説明

テープ貼着方法及びテープ貼着装置

【課題】ハンド部で被着体の貼着位置にテープの仮止め貼着及び本貼着を実現する。
【解決手段】テープ8のタブ部分81をハンド部12で把持して、テープ裏面の貼着面8Aを被着体9の貼着位置90に貼着するテープ貼着装置1であって、先端部82の貼着面を貼着開始位置91付近に当接して先端部位82Aの貼着面8Aを仮止め貼着する姿勢位置P3、先端部位82Aの貼着面8Aを仮止め貼着したまま、先端部位82Aとタブ部分81との間の中間部位83のテープ表面を内側に中間部位83を折り曲げて、タブ部分81と中間部位83との間で弾性変曲したテープ表面の変曲部Xで先端部位82Aのテープ表面を押圧する姿勢位置P5及び、変曲部Xがテープ表面上を押圧しながら移動してテープ裏面の貼着面8Aを貼着位置90に順次本貼着する位置を記憶した記憶部4と、記憶部4に記憶された各位置に基づき、ハンド部12を制御する制御部5とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ貼着方法及びテープ貼着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タブ付きのテープを被着体に貼着するテープ貼着装置は、ツールを付け替え可能にしたアーム機構を有する。例えば、ツールとしてハンド部が取り付けられることで、アーム機構は、ハンド部を使用して、テープのタブ部分を把持し、テープの貼着面を被着体の表面に向けて当該テープを平置きし、被着体の表面にテープを仮止め貼着する。そして、ハンド部に代えてローラ部に付け替えられることで、アーム機構は、ローラ部を使用して、被着体の表面に仮止め貼着したテープの表面を押圧し、被着体の表面にテープを本貼着する。
【0003】
図7は、テープ貼着装置のアーム機構の動作の一例を示す説明図である。図7の(A)に示すアーム機構100は、ツールとしてハンド部101が取り付けられ、ハンド部101でテープ110の後端部位のタブ部分111を把持し、テープ110の先端部112を被着体120の表面の所定の貼着位置まで搬送する。そして、アーム機構100は、搬送したテープ110を被着体120の貼着位置に平置きし、被着体120の貼着位置にテープ110を仮止め貼着する。
【0004】
更に、図7の(B)に示すアーム機構100は、ツールをハンド部101からローラ部102へ付け替えられることにより、ローラ部102で被着体120の貼着位置に仮止め貼着したテープ110の表面を押圧する。その結果、ローラ部102は、貼着位置にテープ110を本貼着する。
【0005】
従って、図7に示すアーム機構100を備えたテープ貼着装置は、付け替え可能なツールとしてハンド部101やローラ部102を使用することで、被着体120の貼着位置にテープ110を本貼着できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−222341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、アーム機構100が1台しかない場合、ツールとしてハンド部101が取り付けられてテープ110を被着体120に仮止め貼着した後、テープ110を被着体120に本貼着するために、ツールをローラ部102に付け替えることを要する。従って、その都度、ツールを付け替える作業が発生する。
【0008】
また、アーム機構100を2台にし、ツールの付け替えを要することなく、ハンド部101が取り付けられたアーム機構と、ローラ部102が取り付けられたアーム機構とに分担させることも考えられるが、アーム機構100を2台にした場合、その設備コストが増加する。
【0009】
