説明

ディスク保持部材およびこれを備えたインクジェット記録装置

【課題】部材全体の高さを大きくすること無く、ディスク保持部の実質的な高さを高くすることができる。
【解決手段】ディスク状記録媒体Aが載置される載置面62aを有するディスク載置部62と、ディスク載置部62の内側に配設され、第1のスタックリブA4を受容する第1の環状逃げ溝65と、第1の環状逃げ溝65の内側に配設され、第2のスタックリブA4を受容する第2の環状逃げ溝64と、第2の環状逃げ溝64の内側に配設され、ディスク状記録媒体Aの中心開口部A3に嵌合する外周壁部63aを有して、ディスク状記録媒体Aを保持するディスク保持部63と、を備え、第2の環状逃げ溝64の内周壁部64aがディスク保持部63の外周壁部63aを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)やBD(Blu−ray Disc)等のディスク状記録媒体を保持するディスク保持部材およびこれを備えたインクジェット記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のディスク保持部材として、ディスク状記録媒体のレーベル面に画像を描画するインクジェット記録装置において、ディスク状記録媒体を保持すると共に、描画に際しローラー搬送されるトレイが知られている(特許文献1参照)。このトレイは、ディスク状記録媒体を保持可能な凹部と、凹部の中心に形成され、ディスク状記録媒体の嵌合穴に嵌合する嵌合凸部と、凹部および嵌合凸部に亘って逆「U」字状に切り欠いて形成した4つの弾性片と、を有している。すなわち、このディスク保持部材では、4つの弾性片の弾性を利用して、ディスク状記録媒体を嵌合凸部上で強固に嵌合保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−39878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなインクジェット記録装置では、描画精度を向上すべく、ディスク状記録媒体のレーベル面と、インクジェットヘッドとのギャップを極力狭くする必要がある。その結果、ディスク保持部材においては、インクジェットヘッドとの接触を防止すべく、嵌合凸部(ディスク保持部)の高さが、レーベル面と同等程度に制限される。
しかしながら、このような構成では、弾性片(弾性部)の高さ方向のストロークが制限され、十分な弾性が得られない。よって、ディスク状記録媒体に対するチャック力が低下してしまうという問題があった。すなわち、嵌合凸部(ディスク保持部)において、弾性片(弾性部)を設けるための高さが得られないという問題がある。
【0005】
本発明は、部材全体の高さを大きくすること無く、ディスク保持部の実質的な高さを高くすることができるディスク保持部材およびこれを備えたインクジェット記録装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のディスク保持部材は、第1のスタックリブを有する第1のディスク状記録媒体と、第1のスタックリブの直径と異なる第2のスタックリブを有する第2のディスク状記録媒体と、を保持可能に構成されたディスク保持部材であって、ディスク状記録媒体が載置される載置面を有するディスク載置部と、ディスク載置部の内側に配設され、第1のスタックリブを受容する第1の環状逃げ溝と、第1の環状逃げ溝の内側に配設され、第2のスタックリブを受容する第2の環状逃げ溝と、第2の環状逃げ溝の内側に配設され、ディスク状記録媒体の中心開口部に嵌合する外周壁部を有して、ディスク状記録媒体を保持するディスク保持部と、を備え、第2の環状逃げ溝の内周壁部がディスク保持部の外周壁部を形成することを特徴とする。
【0007】
この場合、ディスク保持部の外周壁部に切り込んで構成され、ディスク状記録媒体に保持力を付与する弾性部を、更に備えたことが好ましい。
【0008】
これらの構成によれば、環状逃げ溝の内周壁部がディスク保持部の外周壁部を形成しているため、ディスク保持部の実質的な高さを高くすることができる。これにより、ディスク保持部に形成する弾性部の丈を高く形成することができる。すなわち、スタックリブを逃げるための環状逃げ溝との協働により、弾性部を高さ方向に広く形成することができ、ばねストロークを大きくすることができる。よって、ディスク保持部(弾性部)のチャック力を安定させることができる。
また、スタックリブの直径が異なる複数種のディスク状記録媒体を、浮き上ることなく保持することができる。例えば、大径のスタックリブを有するCDやDVDと、小径のスタックリブを有するBDと、を浮き上ることなく保持することができる。これにより、ディスク状記録媒体を安定姿勢でセットすることができる。
【0009】
