剥離紙の剥離、回収可能としつつ、当該テープカセットの大型化を抑制し得るテープカセットを提供する。
【解決手段】テープカセット50は、カセット装着部8に装着されて印字に用いられる。印字テープ60の印字面61に印字がされた後、両面粘着テープ70は印字面61に貼着される。そして、テープカセット50の剥離ローラ55は、印字テープ60、両面粘着テープ70が貼り合わされたテープの第1粘着剤層72から剥離紙80を剥離する。剥離された剥離紙80は、テープカセット50の剥離紙回収スプール56に巻回されて回収される。そして、剥離紙回収スプール56は、テープカセット50内の印字テープスプール51、両面粘着テープスプール54の間において、第1重複領域200、第2重複領域250を生じる位置に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ印字装置における印字に使用される印字テープを有するテープカセットに関し、特に、印字テープに貼着された剥離紙について適切な処理を行い得るテープカセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テープ印字装置においては、印字テープを収納したテープカセットが用いられている。このテープカセットに収納される印字テープの一つとして、一面側に所望の印字が施される印字面を有し、他面側に粘着剤層を有する印字テープが存在する。
【0003】
このような印字テープは、前記粘着剤層を利用して、ユーザ所望の部分に貼着可能なラベルの作成に用いられる。そして、このような印字テープにおいて、前記粘着剤層の保護及び印字テープの円滑な搬送を実現するため、剥離紙が当該粘着剤層に貼着されている。
【0004】
上述のようなテープカセットを用いたテープ印字装置として、特許文献1記載のテープ印字装置が知られている。この特許文献1記載のテープ印字装置では、印字テープを収納したテープカセットが使用される。そして、当該テープカセットの印字テープは、印字面と、粘着剤層を有している。更に、粘着剤層には、剥離紙が貼着されている。この点、特許文献1記載のテープ印字装置においては、当該印字テープを用いて作成されたラベルは、粘着剤層に剥離紙が貼着された状態で、テープ印字装置外部に排出される。従って、ユーザは、当該ラベルをすぐに使用したい場合であっても、ユーザ自身の手で剥離紙を剥離する必要があった。
【0005】
又、粘着剤層を有するラベルの作成に用いられるラベルプリンタとして、特許文献2記載のラベルプリンタが知られている。このラベルプリンタは、装置本体に収納されたラベル用紙に対して所望の印字を行うことで、ユーザ所望のラベルを作成する。この特許文献2記載のラベル用紙は、粘着剤層に対して剥離紙が貼着されており、ロール状に巻回されてセットされている。そして、特許文献2記載のラベルプリンタは、作成したラベルを排出する際に、当該剥離紙をはがし、粘着剤層を露呈させた状態で排出する。従って、特許文献2記載のラベルプリンタによれば、ユーザは、剥離紙をはがすことなく、作成されたラベルを使用し得る。
【特許文献1】特開平07−068814号公報
【特許文献2】特開平08−253219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2記載のラベルプリンタは、テープカセットを収納する態様ではなく、ロール状に巻回されたラベル用紙を装置内部に直接取り付ける態様である。従って、特許文献2記載のラベルプリンタは、ラベル用紙から剥離紙を剥離する機構(以下、剥離機構という)が大型であっても、当該剥離機構を装置内部に収納し得る。
【0007】
この点、特許文献1記載のテープ印字装置のように、テープカセットを用いる構成の場合、装置自体も小型であり、装置内部におけるスペースも狭い。即ち、特許文献2記載の剥離機構は、テープカセットを用いる構成のテープ印字装置に搭載することはできない。従って、テープカセットを用いる構成のテープ印字装置では、ユーザは、直ぐにラベルを使用する場合であっても、剥離紙をはがす作業を行わなければならない。又、ラベル使用時に剥離した剥離紙は既に不要となっているため、ユーザは、剥離した剥離紙を廃棄する必要があった。
【0008】
これらの問題点に鑑みれば、テープカセット方式のテープ印字装置においても、装置内部において、剥離紙の剥離及び剥離した剥離紙の回収を行う必要がある。テープカセット方式のテープ印字装置の構成上、剥離紙の剥離及び回収は、テープカセット内部で行われることが望ましい。この点、剥離紙の剥離及び回収を行う機構を単純にテープカセットに搭載すると、その分だけテープカセット及びテープ印字装置自体の大型化を招いてしまう。
【0009】
本発明は、前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、テープ印字装置による印字に用いられるテープカセットに関し、特に、印字テープの粘着剤層に貼着された剥離紙の剥離、回収可能としつつ、当該テープカセットの大型化を抑制し得るテープカセットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために成された請求項1に係るテープカセットは、テープ印字装置に形成されたカセット装着部に装着されるテープカセットであって、前記テープ印字装置の印字手段により印字される印字面を有する印字テープが巻回される印字テープスプールと、テープ状の剥離紙が貼着された第1粘着剤層を一方の面に有し、前記印字テープの印字面に貼着される第2粘着剤層を他方の面に備える両面粘着テープが巻回される両面粘着テープスプールと、前記テープ印字装置による印字に際し、前記第2粘着剤層を介して前記印字テープの印字面に貼着された両面粘着テープの第1粘着剤層から、前記剥離紙を剥離する剥離手段と、前記印字テープスプールと、前記両面粘着テープスプールの間に配設され、前記剥離手段により剥離された剥離紙が巻回される剥離紙回収スプールと、を備え、前記剥離紙回収スプールに巻回された剥離紙は、前記剥離紙回収スプールに最も多くの剥離紙が巻回された場合、前記印字テープスプールに最も多く巻回された印字テープが占有する印字テープ占有領域の一部を占有することを特徴とする。
