テープタイプ使い捨ておむつ
【課題】ファスニングテープを挿通部に通し易くする。
【解決手段】上記課題は、ファスニングテープ5における係止部9を含む部分を基端部側の部分と重なるように折り返し、係止部9を基端部側の部分に係止するとともに当該基端部側の部分で被覆した状態となし、腹側における両側部に、ファスニングテープ5を挿し通すスリット6をそれぞれ設け、ファスニングテープ5における少なくとも係止部9を含む部分までをスリット6に挿し通した後、係止部9を含む部分を基端部側の部分から剥離して広げるとともに、背側に引き戻して係止部9をファスニングテープ5又は背側の外面に係止することによって、身体に装着するように構成した、ことを特徴とするテープタイプ使い捨て紙おむつにより解決される。
【解決手段】上記課題は、ファスニングテープ5における係止部9を含む部分を基端部側の部分と重なるように折り返し、係止部9を基端部側の部分に係止するとともに当該基端部側の部分で被覆した状態となし、腹側における両側部に、ファスニングテープ5を挿し通すスリット6をそれぞれ設け、ファスニングテープ5における少なくとも係止部9を含む部分までをスリット6に挿し通した後、係止部9を含む部分を基端部側の部分から剥離して広げるとともに、背側に引き戻して係止部9をファスニングテープ5又は背側の外面に係止することによって、身体に装着するように構成した、ことを特徴とするテープタイプ使い捨て紙おむつにより解決される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープタイプ使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なテープタイプ使い捨ておむつは、背側の両側部にファスニングテープがそれぞれ設けられるとともに、腹側外面にターゲットテープが設けられており、ファスニングテープをターゲットテープに係止することで装着を行うものである(例えば特許文献1,2参照)。ファスニングテープとターゲットテープとの係止手段としては、粘着剤又は面ファスナー(メカニカルファスナー)の雄材(フック材)が使用されているが、後者は係止力を強くでき、また調整等のために着脱を繰り返しても係止力が低下し難いため汎用されている。
【0003】
しかし、このような一般的なテープタイプ使い捨ておむつには、次のような問題点がある。すなわち、第一に、ターゲットテープの存在により通気性が阻害される、剛性が増すことによりフィット性が低下する、あるいはその分だけ資材コストが嵩むという問題点がある。
【0004】
第二に、ファスニングテープの止着に際して、サイズを合わせるのが困難であるという問題点がある。より詳細には、一般的なテープタイプ使い捨ておむつを装着する際には、片手で腹側を抑えながら反対の手で背側のファスニングテープを摘んで腹側表面に押さえつけるため、実際の締め付け具合が判り難い。そのため、締め付け具合を予想しながら止着することになるが、予想が外れて係止位置の調整が必要になることが多い。さらにその調整も先の止着結果からの予想になるため、予想が外れれば再調整になり、そのまま使用すればフィット性の低下により装着感の悪化や排泄物の漏れが発生することになる。
【0005】
これらの問題点を解決するものとして、本出願人は、背側の両側部にファスニングテープを挿し通す挿通部をそれぞれ設け、ファスニングテープを挿通部に挿し通した後に折り返して背側に係止することによって身体に装着するテープタイプ使い捨ておむつを提案している(特許文献3参照)。このテープタイプ使い捨ておむつによれば、腹側表面を広範囲に覆うようなターゲットテープが不要となり、サイズ合わせも容易である等の利点がもたらされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−31726号公報
【特許文献2】特開2002−95693号公報
【特許文献3】特開2007−268216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この先行例には、ファスニングテープの係止手段として面ファスナーの雄材を用いた場合、ファスニングテープを挿通部に挿し通すときに雄材や粘着剤が挿通部に引っ掛かって非常に通しづらいという問題点がある。それでいて、ファスニングテープを仮止めしないと、ファスニングテープが挿通部から抜け易いため、全てのファスニングテープを各挿通部に通した状態で全体のバランスを見ながらファスニングテープを止めるといった手順が取りにくい等の問題点もある。
そこで、本発明の主たる課題は、ファスニングテープを挿通部に通し易くする、ことにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
背側の両側部に、側部に固定された基端部と、この基端部から突出する本体部と、この本体部における先端側の外面に設けられた係止部とを有するファスニングテープをそれぞれ備え、
このファスニングテープにおける前記係止部を含む部分を基端部側の部分と重なるように折り返し、前記係止部を基端部側の部分に係止するとともに当該基端部側の部分で被覆した状態となし、
腹側における両側部に、前記ファスニングテープを挿し通す挿通部をそれぞれ設け、
前記ファスニングテープにおける少なくとも前記係止部を含む部分までを前記挿通部に挿し通した後、前記係止部を含む部分を前記基端部側の部分から剥離して広げるとともに、前記背側に引き戻して前記係止部を前記ファスニングテープ又は前記背側の外面に係止することによって、身体に装着するように構成した、
ことを特徴とするテープタイプ使い捨て紙おむつ。
【0009】
(作用効果)
本発明の紙おむつは、予め、ファスニングテープにおける係止部を含む部分を基端部側の部分と重なるように折り返し、係止部を基端部側の部分に係止するとともに当該基端部側の部分で被覆した状態となしておき、身体への装着に際しては、ファスニングテープにおける少なくとも係止部を含む部分までを挿通部に挿し通した後、係止部を含む部分を基端部側の部分から剥離して広げるとともに、背側に引き戻して係止部をファスニングテープ又は背側の外面に係止する。よって、ファスニングテープを挿通部に挿し通す際には、ファスニングテープにおける係止部を含む部分が折り返されて基端部側の部分で被覆されているため、ファスニングテープを挿通部に通し易くなる。
また、先行例と同様の利点も有する。すなわち、通常は必須のターゲットテープを設けなくて済むため、従来ターゲットテープを設けていた部分における通気性の向上、剛性増加の抑制によるフィット性の向上、資材コストの低減を図ることができる。さらに、止着に際して、ファスニングテープの係止部を挿通部に通した後に引き戻して係止するため、実際の締め付け方向に力を作用させながら係止することになる。よって、実際の締め付け力(少なくともそれに極めて近い力)を感じながら係止できるため、サイズ合わせが容易になる。しかも、係止を解いて係止位置を調整するにしても、ファスニングテープの係止部を挿通部に通して引き戻した状態、つまり背側と腹側とを連結した状態を維持しながら、かつ実際の締め付け力を感じながら係止できるため、調整も極めて容易になる。
【0010】
<請求項2記載の発明>
前記ファスニングテープにおける先端部に、前記係止部を有しない摘み部が形成されており、
前記身体への装着に際して、前記ファスニングテープにおける少なくとも前記摘み部を含む部分までを前記挿通部に挿し通した後には、前記摘み部がカエシとなって前記挿通部に引っ掛かるように構成した、請求項1記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
【0011】
(作用効果)
このように摘み部を設けることにより、係止部が基端部側の部分に係止された状態でファスニングテープを挿通部に挿し通す際には、摘み部が返しとならず、容易に挿し通すことができる一方で、挿通部に挿し通した後には摘み部が側方に開いてカエシ(抜け難くするための引っ掛かり)となり、挿通部に引っ掛るため、仮止めせずともファスニングテープが挿通部から抜け難くなる。よって、全てのファスニングテープを各挿通部に通した状態で全体のバランスを見ながらファスニングテープを止めるといった手順を取りやすくなる。
【0012】
<請求項3記載の発明>
前記挿通部が、前記他方の両側部を表裏方向に貫通する貫通孔であり、この貫通孔の周囲に孔部弾性伸縮部材が伸長状態で取り付けられ、この孔部弾性伸縮部材の収縮力により前記貫通孔が収縮されている、請求項1又は2記載の使い捨て紙おむつ。
【0013】
(作用効果)
このような孔部弾性伸縮部材を設けることにより、貫通孔が弾性的に収縮するため、貫通孔に通したファスニングテープを絞めつけて抜けにくくすることができる。
【0014】
<請求項4記載の発明>
股間部と、股間部の前側及び後側にそれぞれ延出する腹側部分及び背側部分とを有する支持部と、
前記支持部の股間部を含む部分に配置された吸収体とを有し、
前記支持部は内シートと外シートとが張り合わされて形成されており、
おむつ幅方向中央線の両側における内シート及び外シート間に、少なくとも前記腹側部分における前記ターゲットテープと重なる部位から股間部を通り前記背側部分まで前後方向に延在するように、複数本の細長状弾性伸縮部材が幅方向に間隔を空けて設けられており、
前記細長状弾性伸縮部材の間に、前記貫通孔が形成されており、
前記細長状弾性伸縮部材のうち、前記貫通孔の周囲の部分が前記孔部弾性伸縮部材を構成している、
請求項3記載テープタイプ使い捨ておむつ。
【0015】
(作用効果)
このような腹側から背側に向かう細長状弾性伸縮部材は、脚周りや脚の付根へのフィット性を高めるものとして従来から設けられているものであるため、これを利用して孔部弾性伸縮部材を構成することにより、専用の孔部弾性伸縮部材を設けずに、前述の孔部弾性伸縮部材により利点を得ることができる。
【0016】
<請求項5記載の発明>
前記係止部は、面ファスナーの雄材で形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のテープタイプ使い捨て紙おむつ。
【0017】
(作用効果)
係止部が面ファスナーの雄材で形成されていると、着脱を繰り返しても係止強度を確保し易い。しかし、面ファスナーの雄材は、外面に露出していると、挿通部に通す際に引っ掛かり易い。この点、本発明では、予め雄材がカバーされているため、挿通部に通し難くなることがない。
【0018】
<請求項6記載の発明>
前記挿通部は腹側に、及び前記ファスニングテープは背側にそれぞれ設けられるとともに、
腹側に、前記係止部を係止するための被係止部を有しておらず、かつ幅方向に弾性伸縮する幅方向伸縮部を有している、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のテープタイプ使い捨て紙おむつ。
【0019】
(作用効果)
腹側に被係止部を有し、背側にファスニングテープを有する一般的なテープタイプ使い捨ておむつの形態では、被係止部に皺が寄るとファスニングテープの係止が弱くなる等の理由で、腹側には幅方向に弾性伸縮する部分を設けていない。そして、この点がパンツタイプ使い捨ておむつと比較してフィット性が劣る一つの原因となっている。
これに対して、本発明ではファスニングテープを有する側と反対側に被係止部を設けなくても装着することができる。よって、これを利用して、上述のように腹側に被係止部を設けずに、腹側弾性伸縮部を設けるのは好ましい。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり、本発明によれば、ファスニングテープを挿通部に通し易くなる、等の利点がもらされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】テープタイプ使い捨ておむつの展開状態の内面側を示す平面図である。
【図2】テープタイプ使い捨ておむつの展開状態の外面側を示す平面図である。
【図3】図1のiii−iii断面図である。
【図4】図1のiv−iv断面図である。
