説明

ディスクドライブ装置及びディスクドライブ装置の再較正のタイミングを決める方法

光ディスクのような記憶媒体(2)に/から情報を書き込み/読み取るためのディスクドライブ装置(1)が記述されている。スタートアップの後、複数の再較正プロセスが実行され、再較正プロセスは、書き込み/読み取り動作の後のほうの段階の間よりも、書き込み/読み取り動作の早い段階の間に、より頻繁に実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、光記憶ディスクのような記憶装置の技術に関する。より具体的には、本発明は、一般に、光記憶ディスクに/から情報を書き込み/読み取るためのディスクドライブ装置に関する。以下、このようなディスクドライブ装置は、「光ディスクドライブ」とも示される。
【背景技術】
【0002】
一般に知られているように、光記憶ディスクは、情報がデータパターンの形で記憶されることができる記憶空間の連続的なうずまき形又は複数の同心円形の少なくとも1つのトラックを有する。光ディスクは、情報が製造中に記録されるリードオンリータイプでありえ、その情報は、ユーザによって読み出されることができるのみである。光記憶ディスクは更に、情報がユーザによって記憶されうる書き込み可能なタイプであってもよい。光記憶ディスクの記憶空間から/に情報を読み取り/書き込むために、光ディスクドライブは、光ディスクを受け取り、回転させる回転手段と、一般にレーザビームのような光学ビームを生成し、前記レーザビームによって記憶トラックを走査する光学手段と、を有する。光ディスクの一般的な技術、すなわち情報が光ディスクに記憶されることができるやり方及び光学データが光ディスクから読み取られることができるやり方は、一般に知られているので、ここでは、この技術を更に詳しく説明する必要はない。
【0003】
ディスクドライブにおいて、いくつかの動作パラメータは、較正される必要があり、すなわち、最適な性能のための最適値にセットされる必要がある。例えば、光学レンズのチルト角が較正され、光学ピックアップユニットのフォーカスオフセットが較正され、半径方向のエラー振幅が較正される、等である。特に、書き込み動作の場合、光学的な書き込みパワーが較正される。前記パラメータは、較正の要求と同様に、当業者に一般に知られている。更に、上述及び他のパラメータに関する較正プロシージャもそれ自体知られており、本発明を実現する際に使用されることができる。従って、較正プロシージャのより詳しい説明は、ここでは必要でない。
【0004】
スタートアッププロシージャ又は開始プロシージャの一部として、すなわち、新しいディスクがディスクドライブに導入されるとき、及び/又は、新しい読み取り/書き込みコマンドが、ドライブに既に存在するディスクに関して与えられるとき、較正プロシージャを実施することは実際に既に知られている。しかしながら、スタートアップ較正中にセットされるパラメータ値は、読み取り/書き込みプロセスの後のほうの段階においてもはや最適値でないことがある。これは、例えば、変化する温度、ディスク上の変化する読み取り/書き込み位置、その他のような、変化する環境によるものでありうる。従って、書き込み又は読み取りプロセスが進行中であるとき、後のほうの段階でも較正プロシージャを実施することが望ましいことがある。このような較正プロシージャは、スタートアップ段階時の較正から区別されるように、「再較正」という語によって示される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
再較正の重要な見地は、そのタイミングである。一方で、より頻繁な再較正プロシージャは、信号品質を改善することができるが、データスループットの低減を伴う。他方で、再較正プロシージャが十分に頻繁に実施されない場合、エラーが生じることがある。更に、再校正プロシージャは、進行中の書き込み又は読み取りプロセスを中断し、それによって、適当なデータ転送に影響を及ぼすことがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、特に、再較正のタイミングに関する。
【0007】
本発明の一般の目的は、最適な信号品質が、可能な限り維持されるディスクドライブ装置を提供することである。
【0008】
更に、本発明の一般の目的は、実施される再較正プロシージャの数ができるだけ少ないディスクドライブ装置を提供することである。
【0009】
本発明の他の一般の目的は、再較正プロシージャができるだけ効率的に実施される、すなわち、特定のパラメータに関する再較正プロシージャのタイミングが、このパラメータが実際に再較正されることを必要とする可能性に関して決定される、ディスクドライブ装置を提供することである。
【0010】
本発明の特定の目的は、温度に敏感なパラメータに関して再較正プロシージャの効率的なタイミングを提供する再較正管理機能を有するディスクドライブ装置を提供することである。