【0011】
そして、請求項2記載のテープカセットは、テープ印字装置に形成されたカセット装着部に装着されるテープカセットであって、前記テープ印字装置の印字手段により印字される印字面を有する印字テープが巻回される印字テープスプールと、テープ状の剥離紙が貼着された第1粘着剤層を一方の面に有し、前記印字テープの印字面に貼着される第2粘着剤層を他方の面に備える両面粘着テープが巻回される両面粘着テープスプールと、前記テープ印字装置による印字に際し、前記第2粘着剤層を介して前記印字テープの印字面に貼着された両面粘着テープの第1粘着剤層から、前記剥離紙を剥離する剥離手段と、前記印字テープスプールと、前記両面粘着テープスプールの間に配設され、前記剥離手段により剥離された剥離紙が巻回される剥離紙回収スプールと、を備え、前記剥離紙回収スプールに巻回された剥離紙は、前記剥離紙回収スプールに最も多くの剥離紙が巻回された場合、前記両面粘着テープスプールに最も多く巻回された両面粘着テープが占有する両面粘着テープ占有領域の一部を占有することを特徴とする。
【0012】
又、請求項3記載のテープカセットは、テープ印字装置に形成されたカセット装着部に装着されるテープカセットであって、前記テープ印字装置の印字手段により印字される印字面を有する印字テープが巻回される印字テープスプールと、テープ状の剥離紙が貼着された第1粘着剤層を一方の面に有し、前記印字テープの印字面に貼着される第2粘着剤層を他方の面に備える両面粘着テープが巻回される両面粘着テープスプールと、前記テープ印字装置による印字に際し、前記第2粘着剤層を介して前記印字テープの印字面に貼着された両面粘着テープの第1粘着剤層から、前記剥離紙を剥離する剥離手段と、前記印字テープスプールと、前記両面粘着テープスプールの間に配設され、前記剥離手段により剥離された剥離紙が巻回される剥離紙回収スプールと、を備え、前記剥離紙回収スプールに巻回された剥離紙は、前記剥離紙回収スプールに最も多くの剥離紙が巻回された場合、前記印字テープスプールに最も多く巻回された印字テープが占有する印字テープ占有領域の一部と、前記両面粘着テープスプールに最も多く巻回された両面粘着テープが占有する両面粘着テープ占有領域の一部と、を占有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載のテープカセットは、テープ印字装置に形成されたカセット装着部に装着され、テープ印字装置による印字に用いられる。印字に際し、印字テープは、印字テープスプールから引き出される。当該印字テープの印字面には、テープ印字装置の印字手段により、印字が施される。又、両面粘着テープは、剥離紙が貼着された第1粘着剤層と、第2粘着剤層を有し、両面粘着テープスプールに巻回されている。そして、当該両面粘着テープも、印字に際し、両面粘着テープスプールから引き出される。そして、引き出された両面粘着テープは、印字が施された印字テープの印字面に、第2粘着剤層を介して貼着される。その後、印字テープと両面粘着テープが貼り合わされたテープは剥離部材に至る。当該テープに貼着されている剥離紙は、当該剥離部材により、第2粘着剤層から剥がされる。これにより、ユーザは、自ら剥離紙をはがす作業を行うことなく、作成されたラベルを使用できる。又、剥がされた剥離紙は、印字テープスプールと両面粘着テープスプールとの間に配設された剥離紙回収スプールに巻回される。この結果、ユーザは、テープから剥がした剥離紙を廃棄する作業を行うことなく、作成されたラベルを使用できる。
【0014】
又、請求項1記載のテープカセットによれば、印字テープスプールに巻回された印字テープ及び両面粘着テープスプールに巻回された両面粘着テープは、テープ印字装置による印字に用いられる。従って、印字テープスプールにおける印字テープの巻回量及び両面粘着テープにおける両面粘着テープの巻回量は、テープ印字装置による印字が行われる度に減少していく。即ち、当該テープカセットを使用開始時が、最も多く印字テープ及び両面粘着テープを印字テープスプール及び両面粘着テープに巻回されている状態となる。一方、剥離紙回収スプールには、両面粘着テープから剥離された剥離紙が、テープ印字装置による印字が行われる度に巻回される。即ち、剥離紙回収スプールにおける剥離紙の巻回量は、テープ印字装置による印字が行われる度に増加する。つまり、当該テープカセットの使用終了時が、剥離紙回収テープスプールに最も多くの剥離紙が巻回された状態となる。そして、請求項1記載のテープカセットにおいて、剥離紙回収スプールに巻回された剥離紙は、最も多く剥離紙回収スプールに巻回された場合に、テープカセット使用開始時において印字テープが配置されていた領域の一部を利用する。従って、当該テープカセットは、この領域の一部を剥離紙及び印字テープが共通して利用することで、テープカセットの大型化を抑制することができ、もって、テープ印字装置の大型化の抑制に貢献し得る。
【0015】
請求項2記載のテープカセットは、請求項1記載のテープカセットと同様に、テープ印字装置による印字に用いられる。そして、請求項1と同様に、印字テープと両面粘着テープが貼り合わされたテープは剥離部材に至る。当該テープに貼着されている剥離紙は、当該剥離部材により、第2粘着剤層から剥がされる。これにより、ユーザは、自ら剥離紙をはがす作業を行うことなく、作成されたラベルを使用できる。又、剥がされた剥離紙は、印字テープスプールと両面粘着テープスプールとの間に配設された剥離紙回収スプールに巻回される。この結果、ユーザは、テープから剥がした剥離紙を廃棄する作業を行うことなく、作成されたラベルを使用できる。
【0016】