【図5】図1のv−v断面図、vi−vi断面図である。
【図6】装着過程における(a)図1のiii−iii断面図、(b)要部拡大斜視図である。
【図7】(a)装着過程における図1のiii−iii断面図、(b)装着状態における図1のiii−iii断面図である。
【図8】装着状態の側面図である。
【図9】実施形態の使い捨ておむつの試作品をダミー人形に履かせた状態を示す写真である。
【図10】吸収体、脚付根部弾性伸縮部材、及び脚周り弾性伸縮部材の位置関係を示す平面図である。
【図11】(a)装着前における図1のiii−iii断面図、(b)装着状態における図1のiii−iii断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しながら詳説する。
図1〜図10は、本発明に係るテープタイプ使い捨ておむつの一例を示しており、この使い捨ておむつは、不透液性バックシート1の内面と、透液性トップシート2との間に、吸収体3が介在されているものである。
【0023】
(吸収体)
吸収体3としては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。吸収体3としては、図示形態のような、下層吸収体3Bの表面側に下層吸収体3Bよりも寸法の小さい上層吸収体3Aを積層してなる2層構造のものの他、一層構造のものも採用することができる。また、必要に応じて、吸収体3はクレープ紙(図示せず)により包むことができる。また、吸収体3の形状は適宜定めることができるが、図示のような砂時計形状の他、長方形等のように、股間部の前側から後側まで延在する形状が好適である。吸収体3におけるパルプ目付けは100〜500g/m2程度、厚みは1〜15mm程度であるのが望ましい。また、高吸水性樹脂の目付けは0〜300g/m2程度であるのが望ましい。高吸水性樹脂含有率が少な過ぎると、十分な吸収能を与えることができず、多過ぎるとパルプ繊維間の絡み合いが無くなり、ヨレや割れ等が発生し易くなる。
【0024】
(バックシート)
バックシート1は、吸収体3の周囲より外側に延在しており、吸収体3に吸収された排泄物の裏面側への移動を遮断するものである。バックシート1としては、ポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムの他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。バックシート1の単位面積あたりの重量は13〜40g/m2であるのが好ましく、厚みは0.01〜0.1mmであるのが好ましい。
おむつ外面を布のような外観、・肌触りとするために、バックシート1の裏面全体は外装シート12で覆われており、両シート1,12の外周縁はおむつの外周縁まで及んでいる。外装シート12としては各種の不織布を用いることができるが、スパンボンド不織布が好適である。外装シート12は省略することもできる。
【0025】
(トップシート)
トップシート2としては、有孔または無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。また、不織布の加工方法としては、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等の公知の方法を用いることができる。透液性トップシート2に用いる不織布の繊維目付けは15〜30g/m2であるのが好ましく、厚みは0.05〜1mmであるのが好ましい。
トップシート2は、吸収体3の周囲より外側に延在しており、吸収体3側縁より外側に延在する部分がバックシート1にホットメルト接着剤等により固着されている。なお、図中の点模様は固着部分を表しているものである。
【0026】
(側部バリヤー)
図3及び図4にも示されるように、物品内面の両側部(図示形態ではトップシート2の側縁部表面からその側方に延在するバックシート1の表面)には、側部バリヤーシート4の幅方向外側の部分4xが前後方向全体にわたり貼り付けられている。側部バリヤーシート4は、各種不織布(スパンボンド不織布が好適である)の他、バックシートに用いられるものと同様のプラスチックフィルム、又はこれらの積層シートを用いることができるが、肌への感触性の点で、撥水処理を施した不織布が好適である。側部バリヤーシート4の幅方向中央側の部分4cは、前後方向両端部では物品内面(図示形態ではトップシート2表面)にホットメルト接着剤等の手段により固着されているが、これらの間の中間部は非固定の自由部分となっており、この自由部分の先端部(展開状態における幅方向中央側の端部)には、細長状弾性伸縮部材4Gが前後方向に沿って伸張した状態でホットメルト接着剤等により固定されている。この細長状弾性伸縮部材4Gは図示例では所定の間隔を空けて複数本設けられているが、一本でも良い。細長状弾性伸縮部材4G(他の細長状弾性伸縮部材も同様)としては、糸状、紐状、帯状等に形成された天然ゴム又は合成ゴム、具体的にはスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。この自由部分は、細長状弾性伸縮部材4Gの収縮力が作用する結果、図4に示されるように、物品内面(図示形態ではトップシート2表面)に対して起立する側部バリヤーを構成する。この起立部分の基端4bは側部バリヤーシート4における幅方向外側の固定部分4xと内側の部分4cとの境に位置する。なお、図1中の右斜め上がりの斜線部分は側部バリヤーシート4の固着部分を示しており、左斜め上がりの斜線部分は後述する背側バリヤーシート30の固着部分を示している。
【0027】
(エンドフラップ部、サイドフラップ部)
使い捨ておむつの前後方向両端部では、バックシート1、外装シート12、透液性トップシート2および側部バリヤーシート4が吸収体3の前後端よりも前後両側にそれぞれ延在され、吸収体3の存在しないエンドフラップ部EFが形成されている。一方、使い捨ておむつの左右両側部では、バックシート1、外装シート12、透液性トップシート2および側部バリヤーシート4が吸収体3の側縁よりも側方にそれぞれ延在され、吸収体3の存在しないサイドフラップ部が形成されている。サイドフラップ部のうち腹側部分Fのウエスト側部分及び背側部分Bのウエスト側部分にそれぞれ位置する部分は、それらの間の中間部分よりも側方に延出されており、これらの部分が、おむつの胴回り部分となるウエスト側サイドフラップ部SFとなり、中間部分が脚周り包囲部分LRとなり、その両側縁が脚開口の縁Leとなる。
【0028】
(脚付根部弾性伸縮部材、脚周り弾性伸縮部材)
他方、使い捨ておむつの幅方向中央線WCの両側には、少なくとも脚開口の縁Leと対応する前後方向範囲A1にわたり前後方向に延在する複数本の脚付根部弾性伸縮部材13及び複数本の脚周り弾性伸縮部材14が、その延在方向に沿って伸張された状態で、おむつ幅方向中央線WCに関して線対称をなすようにそれぞれ取り付けられている。これらの弾性伸縮部材13,14は、図示形態では外装シート12とバックシート1との間にホットメルト接着剤を用いて固定されているが、吸収体3を支持する支持部であれば他の部分に設けることもできる。ここで、支持部とは、吸収体3がおむつから離脱しないように支持する部分であり、吸収体3以外の素材により複合的に形成されるものである。具体的に本実施形態の場合、吸収体3の裏面側に位置する部材であるバックシート1及び外装シート12と、吸収体3の表面側を覆うトップシート2、並びに吸収体3の表面側の両側部を覆う側部バリヤーシート4が、吸収体3の支持部を構成しており、その幅方向両側縁のうち前後方向中間の部分が、装着者の脚を通す脚開口の縁Leをなしている。よって、脚付根部弾性伸縮部材13及び脚周り弾性伸縮部材14は、取付位置に応じて、バックシート1と側部バリヤーシート4との間や、バックシート1とトップシート2との間、あるいはトップシート2の裏面に設けることもできる。また、脚付根部弾性伸縮部材13及び脚周り弾性伸縮部材14は、その少なくとも一方又は少なくとも一方の一部を異なるシート間に取り付けることができる。これら脚付根部弾性伸縮部材13及び脚周り弾性伸縮部材14が本発明の前後方向に沿う細長状弾性伸縮部材に相当し、また脚付根部弾性伸縮部材13及び脚周り弾性伸縮部材14を挟持する両シート(図示形態ではバックシート1及び外装シート12)が内シート及び外シートに相当する。
【0029】
各脚付根部弾性伸縮部材13は、平面的なおむつの部材を装着者の脚付根周りの複雑な形状に適合させるためのものであり、股間部から背側Bにおいては、おむつ前後方向中央線LCに対して後側に110〜90mmの範囲内であって、且つおむつ幅方向中央線WCからの離間距離が100〜110mmの範囲内に位置する第1屈曲点c1、及びおむつ前後方向中央線LCに対して後側に10mmの位置から前側に15mmの位置までの範囲内であって、且つおむつ幅方向中央線WCからの離間距離が40〜30mmの範囲内に位置する第2屈曲点c2、をこの順に通る屈曲線状をなしており、第1屈曲点c1より後側の部分から第2屈曲点c2まではおむつ幅方向中央線WCからの離間距離が減少する傾きを有し、第2屈曲点c2ではおむつ幅方向中央線WCに最も近づき、第1屈曲点c1では幅方向外側に膨出するような屈曲形状をなし、第2屈曲点c2では幅方向中央側に膨出するような屈曲形状をなしているものである。
【0030】
また、各脚付根部弾性伸縮部材13は、股間部から腹側においては、おむつ前後方向中央線LCに対して前側に130〜165mmの範囲内であって、且つおむつ幅方向中央線WCからの離間距離が65〜5mmの範囲内に位置する第3屈曲点c3、おむつ前後方向中央線LCに対して前側に160〜215mmの範囲内であって、且つおむつ幅方向中央線WCからの離間距離が80〜95mmの範囲内に位置する第4屈曲点c4、及びおむつ前後方向中央線LCに対して前側に175〜245mmの範囲内であって、且つおむつ幅方向中央線WCからの離間距離が90〜120mmの範囲内に位置する第5屈曲点c5、をこの順に通る屈曲線状をなし、第2屈曲点c2から第5屈曲点c5より前側の部分まではおむつ幅方向中央線WCからの離間距離が増加する傾きを有し、第4屈曲点c4では幅方向外側に膨出するような屈曲形状をなし、第3及び第5屈曲点c5では幅方向中央側に膨出するような屈曲形状をなしているものである。脚付根部弾性伸縮部材13は、股間部から腹側において、他の配置パターンを採用することもできる。
【0031】
左右各側における脚付根部弾性伸縮部材13の本数は適宜定めることができるが、1〜5本程度、特に2〜4本程度が適当であり、図示例では3本である。左右各側における脚付根部弾性伸縮部材13の本数を複数本とする場合には、その間隔は例えば1〜20mm程度、好ましくは2〜15mm程度、特に好ましくは8〜12mm程度である。また、各脚付根部弾性伸縮部材13としては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができ、太さとしては500〜1500dtex程度、天然ゴムの場合0.1〜3mm程度、特に0.5〜3mm程度が好ましい。また、各脚付根部弾性伸縮部材13の固定時の伸長率は150〜250%程度であるのが好ましい。
【0032】
図9に示すように、このような屈曲線状の脚付根部弾性伸縮部材13を備えていると、その収縮力の作用によって、おむつが脚の付根周りの複雑な立体形状、すなわち装着者の脚の付根周りのうち股間から臀溝、大腿筋膜張筋の上部にわたる部分だけでなく、股間から内転筋群の凸部を横断して鼠蹊部までにわたり、確実にフィットするようになる。より詳細には、おむつのうち脚付根部弾性伸縮部材13の第2屈曲点c2から第1屈曲点c1までを有する部分が、装着者の股間後部から臀溝にかけて押し付けられ、第1屈曲点c1より後側の部分が装着者の臀溝から大腿筋膜張筋の上部にかけて押し付けられる。また、第2屈曲点c2から第3屈曲点c3までを有する部分が、装着者の股間全体にわたり押し付けられ、第3屈曲点c3から第5屈曲点c5までの部分が第4屈曲点c4を有する部分を頂点として内転筋群の凸部に沿うように押し付けられ、第5屈曲点c5より前側の部分が装着者の鼠蹊部に押し付けられる。そしてこのように、脚の付根周りの複雑な形状に適合した配置で弾性伸縮部材13を設けることによって、静的なフィット性はもちろんのこと、動的なフィット性も良好となり、例えば仰臥位から座位、座位から仰臥位の姿勢に変化する際における脚の付根周りの形状変化に対してもおむつの形状が追従し易くなる。その結果、おむつと脚の付根周りとの間に不要な空間が形成され難くなり、漏れが発生し難くなる。