【0011】
本発明の重要な見地によれば、少なくとも書き込み又は読み取り動作の早い段階においては、再較正タイミングが、書き込み又は読み取り動作の後のほうの段階よりも頻繁である。代替例として、連続する再較正タイミング間の時間間隔は、書き込み又は読み取り動作の開始から、時間の経過と共に増加してもよい。連続する再較正タイミングのこのような変化は、書き込み又は読み取り動作の最初の時間の間は、レーザシステム又は装置全体の暖まりのため、相対的に大きい温度変化が期待され、他方、書き込み又は読み取り動作の後のほうの時間の間は、レーザシステム又は装置全体が(ほとんど)定常状態に達するので、相対的に小さい温度変化が期待されるという、洞察に基づく。
【0012】
特定の実施例において、再較正予定時間は、特定のイベントから経過した時間量に基づいて決定される。この特定のイベントは、例えば、前の再較正予定時間、前の再較正プロシージャの開始又は前の再較正プロシージャの終了でありうる。再較正は、再較正予定時間にすぐに、又は再較正許可条件の達成後、始まることができる。前記特定のイベントと次の再較正予定時間との間の時間間隔は、後続の再較正予定時間について、増加していく。
【0013】
特定の実施例において、ディスクドライブ装置は、データエンジンシステム及びデータ処理システムを有する。データエンジンシステムは、それがディスクドライブとディスクとの間のすべての入力又は出力通信を扱うので、ディスクドライブ装置とディスクとの間のインタフェースを提供する。データ処理システムは、ディスクからの入力信号及びディスクへの出力信号に存在するデータをそれぞれ処理し、PCのようなホストシステムへ及びからの通信のためにデータを処理する。データエンジンシステムは、再較正予定時間、すなわち再較正が望まれる時点を決定する。実際の再較正が、再較正許可条件の達成まで延期される場合、このような条件についてのチェックが、データ処理システムによって行われることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のこれら及び他の見地、特徴及び利点は、図面を参照して本発明の好適な実施例の以下の記述によって更に説明される。図面において、同じ参照数字は、同じ又は同様の部分を示す。
【0015】
図1は、ディスク2を扱うことができる、ディスクドライブ装置1のいくつかの部分を図式的に示す図を示している。例えば、ディスク2は、例えばCD、DVD、その他のような、光(光磁気を含む)ディスクである。ディスクドライブ1は、ディスク2を回転させるモータ4と、光学ビーム6によってディスク2のトラック(図示せず)を走査する光ピックアップユニット5と、を有する。
【0016】
ディスクドライブ1は更に制御回路10を有する。制御回路10は、モータ4を制御する第1の出力部11と、光ピックアップユニット5を制御する第2の出力部12とを有する。制御回路10は、更に、データ入力ポート13と、データ出力バス14とを有する。読み取りモードにおいて、データ入力ポート13は、光ピックアップユニット5からデータ読み取り信号Sを受け取る。書き込みモードにおいて、制御回路10は、そのデータ出力ポート14にデータ書き込み信号Sを供給する。制御回路10は、更に、Hに概略的に示されるホストシステムとデータ通信するためのデータ通信ポート15を有する。ホストシステムHは、例えばPC等でありうる。ディスクドライブ1は、ホスト1から離れていてもよく、その場合には長距離通信経路を通じて通信し、又は、ホストHに組み込まれていてもよい。
【0017】
ディスクドライブ1が起動されるとき、例えば、新しいディスク2がドライブに導入されるとき、それ自体知られている特定のパラメータに関する較正プロシージャを含むスタートアッププロシージャが実行される。ディスクドライブ1は、しばらくの間スタンバイモードにあり、その温度は、周囲温度に実質的に等しいものとする。読み取り/書き込みプロシージャが開始されると、レーザ装置及びそのすぐ周囲の温度が上昇し、更に、ディスクドライブ装置全体の温度が上昇する。較正されたパラメータのいくつかは、温度に敏感である。温度に敏感なパラメータの例は、フォーカスオフセット及び最適パワー制御(optimal power control、OPC)である。OPCは、書き込み動作を実施するための最適レーザパワーに関する:この最適パワーは、とりわけレーザ装置の温度に依存する。ディスクドライブ装置のハウジング内の温度が上昇すると、光路の正確な形状が変化し、それゆえフォーカスオフセットが較正される必要がある。
【0018】
この点で、書き込み又は読み取り動作の開始後、又は読み取り動作から書き込み動作への切り替え時、レーザ温度の上昇は非常に速く、時定数は、約1分乃至2分のオーダーであることに留意されたい。この相対的に短い期間中、レーザパワーの変動は、書き込みプロセスにおいて大きな役割を果たす。他方、フォーカスオフセットのドリフトが、周囲の温度変化によってOPUに引き起こされ、これは、かなりゆっくりしたプロセスである。