一つの側面では、ハンド部でテープの仮止め貼着及び本貼着を容易に実現できるテープ貼着方法及びテープ貼着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一つの態様では、所定長のテープの後端部位をハンド部で把持して、当該テープ裏面の貼着面を被着体の貼着位置に貼着するテープ貼着装置が実行するテープ貼着方法である。前記テープ貼着装置は、前記テープの先端部の貼着面を前記貼着位置の貼着開始位置付近に当接して前記先端部を含む先端部位の貼着面を前記貼着開始位置付近に仮止め貼着する位置に、前記テープの前記後端部位を把持した前記ハンド部を移動する処理を実行する。更に、前記テープ貼着装置は、前記先端部位の貼着面を前記貼着開始位置付近に仮止め貼着したまま、当該仮止め貼着した前記先端部位と前記ハンド部で把持された前記後端部位との間の中間部位のテープ表面を内側に当該中間部位を折り曲げて、前記後端部位と前記中間部位との間で弾性変曲したテープ表面の変曲部で前記先端部位のテープ表面を押圧する位置に、前記ハンド部を移動する処理を実行する。更に、テープ貼着装置は、前記変曲部が前記テープ表面上を押圧しながら移動して当該テープ裏面の貼着面を前記貼着位置に順次本貼着する位置に、前記ハンド部を順次移動する処理を実行する。
【発明の効果】
【0011】
開示の方法では、ハンド部で被着体の貼着位置にテープの仮止め貼着及び本貼着を容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本実施例のテープ貼着装置の一例を示す説明図である。
【図2】図2は、アーム機構の一例を示す説明図である。
【図3】図3は、テープの一例を示す説明図である。
【図4】図4は、テープ貼着処理に関わるテープ貼着装置の動作の一例を示す説明図である。
【図5】図5は、テープ貼着処理に関わるテープ貼着装置の動作の一例を示す説明図である。
【図6】図6は、テープ貼着処理に関わるテープ貼着装置の制御部の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、テープ貼着装置のアーム機構の動作の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて、本願の開示するテープ貼着方法及びテープ貼着装置の実施例を詳細に説明する。尚、以下の実施例では、パーソナルコンピュータのロアカバーにHDD(Hard Disk Drive)カバーを取り付ける際に、HDDカバーがロアカバーから脱落しないようにHDDカバーをテープで仮止めする例を示すが、開示の技術はこれに限定されるものではなく、部材にテープを貼着する場合であれば適用可能である。
【実施例】
【0014】
図1は、本実施例のテープ貼着装置の一例を示す説明図である。テープ貼着装置1は、例えば、パーソナルコンピュータのロアカバーにHDDカバーを取り付ける際に、取付作業を容易ならしめるべく、ロアカバーとHDDカバーとを被着体とし、アーム機構を使用してロアカバー及びHDDカバーの被着体にテープを本貼着する装置である。そして、テープ貼着装置1は、アーム機構を使用して被着体にテープを本貼着することで、HDDカバーがロアカバーに固定されることになる。図1に示すテープ貼着装置1は、アーム機構2と、アクチュエータ3と、記憶部4と、制御部5とを有する。
【0015】
図2は、アーム機構2の一例を示す説明図である。図2に示すアーム機構2は、アーム本体11と、アーム本体11の先端部に取り付けられたハンド部12と、アーム本体11の側面部に取り付けられたエア噴き付け部13とを有する。ハンド部12は、先端部分12Aでテープ8のタブ部分81を把持し、テープ8を被着体9の所定の貼着位置90に搬送し、テープ8の貼着面8Aを貼着位置90に向けてテープ8を貼着位置90に貼着する。
【0016】
