説明

ディスククリーナ及びディスク装置

【課題】ディスク情報の読み書きに併せてディスクに付着していた塵埃を非接触で除去することができるディスククリーナを提供する。
【解決手段】ピックアップ3と、スピンドルにより回転するメディアディスク12の半径方向にピックアップ3を往復移動させることが可能なキャリッジ16とを備えるディスクドライブ13におけるディスククリーナであって、ピックアップ3に設けた帯電可能な帯電部6と、帯電部6を帯電させる誘電部10及び帯電部6の塵埃を除去する塵埃除去ブラシ8を有して回動することが可能な基台7とを備えており、帯電部6によりメディアディスク12に付着した塵埃を非接触で除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクの塵埃を除去するディスククリーナ及びディスククリーナを備えたディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報の記録再生で使用される光ディスク及び光磁気ディスク等は、音響機器、映像機器及びパーソナルコンピュータ等に利用されている。デジタルの音楽メディアとしてはコンパクトディスク(CD)及びデジタル方式の小型録音再生機用の光磁気ディスクであるミニディスク(MD)が使用され、映像メディアとしてはデジタルビデオディスク(DVD)が使用されている。またコンピュータ用の記録メディアとしてはCD等が使用されているが、近年では情報を書き込むことが可能なCD−R/RW等も使用されるようになってきている。
【0003】
これらメディアの記録再生はディスクドライブに設けられた光学式のピックアップでなされる。ディスクドライブはメディアディスクをスピンドルモータで回転させ、ピックアップでメディアディスクに情報を記録し又は記録された情報を読み出す。ピックアップはメディアディスクに対して半径方向に移動して情報を記録再生する。
【0004】
このようなピックアップで記録再生する装置では、メディアディスクに付着する塵埃がエラーの原因となり得るため、従来から、専用のクリーニング装置内にメディアディスクを入れて、帯電させた帯電体を接触させてメディアディスク表面に付着した塵埃を除去することが行われている。
【0005】
この種のクリーニング方法として以下の提案がある。
特許文献1に示す例では、媒体(メディアディスク)上の塵埃を掻き落とすブラシと、掻き落とされた塵埃を拭き取るスポンジと、浮遊している塵埃を吸い取る永久帯電紙とからなるクリーナーを光学ヘッド(ピックアップ)に取り付けることにより、光学ヘッドが媒体上をアクセスして動く間、常にクリーナーが働き媒体上の塵埃を取り除くことができるようにしている。
【0006】
また特許文献2に示す例では、光学ディスクのデータ記録面に対する光軸の垂直度を常に維持させるスキュー調整機構のオーバーストロークを利用して、クリーニングローラを光学ディスクのデータ記録面に自動的に接触させて、そのデータ記録面に付着した塵埃を除去するようにしている。
【0007】
さらに特許文献3に示す例では、光学式記録媒体及び光磁気記録媒体に記録された情報を読みとるディスクプレーヤーの内部に蓄積した塵埃を除去するクリーナーであって、該クリーナーが絶縁材料を用いて形成され、帯電した静電気により周囲の塵埃を吸着して除去するようになっている。
【特許文献1】実開平2−96681号公報
【特許文献2】特開平10−275449号公報
【特許文献3】特開2001−195713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら従来の専用のクリーニング装置内にメディアディスクを入れてクリーニングする方法では、ディスクドライブにメディアディスクを装着する段階で、ディスクトレーに堆積又はディスクドライブ内に浮遊してメディアディスクに付着した塵埃を除去することができない。
【0009】
また特許文献1及び2のような従来のクリーニング装置では、メディアディスクに直接クリーナー又はクリーニングローラを接触させて塵埃を除去しているため、メディアディスク自体を傷つけかねず、非接触でクリーニングするには改善の余地がある。
また特許文献3はディスクプレーヤー内の塵埃を非接触で除去することができるが、メディアディスク自体に付着した塵埃を除去する技術は開示されていない。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ディスクの半径方向に往復移動するピックアップに設けた帯電部と、帯電部を帯電させる誘電部と、帯電部の塵埃を除去する塵埃除去部とを備えることにより、専用のクリーニング装置が不要で、ディスク情報の読み書きに併せてディスクに付着していた塵埃を非接触で除去することができるディスククリーナを提供することにある。