【0019】
このように、読み取り動作又は書き込み動作の開始後或る時間たってから、温度に敏感なパラメータ、又は温度に敏感なパラメータのグループに属するパラメータの少なくとも1つ、の再較正を、実施することが望ましい。このような読み取り動作又は書き込み動作の長引く持続時間の場合、このような再較正プロシージャが規則的に繰り返されることが望ましい。
【0020】
前述したように、再較正プロセスはそれ自体知られており、本発明は、このように再較正プロセスを改善することを目的としない。実際に、本発明を実現するときに、それ自体知られている再較正プロセスが適用されることができる。従って、再較正プロセスは、そういうものとしてここではより詳しく説明しない。本発明は、特に、再較正プロセスのタイミングに関する。本発明の重要な見地によれば、再較正プロセスは、前の較正又は再較正から経過した時間量に基づいて始められる。
【0021】
このように、連続する再較正プロセス間の時間間隔は一定であってもよい。しかしながら、本発明の他の重要な見地によれば、連続する再較正プロセスは、減少する繰り返し頻度をもって、又は連続する再較正プロセス間の増加する間隔をもって、実施されることが好ましい。読み取りプロシージャ又は書き込みプロシージャの開始直後、レーザ温度の変化は、後のほうの段階よりも大きく、それゆえ、再較正の必要は、時間とともに低減する。
【0022】
図3Aは、時間tの関数として、ディスクドライブ1のハウジング内の特定の位置における温度Tの変化を概略的に示すグラフである。例えば、図3Aのグラフは、レーザ装置の温度上昇を示している。ディスクドライブ1は、しばらくの間スイッチをオフにされており、それによって、時間t=0において、読み取りプロシージャ又は書き込みプロシージャが開始されるとき、温度Tは、周囲温度Taに等しいものとする。時間t=0の後、温度は、急速に上昇するが、温度の上昇スピード(微分dT/dt)は減少し、やがて、温度は、新しい平衡温度Teに近付く。早い時間間隔[t1,t1+Δt]内の温度上昇は、同じ持続時間の後のほうの時間間隔[t2,t2+Δt]内の温度上昇より大きいことが容易に分かる。このように、温度に敏感なパラメータ(例えば最適レーザパワー)は、このような後のほうの時間間隔の間よりも早い時間間隔の間に大きく変化することが期待され、それゆえ、早い時間間隔と比較して後のほうの時間間隔の間は、より少ない再較正プロセスで十分である。
【0023】
フォーカスオフセットの変化を生じさせるディスクドライブハウジング内の周囲温度の変化は、より大きい時間スケールであるが、図3Aの曲線と同様の形を有することに留意されたい。
【0024】
こうして、特定のイベントからの特定の時間量の経過は、再較正プロセスを実行することが望ましいことを示すものであると考えられる。このような再較正プロセスが望ましくなる時点は、再較正予定時間tとして示される。
【0025】
図3Bは、図3Aに匹敵するグラフであり、本発明により選択される連続する較正予定時間t1、t2、t3...を示している。後のほうの較正予定時間t3及びt4間の時間間隔(t4−t3)は、早い較正予定時間t1及びt2間の時間間隔(t2−t1)より大きい。以下、連続する較正予定時間ti及びt(i−1)間の時間間隔が、Δtiとして示される。
【0026】
本発明の1つの例示の実現例において、図3Cに示されるように、時間間隔Δtiは、第1の数の連続する較正予定時間について第1の一定値Δ1を有し、第1の数の連続する較正予定時間の後に続く連続する第2の数の較正予定時間について、より大きい第2の一定値Δ2を有する。その後、第3の数の連続する較正予定時間は、第2の一定値よりも大きい第3の一定値を有する時間間隔Δtiを有することができる、というように続く。
【0027】
本発明の例示の別の実現例において、時間間隔Δtiは、図3Bに示したように、対応する絶対温度変化Ti−(T(i−1))が実質的に一定であるように選択される。図3Bにおいて、時間tiにおける温度は、Tiで示されている。T4−T3がT2−T1にほぼ等しいことが、図3Bにおいて明らかに分かる。
【0028】
本発明の更に別の例示の実現例において、時間間隔Δtiは、対応する相対的な温度変化{Ti−(T(i−1))}/T(i−1)が実質的に一定であるように選択される。(T4−T3)/T3は(T2−T1)/T1にほぼ等しいが、これは図に示されていない。
【0029】
較正予定時間tiは、実際の温度Tの測定に基づいて決定されることが可能である。しかしながら、これは温度センサの使用を含み、これは好ましくない。好適な実施例において、コントローラ10は、較正予定時間tiを決定するためのタイマ40を有する。このようなタイマは、前記特定のイベントから始められることができる。この特定のイベントは、例えば、前の再較正予定時間、又は前の再較正プロシージャの開始、又は前の再較正プロシージャの終了、すなわち前の実際の較正プロセスが終了したとき、でありうる。