【0033】
ここで、上記各屈曲点の位置は大人用使い捨ておむつを想定したものである。具体的には、全長が700〜1000mm程度、脚開口の縁Leと対応する部分の前後方向長さが300〜50mm程度、おむつ前後方向中央線LCに対して後側に110〜90mmの範囲内における幅が180〜240mm程度、おむつ前後方向中央線LCに対して後側に10mmの位置から前側に15mmの位置までの範囲内における幅が40〜100mm程度、おむつ前後方向中央線LCに対して前側に130〜165mmの範囲内における幅が90〜150mm程度、おむつ前後方向中央線LCに対して前側に160〜215mmの範囲内における幅が140〜210mm程度、且つおむつ前後方向中央線LCに対して前側に175〜245mmの範囲内における幅が160〜260mm程度の使い捨ておむつにおいて、特に好適なものである。また、図9に示すおむつのサンプルは、おむつ前後方向中央線LCに対する各屈曲点の位置が、第1屈曲点c1:後側90mm、第2屈曲点c2:前側10mm、第3屈曲点c3:前側130mm、第4屈曲点c4:前側170mm、第5屈曲点c5:前側235mmのものである。
【0034】
他方、一般的な設計の使い捨ておむつに対して上述の脚付根部弾性伸縮部材13を設けた場合、おむつの両側部に、少なくとも脚開口の縁Leと対応する前後方向範囲A1にわたり、脚付根部弾性伸縮部材13の部位よりも幅方向外側に食み出す脚周り包囲部分LRが形成されるとともに、吸収体3の両側部のうち少なくとも脚付根部弾性伸縮部材13における第2屈曲点c2から第3屈曲点c3までの部分と前後方向において対応する部分が、脚周り包囲部分LRにおける幅方向中間部まで延在するようになる。よって、前述の脚付根部弾性伸縮部材13だけでは、それよりも外側の脚周り包囲部分LRが脚周りに押し付けられないため、当該包囲部分LRに位置する吸収体側部から排泄物が漏れ出るおそれがある。これを解決するために、股間部を含む部分における吸収体3の幅を狭めることも考えられるが、最も重要な部分といえる股間部における吸収量の確保が困難となるため好ましくない。
【0035】
そこで、図示形態では、吸収体3は、少なくとも脚開口の縁Leと対応する前後方向範囲A1にわたり設け、且つその両側部のうち少なくとも脚付根部弾性伸縮部材13における第2屈曲点c2から第3屈曲点c3までの部分と前後方向において対応する部分を、脚周り包囲部分LRにおける幅方向中間部まで延在させるとともに、各脚周り包囲部分LRに、脚開口の縁Leに沿って延在する脚周り弾性伸縮部材14を、その延在方向に沿って伸張した状態で取り付けている。このように、脚付根部弾性伸縮部材13のみならず、その幅方向外側に食み出す脚周り包囲部分LRに、脚開口の縁Leに沿って延在する脚周り弾性伸縮部材14を設けると、脚周り包囲部分LRが脚周りに押し付けられ、脚周りからの漏れが発生し難くなるため好ましい。
【0036】
左右各側における脚周り弾性伸縮部材14の本数は適宜定めることができるが、3〜10本程度、より好ましくは3〜8本程度、特に4〜6本程度が適当であり、図示例では5本である。左右各側における脚周り弾性伸縮部材14の本数を複数本とする場合には、その間隔は1〜20mm程度、好ましくは2〜15mm程度、特に好ましくは6〜10mm程度である。また、各脚周り弾性伸縮部材14としては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができ、太さとしては500〜1500dtex程度、天然ゴムの場合0.1〜3mm程度、特に0.5〜3mm程度が好ましい。また、各脚周り弾性伸縮部材14の固定時の伸長率は150〜250%程度であるのが好ましい。
【0037】
また、図示形態のように、左右各側における脚周り弾性伸縮部材14の本数を複数本とする場合、そのうちの少なくとも一部の脚周り弾性伸縮部材14は、少なくとも脚付根部弾性伸縮部材13における第2屈曲点c2から第3屈曲点c3までの部分と前後方向において対応する部分が、吸収体3の側縁と脚開口の縁Leとの間を通過するように配置し、残りの脚周り弾性伸縮部材14は、少なくとも脚付根部弾性伸縮部材13における第2屈曲点c2から第3屈曲点c3までの部分と前後方向において対応する部分が、吸収体3の側部と重なる位置を通過するように配置するのが好ましい。このように、脚周り弾性伸縮部材14を適所に設け、吸収体3を有する幅方向内側部分及び吸収体を有しない幅方向外側部分の双方を脚周りに押し付ける構造とすることによって、脚周り包囲部分LR全体が均等に脚周りにフィットし、漏れ防止効果も一層となる。
【0038】
他方、上述の脚付根周りに対するフィット性を更に向上させるために、図10にも示すように、吸収体3の両側部における脚付根部弾性伸縮部材13の通過部位の一部又は全部に、その脚付根部弾性伸縮部材13の通過方向に沿ってスリット3Xが形成されている。このスリット3Xは、図示例では前端が吸収体3の周縁に達して開口する線状の切欠部により形成しているが、吸収体3の周縁に達しない中抜きとして形成することもできる。また、吸収体3が図示例のように複数層の積層構造を有する場合は、図示するように全ての層3A,3Bにスリット3Xを形成すると好ましいが、一部の層(単数でも複数でも良い)にのみ形成しても良い。またスリット3Xに代えてエンボス加工による線状の圧縮部を形成しても良い。
【0039】
スリット3Xの寸法等は適宜定めることができる。スリット3Xの幅は、製造容易性等の観点から10〜25mm程度とするのが望ましい。図示例のスリット3Xは、各脚付根部弾性伸縮部材13における第2屈曲点(後側屈曲点)c2から第4屈曲点(前側屈曲点)c4間の部分が通過する部位の実質全体に、その通過方向に沿って屈曲線状に形成されている。脚付根部弾性伸縮部材13の配置が異なる他の形態の使い捨ておむつにおいても、上記第2屈曲点(後側屈曲点)c2から第4屈曲点(前側屈曲点)c4間の部分と同じ前後方向範囲にスリット3Xを設けるのが好ましい。
【0040】
このようなスリット3Xを設けることにより、図9に示すように、脚付根部弾性伸縮部材13の収縮力の作用によって、股間部の吸収体3を有する部分のうち脚付根部弾性伸縮部材13の通過部位が股間から大腿部内側面にかけて脚の付け根に対して押し付けられる際、吸収体3がこのスリット3Xに沿って確実に屈曲し、角部が脚の付け根に対してより適切にフィットし、股間部の吸収体3を有する部分のうち脚付根部弾性伸縮部材13の通過部位よりも幅方向外側の部分が脚の付け根から脚周りにかけてより適切にフィットし、幅方向内側の部分が脚の付け根から股間にかけてより適切にフィットするようになる。
【0041】
特に、脚付根部弾性伸縮部材13はおむつ幅方向中央線WCの両側にそれぞれ複数本設けるのが好ましいが、その場合、各側の複数本の脚付根部弾性伸縮部材13のうち、少なくとも一本がスリット3Xの領域内を通過するように配置され、他の少なくとも一本がスリット3Xの領域の幅方向外側を通過するように配置されていると好ましい。これによって、スリット3Xの領域内を通過する脚付け根部弾性伸縮部材13が、吸収体3の屈曲部位にしっかりとした角部を形成するとともに、当該角部を脚の付け根にしっかりと押し付けることができ、スリット3Xの領域の幅方向外側を通過する脚付け根部弾性伸縮部材13が屈曲部位よりも幅方向外側の部分を脚の付け根から脚周りにかけてしっかりと押し付けることができるようになる。
【0042】
他方、複数本の脚付根部弾性伸縮部材13は前側に向うにつれて間隔が狭くなっており、複数本の脚周り弾性伸縮部材14はそれぞれ前後各側に向かうにつれて間隔が狭くなっている。また、これらの弾性伸縮部材13,14の前後各側は、ウエスト側サイドフラップ部SF(脚周り開口の縁Leよりウエスト側)にかけて設けられている。
【0043】
また、脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14における前後両端部と重なる部分では、脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14を挟持する隣接シート(バックシート1と外装シート12)が固着されていない非固着領域とされ、この領域内では脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14は隣接シート(バックシート1と外装シート12)に固着されていない。これは、製造時に行われる前後縁での切断により弾性伸縮部材13,14を同時に切断し、脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14の前後端部を収縮させて、隣接シート間に引き込ませ、前後縁からはみ出ないようにするためである。この結果、図2、図3等に示すように、外装シート12とバックシート1との間に非固着領域からなる筒状の通路12rが形成される。この通路12rは製品前後縁に開口している。脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14の他の部分(前後方向中間部分)と重なる部分では、両シート1,12が固着され、この固着領域内では脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14は伸張状態で両シート12,1に接着固定される。
【0044】
上記例では、脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14における通路12r(非固着領域)内の部分は、隣接シート(バックシート1と外装シート12)の両者に固着されていない形態であるが、内シートであるバックシート1に対してだけであれば固着されていても良い。
【0045】
(ファスニングテープ)
背側部分Bの両ウエスト側サイドフラップ部SFには、各側縁からそれぞれ突出するファスニングテープ5が各上下一対設けられている。ファスニングテープ5は、背側部分Bのウエスト側サイドフラップ部SFにおけるシート間にホットメルト接着剤等の手段により固定された固定部5fと、サイドフラップ部SFの側縁のシート間から幅方向外側に突出する本体部5eとを有するテープ基材5aを主体として形成されており、このテープ基材5aにおける本体部5eは先端の摘み部5pと、この摘み部5pの基端部側の外面に設けられた係止部9とを有している。係止部9は、表面にフック状突起を多数有する面ファスナーの雄材(メカニカルファスナーのフックテープ)で形成するのが望ましいが、粘着剤層により形成することもできる。
【0046】
ファスニングテープ5のテープ基材5aは、特に限定されないが不織布が好適である。不織布としては公知のものを特に限定無く用いることができる。不織布を構成する繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。また、不織布の製造方法としては、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等の公知の方法を用いることができる。特にオレフィン系繊維を用いたスパンボンド不織布、SMS不織布が好ましい。テープ基材5aは、一枚の不織布で形成する他、複数枚の不織布を貼り合わせて形成することもできる。使用する不織布の坪量は適宜定めることができるが、本体部5eにおける不織布の総坪量が20〜75g/m2、特に26〜46g/m2であり、固定部5f及び先端部5pにおける不織布の総坪量がそれぞれ35〜130g/m2、特に46〜116g/m2であると好ましい。
【0047】