【0011】
また本発明の他の目的とするところは、ピックアップのピックアップレンズに関しディスクの外周側に並設してある帯電部を備えることにより、ピックアップレンズからの照射光がディスクに照射される直前に、ディスクに付着した塵埃を非接触で除去することができるディスククリーナを提供することにある。
【0012】
さらに本発明の他の目的とするところは、ピックアップハウジング又はピックアップカバーに帯電部を備えることにより、帯電部をディスクに近接させて帯電部の静電吸着力を大きくしたディスククリーナを提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的とするところは、誘電部及び塵埃除去部を有して回動又は回転することが可能な基台を円盤状又は扇状にすることにより、同じ位置で帯電部を帯電させ、帯電部の塵埃を除去することができるディスククリーナを提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的とするところは、誘電部及び塵埃除去部を有して回動又は回転することが可能な基台を矩形状にして小型化することにより、スペース効率のよいディスククリーナを提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的とするところは、ピックアップに設けた帯電部が誘電部に接触する帯電開始位置又は塵埃除去部に接触するクリーニング開始位置に来て停止すると、基台が回動する構成とすることにより、基台の回動により帯電部を帯電させ又は帯電部の塵埃を除去することができるディスククリーナを提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的とするところは、ディスク装置に本発明のディスククリーナを備えることにより、各種ディスクに付着した塵埃を除去することができるディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のディスククリーナは、回転するディスクの半径方向にピックアップを往復移動させるディスク装置におけるディスククリーナであって、前記ピックアップに設けられ、前記ディスクに付着した塵埃を非接触で除去するようにしてある帯電可能な帯電部と、該帯電部を帯電させる誘電部と、前記帯電部の塵埃を除去する塵埃除去部とを備えていることを特徴とする。
【0018】
このような構成の本発明のディスククリーナでは、誘電部によりピックアップの帯電部を帯電し、帯電部の塵埃を塵埃除去部が除去し、帯電部は静電吸着力によりディスクに付着した塵埃を非接触で除去する。
【0019】
本発明のディスククリーナは、前記帯電部は、前記ピックアップに設けられたピックアップレンズに関し前記ディスクの外周側に並設してあることを特徴とする。
【0020】
このような構成の本発明のディスククリーナでは、ディスクの内側の情報の読み書き開始位置から半径方向にピックアップが移動するとき、帯電部がピックアップレンズに対して先行し、ピックアップレンズから照射光を照射する直前に、ディスクに付着していた塵埃を帯電部が静電吸着する。
【0021】
本発明のディスククリーナは、前記ピックアップのピックアップハウジング及びピックアップカバーのいずれかに前記帯電部を有することを特徴とする。
【0022】
このような構成の本発明のディスククリーナでは、ピックアップに設けた帯電部が、ディスクにいっそう近接して、静電吸着力が大きくなり、ディスクに付着していた塵埃を静電吸着する。
【0023】
本発明のディスククリーナは、円盤状又は扇状であって、同心円上に前記誘電部及び塵埃除去部が設けられてある基台を有しており、該基台は前記ディスクの回転軸と平行な同心軸で回動又は回転することが可能であることを特徴とする。
【0024】
このような構成の本発明のディスククリーナでは、ピックアップの帯電部が帯電する位置と、帯電部の塵埃を除去する位置とが同じになる。
【0025】
本発明のディスククリーナは、矩形状であって、一端に前記誘電部が設けられ、他端に前記塵埃除去部が設けられてある基台を有しており、該基台は前記ディスクの回転軸と平行な前記矩形状の中心点における垂直軸で回動又は回転することが可能であることを特徴とする。
【0026】
このような構成の本発明のディスククリーナでは、基台が小型になり、例えばディスクドライブに占めるスペースが小さくなる。
【0027】