本発明のインクジェット記録装置は、上記のディスク保持部材と、保持したディスク状記録媒体のレーベル面に対し、インクを吐出するインクジェットヘッドと、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、チャック力を維持しつつ、レーベル面とインクジェットヘッドとのギャップを極力狭くすることができる。よって、描画精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係るインクジェット記録装置を示した外観斜視図である。
【図2】装置ハウジングを省略したインクジェット記録装置を示した斜視図である。
【図3】装置本体を示した断面図である。
【図4】ディスク状記録媒体を示した断面図である。
【図5】ディスクトレイを示した平面図である。
【図6】ディスク保持部廻りを示した要部斜視図である。
【図7】ディスク保持部廻りを示した要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置1について説明する。図1は、インクジェット記録装置1を示した斜視図であり、図2は、装置ハウジング26を省略したインクジェット記録装置1を示した斜視図である。なお、以下、図1および図2においての前後方向をX軸方向とし、左右方向をY軸方向として説明する。図1および図2に示すように、インクジェット記録装置1は、いわゆるインクジェットプリンターであり、主に、印刷用紙や単票紙を印刷対象とするものであるが、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)やBD(Blu−ray Disc)等のディスク状記録媒体Aのレーベル面A2も印刷対象としている。そこで、以下の説明では、ディスク状記録媒体Aのレーベル面A2を印刷する場合について説明する。インクジェット記録装置1は、装置本体2と、装置本体2の側面に着脱自在に連結されると共に、各色のインクタンク11を搭載したタンクユニット3と、を備えている。各色のインクタンク11は、インクチューブ12を介して後述のインクジェットヘッド52に接続され、各色のインクを供給する。また、装置本体2には、アタッチメントとしてディスク状記録媒体Aをセットするためのディスクトレイ20が用意されている。
【0013】
図2に示すように、装置本体2は、ディスク状記録媒体Aをセットするディスクトレイ(ディスク保持部材)20と、ディスク状記録媒体Aをセットしたディスクトレイ20を、送り経路Rに沿って搬送する搬送部21と、送り経路Rの上方に配設され、ディスク状記録媒体Aにインクジェット方式で印刷処理を行う印刷部22と、各部を搭載した装置フレーム25と、これらを覆う装置ハウジング26(図1参照)と、を備えている。図1に示すように、装置ハウジング26の側面には、タンクユニット3を着脱自在に連結する前後一対の係合部27が形成されている。また、図示省略するが、装置本体2の後面下部には、USBポートおよび電源ポートが配設されている。すなわち、インクジェット記録装置1は、USBポートを介してコンピューター等に接続可能に構成されている。なお、当該コンピューター等では、ディスク状記録媒体Aのレーベル面A2を印刷するのに、レーベル面A2印刷用のアプリケーションソフトを用いて、画像データを作成し、印刷実行を指示する。
【0014】
図2に示すように、印刷部22は、装置フレーム25に支持されると共にY軸方向に幅一杯に延在するガイド軸49およびガイドフレーム41と、ガイド軸49およびガイドフレーム41に往復動自在に支持されたキャリッジユニット42と、キャリッジユニット42をガイド軸49およびガイドフレーム41に沿って往復動させるキャリッジ移動機構43と、を備えている。そして、このキャリッジユニット42に、インクジェットヘッド52が搭載されている。
【0015】
キャリッジ移動機構43は、ガイドフレーム41に沿って延在するタイミングベルト46と、タイミングベルト46を架け渡した主動プーリ(図示省略)および従動プーリ47と、タイミングベルト46とキャリッジユニット42(キャリッジ51)とを連結する連結固定部(図示省略)と、主動プーリを駆動するキャリッジモーター48と、を備えている。キャリッジモーター48が正逆回転すると、タイミングベルト46を介してキャリッジユニット42がY軸方向(左右方向)に往復動する。この往復動に伴って、キャリッジユニット42のインクジェットヘッド52が吐出駆動することにより、いわゆる主走査が行われる。
【0016】
図3は、装置本体2を示した断面図である。図3に示すように、キャリッジユニット42は、ガイド軸49およびガイドフレーム41に往復動自在に支持された箱状のキャリッジ51と、キャリッジ51の下面に一体に組み込まれたインクジェットヘッド52と、インクジェットヘッド52に上側から接続されると共に、インクチューブ12の下流端が接続された色別の接続アダプター53と、を備えている。インクジェットヘッド52は、6色のインク滴を吐出する6連のノズル列(図示省略)を有しており、ディスク状記録媒体Aのレーベル面A2に対し所定のギャップを介して対峙する。一方、各接続アダプター53は、インクバッファやインクフィルター等を内蔵し、その上部には、インクチューブ12を接続するための流入継手を有している。