各ファスニングテープ5の寸法については適宜定めれば良いが、例えば図示形態の場合、高さ(上下方向長さ)を10〜30mm、固定部5fの長さ(展開状態での幅方向長さ)を20〜60mm、本体部5eの長さ(展開状態での幅方向長さ)を50〜120mm、先端部5pの長さ(展開状態での幅方向長さ)を5〜15mmとすることができる。
【0048】
特徴的には、ファスニングテープ5における係止部9を含む部分が自身よりも基端部側の部分と重なるように折り返され、係止部9が基端部側の部分に係止されるとともに当該基端部側の部分で被覆された状態とされる。この折り返しの位置は係止部9の基端側の縁であるのが好ましいが、係止部9の基端側の縁よりもさらに基端側とすることもできる。
【0049】
一方、腹側部分Fの両側のサイドフラップ部SFには、上下一対のファスニングテープ5と対応する高さ位置に、ファスニングテープ5の挿通部として上下一対のスリット6がそれぞれ表裏方向に貫通するように形成されている。スリット6はファスニングテープ5が挿通しうる限り特に限定されないが、図示形態では、スリット6は、バックシート1及びバリヤーシート4が貼り合わされたサイドフラップ部SFに、ファスニングテープ5よりも若干長く切り目を入れることにより形成されている。
【0050】
身体への装着に際しては、図7(a)に示すように、ファスニングテープ5における係止部9を含む部分が折り返されて基端部側の部分で被覆された状態のままで、ファスニングテープ5における少なくとも係止部9を含む部分までをスリット6に挿し通した後、図7(a)に二点鎖線で示すように、係止部9を含む部分を基端部側の部分から剥離して広げるとともに、図7(b)に示すように、背側に引き戻して係止部9をファスニングテープ5又は背側の外面に係止する。よって、ファスニングテープ5をスリット6に挿し通す際には、ファスニングテープ5における係止部9を含む部分が折り返されて基端部側の部分で被覆されているため、ファスニングテープ5をスリット6に通し易くなる。
【0051】
なお、図示形態ではファスニングテープ5における係止部9の被覆部分から外装シート12の外面にかけて、一体的な被係止シート10を貼り付け、これを係止部9を係止するための被係止部とすることにより係止部9の着脱を容易にしているが、この被係止シート10は省略することもでき、その場合、外装シート12又はファスニングテープ5のテープ基材の外面がそれぞれ被係止部及び係止部9の被覆部分を形成することになる。ただし、図示形態のように被係止シート10を設けることにより、ファスニングテープ5自体の強度及びサイドフラップ部SFに対する固定強度を高めることができる。この被係止シート10としては、係止部9が面ファスナーの雄材である場合には面ファスナーの雌材(表面に多数のループ糸が突出するシート)、又はエンボス加工等により補強した不織布を用いることができ、係止部9が粘着剤層である場合には粘着剤が容易に着脱できるようなフィルムを用いることができる。
【0052】
また、図示形態では、ファスニングテープ5の先端部に、係止部9を有しない摘み部5pを設けたことにより、図7(a)に示すように、係止部9が基端部側の部分に係止された状態でファスニングテープ5をスリット6に挿し通す際には、摘み部5pがカエシとならず、容易に挿し通すことができる一方で、図6に示すように、スリット6に挿し通した後には摘み部5pが側方に開いてカエシ(抜け難くするための引っ掛かり)となり、スリット6に引っ掛るため、仮止めせずともファスニングテープ5がスリット6から抜け難くなる。よって、全てのファスニングテープ5を各スリット6に通した状態で全体のバランスを見ながらファスニングテープ5を止めるといった手順を取りやすくなる。
【0053】
さらに、図示形態では、脚付根部弾性伸縮部材13の伸長状態での固定部分のうち腹側部分Fのサイドフラップ部SFに位置する部分において、個々の脚付根部弾性伸縮部材13の間にスリット6を形成している。これにより、図6(b)に示すように、脚付根部弾性伸縮部材13の収縮によりスリットが弾性的に収縮し、スリット6に通したファスニングテープ5が絞めつけられ、ファスニングテープ5は仮止めせずともスリット6から抜けにくくなる。図示形態と異なり、脚周り弾性伸縮部材14の間にスリット6を設けても良く、またスリット6の周囲に専用の孔部弾性伸縮部材を伸長状態で取り付けても良い。
【0054】
(前後バリヤー)
他方、図示形態の使い捨ておむつにおいては、トップシート2の前後端部(図示例の場合はエンドフラップ部EF)に、おむつ内面(図示形態ではトップシート2表面)に対して起立する前後バリヤーシート30が設けられている。より詳細には、図5にも示すように、前後バリヤーシート30は、ウエスト側端部が幅方向全体にわたりトップシート2表面にホットメルト接着剤等の接合手段により接合されるとともに、股間側部分のうち両端部がトップシート2と両バリヤーシート4との間に挟まれて両シートに対してホットメルト接着剤等の接合手段により接合され(図1にはこれらの接合部分が左斜め上向きの斜線で示されている)、これら両端部の間の部分が非固定の自由部分とされ、この自由部分の先端部が内向き(トップシート2側)に折り返されて折り返し部分の対向面相互がホットメルト接着剤等の固手段により固定され、かつこの折り返し部分のシート間に細長状弾性伸縮部材31が幅方向に沿って伸張した状態でホットメルト接着剤等の固手段により固定されている。この細長状弾性伸縮部材31は図示例では所定の間隔を空けて複数本設けられているが、一本でも良い。この自由部分は、細長状弾性伸縮部材31の収縮力が作用する結果、おむつ内面(図示形態ではトップシート2表面)に対して起立する前後バリヤーを構成する。この起立部分の基端は前後バリヤーシート30におけるウエスト側端部の固定部分と内側の自由部分との境に位置する。
【0055】
さらに、背側部分B及び腹側部分Fにおけるウエスト側部分(図示例の場合はウエスト側端部であるエンドフラップ部EF)は、幅方向中間部が幅方向に弾性伸縮する幅方向伸縮部40として構成されている。図示例の幅方向伸縮部40は幅方向中央部にのみ設けられているが、幅方向全体にわたり設けたり、幅方向両側部にのみ設けたりすることもでき、また幅方向中央線WCに関して線対称に設けられているのが好ましい。より詳細には、前後バリヤーシート30のウエスト側端部が内向き(トップシート2側)に折り返され、折り返し部分の対向面相互がホットメルト接着剤等の固手段により固定され、かつこの折り返し部分のシート間に細長状弾性伸縮部材41が幅方向に沿って伸張した状態でホットメルト接着剤等の固手段により固定されている。この細長状弾性伸縮部材41は一本でも良いが図示例のように所定の間隔を空けて複数本設けるのが好ましい。この弾性伸縮部材41の本数は、1〜10本程度、特に2〜5本程度が適当であり、図示例では3本である。また、その間隔は2〜15mm程度、特に3〜7mm程度とするのが好ましい。さらに、細長状弾性伸縮部材41の太さは500〜1500dtex程度、特に800〜1300dtex程度(天然ゴムの場合0.1〜3mm程度、特に0.5〜3mm程度)とするのが好ましく、また取り付け時の伸張率は150〜250%程度、特に160〜200%程度とするのが好ましい。図示例では、前後バリヤーシート30のウエスト側端部を利用して幅方向伸縮部40の弾性伸縮部材41を取り付けているが、この弾性伸縮部材41をトップシート2とバックシート1との間や、バックシート1と外装シート12との間に挟んで固定することもできる。このような幅方向伸縮部40を有することにより、おむつ背側背側部分B及び腹側部分Fにおけるウエスト側端部が装着者の背中に弾力的に押し当てられ、おむつと装着者の背中との間に隙間が発生し難くなる。
【0056】
<その他>
(イ)挿通部は、上記例のようなスリット6(線状の貫通孔)とする他、ある程度の面積を有する貫通孔とすることもできる。また、ズボンのベルトホールのようなテープ通し部とすることもできる。
(ロ)スリット6の向きは、高さ方向に沿う形態が基本となるが、適宜傾けることができ、例えば図示形態のようにウエスト側に位置するスリット6を傾斜させずに、股間側に位置するスリット6を幅方向外側に傾けると、装着状態で、ウエスト側では胴回り方向に沿ってファスニングテープ5を固定し、股間側では脚の付根に沿ってファスニングテープ5を固定できるようになるため好ましい。
(ハ)図11(a)に示すように、ファスングテープ5全体を外装シート12の外面に固定する構造とするとともに、固定部5fを背側部分Bのサイドフラップ部SFの側縁から幅方向中央側に離間させ、本体部5eの基端側に外面非固定部5xを設けるのも好ましい形態である。この形態では、スリット6に通したファスニングテープ5を背側に引き戻して装着したとき、図11(b)に示すように、ファスニングテープ5の折り返し位置が外面非固定部5xに達して、ファスニングテープ5の全体が背側部分Bの外側に位置するようになり、直接肌に触れなくなるため、装着感がより好ましいものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、上記例のようにテープタイプ使い捨ておむつに利用できるものである。
【符号の説明】
【0058】
1…バックシート、2…トップシート、3…吸収体、3X…スリット、4…側部バリヤーシート、5…ファスニングテープ、5p…摘み部、6…スリット、9…係止部、10…被係止シート、12…外装シート、13…脚付根部弾性伸縮部材、14…脚周り弾性伸縮部材、30…前後バリヤーシート、40…幅方向伸縮部
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープタイプ使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なテープタイプ使い捨ておむつは、背側の両側部にファスニングテープがそれぞれ設けられるとともに、腹側外面にターゲットテープが設けられており、ファスニングテープをターゲットテープに係止することで装着を行うものである(例えば特許文献1,2参照)。ファスニングテープとターゲットテープとの係止手段としては、粘着剤又は面ファスナー(メカニカルファスナー)の雄材(フック材)が使用されているが、後者は係止力を強くでき、また調整等のために着脱を繰り返しても係止力が低下し難いため汎用されている。
【0003】
しかし、このような一般的なテープタイプ使い捨ておむつには、次のような問題点がある。すなわち、第一に、ターゲットテープの存在により通気性が阻害される、剛性が増すことによりフィット性が低下する、あるいはその分だけ資材コストが嵩むという問題点がある。
【0004】
第二に、ファスニングテープの止着に際して、サイズを合わせるのが困難であるという問題点がある。より詳細には、一般的なテープタイプ使い捨ておむつを装着する際には、片手で腹側を抑えながら反対の手で背側のファスニングテープを摘んで腹側表面に押さえつけるため、実際の締め付け具合が判り難い。そのため、締め付け具合を予想しながら止着することになるが、予想が外れて係止位置の調整が必要になることが多い。さらにその調整も先の止着結果からの予想になるため、予想が外れれば再調整になり、そのまま使用すればフィット性の低下により装着感の悪化や排泄物の漏れが発生することになる。
【0005】
これらの問題点を解決するものとして、本出願人は、背側の両側部にファスニングテープを挿し通す挿通部をそれぞれ設け、ファスニングテープを挿通部に挿し通した後に折り返して背側に係止することによって身体に装着するテープタイプ使い捨ておむつを提案している(特許文献3参照)。このテープタイプ使い捨ておむつによれば、腹側表面を広範囲に覆うようなターゲットテープが不要となり、サイズ合わせも容易である等の利点がもたらされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−31726号公報
【特許文献2】特開2002−95693号公報