本発明のディスククリーナは、前記ディスク装置は前記ピックアップを往復移動させるキャリッジを有しており、前記帯電部を帯電させる帯電開始位置まで又は前記帯電部の塵埃を除去するクリーニング開始位置まで前記ピックアップを移動させるキャリッジ駆動部と、前記誘電部を前記帯電開始位置まで又は前記塵埃除去部を前記クリーニング開始位置まで回動させる回動駆動部と、前記帯電部を前記誘電部又は前記塵埃除去部に接触させて前記基台を回動させるように前記回動駆動部を回動又は停止を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0028】
このような構成の本発明のディスククリーナでは、ピックアップに設けた帯電部がキャリッジ駆動部により帯電開始位置に移動して停止したとき、基台が回動駆動部により回動して、帯電部が誘電部に接触して摩擦帯電する。
さらに、ピックアップに設けた帯電部がキャリッジ駆動部によりクリーニング開始位置に移動して停止したとき、基台が回動駆動部により回動して、帯電部が塵埃除去部により帯電部の塵埃を除去する。
【0029】
本発明のディスク装置は、本発明のディスククリーナと、ピックアップと、スピンドルにより回転するディスクに対して前記ピックアップを移動させるキャリッジとを備えることを特徴とする。
【0030】
このような構成の本発明のディスク装置では、例えば光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスク及びハードディスクの各種ディスクに付着した塵埃を除去する。
【発明の効果】
【0031】
本発明のディスククリーナは、ディスクの半径方向に移動して情報の読み書きをするピックアップに併せて、ピックアップに設けた帯電部がディスクの塵埃を静電吸着するので、ディスクに付着していた塵埃を静電吸着力により非接触で除去することができるという効果を有する。
また塵埃除去部が帯電部に吸着した塵埃を除去し、誘電部が帯電部を再度帯電させるので、ピックアップに設けた帯電部を再利用することができるという効果を有する。
【0032】
本発明のディスククリーナは、帯電部がピックアップレンズに先行するので、ピックアップからの照射光が照射される直前に、ディスクに付着していた塵埃を除去することができるという効果を有する。
【0033】
本発明のディスククリーナは、ピックアップの帯電部がディスクにいっそう近接するので、帯電部の静電吸着力が大きく作用し、ディスクに付着した塵埃を効率よく静電吸着することができるという効果を有する。
【0034】
本発明のディスククリーナは、帯電部が摩擦帯電する位置と、帯電部の塵埃を除去する位置とが同じになるので、同じ位置で帯電部を帯電させ、帯電部の塵埃を除去することができるという効果を有する。
【0035】
本発明のディスククリーナは、基台が小型になるので、例えばディスクドライブに設けたとき、スペース効率がよくなるという効果を有する。
【0036】
本発明のディスククリーナは、キャリッジによりピックアップが移動し、ピックアップに設けた帯電部が基台の誘電部又は塵埃除去部に接触する位置に来て停止したとき、基台が回動するので、基台の回動により帯電部を帯電させ、帯電部の塵埃を除去することができるという効果を有する。
【0037】
本発明のディスク装置は、本発明のディスククリーナを備えているので、各種ディスクに付着した塵埃を除去することができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、図面に基づき、本発明によるディスククリーナの好適な実施の形態を説明する。
図1は本実施の形態に係るディスク装置におけるディスククリーナの外観図である。本実施の形態に係るディスク装置におけるディスククリーナは、メディアディスク12の情報を読み書きするディスクドライブ13に設けられており、ピックアップハウジング2又はピックアップハウジング2を覆う箱状のピックアップカバー4の上部に設けられた板状の帯電部6と、帯電部6に付着した塵埃を除去し、帯電部6を帯電させる塵埃除去用の基台7とを備える。
ピックアップ3がピックアップカバー4を備えていない場合は、ピックアップハウジング2に帯電部6を設ける。即ち、ピックアップ3の上部に帯電部6を設けることにより、帯電部6をメディアディスク12に近接させ、静電力が大きく作用するようにしている。
【0039】
ディスクドライブ13(ディスク装置)は、メディアディスク12を載置してスピンドル36(図5参照)で回転させるターンテーブル14と、メディアディスク12に情報を記録又は記録された情報を読み出すピックアップ3とを備える。
【0040】