図3は、テープ8の一例を示す説明図である。図3に示すテープ8は、例えば、特殊ポリプロピレン等の弾性を有する基材で構成する。テープ8は、例えば、その長さ寸法を70mmの所定長とし、テープ8の後端部位にあるタブ部分81の長さ寸法を10mmとし、その先端部82からタブ部分81までの中間部位83の長さ寸法を60mmとする。更に、テープ8は、先端部82を含む先端部位82Aの長さ寸法を先端部82から3mmとする。更に、テープ8は、そのテープ裏面を、接着剤を塗布した貼着面8Aとし、そのテープ表面を非貼着面8Bとする。
【0017】
エア噴き付け部13は、ハンド部12で把持されたテープ8の先端部位82Aのテープ表面にエアを噴き付けて先端部位82Aのテープ裏面の貼着面8Aを被着体9の貼着位置90に仮止め貼着する。
【0018】
アクチュエータ3は、アーム機構2を駆動するものである。記憶部4は、例えば、テープ貼着処理に関わるプログラムや、当該プログラムを動作させるための設定情報等を記憶する。尚、設定情報は、例えば、テープ貼着処理に関わる各タイミング、テープ8や被着体9に対するハンド部12の姿勢位置、エア噴き付け部13のエア噴き付け時間や噴き付けエア量等の情報を含むものである。制御部5は、テープ貼着装置1全体を制御する。制御部5は、記憶部4に記憶される設定情報に基づいてプログラムを動作させ、アクチュエータ3を通じてアーム機構2のハンド部12及びエア噴き付け部13を駆動制御する。
【0019】
図4及び図5は、テープ貼着処理に関わるテープ貼着装置1の動作の一例を示す説明図である。テープ貼着装置1の制御部5は、図4の(A)に示す通り、ハンド部12の先端部分12Aでテープ8のタブ部分81を把持すべく、ハンド部12を駆動制御する。制御部5は、図4の(A)に示す通り、テープ8の先端部82が被着体9の表面に接触しない、例えば、ハンド部12の先端部分12Aが被着体9の表面と対向しない姿勢位置P1へハンド部12を移動させる。
【0020】
そして、制御部5は、テープ8の先端部82が被着体9の貼着位置90内の貼着開始位置91付近に当接する、例えば、ハンド部12の先端部分12Aが被着体9の貼着開始位置91と対向する姿勢位置P2へハンド部12を移動させる。
【0021】
制御部5は、テープ8の先端部82を貼着開始位置91付近に当接させたまま、例えば、ハンド部12の先端部分12Aが貼着位置90の後方側(図中左側)から第1の角度θ1で貼着開始位置91と対向する姿勢位置P3へハンド部12を移動させる。尚、第1の角度θ1の設定範囲は、被着体9の表面に対して、例えば、45度〜60度の範囲とする。ハンド部12は、被着体9に対するテープ8の先端部82の角度を第1の角度θ1に設定することで、エア噴き付け部13からのエアを、貼着開始位置91付近に当接したテープ8の先端部位82Aのテープ表面に安定して噴き付けることが可能となる。尚、エア噴き付け部13のエア噴き付け角度θは、被着体9の表面に対する角度とし、第1の角度θ1の設定に応じて変更できるものとする。
【0022】
そして、制御部5は、ハンド部12が姿勢位置P3のまま、図4の(B)に示す通り、テープ8の先端部位82Aのテープ表面にエアを噴き付けるべく、エア噴き付け部13を駆動制御する。テープ貼着装置1は、先端部位82Aのテープ表面に対するエアの噴き付けで、テープ裏面の貼着面8Aを被着体9の貼着開始位置91付近に仮止め貼着できる。
【0023】
そして、制御部5は、テープ8の先端部位82Aを貼着開始位置91付近に仮止め貼着した状態で、図4の(C)に示す通り、中間部位83の非貼着面8Bを内側にして折り曲げる姿勢位置P4へハンド部12を移動させる。尚、姿勢位置P4は、ハンド部12の先端部分12Aを方向Y1へ、貼着開始位置91を超える位置(図4(C)の右側方向)まで移動させた結果、先端部分12Aが被着体9の表面に対して第2の角度θ2で貼着開始位置91付近と対向する位置である。方向Y1は、被着体9の表面と並行する所定の方向である。第2の角度θ2の設定範囲は、被着体9の表面に対して、例えば、45度〜60度の範囲である。