又、請求項2記載のテープカセットによれば、剥離紙回収スプールに巻回された剥離紙は、最も多く剥離紙回収スプールに巻回された場合に、テープカセット使用開始時において両面粘着テープが配置されていた領域の一部を利用する。従って、当該テープカセットは、この領域の一部を剥離紙及び印字テープが共通して利用することで、テープカセットの大型化を抑制することができ、もって、テープ印字装置の大型化の抑制に貢献し得る。
【0017】
請求項3記載のテープカセットは、請求項1、請求項2記載のテープカセットと同様に、テープ印字装置による印字に用いられる。そして、請求項1、請求項2と同様に、印字テープと両面粘着テープが貼り合わされたテープは剥離部材に至る。当該テープに貼着されている剥離紙は、当該剥離部材により、第2粘着剤層から剥がされる。これにより、ユーザは、自ら剥離紙をはがす作業を行うことなく、作成されたラベルを使用できる。又、剥がされた剥離紙は、印字テープスプールと両面粘着テープスプールとの間に配設された剥離紙回収スプールに巻回される。この結果、ユーザは、テープから剥がした剥離紙を廃棄する作業を行うことなく、作成されたラベルを使用できる。
【0018】
又、請求項3記載のテープカセットによれば、剥離紙回収スプールに巻回された剥離紙は、最も多く剥離紙回収スプールに巻回された場合に、テープカセット使用開始時において印字テープが配置されていた領域の一部と、テープカセット使用開始時において両面粘着テープが配置されていた領域の一部の両方を利用する。従って、当該テープカセットは、この2つの領域の一部を共通して利用することで、テープカセットの大型化を抑制することができ、もって、テープ印字装置の大型化の抑制に貢献し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係るテープカセットを具体化した実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
先ず、本実施形態に係るテープカセット50が用いられるテープ印字装置1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1、図2は、テープ印字装置1の外観に関する説明図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るテープ印字装置1は、キーボード6と、液晶ディスプレイ7と、カセット装着部8と、を備えている。
キーボード6は、複数の操作キーを備えている。具体的には、キーボード6は、文字入力キー2と、印字キー3、リターンキー4、カーソルキー5と、を備えている。文字入力キー2は、文書データからなるテキストを作成する際に操作される。印字キー3は、テキスト等の印字を指令する際に操作される。そして、リターンキー4は、改行指令や各種処理の実行、選択を指令する際に操作される。そして、カーソルキー5は、液晶ディスプレイ7上に表示されたカーソルを上下、左右に移動させる際に操作される。
【0021】
そして、液晶ディスプレイ7は、キーボード6等の操作に基づいて、種々の表示を行う表示装置である。例えば、文字入力キー2が操作された場合、液晶ディスプレイ7は、当該入力操作に基づいて、文字等のキャラクタを複数行に渡って表示する。
そして、カセット装着部8は、後述するテープカセット50が装着される部分である。当該カセット装着部8は、開閉自在な収納カバー13によって覆われている。尚、カセット装着部8の構成については、後に詳細に説明する。
【0022】
又、キーボード6の下方には、制御基板12が配設されている。この制御基板12は、テープ印字装置1全体の制御を司る制御回路部を構成する。そして、カセット装着部8の左側面部には、ラベル排出口16が形成されている。このラベル排出口16は、テープ印字装置1によって印字が施されたテープを排出する。一方、カセット装着部8の右側面部には、アダプタ挿入口17と、コネクタ18が設けられている(図2参照)。アダプタ挿入口17には、電源アダプタが取り付けられる。そして、コネクタ18には、外部装置(例えば、パーソナルコンピュータ)と接続する際に、USBケーブルが取り付けられる。
【0023】
次に、テープ印字装置1に形成されたカセット装着部8の構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図3は、カセット装着部8の構成に関する説明図である。上述したように、カセット装着部8は、テープ印字装置1の本体側に形成されており、収納カバー13によって覆われている。そして、当該カセット装着部8は、後述するテープカセット50の外形に応じた凹状に形成されている。
【0024】
図3に示すように、カセット装着部8は、サーマルヘッド9と、プラテンローラ10と、テープサブローラ11と、を備えている。サーマルヘッド9は、正面視略縦長四角形の平板状に形成されている。そして、当該サーマルヘッド9は、複数個の発熱素子(例えば、128個又は256個)を備えている。サーマルヘッド9における複数個の発熱素子は、後述するテープカセット50に収納されている印字テープ60の幅方向に沿って一列に列設されている。又、サーマルヘッド9の各発熱素子は、制御基板12の制御回路部により、個別に通電制御される。
尚、テープ印字装置1において、制御回路部は、印字データに基づく当該サーマルヘッド9の制御により、印字面61に対して鏡像印字を行う(図5〜図8参照)。
【0025】
そして、プラテンローラ10は、サーマルヘッド9に列設された各発熱素子に対向する位置に配設されている。そして、当該テープ印字装置1において、印字テープ60は、サーマルヘッド9とプラテンローラ10の間を通過する(図4等参照)。そして、当該プラテンローラ10は、後述するテープサブローラ11と共に、ローラユニットを構成する。このローラユニットは、一端部において、プラテンローラ10、テープサブローラ11を回転可能に軸支しており、他端部において、ローラユニット全体を揺動可能に配設されている。従って、当該ローラユニットの揺動により、プラテンローラ10が所定方向(即ち、サーマルヘッド9方向)に揺動した場合、プラテンローラ10は、印字テープ60及びインクリボン90を介して、サーマルヘッド9の各発熱素子に接触する。このとき、印字テープ60の印字面61(図4、図5等参照)は、サーマルヘッド9の発熱素子と対向する。又、当該プラテンローラ10は、制御回路部による駆動モータ(図示せず)の制御に応じて回転駆動する。従って、テープ印字装置1は、印字テープ60の印字面61にインクリボン90のインクを転写可能であり、当該印字面61にユーザ所望の印字を施し得る。