ピックアップ3は、ピックアップハウジング2と、ピックアップハウジング2内に設けられたピックアップレンズ1、コリメータレンズ(図示せず)及びビームスプリッタ(図示せず)などの光学系を保護するピックアップカバー4とを有する。
【0041】
ピックアップカバー4は略中央に開口部5を有し、開口部5からピックアップレンズ1を露出させている。帯電部6はピックアップレンズ1に隣接している。メディアディスク12に対するピックアップ3の半径方向の移動に対して、帯電部6はピックアップレンズ1に関しメディアディスク12の外周側に並設され、ピックアップ3の移動先頭位置に設けられている。つまり、メディアディスク12内側からの読み書き開始位置に対して、内側にピックアップレンズ1が位置し、外側に帯電部6が位置している。
【0042】
ピックアップ3は往復移動可能なキャリッジ16に設けられており、ピックアップレンズ1からレーザ光を照射しながらメディアディスク12に対して半径方向に移動して、メディアディスク12の情報を読み出し又はメディアディスク12に情報を記録するようになっている。
【0043】
図2及び図3は本実施の形態に係るディスク装置におけるディスククリーナの一部断面概略側面図である。図4は本実施の形態に係るディスク装置におけるディスククリーナの基台を示す概略図である。
なお、図3に示す基台7は、図2に示す基台7よりも、メディアディスク12により近い位置に設けられた例である。
基台7は回転板状であり、帯電部6と接触して塵埃を取り除く塵埃除去用ブラシ8(塵埃除去部)と、帯電部6に接触し摩擦帯電させる誘電部10とを有し、サーボモータ22により回動することが可能になっている。
【0044】
誘電部10は基台7の外周に沿って、例えば半円状の帯形で設けられている。誘電部10は帯電部6に接触して摩擦により帯電させるものであり、マイナス帯電及びプラス帯電の別を問わない。帯電部6及び誘電部10は摩擦帯電列の中でお互いに距離が遠い素材であればよい。
例えば、帯電部6がレーヨン及びナイロンなどであれば、誘電部10としてはアクリル、セルロイド、フッ素樹脂などを使用できる。
また誘電部10は部材でなくとも、例えば電子線を放射して帯電部6を帯電させる装置でもよい。
【0045】
塵埃除去用ブラシ8は帯電部6に付着した塵埃を取り除くものであり、誘電部10と同心円上に基台7の外周に沿って設けられている。誘電部10及び塵埃除去用ブラシ8が同心円上に設けられていると、ピックアップ3に設けた帯電部6が摩擦帯電する位置と、帯電部6の塵埃を除去する位置とを同じにできる。
塵埃除去用ブラシ8は帯電防止加工を施されているのが好ましい。塵埃除去用ブラシ8及び誘電部10の厚さは略同一が望ましく、それらの幅は帯電部6の幅よりも大きい方が好ましいが、略同一でもよい。
【0046】
図2及び図3中の矢印はピックアップ3の移動方向を示し、キャリッジ16がピックアップ3を乗せて往復移動可能になっている。図に示すピックアップ3は、帯電部6の帯電開始位置及びクリーニング開始位置にあり、基台7を回動させて、帯電及び塵埃除去をするため、同一の位置にある。基台7の誘電部10との接触により帯電部6を摩擦帯電させる位置が、帯電開始位置であり、塵埃除去用ブラシ8(塵埃除去部)との接触により帯電部6の塵埃を除去する位置が、クリーニング開始位置である。これらの位置は、リミットスイッチ21により検出する。
【0047】
制御部20は、リミットスイッチ21の検出信号の入力に基づいて、キャリッジ駆動部23によりキャリッジ16の移動を停止させるようにしてある。
また制御部20は、サーボモータ22に付属のエンコーダにより基台7における帯電開始位置及びクリーニング開始位置を検出して、サーボモータ22を回動制御するようにしてある。
なお、図4中の24はサーボモータ22の回動軸と嵌合する孔を示す。
【0048】
次に本実施の形態に係るディスク装置におけるディスククリーナの動作を説明する。
図5は本実施の形態に係るディスク装置におけるディスククリーナの動作を示す一部概略側面図である。図6は本実施の形態に係るディスク装置における制御部の動作を示すフローチャートである。
ディスククリーナを動作させる場合は、メディアディスク12をターンテーブル14から取り外しておく。
【0049】
先ず、ディスククリーナ動作開始スイッチをオンにすると、制御部20はキャリッジの移動制御を開始する(ステップS1)。制御部20はリミットスイッチ21の検出信号の有無を判断し(ステップS2)、リミットスイッチ21の検出信号が制御部20に入力されていないとき(ステップS2でNO)、リミットスイッチ21の検出信号を受信するまで、制御部20はキャリッジ駆動部23によりキャリッジ16を移動制御する(ステップS1)。