【0024】
尚、第2の角度θ2が大きすぎると、例えば、ハンド部12の先端部分12Aがテープ8のタブ部分81付近の貼着面8Aに当接する場合や、テープ8の中間部位83に対する曲げ応力で仮止め貼着部分が剥離してしまう場合が考えられる。また、第2の角度θ2が小さすぎると、例えば、テープ8のテープ表面上に、後述する変曲部Xを形成することができない場合が考えられる。そこで、このような不都合に対処すべく、第2の角度θ2の設定範囲は、被着体9の表面に対して、例えば、45度〜60度の範囲とする。
【0025】
そして、制御部5は、図4の(D)に示す通り、ハンド部12の先端部分12Aが被着体9の表面から所定距離L1だけ離間する状態の姿勢位置P5へハンド部12を移動させる。尚、姿勢位置P5は、ハンド部12の先端部分12Aが被着体9の表面から所定距離L1だけ離間した状態で、先端部分12Aでテープ8のタブ部分81付近の弾性変曲させたテープ表面の部分を変曲部Xとする位置である。更に、姿勢位置P5は、変曲部Xが先端部位82Aの非貼着面8Bを押圧する位置となる。つまり、テープ8は、側面から見ると、図4の(D)に示す通り、ハンド部12で把持されたタブ部分81と仮止め貼着部分である先端部位82Aとの間の中間部位83において、テープ表面を内側にして中間部位83が折り曲げられることで略S字形状を成す。そして、タブ部分81と中間部位83との間の弾性変曲させたテープ表面の凸部が変曲部Xとなる。尚、仮止め貼着部分のテープ表面に対する変曲部Xの押圧力は、例えば、30〜35g/cmとなる。
【0026】
制御部5は、図5の(A)に示す通り、ハンド部12の先端部分12Aが被着体9の表面から所定距離L1だけ離間した状態で、中間部位83の貼着面8Aを貼着位置90に順次貼着する姿勢位置P6を維持しつつ、ハンド部12を貼着方向Y2に移動させる。尚、貼着方向Y2は、被着体9の表面と並行する方向Y1と反対の方向、すなわちテープ8を貼着する方向である。
【0027】
そして、制御部5は、図5の(B)に示す通り、ハンド部12を貼着方向Y2へ移動させることにより、テープ8の貼着面8Aが貼着終了位置92付近に到達する。制御部5は、貼着面8Aが貼着終了位置92付近に到達した場合、ハンド部12の移動に伴って先端部分12Aが被着体9の表面から徐々に上昇する姿勢位置P7で、ハンド部12を順次移動させる。尚、テープ8の貼着面8Aが貼着終了位置92付近に到達した場合とは、変曲部Xによる中間部位83の未貼着部分が減少してコブ状となる直前のタイミングである。また、姿勢位置P7は、ハンド部12が貼着方向Y2へ移動するに伴って、その先端部分12Aが被着体9の表面から徐々に上昇するため、変曲部Xによるテープ8のコブの発生を防止できるハンド部12の位置である。
【0028】
制御部5は、図5の(C)に示す通り、ハンド部12の先端部分12Aを貼着方向Y2へ移動させ、先端部分12Aが貼着位置90を超える位置(図5の(C)の左側)から所定角度で貼着終了位置92に向かう姿勢位置P8へハンド部12を移動させる。その結果、ハンド部12は、タブ部分81を除くテープ8の貼着面8Aを被着体9の貼着位置90に本貼着したことになる。そして、制御部5は、ハンド部12によるタブ部分81の把持を開放すべく、ハンド部12を駆動制御する。
【0029】
そして、制御部5は、図5の(D)に示す通り、ハンド部12の把持を開放した後、次のテープ8のタブ部分81を把持すべく、ハンド部12の先端部分12Aを被着体9の表面から離れた姿勢位置P9へハンド部12を移動させる。