【特許文献3】特開2007−268216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この先行例には、ファスニングテープの係止手段として面ファスナーの雄材を用いた場合、ファスニングテープを挿通部に挿し通すときに雄材や粘着剤が挿通部に引っ掛かって非常に通しづらいという問題点がある。それでいて、ファスニングテープを仮止めしないと、ファスニングテープが挿通部から抜け易いため、全てのファスニングテープを各挿通部に通した状態で全体のバランスを見ながらファスニングテープを止めるといった手順が取りにくい等の問題点もある。
そこで、本発明の主たる課題は、ファスニングテープを挿通部に通し易くする、ことにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
背側の両側部に、側部に固定された基端部と、この基端部から突出する本体部と、この本体部における先端側の外面に設けられた係止部とを有するファスニングテープをそれぞれ備え、
このファスニングテープにおける前記係止部を含む部分を基端部側の部分と重なるように折り返し、前記係止部を基端部側の部分に係止するとともに当該基端部側の部分で被覆した状態となし、
腹側における両側部に、前記ファスニングテープを挿し通す挿通部をそれぞれ設け、
前記ファスニングテープにおける少なくとも前記係止部を含む部分までを前記挿通部に挿し通した後、前記係止部を含む部分を前記基端部側の部分から剥離して広げるとともに、前記背側に引き戻して前記係止部を前記ファスニングテープ又は前記背側の外面に係止することによって、身体に装着するように構成した、
ことを特徴とするテープタイプ使い捨て紙おむつ。
【0009】
(作用効果)
本発明の紙おむつは、予め、ファスニングテープにおける係止部を含む部分を基端部側の部分と重なるように折り返し、係止部を基端部側の部分に係止するとともに当該基端部側の部分で被覆した状態となしておき、身体への装着に際しては、ファスニングテープにおける少なくとも係止部を含む部分までを挿通部に挿し通した後、係止部を含む部分を基端部側の部分から剥離して広げるとともに、背側に引き戻して係止部をファスニングテープ又は背側の外面に係止する。よって、ファスニングテープを挿通部に挿し通す際には、ファスニングテープにおける係止部を含む部分が折り返されて基端部側の部分で被覆されているため、ファスニングテープを挿通部に通し易くなる。
また、先行例と同様の利点も有する。すなわち、通常は必須のターゲットテープを設けなくて済むため、従来ターゲットテープを設けていた部分における通気性の向上、剛性増加の抑制によるフィット性の向上、資材コストの低減を図ることができる。さらに、止着に際して、ファスニングテープの係止部を挿通部に通した後に引き戻して係止するため、実際の締め付け方向に力を作用させながら係止することになる。よって、実際の締め付け力(少なくともそれに極めて近い力)を感じながら係止できるため、サイズ合わせが容易になる。しかも、係止を解いて係止位置を調整するにしても、ファスニングテープの係止部を挿通部に通して引き戻した状態、つまり背側と腹側とを連結した状態を維持しながら、かつ実際の締め付け力を感じながら係止できるため、調整も極めて容易になる。
【0010】
<請求項2記載の発明>
前記ファスニングテープにおける先端部に、前記係止部を有しない摘み部が形成されており、
前記身体への装着に際して、前記ファスニングテープにおける少なくとも前記摘み部を含む部分までを前記挿通部に挿し通した後には、前記摘み部がカエシとなって前記挿通部に引っ掛かるように構成した、請求項1記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
【0011】
(作用効果)
このように摘み部を設けることにより、係止部が基端部側の部分に係止された状態でファスニングテープを挿通部に挿し通す際には、摘み部が返しとならず、容易に挿し通すことができる一方で、挿通部に挿し通した後には摘み部が側方に開いてカエシ(抜け難くするための引っ掛かり)となり、挿通部に引っ掛るため、仮止めせずともファスニングテープが挿通部から抜け難くなる。よって、全てのファスニングテープを各挿通部に通した状態で全体のバランスを見ながらファスニングテープを止めるといった手順を取りやすくなる。
【0012】
<請求項3記載の発明>
前記挿通部が、前記他方の両側部を表裏方向に貫通する貫通孔であり、この貫通孔の周囲に孔部弾性伸縮部材が伸長状態で取り付けられ、この孔部弾性伸縮部材の収縮力により前記貫通孔が収縮されている、請求項1又は2記載の使い捨て紙おむつ。
【0013】
(作用効果)
このような孔部弾性伸縮部材を設けることにより、貫通孔が弾性的に収縮するため、貫通孔に通したファスニングテープを絞めつけて抜けにくくすることができる。
【0014】
<請求項4記載の発明>
股間部と、股間部の前側及び後側にそれぞれ延出する腹側部分及び背側部分とを有する支持部と、
前記支持部の股間部を含む部分に配置された吸収体とを有し、
前記支持部は内シートと外シートとが張り合わされて形成されており、
おむつ幅方向中央線の両側における内シート及び外シート間に、少なくとも前記腹側部分における前記ターゲットテープと重なる部位から股間部を通り前記背側部分まで前後方向に延在するように、複数本の細長状弾性伸縮部材が幅方向に間隔を空けて設けられており、
前記細長状弾性伸縮部材の間に、前記貫通孔が形成されており、
前記細長状弾性伸縮部材のうち、前記貫通孔の周囲の部分が前記孔部弾性伸縮部材を構成している、
請求項3記載テープタイプ使い捨ておむつ。
【0015】
(作用効果)
このような腹側から背側に向かう細長状弾性伸縮部材は、脚周りや脚の付根へのフィット性を高めるものとして従来から設けられているものであるため、これを利用して孔部弾性伸縮部材を構成することにより、専用の孔部弾性伸縮部材を設けずに、前述の孔部弾性伸縮部材により利点を得ることができる。
【0016】
<請求項5記載の発明>
前記係止部は、面ファスナーの雄材で形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のテープタイプ使い捨て紙おむつ。
【0017】
(作用効果)
係止部が面ファスナーの雄材で形成されていると、着脱を繰り返しても係止強度を確保し易い。しかし、面ファスナーの雄材は、外面に露出していると、挿通部に通す際に引っ掛かり易い。この点、本発明では、予め雄材がカバーされているため、挿通部に通し難くなることがない。
【0018】
<請求項6記載の発明>
前記挿通部は腹側に、及び前記ファスニングテープは背側にそれぞれ設けられるとともに、
腹側に、前記係止部を係止するための被係止部を有しておらず、かつ幅方向に弾性伸縮する幅方向伸縮部を有している、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のテープタイプ使い捨て紙おむつ。
【0019】
(作用効果)
腹側に被係止部を有し、背側にファスニングテープを有する一般的なテープタイプ使い捨ておむつの形態では、被係止部に皺が寄るとファスニングテープの係止が弱くなる等の理由で、腹側には幅方向に弾性伸縮する部分を設けていない。そして、この点がパンツタイプ使い捨ておむつと比較してフィット性が劣る一つの原因となっている。
これに対して、本発明ではファスニングテープを有する側と反対側に被係止部を設けなくても装着することができる。よって、これを利用して、上述のように腹側に被係止部を設けずに、腹側弾性伸縮部を設けるのは好ましい。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり、本発明によれば、ファスニングテープを挿通部に通し易くなる、等の利点がもらされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】テープタイプ使い捨ておむつの展開状態の内面側を示す平面図である。
【図2】テープタイプ使い捨ておむつの展開状態の外面側を示す平面図である。
【図3】図1のiii−iii断面図である。
【図4】図1のiv−iv断面図である。
【図5】図1のv−v断面図、vi−vi断面図である。
【図6】装着過程における(a)図1のiii−iii断面図、(b)要部拡大斜視図である。
【図7】(a)装着過程における図1のiii−iii断面図、(b)装着状態における図1のiii−iii断面図である。
【図8】装着状態の側面図である。
【図9】実施形態の使い捨ておむつの試作品をダミー人形に履かせた状態を示す写真である。
【図10】吸収体、脚付根部弾性伸縮部材、及び脚周り弾性伸縮部材の位置関係を示す平面図である。
【図11】(a)装着前における図1のiii−iii断面図、(b)装着状態における図1のiii−iii断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しながら詳説する。
図1〜図10は、本発明に係るテープタイプ使い捨ておむつの一例を示しており、この使い捨ておむつは、不透液性バックシート1の内面と、透液性トップシート2との間に、吸収体3が介在されているものである。
【0023】
(吸収体)
吸収体3としては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。吸収体3としては、図示形態のような、下層吸収体3Bの表面側に下層吸収体3Bよりも寸法の小さい上層吸収体3Aを積層してなる2層構造のものの他、一層構造のものも採用することができる。また、必要に応じて、吸収体3はクレープ紙(図示せず)により包むことができる。また、吸収体3の形状は適宜定めることができるが、図示のような砂時計形状の他、長方形等のように、股間部の前側から後側まで延在する形状が好適である。吸収体3におけるパルプ目付けは100〜500g/m2程度、厚みは1〜15mm程度であるのが望ましい。また、高吸水性樹脂の目付けは0〜300g/m2程度であるのが望ましい。高吸水性樹脂含有率が少な過ぎると、十分な吸収能を与えることができず、多過ぎるとパルプ繊維間の絡み合いが無くなり、ヨレや割れ等が発生し易くなる。
【0024】
(バックシート)
バックシート1は、吸収体3の周囲より外側に延在しており、吸収体3に吸収された排泄物の裏面側への移動を遮断するものである。バックシート1としては、ポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムの他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。バックシート1の単位面積あたりの重量は13〜40g/m2であるのが好ましく、厚みは0.01〜0.1mmであるのが好ましい。
おむつ外面を布のような外観、・肌触りとするために、バックシート1の裏面全体は外装シート12で覆われており、両シート1,12の外周縁はおむつの外周縁まで及んでいる。外装シート12としては各種の不織布を用いることができるが、スパンボンド不織布が好適である。外装シート12は省略することもできる。
【0025】
(トップシート)
トップシート2としては、有孔または無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。また、不織布の加工方法としては、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等の公知の方法を用いることができる。透液性トップシート2に用いる不織布の繊維目付けは15〜30g/m2であるのが好ましく、厚みは0.05〜1mmであるのが好ましい。
トップシート2は、吸収体3の周囲より外側に延在しており、吸収体3側縁より外側に延在する部分がバックシート1にホットメルト接着剤等により固着されている。なお、図中の点模様は固着部分を表しているものである。
【0026】
(側部バリヤー)