【0030】
本発明の1つの実現例において、再較正プロセスは、再較正予定時間にすぐに始まる。このような場合、再較正予定時間は、再較正プロセスの開始時間と同じである。この実現例の2つの例が、図4A−図4Bを参照して説明される。
【0031】
図4Aは、本発明による再較正予定時間を決定する1つの方法を図式的に示すフロー図である。スタートアップ[ステップ101]の後、初期タイマ値が規定される[ステップ102]。読み取りコマンド又は書込みコマンドが時間t0に受け取られると[ステップ110]、タイマ40は、この初期タイマ値にセットされ[ステップ111]、これが、第1の再較正予定時間t1までの時間間隔Δt1を決定する。書き込み/読み取りプロシージャ[ステップ112]の間、タイマ条件が監視される[ステップ113]。タイマ40が、タイマ値に達すると、再較正予定時間に達したと決定され、再較正プロセスが実行される[ステップ120]。
【0032】
再較正プロセスの終了後、タイマ値は、特定のタイマインクリメントだけ増加され[ステップ132]、プロセスが、ステップ111に戻るジャンプとして示されるように繰り返される。
【0033】
こうして、この実施例において、次の再較正予定時間を計算するためにタイマを開始するための特定のイベントは、前の再較正プロシージャの終了である。
【0034】
ステップ132においてタイマ値を増加させるとき、タイマインクリメントは、常に、同じ値を有してもよいが、図3A−図3Bのグラフのような期待される温度変化特性が考慮され、タイマインクリメントが、前述したように、連続する再較正開始時間の間の連続する絶対的な又は相対的な温度変化が実質的に一定であるように増加することも可能である。
【0035】
更に、タイマ値は、図4Aのステップ132の前のステップ131によって示されるように、予め規定された最大値までのみ増加される。
【0036】
図5Aは、この例のタイミングを図式的に示すタイミンググラフである。(a)に示される時間t(i−1)に、再較正プロセスが始まる。(b)に示されるこの再較正プロセスの終了時、読み取り又は書き込みプロセスが続き、新しいタイマ間隔が始まる。(c)に示される時間t(i)に、タイマ間隔が終了し、次の再較正プロセスが始まる。
【0037】
図4Bは、本発明による再較正予定時間を決定する別の方法を図式的に示すフロー図である。スタートアップ[ステップ201]の後、初期タイマ値が規定される[ステップ202]。読み取りコマンド又は書き込みコマンドが時間t0に受け取られる[ステップ210]と、タイマ40は、この初期タイマ値にセットされ[ステップ211]、これは、第1の再較正予定時間t1までの時間間隔Δt1を決定する。書き込み/読み取りプロシージャ[ステップ212]の間、タイマ条件が監視される[ステップ213]。タイマ40が、タイマ値に達した場合、再較正予定時間に達したと決定される。ここで、タイマ値は、特定のタイマインクリメントだけ増加され[ステップ232]、タイマ40は、このタイマ値にセットされる[ステップ233]。再較正プロセスが実行され[ステップ220]、その後、プロセスが、ステップ212に戻るジャンプとして示されるように、繰り返される。
【0038】
こうして、この実施例において、次の再較正予定時間を計算するためにタイマを始めるための特定のイベントは、前の再較正予定時間である。
【0039】
ステップ232においてタイマ値を増やすとき、タイマインクリメントは、常に、同じ値を有してもよいが、図3A−図Bのグラフのような期待される温度変化特性が考慮され、タイマインクリメントが、前述したように、連続する再較正開始時間の間の連続する絶対的な又は相対的な温度変化が実質的に一定であるように増加することも可能である。
【0040】
更に、タイマ値は、図4Bのステップ232の前のステップ231によって示すように、予め規定された最大値までのみ増加されることも可能である。
【0041】
図5Bは、この例のタイミングを図式的に示すタイミンググラフである。(a)に示される時間t(i−1)において、再較正プロセスが始まり、更に、新しいタイマ間隔が始まる。(b)に示されるこの再較正プロセスの終了時、読み取り又は書き込みプロセスが続行する。(c)に示される時間t(i)において、タイマ間隔は終了し、次の再較正プロセスが始まる。
【0042】
本発明の別の実現例において、再較正プロセスは、必ずしも再較正予定時間にすぐに始まるというわけではない。まず、読み取り/書き込みプロセスが続けられるべきかどうか、及び再較正プロセスがより適切な時点まで延期されるべきかどうか、チェックされる。このような場合、再較正予定時間は、再較正許可条件についてチェックを始めることをマークし、すべての再較正許可条件が満たされたときにはじめて実際の再較正プロセスが始まる。再較正許可条件のうちの少なくとも1つが満たされないという理由で、実際の再較正プロセスが全く始まらないことさえありうる。