【0030】
次に、本実施例のテープ貼着装置1の動作について説明する。図6は、テープ貼着処理に関わる制御部5の処理動作の一例を示すフローチャートである。尚、説明の便宜上、テープ8の長さ寸法を70mmとした場合、タブ部分81の長さ寸法を10mm、テープ裏面の貼着面8Aの長さ寸法60mm、先端部位82Aの仮止め貼着部分の長さ寸法を3mmとする。テープ8の基材は特殊ポリプロピレン、その接着剤をゴム系、テープ厚を0.114mm、180度方向の粘着力を7.1N/cm、引張強さ280N/cm、伸び30%とする。
【0031】
図6に示すテープ貼着処理とは、アーム機構2のハンド部12を使用して被着体9の貼着位置90にテープ8を自動貼着する処理である。図6において制御部5は、図4の(A)に示す通り、ハンド部12を図示せぬ待機位置から姿勢位置P1に移動させるべく、アーム機構2のアクチュエータ3を駆動制御する(ステップS11)。つまり、ハンド部12は、先端部分12Aでテープ8のタブ部分81を把持したまま、テープ8の先端部82が被着体9の表面に触れることなく、先端部分12Aが被着体9の表面と対向しない姿勢位置P1に移動する。
【0032】
制御部5は、図4の(A)に示す通り、ハンド部12を姿勢位置P1から姿勢位置P2に移動させるべく、アーム機構2のアクチュエータ3を駆動制御する(ステップS12)。つまり、ハンド部12は、テープ8の先端部82が被着体9の貼着開始位置91付近に当接するように、先端部分12Aが被着体9の表面と対向する姿勢位置P2へ移動する。
【0033】
更に、制御部5は、図4の(A)に示す通り、ハンド部12を姿勢位置P2から姿勢位置P3に移動させるべく、アーム機構2のアクチュエータ3を駆動制御する(ステップS13)。つまり、ハンド部12は、テープ8の先端部位82Aを被着体9の貼着開始位置91付近に当接させたまま、先端部分12Aが貼着位置90の後方側(図中左側)から第1の角度θ1で貼着開始位置91と対向する姿勢位置P3へ移動する。
【0034】
制御部5は、エア噴き付け部13のエア噴き付け動作をONし(ステップS14)、ハンド部12を姿勢位置P3に待機する(ステップS15)。更に、制御部5は、姿勢位置P3での待機開始から0.2秒経過したか否かを判定する(ステップS16)。尚、エア噴き付け部13は、被着体9の貼着開始位置91付近にある、テープ8の先端部位82Aのテープ表面上にエアを噴き付ける。その結果、エア噴き付け部13は、そのエア噴き付けでテープ裏面の貼着面8Aである仮止め貼着部分(3mm)を被着体9の貼着開始位置91付近に仮止め貼着したことになる。
【0035】
更に、制御部5は、待機開始から0.2秒を経過していない場合(ステップS16否定)、姿勢位置P3でのハンド部12の待機動作を継続すべく、ステップS15に移行する。つまり、制御部5は、テープ8の先端部位82Aのテープ表面に対するエアの噴き付け動作を0.2秒間、継続するものである。
【0036】
また、制御部5は、0.2秒を経過した場合(ステップS16肯定)、エア噴き付け部13のエアの噴き付け動作をOFFする(ステップS17)。更に、制御部5は、図4の(C)に示す通り、ハンド部12を姿勢位置P3から姿勢位置P4に移動させるべく、アーム機構2のアクチュエータ3を駆動制御する(ステップS18)。つまり、ハンド部12は、テープ8の先端部位82Aの仮止め貼着部分を被着体9の貼着開始位置91付近に仮止め貼着したまま、先端部分12Aが貼着位置90の前方側から第2の角度θ2で貼着開始位置91と対向する姿勢位置P4に移動する。その結果、テープ8は、ハンド部12で把持されたタブ部分81と、仮止め貼着部分の先端部位82Aとの間の中間部位83のテープ表面を内側にして中間部位83が折り曲げられたことで略S字形状となる。