【0050】
リミットスイッチ21の検出信号が制御部20に入力されたとき(ステップS2でYES)、制御部20はキャリッジ16の移動を停止し、基台7の回動制御を開始する(ステップS3)。制御部20はサーボモータ22を駆動してエンコーダによりクリーニング開始位置のBの位置34(図4参照)に回動したか否かを判断し(ステップS4)、エンコーダがクリーニング開始位置のBの位置34を検出していないとき(ステップS4でNO)、制御部20は検出するまでサーボモータ22を駆動し、基台7を回動制御する(ステップS3)。
【0051】
エンコーダがクリーニング開始位置のBの位置34を検出したとき(ステップS4でYES)、制御部20はエンコーダがクリーニング終了位置(図4における帯電開始位置のAの位置32)を検出するまで一方向に回動して帯電部6のクリーニング処理をする(ステップS5)。このとき、帯電部6と塵埃除去用ブラシ8とが接触することにより、塵埃除去用ブラシ8は帯電部6の塵埃を除去する(ステップS5)。クリーニング開始位置のBの位置34からクリーニング終了位置(図4における帯電開始位置のAの位置32)までの間を初期設定回数により複数回にわたって回動するようにしてもよい。
【0052】
クリーニング終了位置(図4における帯電開始位置のAの位置32)でクリーニング処理が終了すると、制御部20はエンコーダが帯電終了位置(図4におけるクリーニング開始位置のBの位置34)を検出するまで一方向に回動して帯電部6の帯電処理をする(ステップS6)。このとき帯電部6が基台7の誘電部10に接触して摩擦帯電する。
制御部20はエンコーダが帯電終了位置(図4におけるクリーニング開始位置のBの位置34)を検出し、帯電処理を終了してディスククリーナの動作が終了する。
なお、帯電部6を誘電部10と非接触の隙間32(Aの位置)に置いたが、当初から接触するようにしてもよい。
【0053】
このようにしてディスククリーナによりピックアップ3の帯電部6がクリーニングされて帯電された場合、制御部20はキャリッジ16を移動制御し、ピックアップ3は、メディアディスク12の情報を読み書きする原点位置に移動して待機する(図2及び図3)。そして、メディアディスク12をターンテーブル14に装着して読み書きを実行すると、図5に示すように、ピックアップ3はメディアディスク12の半径方向に移動していくにつれて、ピックアップ3からの照射光が照射される直前に、メディアディスク12の記録面に付着している塵埃30を、帯電部6が非接触で静電吸着する。
【0054】
なお、メディアディスク12を取り外してから本実施の形態に係るディスククリーナを動作させたが、メディアディスク12を装着して、ディスククリーナを動作させ、原点位置にピックアップ3を戻してからメディアディスク12を装着するようにしてもよい。
【0055】
帯電部6の静電吸着力が落ちてきた場合には、図6で示したディスククリーナの動作をさせる。
なお、図5中、36はスピンドルを示す。
【0056】
このような構成の本実施の形態に係るディスククリーナは、メディアディスク12の外周位置で基台7の誘電部10を帯電部6に擦り合わせて静電気を帯電させる帯電機構を備えているので、ピックアップカバー4の先頭位置に取り付けた帯電部6の静電力により、ピックアップ3からの照射光が照射される直前に、メディアディスク12の記録再生直前に付着した塵埃を除去することができ、信頼性の高い記録再生特性が得られる。
また、ディスクドライブ13(ディスク装置)内で、ディスクの半径方向に移動して情報の読み書きをするピックアップ3に併せてメディアディスク12のクリーニングをするために、専用のディスククリーニング装置が不要となる。
【0057】
次に、他の実施の形態について説明する。
図7は他の実施の形態に係る扇状の基台の外観図である。図8は他の実施の形態の変形例を示す板状の基台の外観図である。
他の実施の形態に係る基台40は、扇状の回動可能な基台であり、扇状の外周に沿って帯形の誘電部42及び塵埃除去用ブラシ44を同心円上に有する。
図8に示す基台50は直方体状の回動可能な基台であり、一端側に誘電部52を有し、他端側に塵埃除去用ブラシ54を有する。
図7及び図8中の24はサーボモータ22の回動軸と嵌合する孔を示す。
【0058】
このような構成の実施の形態では、誘電部42、52及び塵埃除去用ブラシ44、54をそれぞれ有する基台40、50を小型化できるとともに、ディスクドライブ13のスペースに応じて変形することが可能である。
【0059】
なお、塵埃除去用ブラシは略板状のものを例に挙げたが、基台の外周に沿って誘電部と同様の半円状の帯形に設けてもよい。