【0026】
テープサブローラ11は、上述したローラユニットに対して回転可能に軸支されている。そして、当該ローラユニットが所定方向に揺動した場合、テープサブローラ11は、テープカセット50の剥離ローラ55に接触するように配設されている。このテープサブローラ11は、後述する剥離ローラ55と協働することにより、印字面61に対する両面粘着テープ70の貼着及び剥離紙80の剥離に用いられる。この点については、後に詳細に説明する。
【0027】
又、カセット装着部8は、剥離紙回収駆動軸21と、インクリボン巻取軸22と、剥離ローラ駆動軸23と、ガイドピン24と、を備えている。剥離紙回収駆動軸21、インクリボン巻取軸22、剥離ローラ駆動軸23は、制御基板12上の制御回路部による制御に基づいて回転駆動する駆動軸である。そして、剥離紙回収駆動軸21、インクリボン巻取軸22、剥離ローラ駆動軸23、ガイドピン24は、カセット装着部8の底面に対して、鉛直に立設されている。
【0028】
そして、剥離紙回収駆動軸21は、テープカセット50内部に配設されている剥離紙回収スプール56に挿通され、剥離紙回収スプール56と係合する。従って、剥離紙回収駆動軸21は、その駆動により、剥離紙回収スプール56を回転させる。これにより、後述する両面粘着テープ70から剥離された剥離紙80は、剥離紙回収スプール56に巻回される。
又、インクリボン巻取軸22は、テープカセット50内部に配設されているインクリボン巻取スプール53に挿通され、インクリボン巻取スプールと係合する。従って、インクリボン巻取軸22は、その駆動によりインクリボン巻取スプール53を回転させる。この結果、テープ印字装置1による印字に用いられたインクリボン90は、インクリボン巻取スプール53に巻き取られる。
【0029】
そして、剥離ローラ駆動軸23は、テープカセット50に配設されている剥離ローラ55と係合する。従って、剥離ローラ駆動軸23は、その駆動により剥離ローラ55を回転駆動させる。この結果、剥離ローラ55は、テープサブローラ11との協働により、印字テープ60の印字面61に対する両面粘着テープ70の貼着、剥離紙80の剥離及びテープの搬送を行い得る。
【0030】
又、ガイドピン24は、カセット装着部8に複数本(本実施形態においては、カセット装着部8の対角線上に2本)立設されている。そして、当該ガイドピン24は、夫々、テープカセット50に形成されているガイド孔(図示せず)に挿入される。従って、ガイドピン24とガイド孔の協働により、テープカセット50は、カセット装着部8の所定位置に位置決めされる。
【0031】
そして、カセット装着部8のテープ搬送方向下流側(図4中、左方向)には、カッターユニット30が配設されている(図4等参照)。カッターユニット30は、可動刃と、固定刃を有している。当該可動刃は、テープ印字装置1に配設された切断用モータ(図示せず)の駆動により、固定刃方向に移動するように構成されている。そして、印字が施されたテープは、当該可動刃と固定刃の間を搬送される。従って、カッターユニット30は、可動刃を移動させることで、印字が施されたテープを切断し、ラベルを生成し得る。
【0032】
又、カッターユニット30の更にテープ搬送方向下流側には、ラベル排出口16が形成されている(図1、図2参照)。従って、カッターユニット30によって切断されたテープ(即ち、ラベル)は、当該ラベル排出口16からテープ印字装置1外部に排出される。
【0033】
続いて、本実施形態に係るテープカセット50の構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図4は、未使用のテープカセット50をカセット装着部8に装着した状態を示す説明図である。又、図9は、カセット装着部8に装着したテープカセット50の使用を完了した状態を示す説明図である。
【0034】
図4等に示すように、本実施形態に係るテープカセット50は、カセットケース内部に、印字テープスプール51、インクリボンスプール52、インクリボン巻取スプール53、両面粘着テープスプール54、剥離ローラ55、剥離紙回収スプール56、ガイドローラ57A、ガイドローラ57B、保持ローラ58を備えている。
【0035】
印字テープスプール51は、テープカセット50内部において回転可能に配設されている。この印字テープスプール51には、未使用の印字テープ60が巻回されている。従って、テープ印字装置1で印字を行う場合、印字テープ60は、当該印字テープスプール51から引き出される。そして、印字テープ60は、透過性を有するフィルムテープにより構成され、印字面61と、テープ表面62を有している(図5参照)。印字面61は、テープ印字装置1の印字に際し、サーマルヘッド9等により所望の印字データの鏡像が印字される面である。そして、テープ表面62は、テープ印字装置1により作成されたラベルの表面を構成する面である。従って、図5に示すように、印字面61に印字された鏡像印字は、テープ表面62側から視認することで、正像として認識され得る。尚、この印字テープスプール51において、印字テープ60は、印字面61が内側、テープ表面62が外側に面するように巻回されている。
【0036】
インクリボンスプール52は、未使用のインクリボン90を巻回している。インクリボン90は、印字テープ60の印字面61に対して転写されるインクを含むリボンテープである。そして、当該インクリボン90は、インクリボンスプール52から、印字テープ60の印字面61と、サーマルヘッド9の間を通過し、インクリボン巻取スプール53に至るように構成されている(図4等参照)。