【0017】
図2および図3に示すように、搬送部21は、ディスクトレイ20を印刷部22直下に送り込む供給ローラー33と、供給ローラー33の下流側に位置し、印刷部22(インクジェットヘッド52)に対面する規制部材(プラテンに相当する)34と、規制部材34の下流側に位置する鋸歯状のガイドローラー35と、ガイドローラー35の下流側に位置し、ディスクトレイ20を排出する排出ローラー36と、排出されたディスクトレイ20を受ける排出トレイ37と、を備えている。加えて、搬送部21は、印刷用紙や単票紙を印刷する際に用いる給紙トレイ31および分離ローラー32を備えている。また、図示省略するが、送り経路Rに面して、ディスクトレイ20の位置、並びに、ディスク状記録媒体Aの有無および位置を検出するための光センサーが配設されている。なお、図1に示すように、給紙トレイ31および排出トレイ37は、収納可能な可動式になっている。
【0018】
供給ローラー33は、下側の供給駆動ローラー33aと上側の供給従動ローラー33bとから成るニップローラーで構成され、同様に排出ローラー36は、下側の排出駆動ローラー36aと上側の排出従動ローラー36bとから成るニップローラーで構成されている。これらのニップローラーによって、ディスク状記録媒体Aとディスクトレイ20とを一体として挟圧搬送する。そして、供給ローラー33は、ディスクトレイ20の送り(副走査)を制御するメインローラーとして機能する。
【0019】
ディスクトレイ20の搬送は、ディスク状記録媒体Aをセットしたディスクトレイ20が、排出トレイ37にセットされた状態から行われる。まず、排出トレイ37にセットされたディスクトレイ20は、供給ローラー33および排出ローラー36により逆送りされ、ディスク状記録媒体Aが印刷部22の上流側に移動したスタートポジションに移動される。スタートポジションに移動したディスクトレイ20は、供給ローラー33により、規制部材34上を排出ローラー36に向かってX軸方向に間欠送りされる(副走査)。この間欠送りに同期して、印刷部22を駆動することで、所望の印刷が行われる。一方、規制部材34を越えてガイドローラー35に達したディスクトレイ20は、ガイドローラー35により先端を上側から押さえられ、排出ローラー36に送り込まれる。このようにして、印刷処理が完了したディスクトレイ20は、排出ローラー36により、排出トレイ37に送り出される。
【0020】
印刷処理では、搬送部21によってディスクトレイ20をX軸方向に間欠送り(副走査)すると共に、インクジェットヘッド52を駆動しつつ、キャリッジ移動機構43によって、キャリッジユニット42をY軸方向に往復させて(主走査)、ディスク状記録媒体Aのレーベル面A2に画像データを印刷する。なお、インク吐出によるポンプ作用によって、各色のインクが各インクタンク11からインクジェットヘッド52に順次供給される。
【0021】
ここで図4を参照して、印刷対象となるディスク状記録媒体Aについて説明する。図4(a)は、CDおよびDVDを示した断面図である。図4(b)は、BDを示した断面図である。図4に示すように、ディスク状記録媒体Aは、データを記録するための記録面A1と、記録面A1に表裏するレーベル面A2とからなり、その中央部には、中心開口部A3(ディスク孔)が形成されている。さらに、記録面A1側の内縁には、スタックリブA4(スタックリング)が形成されている。ディスク状記録媒体Aは、その製造工程において、ポールに積み重ねて一時保管および搬送される。スタックリブA4は、その際、積み重ねたディスク状記録媒体Aが、互いの記録面A1を傷つけないようにするためのものであり、記録面A1を浮かせた状態で積み重ねるための環状突起である。スタックリブA4は、ディスク状記録媒体Aの種類によって直径が異なるものがあり、CDおよびDVD(第1のディスク状記録媒体)のスタックリブA4(第1のスタックリブ)は同一径であるのに対し、BD(第2のディスク状記録媒体)のスタックリブA4(第2のスタックリブ)は、CDおよびDVDのスタックリブA4より小径に形成されている。
【0022】