また塵埃除去用ブラシ及び誘電部はゴムのような弾性層を介して基台に取り付けるようにしてもよい。
【0060】
このように、ディスククリーナは、ピックアップと、スピンドルにより回転するディスクに対して前記ピックアップを移動させるキャリッジとを備えるディスク装置に設けて、例えば光ディスク、光磁気ディスク及び磁気ディスクに付着した塵埃を除去できる。
さらにハードディスクを記憶媒体とするディスク装置に、本発明に係るディスククリーナを装着することもでき、ハードディスクに付着した塵埃を除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施の形態に係るディスク装置におけるディスククリーナの外観図である。
【図2】本実施の形態に係るディスク装置におけるディスククリーナの一部断面概略側面図である。
【図3】本実施の形態に係るディスク装置におけるディスククリーナの一部断面概略側面図である。
【図4】本実施の形態に係るディスク装置におけるディスククリーナの基台を示す概略図である。
【図5】本実施の形態に係るディスク装置におけるディスククリーナの動作を示す一部概略側面図である。
【図6】本実施の形態に係るディスク装置における制御部の動作を示すフローチャートである。
【図7】他の実施の形態に係る扇状の基台の外観図である。
【図8】他の実施の形態の変形例を示す板状の基台の外観図である。
【符号の説明】
【0062】
1 ピックアップレンズ
2 ピックアップハウジング
3 ピックアップ
4 ピックアップカバー
6 帯電部
7、40、50 基台
8、44、54 塵埃除去用ブラシ(塵埃除去部)
10、42、52 誘電部
12 メディアディスク
13 ディスクドライブ(ディスク装置)
16 キャリッジ
36 スピンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転するディスクの半径方向にピックアップを往復移動させるディスク装置におけるディスククリーナであって、
前記ピックアップに設けられ、前記ディスクに付着した塵埃を非接触で除去するようにしてある帯電可能な帯電部と、
該帯電部を帯電させる誘電部と、
前記帯電部の塵埃を除去する塵埃除去部と
を備えていることを特徴とするディスククリーナ。
【請求項2】
前記帯電部は、前記ピックアップに設けられたピックアップレンズに関し前記ディスクの外周側に並設してあることを特徴とする請求項1に記載のディスククリーナ。
【請求項3】
前記ピックアップのピックアップハウジング及びピックアップカバーのいずれかに前記帯電部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のディスククリーナ。
【請求項4】
円盤状又は扇状であって、同心円上に前記誘電部及び塵埃除去部が設けられてある基台を有しており、該基台は前記ディスクの回転軸と平行な同心軸で回動又は回転することが可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のディスククリーナ。
【請求項5】
矩形状であって、一端に前記誘電部が設けられ、他端に前記塵埃除去部が設けられてある基台を有しており、該基台は前記ディスクの回転軸と平行な前記矩形状の中心点における垂直軸で回動又は回転することが可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のディスククリーナ。
【請求項6】
前記ディスク装置は前記ピックアップを往復移動させるキャリッジを有しており、
前記帯電部を帯電させる帯電開始位置まで又は前記帯電部の塵埃を除去するクリーニング開始位置まで前記ピックアップを移動させるキャリッジ駆動部と、
前記誘電部を前記帯電開始位置まで又は前記塵埃除去部を前記クリーニング開始位置まで回動させる回動駆動部と、
前記帯電部を前記誘電部又は前記塵埃除去部に接触させて前記基台を回動させるように前記回動駆動部を回動又は停止を制御する制御部と
を備えることを特徴とする請求項4又は5に記載のディスククリーナ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一つに記載のディスククリーナと、ピックアップと、スピンドルにより回転するディスクに対して前記ピックアップを移動させるキャリッジとを備えることを特徴とするディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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