【0037】
そして、インクリボン巻取スプール53は、印字テープ60の印字面61に対する印字に用いられたインクリボン90を巻回して回収する。上述したように、当該インクリボン巻取スプール53は、カセット装着部8に配設されているインクリボン巻取軸22に挿通される。従って、インクリボン巻取スプール53は、制御回路部によるインクリボン巻取軸22の駆動制御により回転する。従って、このインクリボン巻取軸22の駆動に伴い、インクリボン90は、インクリボンスプール52から引き出され、サーマルヘッド9等による印字に用いられる。その後、当該インクリボン90は、インクリボン巻取スプール53に巻回され、回収される。
【0038】
両面粘着テープスプール54は、両面粘着テープ70を巻回している。この両面粘着テープ70は、基材テープ71と、第1粘着剤層72と、第2粘着剤層73と、剥離紙80により構成されている(図6参照)。基材テープ71は、テープ印字装置1で作成されるラベルの基材を構成するテープである。当該基材テープ71は、一面側に第1粘着剤層72を有し、他面側に第2粘着剤層73を有している。第1粘着剤層72は、テープ状に形成された剥離紙80を粘着保持する粘着剤により構成される。即ち、両面粘着テープ70には、テープ状の剥離紙80が、第1粘着剤層72を介して貼着されている(図6参照)。そして、第2粘着剤層73は、第1粘着剤層72と同様に、粘着剤により構成される。後述するように、両面粘着テープ70は、第2粘着剤層73を介して、印字テープ60の印字面61に貼着される。即ち、第2粘着剤層73は、印字テープ60を粘着保持する。尚、この両面粘着テープ70は、剥離紙80及び第1粘着剤層72が外側、第2粘着剤層73が内側に面するように、両面粘着テープスプール54に巻回されている。
【0039】
剥離ローラ55は、テープサブローラ11に対向する位置に回動可能に軸支されている。そして、当該剥離ローラ55には、剥離ローラ駆動軸23が挿通される。従って、剥離ローラ55は、剥離ローラ駆動軸23の回転駆動に伴い回転駆動する。剥離ローラ55は、その回転駆動により、テープサブローラ11と協働して、印字テープ60に対する両面粘着テープスプール54の貼着、剥離紙80の剥離及び、テープの搬送を行う。これらに関する動作については、後に詳細に説明する。
【0040】
そして、剥離紙回収スプール56は、テープカセット50内部において、印字テープスプール51と、両面粘着テープスプール54との間に、回転可能に配設されている。そして、当該剥離紙回収スプール56は、印字テープ60に貼着された両面粘着テープ70から剥離された剥離紙80を巻回して回収する(図9参照)。この剥離紙回収スプール56には、上述した剥離紙回収駆動軸21が挿通される。そして、当該剥離紙回収スプール56は、剥離紙回収駆動軸21と係合する。従って、制御回路部による剥離紙回収駆動軸21の駆動制御に基づいて、剥離紙回収スプール56は回転する。これにより、剥離紙回収スプール56には、印字テープ60から剥離された剥離紙80が巻回される(図4、図9参照)。又、剥離紙回収スプール56の回転に連動して、両面粘着テープ70は、両面粘着テープスプール54から引き出される。
【0041】
ガイドローラ57A、ガイドローラ57Bは、テープカセット50内部の所定箇所に回転自在に軸支されている。ガイドローラ57Aは、それぞれ、印字テープ60、インクリボン90と接触し、これらの搬送移動に伴い回転する。即ち、ガイドローラ57Aは、印字テープ60、インクリボン90の搬送方向を変更しつつ、これらの円滑な移動を実現している。又、ガイドローラ57Bは、剥離紙80と接触し、剥離紙80の搬送移動に伴い回転する。即ち、ガイドローラ57Bは、剥離紙80の搬送方向を変更しつつ、剥離紙回収スプール56へ案内する。
【0042】
又、保持ローラ58は、テープカセット50の本体ケースに対して、回転可能に軸支されている(図4参照)。この保持ローラ58は、剥離ローラ55よりもテープ搬送方向下流側に配設されている。剥離ローラ55により剥離紙80が剥離された第1粘着剤層72に接触しつつ、テープ搬送方向下流側へテープを案内する。そして、当該保持ローラ58は、第1粘着剤層72と接触する面(以下、接触面)に、シリコーン樹脂被膜を有している。シリコーン樹脂は、その特性として、当該シリコーン樹脂と粘着物(例えば、第1粘着剤層72)との間の粘着力を小さくする特性(以下、非粘着性という)を有している。従って、当該保持ローラ58は、第1粘着剤層72と保持ローラ58の接触面との間の粘着力を小さくすることができる。この結果、保持ローラ58は、剥離紙80をはがし、第1粘着剤層72を露呈したことに起因する搬送障害(例えば、保持ローラ58近傍におけるテープのジャム)を、確実に防止しつつ、所望の印字が施されたテープを搬送し得る。
【0043】
尚、テープカセット50内部における印字テープスプール51、両面粘着テープスプール54、剥離紙回収スプール56の詳細な位置関係については、後に詳細に説明する。従って、印字テープスプール51等の位置関係に関するここでの詳細な説明は省略する。
【0044】
続いて、テープカセット50をカセット装着部8に装着した場合におけるラベルの作成動作について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
この場合、ユーザ所望の印字データ及び印字キー3の入力がなされると、制御回路部は、プラテンローラ10等を駆動制御し、印字テープスプール51から印字テープ60を引き出す。そして、制御回路部は、入力された印字データに基づいて、サーマルヘッド9の各発熱素子の通電制御をおこなう。このとき、制御回路部は、インクリボン巻取軸22を駆動し、インクリボンスプール52からインクリボン90を引き出す。
【0045】