【0043】
再較正許可条件の例として、ディスクドライブが、現在、(書き込みモードにおいて)データバッファからデータを書き込んでおり、バッファが空になるまでデータのフローが妨害されてはならないことがある。代替例として、読み取りモードにおいて、ディスクドライブが、バッファからホストにデータを出力しており、そのバッファは、ほとんど空であり、ホストへの妨害されないデータフローを確実にするためにまず再び満たされるべきであることがある。
【0044】
この実現の3つの例が、図6A−図6Cを参照して説明される。
【0045】
図6Aは、本発明による再較正予定時間を決定する1つの方法を図式的に示すフロー図である。スタートアップ[ステップ301]の後、初期のタイマ値が規定される[ステップ302]。読み取りコマンド又は書込みコマンドが時間t0に受け取られると[ステップ310]、タイマ40は、この初期タイマ値にセットされ[ステップ311]、これは、第1の再較正予定時間t1までの時間間隔Δt1を決定する。書き込み/読み取りプロシージャ[ステップ312]の間、タイマ条件が監視される[ステップ313]。タイマ40が、タイマ値に達した場合、再較正予定時間に達したと決定され、再較正開始プロシージャが実行される[ステップ320]。
【0046】
この再較正開始プロシージャの後、書き込み/読み取りプロシージャが続き[ステップ341]、この書き込み/読み取りプロシージャの間、再較正許可条件が確認される[ステップ342]。すべての再較正許可条件が満たされてはじめて、再較正プロセスが実行される[ステップ350]。このように、再較正プロセスの実際の開始は、対応する再較正予定時間より遅い。
【0047】
再較正プロセスの終了後、タイマ値は、特定のタイマインクリメントだけ増加され[ステップ362]、プロセスが、ステップ311に戻るジャンプとして示されるように、繰り返される。
【0048】
こうして、この実施例において、次の再較正予定時間を計算するためにタイマを始めるための特定のイベントは、前の再較正プロシージャの終了である。
【0049】
ステップ362において、タイマ値を増加させるとき、タイマインクリメントは、常に同じ値を有してもよいが、図3A−図3Bのグラフのような期待される温度変化特性が考慮され、タイマインクリメントが、前述したように、連続する再較正開始時間の間の連続する絶対的又は相対的な温度変化が実質的に一定であるように増加することも可能である。
【0050】
更に、図6aのステップ362の前のステップ361によって示すように、タイマ値は、予め規定された最大値までのみ増加されることも可能である。
【0051】
図7Aは、この例のタイミングを図式的に示すタイミンググラフである。(a)に示される時間t(i−1)において、再較正プロセスが始まる。(b)に示されるこの再較正プロセスの終了時、読み取り又は書き込みプロセスが続行し、新しいタイマ間隔が始まる。(c)に示される時間t(i)において、タイマ間隔は終わるが、(d)に示されるようにすべての再較正許可条件が満たされるときまで、読み取り又は書き込みプロセスが続き、すべての再較正許可条件が満たされると、次の再較正プロセスが始まる。
【0052】
図6Bは、本発明による較正予定時間を決定する他の方法を図式的に示すフロー図である。スタートアップ[ステップ401]後、初期タイマ値が規定される[ステップ402]。読み取りコマンド又は書き込みコマンドが時間t0に受け取られる[ステップ410]と、タイマ40は、この初期タイマ値にセットされ[ステップ411]、これは、第1の再較正予定時間t1までの時間間隔Δt1を決定する。書き込み/読み取りプロシージャ[ステップ412]の間、タイマ条件が監視される[ステップ413]。タイマ40がタイマ値に達した場合、再較正予定時間に達したと決定される。ここで、タイマ値は、特定のタイマインクリメントだけ増加され[ステップ432]、タイマ40は、このタイマ値にセットされる[ステップ433]。そののち、再較正開始プロシージャが実行される[ステップ420]。
【0053】
この再較正開始プロシージャの後、書き込み/読み取りプロシージャが続き[ステップ441]、その間、再較正許可条件がチェックされる[ステップ442]。すべての再較正許可条件が満たされたときのみ、再較正プロセスが実行される[ステップ450]。このように、再較正プロセスの実際の開始は、対応する再較正予定時間より遅い。
【0054】
再較正プロセスの終了後、ステップ412に戻るジャンプとして示されるように、プロセスが繰り返される。
【0055】
こうして、この実施例において、次の再較正予定時間を計算するためにタイマを開始するための特定のイベントは、前の再較正予定時間である。