図3及び図4にも示されるように、物品内面の両側部(図示形態ではトップシート2の側縁部表面からその側方に延在するバックシート1の表面)には、側部バリヤーシート4の幅方向外側の部分4xが前後方向全体にわたり貼り付けられている。側部バリヤーシート4は、各種不織布(スパンボンド不織布が好適である)の他、バックシートに用いられるものと同様のプラスチックフィルム、又はこれらの積層シートを用いることができるが、肌への感触性の点で、撥水処理を施した不織布が好適である。側部バリヤーシート4の幅方向中央側の部分4cは、前後方向両端部では物品内面(図示形態ではトップシート2表面)にホットメルト接着剤等の手段により固着されているが、これらの間の中間部は非固定の自由部分となっており、この自由部分の先端部(展開状態における幅方向中央側の端部)には、細長状弾性伸縮部材4Gが前後方向に沿って伸張した状態でホットメルト接着剤等により固定されている。この細長状弾性伸縮部材4Gは図示例では所定の間隔を空けて複数本設けられているが、一本でも良い。細長状弾性伸縮部材4G(他の細長状弾性伸縮部材も同様)としては、糸状、紐状、帯状等に形成された天然ゴム又は合成ゴム、具体的にはスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。この自由部分は、細長状弾性伸縮部材4Gの収縮力が作用する結果、図4に示されるように、物品内面(図示形態ではトップシート2表面)に対して起立する側部バリヤーを構成する。この起立部分の基端4bは側部バリヤーシート4における幅方向外側の固定部分4xと内側の部分4cとの境に位置する。なお、図1中の右斜め上がりの斜線部分は側部バリヤーシート4の固着部分を示しており、左斜め上がりの斜線部分は後述する背側バリヤーシート30の固着部分を示している。
【0027】
(エンドフラップ部、サイドフラップ部)
使い捨ておむつの前後方向両端部では、バックシート1、外装シート12、透液性トップシート2および側部バリヤーシート4が吸収体3の前後端よりも前後両側にそれぞれ延在され、吸収体3の存在しないエンドフラップ部EFが形成されている。一方、使い捨ておむつの左右両側部では、バックシート1、外装シート12、透液性トップシート2および側部バリヤーシート4が吸収体3の側縁よりも側方にそれぞれ延在され、吸収体3の存在しないサイドフラップ部が形成されている。サイドフラップ部のうち腹側部分Fのウエスト側部分及び背側部分Bのウエスト側部分にそれぞれ位置する部分は、それらの間の中間部分よりも側方に延出されており、これらの部分が、おむつの胴回り部分となるウエスト側サイドフラップ部SFとなり、中間部分が脚周り包囲部分LRとなり、その両側縁が脚開口の縁Leとなる。
【0028】
(脚付根部弾性伸縮部材、脚周り弾性伸縮部材)
他方、使い捨ておむつの幅方向中央線WCの両側には、少なくとも脚開口の縁Leと対応する前後方向範囲A1にわたり前後方向に延在する複数本の脚付根部弾性伸縮部材13及び複数本の脚周り弾性伸縮部材14が、その延在方向に沿って伸張された状態で、おむつ幅方向中央線WCに関して線対称をなすようにそれぞれ取り付けられている。これらの弾性伸縮部材13,14は、図示形態では外装シート12とバックシート1との間にホットメルト接着剤を用いて固定されているが、吸収体3を支持する支持部であれば他の部分に設けることもできる。ここで、支持部とは、吸収体3がおむつから離脱しないように支持する部分であり、吸収体3以外の素材により複合的に形成されるものである。具体的に本実施形態の場合、吸収体3の裏面側に位置する部材であるバックシート1及び外装シート12と、吸収体3の表面側を覆うトップシート2、並びに吸収体3の表面側の両側部を覆う側部バリヤーシート4が、吸収体3の支持部を構成しており、その幅方向両側縁のうち前後方向中間の部分が、装着者の脚を通す脚開口の縁Leをなしている。よって、脚付根部弾性伸縮部材13及び脚周り弾性伸縮部材14は、取付位置に応じて、バックシート1と側部バリヤーシート4との間や、バックシート1とトップシート2との間、あるいはトップシート2の裏面に設けることもできる。また、脚付根部弾性伸縮部材13及び脚周り弾性伸縮部材14は、その少なくとも一方又は少なくとも一方の一部を異なるシート間に取り付けることができる。これら脚付根部弾性伸縮部材13及び脚周り弾性伸縮部材14が本発明の前後方向に沿う細長状弾性伸縮部材に相当し、また脚付根部弾性伸縮部材13及び脚周り弾性伸縮部材14を挟持する両シート(図示形態ではバックシート1及び外装シート12)が内シート及び外シートに相当する。
【0029】
各脚付根部弾性伸縮部材13は、平面的なおむつの部材を装着者の脚付根周りの複雑な形状に適合させるためのものであり、股間部から背側Bにおいては、おむつ前後方向中央線LCに対して後側に110〜90mmの範囲内であって、且つおむつ幅方向中央線WCからの離間距離が100〜110mmの範囲内に位置する第1屈曲点c1、及びおむつ前後方向中央線LCに対して後側に10mmの位置から前側に15mmの位置までの範囲内であって、且つおむつ幅方向中央線WCからの離間距離が40〜30mmの範囲内に位置する第2屈曲点c2、をこの順に通る屈曲線状をなしており、第1屈曲点c1より後側の部分から第2屈曲点c2まではおむつ幅方向中央線WCからの離間距離が減少する傾きを有し、第2屈曲点c2ではおむつ幅方向中央線WCに最も近づき、第1屈曲点c1では幅方向外側に膨出するような屈曲形状をなし、第2屈曲点c2では幅方向中央側に膨出するような屈曲形状をなしているものである。
【0030】
また、各脚付根部弾性伸縮部材13は、股間部から腹側においては、おむつ前後方向中央線LCに対して前側に130〜165mmの範囲内であって、且つおむつ幅方向中央線WCからの離間距離が65〜5mmの範囲内に位置する第3屈曲点c3、おむつ前後方向中央線LCに対して前側に160〜215mmの範囲内であって、且つおむつ幅方向中央線WCからの離間距離が80〜95mmの範囲内に位置する第4屈曲点c4、及びおむつ前後方向中央線LCに対して前側に175〜245mmの範囲内であって、且つおむつ幅方向中央線WCからの離間距離が90〜120mmの範囲内に位置する第5屈曲点c5、をこの順に通る屈曲線状をなし、第2屈曲点c2から第5屈曲点c5より前側の部分まではおむつ幅方向中央線WCからの離間距離が増加する傾きを有し、第4屈曲点c4では幅方向外側に膨出するような屈曲形状をなし、第3及び第5屈曲点c5では幅方向中央側に膨出するような屈曲形状をなしているものである。脚付根部弾性伸縮部材13は、股間部から腹側において、他の配置パターンを採用することもできる。
【0031】
左右各側における脚付根部弾性伸縮部材13の本数は適宜定めることができるが、1〜5本程度、特に2〜4本程度が適当であり、図示例では3本である。左右各側における脚付根部弾性伸縮部材13の本数を複数本とする場合には、その間隔は例えば1〜20mm程度、好ましくは2〜15mm程度、特に好ましくは8〜12mm程度である。また、各脚付根部弾性伸縮部材13としては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができ、太さとしては500〜1500dtex程度、天然ゴムの場合0.1〜3mm程度、特に0.5〜3mm程度が好ましい。また、各脚付根部弾性伸縮部材13の固定時の伸長率は150〜250%程度であるのが好ましい。
【0032】
図9に示すように、このような屈曲線状の脚付根部弾性伸縮部材13を備えていると、その収縮力の作用によって、おむつが脚の付根周りの複雑な立体形状、すなわち装着者の脚の付根周りのうち股間から臀溝、大腿筋膜張筋の上部にわたる部分だけでなく、股間から内転筋群の凸部を横断して鼠蹊部までにわたり、確実にフィットするようになる。より詳細には、おむつのうち脚付根部弾性伸縮部材13の第2屈曲点c2から第1屈曲点c1までを有する部分が、装着者の股間後部から臀溝にかけて押し付けられ、第1屈曲点c1より後側の部分が装着者の臀溝から大腿筋膜張筋の上部にかけて押し付けられる。また、第2屈曲点c2から第3屈曲点c3までを有する部分が、装着者の股間全体にわたり押し付けられ、第3屈曲点c3から第5屈曲点c5までの部分が第4屈曲点c4を有する部分を頂点として内転筋群の凸部に沿うように押し付けられ、第5屈曲点c5より前側の部分が装着者の鼠蹊部に押し付けられる。そしてこのように、脚の付根周りの複雑な形状に適合した配置で弾性伸縮部材13を設けることによって、静的なフィット性はもちろんのこと、動的なフィット性も良好となり、例えば仰臥位から座位、座位から仰臥位の姿勢に変化する際における脚の付根周りの形状変化に対してもおむつの形状が追従し易くなる。その結果、おむつと脚の付根周りとの間に不要な空間が形成され難くなり、漏れが発生し難くなる。
【0033】
ここで、上記各屈曲点の位置は大人用使い捨ておむつを想定したものである。具体的には、全長が700〜1000mm程度、脚開口の縁Leと対応する部分の前後方向長さが300〜50mm程度、おむつ前後方向中央線LCに対して後側に110〜90mmの範囲内における幅が180〜240mm程度、おむつ前後方向中央線LCに対して後側に10mmの位置から前側に15mmの位置までの範囲内における幅が40〜100mm程度、おむつ前後方向中央線LCに対して前側に130〜165mmの範囲内における幅が90〜150mm程度、おむつ前後方向中央線LCに対して前側に160〜215mmの範囲内における幅が140〜210mm程度、且つおむつ前後方向中央線LCに対して前側に175〜245mmの範囲内における幅が160〜260mm程度の使い捨ておむつにおいて、特に好適なものである。また、図9に示すおむつのサンプルは、おむつ前後方向中央線LCに対する各屈曲点の位置が、第1屈曲点c1:後側90mm、第2屈曲点c2:前側10mm、第3屈曲点c3:前側130mm、第4屈曲点c4:前側170mm、第5屈曲点c5:前側235mmのものである。
【0034】
他方、一般的な設計の使い捨ておむつに対して上述の脚付根部弾性伸縮部材13を設けた場合、おむつの両側部に、少なくとも脚開口の縁Leと対応する前後方向範囲A1にわたり、脚付根部弾性伸縮部材13の部位よりも幅方向外側に食み出す脚周り包囲部分LRが形成されるとともに、吸収体3の両側部のうち少なくとも脚付根部弾性伸縮部材13における第2屈曲点c2から第3屈曲点c3までの部分と前後方向において対応する部分が、脚周り包囲部分LRにおける幅方向中間部まで延在するようになる。よって、前述の脚付根部弾性伸縮部材13だけでは、それよりも外側の脚周り包囲部分LRが脚周りに押し付けられないため、当該包囲部分LRに位置する吸収体側部から排泄物が漏れ出るおそれがある。これを解決するために、股間部を含む部分における吸収体3の幅を狭めることも考えられるが、最も重要な部分といえる股間部における吸収量の確保が困難となるため好ましくない。
【0035】
そこで、図示形態では、吸収体3は、少なくとも脚開口の縁Leと対応する前後方向範囲A1にわたり設け、且つその両側部のうち少なくとも脚付根部弾性伸縮部材13における第2屈曲点c2から第3屈曲点c3までの部分と前後方向において対応する部分を、脚周り包囲部分LRにおける幅方向中間部まで延在させるとともに、各脚周り包囲部分LRに、脚開口の縁Leに沿って延在する脚周り弾性伸縮部材14を、その延在方向に沿って伸張した状態で取り付けている。このように、脚付根部弾性伸縮部材13のみならず、その幅方向外側に食み出す脚周り包囲部分LRに、脚開口の縁Leに沿って延在する脚周り弾性伸縮部材14を設けると、脚周り包囲部分LRが脚周りに押し付けられ、脚周りからの漏れが発生し難くなるため好ましい。
【0036】
左右各側における脚周り弾性伸縮部材14の本数は適宜定めることができるが、3〜10本程度、より好ましくは3〜8本程度、特に4〜6本程度が適当であり、図示例では5本である。左右各側における脚周り弾性伸縮部材14の本数を複数本とする場合には、その間隔は1〜20mm程度、好ましくは2〜15mm程度、特に好ましくは6〜10mm程度である。また、各脚周り弾性伸縮部材14としては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができ、太さとしては500〜1500dtex程度、天然ゴムの場合0.1〜3mm程度、特に0.5〜3mm程度が好ましい。また、各脚周り弾性伸縮部材14の固定時の伸長率は150〜250%程度であるのが好ましい。