引き出された印字テープ60及びインクリボン90は、サーマルヘッド9とプラテンローラ10の間に位置する。このとき、インクリボン90は、サーマルヘッド9と印字テープ60の印字面61の間に位置する。従って、プラテンローラ10により、インクリボン90及び印字テープ60をサーマルヘッド9に押圧すると、インクリボン90のインクは、サーマルヘッド9の発熱により、印字テープ60の印字面61に転写される。これにより、印字テープ60の印字面61には、ユーザ所望の印字データの鏡像が印字される(図5参照)。
【0046】
サーマルヘッド9等により印字面61に印字が施された印字テープ60は、更に搬送され、剥離ローラ55とテープサブローラ11の間に至る。この際、制御回路部は、剥離紙回収駆動軸21を駆動制御し、両面粘着テープスプール54から両面粘着テープ70を引き出す。引き出された両面粘着テープ70は、第2粘着剤層73が印字テープ60の印字面61に面する状態で、剥離ローラ55とテープサブローラ11との間に至る。従って、剥離ローラ55とテープサブローラ11の協働により、両面粘着テープ70は、第2粘着剤層73を介して、印字テープ60の印字面61に貼着される(図7参照)。つまり、この時点で、テープ印字装置1は、印字面61に印字された印字内容を印字テープ60で保護したラミネート印字を完了する。
【0047】
両面粘着テープ70の貼着が行われる際、両面粘着テープ70に貼着された剥離紙80は、剥離ローラ55と接触している。従って、テープサブローラ11と剥離ローラ55との協働により、剥離紙80は、第1粘着剤層72から剥離される(図8参照)。従って、この時点で、テープ印字装置1は、印字テープ60と両面粘着テープ70が貼り合わされたテープから、剥離紙80を取り除き、第1粘着剤層72を露呈し得る。
【0048】
その後、剥離紙80の剥離が行われたテープは、カッターユニット30、ラベル排出口16に向かって搬送される。この時、当該テープは保持ローラ58に接触するので、テープ印字装置1は、剥離紙80を剥がしたことに起因する搬送障害を起こすことなく、当該テープを搬送し得る。そして、制御回路部は、ユーザ所望のタイミングでカッターユニット30を作動させる。これにより、ユーザ所望のラミネート印字が施され、且つ、剥離紙80が剥離されたラベルが、ラベル排出口16から排出される。従って、ユーザは、剥離紙80を自らはがすことなく、当該ラベルを任意の場所に貼着して使用し得る。
【0049】
一方、第1粘着剤層72から剥離された剥離紙80は、剥離ローラ55から、ガイドローラ57Bを介して、剥離紙回収スプール56に向かう。即ち、制御回路部による剥離紙回収駆動軸21の駆動制御に基づいて、当該剥離紙80は、剥離紙回収スプール56に巻回される。つまり、不要となった剥離紙80は、テープカセット50内部に収納される。従って、当該テープカセット50によれば、ユーザは、剥離紙80を廃棄する作業を行うことなく、直ぐにテープ印字装置で作成されたラベルを使用できる。
【0050】
続いて、本実施形態に係るテープカセット50における印字テープスプール51、両面粘着テープスプール54、剥離紙回収スプール56の位置関係について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図10は、印字テープスプール51、両面粘着テープスプール54、剥離紙回収スプール56の位置関係に関する説明図である。
【0051】
上述したように、本実施形態に係るテープカセット50において、印字テープスプール51に巻回されている印字テープ60は、テープ印字装置1による印字が行われる度に引き出される。従って、テープカセット50の使用開始時において、最も多くの印字テープ60が印字テープスプール51に巻回されている(図4参照)。
ここで、以下の説明においては、テープカセット50の使用開始時点において、印字テープスプール51に巻回されている印字テープ60が占有する領域を「印字テープ占有領域100」という。又、この印字テープ占有領域100の半径を「印字テープ巻回半径S」という。
【0052】
印字テープ60と同様に、両面粘着テープ70は、テープ印字装置1による印字が行われる度に、両面粘着テープスプール54から引き出される。従って、テープカセット50の使用開始時において、最も多くの両面粘着テープ70が両面粘着テープスプール54に巻回されている(図4参照)。
以下の説明において、テープカセット50の使用開始時点において、両面粘着テープスプール54に巻回されている両面粘着テープ70が占有する領域を「両面粘着テープ占有領域150」という。又、この両面粘着テープ占有領域150の半径を「両面粘着テープ巻回半径T」という。
【0053】
そして、本実施形態に係るテープカセット50においては、剥離紙80は、テープ印字装置1による印字が行われる毎に、両面粘着テープ70の第1粘着剤層72から剥離され、剥離紙回収スプール56に巻回される。従って、テープカセット50の使用完了時(即ち、テープカセット50がラベルの作成に印字テープ60等を使い切った時)に、剥離紙80は、剥離紙回収スプール56に対して最も多く巻回され、テープカセット50内部において最も大きなスペースを占有する。尚、以下の説明において、剥離紙回収スプール56に最も多く巻回された剥離紙が占有するスペースの半径を「剥離紙巻回半径R」という。
【0054】
上述したように、剥離紙回収スプール56は、印字テープスプール51と、両面粘着テープスプール54の間に、回転可能に配設されている。そして、図10に示すように、本実施形態におけるテープカセット50では、印字テープスプール51の回転中心軸と、剥離紙回収スプール56の回転中心軸を結ぶ直線距離(以下、第1軸間距離Xという)は、前記剥離紙巻回半径Rと、印字テープ巻回半径Sの和よりも小さくなるように構成されている。従って、テープカセット50の使用終了時において、剥離紙回収スプール56に巻回された剥離紙80は、印字テープ占有領域100の一部分を占有する。即ち、第1軸間距離Xを、剥離紙巻回半径Rと印字テープ巻回半径Sの和よりも小さくすることにより、テープカセット50は、印字テープ60と剥離紙80が共通して利用する第1重複領域200を生じさせる。従って、本実施形態に係るテープカセット50は、第1重複領域200の大きさに応じて、テープカセット50自体の大型化を抑制し得る。又、テープカセット50の大型化を抑制することにより、当該テープカセット50は、テープ印字装置1本体の大型化も抑制し得る。