【0056】
ステップ432においてタイマ値を増加させるとき、タイマインクリメントは、常に同じ値を有してもよいが、図3A−図3Bのグラフのような期待される温度変化特性が考慮され、タイマインクリメントが、前述したように、連続する再較正開始時間の間の連続する絶対的又は相対的な温度変化が実質的に一定であるように増加することも可能である。
【0057】
更に、タイマ値は、図6Bのステップ432の前のステップ431によって示されるように、予め規定された最大値までのみ増加されることが可能である。
【0058】
図7Bは、この例のタイミングを図式的に示すタイミンググラフである。(a)に示される時間t(i−1)において、再較正プロセスが始まる。(b)に示されるこの再較正プロセスの終了時、読み取り又は書き込みプロセスが続く。(c)に示される時間t(i)において、タイマ間隔が終了し、新しいタイマ間隔が始まるが、(d)に示されるようにすべての再較正許可条件が満たされるときまで、読み取り又は書き込みプロセスが続く。すべての再較正許可条件が満たされると、次の再較正プロセスが始まる。
【0059】
図6Cは、本発明による較正予定時間を決定する更に別の方法を図式的に示すフロー図である。スタートアップ[ステップ501]後、初期タイマ値が規定される[ステップ502]。読み取りコマンド又は書き込みコマンドが時間t0に受け取られる[ステップ510]と、タイマ40は、この初期タイマ値にセットされ[ステップ511]、これは、第1の再較正予定時間t1までの時間間隔Δt1を決定する。書き込み/読み取りプロシージャ[ステップ512]の間、タイマ条件が監視される[ステップ513]。タイマ40がタイマ値に達した場合、再較正予定時間に達したと決定され、再較正開始プロシージャが実行される[ステップ520]。
【0060】
この再較正開始プロシージャの後、書き込み/読み取りプロシージャが続き[ステップ541]、その間、再較正許可条件がチェックされる[ステップ542]。すべての再較正許可条件が満たされる場合のみ、タイマ値が、特定のタイマインクリメントだけ増加され[ステップ532]、タイマ40が、このタイマ値にセットされ[ステップ533]、再較正プロセスが実行される[ステップ550]。このように、再較正プロセスの実際の開始は、対応する再較正予定時間より遅い。
【0061】
再較正プロセスの終了後、ステップ512に戻るジャンプとして示されるように、プロセスが繰り返される。
【0062】
このように、この実施例において、次の再較正予定時間を計算するためにタイマを始めるための特定のイベントは、前の再較正プロセスの実際の開始である。
【0063】
ステップ532において、タイマ値を増加させるとき、タイマインクリメントは、常に同じ値を有してもよいが、図3A−図3Bのグラフのような期待される温度変化特性が考慮され、タイマインクリメントが、前述したように、連続する再較正開始時間の間の連続する絶対的又は相対的な温度変化が実質的に一定であるように、増加することも可能である。
【0064】
更に、タイマ値は、図6Cのステップ532の前のステップ531によって示されるように、予め規定された最大値までのみ増加されることも可能である。
【0065】
図7Cは、この例のタイミングを図式的に示すタイミンググラフである。(a)に示される時間t(i−1)において、再較正プロセスが開始する。(b)に示されるこの再較正プロセスの終了時、読み取り又は書き込みプロセスが続く。(c)に示される時間t(i)において、タイマ間隔は終了するが、読み取り又は書き込みプロセスは、(d)に示されるようにすべての再較正許可条件が満たされるときまで続く。すべての再較正許可条件が満たされると、次の再較正プロセスが始まり、新しいタイマ間隔が始まる。
【0066】
前述の再較正プロセスにおいて、すなわち上述の例のステップ120、220、350、450又は550において、少なくとも1つの温度に敏感なパラメータが較正される。実際には、温度に敏感な個別のパラメータごとに、個別のタイミングプロシージャが実行されることが可能である。しかしながら、再較正プロセスにおいて、すべての温度に敏感なパラメータが較正されることが好ましい。再較正プロセスにおいて、すべての較正パラメータが、較正され、すなわち、スタートアッププロシージャ時と同じ較正が実施されることが一層好ましい。
【0067】
図2は、制御回路10の可能な実施例を幾分より詳しく図示的に示す図を示す。具体的には、この実施例において、制御回路10は、データエンジンシステム20及びデータ処理システム30を有する。以下に単に「エンジン」として示されるデータエンジンシステム20は、それがディスクドライブ1とディスク2との間のすべての入力又は出力通信を扱うので、ディスクドライブ装置とディスクとの間のインタフェースを提供する。
【0068】