【0037】
更に、制御部5は、図4の(D)に示す通り、ハンド部12を姿勢位置P4から姿勢位置P5に移動させるべく、アーム機構2のアクチュエータ3を駆動制御する(ステップS19)。尚、ハンド部12は、先端部分12Aが仮止め貼着部分である先端部位82Aのテープ表面から所定距離L1だけ離間したまま、タブ部分81と中間部位83との間で弾性変曲させたテープ表面の凸部で変曲部Xをなす姿勢位置P5に移動する。その結果、ハンド部12は、テープ8の変曲部Xで仮止め貼着部分である先端部位82Aのテープ表面を押圧する。
【0038】
更に、制御部5は、図5の(A)に示す通り、ハンド部12を姿勢位置P5から姿勢位置P6に順次移動させるべく、アーム機構2のアクチュエータ3を駆動制御する(ステップS20)。つまり、ハンド部12は、変曲部Xでテープ8の中間部位83のテープ表面を押圧して中間部位83の未貼着部分の貼着面8Aを被着体9の貼着位置90に本貼着する姿勢位置P6に移動する。その結果、テープ貼着装置1は、姿勢位置P5から姿勢位置P6へとハンド部12を貼着方向Y2に移動すると、変曲部Xがテープ8の先端部位82Aから中間部位83の未貼着部分の貼着面8Aを被着体9の貼着位置90に順次本貼着する。
【0039】
更に、制御部5は、図5の(B)に示す通り、ハンド部12を姿勢位置P6から姿勢位置P7に移動させるべく、アーム機構2のアクチュエータ3を駆動制御する(ステップS21)。尚、ハンド部12は、テープ8の貼着面8Aが貼着終了位置92付近に到達した場合、姿勢位置P7から貼着方向Y2への移動に伴って、その先端部分12Aを被着体9の表面から徐々に上昇する。尚、貼着終了位置92付近とは、テープ8の後端部(タブ部分81)から残り12mm程度、例えば、テープ8の先端部82から58mmまでの貼着面8Aが貼着位置90に到達した位置付近である。その結果、ハンド部12は、貼着方向Y2への移動に伴って、その先端部分12Aが被着体9の表面から徐々に上昇するため、変曲部Xによるテープ8のコブの発生を防止できる。
【0040】
更に、制御部5は、図5の(C)に示す通り、ハンド部12を姿勢位置P7から姿勢位置P8に移動させるべく、アーム機構2のアクチュエータ3を駆動制御する(ステップS22)。つまり、ハンド部12は、その先端部分12Aを貼着位置90の後方側から45度〜60度の角度で貼着終了位置92に対向する姿勢位置P8に移動する。その結果、ハンド部12は、テープ8の先端部位82Aから中間部位83の貼着面8Aを被着体9の貼着位置90に本貼着したことになる。
【0041】
更に、制御部5は、図5の(C)に示す通り、ハンド部12を姿勢位置P8に移動した後、ハンド部12によるテープ8のタブ部分81の把持を開放し(ステップS23)、把持の開放が完了したか否かを判定する(ステップS24)。
【0042】
そして、制御部5は、ハンド部12による把持の開放が完了した場合(ステップS24肯定)、図5の(D)に示す通り、ハンド部12を姿勢位置P8から姿勢位置P9に移動させるべく、アーム機構2のアクチュエータ3を駆動制御する(ステップS25)。つまり、ハンド部12は、次のテープ8のタブ部分81を把持すべく、先端部分12Aを被着体9の表面から大きく離れた姿勢位置P9に移動したことになる。そして、制御部5は、ハンド部12を姿勢位置P9に移動した後、図6に示す処理動作を終了する。
【0043】
また、制御部5は、ハンド部12による把持の開放が完了しなかった場合(ステップS24否定)、その把持の開放を継続すべく、ステップS23に移行する。
【0044】