【0037】
また、図示形態のように、左右各側における脚周り弾性伸縮部材14の本数を複数本とする場合、そのうちの少なくとも一部の脚周り弾性伸縮部材14は、少なくとも脚付根部弾性伸縮部材13における第2屈曲点c2から第3屈曲点c3までの部分と前後方向において対応する部分が、吸収体3の側縁と脚開口の縁Leとの間を通過するように配置し、残りの脚周り弾性伸縮部材14は、少なくとも脚付根部弾性伸縮部材13における第2屈曲点c2から第3屈曲点c3までの部分と前後方向において対応する部分が、吸収体3の側部と重なる位置を通過するように配置するのが好ましい。このように、脚周り弾性伸縮部材14を適所に設け、吸収体3を有する幅方向内側部分及び吸収体を有しない幅方向外側部分の双方を脚周りに押し付ける構造とすることによって、脚周り包囲部分LR全体が均等に脚周りにフィットし、漏れ防止効果も一層となる。
【0038】
他方、上述の脚付根周りに対するフィット性を更に向上させるために、図10にも示すように、吸収体3の両側部における脚付根部弾性伸縮部材13の通過部位の一部又は全部に、その脚付根部弾性伸縮部材13の通過方向に沿ってスリット3Xが形成されている。このスリット3Xは、図示例では前端が吸収体3の周縁に達して開口する線状の切欠部により形成しているが、吸収体3の周縁に達しない中抜きとして形成することもできる。また、吸収体3が図示例のように複数層の積層構造を有する場合は、図示するように全ての層3A,3Bにスリット3Xを形成すると好ましいが、一部の層(単数でも複数でも良い)にのみ形成しても良い。またスリット3Xに代えてエンボス加工による線状の圧縮部を形成しても良い。
【0039】
スリット3Xの寸法等は適宜定めることができる。スリット3Xの幅は、製造容易性等の観点から10〜25mm程度とするのが望ましい。図示例のスリット3Xは、各脚付根部弾性伸縮部材13における第2屈曲点(後側屈曲点)c2から第4屈曲点(前側屈曲点)c4間の部分が通過する部位の実質全体に、その通過方向に沿って屈曲線状に形成されている。脚付根部弾性伸縮部材13の配置が異なる他の形態の使い捨ておむつにおいても、上記第2屈曲点(後側屈曲点)c2から第4屈曲点(前側屈曲点)c4間の部分と同じ前後方向範囲にスリット3Xを設けるのが好ましい。
【0040】
このようなスリット3Xを設けることにより、図9に示すように、脚付根部弾性伸縮部材13の収縮力の作用によって、股間部の吸収体3を有する部分のうち脚付根部弾性伸縮部材13の通過部位が股間から大腿部内側面にかけて脚の付け根に対して押し付けられる際、吸収体3がこのスリット3Xに沿って確実に屈曲し、角部が脚の付け根に対してより適切にフィットし、股間部の吸収体3を有する部分のうち脚付根部弾性伸縮部材13の通過部位よりも幅方向外側の部分が脚の付け根から脚周りにかけてより適切にフィットし、幅方向内側の部分が脚の付け根から股間にかけてより適切にフィットするようになる。
【0041】
特に、脚付根部弾性伸縮部材13はおむつ幅方向中央線WCの両側にそれぞれ複数本設けるのが好ましいが、その場合、各側の複数本の脚付根部弾性伸縮部材13のうち、少なくとも一本がスリット3Xの領域内を通過するように配置され、他の少なくとも一本がスリット3Xの領域の幅方向外側を通過するように配置されていると好ましい。これによって、スリット3Xの領域内を通過する脚付け根部弾性伸縮部材13が、吸収体3の屈曲部位にしっかりとした角部を形成するとともに、当該角部を脚の付け根にしっかりと押し付けることができ、スリット3Xの領域の幅方向外側を通過する脚付け根部弾性伸縮部材13が屈曲部位よりも幅方向外側の部分を脚の付け根から脚周りにかけてしっかりと押し付けることができるようになる。
【0042】
他方、複数本の脚付根部弾性伸縮部材13は前側に向うにつれて間隔が狭くなっており、複数本の脚周り弾性伸縮部材14はそれぞれ前後各側に向かうにつれて間隔が狭くなっている。また、これらの弾性伸縮部材13,14の前後各側は、ウエスト側サイドフラップ部SF(脚周り開口の縁Leよりウエスト側)にかけて設けられている。
【0043】
また、脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14における前後両端部と重なる部分では、脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14を挟持する隣接シート(バックシート1と外装シート12)が固着されていない非固着領域とされ、この領域内では脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14は隣接シート(バックシート1と外装シート12)に固着されていない。これは、製造時に行われる前後縁での切断により弾性伸縮部材13,14を同時に切断し、脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14の前後端部を収縮させて、隣接シート間に引き込ませ、前後縁からはみ出ないようにするためである。この結果、図2、図3等に示すように、外装シート12とバックシート1との間に非固着領域からなる筒状の通路12rが形成される。この通路12rは製品前後縁に開口している。脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14の他の部分(前後方向中間部分)と重なる部分では、両シート1,12が固着され、この固着領域内では脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14は伸張状態で両シート12,1に接着固定される。
【0044】
上記例では、脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14における通路12r(非固着領域)内の部分は、隣接シート(バックシート1と外装シート12)の両者に固着されていない形態であるが、内シートであるバックシート1に対してだけであれば固着されていても良い。
【0045】
(ファスニングテープ)
背側部分Bの両ウエスト側サイドフラップ部SFには、各側縁からそれぞれ突出するファスニングテープ5が各上下一対設けられている。ファスニングテープ5は、背側部分Bのウエスト側サイドフラップ部SFにおけるシート間にホットメルト接着剤等の手段により固定された固定部5fと、サイドフラップ部SFの側縁のシート間から幅方向外側に突出する本体部5eとを有するテープ基材5aを主体として形成されており、このテープ基材5aにおける本体部5eは先端の摘み部5pと、この摘み部5pの基端部側の外面に設けられた係止部9とを有している。係止部9は、表面にフック状突起を多数有する面ファスナーの雄材(メカニカルファスナーのフックテープ)で形成するのが望ましいが、粘着剤層により形成することもできる。
【0046】
ファスニングテープ5のテープ基材5aは、特に限定されないが不織布が好適である。不織布としては公知のものを特に限定無く用いることができる。不織布を構成する繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。また、不織布の製造方法としては、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等の公知の方法を用いることができる。特にオレフィン系繊維を用いたスパンボンド不織布、SMS不織布が好ましい。テープ基材5aは、一枚の不織布で形成する他、複数枚の不織布を貼り合わせて形成することもできる。使用する不織布の坪量は適宜定めることができるが、本体部5eにおける不織布の総坪量が20〜75g/m2、特に26〜46g/m2であり、固定部5f及び先端部5pにおける不織布の総坪量がそれぞれ35〜130g/m2、特に46〜116g/m2であると好ましい。
【0047】
各ファスニングテープ5の寸法については適宜定めれば良いが、例えば図示形態の場合、高さ(上下方向長さ)を10〜30mm、固定部5fの長さ(展開状態での幅方向長さ)を20〜60mm、本体部5eの長さ(展開状態での幅方向長さ)を50〜120mm、先端部5pの長さ(展開状態での幅方向長さ)を5〜15mmとすることができる。
【0048】
特徴的には、ファスニングテープ5における係止部9を含む部分が自身よりも基端部側の部分と重なるように折り返され、係止部9が基端部側の部分に係止されるとともに当該基端部側の部分で被覆された状態とされる。この折り返しの位置は係止部9の基端側の縁であるのが好ましいが、係止部9の基端側の縁よりもさらに基端側とすることもできる。
【0049】
一方、腹側部分Fの両側のサイドフラップ部SFには、上下一対のファスニングテープ5と対応する高さ位置に、ファスニングテープ5の挿通部として上下一対のスリット6がそれぞれ表裏方向に貫通するように形成されている。スリット6はファスニングテープ5が挿通しうる限り特に限定されないが、図示形態では、スリット6は、バックシート1及びバリヤーシート4が貼り合わされたサイドフラップ部SFに、ファスニングテープ5よりも若干長く切り目を入れることにより形成されている。
【0050】
身体への装着に際しては、図7(a)に示すように、ファスニングテープ5における係止部9を含む部分が折り返されて基端部側の部分で被覆された状態のままで、ファスニングテープ5における少なくとも係止部9を含む部分までをスリット6に挿し通した後、図7(a)に二点鎖線で示すように、係止部9を含む部分を基端部側の部分から剥離して広げるとともに、図7(b)に示すように、背側に引き戻して係止部9をファスニングテープ5又は背側の外面に係止する。よって、ファスニングテープ5をスリット6に挿し通す際には、ファスニングテープ5における係止部9を含む部分が折り返されて基端部側の部分で被覆されているため、ファスニングテープ5をスリット6に通し易くなる。
【0051】
なお、図示形態ではファスニングテープ5における係止部9の被覆部分から外装シート12の外面にかけて、一体的な被係止シート10を貼り付け、これを係止部9を係止するための被係止部とすることにより係止部9の着脱を容易にしているが、この被係止シート10は省略することもでき、その場合、外装シート12又はファスニングテープ5のテープ基材の外面がそれぞれ被係止部及び係止部9の被覆部分を形成することになる。ただし、図示形態のように被係止シート10を設けることにより、ファスニングテープ5自体の強度及びサイドフラップ部SFに対する固定強度を高めることができる。この被係止シート10としては、係止部9が面ファスナーの雄材である場合には面ファスナーの雌材(表面に多数のループ糸が突出するシート)、又はエンボス加工等により補強した不織布を用いることができ、係止部9が粘着剤層である場合には粘着剤が容易に着脱できるようなフィルムを用いることができる。
【0052】
また、図示形態では、ファスニングテープ5の先端部に、係止部9を有しない摘み部5pを設けたことにより、図7(a)に示すように、係止部9が基端部側の部分に係止された状態でファスニングテープ5をスリット6に挿し通す際には、摘み部5pがカエシとならず、容易に挿し通すことができる一方で、図6に示すように、スリット6に挿し通した後には摘み部5pが側方に開いてカエシ(抜け難くするための引っ掛かり)となり、スリット6に引っ掛るため、仮止めせずともファスニングテープ5がスリット6から抜け難くなる。よって、全てのファスニングテープ5を各スリット6に通した状態で全体のバランスを見ながらファスニングテープ5を止めるといった手順を取りやすくなる。
【0053】
さらに、図示形態では、脚付根部弾性伸縮部材13の伸長状態での固定部分のうち腹側部分Fのサイドフラップ部SFに位置する部分において、個々の脚付根部弾性伸縮部材13の間にスリット6を形成している。これにより、図6(b)に示すように、脚付根部弾性伸縮部材13の収縮によりスリットが弾性的に収縮し、スリット6に通したファスニングテープ5が絞めつけられ、ファスニングテープ5は仮止めせずともスリット6から抜けにくくなる。図示形態と異なり、脚周り弾性伸縮部材14の間にスリット6を設けても良く、またスリット6の周囲に専用の孔部弾性伸縮部材を伸長状態で取り付けても良い。