【0055】
更に、本実施形態に係る50では、両面粘着テープスプール54の回転中心軸と、剥離紙回収スプール56の回転中心軸を結ぶ直線距離(以下、第2軸間距離Yという)は、前記剥離紙巻回半径Rと、両面粘着テープ巻回半径Tの和よりも小さくなるように構成されている。従って、テープカセット50の使用終了時において、剥離紙回収スプール56に巻回された剥離紙80は、両面粘着テープ占有領域150の一部分を占有する。即ち、第2軸間距離Yを、剥離紙巻回半径Rと両面粘着テープ巻回半径Tの和よりも小さくすることにより、テープカセット50は、両面粘着テープ70と剥離紙80が共通して利用する第2重複領域250を生じさせる。従って、本実施形態に係るテープカセット50は、第2重複領域250の大きさに応じて、テープカセット50自体の大型化を抑制し得る。又、テープカセット50の大型化を抑制することにより、当該テープカセット50は、テープ印字装置1本体の大型化も抑制し得る。
【0056】
即ち、本実施形態におけるテープカセット50は、図10に示すように、第1重複領域200と、第2重複領域250の何れをも生じさせるので、第1重複領域200の大きさと、第2重複領域の大きさに応じて、テープカセット50の大型化を更に抑制し得る。そして、これに伴い、テープカセット50は、テープ印字装置1の大型化についても更に抑制し得る。
【0057】
以上、説明したように、本実施形態に係るテープカセット50は、テープ印字装置1のカセット装着部8に装着され、テープ印字装置1による印字に用いられる。テープカセット50に収納された透過性を有する印字テープ60は、印字に際し、印字テープスプール51から引き出される。このとき、インクリボン90が、インクリボンスプール52から引き出される。そして、印字テープ60の印字面61には、引き出されたインクリボン90のインクが転写され、ユーザ所望の印字データに基づく鏡像が印字される。印字が施された印字面61には、両面粘着テープスプール54から引き出された両面粘着テープ70が、第2粘着剤層73を介して貼着される。従って、テープカセット50は、ラミネート印字が施されたラベルを提供し得る。
【0058】
そして、テープカセット50によれば、第1粘着剤層72に貼着されている剥離紙80は、剥離ローラ55とテープサブローラ11との協働により、印字テープ60と両面粘着テープ70が貼り合わされたテープから剥離される。従って、当該テープカセット50は、剥離紙80が剥離されたラベルをユーザに提供し得る。この結果、ユーザは、作成されたラベルから剥離紙80をはがす作業を行うことなく、直ぐに当該ラベルを使用し得る。
更に、剥離ローラ55等により剥離された剥離紙80は、剥離紙回収スプール56の回転駆動により、剥離紙回収スプール56に搬送され、当該剥離紙回収スプール56に巻回される。即ち、不要となった剥離紙80は、剥離紙回収スプール56に巻回されて回収される。従って、ユーザは、作成されたラベルを使用する度に剥離紙80を廃棄する作業を行うことなく、当該ラベルを使用し得る。
【0059】
又、本実施形態に係るテープカセット50において、剥離紙回収スプール56は、印字テープスプール51と両面粘着テープスプール54の間に回転可能に配設されている。更に、剥離紙回収スプール56は、印字テープスプール51から、剥離紙巻回半径Rと印字テープ巻回半径Sの和よりも短い第1軸間距離Xを隔てて配設されている(図10参照)。従って、当該テープカセット50は、印字テープスプール51に巻回されている印字テープ60と、剥離紙回収スプール56に巻回される剥離紙80の両者が共通して利用し得る第1重複領域200を生じさせ得る。この結果、テープカセット50は、第1重複領域200の大きさに応じて、テープカセット50の大型化を抑制し得る。又、これにより、テープカセット50は、テープ印字装置1の大型化の抑制にも貢献し得る。
【0060】
更に、テープカセット50において、剥離紙回収スプール56は、両面粘着テープスプール54から、剥離紙巻回半径Rと両面粘着テープ巻回半径Tの和よりも短い第2軸間距離Yを隔てて配設されている(図10参照)。従って、当該テープカセット50は、両面粘着テープスプール54に巻回されている両面粘着テープ70と、剥離紙回収スプール56に巻回される剥離紙80の両者が共通して利用し得る第2重複領域250を生じさせ得る。この結果、テープカセット50は、第2重複領域250の大きさに応じて、テープカセット50の大型化を抑制し得る。又、これにより、テープカセット50は、テープ印字装置1の大型化の抑制にも貢献し得る。
【0061】
即ち、本実施形態に係るテープカセット50は、第1重複領域200と第2重複領域250の両者を同時に生じさせ得る。この結果、当該テープカセット50は、テープカセット50の大型化を大きく抑制することができ、もって、テープ印字装置1に関する大型化の抑制に対しても、多大な貢献をすることができる。
【0062】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、剥離紙回収スプール56の配設位置を、剥離紙巻回半径R、印字テープ巻回半径S、両面粘着テープ巻回半径Tにより規定しているが、この態様に限定するものではない。即ち、更に詳細な条件を設定することにより、よりテープカセット50、テープ印字装置1の大型化を抑制し得る。この場合、印字テープ60、両面粘着テープ70、剥離紙80の夫々の厚みを考慮することが望ましい。
【0063】