本実施例のテープ貼着装置1は、ハンド部12でテープ8のタブ部分81を把持し、先端部位82Aを被着体9の貼着開始位置91付近に仮止め貼着する。更に、テープ貼着装置1は、先端部位82Aを貼着開始位置91付近に仮止め貼着したまま、先端部位82Aとタブ部分81との間の中間部位83のテープ表面を内側に折り曲げて弾性変曲したテープ表面の凸部を変曲部Xとし、変曲部Xでテープ表面を押圧する。更に、テープ貼着装置1は、テープ8を把持したハンド部12を貼着方向Y2に移動し、ハンド部12の移動に伴う変曲部Xの移動でテープ表面を順次に押圧する。その結果、テープ貼着装置1は、ローラ部を使用しなくても、ハンド部12で被着体9の貼着位置90にテープ8を本貼着できる。
【0045】
本実施例のテープ貼着装置1は、テープ8の先端部82を貼着開始位置91付近に当接した状態で、先端部位82Aのテープ表面にエア噴き付け部13のエアを噴き付ける。その結果、テープ貼着装置1は、テープ8の先端部位82Aの貼着面8Aを貼着開始位置91付近に安定的に仮止め貼着することで、その中間部位83の曲げ応力に耐え得るため、テープ8を貼着位置90により確実に貼着できる。
【0046】
本実施例のテープ貼着装置1は、貼着開始位置91付近の仮止め貼着部分である先端部位82Aのテープ表面を変曲部Xで押圧しながら、テープ裏面の貼着面8Aを貼着開始位置91から貼着位置90に順次本貼着する。更に、テープ貼着装置1は、被着体9の表面から所定距離L1だけ離間した状態で、ハンド部12を貼着方向Y2に移動する。その結果、テープ貼着装置1は、ハンド部12の先端部分12Aが被着体9の表面に触れることなく、変曲部Xでテープ表面を押圧することになるため、ハンド部12でテープ8を傷付けることはなく、テープ8を貼着位置90に確実に本貼着できる。
【0047】
本実施例のテープ貼着装置1は、被着体9の表面から所定距離L1だけ離間したまま、ハンド部12を貼着方向Y2に移動する。更に、テープ貼着装置1は、テープ裏面の貼着面8Aが貼着終了位置92付近に到達した位置で、ハンド部12の先端部分12Aを貼着位置90の後方側から貼着終了位置92に向けてハンド部12を切り返す。更に、テープ貼着装置1は、ハンド部12の先端部分12Aの向きを切り返した後、ハンド部12の把持を開放する。その結果、テープ貼着装置1は、テープ8を被着体9の貼着位置90に確実に本貼着できる。
【0048】
また、上記実施例では、テープ8の基材として特殊ポリプロピレンを使用したが、ポリプロピレン、ポリエチレン+クレープ紙やポリエステル等を基材として使用するテープにも適用可能である。尚、ポリプロピレンを基材としたテープは、例えば、接着剤をゴム系、テープ厚を0.2mm、貼着力を8.8N/cm、引張強さを472N/cm、伸び率を19%である。また、ポリエチレン+クレープ紙を基材としたテープは、例えば、接着剤をゴム系、テープ厚を0.25mm、貼着力を3.33N/cm、引張強さを43N/cm、伸び率を9%である。また、ポリエステルを基材としたテープは、例えば、テープ厚を0.07mm、貼着力を7.8N/25mm、引張強さを176.5N/25mm、伸び率を95%である。
【0049】
また、上記実施例では、具体的な数値を例示したが、これら数値に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0050】
1 テープ貼着装置
2 アーム機構
3 アクチュエータ
4 記憶部
5 制御部
8 テープ
8A 貼着面
9 被着体
12 ハンド部
12A 先端部分
13 エア噴き付け部
81 タブ部分
82 先端部
82A 先端部位
83 中間部位
90 貼着位置
91 貼着開始位置
92 貼着終了位置
X 変曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定長のテープの後端部位をハンド部で把持して、当該テープ裏面の貼着面を被着体の貼着位置に貼着するテープ貼着装置が実行するテープ貼着方法であって、