以下に単に「プロセッサ」として示されるデータ処理システム30は、ディスクからの入力信号S及びディスクへの出力信号Sに存在するデータを処理し、PCのようなホストシステムへ/からの通信のために当該データを処理する。
【0069】
このような設計において、再較正開始プロシージャ(すなわち上述の例におけるステップ320、420又は520)及び再較正プロセス(すなわち上述の例におけるステップ120、220、350、450又は550)は、データエンジンシステム20によって実行されることができるが、再較正許可条件は、プロセッサ30によって扱われる。再較正開始プロシージャは、エンジン20が再較正リクエスト信号をプロセッサ30に送信するステップを含むことができる。プロセッサ30が、すべての再較正許可条件が満たされることを見つけると、プロセッサ30は、エンジン20に再較正許可信号を送ることができる。エンジン20は、この再較正許可信号を受け取ると、較正モード(すなわち上述の例のステップ350、450又は550)に入る。
【0070】
当業者には、本発明が例示的な実施例に限定されず、さまざまな変更及び変形が、特許請求の範囲に記載される本発明の保護範囲内で可能であることが明らかであるべきである。
【0071】
例えば、本発明は、光記憶ディスクのコンテクストにおいて説明された。しかしながら、本発明の要旨は、光記憶ディスクに制限されず、概して、一般の記憶装置に適用できる。
【0072】
前述において、本発明は、本発明による装置の機能ブロックを示すブロック図を参照して説明された。これらの機能ブロックの1又は複数が、このような機能ブロックの機能が個別のハードウェア素子によって実施されるハードウェアにおいて実現されることができるが、これらの機能ブロックの1又は複数がソフトウェアにおいて実現され、それゆえ、このような機能ブロックの機能が、コンピュータプログラム又は例えばマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ等のプログラマブル装置の1又は複数のプログラムラインによって実施されることも可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】ディスクドライブ装置の関連する部分を図式的に示すブロック図。
【図2】制御回路の関連する部分を図式的に示すブロック図。
【図3A】時間の関数として温度の変化を示すグラフ。
【図3B】時間の関数として温度の変化を示すグラフ。
【図3C】時間の関数として温度の変化を示すグラフ。
【図4A】本発明による再較正開始時間を決定する第1の方法を図式的に示すフロー図。
【図4B】本発明による再較正開始時間を決定する第2の方法を図式的に示すフロー図。
【図5A】図4Aに示される方法のタイミングを示すグラフ。
【図5B】図4Bに示される方法のタイミングを示すグラフ。
【図6A】本発明による再較正開始時間を決定する第3の方法を図式的に示すフロー図。
【図6B】本発明による再較正開始時間を決定する第4の方法を図式的に示すフロー図。
【図6C】本発明による再較正開始時間を決定する第5の方法を図式的に示すフロー図。
【図7A】図6Aに示される方法のタイミングを示すグラフ。
【図7B】図6Bに示される方法のタイミングを示すグラフ。
【図7C】図6Cに示される方法のタイミングを示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体に/から情報を書き込み/読み取る場合に、記憶装置書き込み/読み取り装置において複数の再較正プロセスのタイミングを決める方法であって、
再較正プロセスが、書き込み/読み取り動作の後のほうの段階の間よりも、前記書き込み/読み取り動作の早い段階の間に、より頻繁に実行される、方法。
【請求項2】
連続する再較正プロセスの間の時間間隔が、前記書き込み/読み取り動作の間増加する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの温度に敏感なパラメータが、前記再較正プロセスにおいて再較正される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
あるパラメータが、スタートアップ段階の間に較正され、同じパラメータが、前記再較正プロセスにおいても再較正される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
特定のイベントから始まる時間間隔に基づいて、再較正予定時間を計算するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記再較正予定時間は、ディスクドライブ装置内の特定の位置の温度の期待される絶対的又は相対的なインクリメントが、連続する再較正予定時間の間の時間間隔において、実質的に一定であるように、計算される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