次に図5ないし図7を参照して、ディスクトレイ20について説明する。図5は、ディスクトレイ20を示した平面図である。図5に示すように、ディスクトレイ20は、上記複数種のディスク状記録媒体Aを個々に保持可能であると共に、一体の部材で成形されており、装置本体2とは独立した形態を有している。ディスクトレイ20は、搬送方向(X軸方向)に長い薄板状のベース体61と、ベース体61に形成され、レーベル面A2を上にしてディスク状記録媒体Aを載置する円形のディスク載置部62と、ディスク載置部62の内側に形成され、ディスク状記録媒体Aに嵌合してディスク状記録媒体Aを位置決め保持するディスク保持部63と、ディスク載置部62内側で且つディスク保持部63の外側に離間して配設された第1の環状逃げ溝65と、ディスク載置部62の内側で且つディスク保持部63の外側に近接して配設された第2の環状逃げ溝64と、ディスク保持部63から第2の環状逃げ溝64に亘って逆「U」字状に切り込んで構成され、ディスク保持部63に保持力を付与する4個の弾性部66と、を有している。
【0023】
また、ベース体61には、ディスク保持部63を中心に対峙すると共にディスク載置部62の内外に亘って配設された一対のイジェクト開口部67と、ディスク載置部62の内外の各所に配設された複数の検出開口部68と、が形成されている。一対のイジェクト開口部67は、ディスク状記録媒体Aを取り外すための開口部である。一方、複数の検出開口部68は、上記光センサーによって、ディスク状記録媒体Aの有無並びに、X軸方向およびY軸方向の位置を検出するための開口部である。
【0024】
ディスク載置部62は、ベース体61を円板状に凹設して形成されている。また、ディスク載置部62は、ディスク状記録媒体Aの記録面A1が載置される載置面(底面)62aを有しており、記録面A1に面接触して下から支持している。また、載置面62aは、載置したディスク状記録媒体Aの上面が、ベース体61の上面から若干低くなるような高さに形成されている。なお、載置面62aは、印刷対象となる複数種のディスク状記録媒体Aにおいて、最大径のディスク状記録媒体Aを載置可能な広さに形成されている。
【0025】
図6は、ディスク保持部63廻りを示した要部斜視図であり、図7は、ディスク保持部63廻りを示した要部断面図である。ディスク保持部63は、載置面62aから凸状に形成されており、ディスク状記録媒体Aの中心開口部A3(ディスク孔)に嵌合する外周壁部63aを有して、ディスク状記録媒体Aを中心基準で位置決めしつつ、嵌合保持(チャック)する。また、ディスク保持部63は、その上面が、載置したディスク状記録媒体Aの上面より若干に高く形成されている。さらに、ディスク保持部63には、幅方向左右上端において、外側に先下がりに傾斜する一対の傾斜部63bが形成されている。当該一対の傾斜部63bによって、供給従動ローラー33bが、ディスク保持部63の幅方向の端を弾く現象を抑止する。
【0026】
第1の環状逃げ溝65は、載置面62a上に環状に凹設されており、ディスク状記録媒体Aとして、CDおよびDVDをセットした際、CDおよびDVDのスタックリブA4を逃げ、受容するように形成されている(図7(a)参照)。第1の環状逃げ溝65の溝幅は、CDやDVDの製造誤差(公差)やセット時の位置ずれを考慮した幅に形成されている。
【0027】
第2の環状逃げ溝64は、載置面62a上に環状に凹設あれており、ディスク状記録媒体AとしてBDをセットした際、BDのスタックリブA4を逃げ、受容するように、形成されている(図7(b)参照)。第2の環状逃げ溝64の溝幅は、BDの製造誤差(公差)やセット時の位置ずれを考慮した幅に形成されると共に、BDのスタックリブA4の受容位置からディスク保持部63の外周壁部63aまで延在している。そして、第2の環状逃げ溝64の内周壁部64aが、ディスク保持部63の外周壁部63aを形成している。
【0028】
各弾性部66は、第2の環状逃げ溝64およびディスク保持部63を、ディスク保持部63の中心に向かって、平面視逆「U」字状に切り込んで構成されている。すなわち、第2の環状逃げ溝64の底面および内周壁部64a、並びにディスク保持部63の外周壁部63aおよび上面に亘って切り込んで構成されている。4個の弾性部66は、上記切欠き部63bを避けつつ、ディスク保持部63の周方向に位置ずれして配設されている。ディスク状記録媒体Aをディスク保持部63に嵌合すると、4個の弾性部66の弾性によって、ディスク保持部63の径方向外側に押圧力を付与される。これによって、ディスク保持部63は、ディスク状記録媒体Aを強固に保持する。
【0029】
以上の実施形態の構成によれば、第2の環状逃げ溝64の内周壁部64aがディスク保持部63の外周壁部63aを形成しているため、ディスク保持部63の実質的な高さを高くすることができる。これにより、ディスク保持部63に形成する弾性部66の丈を高く形成することができる。すなわち、スタックリブA4を逃げるための環状逃げ溝64との協働により、弾性部66を高さ方向に広く形成することができ、ばねストロークを大きくすることができる。よって、ディスク保持部63(弾性部66)のチャック力を安定させることができる。
【0030】
また、複数の環状逃げ溝64、65によって直径の異なるスタックリブA4を受容することにより、スタックリブA4の直径が異なる複数種のディスク状記録媒体Aを、浮き上ることなく保持することができる。これにより、ディスク状記録媒体Aを安定姿勢でセットすることができる。