【0054】
(前後バリヤー)
他方、図示形態の使い捨ておむつにおいては、トップシート2の前後端部(図示例の場合はエンドフラップ部EF)に、おむつ内面(図示形態ではトップシート2表面)に対して起立する前後バリヤーシート30が設けられている。より詳細には、図5にも示すように、前後バリヤーシート30は、ウエスト側端部が幅方向全体にわたりトップシート2表面にホットメルト接着剤等の接合手段により接合されるとともに、股間側部分のうち両端部がトップシート2と両バリヤーシート4との間に挟まれて両シートに対してホットメルト接着剤等の接合手段により接合され(図1にはこれらの接合部分が左斜め上向きの斜線で示されている)、これら両端部の間の部分が非固定の自由部分とされ、この自由部分の先端部が内向き(トップシート2側)に折り返されて折り返し部分の対向面相互がホットメルト接着剤等の固手段により固定され、かつこの折り返し部分のシート間に細長状弾性伸縮部材31が幅方向に沿って伸張した状態でホットメルト接着剤等の固手段により固定されている。この細長状弾性伸縮部材31は図示例では所定の間隔を空けて複数本設けられているが、一本でも良い。この自由部分は、細長状弾性伸縮部材31の収縮力が作用する結果、おむつ内面(図示形態ではトップシート2表面)に対して起立する前後バリヤーを構成する。この起立部分の基端は前後バリヤーシート30におけるウエスト側端部の固定部分と内側の自由部分との境に位置する。
【0055】
さらに、背側部分B及び腹側部分Fにおけるウエスト側部分(図示例の場合はウエスト側端部であるエンドフラップ部EF)は、幅方向中間部が幅方向に弾性伸縮する幅方向伸縮部40として構成されている。図示例の幅方向伸縮部40は幅方向中央部にのみ設けられているが、幅方向全体にわたり設けたり、幅方向両側部にのみ設けたりすることもでき、また幅方向中央線WCに関して線対称に設けられているのが好ましい。より詳細には、前後バリヤーシート30のウエスト側端部が内向き(トップシート2側)に折り返され、折り返し部分の対向面相互がホットメルト接着剤等の固手段により固定され、かつこの折り返し部分のシート間に細長状弾性伸縮部材41が幅方向に沿って伸張した状態でホットメルト接着剤等の固手段により固定されている。この細長状弾性伸縮部材41は一本でも良いが図示例のように所定の間隔を空けて複数本設けるのが好ましい。この弾性伸縮部材41の本数は、1〜10本程度、特に2〜5本程度が適当であり、図示例では3本である。また、その間隔は2〜15mm程度、特に3〜7mm程度とするのが好ましい。さらに、細長状弾性伸縮部材41の太さは500〜1500dtex程度、特に800〜1300dtex程度(天然ゴムの場合0.1〜3mm程度、特に0.5〜3mm程度)とするのが好ましく、また取り付け時の伸張率は150〜250%程度、特に160〜200%程度とするのが好ましい。図示例では、前後バリヤーシート30のウエスト側端部を利用して幅方向伸縮部40の弾性伸縮部材41を取り付けているが、この弾性伸縮部材41をトップシート2とバックシート1との間や、バックシート1と外装シート12との間に挟んで固定することもできる。このような幅方向伸縮部40を有することにより、おむつ背側背側部分B及び腹側部分Fにおけるウエスト側端部が装着者の背中に弾力的に押し当てられ、おむつと装着者の背中との間に隙間が発生し難くなる。
【0056】
<その他>
(イ)挿通部は、上記例のようなスリット6(線状の貫通孔)とする他、ある程度の面積を有する貫通孔とすることもできる。また、ズボンのベルトホールのようなテープ通し部とすることもできる。
(ロ)スリット6の向きは、高さ方向に沿う形態が基本となるが、適宜傾けることができ、例えば図示形態のようにウエスト側に位置するスリット6を傾斜させずに、股間側に位置するスリット6を幅方向外側に傾けると、装着状態で、ウエスト側では胴回り方向に沿ってファスニングテープ5を固定し、股間側では脚の付根に沿ってファスニングテープ5を固定できるようになるため好ましい。
(ハ)図11(a)に示すように、ファスングテープ5全体を外装シート12の外面に固定する構造とするとともに、固定部5fを背側部分Bのサイドフラップ部SFの側縁から幅方向中央側に離間させ、本体部5eの基端側に外面非固定部5xを設けるのも好ましい形態である。この形態では、スリット6に通したファスニングテープ5を背側に引き戻して装着したとき、図11(b)に示すように、ファスニングテープ5の折り返し位置が外面非固定部5xに達して、ファスニングテープ5の全体が背側部分Bの外側に位置するようになり、直接肌に触れなくなるため、装着感がより好ましいものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、上記例のようにテープタイプ使い捨ておむつに利用できるものである。
【符号の説明】
【0058】
1…バックシート、2…トップシート、3…吸収体、3X…スリット、4…側部バリヤーシート、5…ファスニングテープ、5p…摘み部、6…スリット、9…係止部、10…被係止シート、12…外装シート、13…脚付根部弾性伸縮部材、14…脚周り弾性伸縮部材、30…前後バリヤーシート、40…幅方向伸縮部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背側の両側部に、側部に固定された基端部と、この基端部から突出する本体部と、この本体部における先端側の外面に設けられた係止部とを有するファスニングテープをそれぞれ備え、
このファスニングテープにおける前記係止部を含む部分を基端部側の部分と重なるように折り返し、前記係止部を基端部側の部分に係止するとともに当該基端部側の部分で被覆した状態となし、
腹側における両側部に、前記ファスニングテープを挿し通す挿通部をそれぞれ設け、
前記ファスニングテープにおける少なくとも前記係止部を含む部分までを前記挿通部に挿し通した後、前記係止部を含む部分を前記基端部側の部分から剥離して広げるとともに、前記背側に引き戻して前記係止部を前記ファスニングテープ又は前記背側の外面に係止することによって、身体に装着するように構成した、
ことを特徴とするテープタイプ使い捨て紙おむつ。
【請求項2】
前記ファスニングテープにおける先端部に、前記係止部を有しない摘み部が形成されており、
前記身体への装着に際して、前記ファスニングテープにおける少なくとも前記摘み部を含む部分までを前記挿通部に挿し通した後には、前記摘み部がカエシとなって前記挿通部に引っ掛かるように構成した、請求項1記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記挿通部が、前記他方の両側部を表裏方向に貫通する貫通孔であり、この貫通孔の周囲に孔部弾性伸縮部材が伸長状態で取り付けられ、この孔部弾性伸縮部材の収縮力により前記貫通孔が収縮されている、請求項1又は2記載の使い捨て紙おむつ。
【請求項4】
股間部と、股間部の前側及び後側にそれぞれ延出する腹側部分及び背側部分とを有する支持部と、
前記支持部の股間部を含む部分に配置された吸収体とを有し、
前記支持部は内シートと外シートとが張り合わされて形成されており、
おむつ幅方向中央線の両側における内シート及び外シート間に、少なくとも前記腹側部分における前記ターゲットテープと重なる部位から股間部を通り前記背側部分まで前後方向に延在するように、複数本の細長状弾性伸縮部材が幅方向に間隔を空けて設けられており、
前記細長状弾性伸縮部材の間に、前記貫通孔が形成されており、
前記細長状弾性伸縮部材のうち、前記貫通孔の周囲の部分が前記孔部弾性伸縮部材を構成している、
請求項3記載テープタイプ使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記係止部は、面ファスナーの雄材で形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のテープタイプ使い捨て紙おむつ。
【請求項6】
前記挿通部は腹側に、及び前記ファスニングテープは背側にそれぞれ設けられるとともに、
腹側に、前記係止部を係止するための被係止部を有しておらず、かつ幅方向に弾性伸縮する幅方向伸縮部を有している、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のテープタイプ使い捨て紙おむつ。
【請求項1】
背側の両側部に、側部に固定された基端部と、この基端部から突出する本体部と、この本体部における先端側の外面に設けられた係止部とを有するファスニングテープをそれぞれ備え、
このファスニングテープにおける前記係止部を含む部分を基端部側の部分と重なるように折り返し、前記係止部を基端部側の部分に係止するとともに当該基端部側の部分で被覆した状態となし、
腹側における両側部に、前記ファスニングテープを挿し通す挿通部をそれぞれ設け、
前記ファスニングテープにおける少なくとも前記係止部を含む部分までを前記挿通部に挿し通した後、前記係止部を含む部分を前記基端部側の部分から剥離して広げるとともに、前記背側に引き戻して前記係止部を前記ファスニングテープ又は前記背側の外面に係止することによって、身体に装着するように構成した、
ことを特徴とするテープタイプ使い捨て紙おむつ。
【請求項2】
前記ファスニングテープにおける先端部に、前記係止部を有しない摘み部が形成されており、
前記身体への装着に際して、前記ファスニングテープにおける少なくとも前記摘み部を含む部分までを前記挿通部に挿し通した後には、前記摘み部がカエシとなって前記挿通部に引っ掛かるように構成した、請求項1記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記挿通部が、前記他方の両側部を表裏方向に貫通する貫通孔であり、この貫通孔の周囲に孔部弾性伸縮部材が伸長状態で取り付けられ、この孔部弾性伸縮部材の収縮力により前記貫通孔が収縮されている、請求項1又は2記載の使い捨て紙おむつ。
【請求項4】
股間部と、股間部の前側及び後側にそれぞれ延出する腹側部分及び背側部分とを有する支持部と、
前記支持部の股間部を含む部分に配置された吸収体とを有し、
前記支持部は内シートと外シートとが張り合わされて形成されており、
おむつ幅方向中央線の両側における内シート及び外シート間に、少なくとも前記腹側部分における前記ターゲットテープと重なる部位から股間部を通り前記背側部分まで前後方向に延在するように、複数本の細長状弾性伸縮部材が幅方向に間隔を空けて設けられており、
前記細長状弾性伸縮部材の間に、前記貫通孔が形成されており、
前記細長状弾性伸縮部材のうち、前記貫通孔の周囲の部分が前記孔部弾性伸縮部材を構成している、
請求項3記載テープタイプ使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記係止部は、面ファスナーの雄材で形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のテープタイプ使い捨て紙おむつ。
【請求項6】
前記挿通部は腹側に、及び前記ファスニングテープは背側にそれぞれ設けられるとともに、
腹側に、前記係止部を係止するための被係止部を有しておらず、かつ幅方向に弾性伸縮する幅方向伸縮部を有している、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のテープタイプ使い捨て紙おむつ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−78371(P2013−78371A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218517(P2011−218517)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
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