前記テープ貼着装置は、
前記テープの先端部の貼着面を前記貼着位置の貼着開始位置付近に当接して前記先端部を含む先端部位の貼着面を前記貼着開始位置付近に仮止め貼着する位置に、前記テープの前記後端部位を把持した前記ハンド部を移動し、
前記先端部位の貼着面を前記貼着開始位置付近に仮止め貼着したまま、当該仮止め貼着した前記先端部位と前記ハンド部で把持された前記後端部位との間の中間部位のテープ表面を内側に当該中間部位を折り曲げて、前記後端部位と前記中間部位との間で弾性変曲したテープ表面の変曲部で前記先端部位のテープ表面を押圧する位置に、前記ハンド部を移動し、
前記変曲部が前記テープ表面上を押圧しながら移動して当該テープ裏面の貼着面を前記貼着位置に順次本貼着する位置に、前記ハンド部を順次移動する
各処理を実行することを特徴とするテープ貼着方法。
【請求項2】
前記テープ貼着装置は、
前記先端部の前記貼着面を前記貼着開始位置付近に当接した状態で、前記先端部位のテープ表面にエアを噴き付けて前記先端部位の貼着面を前記貼着開始位置付近に仮止め貼着したことを特徴とする請求項1に記載のテープ貼着方法。
【請求項3】
前記テープ貼着装置は、
前記変曲部が前記貼着開始位置付近に仮止め貼着された前記先端部位のテープ表面を押圧する際、前記被着体の表面から所定距離だけ離間した状態で、前記テープの後端部位を把持した前記ハンド部を前記貼着位置のテープ貼着方向に移動することを特徴とする請求項1に記載のテープ貼着方法。
【請求項4】
前記テープ貼着装置は、
前記被着体の表面から前記所定距離だけ離間した状態で、前記テープの後端部位を把持した前記ハンド部を前記テープ貼着方向に移動し、前記貼着位置の貼着終了位置付近に前記テープの貼着面が到達した場合に、前記ハンド部を前記被着体の表面から徐々に離間して、前記ハンド部の前記後端部位の把持を開放することを特徴とする請求項1に記載のテープ貼着方法。
【請求項5】
前記テープ貼着装置は、
前記先端部位のテープ表面にエアを噴き付ける際、前記先端部の前記貼着面を前記貼着開始位置付近に当接した状態で、前記貼着位置の貼着終了位置側から、前記テープの後端部位を把持した前記ハンド部の先端部分が前記貼着開始位置と対向する位置に、前記ハンド部を移動して、前記先端部位のテープ表面にエアを噴き付けることを特徴とする請求項2に記載のテープ貼着方法。
【請求項6】
所定長のテープの後端部位をハンド部で把持して、当該テープ裏面の貼着面を被着体の貼着位置に貼着するテープ貼着装置であって、
前記テープの先端部の貼着面を前記貼着位置の貼着開始位置付近に当接して前記先端部を含む先端部位の貼着面を前記貼着開始位置付近に仮止め貼着する位置、前記先端部位の貼着面を前記貼着開始位置付近に仮止め貼着したまま、当該仮止め貼着した前記先端部位と前記ハンド部で把持された前記後端部位との間の中間部位のテープ表面を内側に当該中間部位を折り曲げて、前記後端部位と前記中間部位との間で弾性変曲したテープ表面の変曲部で前記先端部位のテープ表面を押圧する位置及び、前記変曲部が前記テープ表面上を押圧しながら移動して当該テープ裏面の貼着面を前記貼着位置に順次本貼着する位置を記憶した記憶部と、
前記記憶部に記憶された各位置に基づき、前記ハンド部を制御する制御部と
を有することを特徴とするテープ貼着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−27957(P2013−27957A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165852(P2011−165852)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】