【0031】
なお、本実施形態においては、ディスクトレイ20が取出し可能なトレイ独立型のインクジェット記録装置1に本発明を適用したが、ディスクトレイ20(ディスクテーブル)がスライド自在に支持された(または固定された)トレイ一体型のインクジェット記録装置1に本発明を適用してもよい。
【0032】
また、本実施形態においては、ディスク状記録媒体Aのレーベル面A2を印刷するインクジェット記録装置1のディスクトレイ20に、本発明を適用したが、これに限るものではない。例えば、ディスク状記録媒体Aのレコーダーやプレーヤーのディスクトレイ20に本発明を適用しても良いし、ディスククリーナーのディスクトレイ20に本発明を適用しても良い。ひいては、ディスク状記録媒体Aの収納するディスクケースに本発明を適用しても良い。
【0033】
さらに、上記各実施形態においては、直径の異なる2種のスタックリブA4を受容するように環状逃げ溝64、65を形成する構成であったが、3種以上のスタックリブA4を受容するように環状逃げ溝を形成しても良いし、1種のスタックリブA4のみを受容するように環状逃げ溝を形成しても良い。いずれの場合においても、最小径のスタックリブA4を受容する環状逃げ溝は、スタックリブA4の受容位置からディスク保持部63まで延在し、当該環状逃げ溝の内周壁部が、ディスク保持部63の外周壁部63aを形成するものとする。
【0034】
なお、本実施形態においては、弾性部66を、逆「U」字状に切り込んで構成したが、これに限るものではなく、たとえば、ディスク保持部63の中心部に向かって逆「V」字状に切り込んで、弾性部66を構成しても良い。
【0035】
また、本実施形態においては、ディスク状記録媒体Aを、ディスク保持部63に嵌合保持させると共に、その記録面A1を接触させて載置する構成であったが、ディスク状記録媒体Aを、浮かせた状態でセットする構成であっても良い。例えば、上記実施形態において、ディスク保持部63によるディスク状記録媒体Aの保持位置を、ディスク載置面62の上方に設定し、記録面A1が他の部材から非接触となるように、ディスク状記録媒体Aをセットするものである。かかる場合にも、浮かせた量が、スタックリブA4の高さより低い場合には、スタックリブA4が邪魔をして上記保持位置にセットすることができないため、当該構成においても、スタックリブA4を受容するように環状逃げ溝64、65を設ける構成とする。また、最小径の環状逃げ溝64の内周壁が、ディスク保持部63の外周壁を形成する構成とする。
【符号の説明】
【0036】
1:インクジェット記録装置、 20:ディスクトレイ、 52:インクジェットヘッド、 62:ディスク載置部、 62a:載置面、 63:ディスク保持部、 63a:外周壁部、 64:第2の環状逃げ溝、 64a:内周壁部、 65:第1の環状逃げ溝、 66:弾性部、 A:ディスク状記録媒体、 A1:記録面、 A2:レーベル面、 A3:中心開口部、 A4:スタックリブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のスタックリブを有する第1のディスク状記録媒体と、前記第1のスタックリブの直径と異なる第2のスタックリブを有する第2のディスク状記録媒体と、を保持可能に構成されたディスク保持部材であって、
前記ディスク状記録媒体が載置される載置面を有するディスク載置部と、
前記ディスク載置部の内側に配設され、前記第1のスタックリブを受容する第1の環状逃げ溝と、
前記第1の環状逃げ溝の内側に配設され、前記第2のスタックリブを受容する第2の環状逃げ溝と、
前記第2の環状逃げ溝の内側に配設され、前記ディスク状記録媒体の中心開口部に嵌合する外周壁部を有して、前記ディスク状記録媒体を保持するディスク保持部と、を備え、
前記第2の環状逃げ溝の内周壁部が前記ディスク保持部の外周壁部を形成することを特徴とするディスク保持部材。
【請求項2】
前記ディスク保持部の外周壁部に切り込んで構成され、前記ディスク状記録媒体に保持力を付与する弾性部を、更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のディスク保持部材。
【請求項3】
請求項1または2に記載のディスク保持部材と、
保持した前記ディスク状記録媒体のレーベル面に対し、インクを吐出するインクジェットヘッドと、を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−158102(P2012−158102A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19525(P2011−19525)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】