連続する再較正予定時間の間の時間間隔は、前記書き込み/読み取り動作の第1の段階の間、第1の一定値を有し、前記書き込み/読み取り動作の第2の段階の間、前記第1の一定値より大きい第2の一定値を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
連続する再較正予定時間の間の時間間隔が、予め決められた最大値まで増加する、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
連続する再較正予定時間の間の2の連続する時間間隔の持続時間におけるインクリメントは、常に実質的に一定である、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
再較正プロセスが、実質的に再較正予定時間にすぐに開始される、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記特定のイベントが、前の再較正予定時間と実質的に一致する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記特定のイベントが、前の再較正プロセスの終了と実質的に一致する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
再較正予定時間に、予め決められた再較正許可条件に関するチェックがなされ、実際の再較正プロセスの開始は、すべての前記予め決められた再較正許可条件が満たされるときまで延期される、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
前記書き込み/読み取り動作が、実際の再較正プロセスの開始まで続けられる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記特定のイベントが、前の再較正予定時間と実質的に一致する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記特定のイベントが、前の再較正プロセスの終了と実質的に一致する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記特定のイベントが、前の再較正プロセスの実際の開始と実質的に一致する、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
記憶媒体に/から情報を書き込み/読み取るための記憶装置書き込み/読み取り装置であって、請求項1乃至請求項17のいずれか1項に記載の方法を実施するように設計されている装置。
【請求項19】
光記憶ディスクのような記憶ディスクに/から情報を書き込み/読み取るディスクドライブ装置である、請求項18に記載の記憶装置書き込み/読み取り装置。
【請求項20】
記憶媒体に/から情報を書き込み/読み取るための記憶装置書き込み/読み取り装置であって、
前記装置は、請求項13に記載の方法を実施するように設計されており、
前記装置は、書き込み又は読み取りプロセス中に、複数の再較正プロセスを実施するように設計されている制御回路を有し、
前記装置は、相互にデータ通信するデータエンジンシステム及びデータ処理システムを有し、
前記データエンジンシステムは、読み取りモードにおいて、読み取り信号を受け取るために、前記読み取り信号からデータ信号を導き出し、前記データ処理システムに前記データ信号を通信し、書き込みモードにおいて、前記データ処理システムから前記データ信号を受け取り、書き込み信号を生成するように設計されており、
前記データ処理システムは、読み取りモードにおいて、前記データエンジンシステムからデータ信号を受け取り、ホストシステムに通信するために前記データを処理し、書き込みモードにおいて、ホストシステムとの通信のために、前記ホストシステムから受け取られる通信信号中のデータ信号を処理し、前記データエンジンシステムに前記データ信号を通信するように設計されており、
前記データエンジンシステムは、再較正予定時間を計算するように設計されており、前記データ処理システムは、再較正許可条件を決定するように設計されている、記憶装置書き込み/読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公表番号】特表2007−503079(P2007−503079A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530818(P2006−530818)
【出願日】平成16年5月12日(2004.5.12)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050660
【国際公開番号】WO2004/102566
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】