本実施形態に係るテープカセット50において、保持ローラ58の接触面に複数の突部を設ける構成としてもよい。この場合、第1粘着剤層72と接触面との接触面積を減少させることになる。この結果、第1粘着剤層72と接触面の間における粘着力は低減する。従って、この構成によれば、当該テープを接触面から容易に剥がすことができ、当該テープの搬送障害(例えば、剥離ローラ55の搬送方向下流側におけるテープのジャム)を防止し得る。同様の理由から、接触面をシリコーン樹脂で形成してもよい。この場合も、シリコーン樹脂の特性により、当該テープを接触面から容易に剥がすことができ、当該テープの搬送障害(例えば、剥離ローラ55の搬送方向下流側におけるテープのジャム)を防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施形態に係るテープカセットが用いられるテープ印字装置の外観図である。
【図2】テープ印字装置の側面外観図である。
【図3】テープ印字装置のカセット装着部に関する説明図である。
【図4】使用開始時におけるテープカセットの構成に関する説明図である。
【図5】印字テープの構成に関する説明図である。
【図6】両面粘着テープの構成に関する説明図である。
【図7】印字テープと両面粘着テープを貼り合わせたテープに関する説明図である。
【図8】剥離紙を剥離したテープに関する説明図である。
【図9】使用終了時におけるテープカセットの構成に関する説明図である。
【図10】テープカセットにおける印字テープスプール、両面粘着テープスプール、剥離紙回収スプールの配設位置に関する説明図である。
【符号の説明】
【0065】
1 テープ印字装置
8 カセット装着部
9 サーマルヘッド
10 プラテンローラ
11 テープサブローラ
50 テープカセット
51 印字テープスプール
54 両面粘着テープスプール
55 剥離ローラ
56 剥離紙回収スプール
60 印字テープ
61 印字面
70 両面粘着テープ
72 第1粘着剤層
73 第2粘着剤層
80 剥離紙
100 印字テープ占有領域
150 両面粘着テープ占有領域
200 第1重複領域
250 第2重複領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ印字装置に形成されたカセット装着部に装着されるテープカセットであって、
前記テープ印字装置の印字手段により印字される印字面を有する印字テープが巻回される印字テープスプールと、
テープ状の剥離紙が貼着された第1粘着剤層を一方の面に有し、前記印字テープの印字面に貼着される第2粘着剤層を他方の面に備える両面粘着テープが巻回される両面粘着テープスプールと、
前記テープ印字装置による印字に際し、前記第2粘着剤層を介して前記印字テープの印字面に貼着された両面粘着テープの第1粘着剤層から、前記剥離紙を剥離する剥離手段と、
前記印字テープスプールと、前記両面粘着テープスプールの間に配設され、前記剥離手段により剥離された剥離紙が巻回される剥離紙回収スプールと、を備え、
前記剥離紙回収スプールに巻回された剥離紙は、
前記剥離紙回収スプールに最も多くの剥離紙が巻回された場合、
前記印字テープスプールに最も多く巻回された印字テープが占有する印字テープ占有領域の一部を占有することを特徴とするテープカセット。
【請求項2】
テープ印字装置に形成されたカセット装着部に装着されるテープカセットであって、
前記テープ印字装置の印字手段により印字される印字面を有する印字テープが巻回される印字テープスプールと、
テープ状の剥離紙が貼着された第1粘着剤層を一方の面に有し、前記印字テープの印字面に貼着される第2粘着剤層を他方の面に備える両面粘着テープが巻回される両面粘着テープスプールと、
前記テープ印字装置による印字に際し、前記第2粘着剤層を介して前記印字テープの印字面に貼着された両面粘着テープの第1粘着剤層から、前記剥離紙を剥離する剥離手段と、
前記印字テープスプールと、前記両面粘着テープスプールの間に配設され、前記剥離手段により剥離された剥離紙が巻回される剥離紙回収スプールと、を備え、
前記剥離紙回収スプールに巻回された剥離紙は、
前記剥離紙回収スプールに最も多くの剥離紙が巻回された場合、
前記両面粘着テープスプールに最も多く巻回された両面粘着テープが占有する両面粘着テープ占有領域の一部を占有することを特徴とするテープカセット。
【請求項3】
テープ印字装置に形成されたカセット装着部に装着されるテープカセットであって、
前記テープ印字装置の印字手段により印字される印字面を有する印字テープが巻回される印字テープスプールと、
テープ状の剥離紙が貼着された第1粘着剤層を一方の面に有し、前記印字テープの印字面に貼着される第2粘着剤層を他方の面に備える両面粘着テープが巻回される両面粘着テープスプールと、
前記テープ印字装置による印字に際し、前記第2粘着剤層を介して前記印字テープの印字面に貼着された両面粘着テープの第1粘着剤層から、前記剥離紙を剥離する剥離手段と、
前記印字テープスプールと、前記両面粘着テープスプールの間に配設され、前記剥離手段により剥離された剥離紙が巻回される剥離紙回収スプールと、を備え、
前記剥離紙回収スプールに巻回された剥離紙は、
前記剥離紙回収スプールに最も多くの剥離紙が巻回された場合、
前記印字テープスプールに最も多く巻回された印字テープが占有する印字テープ占有領域の一部と、前記両面粘着テープスプールに最も多く巻回された両面粘着テープが占有する両面粘着テープ占有領域の一部と、を占有することを特徴とするテープカセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−214431(P2009−214431A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60829(P2008−60829)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】